説明

電気トリーイングが抑制されたケーブル絶縁材

ケーブルにおけるトリーイングが、ポリオレフィンポリマーと非局在化電子構造を有する添加剤とを含む絶縁層の使用により抑制される。この添加剤は、カロテノイド、カロテノイド類似体、カロテノイド誘導体、導電性ポリマーまたはこのような材料の2種以上の組合せであり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィンポリマーと、非局在化電子構造を有するオリゴマーまたはポリマーとを含む組成物に関する。一態様において、本発明は、ケーブルおよびワイヤに関する。別の態様において、本発明は、絶縁層を備える電力ケーブルに関し、さらに別の態様において、本発明は、絶縁層が、ポリオレフィンポリマーと、高分子量および非局在化電子構造を有するオリゴマーまたはポリマーとを含む組成物を含む、電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー組成物は、ワイヤおよびケーブルの主要な絶縁材料として広範に使用されている。絶縁材料として、組成物は、様々な物理的および電気的特性、例えば、機械的カットスルーに対する耐性;耐ストレスクラック性;および絶縁破損(dielectric failure)を有することが重要である。残念ながら、高圧ケーブルにポリマー組成物を有効に使用することは、「トリーイング(treeing)」と呼ばれる劣化過程によって妨げられてきた。
【0003】
トリーイングは、木のような外観の故にその名前を有するマイクロチャネルまたはチューブを結果的に生成する、絶縁材への電子およびイオンの衝撃によって引き起こされ、絶縁材の比較的ゆっくりとした進行性の劣化である。トリーは、高電圧サージの間のイオン化(コロナ)の作用によって、ポリマー絶縁材にとって異質である汚染物質またはボイドの箇所で始まる。一旦、トリーが始まると、それは通常、特にさらなる高電圧サージの間に、成長し、決まっていないある時間で、絶縁破損が起こり得る。
【0004】
2つのタイプのトリーイング:(1)電気トリーイング、および(2)水トリーイングがある。水または電気化学トリーは、水の存在下で、また特に低電圧で、生成する。水がない場合、生成するトリーは電気トリーと呼ばれる。
【0005】
電気トリーイングは、誘電体を分解する内部放電により生じる。高電圧インパルスは電気トリーを生成し得る。電極/絶縁材の境界(これは欠陥を含み得る)への交流電圧の印加により生じる損傷は、工業的に重要である。この場合、非常に大きな局在化された応力勾配が存在し得る、また十分な時間で、トリーの開始および成長に至り得る。
【0006】
トリーの生成の可能性を抑制するために用いられる、一般的に行われることは、ポリマー組成物に添加剤(これらは、しばしば、「電圧安定剤(voltage stabilizer)」と呼ばれる)を導入することである。添加剤は、(1)高エネルギー電子を化学的に捕捉するように;(2)放電経路の成長を電気的に遅くするように;(3)内部キャビティの表面を導電性にするように;(4)場の勾配を緩くするようにバルクのコンダクタンスを増大させるように;また(5)トリーの拡大を物理的に阻むように、様々な仕方で機能する。ガス、オイル、液体、ワックス酸化防止剤、触媒安定剤、および低吸湿性の無機フィラーは、全て、この目的のためのコンパウンディング剤としての候補である。
【0007】
電圧安定剤、例えば、アセトフェノン、フルオランテン、ピレン、ナフタレン、o−ターフェニル、ビニルナフタレン、クリセン、アントラセン、アルキルフルオロランテンおよびアルキルピレンは、電子を捕捉し失活させて、トリーイングを抑制すると考えられる。しかし、電圧安定剤の揮発性、移動、低い溶解性、および毒性のために、それらの工業的成功は限定的であった。化合物の揮発性が余りに大きいと、その化合物は表面に移動し、蒸発するので、化合物の効果はなくなる。さらに、前記化合物は毒性であるため、望まれない場所への化合物の移動は、問題が多い。
【0008】
シリコーンには、抗トリーイングの分野において限られた用途が見出されてきた。米国特許第3956420号は、水中でのポリエチレンの絶縁耐力およびその課電寿命(voltage endurance)を向上させるために、8−置換キノリン中のフェロセンとシリコーン液体との組合せの使用を開示する。米国特許第4144202号は、エポキシ基を含むオルガノシランを用いることによって、エチレンポリマー組成物の水トリーイングを抑制する。さらに、米国特許第4263158号は、エチレンポリマーの水トリーイングを抑制するために、炭素−窒素二重結合を含むオルガノシランの使用を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
主要な絶縁材における水トリーの成長および電気トリーの成長は、トリーイングがやはり絶縁破損に結び付くので、依然として重要な問題のままである。したがって、トリーイングを抑制するまたは遅らせることができ、毒性が低く、揮発性が低く、ポリオレフィンとの相溶性が良好な電圧安定剤が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態において、本発明はポリオレフィンポリマーと、非局在化電子構造を有する電圧安定剤とを含む絶縁層を備える電力ケーブルである。別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンポリマーと、非局在化電子構造を有する電圧安定剤とを含む組成物である。さらに別の実施形態において、本発明は、ケーブルにおける電気トリーイングを抑制するための方法である。さらに別の実施形態において、本発明での電圧安定剤は、高分子量で非局在化電子構造の導電性オリゴマーまたはポリマーである。別の実施形態において、本発明での電圧安定剤は、低い毒性、低い揮発性、ならびにポリオレフィンおよび関連ポリマーとの混和性を有する。さらに別の実施形態において、本発明は、カロテノイド、カロテノイド類似体、カロテノイド誘導体、導電性ポリマー、カーボンブラックおよびこれらの組合せに関する。さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも0.0eVの電子親和力を有する電圧安定剤、好ましくは少なくとも5eVの電子親和力を有する電圧安定剤、より好ましくは、少なくとも10eVの電子親和力を有する電圧安定剤を含む電力ケーブルに関する。さらに別の実施形態において、本発明は、8eVを超えないイオン化エネルギーを有する電圧安定剤を含む電力ケーブルに関し、好ましくは、イオン化エネルギーは5eVを超えず、より好ましくは、イオン化エネルギーは、3eVを超えない。さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも0.0eVの電子親和力、および8eVを超えないイオン化エネルギーを有する電圧安定剤を含む電力ケーブルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】断熱電子親和力(EA標識軸)およびイオン化エネルギー(IE標識軸)へのモル電圧差(Molar Voltage Difference)の依存性を示す等高線プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示における数値の範囲はおおよそのものであり、したがって、特に断らなければ、範囲外の値を含み得る。数値範囲は、下限値および上限値を含めて、ある下限値とある上限値との間が少なくとも2単位離れているとして、1単位ずつの増加で、下限値から上限値の全ての値を含む。例として、例えば、分子量、粘度、メルトインデックスなどのような、組成上の、物理的なまたは他の特性が、100から1,000である場合、全ての個々の値、例えば、100、101、102など、および従属範囲、例えば、100から144、155から170、197から200、などが明示的に挙げられることが意図されている。1未満である値を含む、または1を超える分数(例えば、1.1、1.5、など)を含む範囲では、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01または0.1であると見なされる。10未満の単一数字を含む範囲(例えば、1から5)では、1単位は通常、0.1であると見なされる。これらは、具体的に意図されているものの例にすぎず、挙げられる最低値と最大値の間の数値の全ての可能な組合せが、本開示では、明白に述べられていると見なされるべきである。数値範囲は、本開示内において、特に、組成物に対する電圧安定剤の量、および組成物に対するカロテノイド、カロテノイド類似体、カロテノイド誘導体、カーボンブラックまたは導電性ポリマーの量について与えられる。
