説明

電気かみそり

【課題】 顎の下のくぼみにフィットして剃り残しが出ないように髭剃りができる。鼻の下や顎において肌との接触面積を確保して髭剃り効率が低下しない。
【解決手段】 ネット状の外刃1と、ネット状の外刃1の内面に摺接する内刃2とを備える。ネット状の外刃1はその長手方向において湾曲した凸曲面3を形成し、長手方向の湾曲はその曲率半径Rを150mm〜350mmとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃形状が長手方向に湾曲した凸曲面となった電気かみそりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からネット状の外刃の形状を長手方向に湾曲させて凸曲面とした電気かみそりが特許文献1や特許文献2により知られている。
【0003】
これらの特許文献1や特許文献2に示される従来例においては、ネット状の外刃の形状を長手方向に湾曲させて凸曲面とすることで、顎下のくぼみにネット状の外刃がフィットするようにしている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示された従来例においては、ネット状の外刃が長手方向に湾曲すると共に短手方向にも湾曲しており、長手方向に湾曲した凸曲面の曲率半径が120mm、短手方向に湾曲した凸曲面の曲率半径が17mmとなっている。このように、ネット状の外刃の長手方向の凸曲面の曲率半径が120mmと小さいため、顎の下のくぼみにはフィットするがネット状の外刃の長手方向の中央部が肌に局部的に強く当たってネット状の外刃の長手方向の中央部における肌への接触荷重が適正荷重を越えて大きくなり、シェービングの際に肌がひりつくという問題があり、更に、ネット状の外刃の長手方向の凸曲面の曲率半径が120mmと小さいため、長手方向にストレートなネット状の外刃に比べて、鼻下、顎などで肌とネット状の外刃との接触面積が低下し、シェービング範囲が狭くなって髭剃り効率が低下してしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に示された従来例においてもネット状の外刃の長手方向における凸曲面の曲率半径が35mm程度と小さく、上記特許文献1よりも更にネット状の外刃の長手方向の中央部の肌への接触圧が大きくなって、髭剃りの際に肌がひりつくという問題があり、また、ネット状の外刃の長手方向における凸曲面の曲率半径が小さすぎて鼻下、顎などで肌とネット状の外刃との接触面積が低下し、シェービング範囲が狭くなって髭剃り効率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
このように、いずれの従来例もネット状の外刃の長手方向における凸曲面の曲率半径が小さいため、肌がひりつき、また、シェービング範囲が狭くなって髭剃り効率が低下するという問題がある。
【0007】
一方、ネット状の外刃の長手方向の凸曲面の曲率半径を大きくしてシェービングの際のひりつきを無くし且つシェービング範囲を広くすることが考えられるが、ネット状の外刃の長手方向の凸曲面の曲率半径を大きくし過ぎると顎の下のくぼみにフィットしなくなって深剃りができず、剃り残しが多くでるという問題がある。
【特許文献1】特公昭57−53748号公報
【特許文献2】特開平6−142349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、顎の下のくぼみにフィットして剃り残しが出ないように髭剃りができると共に、また、鼻の下や顎において肌との接触面積を確保して髭剃り効率が低下しない電気かみそりを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る電気かみそりは、ネット状の外刃1と、ネット状の外刃1の内面に摺接する内刃2とを備え、上記ネット状の外刃1はその長手方向において湾曲した凸曲面3を形成し、長手方向の湾曲はその曲率半径Rが150mm〜350mmであることを特徴とするものである。
【0010】
長手方向に凸曲面3を形成した刃形状のネット状の外刃1で髭を剃るに当たって、ネット状の外刃1の長手方向に沿った凸曲面3の曲率半径Rが小さいと、鼻の下や顎で肌とネット状の外刃1との接触面積が低下し、剃り効率が低下し、また、上記曲率半径Rが大きいと顎の下にフィットしないため、剃り残しが多くでるが、本発明においては、上記のように、長手方向に湾曲した凸曲面3の曲率半径Rを150mm〜350mmとすることで、
顎の下の窪みに凸曲面3がフィットし、適度な接触圧を確保し、しかも、鼻の下や顎で肌とネット状の外刃1との接触面積を確保し、これにより広い範囲を剃り残しなく効率的に髭剃りができることになる。
【0011】
また、ネット状の外刃1が短手方向においても短手方向中央部が凸となるように湾曲し、この短手方向の湾曲の曲率半径が1.5mm〜3.5mmであることが好ましい。
【0012】
このような構成とすることで、ネット状の外刃1の短手方向の曲率半径を肌との接触圧、接触面積から最適の曲率半径とすることができて、良好な髭剃りができる。
【0013】
また、複数のネット状の外刃1を該ネット状の外刃1の短手方向に並設することが好ましい。
【0014】
このような構成とすることで、複数の外刃1で肌を伸ばしながら髭を剃ることになり、長手方向に湾曲したネット状の外刃1による切断効果が更に向上することになる。
【0015】
また、グリップ部5の長手方向の一端部にヘッド部4を突出して設け、ヘッド部4の突出先端面に複数のネット状の外刃1を該ネット状の外刃1の短手方向に並設し、ネット状の外刃1の長手方向と同方向から見てグリップ部5とヘッド部4とのなす角度が鈍角となるように設定することが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、グリップ部5を手で掴んで複数のネット状の外刃1を肌に押し当てた場合、短手方向に並設した複数のネット状の外刃1のうち短手方向の一方の端部側のネット状の外刃1が肌に良く密着して接触圧が高くなので、この接触圧が高くなるほうのネット状の外刃1が先頭となるように短手方向に移動すると肌伸ばし効果が向上し、肌を伸ばしながら髭剃りをすることで、髭を絞り出し且つ起毛しながら切断できて、短く剃り上げることができる。
【0017】
また、複数のネット状の外刃1をフロート自在とすることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、肌の凹凸に対してネット状の外刃1が上下に動いて肌とネット状の外刃1との接触状態が安定して良好な髭剃りができる。
【0019】
また、複数のネット状の外刃1にそれぞればねにより弾性押上力を付与して各ネット状の外刃1をフロート自在とし、複数のネット状の外刃1に付与された弾性押上力を異ならせることが好ましい。
【0020】
このような構成とすることで、複数のネット状の外刃1を肌に押し当てた状態で、弾性押上力が大きい方のネット状の外刃1が先頭となるように短手方向に移動することで、肌伸ばし効果が向上し、肌を伸ばしながら髭剃りをすることで、髭を絞り出し且つ起毛しながら切断できて、効果的に深剃りができる。
【0021】
また、ネット状の外刃1間の間隔を該ネット状の外刃の短手方向の曲率半径の0.5倍〜2倍の寸法とすることが好ましい。
【0022】
このような構成とすることで、複数のネット状の外刃1を肌に押し当てた状態で、短手方向に移動しながら髭剃りをする際、寝ている毛を起こすと共に、髭を絞り出して短く剃り上げることができる。
【0023】
また、ネット状の外刃1とネット状の外刃1との間にスリット外刃11を配置することが好ましい。
【0024】
このような構成とすることで、長い髭をスリット外刃11により捉えやすくなり、また、スリット外刃11と肌との接触圧があまり大きくならないため、ネット状の外刃1と肌との接触圧を大きく損なうことがなく、髭を絞り出し、深剃りが可能となる。
