説明

電気ランプ/反射器ユニット

本発明は、ハロゲンランプによって生成される赤外線エネルギをフィラメントに反射し戻し、該ハロゲンランプをより効率的にするよう赤外線フィルムで被覆される適当な電力、即ち100ワット/120ボルトのハロゲンランプを有し、最低限のEPACTのエフィカシ規格を満たし、好ましくは上回り、約1750時間において元の値の90%より高い光出力を供給する一方で少なくとも約3000時間のメジアン寿命を呈する新しいPAR38のランプ及びランプ反射器のユニットを提供する。ユニットは、第1端部(21)が少なくとも部分的に首状部(5)内に位置し、空洞(13)が反射部(2)内に位置し、電気的光源(16)が大部分は光軸(4)上に位置し、取付リング(40)の下の、第1端部(21)の封止部が通されるセラミックインサート(42)がランプの動作中第1端部(21)から熱を放散させるのに効果的であるように反射体(1)内に配設される両口電気ランプ(10)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸を持つ凹状反射面を持つ反射部を含む反射体と、前記反射体と一体化している前記光軸のまわりの中空首状部とを有する電気ランプ/反射器ユニットであって、電気ランプが、気密光透過ランプ容器であって、幾何学中心を持つ所定の形状の、一般に球形又は楕円形の空洞を囲む石英ガラス壁部を有し、前記石英ガラス壁部に、少なくとも部分的に赤外線反射・可視光透過被覆(infrared-reflecting and visible light-transmitting coating)が設けられ、前記空洞が実質的に線状(linear)の電気的光源を収容する気密光透過ランプ容器と、前記石英ガラス壁部中に完全に埋め込まれ、前記電気的光源に接続される金属箔と、互いに対向するように配設され、両方とも封止部を有する第1端部及び第2端部とを具備し、埋め込まれる前記金属箔に接続される各々の電流導体が、前記封止部を通って前記ランプ容器から外部に出る電気ランプ/反射器ユニットに関する。
【0002】
更に、本発明は、電気ランプ/反射器ユニット用の電気ランプに関する。
【背景技術】
【0003】
このような電気ランプ/反射器ユニットは、一般照明用途及び装飾照明用途の白色光源として、物体を該物体の本当の色で見せるのに用いられる。
【0004】
このようなランプは、照明業界ではよく知られており、例えば、欧州特許出願公開公報第EP-A 0 397 422号に記載されているタイプの電気ランプ/反射器ユニットを含む。前記文献には、赤外線を反射する干渉フィルタを具備する所謂両口ハロゲンランプ(double-ended halogen lamp)の記載がなされており、前記ランプは、PAR38のタイプの反射体内に配設される。ここで、略語PARはアルミニウム放物面反射器(Parabolic Aluminum Reflector)を表し、数字「38」は発光窓の位置における反射体の直径を示し、直径は前記数字に8分の1インチを掛けることによって得られ、1インチは25.4mmであり、故に、PAR38の反射器の発光窓の直径は、38×1/8インチ、即ち略々121mmである。
【0005】
よりエネルギ効率の良い照明に向けての世界的な動きの一部として、更に近年には、(一般に国家エネルギ政策法(national Energy Policy Act)「EPACT」と呼ばれる)アメリカ合衆国の政府法案が、PARランプを含む多くのタイプの一般に用いられるランプのランプエフィカシ値(lamp efficacy value)を規定している。アメリカ合衆国においては、これらのエフィカシレベルを満たす製品しか販売されないかもしれない。これらのPAR-38の白熱ランプの最低限のエフィカシ値は、例えば、51乃至66Wのランプは1ワット当たり11ルーメン(LPW)を達成しなければならず、67乃至85Wのランプは12.5LPWを達成しなければならず、86乃至115Wのランプは14LPWを達成しなければならず、116乃至155Wの範囲内のランプは14.5LPWを達成しなければならないといういものである。従来のPAR-38のランプのためにEPACT規格を満たすであろうランプを設計することは可能である。しかしながら、これまでこのようなランプの設計はランプ寿命のかなりの減少をもたらした。これは、IR被覆されたバーナがより高い明るさ及びより高い視感度効率を持つ一方で、ランプ容器の封止部が動作中比較的高い温度を帯び、前記高い温度がランプ寿命の短縮をもたらすことによるものである。ハロゲンランプの短い寿命の別の理由はモリブデンの腐食である。これら及び他の理由のために、プレス温度(press temperature)が上昇するので、ランプが早期に故障する可能性もまた増大する。
