説明

電気アクセサリを備えたミラー調整ユニット

自動車のバックミラー用のミラー調整ユニットであって、ミラー調整機構と、少なくとも一つの電気アクセサリを備えた、それに対して接続可能なミラーサポートとを具備してなり、ミラー調整機構は、ミラーサポートの電気アクセサリを、プラグ接続部によって、導電性要素と電気的に接続するための多数のプロング形導電性要素を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー調整機構、ならびに少なくとも一つの電気アクセサリを備えたそれに対して結合可能なミラーサポートを具備してなる、自動車のバックミラー用のミラー調整ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
そうしたミラー調整ユニットは公知であり、広く使用されている。たとえば、電気アクセサリとしては、ブリンカーあるいはミラーヒーターが挙げられる。さらに、電気アクセサリは、ミラー上に情報を表示するために設けることができ、あるいはミラーワイパーを備えることができる。
【0003】
公知のミラー調整ユニットに関する欠点は、ミラー調整機構に対して電気アクセサリを取り付けるのが複雑でありかつ/または誤りが生じ易いということである。さらに、そうしたミラー調整ユニットおよび/またはそのマウントは高価である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記欠点の少なくとも一つを解消することができるミラー調整ユニットを提供する。
【0005】
このために、本発明は、自動車のバックミラー用のミラー調整ユニットであって、ミラー調整機構と、少なくとも一つの電気アクセサリを備えたそれに対して接続可能なミラーサポートとを具備してなり、ミラー調整機構は、複数のプロング形導電性要素であって、ミラーサポートの電気アクセサリを、プラグ接続部によって、導電性要素と電気的に接続するための複数のプロング形導電性要素を備えるミラー調整ユニットを提供する。
【0006】
プラグ接続部を提供することによって、電気アクセサリは、ミラー調整機構の導電性要素と比較的簡単かつ確実に接続できる。プラグ接続部を利用することで、電気アクセサリとの接続は、僅かな部品を用いて実現でき、この結果、ミラー調整ユニットの組み立ては、比較的費用をかけずに実施できる。さらに、プラグ接続部を利用することによって、組み立て中の誤りの可能性が低減できる。
【0007】
プロング形要素を提供することによって、一方では、これらの要素はミラー調整機構の調整動作と共に動くのに十分なほどフレキシブルとすることができ、他方では、これらの要素は確実な電気的接続を実現するのに十分なほど硬くすることができる。プロング形要素は、たとえば、銅線あるいはスチール線などの比較的細いロッド形要素であってもよく、これは、たとえば、直立に起立するのに十分なほど硬質である。
【0008】
プラグ接続部は、たとえば、プラグを備えることができ、その中には、導電性要素の端部を収容できる。さらに、各導電性要素の端部は、それぞれ、電気アクセサリの対応する突出要素を受けるための別個のプラグを備えることができる。さらに、導電性要素の端部は、電気アクセサリ用のミラーサポートの突出要素を受けるのに適したプラグ要素として設計可能である。おそらく、ミラーサポートは、その中にプロング形導電性要素の端部を収容可能なプラグ要素を備えることができる。
【0009】
ミラーサポートは、一つ以上の電気アクセサリを備えることができる。したがってミラーサポートは、たとえば、ブリンカーあるいはその他のライトだけでなく、たとえばミラー加熱要素および/またはミラーワイパーおよび/または情報表示ユニットを備えることができる。情報表示ユニットは、たとえば、リアビューカメラからの、あるいは車載コンピューターからの情報、たとえばルート情報を、バックミラーに表示することができる。おそらくは、各電気アクセサリは、プロング形導電性要素と、プラグ接続部を用いて別個に接続されるであろう。さらに、ミラー調整機構とミラーサポートとの間の電気的接続のために、ただ一つのプラグ接続部が設けられてもよく、その後、おそらくは異なる電気アクセサリがプラグ接続部から電気的に接続できる。
【0010】
少なくとも部分的に非絶縁構造のプロング形導電性要素を形成することによって、アクセサリとの電気的接続部を比較的費用をかけずに製造できる。たとえば、プロング形導電性要素の端部において、一部分は絶縁されなくてもよく、この非絶縁部分は、プラグ要素内に収容される突出要素として機能し得る。おそらくは、プロング形導電性要素全体は非絶縁構造とされるであろう。
【0011】
プロング形導電性要素を電気的に切り離すことによって、当該要素はミラー調整機構のための既存の構造において容易に使用できる。この結果、ミラー調整機構のための既存の構造への適合を最小限に抑えることができ、コストを制限することが可能となる。おそらくは、プロング形導電性要素は、ミラー調整機構内で、互いに完全に別個に配置されるであろう。さらに、プロング形導電性要素は、たとえば、束ねることが、あるいはストリップとして設計することができる。そうした束あるいはストリップにおいて、導電性要素は互いに電気的に切り離すことができる。