【0013】
「ケーブル」、「電力ケーブル」、および類似の用語は、保護ジャケットまたはシース内の少なくとも1本のワイヤまたは光ファイバを意味する。通常、ケーブルは、典型的には共通の保護ジャケットまたはシース内に、一緒に束ねられた2本以上のワイヤまたは光ファイバである。ジャケット内の個々のワイヤまたはファイバは、裸であることも、被覆されているまたは絶縁されていることもある。組合せケーブルは、電気ワイヤおよび光ファイバの両方を含み得る。ケーブルなどは、低、中および高電圧用途向けに設計され得る。典型的なケーブル設計は、米国特許第5246783号、米国特許第6496629号および米国特許第6714707号に例示されている。
【0014】
「ポリマー」は、同じまたは異なる種類のいずれかのモノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を意味する。したがって、一般的用語であるポリマーは、ホモポリマー(通常、1種類のモノマーだけから調製されるポリマーを表すために用いられる)という用語、および下で定義されるインターポリマーという用語を包含する。
【0015】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。この一般的用語は、コポリマー(通常、2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを表すために用いられる)、および、3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
【0016】
「ポリオレフィン」、「PO」および類似の用語は、単なるオレフィンから誘導されるポリマーを意味する。多くのポリオレフィンは熱可塑性であり、本発明の目的では、ゴム相を含み得る。代表的なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、およびそれらの様々なインターポリマーが含まれる。
【0017】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」および類似の用語は、2種以上のポリマーの組成物を意味する。このようなブレンドは、混和性であることもないこともある。このようなブレンドは、相分離していることもしていないこともある。このようなブレンドは、透過電子顕微鏡、光散乱、x−線散乱、および当技術分野において知られている任意の他の方法により求められる、1種または複数のドメイン形態を含むことも含まないこともある。
【0018】
「カロテノイド」は、文献に記載されている700種類を超える天然に産するカロテノイド、およびそれらの立体−および幾何異性体を意味する。含酸素官能基をもたないカロテノイドは、それらの炭化水素の性質を反映して、「カロテン」と呼ばれる;含酸素カロテンは「キサントフィル」として知られている。
【0019】
「カロテノイド類似体」および「カロテノイド誘導体」は、天然に産するかまたは合成のカロテノイドから誘導される化合物または化学的組成物を意味する。カロテノイド類似体およびカロテノイド誘導体のような用語は、また、広く、非カロテノイド系親化合物から合成により誘導されたが、カロテノイド由来類似体に実質的に似ている化合物または化学的組成物も表し得る。「誘導体」は、別の物質から、直接あるいは修飾または部分的置換によるかのいずれかで誘導される化学物質を意味する。「類似体」は、構造において別のものに似ているが、必ずしも異性体ではない化合物を意味する。典型的な類似体または誘導体には、トリーイングン対する同等のまたは向上した耐性を示すが、親化合物と構造的には異なる分子が含まれる。このような類似体または誘導体には、これらに限らないが、スペーサー(リンカー)を有するまたは有さない、エステル、エーテル、カルボナート、アミド、カルバマート、リン酸エステルおよびエーテル、スルファート、グリコシドエーテルが含まれ得る。
【0020】
原子または分子の「イオン化ポテンシャル」および「イオン化エネルギー」(E)は、1モルの孤立した気体原子またはイオンから1モルの電子を取り出すのに必要とされるエネルギーを意味する。イオン化ポテンシャルは、電子を譲り渡す原子またはイオンの「抵抗(reluctance)」、または電子が束縛されている「強さ」の尺度であり、イオン化エネルギーが大きいほど、電子を取り出すことが一層困難である。イオン化ポテンシャルは、元素の反応性を示すものである。小さいイオン化エネルギーを有する元素は、還元剤であり、塩を生成する傾向がある。
【0021】
「電子親和力」は、気相の中性原子が余分の電子を獲得して負に帯電したイオンを生成するときに放出されるエネルギーを意味する。
【0022】
「垂直電子親和力」は、最適化された中性分子のエネルギーと最適化されていないラジカルアニオンのエネルギーとの間のエネルギー差を意味する。
【0023】
「断熱電子親和力」は、最適化された中性分子のエネルギーと最適化されたラジカルアニオンのエネルギーとの間の差を意味する。
【0024】
一実施形態において、本発明は、ポリオレフィンポリマーと、非局在化電子構造を有する電圧安定剤とを含む組成物に関し、これらは、抗トリーイング剤として機能する。毒性が低く、揮発性が低く、またポリオレフィンとの相溶性が良好な電圧安定剤が、本発明において使用され得る。高分子量で非局在化した電子構造のオリゴマーまたはポリマーは、本発明において電圧安定剤として使用でき、それらには、これらに限らないが、カロテノイド、カロテノイド類似体、カロテノイド誘導体、導電性ポリマー、カーボンブラックおよびこれらの組合せが含まれる。
【0025】
高分子量のオリゴマーおよびポリマーは、通常、少なくとも10,000、好ましくは少なくとも20,000、より好ましくは少なくとも60,000の数平均分子量(M)を有する。通常、オリゴマーおよびポリマーのMは、250,000を超えず、好ましくは、Mは100,000を超えず、より好ましくは、Mは80,000を超えない。
【0026】
カロテノイド
カロテノイドは、主に、植物、酵母菌、および微細藻類によって産出される一群の天然顔料である。関連化合物のファミリーは、ZおよびE異性体を除いて、今や、700種を超える記載メンバーの数に達する。全てのカロテノイドは、共通の化学的特徴、例えば、ポリイソプレノイド構造、発色団を形成する長いポリエン鎖、および中央の二重結合の回りの近似的対称性を共有する。2つのC20ゲラニルゲラニル二リン酸分子の尾部−尾部の結合が、親のC40炭素骨格を生成する。
【0027】
