説明

電気光学装置の製造方法

【課題】電気光学パネルに対して防塵部材を精度よく位置決めすることが可能な電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】治具フレーム200に電気光学パネルを挿入する第1工程と、治具フレーム200に開口部401を有するスペーサー400を挿入し、スペーサー400を電気光学パネル上に配置する第2工程と、電気光学パネルのスペーサー400の開口部401から露出した部分に接着部材410を配置する第3工程と、スペーサー400の開口部401に防塵部材30を嵌め込む第4工程と、防塵部材30を電気光学パネルに向けて押圧して接着部材410を硬化させる第5工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置として、一対の基板間に電気光学物質(例えば液晶)を挟んで構成された電気光学パネル(例えば液晶パネル)と、当該電気光学パネルを実装する実装フレームと、を具備して構成された電気光学装置が知られている。このような電気光学装置においては、当該電気光学装置の表示領域(基板の露出面)への塵埃等の付着を防止することを目的として、基板の露出面に防塵部材を設ける技術がある。
【0003】
ところで、基板の露出面に防塵部材を配置する際には、電気光学装置の表示領域に塵埃が付着しないよう基板に対して防塵部材を位置精度よく貼り付け、固定する必要がある。例えば、対向基板よりも平面視のサイズが大きいTFTアレイ基板の露出面に対して、TFTアレイ基板の表示領域のみを覆うよう、TFTアレイ基板よりも平面視のサイズが小さい(表示領域と平面視のサイズが略同じ)大きさに形成された防塵部材を貼り付け、固定する場合には、基板に対する防塵部材の高い位置精度が要求される。
【0004】
このような要求に応えるための技術が検討されており、例えば特許文献1の電気光学装置の製造方法では、治具フレームに電気光学パネルの収容し、当該電気光学パネルの表示領域に防塵部材を配置し、当該防塵部材の上方から治具フレームに対してフック部材を嵌合させて、フック部材において防塵部材と平面視のサイズが同じ大きさに形成された開口の外周から起立した側壁を防塵部材の側面に当接させることにより、電気光学パネルに対する防塵部材の位置決めを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−116779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の電気光学装置の製造方法では、電気光学パネルの表示領域に予め防塵部材を配置する際に位置決めの工夫が必要となる。例えば、防塵部材が所定位置から大きくずれてしまうと、フック部材により防塵部材を基板の所定の貼付位置に誘導することができず、電気光学パネルに対して防塵部材を精度よく位置決めできないおそれがある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、電気光学パネルに対して防塵部材を精度よく位置決めすることが可能な電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の電気光学装置の製造方法は、治具フレームに電気光学パネルを挿入する第1工程と、前記治具フレームに開口部を有するスペーサーを挿入し、当該スペーサーを前記電気光学パネル上に配置する第2工程と、前記電気光学パネルの前記スペーサーの開口部から露出した部分に接着部材を配置する第3工程と、前記スペーサーの開口部に防塵部材を嵌め込む第4工程と、前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧して前記接着部材を硬化させる第5工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この方法によれば、防塵部材がスペーサーの開口部に嵌め込まれることで電気光学パネルに対する防塵部材の位置決めが行われる。その後、防塵部材が電気光学パネルに向けて押圧されて接着部材が硬化されるので、防塵部材の位置決めがなされた状態で当該防塵部材が電気光学パネルに接着される。よって、電気光学パネルに対して防塵部材を精度よく位置決めすることが可能となる。
【0010】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧するための部材としてフック部材を用い、前記フック部材は、前記防塵部材を押圧する押圧面が平坦面となっており、前記スペーサーは、前記フック部材の押圧面と干渉しないよう当該スペーサーの厚みが前記防塵部材の厚みよりも薄くなっており、前記第5工程において、前記防塵部材の上方から前記治具フレームに対し前記フック部材を勘合させることにより、前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧することが望ましい。
【0011】
この方法によれば、フック部材の押圧面がスペーサーと干渉することなく防塵部材のみに当接するので、防塵部材を電気光学パネルに対して確実に押圧することができる。よって、防塵部材の位置決めがなされた状態を維持して当該防塵部材を電気光学パネルに確実に固定することができる。