【0012】
プロング形導電性要素が所定の曲げポイントを備える場合、それは、ミラー調整機構の調整動作と共に比較的容易に動くことができる。所定の曲げポイントは、プロング形要素の所定のポジションにおいてプロング形要素が方向を変えることを意味する。所定のポジションにおいて、いわば、プロング形要素におけるキンクが存在する。所定の曲げポイントによって、導電性要素は調整動作と共に動くことができ、この結果、当該要素は、ミラー調整機構の調整動作に確実に追従できる。さらに、所定の曲げポイントは、ミラー調整機構の調整の間、導電性要素がたとえば互いに接触する可能性を排除する。
【0013】
プラグ接続部をクリックおよび/または回転および/または並進移動接続部として設計することによって、ミラー調整機構への電気アクセサリの取り付けがさらに簡素化され、この結果、組み立てを比較的費用をかけずに実施できる。おそらくは、プラグ接続部は、たった1回のクリック動作あるいは1回の回転動作あるいは1回の並進移動動作が、プロング形導電性要素とミラーサポートの電気アクセサリを電気的に接続するのに十分であるように設計されるであろう。
【0014】
たとえば、プラグ接続部は、たとえば導電性要素上の、雄型プラグ部として設計可能であり、これは、たとえばミラーサポート上の、雌型プラグ部と協働することができる。たとえば、雄型プラグ部は、各導電性要素のピン形端部として形成可能であり、かつ、雌型プラグ部は、雄型プラグ部を受けるための受け開口として形成可能である。
【0015】
さらに、それを用いて電源との電気的接続をなし得るプラグ接続部を備えた導電性要素を提供することによって、組み立てをさらに簡素化できる。おそらくは、電源は、たとえば、バッテリーあるいはアキュムレーターの形態で、ミラー調整機構内に配置されるであろう。おそらくは、電源は、自動車の車載ネットワークによって提供可能であり、この場合、たとえば、車載ネットワークは、導電性要素を介して直に電気アクセサリに接続可能であり、あるいは、導電性要素は、中間接続部品を介して、車載ネットワークと接続可能である。ミラー調整機構の電気アクセサリのための電源は、たとえば、ミラー調整機構内の充電可能なバッテリーあるいはアキュムレーターと組み合わされた車載ネットワークによって提供することも可能である。
【0016】
さらなる有利な実施形態は従属請求項に提示されている。
【0017】
本発明について、図示する代表的実施形態を用いて、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に基づくミラー調整ユニットの概略斜視図である。
【図2】図1のミラー調整ユニットの断面の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図中、対応するコンポーネントは対応する参照数字によって示されている。図面は、非限定的で代表的な実施形態を示している。
【0020】
図1は、自動車のバックミラー用のミラー調整ユニットを示しており、当該ユニットは、ミラーサポート2とミラー調整機構9とを備える。ミラーサポート2は、電気アクセサリ3を備えていてもよく、これは、ここでは、プレート形要素3によって大まかに示されている。組み立て中、電気アクセサリ3は、好ましくは、電源と電気的に接続される。さらに、電気信号以外の信号、たとえば情報表示のためのデジタル信号を、プロング形導電性要素およびプラグ接続部を介して、電気アクセサリへと送信すること(あるいはその逆)が可能である。
【0021】
電源は、たとえば、ミラー調整機構9内に適切に配置可能である。たとえば、電源はバッテリーであってもよい。さらに、電源は、自動車の車載ネットワークによって提供されてもよい。
【0022】
電源との電気アクセサリ3の電気的接続部は、多数のプロング形導電性要素4によって形成可能である。プロング形導電性要素4は、その端部に、プラグ接続部5を備えてもよく、それを用いて、電気アクセサリ3との電気的接続部を形成することができる。
【0023】
この代表的実施形態では、プラグ接続部5は、導電性要素4の端部にプラグ要素6を備え、その中には、電気アクセサリ3の電源の突出要素7を収容できる。
【0024】
並進移動の間、並進移動によって、任意選択でミラーサポート2と共に電気アクセサリ3を搭載することによって、突出要素7をプラグ要素6内に収容でき、そして電気的接続をもたらすことができる。たとえば、ミラーサポート2および/または電気アクセサリ3の並進移動は、ミラーサポート2に沿った方向に行える。
【0025】
図2において、プロング形導電性要素4は互いに別個に構成され、かつ、それぞれ、所定の曲げポイント8を備えることは明らかである。所定の曲げポイント8において、プロング形導電性要素4は方向を変える。コンプライアントの所定の曲げポイント8によって、プロング形導電性要素4は、ミラー調整機構1の調整動作と共に、比較的容易に動くことができる。おそらくは、導電性要素4は非絶縁設計であり、この結果、製造コストを比較的低く抑えることができる。たとえば、プロング形導電性要素4は、銅線あるいはスチール線から製造できる。プロング形構造の導電性要素4を形成することによって、それは、ミラー調整機構の調整動作に追従するのに十分な柔軟性を持つことができる。