キラル中心を有するカロテノイドは、R(rectus、右)またはS(sinister、左)の立体配置のいずれかとして存在し得る。例として、アスタキサンチン(3および3’炭素に2つのキラル中心を有する)は、4つの可能な立体異性体:3S、3’S;3R、3’Sおよび3S、3’R(メソ形);または、3R、3’Rとして存在し得る。各立体異性体の相対比率は、自然の供給源によって変わり得る。
【0028】
これらに限らないが、アンテラキサンチン、アクチニオエリトリンアドニキサンチン、アロキサンチン、アスタセイン(astacein)、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプソルブリン、ベータ−クリプトキサンチン、アルファ−カロテン、ベータ−カロテン、イプシロン−カロテン、エキネノン、ガンマ−カロテン、ゼータ−カロテン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、クロロバクテン、アルファ−クリプトキサンチン、クロセチン、クロセチンセミアルデヒド、クロシン、クルスタキサンチン、クリプトカプシン、シンチアキサンチン、デカプレノキサンチン、ジアトキサンチン、7,8−ジデヒドロアスタキサンチン、ジアジノキサンチン、エッショルツキサントチン、エッショルツキサントン、フレキシキサンチン、フコキサンチン、フコキサンチノール、ガザニアキサンチン、ホプキンシアキサンチン、ヒドロキシスフェリオデノン(hydroxyspheriodenone)、イソフコキサンチン、イソレニエラテン、ラクツカキサンチン、ロロキサンチン、ルテイン、ルテオキサンチン、リコペン、リコペルセン、リコキサンチン、ネオキサンチン、ネオクロム、ノイロスポレン、ヒドロキシノイロスポレン、ノナプレノキサンチン、オケノン、オシラキサンチン(oscillaxanthin)、パラセントロン、ペクテノロン、ペクテネオキサンチン(pecteneoxanthin)、ペリジニン、フレイキサントフィル(phleixanthophyll)、フェニコノンデヒドロアドニルビン(phoeniconone dehydroadonirubin)、フェニコプテロン(phoenicopterone)、フィトエン、フィトフルエンヘキサヒドロリコペン、ピロキサンチニノール(pyrrhoxanthininol)、ロドピン、ロドピングルコシド、ロドピノールワルミンゴール(rhodopinol warmingol)、ロドキサンチン、ロドビブリン、ルビキサントン(rubixanthone)、サプロキサンチン、セミ−α−カロテン、セミ−β−カロテン、シンタキサンチン、シホネイン、シホナキサンチン、スフェロイデン、スフェロイデノン、スピリロキサンチン、タンゲラキサンチン(tangeraxanthin)、トルレン、トルラルホジンアルデヒド、トルラルホジン、トルラルホジンメチルエステル、ウリオリド、ウリオリドアセタート、バウケリアキサンチン、ビオラキサンチン、キサントフィル、ゼアキサンチンβ−ジグルコシド、α−ゼアカロテン、およびゼアキサンチンを含めて、任意のカロテノイド、カロテノイド類似体、またはカロテノイド誘導体が、本発明において有用である。さらに、本発明は、ヒドロキシ−、メトキシ−、オキソ−、エポキシ−、カルボキシ−、もしくはアルデヒド官能基、またはグリコシドエステル、またはスルファートを生じるこれらの分子の誘導体化を包含する。
【0029】
全てのカロテノイドは、共役二重結合の長い中央鎖を有する、非環式C4056前駆体構造(下の式I)から、(i)水素化、(ii)脱水素化、(iii)環化、または(iv)酸化、あるいはこれらの過程の何らかの組合せによって、形式的には誘導され得る。
【0030】
【化1】


式I
この部類には、また、炭素骨格(I)の一定の再配列により、またはこの構造の一部の(形式上の)除去によって生じる特定の化合物も含まれる。カロテノイド、カロテノイド類似体、およびカロテノイド誘導体は、化学合成によって製造され得る。
【0031】
β−カロテン(式II)の全合成に一般に用いられる2つの工業的方法がある。第1は、Badische Anilin−& Soda−Fabrik(BASF)によって開発されたものであり、ウィッティヒ反応に基づく。第2は、Inhoffen等の元々の合成からHoffman−La Rocheによって精巧に仕上げられたグリニャール反応である。それらはいずれも対称的である;BASFの合成はC20+C20であり、Hofffman−La Rocheの合成はC19+C+C19である。
【0032】
【化2】


式II
【0033】
カロテノイドはまた、組換えDNA技術を用いても製造できる。米国特許第6969595号は、様々なカロテノイド化合物を産出する能力を有する組換え生物を生み出す方法を開示する。カロテノイド化合物の生合成に関与する遺伝子は、唯一のエネルギー源として単一炭素基質を用いることができる微生物において発現され得る。このような微生物は、C1代謝型(metabolizer)と呼ばれる。C1代謝型には、これらに限らないが、メチロトローフおよび/またはメタノトローフが含まれる。宿主微生物は、多くのカロテノイドの前駆体であるイソペンテニルピロリン酸(IPP)を合成する能力を有するものを含めて、任意のC1代謝型であり得る。
【0034】
特定のカロテノイドは、商業用の供給元から得ることができる。例えば、アスタキサンチン、ベータ−カロテン、リコペン、およびキサントフィルは、Sigma Aldrich(St.Louis、MO)から入手できる。合成アスタキサンチンは、大きな製造業者、例えば、Hoffmann−LaRoche AG、Buckton Scott(米国)、またはBASF AGによって製造されており、エステル化されていない遊離のアスタキサンチンの1:2:1の立体異性体混合物[3S、3’S;3R、3’S、3’R、3S(メソ);3R、3’R]という一定の幾何異性体混合物として提供されている。
【0035】
アントシアニン(これは、非局在化電子構造を有するオリゴマーである)もまた、本発明において使用され得る。アントシアニンの例には、これらに限らないが、オーランチニジン、シアニジン(cyaniding)、デルフィニジン、ユウロピニジン(europinidin)、ルテオリンジン(luteolindin)、ペラルゴニジン、マルビジン、ペオニジン、ペチュニジン、およびロシニジンが含まれる。
【0036】
導電性ポリマー
導電性ポリマーもまた、抗トリーイング剤として本発明において使用され得る。導電性ポリマーは、共役ポリマー、すなわち、伸びたp−軌道系(これを通して、電子がポリマーの一方の端から他方の端へ動くことができる)を有する有機化合物である。導電性ポリマーは、化学的および/または電気化学的処理によって、p−および/またはn−レドックスドーピングのいずれかを受ける。導電性ポリマーは、その骨格に沿って散在するπ−共役電子を有し、ドーピング後に、非局在化電子構造を含む。p−ドーピングは、π−系の部分酸化を含み、他方、n−ドーピングは、π−系の部分還元を含む。ポリアニリンは、多数のプロトン酸によってドーピングを受ける。これらの材料の伝導度は、ポリマー骨格の化学的操作によって、ドーパントの性質によって、ドーピングの度合いによって、また、他のポリマーとのブレンドによって調整できる。さらに、ポリマー材料は、軽量で、加工が容易で、柔軟性がある。
【0037】
