説明

電気かみそり

【課題】電気かみそりを使い終わるごとに、内刃に付着の毛屑や皮脂などを自動的に清掃去できるようにし、使用者に何らの負担を強いることもなく、内刃を常に良好な状態に維持して、毛屑や皮脂が内刃に膠着するのを確実に防止できる電気かみそりを提供する。
【解決手段】内刃4を清掃するための清掃体20が、操作機構で、ブラシ21が内刃4に接触する作動位置と、ブラシ21が内刃4から離れる待機位置とに自動的に切り換え操作できる。メインスイッチ11がオフ操作される毎に、操作機構を作動させてブラシ21を作動姿勢に切り換える。同時に、制御回路Cが清掃モードに移行して、モーター3を所定時間だけ駆動させ、内刃4を清掃体20で自動清掃できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内刃を自動的に清掃できる機能を備えている電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
かみそりヘッドの内部に清掃用のブラシを組み込んでおき、例えばメインスイッチのスライド操作に連動してブラシを揺動操作し、内刃に付着した毛屑や皮脂などを払拭除去することは特許文献1に公知である。本出願人は、かみそりヘッドの内部に組み込んだ紫外線照射灯を自動的に点灯し、あるいは消灯して、毛屑室の内部を自動的に殺菌消毒できる電気かみそりを先に提案している(特許文献2参照)。ロータリー式の電気かみそりにおいて、ロール状のブラシを内刃に外接して清掃を行うことは特許文献3に公知である。
【0003】
【特許文献1】実公昭59−40939号公報(第2頁4欄11〜20行、第3図)
【特許文献2】特開2004−105327号公報(段落番号0046、図1)
【特許文献3】実公昭60−7653号公報(第1頁2欄18〜23行、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気かみそりによれば、メインスイッチをオン操作する毎に、内刃に付着した毛屑や皮脂などをブラシで掻き落とすことができる。しかし、ブラシによる払拭範囲が内刃の一部に限られるため、内刃の全面を清掃できず、ブラシが当らない側の切刃面に膠着を生じやすい。特許文献2の電気かみそりは、メインスイッチをオフ操作したのち一定時間が経過すると、紫外線照射灯を点灯して毛屑室内を自動的に殺菌できる。しかし、紫外線による殺菌を行うだけであるため、定期的な清掃を怠ると皮脂などの残滓が内刃に膠着するのを避けられない。
【0005】
特許文献3の電気かみそりは、ひげそり時にロール状のブラシが内刃とともに回転して、内刃に付着した毛屑や皮脂などをブラシで掻き落とすことができる。しかし、ブラシが内刃に常時外接しているので、動力ロスがあるうえ、ブラシが内刃で削られて早期に摩滅する。
【0006】
本発明の目的は、電気かみそりを使い終わるごとに、内刃に付着した毛屑や皮脂などを自動的に除去でき、使用者に何らの負担を強いることもなく、内刃を常に良好な状態に維持して、毛屑や皮脂が内刃に膠着するのを確実に防止し、次回使用時の切れ味を保障できるロータリー式の電気かみそりを提供することにある。
【0007】
本発明の目的は、内刃を駆動しながら、その刃面に付着した毛屑や皮脂などを払拭除去でき、したがって内刃の全面を確実に清掃できるロータリー式の内刃を備えた電気かみそりを提供することにある。
【0008】
本発明の目的は、待機位置にある清掃体を作動位置へ自動的に変位操作して内刃を清掃できる全自動式の清掃機構を備えたロータリー式の電気かみそりを提供することにある。本発明の目的は、内刃の表面に付着した毛屑や皮脂などを、内刃の強震作用によって強制的に振落とすことができる電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気かみそりは、本体ケース1およびかみそりヘッド2に、ロータリー式の内刃4と、内刃4を回転駆動するモーター3と、モーター3への通電状態を切り換えるメインスイッチ11と、清掃要素21および清掃要素21を支持する支持枠22を備えた内刃用の清掃体20と、清掃要素21が内刃4に接触する作動位置と、清掃要素21が内刃4から離れる待機位置とに清掃体20を切り換え操作する操作機構と、電気かみそりの運転状態を制御する制御回路Cとを備えている。制御回路Cは、メインスイッチ11のオン操作で切断モードを起動し、メインスイッチ11がオフ操作される毎に清掃モードを起動できるように構成されており、清掃モード時には、清掃体20が操作機構で作動位置へ切り換え操作され、同時にモーター3を所定時間だけ駆動して、内刃4を清掃体20で自動清掃できるようにしたことを特徴とする。
