説明

電気エネルギー管理システム

【課題】盗電有無を正確に判断できる電気エネルギー管理システムを提供すること。
【達成手段】本発明は、同一の電力線路における複数の位置でのアドミッタンスやインピーダンスを調べ、それに基づいて盗電が発生したか否かを判断する。特に、各アドミッタンスやインピーダンスは、各電力量計が測定する電気量情報に基づいて算出される。同一の電力線路における上位地点と複数の下位地点で測定される電気量情報は、一定の対応関係にあるから、当該電気量情報に基づいて算出されるアドミッタンスやインピーダンスも一定の対応関係を有する。例えば、上位地点におけるアドミッタンスやインピーダンスは、下位地点におけるアドミッタンスやインピーダンスの等価値と一致しなければならない。したがって、電気量測定誤差などを勘案してその差が許容範囲内にあるか否かを確認することによって、盗電の有無を正確に判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギー管理システムに係り、特に、複数の電力量計が測定する電気量情報に基づき、盗電(電気を目的物とした窃盗)が発生したか否かを監視し、それを管理者に知らせることができるようにする。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーの管理において、盗電を監視し統制することは常に重要な課題とされてきており、そのための機能が、最近のスマートメーター(Smart Meter)においても要求されている。
盗電が発生すると、感電や火災などの安全事故が発生する危険性が高く、何より電力会社に直接的に経済的損失をもたらしてしまう。
そこで、盗電を正確で効率的に監視できる様々な方法の開発が必要であり、特に、盗電を監視する上で、電気エネルギーを正常に利用している使用者に不便をかけてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、各電力量計が測定する電気量に基づき、各地点におけるアドミッタンスやインピーダンスを算出し、それを用いて盗電有無を正確に判断できる電気エネルギー管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気エネルギー管理システムの第1実施例は、電源側に近い電気供給上位地点に設けられ、自身が設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいて第1アドミッタンスを算出する第1電力量計と、前記第1電力量計と同一の電力線路における電気供給下位地点に設けられ、自身の設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいて第2アドミッタンスを算出する複数の第2電力量計と、前記第1電力量計及び前記第2電力量計から電気量情報を収集する遠隔サーバーと、を含んでなる。
ここで、前記遠隔サーバーは、前記第1電力量計と前記第2電力量計で算出されたアドミッタンス情報を収集し、前記第2アドミッタンスの総和と前記第1アドミッタンスとを比較して、その差異値が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電の有無を判断する。
本発明に係る電気エネルギー管理システムの第2実施例は、電源側に近い電気供給上位地点に設けられ、負荷に供給される電気量を測定する第1電力量計と、前記第1電力量計と同一の電力線路における電気供給下位地点に設けられている複数の第2電力量計と、前記第1電力量計及び前記第2電力量計から電気量情報を収集する遠隔サーバーと、を含んでなる。
ここで、前記遠隔サーバーは、前記第1電力量計から収集した電気量情報に基づいて第1アドミッタンスを算出し、前記第2電力量計から収集した電気量情報に基づいて第2アドミッタンスを算出し、算出された第2アドミッタンスの総和と前記第1アドミッタンスとを比較して、その差異値が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電の有無を判断する。
【0005】
前記アドミッタンスは、同一の時間に測定された電気量情報に基づいて算出されてよい。
前記アドミッタンスは、電気量の累積値、瞬時値、または一定時間の平均値に基づいて算出されてよい。
【0006】
前記遠隔サーバーは、一定時間のアドミッタンス平均値に基づいて盗電の有無を判断することができる。
前記遠隔サーバーは、前記第2アドミッタンスの総和と前記第1アドミッタンスとの差異値が、既に設定された限界値以上であるか否かによって盗電の有無を判断することができる。
前記遠隔サーバーは、前記第2アドミッタンスの総和と前記第1アドミッタンスとの差異値が変動する推移によって盗電の有無を判断することができる。
本発明に係る電気エネルギー管理システムの第3実施例は、電源側に近い電気供給上位地点に設けられ、自身が設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいて第1インピーダンスを算出する第1電力量計と、前記第1電力量計と同一の電力線路における電気供給下位地点に設けられ、自身が設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいて第2インピーダンスを算出する複数の第2電力量計と、前記第1電力量計及び前記第2電力量計から電気量情報を収集する遠隔サーバーと、を含んでなる。
ここで、前記遠隔サーバーは、前記第1電力量計及び第2電力量計で算出されたインピーダンス情報を収集し、前記第2インピーダンスの等価値と前記第1インピーダンスとを比較して、その差異値が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電の有無を判断する。
【0007】
本発明に係る電気エネルギー管理システムの第4実施例は、電源側に近い電気供給上位地点に設けられ、負荷に供給される電気量を測定する第1電力量計と、前記第1電力量計と同一の電力線路における電気供給下位地点に設けられる複数の第2電力量計と、前記第1電力量計及び前記第2電力量計から電気量情報を収集する遠隔サーバーと、を含んでなる。
【0008】
ここで、前記遠隔サーバーは、前記第1電力量計から収集した電気量情報に基づいて第1インピーダンスを算出し、前記第2電力量計から収集した電気量情報に基づいて第2インピーダンスを算出し、算出された第2インピーダンスの等価値と前記第1インピーダンスとを比較し、その差異値が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電の有無を判断する。
【0009】
前記インピーダンスは、同一の時間に測定された電気量情報に基づいて算出されてよい。
前記インピーダンスは、電気量の累積値、瞬時値、または一定時間の平均値に基づいて算出されてよい。
【0010】
前記遠隔サーバーは、一定時間のインピーダンス平均値に基づいて盗電の有無を判断することができる。
前記遠隔サーバーは、前記第2インピーダンスの等価値と前記第1インピーダンスとの差異値が、既に設定された限界値以上であるか否かによって盗電の有無を判断することができる。
前記遠隔サーバーは、前記第2インピーダンスの等価値と前記第1インピーダンスとの差異値が変動する推移によって盗電の有無を判断することができる。
【0011】
前記各実施例における遠隔サーバーは、盗電が発生したと判断されると、それを管理者に知らせることができ、あらかじめ定められた時刻に周期的に前記盗電の有無を判断することができる。
前記許容範囲情報は、管理者が設定してよい。
前記許容範囲は、前記第1電力量計と前記第2電力量計との電気量測定誤差を含むことができる。
前記許容範囲は、前記第1電力量計と前記第2電力量計との間における電気設備で損失される電気量に起因する誤差を含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電力線路における各地点に対応するアドミッタンスやインピーダンスを用いて盗電を監視することができる。
特に、アドミッタンスやインピーダンスは、同一の電力線路における各地点で測定された電気量情報を用いて算出される。
同一の電力線路における上位地点と複数の下位地点で測定される電気量情報とは互いに一定の対応関係を有するから、上位地点で測定された電気量情報に基づいて算出された第1アドミッタンス(または第1インピーダンス)と、下位地点で測定された電気量情報に基づいて算出されたそれぞれの第2アドミッタンス(または第2インピーダンス)も、一定の対応関係を有する。