【0012】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、前記接着部材として熱硬化型の接着剤を用い、前記第5工程においては、前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧しつつ前記接着部材を加熱させ、前記接着部材を硬化させることが望ましい。
【0013】
この方法によれば、電気光学パネルと防塵部材との間に介在した空気を抜きつつ接着部材を硬化させることができる。よって、防塵部材を電気光学パネルに確実に固定することができる。
【0014】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、前記スペーサーとして、金属から成るスペーサーを用い、前記第5工程の後に、前記スペーサーを前記防塵部材から剥離し、前記電気光学パネルを前記治具フレームから取り外すことが望ましい。
【0015】
金属は、金属以外の部材(例えば樹脂)よりも耐熱性が高い。このため、接着剤を熱硬化させた際の熱によるスペーサーの変形を抑えることができる。よって、スペーサーの変形による応力が電気光学パネルや防塵部材に影響して貼り合わせ精度が低下することを防止することができる。
【0016】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、前記スペーサーの外周部には取っ手が形成されており、前記第5工程の後に、前記スペーサーの取っ手を掴んで前記スペーサーを前記防塵部材から剥離し、前記電気光学パネルを前記治具フレームから取り外すことが望ましい。
【0017】
この方法によれば、スペーサーが防塵部材に接着した場合でも、スペーサーの取っ手を掴んでスペーサーを防塵部材から容易に剥離することができる。よって、電気光学装置の製造が容易となる。
【0018】
本発明の電気光学装置の製造方法は、治具フレームに電気光学パネルを挿入する第1工程と、前記電気光学パネル上の防塵部材を配置する部分に接着部材を配置する第2工程と、前記治具フレームに開口部を有するスペーサーを挿入し、当該スペーサーを前記電気光学パネル上に配置する第3工程と、前記スペーサーの開口部に防塵部材を嵌め込む第4工程と、前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧して前記接着部材を硬化させる第5工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、防塵部材がスペーサーの開口部に嵌め込まれることで電気光学パネルに対する防塵部材の位置決めが行われる。その後、防塵部材が電気光学パネルに向けて押圧されて接着部材が硬化されるので、防塵部材の位置決めがなされた状態で当該防塵部材が電気光学パネルに接着される。よって、電気光学パネルに対して防塵部材を精度よく位置決めすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の製造方法により製造される電気光学装置における電気光学パネルの平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切断した断面図である。
【図3】先固め治具を、電気光学パネルとともに示す分解斜視図である。
【図4】電気光学パネルの斜視図である。
【図5】電気光学装置の製造工程を示す図である。
【図6】図5に続く、電気光学装置の製造工程を示す図である。
【図7】スペーサーの開口部に防塵部材が嵌め込まれた状態を示す部分断面図である。
【図8】スペーサーの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0022】
図1は、本発明の製造方法により製造される電気光学装置における電気光学パネルの平面図である。
図2は、図1のII−II線に沿って切断した断面図である。
【0023】
なお、以下に示す実施の形態において電気光学装置は、光透過型の液晶装置を例に挙げて説明する。よって、電気光学装置が具備する電気光学パネルは、液晶パネルを例に挙げて説明する。また、液晶パネルにおいて対向配置される一対の基板の内、一方の基板は、素子基板(以下、TFTアレイ基板と称す)を、また他方の基板は、TFTアレイ基板に対向する対向基板を例に挙げて説明する。
【0024】
図1、図2に示すように、液晶パネル100は、TFTアレイ基板10と当該TFTアレイ基板10に対向配置された対向基板20との間に電気光学物質である液晶50が介在されて構成される。対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。TFTアレイ基板10及び対向基板20に用いる基板としては、例えばガラス基板や石英基板等を用いる。
【0025】
TFTアレイ基板10の液晶50と接する領域には、液晶パネル100の表示領域40を構成するTFTアレイ基板10の表示領域10hが構成されている。また、表面10f側における表示領域10hには、画素を構成しかつ対向電極21とともに液晶50に駆動電圧を印加する画素電極9aがマトリクス状に配置されている。
【0026】