【0026】
図1および図2において、導電性要素4は、概ね、ミラー調整機構9の回転の中心を通過していることがさらに分かる。回転中心付近では、ミラー調整機構9の調整動作は相対的に制限されており、そして導電性要素4は、比較的簡単に調整動作に追従できる。プロング形導電性要素4への負荷は、したがって比較的制限されたままとすることができ、この結果、プロング形導電性要素4の耐用年数を十分な長さとすることができる。
【0027】
おそらくは、導電性要素4は、その他端において、たとえば自動車の車載ネットワークとの接続部を形成するために、第2のプラグ接続部(図示せず)を備えるであろう。任意選択で、このプラグ接続部は、さらに、クリック、回転、並進移動、スナップ、あるいはピン/ホール接続部として設計されてもよい。さらに、たとえば自動車の車載ネットワークとの電気的接続部を形成するために、プラグ接続部の代わりに、導電性要素の端部が、たとえば超音波溶着によって溶着されてもよい。
【0028】
本発明は、本明細書に提示した代表的実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲内で、さまざまな変更が可能であり、当業者にとっては自明である。
【符号の説明】
【0029】
1 ミラー調整機構
2 ミラーサポート
3 電気アクセサリ
4 プロング形導電性要素
5 プラグ接続部
6 プラグ要素
7 突出要素
8 曲げポイント
9 ミラー調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のバックミラー用のミラー調整ユニットであって、ミラー調整機構と、少なくとも一つの電気アクセサリを備えたそれに対して接続可能なミラーサポートと、を具備してなり、前記ミラー調整機構は、複数のプロング形導電性要素であって、前記ミラーサポートの前記電気アクセサリを、プラグ接続部によって、前記導電性要素と電気的に接続するための複数のプロング形導電性要素を備えることを特徴とするミラー調整ユニット。
【請求項2】
前記プロング形導電性要素は、少なくとも部分的に絶縁されていないことを特徴とする請求項1に記載のミラー調整ユニット。
【請求項3】
前記プロング形導電性要素は、互いに電気的に分離していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミラー調整ユニット。
【請求項4】
前記プロング形導電性要素は、所定の曲げポイントを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のミラー調整ユニット。
【請求項5】
前記プラグ接続部は、クリックおよび/または回転および/または並進移動接続部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のミラー調整ユニット。
【請求項6】
前記プロング形導電性要素は、さらに、電源との電気的接続部を形成するためのプラグ接続部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のミラー調整ユニット。
【請求項7】
前記ミラー調整機構は前記電源を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のミラー調整ユニット。
【請求項8】
前記電源は、自動車の車載ネットワークによって提供されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のミラー調整ユニット。
【請求項9】
ミラー調整機構であって、複数のプロング形導電性要素を具備してなり、前記プロング形導電性要素は、プラグ接続部によって、少なくとも一つの電気アクセサリを備えたミラーサポートと前記導電性要素を電気的に接続するためのプラグ要素を備えることを特徴とするミラー調整機構。
【請求項10】
ミラーサポートであって、少なくとも一つの電気アクセサリを備えると共に、プラグ接続部によって、ミラー調整機構のプロング形導電性要素と前記電気アクセサリを電気的に接続するための受け要素を備えることを特徴とするミラーサポート。
【請求項11】
複数のプロング形導電性要素を具備してなるミラー調整機構を、少なくとも一つの電気アクセサリを具備してなるミラーサポートと電気的に接続するための方法であって、前記プロング形導電性要素は、プラグ接続部によって前記電気アクセサリと接続されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−507433(P2012−507433A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534416(P2011−534416)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050656
【国際公開番号】WO2010/050813
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(510126416)エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー. (6)
【Fターム(参考)】