説明

電気回路付きフレーム、光ヘッド装置および光ヘッド装置の製造方法

【課題】ノイズの発生を抑制しつつ、小型化することが可能な光ヘッド装置を提供すること。
【解決手段】光記録媒体に記録された情報の再生や光記録媒体への情報の記録を行う光ヘッド装置は、導電性材料で形成されるフレーム8を備えている。フレーム8は、平面状および/または曲面状に形成される複数の表面部8e〜8vを備えている。表面部8e〜8vのうち、互いに平行でなくかつ交わるように形成された2個の表面部には、この2個の表面部に跨るように絶縁層を介して電気回路20が一体で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路付きフレーム、光ヘッド装置および光ヘッド装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ヘッド装置では、フレームに固定される信号検出用受光素子やモニタ用受光素子等の電子部品の端子に接続されるフレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuit))が使用されている(たとえば、特許文献1参照)。また、FPCとして、電気回路となる銅箔と、銅箔に積層される絶縁性樹脂層と、絶縁性樹脂層に積層されるノイズ抑制層とを備えるFPCが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−146758号公報
【特許文献2】特開2008−41947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載のFPCは、ノイズ抑制効果を有するため、このFPCを特許文献1に記載のFPCに代えて使用すれば、光ヘッド装置において、ノイズの発生を抑制することが可能になる。しかしながら、光ヘッド装置等の各種の装置では、一般に、電子部品に接続されるFPCは折り曲げられて引き回されることが多いにもかかわらず、特許文献2に記載のFPCにはノイズ抑制層が形成され、その厚さが厚くなるため、特許文献2に記載のFPCを光ヘッド装置等に用いた場合、FPCの折り曲げ半径を小さくすると、FPCに亀裂や剥離等が発生するおそれがある。したがって、特許文献2に記載のFPCを各種の装置に用いた場合、その折り曲げ半径を小さくすることは困難である。そのため、特許文献2に記載のFPCを使用する各種の装置では、FPCの折り曲げ半径が大きくなり、装置の小型化を図ることが困難である。
【0005】
そこで、本発明の課題は、ノイズの発生を抑制しつつ、各種の装置を小型化することが可能な電気回路付きフレームを提供することにある。また、本発明の課題は、ノイズの発生を抑制しつつ、小型化することが可能な光ヘッド装置およびこの光ヘッド装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の電気回路付きフレームは、導電性材料で形成されるフレーム上に電気回路が形成された電気回路付きフレームであって、フレームは、平面状および/または曲面状に形成される少なくとも2個の表面部を備え、2個の表面部は、互いに平行でなく、かつ、互いに交わるように形成され、2個の表面部には、2個の表面部に跨るように絶縁層を介して電気回路が一体で形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の電気回路付きフレームでは、導電性材料で形成されるフレームの表面部に絶縁層を介して、電気回路が形成されている。そのため、フレーム自体にノイズ抑制効果を持たせることができ、ノイズの発生を抑制することができる。また、本発明では、互いに交わる平行でない2個の表面部に跨るように、電気回路が一体で形成されている。そのため、FPCを用いずに、2個の表面部に沿って電気回路を配置することができ、表面部の境界部分でFPCの折り曲げ半径が大きくなるといった上述の問題は生じない。したがって、本発明では、電気回路付きフレームが使用される各種の装置を小型化することが可能になる。
【0008】
また、上記の課題を解決するため、本発明は、光記録媒体に記録された情報の再生および/または光記録媒体への情報の記録を行う光ヘッド装置において、導電性材料で形成されるフレームを備え、フレームは、平面状および/または曲面状に形成される少なくとも2個の表面部を備え、2個の表面部は、互いに平行でなく、かつ、互いに交わるように形成され、2個の表面部には、2個の表面部に跨るように絶縁層を介して電気回路が一体で形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の光ヘッド装置では、導電性材料で形成されるフレームの表面部に絶縁層を介して、電気回路が形成されている。そのため、フレーム自体にノイズ抑制効果を持たせることができ、ノイズの発生を抑制することができる。また、本発明では、互いに交わる平行でない2個の表面部に跨るように、電気回路が一体で形成されている。そのため、FPCを用いずに、2個の表面部に沿って電気回路を配置することができ、表面部の境界部分でFPCの折り曲げ半径が大きくなるといった上述の問題は生じない。したがって、本発明では、光ヘッド装置を小型化することが可能になる。