例えば、理論的に、第2アドミッタンス(または第2インピーダンス)の等価値は、第1アドミッタンス(または第1インピーダンス)と一致しなければならない。
したがって、電力量計の電気量測定誤差などを勘案しても、第2アドミッタンス(または第2インピーダンス)の等価値が、第1アドミッタンス(または第1インピーダンス)と一定の誤差範囲内で一致するか否かを監視することで、盗電が発生したか否かを正確に判断することができる。
また、盗電が発生したと判断されると、それを管理者に知らせることによって、適切に対処可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電気エネルギー管理システムの一実施例を示す図である。
【図2】第1電力量計及び第2電力量計が、盗電の有無を判断するのに必要な情報をそれぞれ個別に遠隔サーバーに伝送する一例を示す図である。
【図3】第1電力量計が、第2電力量計から盗電の有無を判断するのに必要な情報を収集して遠隔サーバーに伝送する一例を示す図である。
【図4】遠隔サーバーがアドミッタンスを用いて盗電の有無を判断する一方法を説明するための図である。
【図5】遠隔サーバーがアドミッタンスを用いて盗電の有無を判断する一方法を説明するための図である。
【図6】遠隔サーバーがインピーダンスを用いて盗電の有無を判断する一方法を説明するための図である。
【図7】遠隔サーバーがインピーダンスを用いて盗電の有無を判断する一方法を説明するための図である。
【図8】遠隔サーバーが盗電の有無を管理者に知らせる実施例を示す概要図である。
【図9】電気エネルギー管理システムの機能ブロック図である。
【図10】本発明の第1実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【図11】本発明の第1実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【図12】本発明の第2実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【図13】本発明の第2実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【図14】本発明の第3実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【図15】本発明の第3実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【図16】本発明の第4実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【図17】本発明の第4実施例に係る電気エネルギー管理システムの動作過程の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電気エネルギー管理システムの一実施例を示す図である。同図で、電力会社11は、電力線路13を介して電気エネルギーを供給し、電力線路13には、第1電力量計21及び複数の第2電力量計23が設けられる。
第1電力量計21及び第2電力量計23は、同一の電力線路13における各地点に設けられ、特に、第1電力量計21は電力線路13の上位地点に配置され、第2電力量計23は電力線路13の下位地点に配置される。
ここで、上位地点と下位地点とは相対的な概念である。
例えば、ある電力量計Aが測定する電力量が、複数の電力量計Bで測定される電力量の総和になる関係を持つ場合、電力量計Aの位置が上位地点となり、各電力量計Bの位置が下位地点となる。
すなわち、マンションのように多数の世帯からなる共同住宅では、第1電力量計21は、電力線路13が該当の共同住宅に引き込まれる地点に設置されてよく、各世帯に設置されている電力量計を第2電力量計23とすることができる。
また、第1電力量計21は、電柱のように電力線路13が多数の世帯に分岐する地点に設置されてよく、電柱から分岐した電力線路が連結される各世帯における電力量計を、第2電力量計23とすることができる。
本発明に係る電気エネルギー管理システムは、第1電力量計21、複数の第2電力量計23、及び遠隔サーバー25を含んでなる。
第1電力量計21と第2電力量計23は、基本的に、自身の設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定する。
本発明において、‘電気量’は、その文字通りの意味に限られず、アドミッタンス(Admittance)またはインピーダンス(Impedance)の計算に利用可能ないかなる電気エネルギー関連情報も意味することができる。
例えば、第1電力量計21及び第2電力量計23が測定する電気量は、積算値としての皮相電力量(VA−hour)、有効電力量(Watt−hour)、電圧積算量(V−hour)、電流積算量(I−hour)、瞬時値としての皮相電力(VA)、有効電力(Watt)、電圧実効値(Vrms)、電流実効値(Irms)、またはこれらの値の平均値でよい。
【0015】
遠隔サーバー25は、通信網15を介して第1電力量計21と第2電力量計23から盗電の有無を判断するのに必要な情報を収集し、収集された情報を用いて盗電の有無を判断する。
通信網15は、種々のものにすることができる。
例えば、 通信網15は、電力線通信網(Power Line Communication Network)、インターネット網、CDMA(Code Division Multiple Access)網、PCS(Personal Communication Service)網、PHS(Personal Handyphone System)網、ワイブロ(Wibro:Wireless Broadband Internet)網、モバイルWiMAX網などを含むことができる。
【0016】
第1電力量計21及び第2電力量計23は、様々な経路を介して盗電の有無を判断するのに必要な情報を遠隔サーバー25に伝達することができる。
すなわち、第1電力量計21及び第2電力量計23は、図2に示す例のように、盗電の有無を判断するのに必要な情報をそれぞれ個別に遠隔サーバー25に伝送することができる。
また、図3に示す例のように、第2電力量計23は、盗電の有無を判断するのに必要な情報を、第1電力量計21に伝送し、第1電力量計21は、第2電力量計23から伝送される盗電の有無を判断するのに必要な情報を集めて、自身の情報と共に遠隔サーバー25に伝送することもできる。この時、第1電力量計21と第2電力量計23とは様々な有線/無線の通信方式を介して通信することができる。
【0017】
一方、本発明に係る電気エネルギー管理システムは、第1電力量計21及び第2電力量計23が遠隔サーバー25に伝送する情報の種類、及び遠隔サーバー25が盗電の有無を判断するためにアドミッタンスを利用するか、或いはインピーダンスを利用するかによって、様々に構成することができる。
アドミッタンスやインピーダンスは、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量に基づいて算出される。
説明の便宜のために、第1電力量計21で測定された電気量から算出されるアドミッタンスとインピーダンスをそれぞれ、第1アドミッタンスと第1インピーダンスとし、第2電力量計23で測定された電気量から算出されるアドミッタンスとインピーダンスをそれぞれ、第2アドミッタンスと第2インピーダンスとする。
第2電力量計23が複数個であるから、第2アドミッタンスや第2インピーダンスも複数個存在する。
【0018】
以下、本発明に係る電気エネルギー管理システムの様々な実施例を具体的に説明する。
【0019】
<第1実施例>
本発明に係る電気エネルギー管理システムの第1実施例は、第1電力量計21及び第2電力量計23が直接アドミッタンスを算出するように構成され、遠隔サーバー25は、通信網15を介して第1アドミッタンス情報と第2アドミッタンス情報を収集し、それに基づいて盗電の有無を判断する。
第1電力量計21及び第2電力量計23はそれぞれ、自身の設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいてアドミッタンスを算出する。
第1電力量計21及び第2電力量計23は、各種電気量の積算値、瞬時値、または平均値を用いて、アドミッタンスを算出することができる。下記の数学式1乃至数学式10は、アドミッタンスを算出する様々な例である。
【0020】
【数1】

