説明

電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器

【課題】電気泳動表示装置等の電気光学装置において、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減する。
【解決手段】電気光学装置の制御方法は、表示部(3)に表示されている画像を第1画像(P1)から第2画像(Pw)へ書き換える際、表示すべき階調が第2階調から第1階調へ変化する画素である第1画素(20b)に第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、表示すべき階調が第1階調のままで変化しない画素のうち、第1画像が表示されていたときに第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素(20e)に第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、表示すべき階調が第1階調のままで変化しない画素のうち第2画素以外の画素である第3画素(20ww)に電圧が印加されないように、駆動部(60、70、220)を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例として、電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟んで対向する画素電極及び対向電極間に電圧を印加して、例えば黒色粒子及び白色粒子等の電気泳動粒子を移動させることで表示部に画像を表示する電気泳動表示装置がある(例えば特許文献1から3参照)。このような電気泳動表示装置では、表示部に表示されている画像を書き換える際、画像が部分的にしか変化しない場合には、変化する部分に対応する画素のみにおける画素電極及び対向電極間に電圧を印加することにより、画像を部分的に書き換える駆動方法(以下「部分書き換え駆動」と適宜称する)が採用されることがある。このような部分書き換え駆動が採用された電気泳動表示装置では、例えば、表示部に表示される画像のうち黒色で表示される黒画像部分と白色で表示される白画像部分との境界部が滲んだように表示されてしまうおそれがある、言い換えれば、黒画像部分の輪郭部が白画像部分側に広がったように(或いは膨らんだように)表示されてしまうおそれがあることが知られている。このような境界部の滲みが発生すると、黒画像部分に対応する画素のみに電圧を印加することにより、表示部に表示される画像を全白画像に書き換えた場合、境界部の滲みが残像として残ってしまう、言い換えれば、表示されていた黒画像部分の輪郭部に沿った残像が発生してしまうおそれがある。なお、以下では、このような輪郭部に沿った残像が発生する現象、或いは、このような輪郭部に沿った残像そのものを「輪郭残像」と適宜称する。例えば特許文献1から3には、表示部に表示された画像を部分書き換え駆動により全白画像に書き換える(即ち、黒画像部分を消去する)際、黒画像部分に対応する画素に加えて、黒画像部分の輪郭部に対応する画素と隣り合って配置され白色を表示する画素にも電圧を印加することにより、輪郭残像を消去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−113281号公報
【特許文献2】特開2010−113282号公報
【特許文献3】特開2010−211033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した例えば特許文献1から3に開示された技術によれば、黒画像部分の輪郭部に対応する画素と隣り合って配置され白色を表示する画素に対して一律に、輪郭残像を消去するための電圧が印加されるので、表示部における輪郭残像が表示されない部分に対応する画素に電圧が印加されてしまうおそれがある。よって、表示部において局所的にDCバランス(即ち、画素電極及び対向電極間に対向電極側の電位よりも画素電極側の電位が高くなる電圧が印加される時間と、画素電極及び対向電極間に対向電極側の電位よりも画素電極側の電位が低くなる電圧が印加される時間とのつり合い)が崩れてしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば前述した問題点に鑑みなされたものであり、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減可能な電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の電気光学装置の制御方法は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、前記表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から前記第1階調で表示された第2画像へ書き換える際、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、前記駆動部を制御する。
【0007】
本発明に係る第1の電気光学装置の制御方法によって制御される電気光学装置は、例えばアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置などであり、例えばマトリクス状に配列された複数の画素からなる表示部と、各画素の画素電極及び対向電極間に例えば画像データに応じた電圧を印加する駆動部とを備える。駆動部が、複数の画素の各々における画素電極及び対向電極間に画像データに応じた電圧を印加することにより、表示部に例えば画像データに応じた画像が表示される。
【0008】
本発明に係る第1の電気光学装置の制御方法によれば、表示部に表示されている画像を、第1階調(例えば白色)及び第2階調(例えば黒色)で表示された第1画像(例えば白黒の2階調画像)から第1階調(例えば白色)で表示された第2画像(例えば全白画像)へ書き換える際、言い換えれば、表示部に表示されている第1画像のうち第2階調で表示された部分を消去する際、以下のように駆動部が制御される。
【0009】
即ち、表示すべき階調が第2階調(例えば黒色)から第1階調(例えば白色)へ変化する画素である第1画素の画素電極及び対向電極間に第1階調に応じた電圧(例えば、画素電極側の電位が対向電極側の電位よりも低い電圧)が印加されるように、かつ、複数の画素のうち表示すべき階調が第1階調(例えば白色)のままで変化しない画素のうち、第1画像が表示部に表示されていたときに第2階調(例えば黒色)を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の画素電極及び対向電極間に第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、複数の画素のうち表示すべき階調が第1階調(例えば白色)のままで変化しない画素のうち第2画素以外の画素である第3画素の画素電極及び対向電極間に電圧が印加されないように、駆動部が制御される。なお、画素は、典型的には、4つの辺を有する四角形の平面形状を有するが、画素が多角形の平面形状を有していれば本発明は適用可能であり、画素は、例えば三角形や六角形の平面形状を有していてもよい。
【0010】
ここで、本発明では、第1画像は、典型的には、表示部に第1階調(例えば白色)のみからなる画像(例えば全白画像)が表示されているときに、複数の画素のうちの一部の画素(即ち、第1画像のうち第2階調(例えば黒色)で表示される部分に対応する画素)の画素電極及び対向電極間に第2階調に対応する電圧(例えば、画素電極側の電位が対向電極側の電位よりも高い電圧)が印加されるように、かつ、複数の画素のうちの前記一部の画素以外の画素の画素電極及び対向電極間に電圧が印加されないように、駆動部が制御されることにより、表示部に表示される。本願発明者の研究によれば、駆動部がこのように制御されることにより第1画像が表示部に表示される場合、第1階調を表示すべき画素(即ち、電圧が印加されない画素)のうち第2階調を表示すべき画素(第2階調に対応する電圧が印加される画素)に隣り合う辺を2辺以上有する画素には、隣り合う画素に印加される第2階調に対応する電圧の影響により第1階調と異なる階調が表示されてしまう傾向があるとともに、第1階調を表示すべき画素のうち第2階調を表示すべき画素に隣り合う辺を1辺のみ有する画素及び1辺も有さない画素には、第1階調が確実に表示される傾向があることが判明している。第1画像が表示部に表示されたときに前述のように第1階調を表示すべき画素に第1階調と異なる階調が表示されてしまうと、仮に複数の画素のうち第1階調を表示している画素のみに第2階調に対応する電圧が印加されるとともに、その他の画素に電圧が印加されないように駆動部を制御することにより第2画像に書き換える場合には、第1画像が表示部に表示されていたときに第1階調を表示すべきであった画素のうち第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素に輪郭残像が発生してしまうおそれがある。
