説明

電気化学セル積層体の層を電気的に絶縁するための製造プロセスおよび装置

【課題】電気化学的発電装置および束の製造において、1つまたは複数の電気化学セル積層体のさまざまな層の縁と縁の間の短絡を防ぐための方法および装置を提供する。
【解決手段】電気化学的発電装置の製造において有害な局部短絡の発生を排除しまたは少なくとも大幅に低減させる製造プロセスおよびこの製造プロセスを実施するための装置が開示される。このプロセスおよび装置は、複数の電気化学セル積層体のアノード縁の酸化による腐食を含み、それによってアノード縁を、隣接するカソードおよび/または集電体から電気的に絶縁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にアルカリ金属高分子電気化学セル積層体に関し、詳細には電気化学セル積層体の正層と負層の電気絶縁に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質とシート状電極の積層体から製造される蓄電池には、従来の液体電解質電池よりも有利な点が数多くある。これには、電池全体の重量が軽いこと、電力密度が高いこと、比エネルギーが高いこと、有効寿命が長いことなどが含まれる。さらに、有毒な液体が環境に漏れ出す危険が排除されるため、固体電解質電池は環境によりやさしい電池である。
【0003】
固体高分子セルの構成要素には一般に、正極(カソードとも呼ばれる)、負極(アノードとも呼ばれる)、およびこれらの電極に挟まれた固体高分子電解質などのイオン伝導が可能なセパレータ材料が含まれる。さらに、これらの電極のどちらか一方、特にカソードに集電体を結合させることもできる。
【0004】
一般的な電気化学的発電装置は、一体に積み重ねられまたは束ねられて電池を形成する複数の個々の電気化学セルを含む。電気化学セルは単面構成または2面構成をとることができる。図1に示すように単面構成を有する電気化学セル10は、集電体18、カソード16、電解質セパレータ14およびアノード12を含む積層体であり、アノード12は、隣接する電気化学セルからこの電気化学セルを絶縁して短絡を防ぐ絶縁ポリプロピレンフィルム15で覆われている。集電体18は一般に、炭素でコーティングされた厚さ15〜25μmのアルミニウム箔、カソード層16は一般に厚さ10〜100μmの複合材、電解質セパレータ14は一般に厚さ20〜80μmの高分子/アルカリ金属塩層、アノード層12は一般に厚さ15〜80μmのリチウムまたはリチウム合金金属箔であり、ポリプロピレンフィルム15の厚さは一般に12〜26μmである。
【0005】
図2に示すように2面構成を有する電気化学セル20は、両側にカソード16を有する中心集電体18、それぞれのカソード16に隣接した電解質セパレータ14およびそれぞれの電解質セパレータ14に隣接したアノード12を含む積層体である。それぞれの構成要素の厚さは一般に、先に記載した単面セル積層体のそれと同様である。2面構成では、第1のセルのアノードと第2のセルのカソードが隣接せず、したがって直接には短絡が起こらないため、絶縁ポリプロピレンフィルムが省かれる。
【0006】
図1および2に示すように、薄膜のアノード12とカソード16は、アノード12が積層体の一方の側に突き出し、カソード集電体18が積層体のもう一方の側に突き出したオフセットパターンとして積層されており、そのため1組の積層体を積み重ねて1つの電気化学セルにするときに、突き出た全てのアノード12を一緒に接続し、突き出した全てのカソード集電体18を一緒に接続することができるようになっている。電解質セパレータ14の位置およびサイズは、電解質セパレータ14がアノードとカソードを完全に分離してこれらの2つの電極間の短絡を防ぐように決められる。
【0007】
1つの製造プロセスは、アノード、電解質セパレータ、カソードおよびカソード集電体薄膜を連続製造プロセスを使用して単面または2面構成に積層し、この積層体を適当なサイズに切断した後に積み重ねることからなる。積層体は積層体の長軸に垂直に切断される。この切断作業は、積層体の各層の縁を露出させるためデリケートな作業である。もはや電解質セパレータがアノード層およびカソード集電体層よりも長く延びて十分な電気絶縁を保証することはない。さらに、この切断作業によってアノード層または集電体にバリが生じる可能性があり、これには、バリを生じた金属縁が電解質セパレータを越えて反対側へ延び、反対側のアノードまたはカソードと接触し、それによって短絡を引き起こす作用があり、この短絡によって積層体は使用不能になる。少なくともこの切断作業によって、アノードの露出した縁とカソード/集電体層の露出した縁が15〜25μmしか離れていない不安定な状況が生じ、あらゆる層(アノード、カソード、集電体およびセパレータ)のあらゆる機械的変形が短絡の潜在的な原因となる。電池の充電および放電モードでは積層体、特にカソードの体積(例えば厚さ)が変化する可能性があるため、積層体の露出した縁をそのままにしておくことは将来の短絡の危険を意味する。
【0008】
他の製造プロセスは、予め切断しておいた薄膜アノードと、集電体、カソードおよび電解質セパレータを含む予め切断しておいた単面または2面半電池とを積み重ねることからなる。この場合もやはり、切断作業によってアノード薄膜および/または金属集電体箔の縁にバリが生じている可能性があり、これによって電気化学セルへの積層の後に、バリを生じた金属縁が電解質セパレータを越えて反対側へ延び、短絡を引き起こす可能性がある。
