説明

電気・電子装置

【課題】
電気で機能する電気・電子装置であって、主電源スイッチ釦と各機能を出力させるための操作用スイッチ釦が近接して配設されていても、前記操作用スイッチ釦を操作している際に誤って或いは知らずに主電源スイッチ釦を押圧し、結果的に、当該装置の主電源がOFFになるということを回避する。
【解決手段】
操作用スイッチ釦5を覆う蓋体7を矢印A方向にスライドし、操作用スイッチ釦5を操作可能な状態では、蓋体7が主電源スイッチ釦4を覆う位置となって、ユーザーが誤って或いは気付かずに主電源スイッチ釦4を押圧することを防ぐ構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、AVアンプ、レコーダ、コンピュータ等のように、電気で機能する電気・電子装置に関し、特に、操作用スイッチ釦を操作している際に、誤って主電源スイッチ釦を押圧してOFFとなることを回避させることの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電気で機能する電気・電子装置では、操作性を確保することから、主電源をON/OFFするための主電源スイッチ釦と操作用スイッチ釦が近接して配設されている場合が多い。
つまり、例えば、据え置き型の電気・電子装置であっても携帯型の電気・電子装置であっても、主電源スイッチ釦と操作用スイッチ釦が同じ面に配設されたり、隣接する面同士に配設されている場合が多い。
【0003】
電気で機能する電気・電子装置であって、主電源スイッチ釦と操作用スイッチ釦が互いに近接した位置で配設されているものとして、以下の特許文献1で知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−206750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2002−206750号公報で開示されているオーブントースターは、主電源スイッチ釦と操作用スイッチ釦が互いに近接した位置で配設されている電気・電子装置であるが、操作用スイッチ釦を操作している際に、主電源スイッチ釦に何の保護が為されていない。
つまり、操作用スイッチ釦を操作している際に、誤って、主電源スイッチ釦を押圧してONからOFFに切り換わることに対しては、何らの手だても為されていない。
【0006】
従って、所望通りの調理が得られるように操作用スイッチ釦を操作しても、主電源スイッチ釦を誤って押圧すると折角の前記の操作スイッチ釦の操作も無駄になるという問題が生じる。
特に、電気・電子装置が、例えば、サラウンドアンプであって、より望ましい音場を得るように手動によって各スピーカの出力を操作用スイッチで調整している際に、誤って或いは気付かずに、主電源スイッチ釦をOFFとする場合には、各スピーカの出力の調整を操作用スイッチを操作することによって再び最初からやり直す必要があり、問題は深刻である。
【0007】
又、今日では、一つの装置により多くの機能が付加され、且つ、小型軽量化が進んでいる。そのため、主電源スイッチ釦と操作スイッチ釦がより一層近接した位置で配設される傾向にあり、斯かる問題はより一層深刻な方向にある。
更に、今日ではスイッチは微小な押圧力で切り換わる、いわゆるフェザータッチ式の構成になっていて、僅かな押圧力であっても主電源スイッチ釦は切り換えを行う構成になっている。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、電気で機能する電気・電子装置において主電源スイッチ釦と操作用スイッチ釦が近接して配設されていても、操作用スイッチ釦を操作している際に誤って或いは気付かずに主電源スイッチ釦を押圧してONからOFFに切り換わることを回避し得る電気・電子装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、操作用スイッチ釦を操作している際には、蓋体が主電源スイッチ釦を覆い得るように構成した電気・電子装置である。
その詳細な構成は、装置本体に、その装置の主電源をON/OFFするための主電源スイッチ釦及びその装置の機能を操作するための操作用スイッチ釦が配設され、前記操作用スイッチ釦を覆うための蓋体が前記装置本体に対してスライド可能又は/及び枢支されて付設されている電気・電子装置であって、
上記蓋体は、上記操作用スイッチ釦を覆う状態が解除された際には、上記主電源スイッチ釦を覆う位置又は姿勢を取り得るように構成したことを特徴とする電気・電子装置である。
【0010】
尚、上記装置本体に対して上記蓋体がスライドし得る具体的な構成として、上記操作用スイッチ釦を挟んで並行に伸びる一組のガイドレールが備えられ、且つ、上記蓋体に、前記ガイドレールと係止する係止部が形成されていることが挙げられる。
同様に、上記装置本体に対して上記蓋体が枢支される具体的な状態として、上記蓋体が正の方向に回転すると上記操作用スイッチ釦を覆う姿勢を取り、且つ、逆の方向に回転すると上記主電源スイッチ釦を覆う姿勢を取るように、装置本体に枢支されてなることが挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、主電源スイッチ釦と操作スイッチ釦が近接に配設されていても、前記操作用スイッチ釦を覆う状態が解除された際には前記主電源スイッチ釦を覆う位置又は姿勢を取り得るように構成したことにより、前記操作スイッチ釦を操作している際に誤って主電源スイッチ釦を押圧し、結果的に主電源をOFFにするといった虞のない電気・電子装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明を、以下に示す実施を行うための最良の形態に基づいて詳述する。しかし、この実施の最良形態によって、この発明が限定されるものではない。
電気・電子装置であるサラウンドアンプ1は、図1及び図2に示すように、ほぼ箱形状の装置本体2のフロント面3に、サラウンドアンプ1の主電源をON/OFFするための主電源スイッチ釦4と、サラウンドアンプ1の各機能を操作するための複数の操作用スイッチ釦5と、現時点での出力、入力事項等を表示する表示パネル6が配設されている。
【0013】
複数の操作用スイッチ釦5の前方には、水平方向(矢印A及びB方向)にスライドすることによって複数の操作用スイッチ釦5を覆う/覆うことが解除される蓋体7が配設されている。
