説明

電気反射形ランプ

光放射窓(7)の反対側に開口(6)を有する反射器(2)と、端部(16)が反射器のランプ開口内にある状態で位置付けられる閉塞ランプ容器(11)とランプ容器内で光軸(4)上に配置される電気素子(13)とを含む電気ランプ(10)と、支持本体(20)とを含む反射形ランプ(1)。支持本体(20)は、支持本体を反射器に締結するための反射器締結手段(22)と、支持本体をランプ容器の端部に締結するためのランプ締結手段(21)とを含む。ランプ開口から光軸に沿って光放射窓に向かう方向に見られるとき、支持本体は反射器のランプ開口を超える場所でだけ反射器に締結される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従った電気反射形ランプ(electric reflector lamp)に関する。本発明は、さらに、反射形ランプにおける使用のための反射器(reflector)に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような反射形ランプは、WO02/48609から既知であり、そこでは、支持本体は、反射器内でランプ容器の正確な位置決めをもたらす。支持本体が比較的複雑な構造であること並びにランプの組立てが比較的厄介であることが、既知の反射形ランプの不利点である。そのような組立ての間に並びに組み立てられた構造中に、比較的高い応力が(ガラス)反射器本体に対して課される。高い応力が反射器の開口/ネックに隣接して反射器に対して課されることが特に既知である。これらの応力は、機械的構造及び動作中の反射形ランプに対する熱負荷の両方によって引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述された不利点の少なくとも1つが相殺される冒頭段落に記載された種類の反射形ランプを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これを達成するために、冒頭段落に記載されたようなランプは、請求項1の特徴部分によって特徴付けられる。本発明の反射形ランプでは、反射器のランプ開口又はその近傍にある重大地域内でランプ容器と反射器との間の(機械的)接続がなく、よって、反射形ランプをより低い(熱)応力に晒させる。ランプ開口及び/又はその近傍にある地域は、従来的に既知のランプと比べ、比較的小さい程度でのみ支持本体によって覆われるので、自由な或いは強制的な対流、例えば、空気流が可能とされる。よって、高出力ランプ、即ち、従来的な構造におけるよりも高電力のランプの使用が可能とされると同時に、従来的なランプにおけるとほぼ同じランプ寿命が維持される。より高電力のランプは、例えば、例えば、安定動作中に250〜500Wの公称電力を有するショートアーク高圧放電ランプ、並びに、例えば、連続定常動作中の450Wの電力のために設計されるUHPランプである。
【0005】
第一環状壁及びランプ開口は、好ましくは、本反射器ランプ内で軸方向に2mm〜30mmの範囲内で間隔Sだけ離間される。よって、ランプ開口及び/又はその近傍にある地域は、従来的な既知のランプと比較して、より少ない程度で支持本体によって覆われ、自由な或いは強制的な対流、例えば、空気流は、より一層良好に促進される。
【0006】
もし支持本体の反射器締結手段が第二環状壁を含むならば有利である。前記第二環状壁は、支持本体に強化された剛性を与え、反射器と反射器締結手段との間により大きな接触地域をもたらす。前記強化された剛性は、反射器内のランプ容器のより良好に制御された位置決めをもたらし、前記より大きい接触地域は、反射器に対する支持本体のより良好な締結をもたらす。
【0007】
本発明の実施態様は、反射器がネック部を備えないことによって特徴付けられる。これは開口部にある反射器の円筒形部分と反射器シェルとの間に膝部がないという利点をもたらし、反射器形状関連応力の減少をもたらす。さらに、光発生及び熱発生光源と反射器の外側との間の距離が減少され、それはランプ容器のより良好な冷却をもたらす。開口にネックを有する反射器を備える反射形ランプ内での支持本体の適用は、従来的な既知の反射器と比べ、熱応力及び機械応力に関し有益な効果を有するが、上述された理由のために、ネックを備えない反射器が好ましい。もし反射器が光放射窓で反射器の壁厚よりも1.5倍より少ない、好ましくは、1.25倍より少ない開口近傍の壁厚を有するならば、前記距離はより一層減少され、ランプ容器のより良好な冷却をもたらす。
【0008】
本発明の反射形ランプの他の実施態様は、支持本体が、2、3、4、5、又は、6つの脚部を含み、それらを介して支持本体が反射器に締結される点で特徴付けられる。それによって、反射器上又は内へのランプ容器の強力な固定及び正しい位置決めが得られる。支持本体は、例えば、金属、セラミック、高温耐性合成樹脂、又は、ガラスなら作成される。これらの材料は、例えば、セメント付け、接着によって、或いは、径方向締付けによって、反射器及びランプ容器に容易に接続される。セメント付けは、支持本体をランプ容器及び/又は反射器に締結する比較的容易な方法である。好ましくは、支持本体、ランプ容器、及び、反射器の材料の熱膨張計数は整合し、よって、界面での高い機械及び熱応力の発生を相殺する。具体的に適しているのは、金属シーティングから成る支持本体であり、前記材料は、容易に曲げやすく、その弾性の故に、締付けを通じて反射器及びランプ容器の両方を締結するのに極めて適している。