【0006】
本出願と同じ譲受人に譲渡された1997年7月8日に発行された"ELECTRIC REFLECTOR LAMP"という表題の米国特許公報第5,646,473号は、例えばハロゲンを含む気体中の白熱体であってもよく、IR反射干渉フィルタで覆われてもよい光源をランプ容器が収容するレフ電球(electric reflector lamp)に関する。このランプは、動作中の温度を低下させるために封止部を囲むセラミックボディも有する。このようなランプは、電源電圧で動作される場合に、例えば、IR反射干渉フィルタなしのランプの場合は75W、及びIR反射干渉フィルタなしのランプの場合は68Wという相対的に低い電力のものであることが開示されている。このようなランプのランプ寿命及びエフィカシは開示されていない。
【0007】
本出願の譲受人の前身の会社(predecessor company)に譲渡された1994年1月25日に発行された米国特許公報第5,281,889号は、二分された首部(bipartite neck)を持つPAR16の寸法のレフランプを開示している。型締力を用いて封止部を保持する弾性タグ(resilient tag)を備える平板のような取付部材は首部の2つの部分の間で囲まれる。このようなランプは、反射器上に組み立てられ、接着されるセラミックの拡張部を有する。
【0008】
当業界には、ハロゲンランプによって生成される赤外線エネルギをフィラメントに反射し戻し、該ハロゲンランプをより効率的にするよう赤外線フィルムで被覆される68Wより大きい適当な電力、例えば100ワットのハロゲンランプを有し、且つ/又は最低限のEPACTのエフィカシ規格を満たし、好ましくは上回り、且つ/又は約1750時間において元の値の90%より高い光出力を供給する一方で少なくとも約3000時間のメジアン寿命(median life)を呈し、且つ/又は前述の特徴の全て若しくは該特徴の組み合わせを呈するPAR38のランプ及びランプ反射器のユニットのニーズがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ハロゲンランプによって生成される赤外線エネルギをフィラメントに反射し戻し、該ハロゲンランプをより効率的にするよう赤外線フィルムで被覆される68Wより大きい適当な電力、例えば100ワットのハロゲンランプを有し、且つ/又は最低限のEPACTのエフィカシ規格を満たし、好ましくは上回り、且つ/又は約1750時間において元の値の90%より高い光出力を供給する一方で少なくとも約3000時間のメジアン寿命を呈し、且つ/又は前述の特徴の全て若しくは該特徴の組み合わせを呈する新しいPAR38のランプ及びランプ反射器のユニットを提供することにある。
【0010】
本発明のこれら及び他の目的は、以下の本発明の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、光軸(4)を持つ凹状反射面(3)を持つ反射部(2)を含む反射体(1)と、前記反射体と一体化している前記光軸(4)のまわりの中空首状部(5)とを有する上記の特徴を持つPAR-38のランプ及びランプ/反射器のユニットであって、電気ランプ(10)が、
(a)光透過ランプ容器(11)であって、幾何学中心(14)を持つ所定の形状の、一般に球形又は楕円形の空洞(13)を囲む石英ガラス壁部(12)を有し、前記石英ガラス壁部に、少なくとも部分的に赤外線反射・可視光透過被覆(15)が設けられ、前記空洞(13)が実質的に線状の電気的光源(16)を収容する光透過ランプ容器(11)と、
(b)前記壁部(12)中に完全に埋め込まれ、前記電気的光源(16)に接続される金属箔(16)と、
(c)互いに対向するように配設され、両方とも封止部を有する第1端部(21)及び第2端部(22)と、
(d)埋め込まれる前記金属箔(17、18)に接続される各々の電流導体(23、24)であって、前記封止部を通って金属箔に接続され、前記ランプ容器(11)から外部に出る各々の電流導体と、
(e)前記ランプ封止部が通される、前記ランプ容器を保持する前記首状部内の位置決め金属部材(40)と、
(f)取付リングの下の、前記第1端部の前記封止部が通されるセラミックインサート(42)とを有し、前記電気ランプ(10)が、前記第1端部(21)が少なくとも部分的に前記首状部(5)内に位置し、前記空洞(13)が前記反射部(2)内に位置し、前記電気的光源(16)が大部分は前記光軸(4)上に位置し、前記セラミックインサートが前記ランプの動作中前記第1端部(21)から熱を放散させるのに効果的であるように前記反射体(1)内に配設されるPAR-38のランプ及びランプ/反射器のユニットの提供を介して達成され得る。
【0012】