【0011】
しかるに、本発明では特に、前述したように、表示部に表示されている画像を、第1画像から第2画像へ書き換える際、複数の画素のうち表示すべき階調が第1階調(例えば白色)のままで変化しない画素のうち、第1画像が表示部に表示されていたときに第2階調(例えば黒色)を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の画素電極及び対向電極間に第1階調に対応する電圧が印加されるように、駆動部を制御するので、輪郭残像が発生しやすい傾向がある第2画素に輪郭残像が発生することを低減できる。この結果、表示部に高品質な画像を表示することが可能となる。
【0012】
更に、本発明では特に、輪郭残像がほとんど或いは実践上は全く発生しない傾向がある第3画素の画素電極及び対向電極間に電圧が印加されないので、例えば、複数の画素のうち表示すべき階調が第1階調(例えば白色)のままで変化しない画素のうち、第1画像が表示部に表示されていたときに第2階調(例えば黒色)を表示していた画素に隣り合う辺を有する全ての画素の画素電極及び対向電極間に第1階調に対応する電圧が印加されるように、駆動部を制御する場合と比較して、DCバランスが崩れることを抑制できる。よって、電気光学装置の信頼性を向上させることができる。
【0013】
以上説明したように、本発明に係る第1の電気光学装置の制御方法によれば、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減できる。この結果、表示部に高品質な画像を表示することが可能になるとともに、電気光学装置の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る第2の電気光学装置の制御方法は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から該第1画像と異なる前記第1及び第2階調で表示された第2画像へ書き換える際、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調から前記第2階調へ変化する画素である第4画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第2階調に応じた電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調のままで変化しない画素である第5画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、前記駆動部を制御する。
【0015】
本発明に係る第2の電気光学装置の制御方法によって制御される電気光学装置は、例えばアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置などである。
【0016】
本発明に係る第2の電気光学装置の制御方法によれば、表示部に表示されている画像を、第1階調(例えば白色)及び第2階調(例えば黒色)で表示された第1画像(例えば白黒の2階調画像)から、該第1画像とは異なる、第1及び第2階調で表示された第2画像(例えば白黒の2階調画像)へ書き換える際、表示すべき階調が第2階調(例えば黒色)から第1階調(例えば白色)へ変化する画素である第1画素の画素電極及び対向電極間に第1階調に応じた電圧(例えば、画素電極の電位が対向電極の電位よりも低い電圧)が印加されるように、かつ、複数の画素のうち表示すべき階調が第1階調(例えば白色)のままで変化しない画素のうち、第1画像が表示部に表示されていたときに第2階調(例えば黒色)を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の画素電極及び対向電極間に第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、複数の画素のうち表示すべき階調が第1階調(例えば白色)のままで変化しない画素のうち第2画素以外の画素である第3画素の画素電極及び対向電極間に電圧が印加されないように、かつ、複数の画素のうち表示すべき階調が第1階調(例えば白色)から第2階調(例えば黒色)へ変化する画素である第4画素の画素電極及び対向電極間に第2階調に応じた電圧が印加されるように、かつ、複数の画素のうち表示すべき階調が第2階調(例えば黒色)のままで変化しない画素である第5画素の画素電極及び対向電極間に電圧が印加されないように、駆動部が制御される。
【0017】
よって、前述した本発明に係る第1の電気光学装置の制御方法と同様に、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像が発生しやすい傾向がある第2画素に輪郭残像が発生することを低減できる。この結果、表示部に高品質な画像を表示することが可能になるとともに、電気光学装置の信頼性を向上させることができる。更に、表示部に表示されている画像を、第1画像から第2画像に、例えば第1階調のみで表示された画像(例えば全白画像)を表示部に表示させることなく直接的に書き換えることができる。
【0018】
本発明に係る第1の電気光学装置の制御装置は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から前記第1階調で表示された第2画像へ書き換える際、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、前記駆動部を制御する。
【0019】
本発明に係る第1の電気光学装置の制御装置によれば、前述した本発明に係る第1の電気光学装置の制御方法と同様に、電気光学装置において、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減できる。この結果、表示部に高品質な画像を表示することが可能になるとともに、電気光学装置の信頼性を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る第2の電気光学装置の制御装置は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から該第1画像と異なる前記第1及び第2階調で表示された第2画像へ書き換える際、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調から前記第2階調へ変化する画素である第4画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第2階調に応じた電圧が印加されるように、かつ、前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調のままで変化しない画素である第5画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、前記駆動部を制御する。
【0021】
本発明に係る第2の電気光学装置の制御装置によれば、前述した本発明に係る第2の電気光学装置の制御方法と同様に、電気光学装置において、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減できる。この結果、表示部に高品質な画像を表示することが可能になるとともに、電気光学装置の信頼性を向上させることができる。更に、表示部に表示されている画像を、第1画像から第2画像に、例えば第1階調のみで表示された画像(例えば全白画像)を表示部に表示させることなく直接的に書き換えることができる。
【0022】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、前述した本発明に係る第1又は第2の電気光学装置の制御装置を備える。
【0023】
本発明に係る電気光学装置によれば、前述した本発明に係る第1又は第2の電気光学装置の制御装置を備えるので、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減できる。この結果、表示部に高品質な画像を表示することが可能になるとともに、当該電気光学装置の信頼性を向上させることができる。
