説明

電気ランプ

【解決手段】電気ランプは、H字形の断面のピンチシール(4)を有してなる放電容器(1)から構成される。一対の金属製取付部材(10)が各ピンチシール(4)にクリック止めされ、ランプは管状の石英ガラススリーブに取り付けられる。ランプは、ガラススリーブを通って流れる流体の殺菌に使用される。ランプは、容易に、ガラススリーブに取り付けられ、取り外される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
長手方向軸線と、軸線平面Pと、それぞれがピンチシールを有してなる両端部分とを有し、各ピンチシールは平面Pに沿った2つの反対向きの主側面と2つの反対向きの幅狭な側面とを有する管状ガラス放電容器と、
放電容器内に配置された対向する電極と、
それぞれの電極に結合された電流導体であって、それぞれのピンチシールを貫通して放電容器から出る上記電流導体と、
放電容器に充填されたイオン化可能なガスと、
放電容器を管状ガラススリーブに取り付けるためにピンチシールに設けられた金属製取付部材とを備えている電気ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
上述した電気ランプの実施形態が、EP−A−0 540 019号によって知られている。
【0003】
公知のランプにおいて、放電容器は、エンベロープ内に取り付けられている。金属製取付部材が、ピンチシールの横断方向端面に設けられている。金属製取付部材は、金属ロッドによって互いに一体化され、この金属ロッドは放電容器に沿って延び、放電容器に溶接されている。ロッドは、放電容器をエンベロープ内で支持する。ストリップが、取付部材から半径方向に延びて、エンベロープ内で放電容器を取り囲むガラススリーブを軸線方向に支持し、ガラススリーブを取り囲む円形に屈曲したバンドを有している。
ロッドは、放電容器とガラススリーブとを一体化させて、永久的なユニットを構成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知のランプの不都合は、放電容器が永久的にガラススリーブに取り付けられ、交換できないことである。
【0005】
本発明の目的は、初めのパラグラフに述べたタイプの電気ランプであって、簡単な構造を有し、容易に、ガラススリーブに取り付け及び取り外せる電気ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、ピンチシールは軸線に交差する断面がH字形であり、一対の取付部材が各シールに設けられ、各取付部材は幅狭の側面を把持し、主側面にクランプ嵌合して係合し、各取付部材は、平面Pの片側に、軸線方向に延びた支持部分を有し、該支持部分はそれぞれの主側面から離れて位置している。
【0007】
放電容器の製造が完了した後に、半径方向にシールに接近した取付部材は、ピンチシール上の所定位置に単にクリック止めされ、ケーブルを有するコネクタを放電容器のひとつの端部部分に配置し、コネクタを前にして、放電容器をガラススリーブ内に摺動させる。第2のコネクタが配置されるとき、ランプは、スリーブを通って流れる例えば水などの液体を、例えば殺菌又はクリーニングするのに適している。例えば、寿命時間が経過した後には、ランプはスリーブから容易に取り外され、一方、スリーブ自体はそれが属する装置における所定位置に残される。これに関して、公知のランプの状況とは対照的に、すべての取付部材が完全にスリーブの内側にあることに留意することは興味深い。
【0008】
取付部材は、放電容器をガラススリーブに導入して出し入れするのを容易にするグライダーとして働き、放電容器自体をスリーブから離して状態に維持するスペーサー及びバッファとして働き、液体の流通の結果、スリーブに生じる振動を緩衝する。この緩衝機能によって、より高い速度で液体を流すことができる。これは、振動にさらされたとき、スリーブの破砕のリスクを引き起こすセラミックスペーサーを有するランプとは対照的である。破砕は、液体をスリーブに浸透させ、それにより、回路の短絡を引き起こす。
【0009】