導電性ポリマー内の可動イオンは、ポリマー絶縁材の絶縁性を低下させ得る。非局在化電子構造を有し、可動イオンを有さない導電性ポリマーが使用され得る。使用され得る導電性ポリマーには、これらに限らないが、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリピロール、ポリアリーレン、ポリエチレンジオキシチオペン(polyethylenedioxythiopene)、ポリフェニレン、ポリ(ビスチオフェンフェニレン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリヘプタジイン、ポリ複素芳香族ビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリメチルピロール、ポリナフタレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンスルフィド、ラダー型ポリパラフェニレン、ポリアリーレンビニレン、ポリアリーレンエチニレン、ポリフェニレンビニレン、アルキル置換ポリパラ−フェニレンビニレン、ポリ(2,5 ジアルコキシル)パラフェニレンビニレン、ポリオキシフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、これらのポリマーの様々な誘導体、これらのポリマーの有機金属誘導体、これらのポリマーの無機誘導体またはブロックコポリマーが含まれる。使用され得る他の導電性ポリマーは、Tede A. Skotheim、Ronald L. Elsenbaumer、John R. Reynoldsによる「導電性ポリマーハンドブック(Handbook of Conducting Polymers)」(Marcel Dekker;改定増補第2版(1997年11月1日))に記載されている。可溶性導電性ポリマーもまた、本発明において使用され得る。さらに、分散が容易である可溶性導電性ポリマーもまた、Gorman等(J. Am. Chem. Soc.、1993年、115:1397〜1409頁)に記載されているように、使用できる。
【0038】
さらなる例には、これらに限らないが、ポリマーバインダー、例えば、ポリ(スチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニル3−ブロモベンゾアート)、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(n−プロピルメタクリラート)、ポリ(イソブチルメタクリラート)、ポリ(1−ヘキシルメタクリラート)、ポリ(ベンジルメタクリラート)、ビスフェノール−Aポリカルボナート、ビスフェノール−Zポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリ(ビニルブチラール)、ポリスルホン、ポリホスファジン、ポリシロキサン、ポリアミドナイロン、ポリウレタン、ゾルゲルシルセスキオキサン、およびフェノキシ樹脂が含まれる。
【0039】
高分子量の導電性ポリマーは、通常、少なくとも2,000、好ましくは少なくとも10,000、より好ましくは少なくとも20,000のMを有する。通常、オリゴマーおよびポリマーのMは、750,000を超えず、好ましくは、Mは500,000を超えず、より好ましくは、Mは250,000を超えない。
【0040】
導電性ポリマーの合成は、よく知られており、記載されている。例えば、チオフェンモノマーの重合は、例えば米国特許第5300575号に記載されており、アニリンモノマーの重合は、例えば米国特許第5798170号に記載されている。
【0041】
導電性ポリマーは、可溶性の酸の存在下で、導電性ポリマーを生成するように、1種または複数のモノマーの酸化重合によって製造され得る。この酸は、ポリマーまたは非ポリマーの酸であり得る。重合は通常、均質な溶液で、好ましくは均質な水溶液で実施される。導電性ポリマーを得るための重合は、水および有機溶媒のエマルジョン中で実施される。一般的に、酸化剤および/または触媒の適切な溶解性を得るために、いくらかの水が存在する。酸化剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどが使用され得る。触媒、例えば、塩化第二鉄、または硫酸第二鉄もまた存在し得る。得られる重合生成物は、ドーピングされた導電性ポリマーの溶液、分散体、またはエマルジョンであろう。
【0042】
特定の導電性ポリマーは商業用の供給元から入手できる。ポリピロールおよび非ポリマーの有機酸アニオンの水性分散体が、Sigma−Aldrich(St.Louis、Mo)から入手できる。ポリ(2,3−エチレンジオキシチオフェン)の水性分散体は、H.C.Starck,GmbH.(Leverkusen、ドイツ)から入手できる。ドーピングされたポリアニリンの水性および非水性分散体、ならびにドーピングされたポリアニリンの固体が、Covion Organic Semiconductors GmbH(Frankfurt、ドイツ)、またはOrmecon(Ambersbek、ドイツ)から入手できる。
【0043】
カーボンブラック(これは、非局在化電子構造を有する高分子量物質である)もまた、本発明において使用され得る。平らなグラファイト状カーボンブラック粒子が本発明において使用され得る。個々のカーボンブラックグラファイト状粒子(これらは、重ならず、電気的に孤立している)は、高エネルギー電子(これらは、トリーイングに関与する)に対する非局在化電子吸い込み系(sink)として作用する。
【0044】
カーボンブラックは、製造条件に応じて様々な度合いで、それらに表面に化学吸着された酸素複合体(すなわち、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、フェノール基およびその他)を有する。これらに限らないが、200から1000m/gの表面積(窒素表面積(NSA)、ASTM D6556)を有するカーボンブラックを含めて、任意のカーボンブラックが本発明において使用され得る。カーボンブラックの原料(これは、The Dow Chemical Companyから入手できる)が、カーボンブラックの製造に使用され得る。カーボンブラックは市販されており、Columbian Chemical Company(Atlata、Ga)のような供給元から入手できる。
【0045】
電子親和力およびイオン化特性
いくつかの実施形態において、本発明での電圧安定剤は、少なくとも0.0eVの電子親和力、好ましくは少なくとも5eVの電子親和力、より好ましくは少なくとも10eVの電子親和力を有し得る。
【0046】
別の実施形態において、本発明での電圧安定剤は、8eVを超えないイオン化エネルギーを有することができ、好ましくはイオン化エネルギーは5eVを超えず、より好ましくはイオン化エネルギーは3eVを超えない。
【0047】
さらに別の実施形態において、本発明での電圧安定剤は、少なくとも0.0eVの電子親和力、好ましくは少なくとも5eVの電子親和力、より好ましくは10eVの電子親和力、および、8eVを超えないイオン化エネルギーを有することができ、好ましくはイオン化エネルギーは5eVを超えず、より好ましくはイオン化エネルギーは3eVを超えない。
【0048】
ポリオレフィン
本発明の実施に使用されるポリオレフィンは、従来のポリオレフィン重合技術、例えば、チーグラー−ナッタ、メタロセンまたは束縛形状(constrained geometry)触媒作用を用いて製造され得る。好ましくは、ポリオレフィンは、モノ−またはビスシクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニル遷移金属(好ましくは4族)触媒または束縛形状触媒(CGC)を、活性化剤と組み合わせて用い、溶液、スラリー、または気相重合法で製造される。触媒は、好ましくは、モノ−シクロペンタジエニル、モノ−インデニルまたはモノ−フルオレニルCGCである。溶液法が好ましい。米国特許第5064802号、WO93/19104およびWO95/00526は、束縛形状金属錯体およびそれらの調製方法を開示する。様々な置換インデニル含有金属錯体は、WO95/14024およびWO98/49212に教示されている。
【0049】