【0024】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器によれば、前述した本発明に係る電気光学装置を備えるので、高品質な画像を表示することが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0025】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図3】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【図4】表示部に順に表示される画像の一例を示す平面図である。
【図5】画像Pwから画像P1に書き換える際に各画素に印加される電圧を示す概念図である。
【図6】画像Pwから画像P1に書き換える際に発生し得る滲み部の一例を示す平面図である。
【図7】画像P1から画像Pwに書き換える際に各画素に印加される電圧を示す概念図である。
【図8】表示部に順に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【図9】画像Pbから画像P1に書き換える際に各画素に印加される電圧を示す概念図である。
【図10】画像Pbから画像P1に書き換える際に発生し得る滲み部の一例を示す平面図である。
【図11】画像P1から画像Pbに書き換える際に各画素に印加される電圧を示す概念図である。
【図12】表示部に順に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【図13】画像Pwから画像P2に書き換える際に各画素に印加される電圧を示す概念図である。
【図14】画像Pwから画像P2に書き換える際に発生し得る滲み部の一例を示す平面図である。
【図15】画像P2から画像P3に書き換える際に各画素に印加される電圧を示す概念図である。
【図16】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図17】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明に係る電気光学装置の一例である電気泳動表示装置を例にとる。
【0028】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図7を参照して説明する。
【0029】
まず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【0031】
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、アクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置であり、表示部3と、コントローラー10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、共通電位供給回路220とを備えている。なお、コントローラー10が本発明に係る「電気光学装置の制御装置」の一例である。また、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220が本発明に係る「駆動部」の一例を構成する。以下、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220を「駆動部」と適宜総称する。
【0032】
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線50(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線50は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本のデータ線50との交差に対応して画素20が配置されている。
【0033】
コントローラー10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220の動作を制御する。コントローラー10は、例えば、クロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。
【0034】
走査線駆動回路60は、コントローラー10による制御下で、所定のフレーム期間中に、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
【0035】
データ線駆動回路70は、コントローラー10による制御下で、データ線X1、X2、…、Xnにデータ電位を供給する。データ電位は、基準電位GND(例えば0ボルト)又は高電位VH(例えば+15ボルト)のいずれかの電位をとる。なお、後述するように、本実施形態では、基本的には、前述した部分書き換え駆動が採用されている。
【0036】
共通電位供給回路220は、コントローラー10による制御下で、共通電位線93に共通電位Vcomを供給する。共通電位Vcomは、基準電位GND(例えば0ボルト)又は高電位VH(例えば+15ボルト)のいずれかの電位をとる。
【0037】
なお、コントローラー10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
【0038】
図2は、画素20の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0039】
図2において、画素20は、画素スイッチング用トランジスター24と、画素電極21と、対向電極22と、電気泳動素子23と、保持容量27とを備えている。
【0040】
画素スイッチング用トランジスター24は、例えばN型トランジスターで構成されている。画素スイッチング用トランジスター24は、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21及び保持容量27に電気的に接続されている。画素スイッチング用トランジスター24は、データ線駆動回路70(図1参照)からデータ線50を介して供給されるデータ電位を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21及び保持容量27に出力する。
【0041】
画素電極21には、データ線駆動回路70からデータ線50及び画素スイッチング用トランジスター24を介して、データ電位が供給される。画素電極21は、電気泳動素子23を介して対向電極22と互いに対向するように配置されている。
【0042】
対向電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。
【0043】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0044】
保持容量27は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極が、画素電極21及び画素スイッチング用トランジスター24に電気的に接続され、他方の電極が共通電位線93に電気的に接続されている。保持容量27によって画素電極21の電位を一定期間だけ維持することができる。
【0045】
次に、電気泳動表示装置1の表示部3の具体的な構成について、図3を参照して説明する。
【0046】
図3は、電気泳動表示装置1の表示部3の部分断面図である。
【0047】
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。なお、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0048】
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して前述した画素スイッチング用トランジスター24、保持容量27、走査線40、データ線50、共通電位線93等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
【0049】
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、対向電極22が複数の画素電極21と対向してベタ状に形成されている。対向電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0050】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。なお、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されて構成されている。