【0025】
また、ネット状の外刃1とネット状の外刃1との間にスリット外刃11を配置し、両側のネット状の外刃1とスリット外刃11とをそれぞればねにより弾性押上力を付与して各ネット状の外刃1及びスリット外刃11をフロート自在とし、両側のネット状の外刃1のうち一方の弾性押上力を、他方のネット状の外刃1及びスリット外刃11にそれぞれ付与された弾性押上力より大きくすることが好ましい。
【0026】
このような構成とすることで、複数のネット状の外刃1を肌に押し当てた状態で、弾性押上力が大きい方のネット状の外刃1が先頭となるように短手方向に移動することで、肌伸ばし効果が向上し、肌を伸ばしながら髭剃りをすることで、髭を絞り出し且つ起毛しながら切断できて、効果的に深剃りができる。
【0027】
また、両側のネット状の外刃1の長手方向の中央部の高さ位置よりも、スリット外刃11の長手方向の中央部の高さ位置が下となっていることが好ましい。
【0028】
このような構成とすることで、スリット外刃11と肌との接触圧が大きくならず、ネット状の外刃1と肌との接触圧を損なうことがなく、より効果的に髭を絞り出し、深剃りが可能となる。
【0029】
また、スリット外刃11が長手方向において湾曲して凸曲面11aを形成し、該スリット外刃11の凸曲面11aの曲率半径がネット状の外刃1の長手方向の凸曲面3の曲率半径よりも大きいことが好ましい。
【0030】
このような構成とすることで、スリット外刃11と肌との接触圧が小さくなり、ネット状の外刃1と肌との接触圧を損なうことがなく、より効果的に髭を絞り出し、深剃りが可能となる。
【0031】
また、ネット状の外刃1の長手方向を左右方向と定義し、外刃1と内刃2を保持するヘッド部4がグリップ部5に対して左右に回転自在に構成してあることが好ましい。
【0032】
このような構成とすることで、グリップ部5を手で掴んで外刃1を肌に押し当てると、肌への外刃1の押し当て方向に応じて、長手方向に湾曲した凸曲面3となった外刃1を備えたヘッド部4がグリップ部5に対して回動して凸曲面3が肌に追従して肌になじむ方向に傾いて効果的に髭剃りができるものであり、しかも、このように凸曲面3を肌に追従させて肌になじむ方向に傾けて肌にフィットさせた状態で外刃1を短手方向にスムーズに移動させながら髭剃りができるのは勿論、長手方向が凸曲面3となった外刃1を備えたヘッド部4がグリップ部5に対して回動することで、ヘッド部4の一部が部分的に肌に強く食い込むことがなく、これにより長手方向に凸曲面3となった外刃1を肌にフィットさせた状態のまま、外刃1の長手方向にスムーズに移動しながら髭剃りをしたり、あるいは、長手方向に凸曲面3となった外刃1を肌にフィットさせた状態のまま、外刃1を肌に対して廻すようにして髭剃りを行うことが可能となって、外刃1を肌に押し当てた状態であらゆる方向に外刃1をスムーズに移動しながら髭剃りができ、髭剃り効率が向上するものである。特に、外刃1を長手方向に凸曲面3としてあることで、顎の下のくぼみにフィットさせることができ、このように、顎の下のくぼみに外刃1をフィットさせた状態のまま、上記のように外刃1を長手方向や短手方向に移動して髭剃りしたり、外刃1を顎の下のくぼみにフィットさせた状態のまま外刃1を肌に対して廻すようにして移動して髭剃りしたりでき、顎の下の様々な毛流れに対して効率よく髭を捉えて剃ることができ、髭剃り効率が著しく向上するものである。
【0033】
また、ネット状の外刃1の長手方向の中央部の刃孔の大きさを長手方向の端部の刃孔よりも小さくすることが好ましい。
【0034】
このような構成とすることで、ネット状の外刃1の長手方向の湾曲により肌とネット状の外刃1との接触圧分布は長手方向の中央部でより高くなるが、この接触圧が高い長手方向の中央部の刃孔の大きさを長手方向の端部の刃孔よりも小さくすることで、ネット状の外刃1の長手方向の各部位で最適の髭剃り性能を得ることができる。
【0035】
また、ネット状の外刃1の長手方向の中央部における厚みを長手方向の端部の厚みよりも大きくすることが好ましい。
【0036】
このような構成とすることで、ネット状の外刃1の長手方向の湾曲により肌とネット状の外刃1との接触圧分布は長手方向の中央部でより高くなるが、この接触圧が高い長手方向の中央部における厚みを長手方向の端部の厚みよりも大きくすることで、ネット状の外刃1の長手方向の各部位で最適の髭剃り性能を得ることができる。
【0037】
また、ネット状の外刃1の内面に摺接する内刃2が1枚の板金を曲げ加工して形成してあることが好ましい。
【0038】
このように1枚の板金を曲げ加工することで、比較的安価に内刃2を構成することができる。
【0039】
また、ネット状の外刃1の内面に摺接する内刃2の刃部の先端を鋭角にしてあることが好ましい。
【0040】
このような構成とすることで、切断抵抗が低減するため切れ味が向上する。
【0041】
また、ネット状の外刃1の内面に摺接する内刃2の長手方向の中央部の剛性を長手方向の端部の剛性よりも大きくしてあることが好ましい。
【0042】
長手方向の湾曲により長手方向の中央部で接触圧が高くなるが、内刃2の長手方向の中央部の剛性が長手方向の端部の剛性よりも大きいので、接触圧の高い長手方向の中央部において変形しにくく、切れ味を長持ちさせることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、ネット状の外刃の長手方向に湾曲した凸曲面の曲率半径Rを最適の曲率半径にできて、顎の下の窪みに凸曲面がフィットすると共にネット状の外刃の中央部が肌に過剰に食い込んでひりついたりせずに適度な接触圧を確保し、しかも、鼻の下や顎で肌とネット状の外刃との接触面積を確保し、これにより広い範囲を剃り残しなく、効率的に髭剃りができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0045】
添付図面には本発明の一実施形態が示してある。図1乃至図6に示すように、電気かみそりは、手で把持するためのグリップ部5と、該グリップ部5の長手方向の一端部に配置され該グリップ部5と反対方向の面に髭を剃るためのネット状の外刃1を有するヘッド部4とで構成してある。ここで、グリップ部5の長手方向の一端部のヘッド部4を配設する方の端部側を今仮に「上」、グリップ部5の長手方向の他端部側を「下」と定義すると、グリップ部5の上側の端部からヘッド部4が図1、図4、図6に示すように側面視で(つまりネット状の外刃1の長手方向と同方向から見て)グリップ部5に対してヘッド部4が鈍角に傾斜するように(グリップ部5に対してヘッド部4が斜め前上方に向けて突出するように傾斜して)取付けてある。しかも、該ヘッド部4はグリップ部5に対して後述のように、ヘッド支持ブロック35を介してヘッド部4をグリップ部5に対して回動(スイング)自在且つ上下方向にフロート自在に取付けてある。
【0046】
まず、ヘッド部4につき説明する。ヘッド部4は図7に示すように、リニアモータよりなるモータ6、内刃2、刃ブロック7、モータ6を収納保持するヘッドケース8、ヘッドケースカバー9から構成してある。このようにヘッド部4にモータ6を内装することで、ヘッド部4が後述のようにグリップ部5に対して回動するものでありながら、モータ6からの出力で内刃2を駆動するための機構が簡略化できるようになっている。
【0047】