一般的に、重合は、チーグラー−ナッタまたはカミンスキー−シン型重合反応について当技術分野においてよく知られている条件で、すなわち、0〜250C、好ましくは30〜200Cの温度、および大気圧から10,000気圧(1013メガパスカル(MPa))の圧力で実施され得る。懸濁液、溶液、スラリー、気相、固体状態粉末重合または他のプロセス条件が、望まれる場合、用いられ得る。触媒は、担持されていても、担持されていなくてもよく、担体の組成は、広く変わり得る。シリカ、アルミナまたはポリマー(特に、ポリ(テトラフルオロエチレン)またはポリオレフィン)が、代表的な担体であり、触媒が気相重合法において使用される場合、望ましくは、担体が用いられる。担体は、触媒(金属に基づいて)と担体の重量比を、1:100,000から1:10、より好ましくは1:50,000から1:20、最も好ましくは1:10,000から1:30の範囲内にするのに十分な量で、好ましくは用いられる。ほとんどの重合反応において、用いられる触媒と重合性化合物のモル比は、10−12:1から10−1:1、より好ましくは10−9:1から10−5:1である。
【0050】
不活性液体が、重合に適する溶媒として使える。例には、直鎖および分岐鎖炭化水素、例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびこれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびこれらの混合物;ペルフルオロ炭化水素、例えば、ペルフルオロC4〜10アルカン;ならびに、芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンが含まれる。
【0051】
中(3から60kv)および高電圧(>60kv)絶縁用のポリオレフィンは、物理的設計として、しばしば、管状、またはオートクレーブである反応器内で、高圧で製造される。ポリオレフィンポリマーは、0.1から約50グラム/10分(g/10min)のメルトインデックス(MI、I)、および0.85から0.95グラム/立方センチメートル(g/cc)の間の密度を有する少なくとも1種の樹脂またはそのブレンドを含み得る。典型的なポリオレフィンには、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンメタロセン線状低密度ポリエチレン、および束縛形状触媒(CGC)エチレンポリマーが含まれる。密度は、ASTM D−792の手順によって測定され、メルトインデックスは、ASTM D−1238(190C/2.16kg)によって測定される。
【0052】
別の実施形態において、ポリオレフィンポリマーには、これらに限らないが、エチレンと、コポリマーの重量に対して少なくとも約5wt%のエステル含量を有する不飽和エステルとのコポリマーが含まれる。エステル含量は、しばしば、80wt%のように大きく、これらのレベルでは、主なモノマーはエステルである。
【0053】
さらに別の実施形態において、エステル含量の範囲は10から約40wt%である。重量パーセントはコポリマーの全重量に対するものである。不飽和エステルの例は、ビニルエステルならびにアクリル酸およびメタクリル酸のエステルである。エチレン/不飽和エステルのコポリマーは、従来の高圧法によって製造される。コポリマーは、約0.900から0.990g/ccの範囲の密度を有し得る。さらに別の実施形態において、コポリマーは、0.920から0.950g/ccの範囲の密度を有する。コポリマーはまた、約1から約100g/10minの範囲のメルトインデックスを有し得る。さらに別の実施形態において、コポリマーは、約5から約50g/10minの範囲のメルトインデックスを有し得る。
【0054】
前記エステルは、4から約20個の炭素原子、好ましくは4から約7個の炭素原子を有し得る。ビニルエステルの例は、ビニルアセタート、ビニルブチラート、ビニルピバラート、ビニルネオノナノアート、ビニルネオデカノアート、およびビニル2−エチルヘキサノアートである。アクリル酸およびメタクリル酸のエステルの例は、メチルアクリラート、エチルアクリラート、t−ブチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソプロピルアクリラート、ヘキシルアクリラート、デシルアクリラート、ラウリルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、ラウリルメタクリラート、ミリスチルメタクリラート、パルミチルメタクリラート、ステアリルメタクリラート、3−メタクリルオキシ−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメタクリラート、n−ヘキシルメタクリラート、イソデシルメタクリラート、2−メトキシエチルメタクリラート、テトラヒドロフルフリルメタクリラート、オクチルメタクリラート、2−フェノキシエチルメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、イソオクチルメタクリラート、イソオクチルメタクリラート、およびオレイルメタクリラートである。メチルアクリラート、エチルアクリラート、およびn−またはt−ブチルアクリラートが好ましい。アルキルアクリラートおよびメタクリラートの場合には、そのアルキル基は1から約8個の炭素原子を有していてよく、好ましくは1から4個の炭素原子を有する。アルキル基はオキシアルキルトリアルコキシシランにより置換されていてもよい。
【0055】
ポリオレフィンポリマーの他の例は、ポリプロピレン;ポリプロピレンコポリマー;ポリブテン;ポリブテンコポリマー;約50モルパーセント未満であるが0モルパーセントを超えるエチレンコモノマーとの、非常に短い鎖の分岐状α−オレフィンコポリマー;ポリイソプレン;ポリブタジエン;EPR(プロピレンと共重合したエチレン);EPDM(プロピレン、およびジエン(例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、またはエチリデンノルボルネン)と共重合したエチレン);エチレンと、3から20個の炭素原子を有するα−オレフィンとのコポリマー、例えば、エチレン/オクテンのコポリマー;エチレン、α−オレフィン、およびジエン(好ましくは、非共役の)のターポリマー;エチレン、α−オレフィン、および不飽和エステルのターポリマー;エチレンとビニル−トリ−アルコキシシランとのコポリマー;エチレン、ビニル−トリ−アルコキシシランおよび不飽和エステルのターポリマー;あるいは、エチレンと、アクリロニトリルまたはマレイン酸エステルからの1種または複数とのコポリマーである。
【0056】
本発明でのポリオレフィンポリマーには、また、エチレンエチルアクリラート、エチレンビニルアセタート、ビニルエーテル、エチレンビニルエーテル、およびメチルビニルエーテルが含まれる。市販のエチレンビニルアセタートの一例は、DuPont(商標)によるElvax(登録商標)である。
【0057】
本発明でのポリオレフィンポリマーには、これらに限らないが、少なくとも約50モルパーセントのプロピレン由来単位と、約20個まで、好ましくは12個まで、より好ましくは8個までの炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単位による残りの部分とを含むポリプロピレンコポリマー、および、少なくとも50モルパーセントのエチレン由来単位と、約20個まで、好ましくは12個まで、より好ましくは8個までの炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単位による残りの部分とを含むポリエチレンコポリマーが含まれる。
【0058】