【0010】
前記制御回路Cは、メインスイッチ11がオフ操作されたのち一定時間Tが経過した状態で清掃モードを起動し、起動後一定時間が経過した状態で清掃モードを終了するように構成することができる。
【0011】
前記操作機構は、可逆駆動可能な第2モーター28と、第2モーター28の動力を清掃体20に伝える伝動機構とを含み、清掃モードの開始時および終了時に第2モーター28を正転駆動、あるいは逆転駆動して、清掃体20を待機位置と作動位置との間で自動的に切り換え操作できるようにする。
【0012】
前記操作機構は、メインスイッチ11を切り換え操作するスイッチノブ44に連動して往復変位する伝動体45からなる。メインスイッチ11のオフ操作に連動して、清掃体20を伝動体45で待機位置から作動位置へ切り換え操作できるようにする。
【0013】
清掃体20は、支持枠22と、支持枠22で回転自在に支持されるブラシ21とで構成されている。
【0014】
毛屑室15の内部にUV灯25が配置されており、清掃モードが終了したのちUV灯25を一定時間点灯して内刃4および毛屑室15内を殺菌できるようにすることができる。
【0015】
本発明の別の電気かみそりは、本体ケース1およびかみそりヘッド2に、往復動型の内刃4と、内刃4を駆動するモーター3と、モーター3への通電状態を切り換えるメインスイッチ11と、内刃4を強震させる起振源54と、電気かみそりの運転状態を制御する制御回路Cとを備えており、制御回路Cは、メインスイッチ11のオン操作で切断モードを起動し、メインスイッチ11がオフ操作される毎に清掃モードを起動できるように構成されており、清掃モード時に、起振源54で内刃4を強震駆動して自動清掃することを特徴とする。その起振源は、内刃支持台52に固定したピエゾ素子54で構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、内刃4を清掃するための清掃体20が、操作機構で作動位置と待機位置とに切り換えられるようした。そのうえで、メインスイッチ11がオフ操作される毎に清掃モードを起動できるように制御回路Cを構成し、清掃モード時に清掃体20を操作機構で作動位置へ切り換え操作し、同時に制御回路Cでモーター3を所定時間だけ駆動できるように制御することにより、ロータリー式の内刃4を清掃体20で自動清掃できるようにした。つまり、電気かみそりを使い終わるごとに、内刃4に付着の毛屑や皮脂などを清掃体20で自動的に除去できるようにした。したがって、本発明の電気かみそりによれば、使用者に負担を強いることもなく、内刃4を常に良好な状態に維持して、毛屑や皮脂が内刃4に膠着するのを確実に防止でき、次回使用時の切れ味を保障できる。
【0017】
清掃モードにおいて内刃4を駆動しながら、その刃面に付着した毛屑や皮脂などを清掃体20で払拭除去するので、内刃4の全面を確実に清掃して各切刃17を常に良好な状態に維持でき、毛屑や皮脂が切刃17に膠着するのをさらに確実に防止できる。切断モード時には清掃体20が待機位置に保持されるので、余分な付加を掛けることもなく内刃4を駆動でき、その分だけ切断モードにおける電気かみそりの消費電力量を削減できる。
【0018】
メインスイッチ11がオフ操作されたのち、一定時間Tが経過した状態で清掃モードを起動できるように制御回路Cを構成してあると、メインスッチ11がオフ操作された後、たとえば剃り残したひげを切断するためにメインスッチ11を再びオン操作するような場合にも、電気かみそりの運転モードが清掃モードへ移行するのを防止でき、清掃モードを円滑に実行できる。