つまり、操作用スイッチ釦5のの上方と下方にそれぞれ、水平方向に伸びる直線状のガイドレール8,9が付設され、且つ、蓋体7の内側面にガイドレール8,9が嵌合する、係止部であるアリ溝10,11が形成されている。
【0014】
蓋体7は、初期の状態では矢印A方向にスライドされた位置を取っていて、複数の操作用スイッチ釦5を覆った状態にある。
この時、主電源スイッチ釦4は、蓋体7によって覆われた状態になっていないので、ユーザーは押圧操作してOFFからONに切り換えることが可能になっている。
【0015】
他方、蓋体7は、矢印B方向にスライドされた位置を取った際には、主電源スイッチ釦4を覆った状態にある。
この時、複数の操作用スイッチ釦5は、蓋体7によって覆われた状態から解除されているので、ユーザーは操作用スイッチ釦5を押圧操作して所望する機能を設定することが可能になっている。
【0016】
サラウンドアンプ1は、上述したように構成されている。
従って、主電源スイッチ釦4と操作用スイッチ釦5が近接された位置の状態で配設されていても、操作用スイッチ釦5を操作する際には蓋体7が主電源スイッチ釦4を覆っていてユーザーが主電源スイッチ釦4に押圧力を与えることを防ぐので、ユーザーが誤って或いは気付かずに主電源スイッチ釦4を押圧してサラウンドアンプ1の主電源がONからOFFに切り換わり、それまで設定していた内容を最初から設定し直すといった事態が生じることはない。
【0017】
以下において、この発明の他の実施の最良形態を説明する。
サラウンドアンプ1aは、図3に示すように、ほぼ箱形状の装置本体2aのフロント面3aに、サラウンドアンプ1aの主電源をON/OFFするための主電源スイッチ釦4aと、サラウンドアンプ1aの各機能を操作するための複数の操作用スイッチ釦5aと、現時点での出力、入力事項等を表示する表示パネル6aが配設されている。
【0018】
複数の操作用スイッチ釦5aの前部には、正逆方向(矢印A及びB方向)に回転することによって操作用スイッチ釦5aを覆う/覆うことが解除される蓋体7aが配設されている。
つまり、前方から見て操作用スイッチ釦5aの左上方と下方にそれぞれ、蓋体7aを枢支する枢支ブロック8a,9aが付設され、蓋体7aが軸(図示省略)によって枢支ブロック8a,9aに枢支されている。
【0019】
サラウンドアンプ1aは、上述したように構成されている。
従って、主電源スイッチ釦4aと操作用スイッチ釦5aが近接された位置の状態で配設されていても、サラウンドアンプ1aを作動させる際には、蓋体7aを矢印Aa方向に回転させ、主電源スイッチ釦4aが蓋体7aに覆われていない状態にしてから、押圧することでOFFからONとして作動をさせる。
【0020】
ユーザーがサラウンドアンプ1aに対して所望する機能を出力させたい時には、蓋体7aを矢印Ba方向に回転させ、操作スイッチ釦5aが蓋体7aに覆われていない状態にしてから、所望の機能に対応する操作スイッチを選択して押圧することで、サラウンドアンプ1aの機能操作を行う。
この操作スイッチ釦5aの押圧操作の際、主電源スイッチ釦4aは蓋体7aに覆われた状態になっているので、ユーザーが誤ったり或いは無意識に主電源スイッチ釦4aを押圧しようとしても蓋体7aが主電源スイッチ釦4を覆っていてユーザーが主電源スイッチ釦4aに押圧力を与えることを防ぐので、ユーザーが誤って或いは気付かずに主電源スイッチ釦4を押圧してサラウンドアンプ1の主電源がONからOFFに切り換わり、それまで設定していた内容を最初から設定し直すといった事態が生じることはない。
【0021】
この発明の上述した最良の実施形態では電気・電子装置は具体的にサラウンドアンプ1,1aであるが、この発明はレコーダ、コンピュータ、電気・電子式の調理装置、電気洗濯機等についても実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第一の最良の実施形態であって、蓋体が操作スイッチ釦を覆っている状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す最良の実施形態において、蓋体が主電源スイッチ釦を覆っている状態を示す図1相当図である。
【図3】この発明の第二の最良の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1,1a : サラウンドアンプ(電気・電子装置)
2,2a : 装置本体
4,4a : 主電源スイッチ釦
5,5a : 操作スイッチ釦
7,7a : 蓋体
8,9 : ガイドレール
8a,9a: 枢支ブロック
10,11: アリ溝(係止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に、その装置の主電源をON/OFFするための主電源スイッチ釦及びその装置の機能を操作するための操作用スイッチ釦が配設され、前記操作用スイッチ釦を覆うための蓋体が前記装置本体に対してスライド可能又は/及び枢支されて付設されている電気・電子装置であって、
上記蓋体は、上記操作用スイッチ釦を覆う状態が解除された際には、上記主電源スイッチ釦を覆う位置又は姿勢を取り得るように構成したことを特徴とする電気・電子装置。
【請求項2】
上記装置本体に、上記操作用スイッチ釦を挟んで並行に伸びる一組のガイドレールが備えられ、且つ、上記蓋体に、前記ガイドレールと係止する係止部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気・電子装置。
【請求項3】
上記蓋体が、正の方向に回転すると、上記操作用スイッチ釦を覆う姿勢を取り、且つ、逆の方向に回転すると、上記主電源スイッチ釦を覆う姿勢を取るように、装置本体に枢支されてなることを特徴とする請求項1に記載の電気・電子装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−86768(P2010−86768A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254217(P2008−254217)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】