クランプ帯が使用される場合のように、取付部材をピンチシールに固定するのに溶接作業を行う必要がないことは有利である。別の利点は、取付部材が軸線方向ではなく半径方向にピンチシールに接近して取り付けられることであり、というのは、ピンチシールの形成には大きな自由度が存在し、異なるサイズの放電容器の端部部分と、ピンチシールを越えた形状を有するためである。
【0010】
別の利点は、セラミックの取付部材を有するランプの場合のようには、取付部材を固定するのにセメントが使用されないことである。ランプの作動中には、セメントは比較的揮発性の成分を失ない、これがガラススリーブに堆積して、放射の放出を妨げる。
【0011】
取付部材はクランプ式にのみピンチシールに取り付けられるけれども、ピンチシールが横断方向に延びるプロファイルを有し、取付部材がそれぞれのピンチシールのプロファイルと協働して、軸線方向の変位を打ち消すならば有利である。このようなプロファイルは、例えば、幅狭の側面又は主側面に設けた凹部、または、例えば、主側面に設けた1又は複数のボスである。
【0012】
ひとつの実施形態においては、各取付部材は、比較的剛性的な支持部分と、比較的弾性的な支持部分とを有する。これの利点は、弾性的な部分が比較的剛性的な部分をスリーブに対して促し、それにより、放電容器がスリーブの所定の半径部分を占めることである。望ましいならば、放電容器は偏心部分を有し、スリーブまでの距離は局所的に最小化する。
【0013】
組み立てをさらに容易にするために、一対の取付部材は、ブリッジによって互いに一体化される。ブリッジは、比較的弱い部分を有し、組み立て中に、比較的容易に変形する。
取付部材は金属シートから作られるが、取付部材が屈曲させた金属ワイヤから構成されるならば有利である。これは、シート材料を打ち抜いた部材に比べて、多量の材料の節約になる。ワイヤが使用されるとき、材料には全く又は実質的に損失がない。
【0014】
金属は、ランプの作動中にさらされる温度に耐えられるように選択されて、取付部材に使用される。一般的に、前記温度は約560℃である。適当な金属の例は、ニッケル−コバルト−クロム鋼であって、例えばインコネル718として知られたタイプの鋼は、50重量%のニッケル−クロム含有量と、17重量%のコバルト含有量と、釣合をとる鉄(balance iron)とを有している。
【0015】
ひとつの実施形態においては、各取付部材は、軸線方向に向けられた金属製舌部を保持し、放電容器の隣接する端部部分を越えて延び、半径方向のフック端部を有している。これらの舌部は、コネクタと機械的に協働し、コネクタはランプに供給する電気エネルギー源に接続されたケーブルを有する。舌部は、ランプを操作する間に、コネクタを確実に所定位置に保持する。
【0016】
実施形態の好ましい変形例においては、取付部材が金属ワイヤから構成され、軸線方向に向けられた金属製舌部は、放電容器の隣接する端部部分を越えて延び、半径方向のフック端部を有し、取付部材と一体的になっている。
【0017】
好ましい実施形態においては、放電容器は、少なくとも一つのピンチシールに隣接させて第2のピンチシールを有し、電流導体は、少なくとも一つのピンチシールと第2のピンチシールとの間のひだを有するスペースに延びている。ランプがスリーブの周囲大気にて作動するとき、電流導体は酸化に対して保護されることが好ましい。この実施形態においては、少なくとも一つのピンチシールを延通する電流導体は、放電容器から出る前に、前記スペース内で冷却される。冷却を高めるために、スペースは好ましくは、例えば窒素などの不活性ガスで充填される。また、電流導体は、電気抵抗を下げるために、スペース内にて二重にしても良い。ひだは隣接するシールに固定された電流導体の膨張を許容するために働き、それらの互いの距離はランプの点灯後にはほとんど変化せず、これは、石英ガラスなど高いSiO2含有量のガラスの低い熱膨張と、一方、電流導体は大きな熱膨張係数を有していることに起因する。
【0018】
例えば、ランプが使用される装置内の配置によって、作動中に他方のピンチシールが比較的低温であるならば、一方のピンチシールに隣接して第2のピンチシールを設けるだけで充分である。第2のピンチシールは好ましくは、各端部部分に存在している。
【0019】