【0021】
【数2】

【0022】
【数3】

【0023】
【数4】

【0024】
【数5】

【0025】
【数6】

【0026】
【数7】

【0027】
【数8】

【0028】
【数9】

【0029】
【数10】

【0030】
上記の数学式1乃至数学式10で、‘Y’はアドミッタンスを表し、上記の数学式2、数学式4、数学式7、及び数学式9は、第1電力量計21及び第2電力量計23の力率が同一である場合にのみ使用することができる。
算出されたアドミッタンス情報は、図2に示すように、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に通信網15を介して遠隔サーバー25に伝送してもよく、図3に示すように、第1電力量計21が、第2電力量計23で算出されたアドミッタンス情報を集めて、自身が算出したアドミッタンス情報と共に遠隔サーバー25に伝送してもよい。
【0031】
遠隔サーバー25は、第1電力量計21及び第2電力量計23で算出された第1アドミッタンス情報及び第2アドミッタンス情報を受信し、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとを比較し、その差が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電が発生したか否かを判断する。
すなわち、理論的には、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとは互いに一致しなければならない。したがって、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとを比較し、その差が許容範囲を外れると、第1電力量計21の設置されている電力線路における下位地点のいずれかで盗電が発生していると判断することができる。
【0032】
ここで、第1アドミッタンスと第2アドミッタンスとは、同一の時間を基準に測定された電気量情報に基づいて算出されなければならない。
例えば、瞬間電気量を用いてアドミッタンスを算出する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の時点(例:毎日06時と18時定刻)に測定された電気量情報を基準に、アドミッタンスを算出しなければならない。
また、累積された電気量を用いてアドミッタンスを算出する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の期間(例:2010年1月1日12時から現在まで)に累積された電気量情報を基準にアドミッタンスを算出しなければならない。
【0033】
許容範囲は必要によって様々に設定すればよく、特に、第1電力量計21及び第2電力量計23が電気量を測定する際に、正常な状況においても生じうる測定誤差を考慮して設定することが望ましい。また、許容範囲は、第1電力量計21と第2電力量計23との間の電気設備で損失される電気量に起因する誤差も含むことができる。
このような許容範囲は、遠隔サーバー25にあらかじめ設定されていてもよく、管理者が設定するように構成されてもよい。
後者の例において、遠隔サーバー25は、管理者が許容範囲を設定できるようにするユーザーインターフェース(UI:User Interface)を提供したり、他の装置から、管理者が設定した許容範囲を受信したりすることができる。
【0034】
また、上記のように、第1アドミッタンス及び第2アドミッタンスは、正常な状況においても第1電力量計21及び第2電力量計23での電気量測定誤差などにより変動することがある。
したがって、遠隔サーバー25は、一定期間に受信した第1アドミッタンスの平均値及び第2アドミッタンスの平均値を用いて、盗電が発生したか否かを判断することができる。
図4及び図5を参照して、遠隔サーバー25が盗電の有無を判断する方法を具体的に説明する。
まず、遠隔サーバーは、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとの差異値を計算する(S311−1)。この差異値を‘Y(diff)’とすれば、Y(diff)は、下記の数学式11のように計算することができる。
【0035】
【数11】