【0009】
反射形ランプのさらに他の実施態様は、ランプ容器が2つの相互に対向する端部を有し、各端部はシールをそれぞれ含む点で特徴付けられる。これは電気素子、例えば、放電アーク又はフィラメントを比較的容易に光軸上で/光軸に沿って焦点内に位置付けることを可能にする。支持本体は、この目的のために弾性舌部を備え得る。
【0010】
本発明は、さらに、本発明の反射形ランプにおける使用のための反射器に関する。本発明は、例えば、ランプ容器及び反射器を互いに締結するために従来的に使用される反射器のネックが今や省略され得る点で、反射器のための新しい設計を可能にする。さらに、反射器の壁は、実質的に一定の厚さを有し得るし、ネックの不存在の故に、従来的な既知の反射器に比べて、比較的薄くあり得る。2〜6つの脚部を有する蜘蛛形状支持本体は、ハウジング内の或いは電気装置内の反射器ランプの内蔵寸法を増大せず或いは実質的に増大しないという利点を有する。
【0011】
本発明のさらなる利点、特徴、及び、詳細は、幾つかの実施態様の保証記載中により詳細に説明される。記載は図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の反射形ランプの第一実施態様を示す断面図である。
【図2】図1の反射形ランプを示す斜視図である。
【図3】本発明の反射形ランプの他の実施態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
図1は、光軸4を定め且つ光軸上に焦点5を有する凹状反射部3を備える反射器2を含み、反射面が、ランプ開口6と反射器のランプ開口と反対側の光放射窓7との間に延在している。反射形ランプは、第一端部16が反射器のランプ開口内にある状態で位置付けられる閉塞ランプ容器11と、電気素子13と、ランプ容器によって閉じ込められる空間12内で光軸上に配置される図面中で相互に対向する一対の電極と、電気素子からそれぞれの端部16,17を通じて外部に延びる電流導体14,15とを含む、電気高圧ガス放電ランプ10をさらに含む。電気ランプは、起動補助として働くアンテナ18を有する。支持本体20が設けられ、支持本体20は、支持本体20を反射器2に締結するための反射器締結手段22と、開口6を部分的にのみ被覆するランプ容器の端部に支持本体20を締結するためのランプ締結手段21とを含む。光放射窓7に向かって光軸4に沿ってランプ開口6から離れる方向では、支持本体20は、反射器2のランプ開口6を超える場所でだけ、反射器のほぼ焦点で、反射器に締結されている。図1に示されるように、反射器はネック部を備えない。反射器は、図1に示されるランプではホウケイ酸ガラスの硬質ガラス製であるが、それは代替的にアルミノケイ酸又はガラスセラミック製でもあり得る。開口に隣接する壁厚Tは、光放射窓での反射器の壁厚Tよりも1.25倍少ない。
【0014】
図2は、図1のランプの支持本体の蜘蛛状構造を斜視図で示している。支持本体は、図2では、焼結酸化アルミニウムのセラミック材料製であり、ランプ締結手段として、開口33の周りに第一環状壁31を含む。第一環状壁31は、3つの脚部23と第二環状壁32とを含む反射器締結手段に接続されている。前記脚部23は、第一環状壁31を第二環状壁32に接続している。第二環状壁32は第一環状壁31と同心状であり、第一及び第二の環状壁は、外径d及びDをそれぞれ有し、第一環状壁の直径dは、第二環状壁の直径Dよりも小さい(図1を参照)。脚部は、光軸4に対して約36°の鋭角αで光軸に沿って延び(図1を参照)、第一及び第二の環状壁を相互接続している。脚部は、反射器の周縁8に亘って均等に、即ち、光軸に沿う平面投影内に120°の相互角で均一に分配されている。ランプ容器及び反射器の双方は、セメント30によって支持本体20に締結されている。第一環状壁及びランプ開口6は、8mmの間隔Sだけ軸方向に離間されている。
【実施例2】
【0015】
図3は、焦点5内の並びに光軸4上の電気素子としてのフィラメント13を備えるシングルエンドハロゲンランプを有する反射形ランプの断面図を示している。支持本体20は、第二環状壁を有さず、その第一環状壁でランプ容器に締結され、4つの脚部23(その2つだけが図示されている)によって光放射窓7で反射器に締結されている。前記4つの脚部は、光軸4に沿う平面投影内で90°の相互角で反射器の周縁に亘って均一に分配されている。支持本体は、金属シーティング、例えば、耐食性バネ鋼製である。ランプ容器及び反射器の双方は、それぞれの締付け把持部を介して支持本体20に締結されている。ランプ容器は、その端部/シールによって締め付けられ、反射器は、光放射窓でその壁によって締め付けられる。第一環状壁及びランプ開口6は、14mmの間隔Sだけ軸方向に離間されている。端部16を通じて外部に延びる電流導体14,15は、モリブデン箔19をそれぞれ含む。ランプ容器は、石英ガラス製、即ち、少なくとも95重量%のSiO含有量を有するガラス製である。