その端部部分において、放電容器は開いた円筒形の端部を有している。これは、コネクタのための着座部として使用される。さらに、この端部は、主側面のレベルの上方に迫り出し、取付部材の軸線方向の変位を防ぐための隣接したピンチシールのプロファイルとして働く。シールと第2のシールとの間のスペースは、その壁がこの機能を有している。
以下、本発明の実施形態による電気ランプについて説明し、添付図面を参照して明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1において、電気ランプは、長手方向軸線2を有する管状の石英ガラス放電容器1と、軸線平面Pと、それぞれがピンチシール4を有してなる両端部分3とを有する。各ピンチシール4は、2つの反対向きの主側面41と2つの反対向きの幅狭な側面42とを有している。放電容器1内には対向するタングステン電極5が配置される。それぞれの電極5に結合された電流導体6は、それぞれのピンチシール4を通して放電容器1から出ている。放電容器1内には、イオン化可能なガスが存在している。図示のランプにおいては、充填物は、水銀と、95/5体積%のAr/Kr混合物からなる。放電容器は、約61cmの全長を有する。ランプは、1150Vの電圧において5.6kWの消費電力を有する。金属製取付部材10は、放電容器1を管状石英ガラススリーブに取り付けるために、ピンチシール4に設けられる。
【0021】
ピンチシール4は、図2に示すように、軸線2に交差する断面がH字形である。各シール4には、一対の取付部材10が設けられる。各取付部材10は、幅狭の側面42を把持し、主側面41にクランプ嵌合して係合している。各取付部材10は、平面Pの片側に、軸線方向に延びた支持部分11,12を有し、該支持部分はそれぞれの主側面41から離れて位置している。
【0022】
ピンチシール4は横断方向に延びるプロファイル43を有し、取付部材10はそれぞれのピンチシール4のプロファイル43と協働して、軸線変位を打ち消す。図において、幅狭の側面42に設けた凹部は、横断方向に延びるプロファイル43を構成している。
【0023】
各取付部材10(図3及び図4参照)は、比較的剛性的な支持部分11と、比較的弾性的な支持部分12とを有し、図においては、支持部分12は比較的長い、滑らかに屈曲した部分16の端部になっている。ランプをガラススリーブに導入するのを容易にするため、支持部分11の端部と、支持部分12の端部とは、互いに屈曲されている。
【0024】
図5において、一対の取付部材10は、ブリッジ13によって互いに一体化している。ブリッジ13は、組み立てを容易にするため、弱い部分17を有している。図は、一対の取付部材10が互いの鏡像であることを示している。これは、支持部分12が、放電容器から支持部分11に隣接するスリーブまでの距離を最小化する効果を有する。しかしながら、放電容器の中心位置は、同一の取付部材又は寸法の調節によって達成される。
【0025】
図1において、各取付部材10は、軸線方向に向けられた金属製舌部14を保持し、金属製舌部14は、放電容器1の隣接する端部部分3を越えて延び、半径方向のフック端部15を有している。この金属舌部14は取付部材10と一体的であるが、これはかなりの金属を消費する。さもなければ、舌部は取付部材10に溶接され、または、取付部材10と、幅狭の側面42に設けられた凹部に着座したピンチシール4とによって取り囲まれ、横断方向に延びるプロファイル43を構成してもよい。
【0026】
放電容器1は、ひとつのピンチシール4に隣接させて第2のピンチシール7を有し、電流導体6は、前記ひとつのピンチシール4と第2のピンチシール7との間のひだ6’を有するスペースに延びている。必要であれば、この第2のピンチシール7は、取付部材10を支持してもよい。
【0027】
放電容器1の端部部分3は、開いた円筒形の端部9を有している。この端部9は、隣接するピンチシール4の主側面41に対して高さを有し、横断方向に延びるプロファイルとして使用される。同様に、ピンチシール4と第2のピンチシール7との間のスペースの壁は、横断方向に延びるプロファイルを構成する。
【0028】
図6において、取付部材10は、屈曲させた金属ワイヤから構成される。
取付部材10は、図1のランプのピンチシール4に取り付けられ、片方にある部分xc,zc,13及び他方にある部分110によって、端部9及びスペース8の壁で軸線方向に取り囲まれる。