刃ブロック7は、図9に示すように、ネット状の外刃1を備えた複数(実施形態では2個)のネット刃カセット10と、ネット刃カセット10間に配置され且つ櫛状をしたスリットを設けたスリット外刃11を有するスリット刃カセット12とを矩形状の保持部材13に装着することで構成してある。ネット状の外刃1は内刃2の往復移動方向に長くなっており(つまり内刃2の往復移動方向がネット状の外刃1の長手方向となっており)、複数のネット状の外刃1は長手方向が平行となるように短手方向において並設してあり、ネット状の外刃1とネット状の外刃1との間に配置されたスリット外刃11もネット状の外刃1の長手方向と平行な方向が長手方向となっている。すなわち、リニアモータよりなるモータ6の振動方向(つまり内刃2の往復移動方向)を今仮に左右方向と定義した場合、左右方向の振動がその先端の駆動子22によって内刃2に伝えられて、内刃2が左右方向に往復駆動して、ネット状の外刃1の内面の長手方向(左右方向)に沿って摺接しながら往復動してネット状の外刃1に設けた刃穴に入った髭をカットすると共に、駆動子22の往復動によりスリット内刃78が左右方向に往復駆動してスリット外刃11の内面に摺接しながら往復動して、スリット外刃11に設けたスリットに入った髭をカットするようになっている。ネット状の外刃1は短い髭を根元から深剃りするためのものであり、スリット外刃11はネット状の外刃1では剃り難い長い髭を剃るためのものであり、両者の協働で効果的に髭剃りを行うようになっている。この刃ブロック7の具体的構成については後述する。
【0048】
なお、以下の説明では、上記のようにグリップ部5の長手方向の一端部のヘッド部4を配設する方の端部側を「上」、グリップ部5の長手方向の他端部側を「下」、つまり上下方向と定義し、ネット状の外刃1の長手方向(つまり内刃2の往復動方向)を左右方向と定義し、ネット状の外刃1の短手方向を前後方向と定義して説明する。
【0049】
リニアモータよりなるモータ6はヘッドケース8の上開口部から内部に上から挿入して内装され、モータ6をヘッドケース8内に内装した状態で上開口部にヘッドケースカバー9を被せ、駆動子防水ゴム29とゴム押さえ板14を介してねじ15で固定してある。
【0050】
モータ6の下側はヘッドケース8の下方から蓋97を介してねじ16を螺入することでヘッドケース8に固定される。このようにヘッドケース8内にモータ6を内装してヘッドケース8とヘッドケースカバー9とで挟まれた状態で固定することで、ヘッドケース8、モータ6、ヘッドケースカバー9、駆動子防水ゴム29、ゴム押さえ板14により一つの防水構造の箱体内にモータ6を内装した駆動ブロックを構成してある。
【0051】
モータ6の下側から延びているリード線17はモータ6を駆動させるためにその先端部がグリップ部5内の駆動回路18に結合されるものであり、配線チューブ60内に挿通し、配線チューブ60をヘッドケース8の底部に設けた孔19(図6参照)を通って下側に露出した状態でヘッドケース8に固定することでヘッドケース8の外に導出してある。
【0052】
ヘッドケース8の長手方向の両端面部(左右方向の両端面部)には着脱釦ばね20と着脱釦21が取付けてあり、着脱釦ばね20により着脱釦21が外側に付勢された状態となっている。
【0053】
ヘッドケースカバー9の上面中央の孔からモータ6の駆動子22が突出しており、この駆動子22にはスリット駆動杆23、トリマー駆動杆24が設けてあると共に、内刃押上ばね25がばねストッパ26で固定してあり、内刃2が内刃押上ばね25により上方に付勢された状態で駆動子22に結合している。
【0054】
ヘッドケース8の下端部には前面から見て左右2箇所に前後方向に長い溝28が設けてある。この左右一対の溝28は後述のようにヘッド部4に対して一対の連結部材36の一端部をそれぞれ回動自在に連結するための刃ヘッド側連結部Bの構成要素となる。
【0055】
刃ブロック7はすでに述べたように前から後にかけて順にネット状の外刃1を備えたネット刃カセット10、スリット外刃11を備えたスリット刃カセット12、ネット刃カセット10を配設し、これら各カセットを保持部材13に装着することで構成してあり、これら各カセットはいずれも独立して上下移動可能に保持部材13により保持してあり、この保持部材13をヘッドケース8に取付けてある。
【0056】
ネット刃カセット10は図9に示すように、ネット状の外刃1を固定した外刃枠70をカバー部材71に取付けることで構成してあり、カバー部材71は平面視(上から下方を見た場合)略コ字状をしていて、上方、下方及び前後方向の一方側が開口しており、左右両側部の上部の左右に対向する内面部には係止溝73が形成してあって、外刃枠70の左右両端部に設けた係止部70aをカバー部材71の上記係止溝73に係止することで図10に示すようにネット状の外刃1を固定した外刃枠70をカバー部材71に取付けてあり、この取付け状態でネット状の外刃1がカバー部材71の上開口に位置している。また、カバー部材71の左右両端部の上部には下方及び前後方向の一方側に開口した凹所72が形成してあり、この左右両側の凹所72には凹所72を左右方向に横切るように連結片74が架設してあり、連結片74に上下方向に縦溝74aが設けてある。また、凹所72の左右方向の対向面には突部72aが突設してある。外刃枠70には後述のスリット刃カセット12側を向いた側面からスリット刃カセット12側に向けて係合突起75が突設してあり、更に、一方の外刃枠70の上記係合突起75を突設した側面からスリット刃カセット12側に向けてばね受け突部75aが突設してある。
【0057】
スリット刃カセット12は図9、図11に示すように、スリット外刃11の左右両端部に支持部76を固定したスリット外刃体77と、スリット内刃78に継手部材79を固定したスリット内刃体80とを組み合わせて構成してあり、スリット内刃体80はスリット外刃体77に対して長手方向に移動自在に組み込んであり、更に、継手部材79と支持部76との間に介在されたばね81によりスリット内刃78がスリット外刃11に弾接しており、これによりスリット内刃78がスリット外刃11に対して弾接した状態で左右方向に摺動するように構成してある。支持部76の左右方向の外側の上端から斜め下方に向けてカバー片82が設けてあり、支持部76にはカバー片82の左右方向の内側にカバー片82と対向するように下方に向けて係止片83が突設してあり、係止片83とカバー片82を縦リブ84により一体に連設してある。係止片83の下端部には引掛け爪部83aが設けてある。また、支持部76の上記係止片83よりも左右方向の内側には下方に開口するばね受け孔93が設けてあり、更に、支持部76のばね受け孔93よりも内側の前後面には突起受け用段部91が設けてある。また、継手部材79にはスリット駆動杆23が上下移動自在に嵌め込まれる駆動杆嵌め込み凹部85が設けてある。
【0058】
保持部材13は図9、図10に示すように、矩形枠形状をしており、左右方向の両端部の前部及び後部にそれぞれ上方及び左右方向に開口した上下に長い外刃取付け用縦溝86が形成してあり、更にこの両外刃取付け用縦溝86の間に上方及び左右方向に開口した上下に長いスリット刃取付け用縦溝87が形成してある。前後部の各外刃取付け用縦溝86には上端部の前後に対向する内面に外刃抜止用爪部88が形成してあり、また、保持部材13の左右方向の両端部の外刃抜止用爪部88の両側の内面部にスリット刃抜止用爪部89が形成してある。更に、保持部材13の左右方向の両端部には取付け用係止孔90が設けてある。
【0059】
ネット刃カセット10を保持部材13に組付けるには、カバー部材71の連結片74を保持部材13の外刃取付け用縦溝86に挿入するように、カバー部材71の左右の凹所72に保持部材13の左右の壁部をそれぞれ上下方向にスライド自在に挿入する。この時、外刃取付け用縦溝86に挿入された連結片74はその縦溝74aに外刃抜止用爪部88が挿入され、カバー部材71が保持部材13に対して上下方向にスライドする際、外刃抜止用爪部88が縦溝74aの端部に到るとそれ以上スライドできず抜け止めがなされる。また、カバー部材71の凹所72の左右方向の対向面に設けた突部72aが保持部材13の左右方向の端部の側壁を内外から挟み込むように沿わせて配置される。
【0060】
また、スリット刃カセット12を保持部材13に組付けるには、支持部76の縦リブ84を保持部材13のスリット刃取付け用縦溝87に保持部材13の左右の壁部をそれぞれ上下方向にスライド自在に挿入する。この時、支持部76の係止片83の引掛け爪部83aが保持部材13のスリット刃抜止用爪部89に下方から係合可能となっていて、スリット刃カセット12が保持部材13に対して一定長さスライドするとそれ以上のスライドを防止して抜け止めがなされる。
