説明

電気コネクタ

【課題】本発明はその一態様において、隣接する端子間の絶縁性を確保することにより、信号接続の信頼性を高めることができる電気コネクタを提供する。
【解決手段】本発明はその一態様において、コネクタハウジング2が、組立時に相互に合体し、端子収容室8,9を区画形成する隔壁10,11をそれぞれ有するフロントハウジング3とリヤハウジング4とを備え、リヤハウジング4の隔壁11に、双方のハウジング3,4の合体時に変位して、フロントハウジング3の隔壁10に続く可動壁15が延長して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を相手方コネクタに電気的に相互接続する電気コネクタであって、コネクタハウジングの端子収容室に収容されている複数の端子の端子間ピッチが、コネクタハウジングの一端側と他端側において異なっている電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コネクタハウジングの他のコネクタとの嵌合部である一端側とケーブルや基板との接続部である他端側において、コネクタハウジングの端子収容室に収容されている複数の端子の端子間ピッチが異なっているコネクタ、いわゆるピッチ変換コネクタの従来の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1の第2頁左上欄第20行〜右上欄第9行には、コネクタハウジングに収容される端子の接触部のピッチと結線部のピッチとが異なっていることを説明する記述があり、「図でわかるように接触部11のピッチすなわち11aと11bの間隙Bは対となる図示しないプラグに対応するピッチであり、他方、結線部12のピッチすなわち12aと12bの間隙Aは結線すべき図示しないフラットケーブルに対応するピッチとなっている。」と記載されている。
【0003】
また、特許文献1の図2には、複数の端子がコネクタハウジングに所定の間隔で収容されている状態が示されている。第2頁左上欄第9行〜第13行に記載されているように、端子は、長手方向の一方の側にプラグと接続する接触部を有し、長手方向の他方の側にケーブルと接続する結線部を有し、接触部と結線部との間に折り曲げ連結片を有している。個々の端子の接触部と結線部は、コネクタハウジングの壁部により保持されると共に、隣接する端子の接触部と結線部とにそれぞれ接触しないように相互に絶縁されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−170870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
隣接する端子間に絶縁壁が配置されていないと、コネクタハウジングの内部に侵入したダストや異物などにより短絡する可能性がある。特に、隣接する端子間の間隔が狭い場合に、このような問題を生じる可能性が高い。コネクタハウジングの内部へのダストや異物の侵入は、コネクタの組立時に生じる心配があるが、コネクタの使用中、例えば着脱時においても起こる心配がある。コネクタに高電圧、大電流が供給される場合には、隣り合う端子の短絡の危険性が大きくなる。
【0006】
本発明はその一態様において、隣接する端子間の絶縁性を確保することにより、信号接続の信頼性を高めることができる電気コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はその一態様において、コネクタハウジングの端子収容室に収容されている複数の端子の端子間ピッチが、コネクタハウジングの一端側と他端側において異なっている電気コネクタであって、前記コネクタハウジングが、組立時に相互に合体し、前記端子収容室を区画形成する隔壁をそれぞれ有する第1ハウジングと第2ハウジングとを備え、一方のハウジングの前記隔壁に、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの合体時に変位して、他方のハウジングの前記隔壁に続く可動壁が延長して設けられている、電気コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明による電気コネクタによれば、一方のハウジングの隔壁に、第1ハウジングと第2ハウジングの合体時に変位して、他方のハウジングの隔壁に続く可動壁が延長して設けられているから、可動壁が端子収容室の区画形成する隔壁の一部となり、これにより、隣接する端子の絶縁性が確保され、信号接続の信頼性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態による電気コネクタの分解斜視図である。
【図2】図1に示す電気コネクタの端子収容室に収容されている端子を示す断面図である。
【図3】同じく図1に示す電気コネクタの内部を示す断面図である。
【図4】図1に示す電気コネクタの第1ハウジングと第2ハウジングが分解している状態を示す斜視図である。