この出願と同じ譲受人に譲渡された2002年6月11日に発行された"Electric Lamp/Reflector Unit"という表題の米国特許公報第6,404,112B1号は、満足の行く温度バランスを達成するように両口ハロゲンランプ及び反射体の寸法を適応させる方法に関する。これらの原理は本発明において同様に用いられてもよく、前記特許の開示は参照により本出願に盛り込まれる。本発明において、前記特許に記載されているように実施される場合、前記第1端部電流導体(23)が前記第1端部(21)の前記金属箔(17)に接続される接続箇所(28)は、前記幾何学中心(14)から距離dcI離れたところにあってもよく、前記第1端部(21)は、前記幾何学中心(14)から測定して長さlepIを持ち、前記第2端部電流導体(24)が前記第2端部(22)の前記金属箔(18)に接続される接続箇所(27)は、前記幾何学中心(14)から距離dcII離れたところにあり、前記第2端部(22)は、前記幾何学中心(14)から測定して長さlepIIを持ち、距離dcI、dcIIと各々の長さlepI、lepIIの比はdcI/lepI>0.75且つdcII/lepII>0.75である。
【0013】
本発明、PAR-38のランプにおける改善によれば、本発明の上記のパラメータを実施することによって前記プレス温度を安全な動作温度に低下させながら前記EPACT規格、前記ランプエフィカシ及び長いランプ寿命が達成され得ることが分かった。
【0014】
本発明の好ましい実施例においては、前記電気ランプの前記端部の一方が少なくとも部分的に前記反射体の前記首部内に配設され、前記光軸に沿って見て、必要に応じて、前記反射体に対する前記電気ランプの相対的な高さを低減させることが達成され、これは、既知の電気ランプ/反射器ユニットの反射体の寸法に対する両口電気ランプの寸法の割合に良い影響を及ぼす。前記既知の電気ランプ/反射器ユニットにおいては、両口ハロゲンランプは、所謂取付脚部によって丸ごと前記反射体の前記反射部内に配設される。本発明に基づいて前記電気ランプの前記第1端部を前記反射体の前記首部内に取り付けることによって、前記反射体と前記電気ランプの頑丈且つ信頼性の高い接続が達成される。更に、それによって前記反射部の前記光軸上の前記電気的光源の位置決めが改善され、前記電気的光源は、好ましくは、前記電気ランプの前記幾何学中心が前記凹状反射面の焦点内に位置しているように位置決めされる。この改善された位置決め能力は、前記電気ランプ/反射器ユニットのより高い光出力及びより良好な光分布をもたらす。
【0015】
本願発明者には、前記既知の電気ランプ/反射器ユニットにおいては、動作中前記電気ランプの所謂ピンチ温度(pinch temperature)が上昇し、このことがとりわけ前記電気ランプの耐用年数に悪影響を及ぼすことが分かった。ランプの前記ピンチの温度は、前記電気ランプの前記壁部内に埋め込まれる前記金属箔と前記(外部)電流導体との(一般的には溶接継ぎ手によって形成される)前記接続箇所の位置において測定される。一般に、高いピンチ温度は、前記金属箔及び/又は前記外部電流導体の腐食を増進する。腐食は、電流供給が遮断される結果としての前記ランプの故障を招く。故障の他の原因は、例えば、前記ランプ容器の漏れ(leakage)又は前記ランプの受動的でない故障を含む。本発明による電気ランプにおいて、電気ランプ/反射器ユニットの内部のセラミックインサートは、前記ピンチ温度を低下させ、ハロゲンバーナの熱衝撃の発生を防止するのに効果的である。前記ハロゲンバーナは、前記セラミックインサートを通して配置され、前記反射器に嵌合し、前記反射器において、前記セラミックインサートは前記プレスから熱を取り去るヒートシンクとして作用する。前記セラミックインサートは、前記ハロゲンバーナが通る穴を中央に持ち、ガラスの前記反射器の内側部にきつく嵌まる。これは、前記熱がより効率的に前記バーナから前記ランプの外に伝導されることを可能にし、前記ピンチ温度の低下が得られる。
【0016】
前記反射体の発光窓がレンズ(31)によって閉じられる場合には前記電気ランプ/反射器ユニットの安全性が高められる。このようにして、可燃性の物体が前記ランプの熱い部分と接触することは防がれ得る。更に、このようなレンズは、前記ランプ容器の受動的でない故障のためのリスクを、該受動的でない故障によって放出されるエネルギを外側エンベロープ内に封じ込めることによって制限することが出来る。前記レンズは、接着剤43、例えばシリコーンペーストによって前記反射体に固定されてもよい。他の例においては、前記レンズは、例えば、前記反射体の上で回転される金属リングを用いて機械的に固定され得る。他の例においては、クランプリング又は多数のクランプが用いられてもよい。前記レンズは、平坦であってもよく、又は湾曲していてもよい。