【0009】
積層体の各種層を積み重ねて電気化学セル束を形成した後、この電気化学セル束の端面は、切断したままの露出した一連のアノード、セパレータおよびカソード縁であり、これらは、電気化学的発電装置の組立の最中にまたは後に発電装置が使用されるときに容易に短絡を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、電気化学的発電装置および束の製造において、1つまたは複数の電気化学セル積層体のさまざまな層の縁と縁の間の短絡を防ぐための方法および装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の幅広い態様の下で、本発明は、アルカリ金属高分子電気化学的発電装置を組み立てるための方法を提供することを追求する。この方法は、複数の電気化学セル積層体を積み重ねて1対の側面を有する束を形成することを含む。電気化学セル積層体はそれぞれ、アルカリ金属アノード、電解質セパレータ、カソードおよびカソード集電体を含む。この方法はさらに、少なくとも1つのアルカリ金属アノードの露出した縁が酸化しそれによってこの露出した縁の一部が溶解するように、この束の少なくとも1つの側面に反応性流体を適用することを含む。この露出した縁は、この束の前記少なくとも1つの側面から後退して、アルカリ金属アノードと隣接するカソードまたはカソード集電体との間の電気接触を防ぐ。
【0012】
好ましくは、積層体束が、前記少なくとも1つの側面を除く束を密封するように適合された保護層で少なくとも部分的に覆われる。有利には、この保護層が、前記少なくとも1つの側面と整列する少なくとも1つの開口を有する保護ケーシングである。
【0013】
第2の幅広い態様の下で、本発明はさらに、複数の電気化学セル積層体を含む電気化学束の少なくとも1つの側面を電気的に絶縁するための装置を提供することを追求する。電気化学セル積層体はそれぞれ、アルカリ金属アノード、電解質セパレータ、カソードおよびカソード集電体を含む。この装置は、少なくとも1つのアルカリ金属アノード層の露出した縁を酸化するために束の少なくとも1つの側面に反応性流体を適用するための第1のノズルを含む。この装置はさらに、束の前記少なくとも1つの側面を乾燥させるために空気流を適用するための第2のノズルと、束の前記少なくとも1つの側面が、最初に前記第1のノズルに対して露出された後に第2のノズルに対して露出されるように束を輸送するための手段とを含む。
【0014】
有利には、この装置がさらに、第1および第2のノズルを囲うコンテインメントカバーを含む。このコンテインメントカバーは、換気ポンプに接続された換気口を含み、これによって束の前記少なくとも1つの側面の酸化および乾燥を換気下で実施することができる。
【0015】
好ましくは、この装置がさらに、前記少なくとも1つの側面を除く束を密封するために束を少なくとも部分的に覆う保護層を含む。有利には、この保護層が、束の前記少なくとも1つの側面を露出させその一方で束の残りの部分は密封する少なくとも1つの開口をその一端に含む保護ケーシングである。
【0016】
第3の幅広い態様の下で、本発明はさらに、電気化学セル積層体のスタックを含む電気化学束を電気的に絶縁するための方法を提供することを追求する。電気化学セル積層体はそれぞれ、アルカリ金属アノード、電解質セパレータ、カソードおよびカソード集電体を含む。この方法は、少なくとも1つのアルカリ金属アノードの露出した縁が酸化するようにこの束の少なくとも1つの側面に反応性流体を適用して、この少なくとも1つのアルカリ金属アノードと隣接するカソードまたはカソード集電体との間の電気接触を防ぐことを含む。この方法はさらに、この束の前記少なくとも1つの側面を乾燥させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的な単面電気化学セル積層体の概略図である。
【図2】一般的な2面電気化学セル積層体の概略図である。
【図3】図3Aは、EC束を形成するように一体に積み重ねられ接続された複数の電気化学セル積層体の概略側面図である。図3Bは、図3Aに示したEC束の概略上面図である。
【図4】EC束の縁を酸化するための本発明の一実施形態に基づく装置の概略透視図である。
【図5】酸化された後のEC束の側面を示す断面図である。
【図6】EC束を保護するように適合された保護ケーシングの一端の部分透視図である。
【図7】EC束の縁を酸化するための本発明の第2の実施形態に基づく装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図面には、本発明の好ましい実施形態が例として示されている。本明細書の説明および図面は、例示および本発明の理解の助けとなることを目的としていることをよく理解されたい。これらの説明および図面は本発明の範囲を定義するものではない。
【0020】
図3aおよび3bに、一体に積み重ねられた複数の単面または2面積層体セルを含む電気化学セル束24(EC束)の一実施形態を示す。ECセルのアノード層12の突き出した端部は、適当な手段によって1つに電気的に接続されて、EC束24の負極26を形成している。同様に、それぞれのカソード集電体18の突き出した端部は、適当な手段によって1つに電気的に接続されて、EC束24の正極28を形成している。