【図5】同じく図1に示す電気コネクタの組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の電気コネクタは、コネクタハウジングの一端側と他端側において複数の端子の端子間ピッチが異なっているピッチ変換コネクタである。電気コネクタの適用範囲は、本実施の形態に制限されるものではなく種々の電気部品の電気的な相互接続に適用可能である。一例としては、本発明の電気コネクタは、FA(Factory Automation)機器のシーケンサの出力インターフェースにコネクタ接続するために適用することができ、コネクタハウジングが、組立時に相互に合体する前後二つの第1ハウジングと第2ハウジングとを備え、一方のハウジングの端子収容室を区画形成する隔壁に、前後二つのハウジングの合体時に変位して、他方のハウジングの隔壁に続く可動壁が延長形成されている。これにより、本発明の電気コネクタは、隔壁に延長形成された可動壁により端子収容室の独立性が確保され、隣接する端子が相互に絶縁されて、信号接続の信頼性が高まる。
【0011】
以下図面を参照しながら、本発明の電気コネクタを説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る電気コネクタが示されている。図示するように、本実施形態の電気コネクタ1は、端子が一列に並んだ5極コネクタであり、複数の端子収容室8,9を有するコネクタハウジング2と、個々の端子収容室8,9に収容される端子40とを備えている。端子40は、導電性の金属板から金属プレス工程にて打ち抜かれた打抜き片を折り曲げることにより形成されたものであり、本実施の形態に制限されるものではないが、3種類の端子41,44,47から構成することができる。第1の端子41は、相手方コネクタ(図示しない)の雄型端子50に接続する雌型電気接触部(端子接触部)42aを有する雌端子であり、第2の端子44は、ケーブル(電線)51に接続するケーブル接続部(電線接続部)45bを有するケーブル用端子であり、第3の端子47は、第1の端子41と第2の端子44との間に位置して端子間ピッチを調整する中継端子である。本実施形態の第3の端子47には、形状の異なる5種類の端子が使用されている。第1の端子41及び第2の端子44には、同一形状及び同一サイズの1種類の端子がそれぞれ使用されている。
【0012】
本実施の形態では、第1〜第3の端子41,44,47をアセンブリして使用することで、複雑形状の端子40の製造が容易になる。第1の端子41及び第2の端子44は、それぞれ同一形状の端子である。第3の端子47は、5種類の異なる形状の端子である。また、本実施形態において、第2の端子44と第3の端子47は、端子間でケーブル51の導体部52aを挟む構造なし、それぞれが別部品として形成されているが、ケーブル51の導体部52aが音叉状の圧接部などに圧接されるものであれば、第2の端子と第3の端子を一体部品として形成することもできる。第1の端子41は、フロントハウジング3に収容される端子の第1の部分に相当し、第2の端子44及び第3の端子47はリヤハウジング4に収容される第2の部分に相当する。本実施形態では、第2の端子44が導電性を有する材料から形成されているが、第2の端子44はそのばね力によりケーブル51の導体部52aを付勢し、ケーブル51の導体部52aと第3の端子47のケーブル接続用板部48aとを接触させるものであるため、第2の端子44が導電性を有しない材料から形成されることもできる。
【0013】
図2には、第1〜第3の端子41,44,47がコネクタ1の内部でアセンブリされた状態が示されている。第1の端子41の一端に形成された雌型電気接触部42aは、上下に対向する一対のばね接触片42bを有している。相手方コネクタの雄型端子50は、一対のばね接触片42bの対向する間隔が最も狭い先端側に挿入されて、一対のばね接触片42bのばね力で挟持されるようになっている。第1の端子41の他端には、上側のばね接触片42bの端部を下向きに約90゜折り曲げることにより形成された接触部43が形成されている。この接触部43には、第3の端子47の端部が所定の接触圧力で当接するようになっている。第2の端子44は、基部45aと、基部45aの一側に続いて延長し基部45aとの間で鋭角をなすケーブル接続部45bと、基部45aの他側に続いて延長し基部45aとの間で鋭角をなすと共に、彎曲形成された先端でケーブル接続部45bの内面に当接してケーブル接続部45bをばね弾性で支持するばね支持部45cとを有している。
【0014】
第3の端子47は、第2の端子44のケーブル接続部45bとの間でケーブル51の導体部52aを挟持するフラット状で幅広のケーブル接続用板部48aと、板部48aの一端が約90゜下向きに折曲形成された折曲部48bと、折曲部48bに続く幅狭のピッチ調整部48cとを有している。第3の端子47のケーブル接続用板部48aと折曲部48bは、第3の端子47の共通する部分として形成されている。他方、第3の端子47のピッチ調整部48cは、個々の端子47によって形状が異なっており、第3の端子47が横一列に配置された状態において、中央に位置する第3の端子47のピッチ調整部48cは真直に形成されているが、中央から離れて位置する第3の端子47のピッチ調整部48cは、根本(基部)側を支点として中央寄りに曲げられている。ケーブル51の絶縁被覆が皮剥きされて露出した導体部52aは、第2の端子44のケーブル接続部45bと第3の端子47のケーブル接続用板部48aとの間にリヤハウジング4のケーブル挿入孔29bより挿入され、ケーブル接続部45bのばね力によりケーブル接続用板部48aとケーブル接続部45bとの間で保持されるようになっている。ケーブル接続部45bは、ばね支持部45cとの協働によりばね力を発現するように構成されている。ばね力の強さは、ケーブル51に不用意な引っ張り力が作用した場合であっても、ケーブル51がケーブル接続用板部48aとケーブル接続部45bとの間から抜けないように設定されている。