【0061】
また、上記のように保持部材13に取付けた一対のネット刃カセット10と、スリット刃カセット12とは、一方のネット刃カセット10(図においては前のネット刃カセット10)のばね受け突部75aとスリット刃カセット12のばね受け孔93との間に両刃連結用押上ばね92が介装されると共に、一対のネット刃カセット10の各係合突起75がスリット刃カセット12の突起受け用段部91に上方から弾接係止可能となっている。つまり、スリット刃カセット12は、両刃連結用押上ばね92の付勢によりネット刃カセット10に対して上方に弾性的に押上げられており、係合突起75が突起受け用段部91に弾接してそれ以上ネット刃カセット10に対してスリット刃カセット12が上方に移動しないようになっているが、この連結用押上ばね92により上方に押し上げられている状態で、スリット刃カセット12に上方からの押圧力が作用するとスリット刃カセット12が両刃連結用押上ばね92のばね力に抗してネット刃カセット10に対して下方にスライドすることができるものである。このようにスリット刃カセット12は連結用押上ばね92のばね力を受けつつネット刃カセット10に対して上下方向にスライド可能にフロート支持してある。
【0062】
上記の構成の刃ブロック7は図5に示すように保持部材13の取付け用係止孔90を着脱釦21に設けた取付け爪21aに着脱自在に係止することで、ヘッドケース8の上端部に取付けたヘッドケースカバー9に保持部材13が取付けられ、これにより刃ブロック7がヘッドケース8側に取付けられ、ヘッド部4が組み立て構成される。
【0063】
上記のようにヘッド部4を組み立て構成した状態で、前後のネット刃カセット10のネット状の外刃1にそれぞれ内刃押上ばね25により内刃2が弾性的に押し当てられてネット刃カセット10が上方に押上げられ、外刃抜止用爪部88が縦溝74aの端部に当たっており、また、スリット刃カセット12が前後方向において前に位置するネット刃カセット10のばね受け突部75aに下端を支持された両刃連結用押上ばね92により上方に弾性的に押上られ、スリット刃カセット12の引掛け爪部83aが保持部材13のスリット刃抜止用爪部89に下方から係合している。この状態における、ばね受け突部75aを有しない方のネット刃カセット10(実施形態では後のネット刃カセット10)の保持部材13に対する上方への押上力(ばねによる弾性押上力)をQとし、ばね受け突部75aを有する方のネット刃カセット10(実施形態では前のネット刃カセット10)の保持部材13に対する上方への押上力(ばねによる弾性押上力)をQとし、スリット刃カセット12の保持部材13に対する上方への押上力(ばねによる弾性押上力)をQとし(上記Q、Q、Qは図6に示している)、更に、Q>Qとし、また、前後の内刃2に装着される各内刃押上ばね25のばね力が等しいとすると、ばね受け突部75aを有しない方のネット刃カセット10は、内刃押上ばね25によってのみ保持部材13に対して上方に弾性的に押上られているので、上記押上力Qは内刃押上ばね25による上方への押上力となる。また、スリット刃カセット12の保持部材13に対する上方への押上力は両刃連結用押上ばね92による上方への押上力となっている。一方、ばね受け突部75aを有する方のネット刃カセット10は、内刃押上ばね25によって保持部材13に対して上方に弾性的に押上げる力が作用していると共にばね受け突部75aに両刃連結用押上ばね92によって下方に押し下げ力が作用しており、このため、Q=Q−Qとなる。したがって、本発明においては、Q>Qとなっている。つまり、前後のネット刃カセット10のうち、外力が作用しない初期状態(肌に押し付けていない初期状態)において、一方(実施形態では後)のネット刃カセット10が他方(実施形態では前)のネット刃カセット10よりも上方への押上げ力が大きくなるように設定してある。また、実施形態ではQとQとは略等しく設定してあるが、Q>Qであってもよい。
【0064】
上記のような構成において、前後の各ネット刃カセット10、スリット刃カセット12はそれぞれ独立して上下移動するものであり、したがって、前後の各ネット刃カセット10及び前後方向の中間に位置するスリット刃カセット12はそれぞれ独立してフロート自在となっている。
【0065】
ネット状の外刃1は図1、図2、図3、図5、図9、図10等に示すように、その長手方向(つまり左右方向)において湾曲して緩やかな凸曲面3を形成していると共に、図1、図2、図4、図6、図9、図10等に示すように、短手方向(つまり前後方向)においても凸曲面状に湾曲している。上記ネット状の外刃1の長手方向において湾曲した凸曲面3の曲率半径は150mm〜350mmとなっている。
【0066】
図14にはネット状の外刃1の長手方向において湾曲した凸曲面3の曲率半径がそれぞれ異なる場合、ネット状の外刃1が長手方向においてストレートの場合における顎の下におけるネット状の外刃1の接触荷重分布を示すグラフが示してある。上記グラフは実験により求めたものであるが、R350の場合に、(ネット状の外刃1の長手方向の両端部での接触圧)/(ネット状の外刃1の長手方向の中央部での接触圧)=1となり、曲率半径が350mmよりも長くなると、(ネット状の外刃1の長手方向の両端部での接触圧)/(ネット状の外刃1の長手方向の中央部での接触圧)が1よりも小さくなる。つまり、曲率半径が350mmよりも大きくなると長手方向の中央部での接触圧が小さくなって顎の下の窪みに剃り残しが生じてしまう。このためネット状の外刃1の長手方向において湾曲した凸曲面3の曲率半径は350mm以下とするのである。このように凸曲面3の曲率半径を350mm以下とすることで顎の下の窪みに対してネット状の外刃1の長手方向の中央部での接触圧が得られ、肌伸ばし効果により髭が絞り出され、短く剃り上げることが可能となる。
【0067】
また、図15にはネット状の外刃1の長手方向において湾曲した凸曲面3の曲率半径がそれぞれ異なる場合、ネット状の外刃1が長手方向においてストレートの場合における鼻下、顎でのネット状の外刃1と肌の接触巾を示すグラフが示してある。このグラフから明らかなように、鼻下、顎ではネット状の外刃1の長手方向において湾曲した凸曲面3の曲率半径Rが小さくなると、肌との接触巾が小さくなり、剃り効率が大きく低下することが判る。そこで、実使用において大きく剃り効率を落とさない領域を50名のモニターによる官能評価で求めたところ、実使用において大きく剃り効率を落とさない領域はストレートの約80%の領域であることが判明した。つまり、図15から曲率半径が150mm以上であると実使用における剃り効率が大きく落とさないことが判明する。
【0068】
上記の理由によりネット状の外刃1の長手方向において湾曲した凸曲面3の曲率半径を150mm〜350mmとすることで、顎の下に良好にフィットし、適切な接触圧を得られて剃り残しなく髭を効果的に切断でき、また、鼻の下や顎で肌とネット状の外刃1との接触面積を確保し、これにより広い範囲を剃り残しなく効率的に髭剃りができる最適の曲率半径に設定することができたのである。
【0069】
また、ネット状の外刃1が短手方向においても短手方向中央部が凸となるように湾曲しており、この短手方向の湾曲の曲率半径は1.5mm〜3.5mmに設定してあり、肌との接触圧、接触面積から最適の曲率半径にしてある。
【0070】