【0019】
可逆駆動可能な第2モーター28と、その動力を清掃体20に伝える伝動機構とで操作機構を構成し、清掃モードの開始時および終了時に第2モーター28を正転駆動、あるいは逆転駆動して、清掃体20を待機位置と作動位置との間で自動的に切り換え操作できるようにしてあると、電気かみそりが清掃体20の姿勢切り換えを自律的に行うので、内刃4の清掃に関して使用者の手を一切煩わせることがない。したがって、使用者の衛生意識の有無とは無関係に内刃4を常に清潔な状態に維持できる。
【0020】
スイッチノブ44に連動して往復変位する伝動体45で操作機構を構成し、メインスイッチ11のオフ操作に連動して、清掃体20を伝動体45で待機位置から作動位置へ切り換え操作できるようにすると、スイッチノブ44を操作して切断モードを終了する毎に、使用者が意識するまでもなく清掃体20を作動姿勢に切り換えて、内刃4を清掃体20で清掃できるし、第2モーター28などの操作機構専用の駆動源を使用する場合に比べて、操作機構が簡素化し、その分だけ電気かみそりの製造コストを削減化できる。
【0021】
支持枠22と、支持枠22に回転自在に支持されるブラシ21とで清掃体20が構成されていると、清掃モードにおいてブラシ21を回転させながら内刃4の清掃を行えるので、例えば、非回転型の清掃要素で内刃4の清掃を行う場合に比べて、内刃4の回転抵抗を軽減して、無駄な動力消費を抑止できるうえ、ブラシ21が早期に摩滅するのをよく防止できる。
【0022】
清掃モードが終了したのちUV灯25を一定時間点灯して、内刃4および毛屑室15内を殺菌できるようにした電気かみそりによれば、内刃4から掻き落とした毛屑や皮脂などに紫外線を照射して殺菌し、異臭の発生を防止できるのはもちろんのこと、ブラシ21で清掃された切刃17を紫外線で殺菌して衛生的な状態に維持できる。
【0023】
また、別の本発明に係る電気かみそりにおいては、清掃モード時に、往復動式の内刃4を起振源54で強震駆動して、つまり内刃4に付着の毛屑や皮脂などを強制的に振り払って自動清掃するので、電気かみそりを使い終わるごとに毛屑や皮脂などを自動的に除去でき、使用者に一切の負担を強いることもなく内刃4を常に良好な状態に維持し、毛屑や皮脂が内刃4に膠着するのを確実に防止できる。毛屑や皮脂をブラシ21などで強制的に掻落とし操作する場合に比べて、清掃構造を著しく簡素化できる利点もある。
【0024】
その際、内刃支持台52に固定したピエゾ素子54で起振源を構成すると、ピエゾ素子54の振動数や振動時間などを、必要に応じて任意に変更できるので、単に内刃4を一定の振動数で強震させる場合に比べて、内刃4に付着した毛屑や皮脂をより効果的に剥落でき、清掃効果が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施例1) 図1ないし図5は本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。図1および図2において電気かみそりは、本体ケース1と、その上部に設けたかみそりヘッド2とを有し、本体ケース1の内部に設けたモーター3を駆動源にして、その回転動力をかみそりヘッド2に設けた内刃4に、ベベルギヤユニット5(図3参照)およびタイミングベルト6を介して伝動する。本体ケース1の内部には、2次電池7や、制御回路Cなどを実装するための回路基板8などを組み込んである。
【0026】
本体ケース1の前面には、モーター3への通電状態を切り換える押しボタン型のスイッチボタン9を備えている。本体ケース1の背面側には、きわぞり刃ユニット10を設けてある。きわぞり刃ユニット10は往復動刃を備えており、図示していない周知構造の振動子の往復動力によって駆動される。
【0027】
スイッチボタン9を押し込み操作すると、メインスイッチ11がオン操作されて、ON信号を出力する。このON信号を受けた制御回路Cは、モーター3を起動させて内刃4を回転駆動する。再度スイッチボタン9を押し込み操作すると、メインスイッチ11がオフ操作され、メインスイッチ11からOFF信号が制御回路Cに送出されてモーター3が停止する。
【0028】