【0015】
なお、本実施形態では、ケーブル51の導体部52aがケーブル接続用板部48aとケーブル接続部45bとの間に直接に挿入されているが、導体部52aに棒端子(図示せず)が装着された状態でケーブル接続用板部48aとケーブル接続部45bとの間に挿入することも可能である。棒端子を使用する場合は、ケーブル51の導体部52aをケーブル接続用板部48aとケーブル接続部45bとの間に挿入する際に、例えばケーブル51の導体部52aの腰が折れる場合に有効である。また、本実施形態では、ケーブル51の挿入を容易にするために、ケーブル接続部45bの外面を押圧し、ばね力に抗してケーブル接続部45bを下向きに撓ませるためのレバー16を備えている。このレバー16は、ケーブル接続用板部48aとケーブル接続部45bとの間からケーブル51を抜き出す際に使用することもできる。このレバー16は、リヤハウジング4の後壁29に形成された孔29aにスライド自在に装着されている。
【0016】
図1を再び参照すると、コネクタハウジング2は、別部品である前後二つのフロントハウジング(第1ハウジング)3とリヤハウジング(第2ハウジング)4とから構成されている。二つのハウジング3,4は、絶縁性を有する高分子材料から射出成形されたものであり、コネクタ1の組立時に合体して一体化される。合体した状態を維持するために、リヤハウジング4に対するフロントハウジング3の合体部分の上壁20及び下壁21に複数の係止爪23が突出して設けられ、他方、フロントハウジング3に対するリヤハウジング4の合体部分の上壁26及び下壁27に複数の係止爪23に係合する係合孔30が貫通して設けられている。また、フロントハウジング3の合体部分の両側壁22に係止溝24が設けられ、リヤハウジング4の合体部分の両側壁28に係止溝24に係合する係止突部31が設けられている。
【0017】
第1〜第3の端子41,44,47は、コネクタハウジング2に位置決めされた状態でそれぞれ収容されている。フロントハウジング3の端子収容室8に収容される第1の端子41は、図2及び3に示すように、係止片42cが端子収容室8の隔壁10及び側壁5に設けられた段部10a,5aに当接することにより、フロントハウジング3(端子挿入方向又は長手方向)に対して位置決めされるようになっている。また、第1の端子41は、接触部43がピッチ調整部48cの先端に当接することにより、端子挿入方向の反対側へ移動しないようになっている。リヤハウジング4の端子収容室9に収容される第2の端子44は、図2に示すように、リヤハウジング4の後壁29の内面とフロントハウジング3の後壁19の外面との間で、前後(長手方向)に移動しないように配置されている。第3の端子47は、図2に示すように、ケーブル接続用板部48aの先端がリヤハウジング4の上壁26の段部26aに当接することにより、リヤハウジング4に対して位置決めされるようになっている。また、第3の端子47は、ピッチ調整部48cの先端が第1の端子41の接触部43に当接することにより、リヤハウジング4から抜け出さないようになっている。
【0018】
双方のハウジング3,4を合体させると(図5参照)、第1の端子41の接触部43と第3の端子47のピッチ調整部48cの先端とが互いに押し付けられて電気的に接触すると共に、第1の端子41の接触部43と第3の端子47のピッチ調整部48cの先端は、雄型端子50が雌型電気接触部42aに挿入され、ケーブル51の導体部52aが第2の端子44と第3の端子47の間に挿入されることで、より一層強い力で互いに突き当たるようになっている。第2の端子44は、ケーブル51の導体部52aを第3の端子47のケーブル接続用板部48aに電気的に接触させるためのものであり、変形例として、リヤハウジング4の下壁27に設けられた貫通孔にねじを取り付け、ねじの先端とケーブル接続用板部48aとの間でケーブル51の導体部52aを挟持することも可能である。
【0019】
リヤハウジング4の両側壁28の外面には、側壁28外面に連結する基部34aと、この基部34aに続いて相手方コネクタの方に向かって延長する腕部34bと、腕部34bの先端に係止用の爪部34cとを有する片持ち状の一対のロックアーム33が備わっており、一対のロックアーム33により相手方コネクタに対するコネクタ接続の状態が保持されるようになっている。
【0020】