【0051】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び対向電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0052】
マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0053】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0054】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0055】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0056】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0057】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と対向電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0058】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0059】
図3において、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に対向電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられるとともに、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、対向電極22側)には白色粒子82が集まることになり、表示部3の表示面にはこの白色粒子82の色(即ち、白色)が表示されることとなる。逆に、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられるとともに、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側には黒色粒子83が集まることになり、表示部3の表示面にはこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)が表示されることとなる。
【0060】
なお、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等を表示することができる。
【0061】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法について、図4から図7を参照して説明する。以下では、図4に示すように、表示部3に表示される画像が、全白画像である画像Pwから白黒の2階調画像である画像P1へ書き換えられ、この画像P1が再び全白画像である画像Pwへ書き換えられる場合を例にとりながら、前述した電気泳動表示装置1の制御方法について説明する。
【0062】
図4は、表示部3に順に表示される画像の一例を示す平面図である。
【0063】
図4に示すように、画像Pwは、白色のみからなる全白画像である。画像P1は、黒色及び白色の2階調からなる白黒の2階調画像であり、白色を有する白画像部分Rwと、黒色を有する黒画像部分Rbとを有している。なお、画像P1は本発明に係る「第1画像」の一例であり、画像Pwは本発明に係る「第2画像」の一例である。
【0064】
図5は、画像Pwから画像P1に書き換える際に複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に印加される電圧を概念的に示す概念図である。なお、図5では、画素電極21及び対向電極22間に、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が印加されることを「+」として図示し、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないことを「0」として図示している。
【0065】
図5に示すように、本実施形態では、基本的には、前述した部分書き換え駆動が採用されている。即ち、本実施形態では、表示部3に表示された画像を、画像Pwから画像P1に書き換える場合、階調を白色から黒色に変化させるべき画素20b(即ち、黒画像部分Rbに対応する画素20)については、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高くなる電圧が画素電極21及び対向電極22間に供給され(即ち、画素電極21にデータ電位として高電位VHが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給され)、階調を変化させない(即ち、階調を白色のまま維持すべき)画素20w(即ち、白画像部分Rwに対応する画素20)については、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されない(即ち、画素電極21にデータ電位として基準電位GNDが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給される)。これにより、階調を白色から黒色に変化させるべき、黒画像部分Rbに対応する画素20bでは、表示面側(即ち、対向電極22側)に黒色粒子83が集まって黒色が表示され、階調を変化させない、白画像部分Rwに対応する画素20wでは、基本的には、白色粒子82及び黒色粒子83はほとんど或いは全く移動せず、階調が白色のまま維持される。
【0066】
図6は、表示部3に表示されている画像を画像Pwから画像P1に書き換えるために複数の画素20の各々に図5を参照して前述したように電圧が印加された場合に発生し得る滲み部Reの一例を示す平面図である。
【0067】
図6に示すように、本実施形態では、図5を参照して前述したように部分書き換え駆動によって画像Pwを画像P1に書き換えるので、表示部3に表示される画像のうち黒色で表示される黒画像部分Rbと白色で表示される白画像部分Rwとの境界部が滲んだように表示されてしまうおそれがある、言い換えれば、黒画像部分Rbの輪郭部が白画像部分Rw側に広がったように(或いは膨らんだように)表示されてしまうおそれがある。ここで特に、本願発明者の研究によれば、このように滲んだように見える部分(以下「滲み部Re」と適宜称する)は、画像Pwから画像P1に書き換えられる際、階調を白色のまま維持すべき画素20w(即ち、電圧が印加されない画素20)のうち階調が白色から黒色に変化すべき画素20b(即ち、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が印加される画素20)に隣り合う(又は隣接する)辺を2辺以上有する画素20に比較的多く発生することが判明している。即ち、図6に示すように、滲み部Reは、例えば黒画像部分Rbが屈曲している部分に隣接するように局所的に発生する傾向がある。このような滲み部Reは、仮に黒画像部分Rbに対応する画素20のみに電圧を印加することにより、表示部3に表示される画像を画像P1から全白画像である画像Pwに再び書き換えた場合、輪郭残像として残ってしまうおそれがある。
【0068】
そこで、本実施形態では、表示部3に表示される画像を、画像P1から全白画像である画像Pwに書き換える際、複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に以下のように電圧が印加される。
【0069】
図7は、画像P1から画像Pwに書き換える際に複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に印加される電圧を概念的に示す概念図である。なお、図7では、画素電極21及び対向電極22間に、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が印加されることを「−」として図示し、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないことを「0」として図示している。また、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧(即ち、「−」の電圧)は、本発明に係る「第1階調に対応する電圧」の一例である。
【0070】