ここで、Y1は第1アドミッタンス、Y2(i)は、i番目の第2電力量計で算出した第2アドミッタンス、nは第2電力量計の個数である。
上記のように、Y(diff)が計算されると、遠隔サーバーは、Y(diff)が、既に設定されている許容範囲を外れたか否か確認する(S311−2)。
確認の結果、Y(diff)が許容範囲を外れた場合は、盗電が発生した状態と判断し(S311−3)、そうでない場合は、正常状態と判断する(S311−4)。
【0036】
ここで、許容範囲は、図5aに示すように、一定の限界値に設定することができ、この場合、遠隔サーバー25は、Y(diff)が限界値以上であると、盗電が発生した状態と判断し、Y(diff)が限界値未満であると、正常状態と判断する。
また、遠隔サーバーは、図5bに示すように、Y(diff)が変動する推移によって、盗電が発生したか否かを判断することもできる。
すなわち、正常な状況においても第1電力量計21及び第2電力量計23での電気量測定誤差などによりY(diff)は変動することがあるが、この変動幅は一定の許容範囲内で維持される。しかし、盗電が発生すると、Y(diff)は許容範囲を外れて大きく変動するはずであり、よって、Y(diff)の変動推移を調べ、許容範囲を外れると、盗電が発生したと判断することができる。
【0037】
<第2実施例>
本発明に係る電気エネルギー管理システムの第2実施例は、遠隔サーバー25が第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を用いて第1アドミッタンスと第2アドミッタンスを算出した後、盗電が発生したか否かを判断するように構成される。
第1電力量計21及び第2電力量計23は、自身の設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定する。
測定された電気量情報は、図2に示すように、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に通信網15を介して遠隔サーバー25に伝送することもでき、図3に示すように、第1電力量計21が第2電力量計23で測定された電気量情報を集めて、自身が測定した電気量情報と共に遠隔サーバー25に伝送することもできる。
遠隔サーバー25は、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を用いて、上記の数学式1乃至数学式10に示すような様々な方法で第1アドミッタンスと第2アドミッタンスを算出する。
そして、遠隔サーバー25は、算出された第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとを比較し、その差が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電が発生したか否かを判断する。
すなわち、理論的には、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとは互いに一致しなければならない。したがって、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとを比較し、その差が許容範囲を外れると、第1電力量計21が設置されている電力線路における下位地点のいずれかで盗電があると判断することができる。
ここで、第1電力量計21及び第2電力量計23は、同一の時間を基準に測定された電気量情報を伝送しなければならない。
例えば、瞬間電気量を測定する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の時点(例:毎日06時と18時定刻)に電気量を測定しなければならない。また、一定期間に累積された電気量を測定する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の期間(例:2010年1月1日12時から現在まで)に累積された電気量を測定しなければならない。
【0038】
許容範囲は必要によって様々に設定すればよく、特に、第1電力量計21及び第2電力量計23が電気量を測定する際に正常な状況においても生じうる測定誤差を考慮して設定することが望ましい。また、許容範囲は、第1電力量計21と第2電力量計23との間における電気設備で損失される電気量に起因する誤差も含むことができる。
このような許容範囲は、遠隔サーバー25にあらかじめ設定されていてもよく、管理者が設定するように構成されてもよい。
後者の例では、遠隔サーバー25は、管理者が許容範囲を設定できるようにするユーザーインターフェース(UI)を提供したり、他の装置から、管理者が設定した許容範囲を受信したりすることができる。
【0039】
また、第1アドミッタンスと第2アドミッタンスは、正常な状況においても第1電力量計21と第2電力量計23における電気量測定誤差などにより算出値が異なる場合があり、よって、遠隔サーバー25は、一定期間に受信された電気量情報により算出される第1アドミッタンスの平均値と第2アドミッタンスの平均値を用いて、盗電が発生したか否かを判断することができる。
【0040】
遠隔サーバー25は、第1アドミッタンスと第2アドミッタンスを算出した後、図4及び図5を参照して説明したとおり、盗電が発生したか否かを判断することができる。
すなわち、遠隔サーバー25は、図5aに示すように、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとの差異値Y(diff)が、既に設定された限界値以上であるか否かによって、盗電の有無を判断することができる。
また、遠隔サーバー25は、図5bに示すように、第2アドミッタンスの総和と第1アドミッタンスとの差異値Y(diff)が変動する推移によって、盗電の有無を判断することもできる。
【0041】
<第3実施例>
本発明に係る電気エネルギー管理システムの第3実施例は、第1電力量計21及び第2電力量計23自体でインピーダンスを算出するように構成され、遠隔サーバー25は、通信網15を介して第1インピーダンス情報及び第2インピーダンス情報を収集し、それに基づいて盗電の有無を判断する。
第1電力量計21及び第2電力量計23はそれぞれ、自身の設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいてインピーダンスを算出する。
第1電力量計21及び第2電力量計23は、各種電気量の積算値、瞬時値、または平均値を用いてインピーダンスを算出することができ、インピーダンスZは、下記の数学式12のように、上記の数学式1乃至数学式10の逆数として算出することができる。
【0042】
【数12】