かみそりヘッド2には、ヘッド支持枠13と、ヘッド支持枠13に対して着脱可能に装着される外刃ホルダー14とで毛屑室15が区画形成されており、内刃4および外刃16で切断した毛屑を毛屑室15に一時的に貯留できる。内刃4は横軸回りに回転するロータリー式の内刃からなり、プラスチック製の軸体の周面に多数個の螺旋状の切刃17を埋設固定してなる。外刃ホルダー14に装着した外刃16は、外刃ホルダー13でアーチ状に保持されている。
【0029】
内刃4に付着の毛屑や皮脂などを除去するために、毛屑室15の内部には清掃体20を設け、本体ケース1と清掃体20との間に設けた操作機構で、清掃体20を自動的に切り換え操作できる。
【0030】
図1および図3において清掃体20は、ローラー状のブラシ(清掃要素)21と、ブラシ21の両端を回転自在に軸支する支持枠22とを含む。支持枠22の中途部をヘッド支持枠13に設けたブラケット23、およびピン24で揺動可能に軸支することにより、清掃体20は、ブラシ21が内刃4に接触する作動位置と、ブラシ21が内刃から離れる待機位置との間を往復揺動できる。毛屑室15の内部には、ブラシ21の揺動軌跡に臨ませて殺菌用のUV灯25を配置してある。
【0031】
前記操作機構は、可逆回転可能な第2モーター28と、第2モーター28の動力を清掃体20に伝える伝動機構とを含む。伝動機構は、第2モーター28の出力軸に固定されるウォームギヤ29と、ウォームギヤ29に噛み合うラック30と、ラック30の上端に設けた操作ピン31とからなる。操作ピン31は、毛屑室15内において長穴32を介して支持枠22の一端と連結してある(図1参照)。
【0032】
したがって、第2モーター28を正転方向へ駆動すると、ラック30がウォームギヤ29で下降操作され、清掃体20は時計回転方向へ揺動して、実線で示す作動姿勢に切り換わる。第2モーター28を逆転駆動すると、ラック30がウォームギヤ29で上昇操作されるので、清掃体20は反時計回転方向へ揺動して、想像線で示す待機姿勢に復帰する。
【0033】
制御回路Cは、ひげそりのための切断モードが終了する毎に、運転モードを自動的に清掃モードに切り換えて内刃4の清掃を行う。詳しくは、図4および図5に示すように、メインスイッチ11がオフ操作されて切断モードが終了した状態であって、切断モードが終了してから一定時間Tが経過したことをタイマー35で検知して清掃モードに移行する。
【0034】
清掃モードでは、タイマー信号を受けた制御回路Cが、メインスイッチ11をバイパスする回路を介してモーター3に駆動電流を供給し、内刃4を回転駆動する。このときの駆動電流をパルス電流とすることにより、モーター3を低速度で回転できる。これによって、内刃4の洗浄と、洗浄時における毛屑の外刃16からの吹出し防止とを両立させることができる。清掃モードの開始と同時に、清掃モードであることを発光・発音表示するために表示灯(LED)37(図2参照)などの発光手段を点灯し、さらにブザー38などの発音手段を連続的にもしくは断続的に駆動させる。発音手段は音声合成によって「洗浄中です」と繰り返し言葉で表示してもよい。
【0035】
制御回路Cは、清掃モードの起動直後に、第2モーター28を起動して清掃体20を作動位置に切り換え、ブラシ21を内刃4に接触させる。内刃4に外接したブラシ21は、内刃4の回転方向と逆向きに回転しながら、切刃17に付着の毛屑や皮脂などを強制的に掻き落とす。清掃モードに移行してから一定時間が経過したことをタイマー35で検知すると、制御回路Cは清掃モードを終わらせる。
【0036】
具体的には、タイマー信号を受けた制御回路Cが、モーター3への通電を停止する。さらに、第2モーター28を逆転駆動して清掃体20を待機位置に復帰させ、ブラシ21を内刃4から分離する。第2モーター28への通電を停止するのと同時に、表示灯37、およびブザー38への通電を停止する。清掃モードの途中にメインスイッチ11がオン操作された場合には、清掃モードを強制的に終了して制御手順をリセットし、完全停止状態に移行する。そして、メインスイッチ11をON操作すれば切断モードが開始される。
【0037】