また、対向基板20の表面20f側における液晶50と接する領域には、液晶50に画素電極9aとともに駆動電圧を印加する対向電極21が設けられている。対向電極21の表示領域10hに対向する領域には、液晶パネル100の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
【0027】
TFTアレイ基板10の画素電極9a上には、ラビング処理が施された配向膜16が設けられている。また、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上においても、ラビング処理が施された配向膜26が設けられている。各配向膜16、26は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0028】
また、TFTアレイ基板10の表示領域10hにおいては、複数本の図示しない走査線と複数本のデータ線(図示略)とが交差するように配線されている。走査線とデータ線とで区画された領域には、画素電極9aがマトリクス状に配置される。そして、走査線とデータ線との各交差部分に対応して図示しない薄膜トランジスター(TFT)が設けられている。このTFT毎に画素電極9aが接続されている。
【0029】
TFTは走査線のON信号によってオンとなり、これにより、データ線に供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。
【0030】
対向基板20には、液晶パネル100の表示領域40を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。
【0031】
液晶50は、TFTアレイ基板10と対向基板20との間の空間に封入されている。液晶50は、既知の液晶注入方式で注入される。この場合、シール材52は、当該シール材52の1辺の一部が欠落した状態で塗布される。
【0032】
シール材52の欠落した箇所は、シール材52により囲まれた領域に液晶50を注入するための切り欠きである液晶注入口108を構成している。液晶注入口108は、液晶注入後、封止材109によって封止される。
【0033】
シール材52の外側の領域に、データ線駆動回路101と外部回路との接続のための外部接続端子102とが、TFTアレイ基板10の1辺に沿って設けられている。データ線駆動回路101は、TFTアレイ基板10のデータ線(図示略)に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するドライバーである。なお、外部接続端子102は、対向基板20に設けられていても構わない。
【0034】
外部接続端子102には、液晶パネル100を、プロジェクター等の電子機器と電気的に接続するフレキシブル配線基板(Flexible Printed Circuits、以下FPCと称す)112の一端が接続されている。FPC112の他端がプロジェクター等の電子機器に接続されることにより、液晶パネル100と電子機器とが電気的に接続される。
【0035】
外部接続端子102が設けられたTFTアレイ基板10の1辺に隣接する2辺に沿って、走査線駆動回路103、104が設けられている。走査線駆動回路103、104は、TFTアレイ基板10の図示しない走査線及びゲート電極に、走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極を駆動するドライバーである。走査線駆動回路103、104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFTアレイ基板10上に形成されている。
【0036】
また、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103、104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
【0037】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFTアレイ基板10上に形成されている。そして、TFTアレイ基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられている。当該上下導通材106によって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0038】
また、液晶パネル100を構成するTFTアレイ基板10の裏面10rには、TFTアレイ基板10の少なくとも表示領域10hと平面視した状態で同じ大きさを有する(即ちTFTアレイ基板10よりも平面視した状態で小さい)防塵ガラス(防塵部材)30が、接着剤(接着部材)410(図7(a)参照)を介して貼着されている。
【0039】
同様に、液晶パネル100を構成する対向基板20の裏面20rには、対向基板20と平面視した状態で同じ大きさを有する防塵ガラス31が、接着剤を介して貼着されている。防塵ガラス30、31は、TFTアレイ基板10及び対向基板20の各裏面10r、20rの各表示領域10h、20hに塵埃等が付着するのを防止する。
【0040】