算出されたインピーダンス情報は、図2に示すように、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に通信網15を介して遠隔サーバー25に伝送することもでき、図3に示すように、第1電力量計21が、第2電力量計23で算出されたインピーダンス情報を集めて、自身が算出したインピーダンス情報と共に遠隔サーバー25に伝送することもできる。
遠隔サーバー25は、第1電力量計21と第2電力量計23で算出された第1インピーダンス情報と第2インピーダンス情報を受信し、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとを比較し、その差が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電が発生したか否かを判断する。
すなわち、理論的には、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとは互いに一致しなければならない。したがって、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとを比較し、その差が許容範囲を外れると、第1電力量計21が設置されている電力線路における下位地点のいずれかで盗電があると判断することができる。
この場合、第1インピーダンスと第2インピーダンスとは、同一の時間を基準に測定された電気量情報に基づいて算出されなければならない。
例えば、瞬間電気量を用いてインピーダンスを算出する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の時点(例:毎日06時と18時定刻)に測定された電気量情報を基準にインピーダンスを算出しなければならない。
また、累積された電気量を用いてインピーダンスを算出する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の期間(例:2010年1月1日12時から現在まで)に累積された電気量情報を基準にインピーダンスを算出しなければならない。
【0043】
許容範囲は必要によって様々に設定すればよく、特に、第1電力量計21及び第2電力量計23が電気量を測定する際に正常な状況においても生じうる測定誤差を考慮して設定することが望ましい。
また、許容範囲は、第1電力量計21と第2電力量計23との間における電気設備で損失される電気量に起因する誤差も含むことができる。
【0044】
このような許容範囲は、遠隔サーバー25にあらかじめ設定されていてもよく、管理者が設定するように構成されてもよい。
後者の例では、遠隔サーバー25は、管理者が許容範囲を設定できるようにするユーザーインターフェース(UI)を提供したり、または、他の装置から、管理者が設定した許容範囲を受信したりすることができる。
【0045】
また、上述したとおり、第1インピーダンスと第2インピーダンスは正常な状況においても第1電力量計21及び第2電力量計23における電気量測定誤差などにより変動することがある。
したがって、遠隔サーバー25は、一定期間に受信した第1インピーダンスの平均値と第2インピーダンスの平均値を用いて、盗電の有無を判断することができる。
【0046】
図6及び図7を参照して、遠隔サーバー25が、盗電が発生したか否かを判断する方法を具体的に説明する。
まず、遠隔サーバーは、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスの差異値を計算する(S313−1)。この差異値を‘Z(diff)’とすれば、Z(diff)は、下記の数学式13のように計算することができる。
【0047】
【数13】