【0010】
本発明において、2個の表面部は、たとえば、互いに略直交するように形成されている。互いに略直交するように形成される2個の表面部に沿って、特許文献2に記載のFPCが配置されると、表面部の境界部分で、FPCの折り曲げ半径が大きくなりやすくなり、光ヘッド装置が大型化しやすくなるが、本発明では、互いに略直交するように形成される2個の表面部に沿って電気回路が形成されても、光ヘッド装置を小型化することができる。
【0011】
さらに、上記の課題を解決するため、光記録媒体に記録された情報の再生および/または光記録媒体への情報の記録を行う光ヘッド装置において、導電性材料で形成されるフレームを備え、フレームには、電子部品が固定される固定面が光記録媒体に略平行な方向に交わるように形成され、固定面には、絶縁層を介して電気回路が一体で形成され、電気回路に電子部品の端子が接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の光ヘッド装置では、導電性材料で形成されるフレームの固定面に絶縁層を介して、電気回路が形成されている。そのため、フレーム自体にノイズ抑制効果を持たせることができ、ノイズの発生を抑制することができる。また、本発明では、電子部品が固定される固定面が光記録媒体に略平行な方向に交わるように形成され、この固定面に形成された電気回路に電子部品の端子が接続されている。そのため、電子部品が固定される固定面に沿って厚いFPCを配置する必要がなくなる。したがって、本発明では、固定面の端部でFPCの折り曲げ半径が大きくなるといった上述の問題は生じない。したがって、本発明では、光ヘッド装置を小型化することが可能になる。
【0013】
本発明において、固定面は、たとえば、光記録媒体に略平行な方向に直交するように形成されている。光記録媒体に略平行な方向に直交するように形成される固定面に沿って、特許文献2に記載のFPCが配置されると、固定面の端部で、FPCの折り曲げ半径が大きくなりやすくなり、光ヘッド装置が大型化しやすくなるが、本発明では、光記録媒体に略平行な方向に直交するように形成される固定面に沿って電気回路が形成されても、光ヘッド装置を小型化することができる。
【0014】
本発明において、電気回路は、絶縁層を介して積層される少なくとも2層の電気回路層を備えることが好ましい。このように構成すると、電気回路の多機能化を図ることができる。また、電気回路の配置面積を低減することができる。
【0015】
本発明の光ヘッド装置は、表面部に絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、絶縁層の上に電気回路を形成する電気回路形成工程とを備える光ヘッド装置の製造方法で製造することができる。また、電気回路形成工程は、たとえば、絶縁層の表面上に導電性材料からなる導電層を積層する導電層積層工程と、導電層の一部をエッチングで除去して電気回路を形成するエッチング工程とを備えている。本発明の光ヘッド装置の製造方法で製造された光ヘッド装置では、ノイズの発生を抑制しつつ、装置を小型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の電気回路付きフレームでは、ノイズの発生を抑制しつつ、各種の装置を小型化することが可能になる。また、本発明の光ヘッド装置では、ノイズの発生を抑制しつつ、光ヘッド装置を小型化することが可能になる。さらに、本発明の光ヘッド装置の製造方法で製造された光ヘッド装置では、ノイズの発生を抑制しつつ、光ヘッド装置を小型化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(光ヘッド装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる光ヘッド装置1の、光学系6を中心とした概略構成図である。図2は、本発明の実施の形態にかかる光ヘッド装置1の一部の部品を取り除いた状態を示す斜視図である。
【0019】
本形態の光ヘッド装置1は、CDやDVD等の光記録媒体2に記録された情報の再生や、光記録媒体2への情報の記録を行う装置である。この光ヘッド装置1は、光記録媒体2に向かって、650nm帯の波長のレーザ光を射出する第1レーザ光源3と、780nm帯の波長のレーザ光を射出する第2レーザ光源4と、光記録媒体2で反射された反射光を受光する信号検出用受光素子5と、第1レーザ光源3または第2レーザ光源4から射出された射出光を光記録媒体2に集束させるとともに、光記録媒体2で反射された反射光を信号検出用受光素子5に導く光学系6とを備えている。また、光ヘッド装置1は、第1レーザ光源3または第2レーザ光源4から射出された射出光の一部を受光するモニタ用受光素子7と、レーザ光源3、4、受光素子5、7および光学系6が固定されるフレーム8とを備えている。