次に、TFTアレイ基板10及び対向基板20に、防塵ガラス30、31を、接着剤を介して貼着した後、防塵ガラスの貼着位置が、接着剤が硬化するまで動かないよう固定する(以下、先固めと称す)、先固め治具の構成について、図3を用いて説明する。図3は、先固め治具を、液晶パネルとともに示す分解斜視図である。
【0041】
図3に示すように、先固め治具は、治具フレーム200と、フック部材300とから主要部が構成されている。
【0042】
治具フレーム200は、先固めの際、液晶パネル100を収容する、平面形状が略矩形の枠状の部材である。治具フレーム200には、液晶パネル100が収容される段付き穴から構成された収容部210が形成されている。
【0043】
収容部210には、該収容部210に液晶パネル100が収容された際、液晶パネル100の表示領域40が露出する開口201が形成されている。開口201は、表示領域40と平面視した状態で同じ大きさに形成されている。
【0044】
治具フレーム200の収容部210には、液晶パネル100が、例えば対向基板20側から収容される構成となっている。収容部210は、第1の保持部220を具備している。
【0045】
第1の保持部220は、対向基板20及び防塵ガラス31と、平面視した状態で同じ大きさに形成されている。第1の保持部220は、貼着後の防塵ガラス31及び対向基板20の2枚の厚みと略同じ深さに形成されている。第1の保持部220は、底部202及び側壁203を有して形成されている。
【0046】
底部202には、収容部210に液晶パネル100が収容された際、防塵ガラス31の裏面31rの表示領域40以外の部分が接着剤を介して載置される。側壁203には、収容部210に液晶パネル100が収容された際、対向基板20の側面20s及び防塵ガラス31の側面31sが当接される。側壁203は、液晶パネル100に対する防塵ガラス31の位置決め面として機能する。
【0047】
収容部210は、第1の保持部220よりも平面視した状態で大きい第2の保持部230を具備している。第2の保持部230は、平面視した状態でTFTアレイ基板10よりも若干大きい大きさに形成されている。第2の保持部230は、TFTアレイ基板10及びスペーサー400の2枚の厚みよりも若干大きい深さに形成されている(図7参照)。第2の保持部230は、底部204及び側壁205を有して形成されている。
【0048】
底部204には、収容部210に液晶パネル100が収容された際、TFTアレイ基板10の表面10fの一部が載置される。側壁205は、収容部210に液晶パネル100が収容され、スペーサー400が挿入された際、当該スペーサー400の外側面が当接される。
【0049】
また、治具フレーム200の対向する辺200i、200tの各々には、係止凸部250が形成されている。係止凸部250には、フック部材300に形成された係止部材310の係止孔310hが係止される。
【0050】
フック部材300は、平面形状が略矩形を有する枠状の薄板状部材から形成されている。フック部材300の対向する辺300i、300tの各々には、係止孔310hを有する係止部材310が形成されている。係止部材310は、先固めの際、フック部材300を治具フレーム200に対し嵌合させた後、治具フレーム200の係止凸部250に係止される部分である。
【0051】
フック部材300の略中央には、防塵ガラス30よりも平面視のサイズが小さい開口320が形成されている。フック部材300は、防塵ガラス30を液晶パネル100に向けて押圧するための部材である。
【0052】
次に、このように構成された液晶装置の製造方法について説明する。
図4は、液晶パネルを示す斜視図である。図5及び図6は、液晶装置の製造工程を示す図である。図7は、スペーサー400の開口部401に防塵ガラス30が嵌め込まれた状態を示す部分断面図である。
【0053】
なお、以下に示す液晶装置の製造方法においては、TFTアレイ基板10及び対向基板20に対して防塵ガラス30及び防塵ガラス31を接着剤を介して貼着し、先固めする際の製造方法について主に説明する。
【0054】
先ず、図5(a)に示すように、治具フレーム200の収容部210の第1の保持部220に、防塵ガラス31を嵌め入む。この際、防塵ガラス31の裏面31rの表示領域40以外の部位が、第1の保持部220の底部202に載置される。
【0055】
第1の保持部220は、防塵ガラス31と平面視した状態で同じ大きさに形成されている。このため、防塵ガラス31の側面31sが、第1の保持部220の側壁203に当接する。これにより、第1の保持部220内における防塵ガラス31が位置決めされる。
【0056】
次いで、防塵ガラス31または対向基板20の裏面20rに、例えば熱硬化型の接着剤を塗布する。その後、液晶パネル100を、対向基板20の裏面20r側から、収容部210に挿入する(図5(b)参照、第1工程)。
【0057】
第1の保持部220は、対向基板20と平面視した状態で同じ大きさに形成されていることから、対向基板20の側面20sは、第1の保持部220の側壁203に当接される。これにより、第1の保持部220内において対向基板20が位置決めされる。
【0058】