本発明の実施において有用なポリオレフィンコポリマーには、インターポリマーの重量に対して、約15の間、好ましくは少なくとも約20、より一層好ましくは少なくとも約25重量パーセント(wt%)のα−オレフィン含量を有する、エチレン/α−オレフィンのインターポリマーが含まれる。これらのインターポリマーは、通常、インターポリマーの重量に対して、約50未満、好ましくは約45未満、より好ましくは約40未満、より一層好ましくは約35wt%未満のα−オレフィン含量を有する。α−オレフィン含量は、Randall(Rev. Macromol. Chem. Phys.、C29(2および3))に記載の手順を用いて、13C核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定される。一般に、インターポリマーのα−オレフィン含量が大きいほど、密度は小さく、インターポリマーはより非晶質であり、これは、結果的に、保護絶縁層にとっての望ましい物理的および化学的特性になる。
【0059】
前記のα−オレフィンは、好ましくは、C3〜20の線状、分岐状または環状のα−オレフィンである。C3〜20のα−オレフィンの例には、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、および1−オクタデセンが含まれる。α−オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンのような環状構造を含んでいてもよく、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンのようなα−オレフィンを生じる。用語の古典的な意味ではα−オレフィンではないが、本発明の目的にとっては、特定の環状オレフィン、例えば、ノルボルネン、および関連するオレフィン、特に、5−エチリデン−2−ノルボルネンは、α−オレフィンであり、上に記載されたα−オレフィンのいくらかまたは全ての代わりとして使用され得る。同様に、スチレンおよびその関連オレフィン(例えば、α−メチルスチレンなど)は、本発明の目的にとっては、α−オレフィンである。例示的なポリオレフィンコポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレンなどである。例示的なターポリマーには、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)、およびエチレン/ブテン/スチレンが含まれる。コポリマーは、ランダムである、または分布にむらがあり得る。
【0060】
本発明の実施に使用されるポリオレフィンは、単独で、あるいは1種または複数の他のポリオレフィンとの組合せ(例えば、モノマー組成および含量、調製の触媒方法などによって互いに異なる2種以上のポリオレフィンポリマーのブレンド)として使用され得る。ポリオレフィンが2種以上のポリオレフィンのブレンドである場合、ポリオレフィンは、何らかの反応器内プロセスまたは反応器から出た後のプロセスによってブレンドされ得る。反応器内ブレンドプロセスが、反応器から出た後のブレンドプロセスより好ましく、反応器内ブレンドプロセスにおいて、直列に連結された複数の反応器を用いるプロセスが好ましい。これらの反応器は、同じ触媒が装填されるが、異なる条件、例えば、異なる反応物濃度、温度、圧力などで運転されても、あるいは、同じ条件で運転されるが異なる触媒が装填されてもよい。
【0061】
本発明の実施に有用なオレフィンインターポリマーの例には、超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、The Dow Chemical Companyにより製造されるFLEXOMER(登録商標)エチレン/1−ヘキセンポリエチレン)、均一に分岐した線状エチレン/α−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company LimitedによるTAFMER(登録商標)、およびExxon Chemical CompanyによるEXACT(登録商標))、ならびに、均一に分岐し、実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手できる、AFFINITY(登録商標)およびENGAGE(登録商標)ポリエチレン)が含まれる。より好ましいポリオレフィンコポリマーは、均一に分岐した、線状および実質的に線状のエチレンコポリマーである。実質的に線状のエチレンコポリマーは特に好ましく、米国特許第5272236号、米国特許第5278272号および米国特許第5986028号により完全に記載されている。
【0062】
本発明の実施に有用な例示的ポリプロピレンには、The Dow Chemical Companyから入手できるVERSIFY(登録商標)ポリマー、およびExxonMobil Chemical Companyから入手できるVISTAMAXX(登録商標)ポリマーが含まれる。様々なポリプロピレンポリマーの徹底した検討は、Modern Plastics Encyclopedia/89、1988年10月中期版、65巻、11号、6〜92頁に含まれる。
【0063】
ポリマー組成物
本発明での電圧安定剤は、電気トリーイングを抑制する任意の量で使用され得る。電圧安定剤は、組成物の重量に対して、少なくとも0.0001、好ましくは少なくとも0.001、より好ましくは少なくとも0.01wt%に量で使用され得る。組成物中の電圧安定剤の最大量についてのただ1つの制約は、経済性と実用性(例えば、減少する収益)によって課せられるものであるが、通常、一般的な最大は、組成物の20未満、好ましくは3未満、より好ましくは2wt%未満を含む。
【0064】
組成物は、これらに限らないが、酸化防止剤、硬化剤、架橋補助剤(co−agent)、促進剤(booster)、抑制剤(retardant)、加工助剤、フィラー、カップリング剤、紫外線吸収剤または安定剤、帯電防止剤、造核剤、スリップ剤、可塑剤、滑剤、粘度調整剤、タッキファイア、ブロッキング防止剤、界面活性剤、伸展油、酸捕捉剤、および金属不活性化剤を含めて、さらなる添加剤を含み得る。添加剤は、組成物の重量に対して、約0.01未満から、約10wt%を超える範囲の量で使用され得る。
【0065】
酸化防止剤の例は、これらに限らないが、次の通りである:ヒンダードフェノール、例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナマート)]メタン、ビス[(ベータ−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、およびチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナマート;ホスファイトおよびホスホナイト、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよびジ−tert−ブチルフェニル−ホスホナイト;チオ化合物、例えば、ジラウリルチオジプロピオナート、ジミリスチルチオジプロピオナート、およびジステアリルチオジプロピオナート;様々なシロキサン;ポリマー化した2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、n,n’−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミン類、および他のヒンダードアミン劣化防止剤または安定剤。酸化防止剤は、組成物の重量に対して、約0.1から約5wt%の量で使用され得る。
【0066】