【0017】
有利な修正例においては、前記反射部が、前記レンズの近くに実質的に円筒状の端部を持つ。それによって、前記反射部内の体積は、より低い全体温度を得るために、必要に応じて、体積の増大が前記ユニットの直径の増大を招くことなしに、大きくすることが出来る。他の例においては、外側において前記反射体に特殊な輪郭形状の表面、例えば波打たされた表面を設けることが可能である。結果として、表面積が増大され、より多くの熱放出を可能にする。
【0018】
前記電気ランプは、例えば、ハロゲンを含有する不活性ガス中の白熱体であってもよく、又はイオン化可能なガス中の電極対であってもよい。とりわけ、前記ランプ容器の前記空洞が、赤外線反射・可視光透過被覆を具備する楕円の形状をしている場合、及び螺旋状の線状白熱体が前記空洞内に配設される場合には、前記白熱体によって生成される赤外光の形態の熱は、非常に効果的に該白熱体に反射し戻され、その結果として、電源から要求される電流は減らされ、それ故、前記ランプはより効率的になる。
【0019】
前記セラミックインサートは当業界で既知の材料で形成されてもよく、例えば、ステアタイト、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどで作成されてもよい。SiO2-MgO-BaOを有するL3ステアタイトとして市販されている材料がここでの使用にとりわけ好ましい。
【0020】
本発明による電気ランプ/反射器ユニットのとりわけ有利な実施例は、前記金属箔と前記電気的光源を接続する内部電流導体が、該電気的光源が実質的に前記光軸上に位置するように曲げられることを特徴とする。前記電気的光源が前記球形又は楕円形の空洞の中心により良く位置決めされるほど、前記赤外線反射被覆の作用は効果的になり、前記電気ランプの効率は高くなる。更に、好ましくは前記反射体の前記光軸上に位置している前記電気的光源が、前記幾何学中心により良く位置決めされるほど、前記反射体の前記凹状反射面からの反射の結果として前記光分布は良好になる。
【0021】
前記端部の温度を更に低下させるために、前記電気ランプの製造中に前記端部にサンドブラストが掛けられてもよい。これは、前記端部が赤外線反射被覆で覆われず、このことが、前記端部の温度の低下をもたらし、それ故、前記ピンチ温度の低下をもたらすという利点を持つ。サンドブラストを掛けることの付加的な利点は、前記端部の表面が粗くされ、故に、より大きな熱放射表面が得られ、それ故、前記被覆の結果としての前記端部における全内部光反射が低減されることにある。
【0022】
本発明による電気ランプ/反射器ユニットの好ましい実施例においては、前記接続箇所の位置において前記金属箔並びに前記第1電流導体及び前記第2電流導体に少なくとも部分的に保護被覆が設けられ得る。この保護被覆は、前記接続箇所の位置における前記金属箔及び前記電流導体の腐食のリスクを低減する。前記腐食保護の結果として、前記電気ランプ/反射器ユニット内の前記電気ランプの許容耐用年数も延長され得る一方で、前記ランプの破裂のリスクはごくわずかになる。好ましくは前記保護被覆はクロムを含有する。クロムは、石英ガラス中のタングステン及びモリブデンの電気導体上の保護被覆として効果的に用いられることができ、これらの材料を用いる低融点製品を形成することが分かった。0.5マイクロメートルから2マイクロメートルまでの範囲内の層厚を持つクロム保護層はとりわけ有利である。前記被覆の層厚は、とりわけ腐食保護の程度を決定するパラメータである。
【0023】
とりわけ有利な実施例においては、前記電流導体は、前記第2端部から電気伝導接続部を介して前記反射体の前記首状部に至らされる。好ましくは、前記接続部は、少なくとも部分的にニッケルから作成される。ニッケルは良好な熱伝導係数を持つ安定的な材料であり、前記電気ランプ/反射器ユニットの接点部材としても用いられ得る。他の例において前記接続部の製造のために用いられ得る材料は、ステンレス鋼である。
【0024】
本発明のこれら及び他の特徴は下記の実施例を参照して説明され、明らかにされる。
【0025】
本発明は、以下の具体的な実施例の詳細を参照することでよりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
これらの図は、単に概略的なものであって、縮尺通りには描かれていない。とりわけ理解しやすいように、幾つかの寸法は強く誇張されている。これらの図において同様の参照符号は可能な限り同様の部分を指す。
【0027】