以上のように、対向基板20の側面20s及び防塵ガラス31の側面31sが、第1の保持部220の側壁203に当接する。これにより、防塵ガラス31は、対向基板20の裏面20rへの貼着位置から位置ずれすることなく対向基板20の裏面20rに貼着固定される。また、液晶パネル100の表示領域40が、治具フレーム200の開口201から露出する。液晶パネル100は、平面視した状態で表示領域40が開口201に重畳するよう収容部210に収容される。
【0059】
次いで、治具フレーム200に開口部401を有するスペーサー400を挿入し、当該スペーサーを収容部210に収容された液晶パネル100のTFTアレイ基板10上(裏面10r)に配置する(図5(c)参照、第2工程)。スペーサー400は、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料により形成されている。スペーサー400の開口部401の大きさは、防塵ガラス30と略同じ大きさとなっている。なお、スペーサー400は、スペーサー400全体が金属材料により形成されていてもよいし、スペーサー400の表面が金属によって構成されていてもよい。
【0060】
次いで、液晶パネル100のスペーサー400の開口部401から露出した部分(TFTアレイ基板10の裏面10r)に接着剤410を配置する(図6(a)参照、第3工程)。接着剤410は、例えば熱硬化型接着剤を用いる。
【0061】
次いで、スペーサー400の開口部401に防塵ガラス30を嵌め込む(図6(b)参照、第4工程)。スペーサー400の開口部401に防塵ガラス30を嵌め込むことにより、液晶パネル100に対する防塵ガラス30の位置決めが行われる。
【0062】
次いで、防塵ガラス30を液晶パネル100に対して押圧して接着剤410を硬化させる(図6(c)参照、第5工程)。
【0063】
第5工程においては、防塵ガラス30の上方から、治具フレーム200に対してフック部材300を嵌合させることにより、防塵ガラス30を液晶パネル100に対して押圧する。具体的には、治具フレーム200の各係止凸部250に、フック部材300の各係止部材310の係止孔310hをそれぞれ係止させる。
【0064】
図7に示すように、フック部材300は、防塵ガラス30を押圧する押圧面300sが平坦面となっている。スペーサー400は、フック部材300の押圧面300sと干渉しないよう当該スペーサー400の厚みDsが防塵ガラス30の厚みDgよりも薄くなっている。
【0065】
第5工程においては、防塵ガラス30を液晶パネル100に向けて押圧しつつ接着剤410を加熱させ、当該接着剤410を硬化させる。具体的には、液晶パネル100に対して、治具フレーム200及びフック部材300に熱を付与し、対向基板20と防塵ガラス31との間、及びTFTアレイ基板10と防塵ガラス30との間の各熱硬化型接着剤を硬化させる。
【0066】
以上の工程により、防塵ガラス30は、TFTアレイ基板10に対して精度良く位置決めされた状態で接着剤410により固定される。また、防塵ガラス31についても、対向基板20に対して精度良く位置決めされた状態で接着剤により固定される。即ち、先固めが終了する。
【0067】
先固め後、フック部材300を治具フレーム200から脱却する。その後、スペーサー400を防塵ガラス30から剥離し、液晶パネル100を、治具フレーム200の収容部210から取り出す。その結果、図4に示すように、TFTアレイ基板10、対向基板20に対して、防塵ガラス30、31が位置精度良く貼着された先固め後の液晶パネル100が得られる。
【0068】
最後に、液晶パネル100を、治具フレーム200と、略同じ構成を有する図示しない実装ケースに、接着剤を介して収容した後、実装ケースに対して、フック部材300と略同じ構成を有する図示しないカバー部材を嵌合させることにより、液晶装置が製造される。その後、液晶装置を、FPC112により、プロジェクター等の電子機器と電気的に接続する。
【0069】
本実施形態の液晶装置の製造方法によれば、防塵ガラス30がスペーサー400の開口部401に嵌め込まれることで液晶パネル100に対する防塵ガラス30の位置決めが行われる。その後、防塵ガラス30が液晶パネル100に向けて押圧されて接着剤410が硬化されるので、防塵ガラス30の位置決めがなされた状態で当該防塵ガラス30が液晶パネル100に接着される。よって、液晶パネル100に対して防塵ガラス30を精度よく位置決めすることが可能となる。
【0070】
また、フック部材300の押圧面300sが平坦面であり、スペーサー400の厚みDsが防塵ガラス30の厚みDgよりも薄い。これにより、第5工程において、フック部材300の押圧面300sがスペーサー400と干渉することなく防塵ガラス30のみに当接するので、防塵ガラス30を液晶パネル100に対して確実に押圧することができる。よって、防塵ガラス30の位置決めがなされた状態を維持して当該防塵ガラス30を液晶パネル100に確実に固定することができる。
【0071】
また、この方法によれば、第5工程において、防塵ガラス30を液晶パネル100に向けて押圧しつつ接着剤410を加熱させ、当該接着剤410を硬化させているので、液晶パネル100と防塵ガラス30との間に介在した空気を抜きつつ接着剤410を硬化させることができる。よって、防塵ガラス30を液晶パネル100に確実に固定することができる。