硬化剤の例は次の通りである:ジクミルペルオキシド、ビス(アルファ−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、イソプロピルクミルt−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)2,5−ジメチルヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルクミルクミルペルオキシド、ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド、またはこれらの混合物。過酸化物硬化剤は、組成物の重量に対して、約0.1から5wt%の量で使用され得る。様々な他の知られている硬化補助剤、促進剤、および抑制剤、例えば、トリアリルイソシアヌラート;エトキシ化ビスフェノールAジメタクリラート;α−メチルスチレン二量体;および米国特許第5346961号および米国特許第4018852号に記載されている他の補助剤が使用され得る。
【0067】
加工助剤の例には、これらに限らないが、カルボン酸の金属塩、例えば、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウム;脂肪酸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、またはエルカ酸;脂肪アミド、例えば、ステアラミド、オレアミド、エルカミド、またはn,n’−エチレンビルステアラミド;ポリエチレンワックス;酸化されたポリエチレンワックス;エチレンオキシドのポリマー;エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー;植物ワックス;石油ワックス;非イオン界面活性剤;およびポリシロキサンが含まれる。加工助剤は、組成物の重量に対して、約0.05から約5wt%の量で使用され得る。
【0068】
フィラーの例には、これらに限らないが、クレー、沈降シリカおよびシリカート、フュームドシリカ炭酸カルシウム、粉砕鉱物、および15ナノメートルより大きい算術平均粒径を有するカーボンブラックが含まれる。フィラーは、組成物の重量に対して、約0.01未満から約50wt%を超える範囲の量で使用され得る。
【0069】
ケーブル絶縁材料のコンパウンディングは、当業者に知られている標準的手段によって実施され得る。コンパウンディング装置の例は、密閉式バッチ混合装置、例えば、Banbury(商標)またはBolling(商標)密閉式混合装置である。あるいは、1軸または2軸スクリュー連続混合装置、例えば、Farrel(商標)連続混合装置、Werner and Pfleiderer(商標)2軸スクリュー混合装置、またはBuss(商標)連続混練押出機が使用されてもよい。用いられる混合装置のタイプ、および混合装置の運転条件は、半導電性材料の特性、例えば、粘度、体積抵抗率、および押出し表面の滑らかさに影響を及ぼすであろう。
【0070】
ポリオレフィンポリマーと、非局在化電子構造を有するオリゴマーまたは導電性ポリマーとの組成物を含む絶縁層を含むケーブルは、様々なタイプ、例えば、1軸または2軸スクリュータイプの押出機により製造できる。従来の押出機の説明は、米国特許第4857600号に見出すことができる。共押出およびそのための押出機の例は、米国特許第5575965号に見出すことができる。通常の押出機は、その上流末端にホッパーを、またその下流末端にダイを有する。ホッパーがバレルに原料供給し、バレルはスクリューを収納している。下流の末端で、スクリューの先端とダイの間に、スクリーンパックおよびブレーカープレートがある。押出機のスクリュー部分は3つのセクション(フィードセクション、圧縮セクション、および計量セクション)、ならびに2つのゾーン(後部加熱ゾーンおよび前部加熱ゾーン)に分割されると考えられ、これらのセクションおよびゾーンは上流から下流に向かう。代替として、上流から下流に向かう軸に沿って複数の加熱ゾーン(3つ以上)があり得る。押出機が2つ以上のバレルを有する場合、バレルは直列に連結される。各バレルの長さと直径の比は、約15:1から約30:1の範囲にある。押出しの後、ポリマー絶縁材が架橋されるワイヤ被覆では、ケーブルは、しばしば、押出ダイの下流の加熱された加硫ゾーンに、直ちに通される。加熱された硬化ゾーンは、約200から約350Cの範囲、好ましくは、約170から約250Cの範囲の温度に保たれ得る。加熱されたゾーンは、加圧流、または誘導加熱加圧窒素ガスによって加熱され得る。
【0071】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例示する。全ての部数およびパーセンテージは、特に断らなければ、重量による。
【実施例1】
【0072】
電気トリーイングを抑制する電圧安定剤(この実施例では、β−カロテン)の能力を試験する。しかし、上記のように、どのような電圧安定剤でも使用できる。低密度ポリエチレンであるDXM−446を、ASTM D−3756に記載の2針特性電圧試験(Double Needle Characteristic Voltage Test(DNCV))により電気トリーイングを測定するために用いる。ポリエチレンでの通常の電圧は、9kv(熱可塑性)から18kv(架橋後)の範囲である。
【0073】
2針試料を、ASTM D−3756に略述されているように調製する。手短に言えば、DXM−446を、予め加熱した140CのBrabender Plasticorderに投入する。ポリマーが溶融した後、4つの試料:(1)DXM−446;(2)DXM−446+5%のフェナントレン;(3)DXM−446+5%のアントラセン;および(4)DXM−446+2%のβ−カロテン(ミネラルオイル中)を調製する。フェナントレンまたはアントラセンは、固体として、または適当な溶液(例えば、ミネラルオイル)中に予め溶解させてかのいずれかで加える。試料はBrabenderから迅速に取り出し、ASTM−D−3756に記載の適切な厚さの板に、試料をプレスする。
【0074】
板を、ASTM D−3756に記載の矩形固体に切断する。試験針を、ASTM D−3756に記載の通り、試料に挿入する。ひとたび針を挿入すると、試料を、ASTM D−3756に記載の試験装置に設置する。電圧を加え、ASTM D−3756に記載の通り、試料を試験する。添加剤は、添加剤を含む試料が、DXM−446ベースポリマーだけの試料を超えるDNCV値を有する場合に、トリー抑制剤と見なされる。
【0075】
【表1】

【実施例2】
【0076】
電気トリーの開始に対する耐性を記述するための1つの有用なパラメータは、「モル電圧差」(MVD)である。添加剤、例えば電圧安定剤は、しばしば、重量ベースで絶縁材料に添加されるので、モルベースのパラメータは添加剤の効率をより一般的に表現することができる。ポリマー添加剤では、「セグメント電圧差」(SVD)が有用であり得る。ポリマーの「セグメント」は、ポリマーの繰返しモノマー単位として定義できる。コポリマーでは、「平均」のセグメント繰返し単位が、コモノマーの「平均」の重量から計算できる。
【0077】
MVDは、次のように定義できる。
[DNCV(ポリマー+添加剤)−DNCV(純粋なポリマー)]/M(添加剤モル数/Kgのポリマー)
【0078】
2針試料を、ASTM D−3756に略述されているように、また実施例1に簡単に記載したように調製する。図1は、断熱電子親和力およびイオン化ポテンシャルへのMVDの依存性の等高線プロットである。添加剤および添加剤の量子力学的特性を、表2に列挙する。
【0079】
断熱電子親和力は物理的意味を有する分子の特性であるという理由で、断熱電子親和力を垂直親和力に優先して選んだ。物理的系におけるラジカルアニオンの生成に際して、アニオンは、断熱電子親和力を計算するのに用いられる、幾何学的に最適な構造を取るであろう。