【0020】
光学系6は、各種の光学素子を備えている。具体的には、光学系6は、回折素子10、11と、偏光プリズム12と、ハーフミラー13と、1/4波長板14と、コリメータレンズ15と、立ち上げミラー(全反射ミラー)16と、対物レンズ17と、リレーレンズ18とを備えている。
【0021】
第1レーザ光源3から射出された光は、回折素子10および偏光プリズム12の部分反射面12aを透過して、ハーフミラー13に入射する。また、第2レーザ光源4から射出された光は、回折素子11およびリレーレンズ18を透過した後、偏光プリズム12の部分反射面12aで反射されて、ハーフミラー13に入射する。
【0022】
また、第1レーザ光源3または第2レーザ光源4から射出された光の一部は、ハーフミラー13で反射される。ハーフミラー13で反射された光は、1/4波長板14およびコリメータレンズ15を透過し、立ち上げミラー16で反射された後、対物レンズ17を透過して、光記録媒体2に照射される。光記録媒体2で反射された光は、対物レンズ17、立ち上げミラー16、コリメータレンズ15および1/4波長板14を経由した後、ハーフミラー13を透過して、信号検出用受光素子5に入射する。また、第1レーザ光源3または第2レーザ光源4から射出された光の一部は、ハーフミラー13を透過して、モニタ用受光素子7に入射する。
【0023】
フレーム8は、導電性材料で形成されている。たとえば、フレーム8は、亜鉛合金、アルミ合金あるいはマグネシウム合金等の金属あるいは導電性を有する樹脂で形成されている。また、フレーム8は、ダイカスト等の成型あるいは切削によって形成されている。このフレーム8は、底面部とこの底面部から起立する複数の壁部を有する立体状に形成されている。フレーム8には、光ヘッド装置1を所定方向へ送るための送りねじ(図示省略)が係合するネジ係合部8aと、光ヘッド装置1を所定方向へ案内するガイド軸(図示省略)が係合する軸係合部8bとが形成されている。
【0024】
本形態のフレーム8には、電気回路20が一体で形成されている。すなわち、本形態のフレーム8は、電気回路付きフレームである。電気回路20の一端には、FPC(図示省略)が接続されている。また、電気回路20の他端には、レーザ光源3、4の出力を調整するためのボリューム21が接続されている(図2参照)。以下、フレーム8および電気回路20の詳細な構成について説明する。
【0025】
(フレームおよび電気回路の構成)
図3は、図2に示すフレーム8の、電気回路20の形成部分の断面図である。図4は、図2のE部の詳細図であり、(A)は側面図、(B)は(A)のF−F断面の断面図である。
【0026】
以下の説明では、図2のX1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「手前(前)」側、Y2方向側を「奥(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。また、X方向とY方向とから構成される平面をXY平面、Y方向とZ方向とから構成される平面をYZ平面、Z方向とX方向とから構成される平面をZX平面とする。なお、本形態では、光記録媒体2は、XY平面に略平行に配置される。すなわち、XY平面に平行な方向は、光記録媒体2に略平行な方向となる。
【0027】
図2に示すように、フレーム8には、FPCが固定されるFPC固定部8cと、ボリューム21が固定されるボリューム固定部8dとが形成されている。FPC固定部8cは、第1レーザ光源3の取付部と隣接するようにフレーム8の奥端側に形成されている。また、ボリューム固定部8dは、フレーム8の右端側の手前端に形成されている。
【0028】
電気回路20は、FPC固定部8cとボリューム固定部8dとの間を繋ぐように形成されている。また、電気回路20は、フレーム8の表面に沿って形成されている。具体的には、図2に示すように、第1表面部8eと、第2表面部8fと、第3表面部(図示省略)と、第4表面部8gと、第5表面部8hと、第6表面部8jと、第7表面部8kと、第8表面部(図示省略)と、第9表面部8mと、第10表面部8nと、第11表面部(図示省略)と、第12表面部8pと、第13表面部8qと、第14表面部8rと、第15表面部8sと、第16表面部8tと、第17表面部8uと、第18表面部(図示省略)と、第19表面部8vとに電気回路20が連続的に形成されている。なお、以下では、第1表面部8eから第19表面部8vをまとめて表す場合には、「表面部8e〜8v」と表記する。