UV灯25はブラシ21の揺動軌跡に臨むよう配置してある。そのため、清掃体20が待機位置へ復帰するとき、ブラシ21でUV灯25の表面に付着した毛屑を払い落とすことができる。したがって、清掃体20を待機位置に復帰させた後、すなわち、清掃モードが終了した後にUV灯25を点灯すると、毛屑に邪魔されることなく紫外線を照射して、内刃4や毛屑室15の内周面などに付着の毛屑や皮脂などの有機物を殺菌できる。
【0038】
このとき、図5の破線で示すように、モーター3を起動して内刃4をゆっくりと回転駆動すると、全ての切刃17の表面、および軸体の周面を殺菌できる。一定時間が経過したらUV灯25を消灯し、モーター3を停止して殺菌モードを終了する。このように、清掃モードに殺菌モードを付加すると、内刃4に対する皮脂などの膠着を防止しながらその殺菌を行って、毛屑室15内を衛生的な状態に維持できる。清掃モード時に駆動する発光手段や発音手段は、清掃モードに続けて殺菌モードの際にも駆動することができる。これによって、殺菌中の外刃ホルダー14の着脱動作を抑止することができる。なお、内刃4、毛屑室15、外刃16の内面に酸化チタンをコートしておけば、その光触媒作用によって、殺菌効果をさらに増大し、脱臭の発生を防止できる。
【0039】
以上のように、電気かみそりを使い終わるごとに、内刃4に付着した毛屑や皮脂などを清掃体20で自動的に払拭除去できるようにすると、使用者に何らの負担を強いることもなく内刃4を常に良好な状態に維持できる。これにより、毛屑や皮脂が内刃4に膠着するのを確実に防止して、次回使用時の内刃4の切れ味を保障できる。
【0040】
清掃モードにおいて、待機位置にある清掃体20を操作機構で作動位置へ自動的に変位操作し、さらに清掃体20を操作機構で作動位置から待機位置へ自動的に復帰操作するので、内刃4の清掃に関して使用者の手を一切煩わせることがない。したがって、使用者の衛生意識の有無とは無関係に内刃4を常に清潔な状態に維持できる。
【0041】
(実施例2) 図6は操作機構の実施例2を示す。そこでは、ソレノイド(第2モーター)28を駆動源にして、その駆動動力を伝動機構を介して清掃体20に伝える。伝動機構は、ソレノイド28のプランジャー40に連結される操作軸41と、操作軸41の上端に設けた操作ピン31と、操作軸41を押し上げ付勢する復帰ばね42とを含む。先の実施例と同様に、操作ピン31は、毛屑室15内において長穴32を介して支持枠22の一端と連結する。
【0042】
上記のように、ソレノイド28を駆動源にして操作機構を構成すると、プランジャー40の往復動作を動作変換する必要もなく、操作軸41で清掃体20にそのまま伝動すればよいので、操作機構が簡素化する。ソレノイド28が作動していない状態では、操作軸41が復帰ばね42で押し上げられるので、清掃体20は想像線で示す待機姿勢を維持する。ソレノイド28に駆動電流を供給すると、プランジャー40および操作軸41が復帰ばね42の弾性に抗して下降するので、清掃体20を実線で示す作動姿勢に切り換えることができる。他は、実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例においても同様に扱う。
【0043】
(実施例3) 図7は操作機構の実施例3を示す。そこでは、メインスイッチ11を上下スライド可能なスイッチノブ44でオン・オフ操作できるようにし、スイッチノブ44の上下スライド動作に連動して往復移動する伝動ロッド(伝動体)45で、清掃体20を待機位置から作動位置へ切り換え操作できるようにした。スイッチノブ44は節動機構を備えており、オン位置とオフ位置の各切り換え位置を自己保持できる。伝動ロッド45の上端には操作ピン46を設けてあり、この操作ピン46を毛屑室15内において長穴32を介して支持枠22の一端と連結することにより、清掃体20をスイッチノブ44の上下スライド動作に連動して切り換えることができる。この実施例においても、基本制御のやり方は実施例1や実施例2と同様であり、メインスイッチ11のオフ操作後、タイマー35によって一定時間Tが経過してから所定時間モーター3を駆動し、髭切断後に毎回オート洗浄できるようになっている。以下の実施例も同様である。