図7に示すように、本実施形態では特に、表示部3に表示されている画像を、白画像部分Rw及び黒画像部分Rbを有する画像P1から全白画像である画像Pwへ書き換える際、複数の画素20のうち表示すべき階調が黒色から白色へ変化する画素20(即ち、黒画像部分Rbに対応する画素20b)については、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加されるように(即ち、画素電極21にデータ電位として基準電位GNDが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして高電位VHが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が白色のままで変化しない画素20のうち、画像P1が表示部3に表示されていたときに黒色を表示していた画素20(即ち、黒画像部分Rbに対応する画素20b)に隣り合う辺を2辺以上有する画素20eについては、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加されるように(即ち、画素電極21にデータ電位として基準電位GNDが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして高電位VHが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が白色のままで変化しない画素20のうち画素20e以外の画素20である画素20wwについては、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。即ち、本実施形態では、表示部3に表示されている画像P1を全白画像である画像Pwへ書き換える際、黒画像部分Rbに対応する画素20bに加えて、画素20bに隣り合う辺を2辺以上有する画素20eに電圧が印加されるととともに、画素20b及び20e以外の画素20wwに電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。なお、画素20bは本発明に係る「第1画素」の一例であり、画素20eは本発明に係る「第2画素」の一例であり、画素20wwは本発明に係る「第3画素」の一例である。
【0071】
よって、黒画像部分Rbに対応する画素20b、及び画素20bに隣り合う辺を2辺以上有する画素20e(言い換えれば、滲み部Reに対応する画素20e)の各々において白色を確実に表示させることができる。言い換えれば、黒画像部分Rb及び滲み部Reを確実に消去でき、滲み部Reが輪郭残像として残ってしまうことを低減できる。この結果、表示部3に全白画像である画像Pwを確実に表示させることができる。
【0072】
更に、本実施形態では特に、黒画像部分Rbに対応する画素20bに隣り合う辺を有する画素20のうち、画素20bに隣り合う辺を2辺以上有する画素20eの画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されるように、かつ、画素20bに隣り合う辺を1辺のみ有する画素20の画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。よって、例えば、仮に、輪郭残像を消去することを目的として、黒画像部分Rbに対応する画素20bに隣り合う辺を有する全ての画素20の画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加される場合と比較して、DCバランスが崩れることを抑制できる。よって、電気泳動表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減できる。この結果、表示部3に高品質な画像を表示することが可能になるとともに、電気泳動表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0074】
<変形例>
前述した第1実施形態では、図4に示したように、表示部3に表示される画像が、全白画像である画像Pwから白黒の2階調画像である画像P1へ書き換えられ、この画像P1が再び全白画像である画像Pwへ書き換えられる場合を例にとって説明したが、本発明は、図8に示すように、表示部3に表示される画像が、全黒画像である画像Pbから白黒の2階調画像である画像P1へ書き換えられ、この画像P1が再び全黒画像である画像Pbへ書き換えられる場合にも適用することができる。
【0075】
図8は、表示部3に順に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【0076】
図8に示すように、画像Pbは、黒色のみからなる全黒画像である。画像P1は、黒色及び白色の2階調からなる白黒の2階調画像であり、白色を有する白画像部分Rwと、黒色を有する黒画像部分Rbとを有している。なお、画像P1は本発明に係る「第1画像」の一例であり、画像Pbは本発明に係る「第2画像」の一例である。
【0077】
図9は、画像Pbから画像P1に書き換える際に複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に印加される電圧を概念的に示す概念図である。なお、図9では、画素電極21及び対向電極22間に、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が印加されることを「−」として図示し、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないことを「0」として図示している。
【0078】
図9に示すように、本変形例では、前述した第1実施形態と同様に、基本的には、前述した部分書き換え駆動が採用されている。即ち、本変形例では、表示部3に表示された画像を、画像Pbから画像P1に書き換える場合、階調を黒色から白色に変化させるべき画素20w(即ち、白画像部分Rwに対応する画素20)については、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加され(即ち、画素電極21にデータ電位として基準電位GNDが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして高電位VHが供給され)、階調を変化させない(即ち、階調を黒色のまま維持すべき)画素20b(即ち、黒画像部分Rbに対応する画素20)については、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されない(即ち、画素電極21にデータ電位として基準電位GNDが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給される)。これにより、階調を黒色から白色に変化させるべき、白画像部分Rwに対応する画素20wでは、表示面側(即ち、対向電極22側)に白色粒子82が集まって白色が表示され、階調を変化させない、黒画像部分Rbに対応する画素20bでは、基本的には、白色粒子82及び黒色粒子83はほとんど或いは全く移動せず、階調が黒色のまま維持される。
【0079】
図10は、表示部3に表示されている画像を画像Pbから画像P1に書き換えるために複数の画素20の各々に図9を参照して前述したように電圧が印加された場合に発生し得る、滲み部Reの一例を示す平面図である。
【0080】
図10に示すように、本実施形態では、図9を参照して前述したように部分書き換え駆動によって画像Pbを画像P1に書き換えるので、表示部3に表示される画像のうち白色で表示される白画像部分Rwと黒色で表示される黒画像部分Rbとの境界部が滲んだように表示されてしまうおそれがある、言い換えれば、白画像部分Rwの輪郭部が黒画像部分Rb側に広がったように(更に言い換えれば、黒画像部分Rbの輪郭が部分的に狭くなったように)表示されてしまうおそれがある。ここで特に、本願発明者の研究によれば、このように滲んだように見える部分である滲み部Reは、画像Pbから画像P1に書き換えられる際、階調を黒色のまま維持すべき画素20b(即ち、電圧が印加されない画素20)のうち階調が黒色から白色に変化すべき画素20w(即ち、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が印加される画素20)に隣り合う辺を2辺以上有する画素20に比較的多く発生することが判明している。即ち、図10に示すように、滲み部Reは、例えば白画像部分Rwが屈曲している部分に隣接するように局所的に発生する傾向がある。このような滲み部Reは、仮に白画像部分Rwに対応する画素20のみに電圧を印加することにより、表示部3に表示される画像を画像P1から全黒画像である画像Pbに再び書き換えた場合、輪郭残像として残ってしまうおそれがある。