図1は、本発明による電気ランプ/反射器ユニットを断面図で示している。図示されているように、電気ランプ/反射器ユニット50は、凹状反射面3及び光軸4を備える反射部2を持つ成形された反射体1を有する。光軸4の周りに配置される中空首状部5は反射部2と一体化している。図1に示されている例においては、反射体1の発光窓はカーブレンズ(curved lens)31によって閉じられている。別の実施例においては、前記レンズ31は平坦である。図1に示されている電気ランプ/反射器ユニットの実施例は、PAR38のタイプの反射体1である。
【0028】
更に、電気ランプ/反射器ユニットは、幾何学中心14を持つ所定の形状、一般に球形又は楕円形の空洞13を囲む石英ガラス壁部12を持つ気密光透過ランプ容器11を含む電気ランプ10を有する。図1に示されている例においては、空洞13の形状は実質的に楕円である。ランプ容器11の空洞13は、実施的に線状の電気的光源16、例えば螺旋状に巻かれたタングステンワイヤの形態の白熱体を収容する。ランプ容器11の壁部12が楕円形である位置においては、ランプ容器11の壁部12に赤外線反射・可視光透過被覆15が設けられる。白熱体によって生成される赤外線はこの被覆15によって白熱体に反射し戻され、これにより電気ランプ10の効率は実質的に向上される。可視光は被覆15によって通される。
【0029】
赤外線反射・可視光透過被覆15それ自体は既知である。このような(>40層の)被覆は一般に多層干渉フィルタ光学層(multilayer interference filter optical layer)を有し、個々の被覆の厚さは、当業者には既知のコンピュータプログラムによって計算される。このような光学干渉フィルムは、一般に、蒸着、浸漬被覆、(反応性)スパッタリング及び化学気層蒸着などのそれ自体は既知の被覆技術によって付着される。
【0030】
図1においては、電気ランプ/反射器ユニットの幾何学中心14は、ランプ容器11の中央において光軸4と光軸4に対して直角を成す他の軸4’、4’’とが交差する点に位置している。電気ランプ10の壁部12の中には、金属箔(図示せず)が両側に埋め込まれ得る。これらの金属箔は電気的光源16に接続される。更に、電気ランプ10は、第1端部21及び第2端部22を有し、第1端部21及び第2端部22は両方とも封止部を具備する。第2端部22は、第1端部21と対向するように配設される。2つの端部21、22の間に空洞がある2つの端部21、22の組み合わせを有する電気ランプ10は、一般に両口電気ランプと呼ばれ、図1及び3において示されている例においては所謂両口ハロゲンランプと呼ばれる。埋め込まれた金属箔に接続される電流導体23、24は、端部21、22を通ってランプ容器11から外部に出る。
【0031】
電気ランプ10は反射体1内に配設され、第1端部21は少なくとも部分的に首状部5内に位置しており、空洞13は反射部2内に位置しており、電気的光源16は実質的に光軸4上に位置している。
【0032】
更に、図1は、電流導体24が、第2端部22から突き出て、電気伝導接続部34を介して反射体1の首状部5に案内されることを示している。とりわけ有利な接続部34はニッケルから作成される。電流導体23は同様に電気伝導接続部33に接続される。これらのパーツは、位置決め金属リング40を通され、コネクタ34及び33がセラミックインサートの穴44を通るようにセラミックインサート42を通される。両接続部33、34は、セラミックインサートからアイレット28の外に出る。アイレット28は、スカート状口金(skirted base)30に溶接される、半田付けされる又は別の方法で取り付けられるヒューズワイヤ29及びニッケルワイヤ27との接続を達成する。
【0033】
この発明のPAR38の電気ランプ/反射器ユニットの製造のために2つのタイプの100ワット/120ボルトの両口ハロゲンランプ容器が評価された。ロットAのランプ容器は5.5バールの圧力を持つ充填ガスを用いて製造され、ロットBのランプ容器は6.5バールの圧力を持つ充填ガスを用いて製造された。各ロットの20カプセル(capsule)のサンプルがPAR38のランプに組み込まれ、それらは寿命を試験された。この結果は表1において報告されている。
【0034】
表1:セラミックインサートなしで製造されたランプの寿命
【表1】

【0035】
このテストにおいて、寿命の結果は、900乃至1300時間あたりにメジアン寿命を持ち、非常に粗末であった。更に、よくある故障モードがカプセルにおけるピンチの割れ(split pinch)であることも観察された。更に、カプセル又はランプ容器のピンチが割れる前に、高い動作温度がカプセルの本体に付着された被覆を劣化させた。この劣化は、カプセルを黒くすることによって表われ、斯くして光出力を低下させる。
【0036】
熱電対が、バーナのピンチ領域内に取り付けられ、ランプに組み込まれた。このランプは取付け具中で一時間点灯され、温度が記録された。3つのランプの最高温度を選ぶために3つのランプにおいてこの手続きが行なわれた。