【0044】
(実施例4) 図8は往復動型の内刃4を備えた電気かみそりの実施例4を示す。そこでは、モーター3の回転動力を、ヘッドフレーム13内に設けた振動子51で往復動力に変換して、スリット刃からなる内刃4を左右方向へ往復駆動する。逆U字状に曲げられた内刃4は、内刃支持台52に遊動不能に固定してある。内刃支持台52は、振動子51の駆動軸53と同行移動可能に連結してある。この種の内刃4は、その外面に外刃16が密着した状態のままで清掃するために、内刃支持台52の内部にピエゾ素子(起振源)54が固定されている。
【0045】
切断モードの終了後に一定時間Tが経過して清掃モードに移行したのち、ピエゾ素子54を超音波領域の振動数で強震させることにより、内刃4の表面や小刃に付着した毛屑および皮脂などを強制的に剥離する。このとき、ピエゾ素子54を一定時間おきに断続的に振動させることができる。この実施例の清掃法では、ピエゾ素子54を短時間作動させるだけで清掃できるので、切断モードの終了と同時にピエゾ素子54を駆動することができる。清掃モード終了後、切断モードを開始することにより振動子51の大きな振動により毛屑室15へ毛屑がふるい落とされる。なお清掃モードの際、かみそりヘッド2を水中に浸漬し、或いは流水を掛流すことにより洗浄効果は高まる。
【0046】
(実施例5) 内刃4に振動を与えて毛屑や皮脂などを強制的に振い落とす清掃法としては、清掃モードにおけるモーター3の駆動回転数を、通常のひげ切断時の駆動回転数に比べて充分に高めて、単位時間あたりの内刃4の往復振動回数を大きくする形態を採ることができる。とくに、リニアモーターを駆動源とする電気かみそりの場合には、リニアモーターの駆動周波数を大きく設定して、内刃4を強震させることができる。
【0047】
(実施例6) 図9および図10は、操作機構の実施例6を示す。そこでは、実施例3と同様に、スイッチノブ44の上下スライド動作に連動して往復移動する伝動ロッド(伝動体)45で、清掃体20を待機位置から作動位置へ切り換え操作するが、以下の点が実施例3と異なる。清掃体20をブラケット23およびピン24で揺動可能に軸支したうえで、その支持枠22を引張りばね57で待機位置へ向かって揺動付勢する。伝動ロッド(伝動体)45の上端と、支持枠22の一端とには、それぞれ連動爪58・59を突設する。
【0048】
スイッチノブ44をオフ位置からオン位置へ切り換えるとき、伝動ロッド45に設けた連動爪58は、支持枠22側の連動爪59を乗り越えながら上昇移動する。スイッチノブ44をオン位置からオフ位置へ切り換え操作すると、伝動ロッド45側の連動爪58が、支持枠22側の連動爪59に接当して、清掃体20を引張りばね57のばね力に抗しながら待機位置から作動位置へ切り換え操作する。
【0049】
このとき、ピン24からブラシ21の中心間での腕長さに比べて、ピン24から連動爪59の突端までの腕長さが充分に小さいので、スイッチノブ44がオフ位置に切り換わる中途部において、ブラシ21は図10に示すように内刃4に接当する。換言すると、メインスイッチ11がオフ操作される前に、ブラシ21が内刃4に接当して、回転駆動されている状態の内刃4にブラシ21を接当させて、切刃17を清掃できる。つまり、電気かみそりを使い終わるごとに、内刃4に付着した毛屑や皮脂などを清掃体20で自動的に払拭除去できるうえ、清掃体20を切り換え操作することに関して、制御回路Cを必要としない。
【0050】
上記以外に、清掃要素21はローラー状に形成する必要はなく、支持枠22で回転不能に支持した平板状のブラシや、帯状の強靭なシートの接触縁に小さな切り込みを入れた払拭シートなどで形成してもよい。ピエゾ素子54を清掃体20の支持枠22に組み込んでおいて、ピエゾ素子54で清掃体20を振動させながら内刃4の清掃を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の内刃の清掃構造を示す縦断側面図
【図2】実施例1の電気かみそりの正面図
【図3】実施例1の内刃の清掃構造を示す縦断正面図