ここで、Z1は第1インピーダンス、Z2(i)は、i番目の第2電力量計で算出した第2インピーダンス、nは第2電力量計の個数を表す。
上記のようにしてZ(diff)が計算されると、遠隔サーバー25は、Z(diff)が、既に設定されている許容範囲を外れたか否か確認する(S313−2)。
確認の結果、Z(diff)が許容範囲を外れた場合は、盗電が発生した状態と判断し(S313−3)、そうでない場合は、正常状態と判断する(S313−4)。
ここで、許容範囲は、図7aに示すように、一定の限界値に設定することができ、この場合、遠隔サーバー25は、Z(diff)が限界値以上であれば、盗電が発生した状態と判断し、Z(diff)が限界値未満であれば、正常状態と判断する。
また、遠隔サーバー25は、図7bに示すように、Z(diff)が変動する推移によって盗電の有無を判断することができる。
すなわち、正常な状況においても、第1電力量計21及び第2電力量計23における電気量測定誤差などによりZ(diff)は変動することがあり、この変動幅は、一定の許容範囲内で維持される。しかし、盗電が発生すると、Z(diff)が許容範囲を外れて大きく変動するはずであり、よって、Z(diff)の変動推移を調べ、許容範囲を外れると、盗電が発生したと判断することができる。
【0048】
<第4実施例>
本発明に係る電気エネルギー管理システムの第4実施例は、遠隔サーバー25が、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を用いて第1インピーダンスと第2インピーダンスを算出した後、盗電の有無を判断するように構成される。
第1電力量計21及び第2電力量計23は、自身が設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定する。
測定された電気量情報は、図2に示すように、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に通信網15を介して遠隔サーバー25に伝送することもでき、図3に示すように、第1電力量計21が、第2電力量計23で測定された電気量情報を集めて、自身が測定した電気量情報と共に遠隔サーバー25に伝送することもできる。
【0049】
遠隔サーバー25は、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を用いて第1インピーダンスと第2インピーダンスを算出する。
そして、遠隔サーバー25は、算出された第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとを比較し、その差が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電が発生したか否かを判断する。
すなわち、理論的には、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとは互いに一致しなければならない。したがって、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとを比較し、その差が許容範囲を外れると、第1電力量計21が設置されている電力線路における下位地点のいずれかで盗電が発生していると判断することができる。
ここで、第1電力量計21及び第2電力量計23は、同一の時間を基準に測定された電気量情報を伝送しなければならない。
例えば、瞬間電気量を測定する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の時点(例: 毎日06時と18時定刻)に電気量を測定しなければならない。また、一定期間に累積された電気量を測定する場合は、第1電力量計21及び第2電力量計23の両方は、同一の期間(例:2010年1月1日12時から現在まで)に累積された電気量を測定しなければならない。
【0050】
許容範囲は、必要によって様々に設定すればよく、特に、第1電力量計21及び第2電力量計23が電気量を測定する際に正常な状況においても生じうる測定誤差を考慮して設定することが望ましい。また、許容範囲は、第1電力量計21と第2電力量計23との間における電気設備で損失される電気量に起因する誤差も含むことができる。
このような許容範囲は、遠隔サーバー25にあらかじめ設定されていてもよく、管理者が設定するように構成されてもよい。
後者の例では、遠隔サーバー25は、管理者が許容範囲を設定できるようにするユーザーインターフェース(UI)を提供したり、または、他の装置から、管理者が設定した許容範囲を受信したりすることができる。
第1インピーダンスと第2インピーダンスは正常な状況においても第1電力量計21及び第2電力量計23における電気量測定誤差などにより算出値が異なることがある。
したがって、遠隔サーバー25は、一定期間に受信した電気量情報から算出される第1インピーダンスの平均値と第2インピーダンスの平均値を用いて、盗電の有無を判断することができる。
【0051】
遠隔サーバー25は、第1インピーダンスと第2インピーダンスを算出した後、図6及び図7を参照して説明したとおり、盗電の有無を判断することができる。
すなわち、遠隔サーバー25は、図7aに示すように、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとの差異値Z(diff)が、既に設定された限界値以上であるか否かによって盗電の有無を判断することができる。
また、遠隔サーバー25は、図7bに示すように、第2インピーダンスの等価値と第1インピーダンスとの差異値Z(diff)が変動する推移によって盗電の有無を判断することもできる。
【0052】
上記の第1実施例乃至第4実施例に係る電気エネルギー管理システムにおいて、遠隔サーバー25は、あらかじめ定められた時刻に周期的に盗電の有無を判断することができる。
上記の第1実施例乃至第4実施例に係る電気エネルギー管理システムにおいて、遠隔サーバー25は、図8に示すように、盗電と判断された場合、それを管理者に知らせて警告する報知手段25−4をさらに含んでなることができる。
このような報知手段25−4は、様々な方法で管理者に盗電の発生を知らせるように構成されてよい。
例えば、報知手段25−4は、モニター画面17−1のようなディスプレイ装置に警告メッセージを表示したり、警報装置17−2から警報音を発生させることができる。
また、有線/無線の様々な通信ネットワークを介して管理者端末17−3に警告メッセージを伝送することもできる。例えば、インターネット網を介して管理者に警告メールを伝送したり、移動通信網を介して管理者の携帯電話に警告メッセージを伝送したりすることができる。
【0053】
図9は、第1電力量計21、第2電力量計23、及び遠隔サーバー25を示す機能ブロック図である。
第1電力量計21及び第2電力量計23はそれぞれ、計量手段21−1,23−1、記憶手段21−3,23−3、通信手段21−5,23−5、制御手段21−7,23−7を含んでなることができる。
第1電力量計21及び第2電力量計23の計量手段21−1,23−1は、電力線路13の該当の地点で各種の電気量情報を測定する。
第1電力量計21及び第2電力量計23の記憶手段21−3,23−3は、デジタルデータを記憶する不揮発性の記憶媒体である。
【0054】
第1電力量計21及び第2電力量計23の制御手段21−7,23−7は、マイクロプロセッサや中央処理処置(CPU:Central Processing Unit)などから構成されて、電力量計を総括制御し、計量手段21−1,23−1で測定された電気量情報を記憶手段21−3,23−3に記憶させて管理する。
また、第1電力量計21及び第2電力量計23の制御手段21−7,23−7は、各実施例によって通信手段21−5,23−5を介して他の電力量計や遠隔サーバーと通信して、盗電の有無を判断するのに必要な情報を伝送する。
盗電の有無を判断するのに必要な情報は、アドミッタンス、インピーダンス、またはアドミッタンスやインピーダンスの算出に必要とされる電気量情報でよい。
【0055】
遠隔サーバー25において、通信手段25−1は、通信網15を介して盗電の有無を判断するのに必要な情報を受信し、記憶手段25−3は、デジタルデータを記憶する不揮発性の記憶媒体で、遠隔サーバー25の動作と関連した各種情報を記憶する。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、中央処理処置(CPU)を用いて構成されてよく、遠隔サーバーを総括制御する。特に、制御手段25−7は、通信手段25−1を介して受信される、盗電の有無を判断するのに必要な情報を用いて、盗電が発生したか否かを判断する。
遠隔サーバー25のユーザーインターフェース手段25−2は、管理者14が遠隔サーバーの動作に必要な情報や命令を入力できるようにする。
例えば、管理者は、ユーザーインターフェース手段25−2を介して盗電の有無の判断基準となる許容範囲を設定したり、盗電の有無を判断する周期に関する情報、警告メッセージを伝送する管理者の携帯電話番号などを設定することができる。