【0037】
この試験において見出された高い温度のため、セラミックはピンチ温度を低下させることが出来るかどうかを調査するために3つのランプがセラミックインサートを用いて組み立てられた。この結果は表2において報告されている。
【0038】
表2:カプセルのピンチ温度
【表2】

注:*100ワット/130ボルトのカプセルを備えるランプは120ボルトで試験した。
【0039】
これらの結果から、セラミックインサートはカプセルの動作温度を低下させることが観察された。
【0040】
各ロット(A及びB)の20カプセルの別のサンプルが寿命評価のためにPAR38のランプに組み込まれた。今度は、セラミックインサートがランプ組立体に付加された。この結果は表3において報告されている。
【0041】
表3:セラミックインサートを用いて製造されたランプに対して実施された寿命試験
【表3】

【0042】
上記の寿命試験は延長された。3000時間後に故障が発生せず、試験は今もなお進行中である。
【0043】
本発明による両口ハロゲンランプのランプ容器11は好ましくは楕円形の空洞13を持つ。空洞13の外表面には赤外線反射・可視光透過被覆15が設けられる。被覆15は、好ましくは、反応性スパッタリングによって設けられる47層のNb2O5/SiO2の赤外線反射干渉フィルタを有する。
【0044】
当業者にとっては本発明の範囲内において多くの変形が可能であることは明らかであろう。例えば、本発明は、白熱体を含む電気ランプを有する電気ランプ/反射器ユニットに限定されず、他の例においては、電気ランプはイオン化可能なガス中に電極対を有してもよい。更に、電気ランプ上に設けられる赤外線反射・可視光透過被覆は省かれてもよい。
【0045】
本発明の保護の範囲は上記の例に限定されない。本発明は、新規な各特徴及び特徴の各組み合わせにおいて体現される。特許請求の範囲における参照符号は特許請求の範囲の保護の範囲を限定するものではない。「有する」という用語の使用は、特許請求の範囲において言及されている素子以外の素子の存在を除外しない。素子の単数形表記はこのような素子の複数の存在を除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による電気ランプ/反射器ユニットの断面図である。
【図2】本発明のセラミックインサートの図である。
【図3】(組み立てられていない)本発明のコネクタを備えるハロゲンバーナ、位置決め金属リング、セラミックインサート及び反射体の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
68Wより大きい電力で動作することが可能な電気ランプ/反射器ユニットであり、光軸を持つ凹状反射面を持つ反射部を含む反射体と、前記反射体と一体化している前記光軸のまわりの中空首状部とを有する電気ランプ/反射器ユニットであって、電気ランプが、
(a)光透過ランプ容器であって、幾何学中心を持つ所定の形状の、一般に球形又は楕円形の空洞を囲む石英ガラス壁部を有し、前記壁部に、少なくとも部分的に赤外線反射・可視光透過被覆が設けられ、前記空洞が実質的に線状の電気的光源を収容する光透過ランプ容器と、
(b)前記壁部中に完全に埋め込まれ、前記電気的光源に接続される金属箔と、
(c)互いに対向するように配設され、両方とも封止部を有する第1端部及び第2端部と、
(d)埋め込まれる前記金属箔に接続される各々の電流導体であって、前記封止部を通って金属箔に接続され、前記ランプ容器から外部に出る各々の電流導体と、
(e)前記ランプ封止部が通される、前記ランプ容器を保持する首状部内の位置決め金属部材と、
(f)取付リングの下の、前記第1端部の前記封止部が通されるセラミックインサートとを有し、前記電気ランプが、前記第1端部が少なくとも部分的に前記首状部内に位置し、前記空洞が前記反射部内に位置し、前記電気的光源が大部分は前記光軸上に位置し、前記セラミックインサートが前記ランプの動作中前記第1端部から熱を放散させるのに効果的であるように前記反射体内に配設される電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項2】
前記電気ランプが少なくとも最低限のEPACTのエフィカシ規格を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項3】
前記電気ランプが、約1750時間において元の値の90%より高い光出力を供給する一方で少なくとも約3000時間のメジアン寿命を呈することを特徴とする請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項4】