【0029】
第1表面部8eは、ZX平面と略平行に形成されている。また、第1表面部8eは、フレーム8の奥端側に形成され、FPC固定部8cの一部を構成している。第2表面部8fは、第1表面部8eの下端から手前側に向かってXY平面と略平行に形成されている。第3表面部は、第2表面部8fの手前端から上側に向かってZX平面と略平行に形成されている。第2表面部8fと第3表面部とは、FPC固定部8cの一部を構成している。
【0030】
第4表面部8gは、第3表面部の上端から手前側に向かってXY平面と略平行に形成されている。第5表面部8hは、第4表面部8gの手前端から下側に向かってZX平面と略平行に形成されている。第6表面部8jは、第5表面部8hの左端から左側かつ奥側に向かって曲面状に形成された曲面部とこの曲面部の左端から左側に向かってZX平面と略平行に形成された平面部とから構成されている。第7表面部8kは、第6表面部8jの平面部の下端から手前側に向かってXY平面と略平行に形成されている。この第7表面部8kは、対物レンズ17を駆動する対物レンズ駆動装置(図示省略)の取付面となっている。第8表面部は、第7表面部8kの手前端から上側に向かってZX平面と略平行に形成されている。第9表面部8mは、第8表面部の上端から手前側に向かってXY平面と略平行に形成されている。
【0031】
第10〜第16表面部8n〜8tは、フレーム8の手前側端面の一部を構成している。第10表面部8n、第12表面部8p、第14表面部8rおよび第16表面部8tは、奥側に向かって膨らむ曲面状に形成されている。
【0032】
第10表面部8nは、第9表面部8mの手前端から下側に向かって形成されている。第11表面部は、第10表面部8nの右端から奥側に向かってわずかに窪む平面状に形成されている。第12表面部8pは、第11表面部の奥端から右側に向かって形成されている。第13表面部8qは、第12表面部8pの右端から手前側に向かってわずかに突出する平面状に形成されている。第14表面部8rは、第13表面部8qの手前端から右側に向かって形成されている。第15表面部8sは、第14表面部8rの右端から右側に向かってZX平面と略平行に形成されている。第16表面部8tは、第15表面部8sの右端から右側に向かって形成されている。
【0033】
第17表面部8uは、第16表面部8tの上端から右側に向かってXY平面と略平行に形成されている。第18表面部は、第17表面部8uの右端側から下側に向かってYZ平面と略平行に形成されている。第19表面部8vは、第18表面部の奥端から右側に向かってZX平面と略平行に形成されている。本形態では、第19表面部8vは、電子部品であるボリューム21が固定される固定面となっている。
【0034】
以上のように、本形態では、第1表面部8eと第2表面部8fとが互いに交わり、第2表面部8fと第3表面部とが互いに交わり、第3表面部と第4表面部8gとが互いに交わり、第4表面部8gと第5表面部8hとが互いに交わり、第5表面部8hと第6表面部8jとが互いに交わり、第6表面部8jと第7表面部8kとが互いに交わり、第7表面部8kと第8表面部とが互いに交わり、第8表面部と第9表面部8mとが互いに交わっている。
【0035】
また、第9表面部8mと第10表面部8nとが互いに交わり、第10表面部8nと第11表面部とが互いに交わり、第11表面部と第12表面部8pとが互いに交わり、第12表面部8pと第13表面部8qとが互いに交わり、第13表面部8qと第14表面部8rとが互いに交わり、第14表面部8rと第15表面部8sとが互いに交わり、第15表面部8sと第16表面部8tとが互いに交わり、第16表面部8tと第17表面部8uとが互いに交わり、第17表面部8uと第18表面部とが互いに交わり、第18表面部と第19表面部8vとが互いに交わっている。
【0036】
すなわち、本形態では、互いに交わる2個の表面部に跨るように、電気回路20が一体で形成されている。
【0037】
また、第1表面部8eと第2表面部8fとは互いに略直交するように形成され、第2表面部8fと第3表面部とは互いに略直交するように形成され、第3表面部と第4表面部8gとは互いに略直交するように形成され、第4表面部8gと第5表面部8hとは互いに略直交するように形成され、第6表面部8jと第7表面部8kとは互いに略直交するように形成され、第7表面部8kと第8表面部とは互いに略直交するように形成され、第8表面部と第9表面部8mとは互いに略直交するように形成されている。
【0038】
また、第9表面部8mと第10表面部8nとは互いに略直交するように形成され、第10表面部8nと第11表面部とは互いに略直交するように形成され、第11表面部と第12表面部8pとは互いに略直交するように形成され、第12表面部8pと第13表面部8qとは互いに略直交するように形成され、第13表面部8qと第14表面部8rとは互い略直交するように形成され、第16表面部8tと第17表面部8uとは互いに略直交するように形成され、第17表面部8uと第18表面部とは互い略直交するように形成され、第18表面部と第19表面部8vとは互いに略直交するように形成されている。