また、本発明においては、短辺方向(前後方向)において並設した前のネット状の外刃1と後のネット状の外刃1間の間隔をネット状の外刃1の短手方向の曲率半径の0.5倍〜2倍の寸法に設定してあって、前後のネット状の外刃1を肌に押し当てた状態で、短手方向に移動しながら髭剃りをする際、寝ている毛を起こすと共に、髭を絞り出して短く剃り上げることができるようになっている。ここで、上記寸法の隙間を介して短手方向に並ぶ前後のネット状の外刃1の間にスリット外刃11を配置することで、長い髭をスリット外刃11により捉えやすくなり、また、スリット外刃11と肌との接触圧があまり大きくならないため、ネット状の外刃1と肌との接触圧を大きく損なうことがなく、髭を絞り出し、深剃りが可能となるものである。また、前後のネット状の外刃1の長手方向の中央部の高さ位置よりも、スリット外刃11の長手方向の中央部の高さ位置が下となるように位置させると、スリット外刃11と肌との接触圧がよりいっそう大きくならず、ネット状の外刃1と肌との接触圧を損なうことがなく、髭の絞り出し効果がよりいっそう発揮できて、深剃りが可能となるものである。
【0071】
長手方向に湾曲した凸曲面3となったネット状の外刃1に設けた刃孔は、長手方向の中央部の刃孔の大きさが長手方向の端部の刃孔よりも小さくなっている。すなわち、ネット状の外刃1の長手方向の湾曲により肌とネット状の外刃1との接触圧分布は長手方向の中央部でより高くなるが、この接触圧が高い長手方向の中央部の刃孔の大きさを長手方向の端部の刃孔よりも小さくすることで、ネット状の外刃1の長手方向の各部位で最適の髭剃り性能を得ることができるものである。
【0072】
また、ネット状の外刃1の長手方向の中央部における厚みを長手方向の端部の厚みよりも大きくしてもよいものであり、このように接触圧が高い長手方向の中央部における厚みを長手方向の端部の厚みよりも大きくすることで、ネット状の外刃1の長手方向の各部位で最適の髭剃り性能を得ることができるものである。
【0073】
また、本発明においては、ネット刃カセット10におけるネット状の外刃1の長手方向の両端部と隣接するフレーム端面部10aに、ネット状の外刃1と連続する滑らかな凸の曲面となったコーナーを構成する滑り面27が設けてある。この滑り面27のネット状の外刃1の短手方向の巾寸法は2mm〜5mmに設定してあり、上記肌滑り面27のコーナーの曲率半径が2mm〜10mmに設定してあって、肌滑り面27と肌との接触面を広くすると共に、肌滑り面27が大きな滑らかなコーナー形状となってエッジ当たりが無くなり、ネット刃カセット10による押し付け荷重を和らげ、これらの理由により肌滑り面27により肌へのネット刃カセット10の滑りを良くし、髭剃りに当たって、刃ブロック7を肌に押し当てた状態で、ネット状の外刃1の短手方向(前後方向)に移動できるだけでなく、長手方向に移動したり、回転移動したりするのがスムーズに行えるようになっている。
【0074】
上記肌滑り面27にはシボ加工が施してあり、肌との接触部位である肌滑り面27がシボ加工による微小な凹凸状となり、肌滑り面27と肌との接触面積を減少させることにより、肌滑り面27と肌との動摩擦が低くなり、刃ブロック7の滑り性能を高めている。
【0075】
また、スリット外刃11も図1、図2、図9、図11等に示すようにその長手方向(左右方向)において湾曲して緩やかな凸曲面11aを形成しており、このスリット外刃11の凸曲面11aの曲率半径がネット状の外刃1の長手方向の凸曲面3の曲率半径よりも大きくなっており、これによりスリット外刃11と肌との接触圧が大きくならず、前後に位置するネット状の外刃1と肌との接触圧を損なうことがなく、髭を絞り出し、深剃りが可能となっている。
【0076】
ところで、本発明におけるネット状の外刃1の内面に摺接する内刃2は1枚の板金99をプレスにより図16(d)のように形抜きし、次に、この形抜きした1枚の板金99を図16(a)(b)のように長手方向及び短手方向のいずれにも湾曲するするように曲げ加工して、長手方向及び短手方向において湾曲したネット状の外刃1の内面に摺接する内刃1を形成してある。このように1枚の板金を曲げ加工することで、長手方向及び短手方向にそれぞれ湾曲した内刃2を形成できるので、比較的安価に長手方向及び短手方向において湾曲した内刃1を構成することができる。
【0077】
上記1枚の板金99を加工して形成した内刃2の刃部98の先端は図16(c)のように鋭角に形成してあって、切断抵抗を低減して切れ味の向上を図っている。上記1枚の板金99により形成した内刃2は長手方向の中央部の剛性を長手方向の端部の剛性よりも大きくしてある。つまり、長手方向の湾曲により長手方向の中央部で接触圧が高くなるが、内刃2の長手方向の中央部の剛性が長手方向の端部の剛性よりも大きいので、接触圧の高い長手方向の中央部において変形しにくく、切れ味を長持ちさせることができるのである。図16に示す実施形態では、内刃2の刃部98と刃部98との間の隙間の内刃2の短辺方向における巾が内刃2の長手方向の中央部を両端部よりも短く形成することで、長手方向の中央部の剛性を両端部よりも高くしてある。
【0078】
上記例ではネット状の外刃1の内面に摺接する内刃2を1枚の板金99を曲げ加工して形成した例を示したが、スリット外刃11の内面に摺接するスリット内刃78も上記と同様にして1枚の板金99を曲げ加工することで形成してもよいものである。
【0079】
次に、グリップ部5について詳述する。グリップ部5の外殻を構成する本体グリップケース30は図8に示すように、前本体グリップケース30aと、後本体グリップケース30bとに分割してあり、前後本体グリップケース30a、30bをハウジング用Oリング30cを介して結合した状態で本体グリップケース30の下部が密封された箱体となっており、この本体グリップケース30の下部の箱体となった部分の内部に電池31、駆動回路18、スイッチ釦32と、これらを保持する基台33を内装して固定してある。前後の本体グリップケース30a、30bはこれらの内装部品を組込んだ後に後面側からねじ34により固定される。
【0080】
また、本体グリップケース30の後部側から背面パネル61が被嵌され、更に、下端部に下カバー62が被嵌される。
【0081】
本体グリップケース30の下部の箱体形状に密封された部分の上面部より上側、つまり本体グリップケース30の上部は上方が開口した凹所となっており、この凹所にはヘッド部4を支持するためのヘッド支持ブロック35が配置されるようになっている。
【0082】
ヘッド支持ブロック35は、図7、図8に示すように、ヘッド部4とグリップ部5を連結するための左右一対の連結部材36と、左右一対の各連結部材36の一端部を連結する支持台37と、支持台37に固定され本体グリップケース30a、30bに対して上下移動自在に取付けられるガイド部材38とで構成してある。
【0083】
連結部材36は前後2つのアーム部39と、前後2つのアーム部39の一端部(下端部)を一体に連結する軸40と、前後2つのアーム部39の他端部(上端部)にそれぞれ設けた前後方向を向く軸41とで構成してある。
【0084】
ガイド部材38は後述のようにして本体グリップケース30に上下方向にスライド自在に取付けられるのであるが、このガイド部材38の上部に支持台37がねじ42により取付けられる。
【0085】
支持台37は底板37aの左右両端からそれぞれ上記ガイド部材38に固定するための垂下片37cを垂設し、更に底板37aの前後両端からそれぞれヘッド部4の前後両側にオーバラップする起立片37bを突設しており、前後の起立片37bの上端部の左右2箇所に孔43を設けてある。この孔43には連結部材36の上端部に設けた軸41が回動自在に嵌め込んであり、連結部材36の上端部に設けた軸41と孔43との嵌め込みにより連結部材36の一端部をグリップ部5側に回動自在に連結する本体側連結部Aが構成される。このようにして左右一対で2個の連結部材36の一端部(上端部)が上記のように軸41と孔43とよりなる本体側連結部Aにより回動自在に連結される。
【0086】
また、該一対の連結部材36の下端部の軸40がそれぞれ、図5に示すようにヘッドケース8の下端部に設けた溝28に回動自在に嵌め込まれ、該溝28に外れ防止の蓋97を被せ、前述のモータ6を固定するためのねじ16により取付けることでヘッド部4側に回動自在に連結される。したがって溝28、蓋97、軸40により連結部材36の一端部をヘッド部4側に回動自在に連結するための刃ヘッド側連結部Bが構成される。
【0087】