【0029】
図7において、屈曲した金属ワイヤからなる取付部材10は、半径方向のフック端部15を備え、軸線方向に向けられた金属舌部14を具備している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、第1の実施形態を示した斜視図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿ったピンチシールの断面図である。
【図3】図3は、図1で使用された取付部材を斜視図にて示している。
【図4】図4は、図3の線IVに沿った側立面図である。
【図5】図5は、図3及び図4の取付部材をブリッジによって一体化させ、第2の取付部材を斜視図にて示している。
【図6】図6は、第2の実施形態の取付部材を示している。
【図7】図7は、図6の取付部材に軸線方向の金属舌部を設けたものを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ランプであって、
長手方向軸線(2)と、軸線平面Pと、それぞれにピンチシール(4)が設けられた両端部分(3)とを有し、各ピンチシール(4)が平面Pに沿った2つの反対向きの主側面(41)と2つの反対向きの幅狭な側面(42)とを有している管状ガラス放電容器(1)と、
前記放電容器(1)内に配置された対向する電極(5)と、
それぞれの電極(5)に接続された電流導体(6)であって、それぞれのピンチシール(4)を貫通して前記放電容器(1)から出る電流導体と、
前記放電容器(1)に充填されたイオン化可能なガスと、
前記放電容器(1)を管状ガラススリーブに取り付けるためにピンチシール(4)に設けられた金属製取付部材(10)とを備えている電気ランプにおいて、
前記ピンチシール(4)は、前記軸線(2)に交差する断面がH字形であり、一対の取付部材(10)が各シール(4)に設けられ、各取付部材(10)は幅狭の側面(42)を把持し、クランプ嵌合して前記主側面(41)に係合し、
各取付部材(10)は、平面Pの片側に、軸線方向に延びた支持部分(11,12)を有し、該支持部分はそれぞれの主側面(41)から離れて位置している、
ことを特徴とする電気ランプ。
【請求項2】
前記ピンチシール(4)は横断方向に延びるプロファイル(43)を有し、前記取付部材(10)は、軸線変位を打ち消すように、前記それぞれのピンチシール(4)のプロファイル(43)と協働する、
請求項1に記載の電気ランプ。
【請求項3】
前記各取付部材(10)は、比較的剛性的な支持部分(11)と、比較的弾性的な支持部分(12)とを有している、
請求項1又は2に記載の電気ランプ。
【請求項4】
対となった前記取付部材(10)が、ブリッジ(13)によって互いに一体化されている、
請求項3に記載の電気ランプ。
【請求項5】
前記取付部材は屈曲した金属ワイヤから構成されている、
請求項3に記載の電気ランプ。
【請求項6】
前記各取付部材(10)は、軸線方向に向けられた金属製舌部(14)を保持し、放電容器(1)の隣接する端部部分(3)を越えて延び、半径方向のフック端部(15)を有している、
請求項1又は2に記載の電気ランプ。
【請求項7】
前記放電容器(1)は、少なくとも一つのピンチシール(4)に隣接した第2のピンチシール(7)を有し、前記電流導体(6)は、少なくとも一つのピンチシール(4)と第2のピンチシール(7)との間のスペースに延び、ひだ(6’)を有している、
請求項1又は2に記載の電気ランプ。
【請求項8】
放電容器(1)は、前記端部部分(3)に、開いた円筒形の端部(9)を有している、
請求項7に記載の電気ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−538156(P2008−538156A)
【公表日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503662(P2008−503662)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050932
【国際公開番号】WO2006/103622
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】