【0039】
電気回路20は、たとえば、銅箔で形成されている。図3および図4(B)に示すように、電気回路20は、絶縁性樹脂等からなる絶縁層22を介してフレーム8の表面部8e〜8vに形成されている。また、電気回路20の表面は、絶縁性樹脂等からなる絶縁層23で覆われている。すなわち、表面部8e〜8vには、絶縁層22と電気回路20と絶縁層23とがこの順番で積層されている。
【0040】
電気回路20の一端は、第1表面部8fに形成されるランド20aとなっている。ランド20aには、FPCの端子が半田付けされて固定されている。また、電気回路20の他端は、第19表面部8vに形成されるランド20bとなっている。ランド20bには、図4に示すように、ボリューム21の端子21aが半田付けされて固定されている。
【0041】
(電気回路の製造方法)
本形態では、表面部8e〜8vに電気回路20を形成する際には、まず、表面部8e〜8vに絶縁層22を形成する(絶縁層形成工程)。その後、絶縁層22の表面上に導電性材料からなる導電層を形成する(導電層形成工程)。その後、導電層の所定部分をマスクで多い、マスクで覆われていない導電層の一部をエッチングで除去して電気回路20を形成する(エッチング工程)。その後、電気回路20の表面に絶縁層23を形成すると、電気回路20が完成する。なお、本形態では、導電層形成工程およびエッチング工程はそれぞれ、絶縁層22の上に電気回路20を形成する電気回路形成工程の一部となっている。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、導電性材料で形成されるフレーム8の表面部8e〜8vに絶縁層22を介して、電気回路20が形成されている。そのため、フレーム8自体にノイズ抑制効果を持たせることができ、ノイズの発生を抑制することができる。また、表面部8e〜8vに絶縁層22を介して、電気回路20が形成されているため、フレーム8が熱伝動性の高い部材で形成されている場合には、電気回路20で発生する熱を効率良く放散することができる。
【0043】
本形態では、互いに交わる平行でない2個の表面部に(たとえば、第9表面部8mと第10表面部8nとに)跨るように、電気回路20が一体で形成されている。そのため、FPCを用いずに、2個の表面部に沿って電気回路20を配置することができ、表面部の境界部分でFPCの折り曲げ半径が大きくなるといった従来の問題は生じない。特に、たとえば、第4表面部8gと第5表面部8hとのように、2個の表面部が互いに略直交するように形成されている場合、略直交するように形成された2個の表面部に沿って厚いFPCを配置すると、表面部の境界部分で、FPCの折り曲げ半径が大きくなりやすくなるが、本形態ではかかる問題が生じない。したがって、本形態では、光ヘッド装置1を小型化することが可能になる。
【0044】
また、本形態では、ZX平面に略平行に形成された第19表面部8vがボリューム21の固定面となっている。そのため、ボリューム21の固定面となる第19表面部8vに沿ってFPCを配置する必要がなくなる。したがって、本形態では、第19表面部8vの端部でFPCの折り曲げ半径が大きくなるといった従来の問題は生じない。特に、本形態のように、第19表面部8vがZX平面と略平行に形成されている場合に、第19表面部8vに沿って厚いFPCを配置すると、第19表面部8vの上端部で、FPCの折り曲げ半径が大きくなりやすくなるが、本形態ではかかる問題が生じない。したがって、本形態では、光ヘッド装置1を小型化することが可能になる。
【0045】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0046】
上述した形態では、電気回路20の他端にボリューム21が接続されている。この他にもたとえば、図5に示すように、電気回路20の他端に、電子部品であるモニタ用受光素子7が接続されても良い。この場合には、第1表面部8eと、第2表面部8fと、第3表面部と、第4表面部8gと、第5表面部8hと、第20表面部8w1と、第21表面部8w2と、第22表面部8w3と、第23表面部8w4と、第24表面部(図示省略)と、第25表面部8w5と、第26表面部(図示省略)と、第27表面部8w6、8w7と、第28表面部8w8、8w9とに電気回路20が絶縁層22を介して連続的に形成されている。
【0047】
