説明

電気ランプ

【課題】ランプ容器(30,40)の少なくとも1つのモリブデン箔シールおよびスリットが設けられている少なくとも1つの金属ピン(35,44)を有する電気ランプであって、スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピン(35,44)が、少なくとも1つのモリブデン箔シールのモリブデン箔(32,42)と導電接続されている、電気ランプにおいて、簡単化された給電線を有する電気ランプを提供する。
【解決手段】モリブデン箔(32,42)の端部(321)が、スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピン(35,44)のスリット(350)に配置されて固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ容器の少なくとも1つのモリブデン箔シールおよびスリットが設けられている少なくとも1つの金属ピンを有する電気ランプであって、スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピンが、少なくとも1つのモリブデン箔シールのモリブデン箔と導電接続されている電気ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ランプは、例えば米国特許明細書US2219438に開示されている。この明細書には、ランプ容器にモリブデン箔シールを有するランプが記載されている。そこでは、モリブデン箔シールのモリブデン箔の端部が、溶接補助部材として用いられる2つの金属箔と接合されており、該金属箔はそれ自体、スリットが設けられている給電線のスリットに、スポット溶接により固定されている。
【特許文献1】US2219438
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、簡単化された給電線を有する、請求項1の上位概念に記載の電気ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は本発明により、モリブデン箔の端部が、スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピンのスリットに配置されて固定されていることによって解決される。
【0005】
本発明の特に有利な構成が従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の電気ランプは、ランプ容器の少なくとも1つのモリブデン箔シールおよびスリットが設けられている少なくとも1つの金属ピンを有しており、そして、スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピンが、少なくとも1つのモリブデン箔シールのモリブデン箔と導電接続されている。本発明では、モリブデン箔の端部が、スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピンのスリットに配置されて固定されている。このことにより、従来技術では溶接補助部材として用いられる金属箔が不要となる。スリットに配置されている前述のモリブデン箔の端部が、直接的な溶接接合により、すなわちはんだや別の溶接手段を用いなくとも、高い信頼度で、給電線と接合可能であることが分かった。この溶接接合は、有利には、レーザを用いて行われる。
【0007】
金属ピンは、有利には、タングステン、タングステン合金、モリブデンおよびモリブデン合金を含む群からの1つの金属から成り、有利な実施例では、金属ピンは給電線またはガス放電電極として構成されている。
【0008】
本発明の有利な実施例を以下図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
図3に示した白熱電球3は、封止された端部31を備えた石英ガラスから成るランプ容器30を有しており、前記封止された端部31には2つのモリブデン箔32,33が埋め込まれている。ランプ容器30の中に、白熱フィラメント34が設けられており、該白熱フィラメントの引出し部341,342はそれぞれ、モリブデン箔32乃至33の一方と溶接されている。ランプ容器30の内部空間から離れた方の、モリブデン箔32,33の端部321はそれぞれ、ランプ容器30の封止された端部31から引出されているモリブデン製の給電線35乃至36と接合されている。これは、モリブデン箔32乃至33の上記端部が、給電線35乃至36のスリットに固定されていることによって実現される。
【0010】
図4に示した放電ランプ4は、封止された端部41を備えた石英ガラスから成るランプ容器40を有しており、前記封止された端部41には2つのモリブデン箔42,43が埋め込まれている。ランプ容器40の中に、タングステン線から成る2つのガス放電電極44,45が設けられており、該ガス放電電極はそれぞれ、モリブデン箔42乃至43の一方と溶接されている。この目的のため、モリブデン箔42,43はそれぞれ、ガス放電電極44,45のスリットに配置されており、有利には、レーザを用いて該ガス放電電極と溶接されている。他方の、ランプ容器40の内部空間から離れた方の、モリブデン箔42,43の端部はそれぞれ、ランプ容器40の封止された端部41から引出されているモリブデン製の給電線46乃至47と接合されている。これは、モリブデン箔42乃至43の上記端部が、給電線46乃至47のスリットに固定されていることにより実現される。