【0016】
本発明の一部の例示的な実施態様のみが詳細に記載されたが、当業者は、多くの変形が本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱せずに可能であることを直ちに理解するであろう。従って、全てのそのような変更、例えば、反射器が光放射窓内に位置付けられる(選択的に反射防止層で塗工される)透明な板を有すること、或いは、ランプ容器の第一端部が、起動アンテナを備えることは、この発明の範囲内にあることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を定め且つ該光軸上に焦点を有する反射表面を備える反射器を含み、前記反射表面は、前記反射器内のランプ開口と該ランプ開口と反対側の光放射窓との間に延在し、
端部が前記ランプ開口内にある状態で位置付けられる閉塞されたランプ容器と、該ランプ容器内で前記光軸上に配置される電気素子と、前記端部を通じて前記電気素子から外部に延びる電流導体とを含む電気ランプを含み、
支持本体を含み、該支持本体は、該支持本体を前記ランプ容器の前記端部に締結するためのランプ締結手段と、前記支持本体を前記反射器に締結するための反射器締結手段とを含み、
前記ランプ締結手段は、前記ランプ容器の前記端部の周りの第一環状壁を含み、
前記反射器締結手段は、前記ランプ締結手段の前記第一環状壁に取り付けられる複数の脚部を含み、各脚部は、前記光軸に対して鋭角αで前記反射器内の前記ランプ開口から前記光軸に沿って前記光放射窓に向かう方向に延在し、
前記ランプ開口から前記光軸に沿って前記光放射窓に向かう方向に見られるとき、前記支持本体は、前記反射器の前記ランプ開口を超える、好ましくは、前記反射器の前記焦点を超える場所でだけ前記反射器に締結されることを特徴とする、
反射形ランプ。
【請求項2】
前記複数の脚部は、2〜6の脚部の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の反射形ランプ。
【請求項3】
前記支持本体の前記反射器締結手段は、さらに、第二環状壁を含み、該第二環状壁は、前記第一環状壁と同心状であり、前記脚部を介して前記第一環状壁に接続され、前記第一環状壁及び前記第二環状壁は、外径d及びDをそれぞれ有し、前記第一環状壁の前記直径dは、前記第二環状壁の前記直径Dよりも小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の反射形ランプ。
【請求項4】
前記第一環状壁及び前記ランプ開口は、2mmから30mmの範囲内にある間隔Sだけ軸方向に離間することを特徴とする、請求項1又は2に記載の反射形ランプ。
【請求項5】
前記反射器は、ネック部を備えないことを特徴とする、請求項1に記載の反射形ランプ。
【請求項6】
前記反射器は、前記光放射窓で前記反射器の壁厚Tよりも1.5倍より少ない、好ましくは1.25倍より少ない、前記開口に隣接する壁厚Tを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の反射形ランプ。
【請求項7】
前記支持本体は、金属、セラミック材料、又は、ガラスから成ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反射形ランプ。
【請求項8】
前記支持本体は、金属シーティングから成ることを特徴とする、請求項6に記載の反射形ランプ。
【請求項9】
前記支持本体は、前記反射器に接着されることを特徴とする、請求項1に記載の反射形ランプ。
【請求項10】
前記ランプ容器は、前記金属支持本体によって締付け力で保持されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の反射形ランプ。
【請求項11】
前記ランプ容器は、2つの相互に対向する端部を有し、各端部は、シールをそれぞれ含むことを特徴とする、請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載の反射形ランプ。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の反射形ランプにおける使用のための反射器であって、前記光放射窓で前記反射器の壁厚Tよりも1.5倍より少ない、好ましくは1.25倍より少ない、前記開口に隣接する壁厚Tを有することを特徴とする、反射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−512616(P2010−512616A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539856(P2009−539856)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054917
【国際公開番号】WO2008/072131
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】