【図4】実施例1の制御回路と制御対象との関係を概念的に示すブロック図
【図5】実施例1の制御対象の動作タイミングを示すタイミングチャート
【図6】実施例2を示す縦断側面図
【図7】実施例3を示す縦断側面図
【図8】実施例4を示す縦断正面図
【図9】実施例6を示す縦断正面図
【図10】実施例6を示す縦断正面図
【符号の説明】
【0052】
1 本体ケース
2 かみそりヘッド
3 モーター
4 内刃
11 メインスイッチ
15 毛屑室
20 清掃体
21 ブラシ
22 支持枠
25 UV灯
28 第2モーター
44 スイッチノブ
45 伝動体
52 内刃支持台
54 ピエゾ素子
C 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース(1)およびかみそりヘッド(2)に、ロータリー式の内刃(4)と、内刃(4)を回転駆動するモーター(3)と、モーター(3)への通電状態を切り換えるメインスイッチ(11)と、清掃要素(21)および清掃要素(21)を支持する支持枠(22)を備えた内刃用の清掃体(20)と、清掃要素(21)が内刃(4)に接触する作動位置と、清掃要素(21)が内刃(4)から離れる待機位置とに清掃体(20)を切り換え操作する操作機構と、電気かみそりの運転状態を制御する制御回路(C)とを備えており、
制御回路(C)は、メインスイッチ(11)のオン操作で切断モードを起動し、メインスイッチ(11)がオフ操作される毎に清掃モードを起動できるように構成されており、
清掃モード時には、清掃体(20)が操作機構で作動位置へ切り換え操作され、同時にモーター(3)を所定時間だけ駆動して、内刃(4)を清掃体(20)で自動清掃できるようにしたことを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
制御回路(C)が、メインスイッチ(11)がオフ操作されたのち一定時間Tが経過した状態で清掃モードを起動し、起動後一定時間が経過した状態で清掃モードを終了するように構成してある請求項1記載の電気かみそり。
【請求項3】
操作機構が、可逆駆動可能な第2モーター(28)と、第2モーター(28)の動力を清掃体(20)に伝える伝動機構とを含み、
清掃モードの開始時および終了時に、第2モーター(28)を正転駆動、あるいは逆転駆動して、清掃体(20)を待機位置と作動位置との間で自動的に切り換え操作できる請求項1または2記載の電気かみそり。
【請求項4】
操作機構が、メインスイッチ(11)を切り換え操作するスイッチノブ(44)に連動して往復変位する伝動体(45)からなり、
メインスイッチ(11)のオフ操作に連動して、清掃体(20)を伝動体(45)で待機位置から作動位置へ切り換え操作できる請求項1または2記載の電気かみそり。
【請求項5】
清掃体(20)が、支持枠(22)と、支持枠(22)で回転自在に支持されるブラシ(21)とを含む請求項1記載の電気かみそり。
【請求項6】
毛屑室(15)の内部にUV灯(25)が配置されており、清掃モードが終了したのちUV灯(25)を一定時間点灯して、内刃(4)および毛屑室(15)内を殺菌できる請求項1記載の電気かみそり。
【請求項7】
本体ケース(1)およびかみそりヘッド(2)に、往復動型の内刃(4)と、内刃(4)を駆動するモーター(3)と、モーター(3)への通電状態を切り換えるメインスイッチ(11)と、内刃(4)を強震させる起振源(54)と、電気かみそりの運転状態を制御する制御回路(C)とを備えており、
制御回路(C)は、メインスイッチ(11)のオン操作で切断モードを起動し、メインスイッチ(11)がオフ操作される毎に清掃モードを起動できるように構成されており、
清掃モード時に、起振源(54)で内刃(4)を強震駆動して自動清掃することを特徴とする電気かみそり。
【請求項8】
起振源が、内刃支持台(52)に固定したピエゾ素子(54)で構成されている請求項7記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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