フロントハウジング3は、図3及び図4に示すように、相手方コネクタに対する嵌合方向の前側に位置し、上述したように、隔壁10で仕切られた5つの端子収容室8に相手方コネクタの雄型端子50に接続する第1の端子41をそれぞれ収容する。リヤハウジング4は、コネクタ嵌合方向の後側に位置し、フロントハウジング3と同様に隔壁11で仕切られた5つの端子収容室9にケーブル51に接続する第2の端子44及び第3の端子47をそれぞれ収容する。双方のハウジング3,4の端子収容室8,9は、前後に貫通して設けられている。フロントハウジング3の隣接する端子収容室8の間隔は、リヤハウジング4の隣接する端子収容室9の間隔よりも狭くなっている。このため、フロントハウジング3の端子収容室8に収容される第1の端子41の隣接する端子間ピッチは、リヤハウジング4の端子収容室9に収容される第2の端子44及び第3の端子47の隣接する端子間ピッチよりも狭くなる。これにより、本実施形態のコネクタ1は、コネクタハウジング2の一端側と他端側において複数の端子間ピッチが異なっているピッチ変換コネクタとして機能している。
【0021】
一般に、隣接する端子収容室の間隔が異なっている二つのハウジングを合体させると、双方のハウジングの合体部分において個々のハウジングの端子収容室が位置ずれを生じる。隣接する端子収容室の間隔に依存するが、位置ずれが大きい場合には、コネクタの一端側から他端側に(前後方向に)渡って端子収容室を一様に連通させることができないことがある。このため、特許文献1では、端子のピッチが変わる部分に対応するコネクタの内部が中空に設けられている。本実施形態のコネクタ1は、リヤハウジング4の端子収容室9を区画形成する隔壁11に、フロントハウジング3側に向かって延びる可動壁15を延長して設け、双方のハウジング3,4を合体させた際に、可動壁15が端子形状に沿って変位するようにしたものである。可動壁15が変位することで、個室の独立性が確保された端子収容室が連通して設けられるものとなる。換言すれば、フロントハウジング3の隔壁10と、対応するリヤハウジング4の隔壁11と、可動壁15とが連続して、実質的に一体的な隔壁を構成するものとなる。
【0022】
可動壁15の態様は本実施形態に制限されるものではないが、図3及び4に示すように、横一列に並んでいる端子収容室9の両側に位置する端子収容室9を区画形成する隔壁11に片持ち状の可動壁15を設けることができる。可動壁15は、隔壁11に一体に連結する基部17aと、基部17aに続く先端部17bとを有し、双方のハウジング3,4の合体時に、可動壁15は基部17aを支点として斜めに傾くようになっている。なお、個々の隔壁11には、可動壁15のような態様で変位しない壁部を延長して設けてもよい。例えば、変位しない壁部には、横一列に並んでいる端子収容室9のうち中央側に位置する端子収容室9の隔壁11に設けられた壁部が該当する。可動壁15は、双方のハウジング3,4の合体時に、端子40(第3の端子47)のピッチ調整部48cに押されることで変位してフロントハウジング3の対応する隔壁10に端部が当接するが、変位しない壁部は、双方のハウジング3,4の合体時に、端子40に押されることなく、フロントハウジング3の対応する隔壁10に端部が当接するだけである。隔壁11に可動壁15を設けるか、又は変位しない壁部を設けるかは、ピッチ変換コネクタのフロントハウジング3の端子間ピッチとリヤハウジング4の端子間ピッチによって定まるものであり、全ての隔壁11に可動壁15を設けても良く、本実施形態のように一部の隔壁11に可動壁15を設けてもよい。また、本実施形態では可動壁15は基部17aを支点として斜めに傾くが、可動壁15全体が曲線状に撓んでもよい。
【0023】
本実施形態において、可動壁15は、双方のハウジング3,4の合体時に、第3の端子47のピッチ調整部48cに押されて変位するようになっているが、可動壁15が端子以外の部分に押されて変位するように構成することもできる。例えば、可動壁がフロントハウジング3の端子収容室8の内壁面に押されるようにすることもできる。また、端子が一体構造を有している場合などでは、端子を可動壁15が設けられているハウジング4に組み込んだ段階で可動壁15が変位するように構成することもできる。このような態様も本発明に包含される。
【0024】
図4に示すように、可動壁15は、隔壁11と略同一の厚みで、隔壁11の端部から所定長さ延長して設けられている。可動壁15の突出長さは、特に制限されるものではなく、可動壁15の端部が、双方のハウジング3,4の合体時にフロントハウジング3の隔壁11に当接することは必ずしも必要ではないが、隣接する端子間の短絡を確実に防止する観点から、可動壁15の先端がフロントハウジング3の隔壁10に当接できる程度の長さに設けることが好ましい。なお、可動壁15の先端を隔壁10に当接させる代わりに、もしくはそれに加えて、隔壁11の端部に段差部10bを設け、この段差部10bの近傍に可動壁15の先端が位置するようにして、可動壁15を隔壁10に続けてもよい。このように構成することで、必ずしも可動壁15の先端を隔壁10に当接させなくても、隣接する端子収容室8、9の隙間を異物が移動することを妨げることができ、隣接する端子間の短絡防止に効果がある。