このようにして、グリップ部5の一端部(上端部)側に一対の連結部材36を介してヘッド部4が取付けられるのであるが、この場合、本体側連結部Aが刃ヘッド側連結部Bよりもヘッド部4のネット状の外刃1側(刃面側)に近づくように配置してあり(つまり、刃面を構成するネット状の外刃1がヘッド部4の上面に存在するので、本体側連結部Aが上位置、刃ヘッド側連結部Bを下位置となるように配置してあり)、ヘッド部4は上記一対の連結部材36を介してグリップ部5に対して左右方向に揺動自在に吊下げた構造となっていて、これによりヘッド部4はグリップ部5に対して左右に回動(スイング)自在に取付けてある。
【0088】
ここで、一対の連結部材36をヘッド部4に連結する部分である刃ヘッド側連結部B間の距離が本体側連結部A間の距離よりも長くなっており、一対の連結部材36は正面視で八字状をしている。これにより、一対の連結部材36のアーム部39の延長線上の交点を瞬間仮想支点Oとしてヘッド部4を連結部材36を介してグリップ部5に対して揺動し得るようになっている。なお、一対の連結部材36の刃ヘッド側連結部B間の距離を本体側連結部A間の距離の1.5倍以上とすることが好ましい。一対の連結部材36の刃ヘッド側連結部B間の距離を本体側連結部A間の距離の1.5倍に満たないと、揺動角度が小さ過ぎて肌への追従性に問題があるが、1.5倍以上とすることで、一対の連結部材36により肌への追従性良く且つ安定してヘッド部4を揺動自在に吊り下げ支持できるものである。また、一対の連結部材36のなす角度が30°〜120°の範囲にあることが好ましいものである。
【0089】
左右一対の連結部材36における前後のアーム部39はそれぞれヘッド部4の前後面でリンクを構成するが、衝撃防止や、髭などのごみのかみ込みを防ぐため、外側をカバーすることが好ましい。
【0090】
本実施形態ではヘッドケース8の前後部分に下面が開口44aとなった凹部44を設け、この凹部44内に連結部材36の左右のアーム部39、軸41、起立片37bを開口44aから組込むことで前後の面を保護し、また、蓋97で軸40を保護している。
【0091】
上端部に支持台37を取付けたガイド部材38は支持台37の底板37aに形成した孔37dと対応する孔47が設けてあり、この連通する孔37d、孔47をリード線17が通るようになっている。
【0092】
ガイド部材38には孔47を横切るように桟48が設けてあり、ヘッドケース8の下端と桟48をつなぐように引張りばねよりなるばね49が装着してある。
【0093】
前の本体グリップケース30aの上部の後面と、後の本体グリップケース30bの上部の前面には図8に示すように、それぞれ上下方向にガイド溝50が凹設してあり、ヘッド支持ブロック35は前後の本体グリップケース30a、30bの間に挟まれるように配置されており、ガイド部材38の前後面に設けたガイド部38aを上記したガイド溝50に上下方向にスライド自在に嵌め込むことでヘッド支持ブロック35が本体グリップケース30の上部の凹所内に上下にスライド自在に取付けられるものである。ここで、ヘッド支持ブロック35が本体グリップケース30の上部の凹所内を上記のように上下にスライドする際、スムーズにスライドできるようにヘッド支持ブロック35の外面側乃至本体グリップケース30の凹所の内面側のいずれか一方又は両方にローラ63を設けて上下にスライドする際にローラ63を転動させることでスライドをスムーズにしている。添付図面に示す実施形態では、前の本体グリップケース30aの凹所の内面側に前のローラ63を回転自在に取付けて該前のローラ63をヘッド支持ブロック35の前面に転動させ、ヘッド支持ブロック35の後面側に後のローラ63を回転自在に取付けて該後のローラ63を後の本体グリップケース30bの凹所の内面に転動させるようになっている。
【0094】
本体グリップケース30の上部に設けた凹部の底(すなわち下部の箱状部の上面部)とヘッド支持ブロック35のガイド部材38との間にはばね51が介在してあって、ばね51によりヘッド支持ブロック35に上方へのばね力を付与している。ここで、上下移動自在にグリップ部5に取付けられるヘッド支持ブロック35がグリップ部5から抜けないようにストッパ(図示せず)が設けてある。
【0095】
このように、ヘッド支持ブロック35がグリップ部5に上下方向に移動自在で且つばね51で上方に弾性付勢してあるので、ヘッド部4がグリップ部5に対して上下方向に移動自在にフロート支持されることになる。したがって、本実施形態においては、前述のようにヘッド部4の上部を構成するネット状の外刃1を備えた2つのネット刃カセット10、スリット外刃11を備えたスリット刃カセット12がそれぞれヘッド部4の下部を構成するヘッドケース8に取付ける保持部材13に対して独立してフロート自在であることに加え、ヘッド部4が更にグリップ部5に対しても上下方向に移動自在にフロート支持してある。
【0096】
上記のような構成の電気かみそりの使用に当たっては、グリップ部5を手で掴んで、ヘッド部4の上面のネット状の外刃1、スリット外刃11を肌に押し当てて髭剃りを行うものである。
【0097】
ここで、本発明においては、前述のように、ネット状の外刃1がその長手方向において湾曲して緩やかな凸曲面3を形成していると共に、ネット状の外刃1と内刃2を保持するヘッド部4がグリップ部5に対して前述のように一対の連結部材36を備えたヘッド支持ブロック35を介して図13(a)(b)のように左右に回動自在に構成してあるので、グリップ部5を手で掴んでネット状の外刃1を肌に押し当てると、肌へのネット状の外刃1の押し当て方向に応じて、長手方向に湾曲した凸曲面3となったネット状の外刃1を備えたヘッド部4がグリップ部5に対して回動して凸曲面3が肌に追従して肌になじむ方向に傾いて効果的に髭剃りができるものである。しかもこの場合、凸曲面3を肌に追従させて肌になじむ方向に傾けて肌にフィットさせた状態で、ネット状の外刃1が短手方向にも凸曲面となるように湾曲しているのでネット状の外刃1を前後方向(短手方向)にスムーズに移動させながら髭剃りができるのは勿論、長手方向が凸曲面3となったネット状の外刃1を備えたヘッド部4がグリップ部5に対して回動することで、ヘッド部4の一部が部分的に肌に強く食い込むことがなく、これにより長手方向に凸曲面3となったネット状の外刃1を肌にフィットさせた状態のまま、ネット状の外刃1の長手方向にスムーズに移動しながら髭剃りをしたり、あるいは、長手方向に凸曲面3となったネット状の外刃1を肌にフィットさせた状態のまま、ネット状の外刃1を肌に対して廻すようにして髭剃りを行うことが可能となって、ネット状の外刃1を肌に押し当てた状態であらゆる方向にネット状の外刃1をスムーズに移動しながら髭剃りができるものである。
【0098】
特に、ネット状の外刃1を長手方向に凸曲面3としてあるから、顎の下のくぼみに上記凸曲面3をフィットさせることができるものであり、このように、顎の下のくぼみにネット状の外刃1の凸曲面3をフィットさせた状態のまま、上記のようにネット状の外刃1を長手方向や短手方向に移動して髭剃りしたり、ネット状の外刃1の凸曲面3を顎の下のくぼみにフィットさせた状態のままネット状の外刃1を肌に対して廻すようにして移動して髭剃りしたりでき、顎の下の髭剃り効率が著しく向上することになる。
【0099】
また、本発明においては更に、長手方向において湾曲して緩やかな凸曲面3となった前後のネット状の外刃1の間に配置されたスリット外刃11もその長手方向において湾曲して緩やかな凸曲面11aを形成しているので、ヘッド部4をネット状の外刃1の長手方向に沿って移動させる際、スリット外刃11の凸曲面11aを肌に押し当てた状態でスリット外刃11が部分的に肌に強く食い込むことがなく、よりいっそうスムーズに長手方向に移動できると共によりいっそうスムーズに肌に対して廻すようにして髭剃りすることが可能となるものである。
【0100】