【0021】
図3bに示すように、EC束24の側面30および32はそれぞれの積層体の切断部分からなる。これによって切断したままのアノード層12が露出している。さらに、電解質セパレータ14、カソード層16、集電体18などのECセルの他の層も全て同様に露出している。以前に説明したとおりこの切断作業によってアノード層12および集電体18の側面に、負要素(アノード)とこれに隣接する正要素(カソードおよび/または集電体)との間に電気的接触を引き起こす可能性があるバリが生じた可能性がある。これによって局部短絡が引き起こされ、積み重ねられたEC束24の性能が相当に低減することがある。
【0022】
この有害な局部短絡の発生を排除しまたは少なくとも低減させるために、製造プロセスおよびこのプロセスを実行するための装置を開発した。このプロセスでは、EC束24の側面30および32、具体的にはEC束24の側面30および32のアノードの縁を酸化によって腐食させる。これによってアノード縁は、隣接するカソードおよび/または集電体から電気的に絶縁される。
【0023】
図4に、EC束24の側面30および32を酸化するように適合された装置40の可能な1つの実施形態を示す。装置40は、換気口52を有するコンテインメント(containment)カバー50(見やすくするためにこれらは全て破線で示されている)と、1対の流体吹付けノズル54と、1対の空気流ノズル56と、空気圧または油圧ピストン-シリンダアセンブリ、ウォーム、ラックアンドピニオン機構などの往復動手段58によって前後に作動するレールシステム45上に置かれた車輪付きプラットホーム44とを含む。
【0024】
EC束24は、側面30および32を除くEC束24の全体を密封するように適合された保護ケーシング42の中に取り付けられる。図6に示すように保護ケーシング42は両端に、EC束24の側面30および32を露出させその一方でEC束24の本体部分は密封する開口43を含む。保護ケーシング42は、EC束24を挟み込むことができるような形状に成形された2つのセクション47および49を含む。EC束24を密封し面30および32だけを露出させるため、開口43のふちに沿って発泡体またはゴムのバンド61および63が配置される。
【0025】
再び図4を参照すると、EC束24を囲う保護ケーシング42は、クイックリリースファスナ46または他の適当な固定手段によって、車輪付きプラットホーム44上にしっかりと取り付けられている。取り付けられるとEC束24は電圧計(図示せず)に接続され、そのためこの腐食プロセスの間中、電圧を監視することができる。次いで往復動手段58が作動され、EC束24を担持した車輪付きプラットホーム44が、レールシステム45によって画定された経路に沿って一定の速度でドア60からコンテインメントカバー50の中へ移動する。このレールシステム45の経路は、保護ケーシング42の開口43が吹付けノズル54対の真正面を通過する経路である。吹付けノズル54は、車輪付きプラットホーム44が腐食ゾーンに入ったときにトリガされるセンサ53によって作動される。それぞれのノズル54は、プラットホーム44が一定の速度で移動するときに、加圧された水粒子などの流体のジェット64を、保護ケーシング42の開口43を通して露出したEC束24の側面30および32に直接に吹き付ける。したがって側面30および32の露出した表面全体に水粒子が吹き付けられる。
【0026】
一般にリチウムまたはリチウム合金を含むアノード層の露出した縁と接触した水粒子は、アノード縁をかなり急速に酸化させる。水粒子が吹き付けられた後のEC束24の側面30の断面図を示す図5に示すように、アノード層12の縁は水粒子によって酸化される。アノード縁は部分的に溶解し、側面30から後退し、それによって代わりに空隙または空洞19が残り、これにより空隙19の両側に位置する電解質セパレータ層l4の縁が、それぞれのアノード層12の後退した縁とこれに隣接するカソード16または集電体18との間の電気接触を効果的に防ぐため、このような電気接触は不可能になる。この酸化反応が完了したときには、アノードの側面の縁が、隣接するカソード16および集電体18の到達範囲を越えて十分に後退してこれらの要素を効果的に電気絶縁するため、EC束24の側面30および32はもはや局部短絡を引き起こすことができない。
【0027】
束24を担持した車輪付きプラットホーム44は、それぞれの開口43の全長の吹付けが完了するまで前進を続ける。この吹付けが完了した時点で、往復動手段58はプラットホーム44の移動を停止し、水吹付けノズル54は停止される。束24を担持したプラットホーム44を、アノード12の縁が水粒子と化学反応し十分に後退することができる十分な時間、その進路の終端に静置してもよい。
【0028】
その後、往復動手段58は、プラットホーム44をドア60に向かって反対方向に移動させる。このとき空気流ノズル56対が作動される。高速の空気ジェットがそれぞれの開口43、したがってEC束24の側面30および32に向けられ、それによって残った水粒子を側面30および32から一掃し、コンテインメントカバー50を出るまでにEC束24を完全に乾燥させる。水粒子およびこの化学反応過程によって生み出された酸化リチウムは、コンテインメントカバー50の下に空気の流れを生み出す空気ポンプ(図示せず)に接続された換気口52から排出される。プラットホーム44は、自体が空気流ノズル56の吹付け範囲を出るときにセンサ(図示せず)を作動させ、それによって空気流ノズル56を閉じる信号を中継する。