前記第1端部電流導体が前記第1端部の前記金属箔に接続される接続箇所が、前記幾何学中心から距離dcI離れたところにあり、前記第1端部が、前記幾何学中心から測定して長さlepIを持ち、前記第2端部電流導体が前記第2端部の前記金属箔に接続される接続箇所が、前記幾何学中心から距離dcII離れたところにあり、前記第2端部が、前記幾何学中心から測定して長さlepIIを持ち、距離dcI、dcIIと各々の長さlepI、lepIIの比が、dcI/lepI>0.75且つdcII/lepII>0.75であることを特徴とする請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項5】
前記セラミックインサートが、前記ランプ容器が通る穴を中央に持ち、ガラス反射器の内側部分にきつく嵌まることを特徴とする請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項6】
前記反射体がレンズによって閉じられることを特徴とする請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項7】
前記ランプ容器の前記空洞が、楕円形をしており、赤外線反射・可視光透過被覆を具備することを特徴とする請求項6に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項8】
螺旋状の線状白熱体が前記空洞内に配設され、前記白熱体によって生成される赤外光の形態の熱が該白熱体に反射し戻されることを特徴とする請求項7に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項9】
前記第2端部電流導体が、前記第2端部から突き出て、第2電気伝導接続部を介して前記反射体の前記首状部に案内され、前記第1端部電流導体が同様に第1電気伝導接続部に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項10】
前記電気伝導接続部が少なくとも部分的にニッケル又はステンレス鋼の接点部材から作成されることを特徴とする請求項9に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項11】
前記被覆が多層干渉フィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項12】
前記被覆が47層からなるNb2O5/SiO2の赤外線反射干渉フィルタであることを特徴とする請求項11に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項13】
電気伝導接続部を備える前記ランプ容器が、前記第2電気伝導接続部及び前記第1電気伝導接続部が前記セラミックインサートの穴を通るように前記位置決め金属部材及び該セラミックインサートを通ることを特徴とする請求項9に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項14】
前記接続部が前記セラミックインサートからアイレットの外に出ることを特徴とする請求項13に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項15】
前記アイレットが、スカート状口金に取り付けられるヒューズワイヤ及びニッケルワイヤとの接続を達成することを特徴とする請求項14に記載の電気ランプ/反射器ユニット。
【請求項16】
請求項1に記載の電気ランプ/反射器ユニット用の電気ランプ。
【請求項17】
PAR38ランプ及びランプ反射器のユニット用の電気ランプであって、ハロゲンランプによって生成される赤外線エネルギをフィラメントに反射し戻し、該ハロゲンランプをより効率的にするよう赤外線フィルムで被覆される68Wより大きい適当な電力の請求項1に記載のハロゲンランプを有し、且つ/又は最低限のEPACTのエフィカシ規格を満たし、好ましくは上回り、且つ/又は約1750時間において元の値の90%より高い光出力を供給する一方で少なくとも約3000時間のメジアン寿命を呈し、且つ/又は前述の特徴の全て若しくは該特徴の組み合わせを呈する電気ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−508505(P2006−508505A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554770(P2004−554770)
【出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005118
【国際公開番号】WO2004/049392
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】