また、本発明においては、ヘッド部4がグリップ部5に対して前述のように一対の連結部材36を備えたヘッド支持ブロック35を介して図12(a)(b)のように上下動自在にフロート支持してある(図12(a)はヘッド部4に上方からの押し下げ力が作用していない初期状態であり、図12(b)はヘッド部4に上方から押し下げ力が作用して下方に押し下げられた状態を示している)ので、ヘッド部4に設けたネット状の外刃1やスリット外刃11の肌への追従性が良くなり、肌への衝撃を緩和して肌当たりが滑らかな剃り心地が得られるものであり、実施形態では更にネット状の外刃1を備えた2つのネット刃カセット10、スリット外刃11を備えたスリット刃カセット12がそれぞれヘッド部4の下部を構成するヘッドケース8に対して独立してフロート自在であるので、各ネット状の外刃1やスリット外刃11は更に独立して肌に追従することになって肌への追従性がよりいっそう良くなるものである。
【0101】
また、前述のように、ネット刃カセット10におけるネット状の外刃1の長手方向の両端部と隣接するフレーム端面部10aに、ネット状の外刃1と連続する滑らかなコーナーを構成する肌滑り面27が設けてあるので、肌滑り面27により肌へのネット刃カセット10の滑りを良くし、髭剃りに当たって、刃ブロック7を肌に押し当てた状態で、ネット状の外刃1の短手方向(前後方向)に移動できるだけでなく、長手方向に移動したり、回転移動したりするのがよりいっそうスムーズに行えるものであり、この場合、肌滑り面27にはシボ加工が施してあるので、肌滑り面27と肌との接触面積を減少させ、肌滑り面27と肌との動摩擦が低くなり、刃ブロック7の滑り性能が高くなり、よりいっそう髭剃り時におけるネット状の外刃1の長手方向への移動や回転移動がスムーズに行える。
【0102】
また、グリップ部5を手で掴んでネット状の外刃1、スリット外刃11を肌に押し当てた状態で、刃ブロック7をネット状の外刃1の短手方向(前後方向)に移動する場合、グリップ部5を手で掴んで肌に押し当てた状態では、後のネット刃カセット10(ばね受け突部75aを有しない方のネット刃カセット10)の保持部材13に対する上方への押上力Qが、前のネット刃カセット10(ばね受け突部75aを有する方のネット刃カセット10)の保持部材13に対する上方への押上力Qや、スリット刃カセット12の保持部材13に対する上方への押上力Qよりも大きいので、つまり、Q>Q、Qであるので、肌への押上力が大きい後のネット刃カセット10のネット状の外刃1が先頭になって後方向に向けて移動するようにして髭剃りを行うと、肌に沿って後方向に移動する時の髭の絞り出し及び起毛とその切断効率を良くすることができる。
【0103】
ところで、本発明において長手方向に凸曲面3となったネット状の外刃1、長手方向に沿った凸曲面11aとなったスリット外刃11を備えたヘッド部4がグリップ部5に対して上下移動自在で且つ左右に揺動自在であることで上記のように長手方向に凸曲面3となったネット状の外刃1を肌に押し当ててフィットさせた状態でヘッド部4を前後方向に動かしずらい部位においてもヘッド部4を全方位にスムーズに動かしたり、回転動作をさせることが容易となるのであるが、本発明においては、一対の連結部材36を介してヘッド部4をグリップ部5に対して揺動自在に連結してあるので、一対の連結部材36によりリンク機構が構成され、図12、図13に示すように、一対の連結部材36を八字状に配置することにより、連結部材36の両端部の回動部分となる刃ヘッド側連結部Bと本体側連結部Aとを結ぶ線の延長線の交わる点である瞬間仮想支点Oをヘッド部4の刃面(つまりネット状の外刃1、スリット外刃11)に近い位置に設けることができ、これによりヘッド部4の刃面(つまりネット状の外刃1、スリット外刃11)に近い位置に位置する瞬間仮想支点Oを中心にヘッド部4が揺動することになり、低抵抗で揺動できるため、揺動がスムーズに行えると共に小さな押付け力で肌への刃面(ネット状の外刃1、スリット外刃11)の十分な密着力が得られ、軽い操作で良好な髭剃りができることになる。
【0104】
しかも、本体側連結部Aを刃ヘッド側連結部Bよりもヘッド部4の刃面(ネット状の外刃1、スリット外刃11)側に近づけて一対の連結部材36によりグリップ部5にヘッド部4を吊り下げて支持するように構成した吊り下げ支持方式のリンク構造としてあるので、図12(a)の状態において仮に刃面(ネット状の外刃1、スリット外刃11)の左側に左斜め方向から力F3が作用した場合、正面から見て両連結部材36がそれぞれ本体側連結部Aを回動中心として反時計周りに回動してヘッド部4が全体として反時計周りに回動するが、図13(a)のように、右側の連結部材36の本体側連結部Aと刃ヘッド側連結部Bとを結ぶ線が上記斜めから作用する力F3と平行になるまで回動すると、上記斜め方向から作用する力F3に対応したヘッド部4の傾斜角度で止まり、安定した状態でヘッド部4のネット状の外刃1の長手方向に沿った凸曲面3、スリット外刃11の長手方向に沿った凸曲面11aが肌面に押し当てられることになる。
【0105】
また、仮に図12(a)の状態においてネット状の外刃1の右側に右斜め方向から力F4が作用した場合、正面から見て両連結部材36が本体側連結部Aを回動中心として時計周り回動してヘッド部4が全体として時計周りに回動するが、連結部材36が水平となる(つまり、本体側連結部Aと刃ヘッド側連結部Bとを結ぶ線が水平となる)以前に、図13(b)のように、左側の連結部材36の本体側連結部Aと刃ヘッド側連結部Bとを結ぶ線が上記斜めから作用する力F4と平行になるまで回動すると、上記斜め方向から作用する力F4に対応したヘッド部4の傾斜角度で止まり、安定した状態でヘッド部4のネット状の外刃1の長手方向に沿った凸曲面3、スリット外刃11の長手方向に沿った凸曲面11aが肌面に押し当てられることになる。
【0106】
上記力F3や力F4で示される力Fはヘッド部4のネット状の外刃1、スリット外刃11の長手方向に沿った各凸曲面3、11aを肌に押し当てた時にネット状の外刃1、スリット外刃11の長手方向に沿った凸曲面3、11aに作用する肌からの反力であり、ヘッド部4が押し当てられる肌の状態や、ヘッド部4を肌に押し当てる状態が異なると、当然、肌からの作用する反力である力Fの方向、傾斜角度が異なるが、本発明においては、常に、斜めから作用する力の方向、傾斜角度に対応して連結部材36の本体側連結部Aと刃ヘッド側連結部Bとを結ぶ線が上記斜めから作用する力Fと平行になるまで回動した状態で安定して停止するものである。また、力Fの大きさはヘッド部4を肌に強く押付けたり、弱く押付けたりすることで異なるが、この力Fの大きさが異なっても、本発明においては、斜めから作用する力Fでヘッド部4が回動すると、力Fの方向、傾斜角度に対応して連結部材36の本体側連結部Aと刃ヘッド側連結部Bとを結ぶ線が上記斜めから作用する力Fと平行になるまでヘッド部4が回動した状態で安定して停止するものである。これにより肌に対してヘッド部4の当て方向、力に応じて、ネット状の外刃1、スリット外刃11の長手方向に沿った各凸曲面3、11aが最も好ましい状態で肌に押し当たるようにヘッド部4が揺動し、ヘッド部4の押し当て方向に適した好ましい状態となるように肌に対してネット状の外刃1の長手方向に沿った凸曲面3、スリット外刃11の長手方向に沿った凸曲面11aを位置させた状態で安定させることができるものであり、どのような剃り方をしても髭剃りが最も良好にできる姿勢にヘッド部4のネット状の外刃1の長手方向に沿った凸曲面3、スリット外刃11の長手方向に沿った凸曲面11aを肌にスムーズに追従させながら髭の剃り残しがないように良好な髭剃りができるものである。
【0107】
ここで、ヘッド部4をグリップ部5に対して上記のように連結部材36を介して吊り下げ支持する方式とし且つ前後の高い位置で前後両側から連結部材36によりヘッド部4を挟み込むように吊り下げることで、前後の斜め方向からの押付けにもこじれ難くなり、強い押付けや、弱い押付けに係わらず、ネット状の外刃1の長手方向に沿った凸曲面3、スリット外刃11の長手方向に沿った凸曲面11aを押付け方向に向けることができる。