【0081】
そこで、本変形例では、表示部3に表示される画像を、画像P1から全黒画像である画像Pbに書き換える際、複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に以下のように電圧が印加される。
【0082】
図11は、画像P1から画像Pbに書き換える際に複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に印加される電圧を概念的に示す概念図である。なお、図11では、画素電極21及び対向電極22間に、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が印加されることを「+」として図示し、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないことを「0」として図示している。また、本変形例において、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧(即ち、「+」の電圧)は、本発明に係る「第1階調に対応する電圧」の一例である。
【0083】
図11に示すように、本実施形態では特に、表示部3に表示されている画像を、白画像部分Rw及び黒画像部分Rbを有する画像P1から全黒画像である画像Pbへ書き換える際、複数の画素20のうち表示すべき階調が白色から黒色へ変化する画素20(即ち、白画像部分Rwに対応する画素20w)については、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加されるように(即ち、画素電極21にデータ電位として高電位VHが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が黒色のままで変化しない画素20のうち、画像P1が表示部3に表示されていたときに白色を表示していた画素20(即ち、白画像部分Rwに対応する画素20w)に隣り合う辺を2辺以上有する画素20eについては、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加されるように(即ち、画素電極21にデータ電位として高電位VHが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が黒色のままで変化しない画素20のうち画素20e以外の画素20である画素20bbについては、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。即ち、本実施形態では、表示部3に表示されている画像P1を全黒画像である画像Pbへ書き換える際、白画像部分Rwに対応する画素20wに加えて、画素20wに隣り合う辺を2辺以上有する画素20eに電圧が印加されるととともに、画素20w及び20e以外の画素20bbに電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。なお、画素20wは本発明に係る「第1画素」の一例であり、画素20eは本発明に係る「第2画素」の一例であり、画素20bbは本発明に係る「第3画素」の一例である。
【0084】
よって、白画像部分Rwに対応する画素20w、及び画素20wに隣り合う辺を2辺以上有する画素20e(言い換えれば、滲み部Reに対応する画素20e)の各々において黒色を確実に表示させることができる。言い換えれば、白画像部分Rw及び滲み部Reを確実に消去でき、滲み部Reが輪郭残像として残ってしまうことを低減できる。この結果、表示部3に全黒画像である画像Pbを確実に表示させることができる。
【0085】
更に、本実施形態では特に、白画像部分Rwに対応する画素20wに隣り合う辺を有する画素20のうち、画素20wに隣り合う辺を2辺以上有する画素20eの画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されるように、かつ、画素20wに隣り合う辺を1辺のみ有する画素20の画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。よって、例えば、仮に、輪郭残像を消去することを目的として、白画像部分Rwに対応する画素20wに隣り合う辺を有する全ての画素20の画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加される場合と比較して、DCバランスが崩れることを抑制できる。よって、電気泳動表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、DCバランスが崩れることを抑制しつつ、輪郭残像の発生を低減できる。この結果、表示部3に高品質な画像を表示することが可能になるとともに、電気泳動表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0087】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る電気泳動表示装置について、図12から図15を参照して説明する。
【0088】
第2実施形態に係る電気泳動表示装置は、データ線駆動回路70がデータ電位として基準電位GND(例えば0ボルト)、高電位VH(例えば+15ボルト)又は低電位VL(例えば−15ボルト)を供給可能に構成されている点、及び共通電位供給回路220が共通電位Vcomとして基準電位GND(例えば0ボルト)を供給する点で、前述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と異なり、その他の点については、前述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と概ね同様に構成されている。
【0089】
以下では、図12に示すように、表示部3に表示される画像が、全白画像である画像Pwから白黒の2階調画像である画像P2へ書き換えられ、この画像P2が、この画像P2とは異なる白黒の2階調画像である画像P3へ書き換えられる場合を例にとりながら、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法について説明する。
【0090】
図12は、表示部3に順に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【0091】
図12に示すように、画像Pwは、白色のみからなる全白画像である。画像P2は、黒色及び白色の2階調からなる白黒の2階調画像であり、白色を有する白画像部分Rw2と、黒色を有する黒画像部分Rb2とを有している。画像P3は、画像P2とは異なる白黒の2階調画像であり、白色を有する白画像部分Rw3と、黒色を有する黒画像部分Rb3とを有している。なお、画像P2は本発明に係る「第1画像」の一例であり、画像Pwは本発明に係る「第2画像」の一例である。
【0092】
図13は、画像Pwから画像P2に書き換える際に複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に印加される電圧を概念的に示す概念図である。なお、図13では、画素電極21及び対向電極22間に、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が印加されることを「+」として図示し、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないことを「0」として図示している。
【0093】
図13に示すように、本実施形態では、基本的には、前述した部分書き換え駆動が採用されている。即ち、本実施形態では、表示部3に表示された画像を、画像Pwから画像P2に書き換える場合、階調を白色から黒色に変化させるべき画素20(即ち、黒画像部分Rb2に対応する画素20b2)については、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高くなる電圧が画素電極21及び対向電極22間に供給され(即ち、画素電極21にデータ電位として高電位VHが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給され)、階調を変化させない(即ち、階調を白色のまま維持すべき)画素20(即ち、白画像部分Rw2に対応する画素20w2)については、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されない(即ち、画素電極21にデータ電位として基準電位GNDが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給される)。これにより、階調を白色から黒色に変化させるべき、黒画像部分Rb2に対応する画素20b2では、表示面側(即ち、対向電極22側)に黒色粒子83が集まって黒色が表示され、階調を変化させない、白画像部分Rw2に対応する画素20w2では、基本的には、白色粒子82及び黒色粒子83はほとんど或いは全く移動せず、階調が白色のまま維持される。