報知手段25−4は、図8を参照して説明したとおり、盗電が発生したと判断された場合、それを管理者に知らせる役割を果たす。
図10乃至図17を参照して、本発明の各実施例に係る電気エネルギー管理システムが動作する全体的な過程について説明する。説明の理解を助けるために、図9に示す機能ブロック図を取り上げて説明する。
【0056】
図10は、上記の第1実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に遠隔サーバー25にアドミッタンス情報を伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S411)。
第1電力量計21の制御手段21−7は、計量手段21−1が測定した電気量情報を用いて第1アドミッタンスを算出し、第2電力量計23の制御手段23−7は、計量手段23−1が測定した電気量情報を用いて第2アドミッタンスを算出する(S412)。
続いて、第1電力量計21の制御手段21−7は、算出された第1アドミッタンス情報を通信手段21−5を介して遠隔サーバー25に伝送し、第2電力量計23の制御手段23−7は、算出された第2アドミッタンス情報を、通信手段23−5を介して遠隔サーバー25に伝送する(S413)。
【0057】
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、通信手段25−1を介して第1アドミッタンス情報と第2アドミッタンス情報を受信し、受信したアドミッタンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断する(S414)。
そして、盗電と判断された場合には、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S415、S416)。
【0058】
図11は、上記の第1実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21が、自身が算出した第1アドミッタンス情報に加えて、第2電力量計23のアドミッタンス情報も集めて共に遠隔サーバー25に伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S421)。
第1電力量計21の制御手段21−7は、計量手段21−1が測定した電気量情報を用いて第1アドミッタンスを算出し、第2電力量計23の制御手段23−7は、計量手段23−1が測定した電気量情報を用いて第2アドミッタンスを算出する(S422)。
第2電力量計23の制御手段23−7は、算出された第2アドミッタンス情報を通信手段23−5を介して第1電力量計21に伝送する(S423)。
第1電力量計21の制御手段21−7は、自身が算出した第1アドミッタンス情報と、通信手段21−5を介して受信した各第2アドミッタンス情報を集めて共に遠隔サーバー25に伝送する(S424)。
【0059】
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、通信手段25−1を介して第1アドミッタンス情報及び第2アドミッタンス情報を受信し、受信したアドミッタンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断する(S425)。
そして、盗電と判断された場合は、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S426、S427)。
【0060】
図12は、上記の第2実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に、遠隔サーバー25に電気量情報を伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S431)。
そして、第1電力量計21の制御手段21−7は、計量手段21−1が測定した電気量情報を、通信手段21−5を介して遠隔サーバー25に伝送し、第2電力量計23の制御手段23−7は、計量手段23−1が測定した電気量情報を、通信手段23−5を介して遠隔サーバー25に伝送する(S432)。
【0061】
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、通信手段25−1を介して、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を受信し、受信した電気量情報を用いて第1アドミッタンス及び第2アドミッタンスを算出する(S433)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、算出された第1アドミッタンス情報及び第2アドミッタンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断し(S434)、その結果、盗電が発生したと判断された場合は、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S435、S436)。
図13は、上記の第2実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21が、自身の電気量情報に加えて、第2電力量計23の電気量情報を集めて共に遠隔サーバー25に伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S441)。
第2電力量計23の制御手段23−7は、測定された電気量情報を、通信手段23−5を介して第1電力量計21に伝送する(S442)。
【0062】
第1電力量計21の制御手段21−7は、自身が測定した電気量情報に加えて、通信手段21−5を介して受信した各第2電力量計23の電気量情報を集めて共に遠隔サーバー25に伝送する(S443)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、、通信手段25−1を介して、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を受信し、受信した電気量情報を用いて第1アドミッタンス及び第2アドミッタンスを算出する(S444)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、算出された第1アドミッタンス情報及び第2アドミッタンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断し(S445)、その結果、盗電が発生したと判断された場合は、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S446、S447)。
【0063】
図14は、上記の第3実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に、遠隔サーバー25にインピーダンス情報を伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S451)。
第1電力量計21の制御手段21−7は、計量手段21−1が測定した電気量情報を用いて第1インピーダンスを算出し、第2電力量計23の制御手段23−7は、計量手段23−1が測定した電気量情報を用いて第2インピーダンスを算出する(S452)。
続いて、第1電力量計21の制御手段21−7は、算出された第1インピーダンス情報を、通信手段21−5を介して遠隔サーバー25に伝送し、第2電力量計23の制御手段23−7は、算出された第2インピーダンス情報を、通信手段23−5を介して遠隔サーバー25に伝送する(S453)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、通信手段25−1を介して、第1インピーダンス情報及び第2インピーダンス情報を受信し、受信したインピーダンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断する(S454)。そして、盗電と判断された場合は、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S455、S456)。
【0064】
図15は、上記の第3実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21が、自身のインピーダンス情報に加えて、第2電力量計23のインピーダンス情報を集めて共に、遠隔サーバー25に伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S461)。
第1電力量計21の制御手段21−7は、計量手段21−1が測定した電気量情報を用いて第1インピーダンスを算出し、第2電力量計23の制御手段23−7は、計量手段23−1が測定した電気量情報を用いて第2インピーダンスを算出する(S462)。
第2電力量計23の制御手段23−7は、算出された第2インピーダンス情報を、通信手段23−5を介して第1電力量計21に伝送する(S463)。