【0029】
水粒子は電気伝導性であり一時的な短絡を生み出すので、最初にアノード12の縁に吹き付けたときに、EC束24の両極間に顕著な電圧降下が生じる。しかしアノード縁が後退し乾燥すると、最初には存在したかもしれない局部短絡が除かれるので、EC束24の極の電圧はその最初の電圧またはそれよりも高い電圧まで再び上昇する。
【0030】
このシーケンス全体(酸化、静置および乾燥)はコンテインメントカバー50の下で実施され、したがって換気される。
【0031】
以上に概説したプロセスの自動化は単純であり、自動化分野の技術者の知識の範囲に十分に含まれる。吹付けノズル54は完全に調整可能である。ジェットの圧力、速度および形状は一般的な吹付け装置として変更し調整することができる。同様に空気流ノズル56も完全に調整可能であり、ジェットの圧力、速度および形状は一般的な吹付け装置として変更し調整することができる。
【0032】
アノード縁を酸化するための好ましい流体は水または蒸留水だが、他の流体および他の流体の組合せを使用することもできることによく留意されたい。例としては、メタノールなどのアルコール、ハロゲン化合物、硫黄化合物および含酸素化合物などがある。さらに、上記実施形態で説明したアノード層は一般にリチウムまたはリチウム合金を含むが、他のアルカリ金属など他のタイプの材料を含むアノード層も本発明の範囲に含まれることによく留意されたい。
【0033】
さらに、上記の装置は、EC束24の側面を腐食させ電気的に絶縁する製造プロセスの実施態様の一例に過ぎないことを理解されたい。この特定の実施例では1サイクルにつき1つのEC束が酸化される。図7に、この製造プロセスが連続的に実施される本発明の他の実施例を示す。EC束24は、保護ケーシング42と同様の保護ケーシングの中に囲われている。エンドレスベルト70を使用して、複数のEC束を、1対の水吹付けノズル54によって画定される酸化ステーション、次いで1対の空気流ノズル56によって画定される乾燥ステーションの中に次々と運び入れ、その後、退出させる。ノズル54と56の間の距離は、EC束の側面を酸化しアノード縁を十分に後退させる静置期間の役目を果たす。酸化ステーションおよび乾燥ステーションは、換気システムを含むコンテインメントカバー72(見やすくするため点線で示されている)の中に囲われており、そのためこのプロセスは、過剰な水粒子および化学反応によって生み出された酸化リチウムを排出するため換気されるようになっている。酸化工程が乾燥工程を妨害しないように、これらの2つのステーションを仕切り74を用いて互いに分離してもよい。同様に、水吹付けノズル54および空気流ノズル56を作動、停止するためのセンサを、保護ケーシング42の経路に沿って配置してもよい。
【0034】
本明細書に記載した酸化装置およびプロセスの他の実施形態(図示せず)では、EC束24の側面30および32に接触させた湿式ディスペンサによってEC束24の側面30および32に反応性流体を直接に適用する。このような湿式ディスペンサの例には、濡れブラシ、濡れフェルト、濡れ箒、濡れスポンジおよび濡れたティッシュ、織物、布またはワッド(wad)が含まれる。この湿式ディスペンサは、EC束24の側面30および32に対してこのディスペンサをこすりつけることによって、アノード縁を酸化する反応性流体の層をEC束24の側面30および32に適用する。
【0035】
図7には、実質的に水平な平面に沿って実施される製造プロセスの実施態様を示したが、あるいはこのプロセスを垂直にまたは異なる複数の水平面で実施してもよく、これらの方法も本発明の範囲および趣旨を逸脱しない。
【0036】
さまざまな実施形態を示したが、これは本発明を説明するためであって、本発明を限定するためではない。当業者にはさまざまな変更が明白であり、それらは、添付の請求項によってより具体的に定義された本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属高分子電気化学的発電装置を組み立てるための方法であって、
複数の電気化学セル積層体を積み重ねて、1対の側面を有する束を形成することを含み、
前記電気化学セル積層体がそれぞれ、
a)アルカリ金属アノード、
b)電解質セパレータ、
c)カソード、および
d)カソード集電体
を含み、
さらに、少なくとも1つの前記アルカリ金属アノードの露出した縁が酸化しそれによって前記露出した縁の一部が溶解するように、前記束の少なくとも1つの側面に反応性流体を適用することを含み、