【0025】
図3には、可動壁15の先端が隔壁11の側面に当接している状態が示されている。リヤハウジング4の中央に位置する二つの隔壁11には可動壁は設けられていないが、双方のハウジング3,4を合体させた際に、リヤハウジング4の中央に位置する隔壁11はフロントハウジング3の中央に位置する二つの隔壁10の先端側に当接するようになっている。これにより、コネクタ1の中央に位置する端子収容室8,9は隔壁10,11により端子収容室8,9の独立性が確保され、コネクタ1の中央に隣接する二つの端子収容室8,9は隔壁10,11及び可動壁15により端子収容室8,9の独立性が確保されようになっている。個々の端子収容室8,9は、隣接する端子収容室8,9と壁により隔てられているため、異物などを介して隣接する端子40が短絡するという問題を回避することが可能となる。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、リヤハウジング4の隔壁11に、双方のハウジング3,4の合体時に変位して、フロントハウジング3の隔壁10に続く可動壁15が延長して設けられているから、可動壁15が端子収容室8,9の区画形成する隔壁10,11の一部となり、これにより、隣接する端子40の絶縁性が確保され、信号接続の信頼性が高まる。本実施形態は、端子が一列に配置されたコネクタを対象としているが、端子が上下に2列以上に配置されたコネクタに関しても、本実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0027】
以上、本明細書では電気コネクタについて説明したが、本発明は開示した実施形態に制限されるものではなく、実施形態の変更や改良が許容されるものである。本明細書では可動壁15がリヤハウジング4の隔壁11に設けられているが、フロントハウジング3の隔壁10に設けることも可能である。また、本明細書では、端子40がそれぞれ別部品である3種類の端子41,44,47から構成されているが、一体的に形成された一部品の端子でもよく、また、第1の端子41と第3の端子47が一体的に形成された端子を用いてもよく、端子の構成は制限されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1 電気コネクタ
2 コネクタハウジング
3 フロントハウジング
4 リヤハウジング
8,9 端子収容室
10,11 隔壁
40 端子
41 第1の端子
44 第2の端子
47 第3の端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングの端子収容室に収容されている複数の端子の端子間ピッチが、コネクタハウジングの一端側と他端側において異なっている電気コネクタであって、
前記コネクタハウジングが、組立時に相互に合体し、前記端子収容室を区画形成する隔壁をそれぞれ有する第1ハウジングと第2ハウジングとを備え、
一方のハウジングの前記隔壁に、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの合体した状態で変位して、他方のハウジングの前記隔壁に続く可動壁が延長して設けられている、電気コネクタ。
【請求項2】
前記可動壁は、前記隔壁に一体に連結する基部と該基部に続く先端部とを有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの合体時に、前記可動壁は前記基部を支点として斜めに傾き、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの連通する前記端子収容室を形成する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記端子は、長手方向の一側に相手方コネクタの端子に接続する端子接続部を有し、長手方向の他側に電線に接続する電線接続部を有し、前記端子接続部と前記電線接続部との間にピッチ調整部を有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの合体時に、前記ピッチ調整部により前記可動壁が変位させられる、請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1ハウジングに収容される前記端子の第1部分と、前記第2ハウジングに収容される前記端子の第2部分とが別体として形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの合体時に、前記端子の第1部分と前記端子の第2部分とが所定の接触圧力で相互に電気的に接触する、請求項1〜3の何れか1項に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−267548(P2010−267548A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119198(P2009−119198)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】