第1電力量計21の制御手段21−7は、自身が算出した第1インピーダンス情報に加えて、通信手段21−5を介して受信した各第2インピーダンス情報を集めて共に遠隔サーバー25に伝送する(S464)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、通信手段25−1を介して、第1インピーダンス情報及び第2インピーダンス情報を受信し、受信したインピーダンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断する(S465)。そして、盗電と判断された場合は、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S466、S467)。
【0065】
図16は、上記の第4実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21及び第2電力量計23がそれぞれ個別に、遠隔サーバー25に電気量情報を伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S471)。
そして、第1電力量計21の制御手段21−7は、計量手段21−1が測定した電気量情報を、通信手段21−5を介して遠隔サーバー25に伝送し、第2電力量計23の制御手段23−7は、計量手段23−1が測定した電気量情報を、通信手段23−5を介して遠隔サーバー25に伝送する(S472)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、通信手段25−1を介して、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を受信し、受信した電気量情報を用いて第1インピーダンス及び第2インピーダンスを算出する(S473)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、算出された第1インピーダンス情報及び第2インピーダンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断し(S474)、その結果、盗電が発生したと判断された場合は、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S475、S476)。
【0066】
図17は、上記の第4実施例に係る電気エネルギー管理システムに関するもので、第1電力量計21が、自身の電気量情報に加えて、第2電力量計23の電気量情報を集めて共に、遠隔サーバー25に伝送する実施例を示している。
第1電力量計21の計量手段21−1と第2電力量計23の計量手段23−1はそれぞれ、自身が設置されている位置で電気量を測定する(S481)。
第2電力量計23の制御手段23−7は、測定された電気量情報を、通信手段23−5を介して第1電力量計21に伝送する(S482)。
第1電力量計21の制御手段21−7は、自身が測定した電気量情報に加えて、通信手段21−5を介して受信した各第2電力量計23の電気量情報を集めて共に、遠隔サーバー25に伝送する(S483)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、通信手段25−1を介して、第1電力量計21及び第2電力量計23で測定された電気量情報を受信し、受信した電気量情報を用いて第1インピーダンス及び第2インピーダンスを算出する(S484)。
遠隔サーバー25の制御手段25−7は、算出された第1インピーダンス情報及び第2インピーダンス情報に基づき、盗電が発生したか否かを判断し(S485)、盗電が発生したと判断された場合は、盗電が発生したことを、報知手段25−4を介して管理者に知らせる(S486、S487)。
【0067】
以上の実施例は、本発明の理解を助けるためのもので、これらの実施例に限定されず、本発明は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、当業者には様々な変形実施が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
13 電力線路
15 通信網
17−1 ディスプレイ装置
17−2 警報装置
17−3 管理者端末
21 第1電力量計
21−1,23−1 計量手段
21−3,23−3 記憶手段
21−5,23−5 通信手段
21−7,23−7 制御手段
23 第2電力量計
25 遠隔サーバー
25−1 通信手段
25−2 ユーザーインターフェース手段
25−3 記憶手段
25−4 報知手段
25−7 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源側に近い電気供給上位地点に設けられ、自身が設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいて第1アドミッタンスを算出する第1電力量計と、
前記第1電力量計と同一の電力線路における電気供給下位地点に設けられ、自身の設置されている位置を基準に、負荷に供給される電気量を測定し、測定された電気量に基づいて第2アドミッタンスを算出する複数の第2電力量計と、
前記第1電力量計及び前記第2電力量計から電気量情報を収集する遠隔サーバーと、を含み、
前記遠隔サーバーは、前記算出されたアドミッタンス情報または前記収集された電気量情報に基づいて盗電の有無を判断することを特徴とする、電気エネルギー管理システム。
【請求項2】
前記遠隔サーバーは、
前記第1電力量計及び前記第2電力量計で算出されたアドミッタンス情報を収集し、前記第2アドミッタンスの総和と前記第1アドミッタンスとを比較して、その差異値が許容範囲を外れた度合に基づき、盗電の有無を判断することを特徴とする、請求項1に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項3】
前記遠隔サーバーは、盗電の場合は、それを管理者に知らせることを特徴とする、請求項2に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項4】
前記アドミッタンスは、同一の時間に測定された電気量情報に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項5】
前記アドミッタンスは、電気量の累積値に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項6】
前記アドミッタンスは、電気量の瞬時値に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項7】
前記アドミッタンスは、一定時間の電気量平均値に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項8】
前記遠隔サーバーは、一定時間のアドミッタンス平均値に基づいて盗電の有無を判断することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項9】
前記遠隔サーバーは、前記第2アドミッタンスの総和と前記第1アドミッタンスとの差異値が、既に設定された限界値以上であるか否かによって、盗電の有無を判断することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項10】
前記遠隔サーバーは、前記第2アドミッタンスの総和と前記第1アドミッタンスとの差異値が変動する推移によって盗電の有無を判断することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項11】
前記許容範囲情報は、管理者により設定されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項12】
前記許容範囲は、前記第1電力量計と前記第2電力量計との電気量測定誤差を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項13】
前記許容範囲は、前記第1電力量計と前記第2電力量計との間における電気設備で損失される電気量に起因する誤差を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。
【請求項14】
前記遠隔サーバーは、あらかじめ定められた時刻に周期的に前記盗電の有無を判断することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の電気エネルギー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−58233(P2012−58233A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191369(P2011−191369)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】