また、この場合には、第20表面部8w1は、第5表面部8hの右端から右側かつ手前側に向かって曲面状に形成されている。第21表面部8w2は、第20表面部8w1の手前側端から右側に向かってZX平面と略平行に形成されている。第22表面部8w3は、第21表面部8w2の右端から手前側に向かってYZ平面と略平行に形成されている。第23表面部8w4は、第22表面部8w3の上端から右側に向かってXY平面と略平行に形成されている。第24表面部は、第23表面部8w4の右端から下側に向かってYZ平面と略平行に形成されている。
【0048】
第25表面部8w5は、第24表面部から右側に向かってXY平面と略平行に形成されている。この第25表面部8w5には、ハーフミラー13の固定壁が形成されている。また、第25表面部8w5では電気回路20が二股状に分岐している。第26表面部は、第25表面部8w5の右端側から上方向に向かって形成されている。第27表面部8w6、8w7は、第26表面部の上端から右手前側に向かってXY平面と略平行に形成されている。第28表面部8w8、8w9は、第27表面部8w6、8w7の右端から下側に向かって形成されている。この第28表面部8w8、8w9は、モニタ用受光素子7が固定される固定面となっている。また、第28表面部8w8、8w9は、XY平面に略直交するように形成されている。
【0049】
このように、図5においては、第5表面部8hと第20表面部8w1とが互いに交わり、第20表面部8w1と第21表面部8w2とが互いに交わり、第21表面部8w2と第22表面部8w3とが互いに交わり、第22表面部8w3と第23表面部8w4とが互いに交わり、第23表面部8w4と第24表面部とが互いに交わり、第24表面部と第25表面部8w5とが互いに交わり、第25表面部8w5と第26表面部とが互いに交わり、第26表面部と第27表面部8w6、8w7とが互いに交わり、第27表面部8w6、8w7と第28表面部8w8、8w9とが互いに交わっている。
【0050】
また、図5において、第21表面部8w2と第22表面部8w3とは互いに略直交するように形成され、第22表面部8w3と第23表面部8w4とは互いに略直交するように形成され、第23表面部8w4と第24表面部とは互いに略直交するように形成され、第24表面部と第25表面部8w5とは互いに略直交するように形成され、第25表面部8w5と第26表面部とは互いに略直交するように形成され、第26表面部と第27表面部8w6、8w7とは互いに略直交するように形成され、第27表面部8w6、8w7と第28表面部8w8、8w9とは互いに略直交するように形成されている。
【0051】
また、この場合には、電気回路20の他端は、第28表面部8w8、8w9に形成されるランドとなっている。このランドには、モニタ用受光素子7の端子が半田付けされて固定されている。
【0052】
また、上述した形態では、電気回路20の他端にボリューム21が接続されているが、ボリューム21およびモニタ用受光素子7以外の、フレーム8に固定される電子部品が電気回路20の他端に接続されても良い。また、上述した形態では、電気回路20の一端は、FPCに接続されているが、電気回路20の一端がフレーム8に固定される電子部品に接続されても良い。これらの場合には、電子部品等の配置位置に応じて、電気回路20をフレーム8に沿って形成すれば良い。また、上述した形態では、数多くの表面部8e〜8vに跨って電気回路20が連続的に形成されているが、互いに交わる少なくとも2個の表面部に跨って電気回路20が形成されていれば、上述した形態の効果を得ることが可能になる。
【0053】
上述した形態では、表面部8e〜8vに1層の電気回路20が形成されている。この他にもたとえば、2層以上の電気回路層からなる電気回路20が表面部8e〜8vに形成されても良い。たとえば、図6に示すように、2層の電気回路層20A、20Bからなる電気回路20が表面部8e〜8vに形成されても良い。この場合には、電気回路20の多機能化を図ることができる。また、電気回路20の配置面積を低減することができる。なお、この場合には、たとえば、電気回路層20Aと電気回路層20Bとの間に絶縁層24が形成される。また、この場合には、図6に示すように、電気回路層20Aと電気回路層20Bとを電気的に接続するためのスルーホール25が形成されても良い。
【0054】
また、図7に示すように、フレーム8と電気回路20とを半田付け等によって電気的に接続することで、電気回路20を確実に接地しても良い。
【0055】
上述した形態では、フレーム8は、底面部と底面部から起立する複数の壁部を有する立体状に形成されている。この他にもたとえば、フレーム8は、薄板状に形成されても良い。この場合には、たとえば、フレーム8の表面から裏面に向かって電気回路20が一体で形成される。すなわち、フレーム8の表面、端面および裏面にわたって、電気回路20が連続で形成される。また、この場合には、フレーム8の表面、端面および裏面のそれぞれは表面部となる。
【0056】