【0094】
図14は、表示部3に表示されている画像を画像Pwから画像P2に書き換えるために複数の画素20の各々に図13を参照して前述したように電圧が印加された場合に発生し得る、滲み部Reの一例を示す平面図である。
【0095】
図14に示すように、本実施形態では、図13を参照して前述したように部分書き換え駆動によって画像Pwを画像P2に書き換えるので、表示部3に表示される画像のうち黒色で表示される黒画像部分Rb2と白色で表示される白画像部分Rw2との境界部が滲んだように表示されてしまうおそれがある、言い換えれば、黒画像部分Rb2の輪郭部が白画像部分Rw2側に広がったように(或いは膨らんだように)表示されてしまうおそれがある。ここで特に、本願発明者の研究によれば、このように滲んだように見える部分である滲み部Reは、画像Pwから画像P2に書き換えられる際、階調を白色のまま維持すべき画素20w2(即ち、電圧が印加されない画素20)のうち階調が白色から黒色に変化すべき画素20b2(即ち、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が印加される画素20)に隣り合う辺を2辺以上有する画素20に比較的多く発生することが判明している。即ち、図14に示すように、滲み部Reは、例えば黒画像部分Rb2が屈曲している部分に隣接するように局所的に発生する傾向がある。このような滲み部Reは、仮に階調を変化させるべき画素20のみに電圧を印加することにより、表示部3に表示される画像を画像P2から画像P3に書き換えた場合、その全部又は一部が輪郭残像として残ってしまうおそれがある。
【0096】
そこで、本実施形態では、表示部3に表示される画像を、画像P2から画像P3に書き換える際、複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に以下のように電圧が印加される。
【0097】
図15は、画像P2から画像P3に書き換える際に複数の画素20の各々の画素電極21及び対向電極22間に印加される電圧を概念的に示す概念図である。なお、図15では、画素電極21及び対向電極22間に、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が印加されることを「−」として図示し、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないことを「0」として図示している。また、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧(即ち、「−」の電圧)は、本発明に係る「第1階調に対応する電圧」の一例である。
【0098】
図15に示すように、本実施形態では特に、表示部3に表示されている画像を、白画像部分Rw2及び黒画像部分Rb2を有する画像P2から、白画像部分Rw3及び黒画像部分Rb3を有する画像P3へ書き換える際、複数の画素20のうち表示すべき階調が黒色から白色へ変化する画素20(即ち、黒画像部分Rb2に対応するとともに、白画像部分Rw3に対応する画素20bw)については、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加されるように(即ち、画素電極21にデータ電位として低電位VLが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が白色のままで変化しない画素20(即ち、白画像部分Rw2に対応するとともに、白画像部分Rw3に対応する画素20)のうち、画像P2が表示部3に表示されていたときに黒色を表示していた画素20(即ち、黒画像部分Rb2に対応する画素20b2)に隣り合う辺を2辺以上有する画素20eについては、画素電極21の電位が対向電極22の電位よりも低い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加されるように(即ち、画素電極21にデータ電位として低電位VLが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が白色のままで変化しない画素20のうち画素20e以外の画素20wwについては、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないように(即ち、画素電極21にデータ電位として基準電位GNDが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が白色から黒色へ変化する画素20(即ち、白画像部分Rw2に対応するとともに、黒画像部分Rb3に対応する画素20wb)については、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が画素電極21及び対向電極22間に印加されるように(即ち、画素電極21にデータ電位として高電位VHが供給されるとともに対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GNDが供給されるように)、かつ、複数の画素20のうち表示すべき階調が黒色のままで変化しない画素20(即ち、黒画像部分Rb2に対応するとともに、黒画像部分Rb3に対応する画素20bb)については、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。
【0099】
即ち、本実施形態では、表示部3に表示されている画像P2を画像P3へ書き換える際、表示すべき階調が黒色から白色へ変化する画素20bwに加えて、表示すべき階調が白色のままで変化しない画素20のうち画素20bwに隣り合う辺を2辺以上有する画素20eに、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも低い電圧が印加されるように、かつ、表示すべき階調が白色から黒色へ変化する画素20wbに、画素電極21側の電位が対向電極22側の電位よりも高い電圧が印加されるように、かつ、画素20bw、20e及び20wb以外の画素20である画素20bb及び20wwに電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。なお、画素20bwは本発明に係る「第1画素」の一例であり、画素20eは本発明に係る「第2画素」の一例であり、画素20wwは本発明に係る「第3画素」の一例であり、画素20wbは本発明に係る「第4画素」の一例であり、画素20bbは本発明に係る「第5画素」の一例である。
【0100】
よって、表示すべき階調が黒色から白色へ変化する画素20bw、及び画素20bwに隣り合う辺を2辺以上有する画素20e(言い換えれば、滲み部Reに対応する画素20e)の各々において白色を確実に表示させることができる。言い換えれば、黒画像部分Rb2及び滲み部Reを確実に消去でき、滲み部Reが輪郭残像として残ってしまうことを低減できる。更に、表示すべき階調が白色から黒色へ変化する画素20wb及び表示すべき階調が黒色のままで変化しない画素20bbの各々において黒色を確実に表示させることができる。この結果、表示部3に白黒の2階調画像である画像P3を確実に表示させることができる。
【0101】
更に、本実施形態では特に、黒画像部分Rbw2に対応する画素20b2に隣り合う辺を有する画素20のうち、画素20b2に隣り合う辺を2辺以上有する画素20eの画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されるように、かつ、画素20bに隣り合う辺を1辺のみ有する画素20の画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されないように、駆動部がコントローラー10によって制御される。よって、例えば、仮に、輪郭残像を消去することを目的として、表示すべき階調が白色のままで変化しない画素20のうち、黒画像部分Rb2に対応する画素20b2に隣り合う辺を有する全ての画素20の画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加される場合と比較して、DCバランスが崩れることを抑制できる。よって、電気泳動表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0102】