【0072】
金属は、金属以外の部材(例えば樹脂)よりも耐熱性が高い。このため、接着剤を熱硬化させた際の熱によるスペーサー400の変形を抑えることができる。よって、スペーサーの変形による応力が液晶パネル100や防塵ガラス30に影響して貼り合わせ精度が低下することを防止することができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、第2工程でスペーサーを液晶パネル上に配置し、第3工程で液晶パネルのスペーサーの開口部から露出した部分に接着剤を配置する場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2工程で液晶パネル上の防塵ガラスを配置する部分に接着剤を配置し、第3工程でスペーサーを液晶パネル上に配置してもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、TFTアレイ基板10に防塵ガラス30を貼着し、対向基板20に防塵ガラス31を貼着する場合を例に挙げて示したが、これに限らず、TFTアレイ基板10に防塵ガラス30を貼着するのみに適用しても、TFTアレイ基板10の裏面10rの少なくとも表示領域10hに、防塵ガラス30を位置精度良く貼着することができるといった、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、対向基板20に防塵ガラス31を貼着するのみに適用しても、対向基板20の裏面20rに、防塵ガラス31を位置精度良く貼着することができるといった本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
さらに、本実施形態においては、TFTアレイ基板10に貼着される防塵ガラス30は、TFTアレイ基板10よりも平面視した状態で小さい場合を例にあげて示したが、これに限らず、TFTアレイ基板10と平面視した状態で同じ大きさの防塵ガラスを貼着する場合に、本実施形態を適用しても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この場合、スペーサーをTFTアレイ基板10よりも若干大きく形成し、スペーサーの開口部を、TFTアレイ基板10と平面視した状態で同じ大きさに形成すればよい。
【0077】
また、本実施形態においては、対向基板20側から、治具フレーム200の収容部210に液晶パネル100を収容すると示したが、これに限らず、TFTアレイ基板10側から液晶パネル100を、収容部210に収容しても構わない。
【0078】
この場合、TFTアレイ基板10に対し、該TFTアレイ基板10と平面視した状態で同じ大きさの防塵ガラスを位置精度良く貼着することができるとともに、対向基板20に対し、対向基板20の大きさよりも平面視した状態で小さい、または平面視した状態で同じ大きさの防塵ガラスを位置精度良く貼着することができる。
さらに、本実施形態においては、スペーサーの開口部を四角形状としたが、防塵部材の形状に合わせて、円形や三角形や五角形などであってもよい。また、開口部の一部が開放された形状(コ字形状、C字形状等)であってもよく、このような形状なものも開口部に含んでいる。
【0079】
また、液晶パネルは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶パネルは、TFT(薄膜トランジスター)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールであっても構わない。
【0080】
さらに、本実施形態においては、電気光学装置は、液晶装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(Field Emission Display)装置、SED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管または液晶シャッター等を用いた装置などの各種の電気光学装置に適用することもできる。
【0081】
また、電気光学装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスターを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
【0082】
また、電気光学装置は、片側の基板の同一層に、一対の電極が形成される表示用デバイス、例えばIPS(In-Plane Switching)や、片側の基板において、絶縁膜を介して一対の電極が形成される表示用デバイスFFS(Fringe Field Switching)等であっても構わない。
【0083】
(第1変形例)
図8は、本実施形態に係るスペーサーの変形例を示す斜視図である。
図8(a)は、本実施形態に係るスペーサーの第1変形例を示す斜視図である。
図8(a)に示すように、スペーサー400Aの外周部には複数(2つ)の取っ手402A,403Aが形成されている。取っ手402A,403Aは平面視矩形枠状のスペーサー400Aの4つの角部のうち対向する2つの角部に形成されている。当該スペーサー400Aを用いた場合には、第5工程の後に、スペーサー400Aの取っ手402A,403Aを掴んでスペーサー400Aを防塵ガラス30から剥離することができる。