前記露出した縁が、前記束の前記少なくとも1つの側面から後退して、前記アルカリ金属アノードと隣接するカソードまたはカソード集電体との間の電気接触が防がれることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記積層体束が、前記少なくとも1つの側面を除く前記束を密封する保護層で少なくとも部分的に覆われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保護層が、前記少なくとも1つの側面と整列する少なくとも1つの開口を有する保護ケーシングである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体がジェット吹付けの形態で適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属アノードがリチウム金属またはリチウム金属合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流体が、水、蒸留水、アルコール、メタノール、ハロゲン化合物、硫黄化合物および含酸素化合物からなるグループから選択された、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記流体が水または蒸留水である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記流体がメタノールである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記束の前記少なくとも1つの側面を空気流ジェットを使用して乾燥させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
方法の間中、前記束の電圧を監視することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記流体と前記露出した縁の前記酸化部分からの粒子とを排出するために換気された領域の中で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ金属アノード、電解質セパレータ、カソードおよびカソード集電体をそれぞれが含む複数の電気化学セル積層体を含む電気化学束の少なくとも1つの側面を電気的に絶縁するための装置であって、
少なくとも1つの前記アルカリ金属アノード層の露出した縁を酸化するために前記束の少なくとも1つの側面に反応性流体を適用するための第1のノズルと、
-記束の前記少なくとも1つの側面を乾燥させるために空気流を適用するための第2のノズルと、
前記束の前記少なくとも1つの側面が、最初に前記第1のノズルに対して露出された後に前記第2のノズルに対して露出されるように前記束を輸送するための手段と
を含む装置。
【請求項13】
前記第1および第2のノズルを囲うコンテインメントカバーをさらに含み、前記コンテインメントカバーが換気ポンプに接続された換気口を含み、これによって前記束の前記少なくとも1つの側面の前記酸化および乾燥を換気下で実施することができる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの側面を除く前記束を密封するために前記束を少なくとも部分的に覆う保護層をさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記保護層が、前記束の前記少なくとも1つの側面を露出させその一方で前記束の残りの部分は密封する少なくとも1つの開口をその一端に含む保護ケーシングである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記束を輸送するための前記手段が往復動機構を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記束を輸送するための前記手段がエンドレスベルトを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記束の1対の側面に流体を適用するための1対の第1のノズルと、
前記束の前記1対の側面のそれぞれの側面を乾燥させるためにそれぞれの側面に空気流を適用するための1対の第2のノズルと
を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
アルカリ金属アノード、電解質セパレータ、カソードおよびカソード集電体をそれぞれが含む電気化学セル積層体のスタックを含む電気化学束を電気的に絶縁するための方法であって、
少なくとも1つの前記アルカリ金属アノードの露出した縁が酸化するように前記束の少なくとも1つの側面に反応性流体を適用して、前記少なくとも1つのアルカリ金属アノードと隣接するカソードまたはカソード集電体との間の電気接触を防ぐこと、および
前記束の前記少なくとも1つの側面を乾燥させること
を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−198774(P2011−198774A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−145813(P2011−145813)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【分割の表示】特願2006−504067(P2006−504067)の分割
【原出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(309005766)バシウム・カナダ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】