加えて、本実施形態によれば、表示部3に表示されている画像を、画像P2から画像P3に、例えば全白画像や全黒画像を表示部3に表示させることなく直接的に書き換えることができる。
【0103】
<電子機器>
次に、前述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図16及び図17を参照して説明する。以下では、前述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0104】
図16は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0105】
図16に示すように、電子ペーパー1400は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0106】
図17は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0107】
図17に示すように、電子ノート1500は、図16で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0108】
前述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0109】
なお、これらの他に、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、前述した本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
【0110】
なお、本発明は、電気泳動表示装置のほか、電子粉流体が用いられた表示装置にも適用することが可能である。また、上記実施形態では、白色粒子82が負に帯電し、黒色粒子83が正に帯電している例で説明したが、白色粒子82が正に帯電し、黒色粒子83が負に帯電していてもよい。また、電気泳動素子23は、マイクロカプセル80を有する構成に限られず、隔壁によって仕切られた空間に電気泳動分散媒と電気泳動粒子が含まれる構成であってもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、対向電極22に共通電位Vcomとして基準電位GND、高電位VH、又は低電位VL、のいずれかを供給しているが、例えばフィードスルーによる画素電極21の電位の変動を考慮して、これらの各電位とはわずかに異なる値とされていてもよく、この場合であっても、本明細書では、共通電位Vcomが基準電位GND、高電位VH、又は低電位VLと同電位であるとみなす。ここで、フィードスルーとは、走査線40に走査信号が供給され、データ線50を介して画素電極21に電位が供給された後に、走査線40への走査信号の供給が終了した際(例えば走査線40の電位が低下した際)、画素電極21の電位が、走査線40との間の寄生容量に起因して変動する(例えば走査線40の電位低下とともに低下する)現象をいう。共通電位Vcomは、フィードスルーにより画素電極21の電位が低下することを予め想定して、基準電位GND、高電位VH、又は低電位VLより僅かに低い値とされることがあるが、この場合も共通電位Vcomは基準電位GND、高電位VH、又は低電位VLと同電位であるとみなす。
【0112】
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
3…表示部、10…コントローラー、20…画素、21…画素電極、22…対向電極、24…画素スイッチング用トランジスター、28…素子基板、29…対向基板、40…走査線、50…データ線、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、82…白色粒子、83…黒色粒子、220…共通電位供給回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、
前記表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から前記第1階調で表示された第2画像へ書き換える際、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、
前記駆動部を制御することを特徴とする電気光学装置の制御方法。
【請求項2】
互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、
表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から該第1画像と異なる前記第1及び第2階調で表示された第2画像へ書き換える際、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調から前記第2階調へ変化する画素である第4画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第2階調に応じた電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調のままで変化しない画素である第5画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、
前記駆動部を制御することを特徴とする電気光学装置の制御方法。
【請求項3】
互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、
表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から前記第1階調で表示された第2画像へ書き換える際、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、
前記駆動部を制御することを特徴とする電気光学装置の制御装置。
【請求項4】
互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素からなる表示部と、前記複数の画素の各々の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、
表示部に表示されている画像を、第1階調及び該第1階調と異なる第2階調で表示された第1画像から該第1画像と異なる前記第1及び第2階調で表示された第2画像へ書き換える際、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調から前記第1階調へ変化する画素である第1画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち、前記第1画像が前記表示部に表示されていたときに前記第2階調を表示していた画素に隣り合う辺を2辺以上有する画素である第2画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第1階調に対応する電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調のままで変化しない画素のうち前記第2画素以外の画素である第3画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第1階調から前記第2階調へ変化する画素である第4画素の前記画素電極及び前記対向電極間に前記第2階調に応じた電圧が印加されるように、かつ、
前記複数の画素のうち表示すべき階調が前記第2階調のままで変化しない画素である第5画素の前記画素電極及び前記対向電極間に電圧が印加されないように、
前記駆動部を制御することを特徴とする電気光学装置の制御装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電気光学装置の制御装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−225985(P2012−225985A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90929(P2011−90929)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】