【0084】
本変形例の方法によれば、スペーサー400Aが防塵ガラス30に接着した場合でも、スペーサー400Aの取っ手402A,403Aを掴んでスペーサー400Aを防塵ガラス30から容易に剥離することができる。よって、液晶装置の製造が容易となる。
【0085】
(第2変形例)
図8(b)は、本実施形態に係るスペーサーの第2変形例を示す斜視図である。
図8(b)に示すように、スペーサー400Bの外周部には複数(2つ)の取っ手402B,403Bが形成されている。取っ手402B,403Bは平面視矩形枠状のスペーサー400Bの4つの辺のうち対向する2つの辺に形成されている。当該スペーサー400Bを用いた場合においても、第5工程の後に、スペーサー400Bの取っ手402B,403Bを掴んでスペーサー400Bを防塵ガラス30から剥離することができる。
【0086】
本変形例の方法においても、スペーサー400Bが防塵ガラス30に接着した場合でも、スペーサー400Bの取っ手402B,403Bを掴んでスペーサー400Bを防塵ガラス30から容易に剥離することができる。よって、液晶装置の製造が容易となる。
【0087】
なお、上述した変形例では、スペーサーに2つの取っ手が形成された例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、スペーサーに1つの取っ手が形成されていてもよいし3以上の取っ手が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
30…防塵ガラス(防塵部材)、100…液晶パネル(電気光学パネル)、200…治具フレーム、300…フック部材、300s…押圧面、400,400A,400B…スペーサー、401…開口部、402A,402B,403A,403B…取っ手、410…接着剤(接着部材)、Ds…スペーサーの厚み、Dg…防塵部材の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治具フレームに電気光学パネルを挿入する第1工程と、
前記治具フレームに開口部を有するスペーサーを挿入し、当該スペーサーを前記電気光学パネル上に配置する第2工程と、
前記電気光学パネルの前記スペーサーの開口部から露出した部分に接着部材を配置する第3工程と、
前記スペーサーの開口部に防塵部材を嵌め込む第4工程と、
前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧して前記接着部材を硬化させる第5工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧するための部材としてフック部材を用い、
前記フック部材は、前記防塵部材を押圧する押圧面が平坦面となっており、
前記スペーサーは、前記フック部材の押圧面と干渉しないよう当該スペーサーの厚みが前記防塵部材の厚みよりも薄くなっており、
前記第5工程において、前記防塵部材の上方から前記治具フレームに対し前記フック部材を勘合させることにより、前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
前記接着部材として熱硬化型の接着剤を用い、
前記第5工程においては、前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧しつつ前記接着部材を加熱させ、前記接着部材を硬化させることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記スペーサーとして、金属から成るスペーサーを用い、
前記第5工程の後に、前記スペーサーを前記防塵部材から剥離し、前記電気光学パネルを前記治具フレームから取り外すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
前記スペーサーの外周部には取っ手が形成されており、
前記第5工程の後に、前記スペーサーの取っ手を掴んで前記スペーサーを前記防塵部材から剥離し、前記電気光学パネルを前記治具フレームから取り外すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
治具フレームに電気光学パネルを挿入する第1工程と、
前記電気光学パネル上の防塵部材を配置する部分に接着部材を配置する第2工程と、
前記治具フレームに開口部を有するスペーサーを挿入し、当該スペーサーを前記電気光学パネル上に配置する第3工程と、
前記スペーサーの開口部に防塵部材を嵌め込む第4工程と、
前記防塵部材を前記電気光学パネルに向けて押圧して前記接着部材を硬化させる第5工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−208427(P2012−208427A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75811(P2011−75811)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】