【0080】
図1に示すように、またMVDによって測定されるように、より良好な電圧安定化性能は、より大きな断熱電子親和力およびより小さいイオン化ポテンシャルを有する添加剤により実現される。MVDは、電子親和力が大きくなり、イオン化ポテンシャルが小さくなると増加する。これらの特性を有する添加剤は、大きな電子親和力によって電子を受容でき、同時に、小さいイオン化ポテンシャルによってイオンを生成し得る。大きな電子親和力および小さいイオン化ポテンシャルを有する電圧安定剤は、電気トリーの開始を抑制し、妨げると期待される。
【0081】
さらに、図1に示すような、等高線プロットは、可能性として良好な電圧安定剤を、それらの計算された電子親和力およびイオン化ポテンシャルに基づき、電気トリーイングの抑制について試験して、確認するための実験を考案するために使用できる。さらに、等高線プロットは、電圧安定剤の好ましい濃度を決めるために用いることができる。
【0082】
【表2】

【0083】
本発明が先の明細書によってかなり詳細に説明されたが、この詳細は、例示のためのであって、次の添付の特許請求の範囲に対する限定であると解釈されてはならない。引用された報告書、参考文献、米国特許、認められた(allowed)米国特許出願および米国特許出願公開の全ては参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層を備え、該絶縁層が、ポリオレフィンポリマーと、非局在化電子構造を有する電圧安定剤とを含む電力ケーブル。
【請求項2】
前記電圧安定剤が高分子量のオリゴマーまたはポリマーである、請求項1に記載の電力ケーブル。
【請求項3】
前記電圧安定剤が、カロテノイド、カロテノイド類似体またはカロテノイド誘導体である、請求項1に記載の電力ケーブル。
【請求項4】
前記カロテノイドが、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ルテオキサンチン、リコペン、ゼアキサンチン、およびフコキサンチンからなる群から選択される、請求項3に記載の電力ケーブル。
【請求項5】
前記電圧安定剤が導電性ポリマーである、請求項1に記載の電力ケーブル。
【請求項6】
前記導電性ポリマーが、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリ(3−アルキル)チオフェン、ポリイソチアナプテレン(polyisothianapthelene)、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリ(2,5−ジアルコキシ)パラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリヘプタジイン、ポリ(3−ヘキシル)チオフェン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の電力ケーブル。
【請求項7】
前記電圧安定剤がカーボンブラックである、請求項1に記載の電力ケーブル。
【請求項8】
前記ポリオレフィンポリマーがポリプロピレンホモポリマーまたはポリエチレンホモポリマーである、請求項1に記載の電力ケーブル。
【請求項9】
前記ポリオレフィンポリマーが、少なくとも約50モルパーセントのプロピレン由来単位と、約20個までの炭素原子を含む少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単位による残りの部分とを含むポリプロピレンコポリマーである、請求項1に記載の電力ケーブル。
【請求項10】
前記ポリオレフィンポリマーが、少なくとも約50モルパーセントのエチレン由来単位と、20個までの炭素原子を含む少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単位による残りの部分とを含むポリエチレンコポリマーである、請求項1に記載の電力ケーブル。
【請求項11】
ポリオレフィンポリマーと、非局在化電子構造を有する電圧安定剤とを含む組成物。
【請求項12】
前記電圧安定剤が、カロテノイド、カロテノイド類似体またはカロテノイド誘導体である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記カロテノイドが、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ルテオキサンチン、リコペン、ゼアキサンチン、およびフコキサンチンからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記電圧安定剤が導電性ポリマーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記導電性ポリマーが、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリ(3−アルキル)チオフェン、ポリイソチアナプテレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリ(2,5−ジアルコキシ)パラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリヘプタジイン、ポリ(3−ヘキシル)チオフェン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記電圧安定剤がカーボンブラックである、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリオレフィンポリマーがポリプロピレンホモポリマーまたはポリエチレンホモポリマーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリオレフィンポリマーが、少なくとも約50モルパーセントのプロピレン由来単位と、約20個までの炭素原子を含む少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単位による残りの部分とを含むポリプロピレンコポリマーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリオレフィンポリマーが、少なくとも約50モルパーセントのエチレン由来単位と、20個までの炭素原子を含む少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単位による残りの部分とを含むポリエチレンコポリマーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
非局在化電子構造を有する電圧安定剤を含む組成物を用いること;および
前記組成物により電気トリーイングの量を抑制すること
を含む、電気トリーイングの抑制方法。
【請求項21】
前記電圧安定剤が、カロテノイド、カロテノイド類似体またはカロテノイド誘導体である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電圧安定剤が導電性ポリマーである、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−521781(P2010−521781A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553798(P2009−553798)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/056973
【国際公開番号】WO2008/112965
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】