【0108】
この場合、本実施形態のように、一対の連結部材36をグリップ部5側にそれぞれ連結するための本体側連結部A及び刃ヘッド側連結部Bにおける連結方式をいずれも軸回転式とすることで、少ない力でヘッド部4を揺動回動できるものであり、これによりどのような剃り方をしてもネット状の外刃1の長手方向に沿った凸曲面3、スリット外刃11の長手方向に沿った凸曲面11aを肌によりいっそうスムーズに追従させることができるものである。
【0109】
また、連結部材36の前後2つのアーム部39の一端部(下端部)を軸40で一体化してあるのでがたの発生する連結箇所を減らせると同時に前後に長い軸40をヘッドケース8の下端部に設けた前後方向に長い溝28に回動自在に嵌め込む構造にできて、軸40と溝28との係り代が長くなり、ねじりに対してこじれにくいリンク機構にできるものである。
【0110】
また、引張りばねよりなるばね49でヘッド部4とヘッド支持ブロック35を常に引き合う状態としておくことで、ヘッド部4への外力がない状態において、常にヘッド部4の傾きを中立に保つことが可能となり、肌に対しての当たり角が安定するものであり、ばね51として引張りばねを用いたことによりばね力が左右方向の回動力に及ぼす力を小さくすることができ、肌への追従性を向上させることができる。
【0111】
本発明の電気かみそりにはトリマーブロック52が設けてあるが、このトリマーブロック52は後本体グリップケース30bの後側に上下移動自在に取付けられ、トリマーブロック52を上方向にスライドすることにより、ヘッド部4のトリマー駆動杆24とトリマーブロック52のトリマー駆動子が結合し、トリマー刃53が駆動されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の電気かみそりの斜視図である。
【図2】同上の刃ブロック、内刃を外した状態の斜視図である。
【図3】同上の正面図である。
【図4】同上の側面図である。
【図5】同上の正面断面図である。
【図6】同上の側面断面図である。
【図7】同上のヘッド部、ヘッド支持ブロックの分解斜視図である。
【図8】同上のグリップ部、ヘッド支持ブロックの分解斜視図である。
【図9】同上の刃ブロックの分解斜視図である。
【図10】同上のヘッド部の一部省略分解斜視図である。
【図11】同上のスリット刃カセットの分解斜視図である。
【図12】(a)は同上のグリップ部に対してヘッド部に外力が作用していない状態を示す作用説明図であり、(b)は同上のヘッド部に上方からの押し下げ力が作用することで下方に移動した状態を示す作用説明図である。
【図13】(a)(b)は同上のグリップ部に対してヘッド部が左右方向にスイングしている状態を示す作用説明図である。
【図14】顎の下におけるネット状の外刃の接触荷重分布を示すグラフである。
【図15】鼻下、顎でのネット状の外刃と肌の接触巾を示すグラフである。
【図16】(a)は同上に用いる内刃の斜視図であり、(b)は正面図であり、(c)は内刃の刃部の断面図であり、(d)は内刃の曲げ加工する前の平面図である。
【符号の説明】
【0113】
1 ネット状の外刃
2 内刃
3 凸曲面
4 ヘッド部
5 グリップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネット状の外刃と、ネット状の外刃の内面に摺接する内刃とを備え、上記ネット状の外刃はその長手方向において湾曲した凸曲面を形成し、長手方向の湾曲はその曲率半径が150mm〜350mmであることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
ネット状の外刃が短手方向においても短手方向中央部が凸となるように湾曲し、この短手方向の湾曲の曲率半径が1.5mm〜3.5mmであることを特徴とする請求項1記載の電気かみそり。
【請求項3】
複数のネット状の外刃を該ネット状の外刃の短手方向に並設して成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気かみそり。
【請求項4】
グリップ部の長手方向の一端部にヘッド部を突出して設け、ヘッド部の突出先端面に複数のネット状の外刃を該ネット状の外刃の短手方向に並設し、ネット状の外刃の長手方向と同方向から見てグリップ部とヘッド部とのなす角度が鈍角となるように設定して成ることを特徴とする請求項3記載の電気かみそり。
【請求項5】
複数のネット状の外刃をフロート自在として成ることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電気かみそり。
【請求項6】
複数のネット状の外刃にそれぞればねにより弾性押上力を付与して各ネット状の外刃をフロート自在とし、複数のネット状の外刃に付与された弾性押上力を異ならせて成ることを特徴とする請求項5記載の電気かみそり。
【請求項7】
ネット状の外刃間の間隔を該ネット状の外刃の短手方向の曲率半径の0.5倍〜2倍の寸法としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項8】
ネット状の外刃とネット状の外刃との間にスリット外刃を配置して成ることを特徴とする請求項7記載の電気かみそり。
【請求項9】
ネット状の外刃とネット状の外刃との間にスリット外刃を配置し、両側のネット状の外刃とスリット外刃とをそれぞればねにより弾性押上力を付与して各ネット状の外刃及びスリット外刃をフロート自在とし、両側のネット状の外刃のうち一方の弾性押上力を、他方のネット状の外刃及びスリット外刃にそれぞれ付与された弾性押上力より大きくして成ることを特徴とする請求項8記載の電気かみそり。
【請求項10】
両側のネット状の外刃の長手方向の中央部の高さ位置よりも、スリット外刃の長手方向の中央部の高さ位置が下となっていることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の電気かみそり。
【請求項11】
スリット外刃が長手方向において湾曲して凸曲面を形成し、該スリット外刃の凸曲面の曲率半径がネット刃の長手方向の凸曲面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項12】
ネット状の外刃の長手方向を左右方向と定義し、ネット状の外刃と内刃を保持するヘッド部がグリップ部に対して左右に回転自在に構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項13】
ネット状の外刃の長手方向の中央部の刃孔の大きさを長手方向の端部の刃孔よりも小さくして成ることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項14】
ネット状の外刃の長手方向の中央部における厚みを長手方向の端部の厚みよりも大きくして成ることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項15】
ネット状の外刃の内面に摺接する内刃が1枚の板金を曲げ加工して形成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項16】
ネット状の外刃の内面に摺接する内刃の刃部の先端を鋭角にして成ることを特徴とする請求項15記載の電気かみそり。
【請求項17】
ネット状の外刃の内面に摺接する内刃の長手方向の中央部の剛性を長手方向の端部の剛性よりも大きくして成ることを特徴とする請求項15又は請求項16記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−42896(P2006−42896A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224476(P2004−224476)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】