上述した形態では、光ヘッド装置1を例に本発明の実施の形態にかかる電気回路付きフレームを説明しているが、本発明の電気回路付きフレームは、光ヘッド装置1以外の各種の装置のフレームとして使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態にかかる光ヘッド装置の、光学系を中心とした概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる光ヘッド装置の一部の部品を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示すフレームの、電気回路の形成部分の断面図である。
【図4】図2のE部の詳細図であり、(A)は側面図、(B)は(A)のF−F断面の断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態にかかるフレームの構成を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の他の実施の形態にかかるフレームの、電気回路の形成部分の断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態にかかるフレームの、電気回路の形成部分の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 光ヘッド装置
2 光記録媒体
7 モニタ用受光素子(電子部品)
8 フレーム
8e〜8u、8w1〜8w7 表面部
8v、8w8、8w9 表面部(固定面)
20 電気回路
20A、20B 電気回路層
21 ボリューム(電子部品)
21a 端子
22、24 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料で形成されるフレーム上に電気回路が形成された電気回路付きフレームであって、
前記フレームは、平面状および/または曲面状に形成される少なくとも2個の表面部を備え、
前記2個の表面部は、互いに平行でなく、かつ、互いに交わるように形成され、
前記2個の表面部には、前記2個の表面部に跨るように絶縁層を介して前記電気回路が一体で形成されていることを特徴とする電気回路付きフレーム。
【請求項2】
光記録媒体に記録された情報の再生および/または前記光記録媒体への情報の記録を行う光ヘッド装置において、
導電性材料で形成されるフレームを備え、
前記フレームは、平面状および/または曲面状に形成される少なくとも2個の表面部を備え、
前記2個の表面部は、互いに平行でなく、かつ、互いに交わるように形成され、
前記2個の表面部には、前記2個の表面部に跨るように絶縁層を介して電気回路が一体で形成されていることを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項3】
前記2個の表面部は、互いに略直交するように形成されていることを特徴とする請求項2記載の光ヘッド装置。
【請求項4】
光記録媒体に記録された情報の再生および/または前記光記録媒体への情報の記録を行う光ヘッド装置において、
導電性材料で形成されるフレームを備え、
前記フレームには、電子部品が固定される固定面が前記光記録媒体に略平行な方向に交わるように形成され、
前記固定面には、絶縁層を介して電気回路が一体で形成され、
前記電気回路に前記電子部品の端子が接続されていることを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項5】
前記固定面は、前記光記録媒体に略平行な方向に直交するように形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ヘッド装置。
【請求項6】
前記電気回路は、絶縁層を介して積層される少なくとも2層の電気回路層を備えることを特徴とする請求項2から5いずれかに記載の光ヘッド装置。
【請求項7】
請求項2から6いずれかに記載の光ヘッド装置の製造方法において、
前記表面部に前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層の上に前記電気回路を形成する電気回路形成工程とを備えることを特徴とする光ヘッド装置の製造方法。
【請求項8】
前記電気回路形成工程は、前記絶縁層の表面上に導電性材料からなる導電層を積層する導電層積層工程と、前記導電層の一部をエッチングで除去して前記電気回路を形成するエッチング工程とを備えることを特徴とする請求項7記載の光ヘッド装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−44809(P2010−44809A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206556(P2008−206556)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】