【0011】
モリブデン箔32,33,42,43と、給電線35,36,46,47ないしガス放電電極44,45との間の接合の詳細は、他のモリブデン箔33,42,43と、相応の給電線36,46,47ならびにガス放電電極44,45との間の接合の代わりに、図1及び図2にてモリブデン箔32および給電線35に基づいて説明する。
【0012】
図1には、ランプ容器に取付ける前の図3に示したランプの給電線35が示されている。給電線はモリブデンから成り、0.78mmの厚さを有する。給電線35の端部に、スリット350が設けられており、これは、給電線35の長手方向に約2mmにわたっている。スリット350はレーザを用いて形成された。スリット350の幅は、モリブデン箔32の厚さよりも僅かに大きくなっており、図2に基づき、モリブデン箔の端部321がスリット350に配置されている。モリブデン箔の厚さは27μmである。
【0013】
モリブデン箔32を給電線35に固定するために、モリブデン箔32の端部321がスリット350に押込まれ、引続いて給電線のスリット部分350が押圧される。したがって、モリブデン箔32の端部321と給電線との間の形状結合が形成される。その後、給電線35とモリブデン箔の端部321とが、例えばレーザを用いて形成される1つ又は複数の溶接スポットにより接合される。この1つ又は複数の溶接スポットは、スリット350の側方に沿っておよびモリブデン箔32と給電線とのコンタクト面に沿って実施できる。しかしまた、給電線35の真ん中を通って溶接することもできる。同様に、抵抗溶接も可能である。これと同様に、給電線46と反対側の、モリブデン箔42の端部が、ガス放電電極44と接合される。これは、モリブデン箔42の当該端部が、ガス放電電極44のスリットに挿入されることにより実現できる。次いで、ガス放電電極44のスリットに配置されているモリブデン箔42の端部が、給電線35とモリブデン箔32との接合において上に説明したように、1つ又は複数の溶接スポットにより溶接される。しかしながら、スリットが設けられている電極部分を前もって押圧することは、タングステン電極44の破損の危険のため不要となる。それ以外は、モリブデン箔とガス放電電極との接合技術は、モリブデン箔と給電線との接合技術と同一である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】スリットが設けられている給電線の側面略図である。
【図2】スリットに配置されたモリブデン箔を有する、図1に示した給電線の側面略図である。
【図3】ランプ容器のモリブデン箔シールおよび図2に示した給電線を有する本発明の白熱電球の略線図である。
【図4】ランプ容器のモリブデン箔シールおよび図2に示した給電線ないしガス放電電極を有する本発明の放電ランプの略線図である。
【符号の説明】
【0015】
3 白熱電球
4 放電ランプ
30,40 ランプ容器
31,41 封止された端部
32,33,42,43 モリブデン箔
34 白熱フィラメント
35,36,46,47 給電線
321 端部
341,342 フィラメント引出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ容器(30,40)の少なくとも1つのモリブデン箔シールおよびスリットが設けられている少なくとも1つの金属ピン(35,44)を有する電気ランプであって、
前記スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピン(35,44)が、前記少なくとも1つのモリブデン箔シールのモリブデン箔(32,42)と導電接続されている、
電気ランプにおいて、
前記モリブデン箔(32,42)の端部(321)が、前記スリットが設けられている少なくとも1つの金属ピン(35,44)のスリット(350)に配置されて固定されていることを特徴とする、
電気ランプ。
【請求項2】
前記金属ピンは給電線(35)として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気ランプ。
【請求項3】
前記金属ピンはガス放電電極(44)として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気ランプ。
【請求項4】
前記金属ピン(35,44)は、タングステン、タングステン合金、モリブデンおよびモリブデン合金を含む群からの1つの金属から成ることを特徴とする、請求項1に記載の電気ランプ。
【請求項5】
前記モリブデン箔(32,42)と前記スリットが設けられている金属ピン(35,44)との間に、直接的な溶接接合が形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の電気ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−80086(P2006−80086A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264058(P2005−264058)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, BRD
【Fターム(参考)】