説明

電気式マット

【課題】水などがこぼれた場合であっても使用することができる電気式マットを提供すること。
【解決手段】電源部から電力が供給される電気式マットであって、利用者の下に敷かれる本体部2と、前記本体部2の中に設けられた電極部11と、前記電極部11と前記本体部2の外方に配された前記電源部とを接続する電線部14a,14bと、前記電極部11を覆う絶縁カバー10と、前記電線部14a,14bを覆う絶縁チューブ15とを備え、前記絶縁チューブ15が、前記絶縁カバー10に水密に連結されて、前記本体部2の外方に延ばされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力が供給される電気式マットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力が供給されることにより、利用者に温熱効果や電位効果を与える種々の電気式マットが利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
この電気式マットとしては、シート状の本体部と、この本体部に設けられた電極とを備えるものが一般的である。
そして、電極から延びるケーブルを電源部に接続して、電源部から電極に電力を供給することにより、電極から電磁界や熱が発生し、これら電磁界や熱が利用者に伝達される。
【特許文献1】特開2006−296668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような電気式マットでは、水などが本体部やケーブルにかかってしまったときに、その水がケーブル内まで浸入してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、水などがこぼれた場合であっても使用することができる電気式マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、電源部から電力が供給される電気式マットであって、利用者の下に敷かれる本体部と、前記本体部の中に設けられた電極部と、前記電極部と前記本体部の外方に配された前記電源部とを接続する電線部と、前記本体部の中に設けられて、前記電極部を覆う絶縁カバーと、前記電線部を覆う絶縁チューブとを備え、前記絶縁チューブが、前記絶縁カバーに水密に連結されていることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、本体部2に液体がこぼれた場合であっても、その液体が電線部に到達することを防止することができる。
【0007】
また、本発明は、前記絶縁チューブが、前記絶縁カバーと一体的に形成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、電線部への液体の浸入を確実に防止することができる。
【0009】
また、本発明は、前記電線部の端部に、前記電源部に接続するための接続部が設けられ、前記絶縁チューブが、前記絶縁カバーと一体的に形成されて、前記接続部まで延ばされていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、電線部への液体の浸入を、より確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、絶縁カバー及び絶縁チューブが設けられていることから、水などがこぼれた場合であっても、その水の浸入を防止することができ、容易に使用し続けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態における電気式マットについて、図面を参照して説明する。
図1は、電気式マットを電気治療器に適用した例を示したものである。
電気治療器1は、利用者に電磁界をかけて種々の治療を施すものである。
この電気治療器1は、矩形シート状の本体部2と、直方体形状の電源供給装置3とを備えている。
電源供給装置3は、本体部2に電源を供給する電源部4を備えている。電源部4には、電源側電線部(電線部)14b(図2に示す。)が接続されている。また、電源供給装置3の天面には、各種情報を表示する表示部5が設けられている。表示部5の近傍には、電源供給装置3のオン・オフや供給する電源の大きさ調整などを行うための操作部6が設けられている。
【0013】
電源供給装置3は、ケーブル7を介して本体部2に接続されている。すなわち、ケーブル7の一端は、この一端に設けられた連結部8を介して本体部2に固定され、ケーブル7の他端は、この他端に設けられたコネクタ(接続部)20を介して電源供給装置3に着脱可能に接続されている。
また、本体部2は、図2に示すように、袋状に形成されており、その内面の全体にわたって防水シート13が設けられている。さらに、本体部2の内部には、一対の電極部11が設けられている。電極部11は、本体部2の長手方向の両端に配置されている。これら電極部11は、本体側電線部(電線部)14aに並列に接続されている。この本体側電線部14aの一端は電極部11に半田などにより連結されており、他端は、圧着部17を介して電源側電線部14bに接続されている。これにより、電極部11は、本体側電線部14a及び電源側電線部14bを介して、電源部4に接続されている。
また、圧着部17は、絶縁部材31によって被覆されており、この絶縁部材31から本体側電線部14aにわたって絶縁用のスミチューブ32が設けられている。
【0014】
また、電極部11は、本体部2の中に設けられた矩形状のカバー(絶縁カバー)10の中に配されている。
カバー10は、絶縁部材からなり、袋状に形成されている。このカバー10の口部には、その口部の周方向全長にわたって絶縁部材からなるチューブ15が水密に連結されている。すなわち、カバー10とチューブ15とは、接着剤などを介して所定の圧力がかけられることにより、互いに連結されている。そして、カバー10とチューブ15との間は、水密に保持されている。
チューブ15内には、ケーブル7が挿通しており、ケーブル7の外周面とチューブ15の内周面との間は、水密に保持されている。なお、チューブ15は、ケーブル7を覆う絶縁チューブとして機能するものである。
【0015】
次いで、電気治療器1の作用について説明する。
利用者が、本体部2の上に寝ながら、操作部6を操作して、電源供給装置3をオンする。すると、電源部4からの電源が電源側電線部14b及び本体側電線部14aを介して、電極部11に供給される。そして、電極部11に電磁界が発生し、この電磁界が利用者に伝達され、利用者への治療が行われる。なお、利用者が、表示部5に表示される情報を目視しながら、操作部6を操作することにより、電磁界の強弱がリアルタイムに調整され、利用者にマッチした大きさの電磁界が利用者に伝達される。
【0016】
ここで、従来では、治療中に本体部などに水がこぼれたりすると、その水が開口部などから本体部の内部に浸入し、コイルや電線部などに到達してしまうおそれがあった。
本実施形態における電気治療器1においては、本体部2などに水がこぼれたとしても、防水シート13により、その水が本体部2の内部に浸入することが規制される。
また、仮に本体部2内に水が浸入したとしても、カバー10とチューブ15とが水密に連結され、ケーブル7の外周面とチューブ15の内周面との間が水密に保持されていることから、カバー10の中に水が浸入することもない。
【0017】
以上より、本実施形態における電気治療器1によれば、本体部2内に水が浸入したとしても、水密に連結されたカバー10、チューブ15及びケーブル7が設けられていることから、その水がカバー10及びチューブ15内に浸入することを防止することができる。
また、防水シート13が設けられていることから、そもそも本体部2内への水の浸入を防止することができる。
【0018】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図3において、図1及び図2に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
【0019】
本実施形態においては、チューブ15aが、本体部2内のカバー10から、本体部2に形成された開口部2aを介して本体部2の外方にかけて延ばされている。
開口部2aの内部には、円板状の弾性部材12が設けられている。弾性部材12は、防水シート13に水密に連結されている。また、弾性部材12は、防水部材からなっており、その中央に円形開口部12aが形成されている。この円形開口部12aの径寸法は、チューブ15aの外径寸法よりも小さく形成されている。
【0020】
また、ケーブル7は、チューブ15aと、電源側電線部14bを覆う電源側被覆部18と、これらチューブ15aと電源側被覆部18とを連結する連結被覆部16と、を備えている。
チューブ15a内には、本体側電線部14aが配されている。
そして、チューブ15aは、本体部2の外方において、筒状の連結被覆部16を介して電源側被覆部18に連結されている。すなわち、チューブ15aと連結被覆部16とが、接着剤によって水密に接続され、電源側被覆部18と連結被覆部16とが、接着剤によって水密に接続されている。なお、連結被覆部16及び電源側被覆部18は、絶縁部材からなるものである。
【0021】
次に、このように構成された本実施形態における電気治療器1aの組み立て手順について説明する。
まず、電極部11と本体側電線部14aとが接続された状態で、互いに水密に連結されたカバー10及びチューブ15aを、本体部2の内部に配置する。そして、本体部2の開口部2aから本体側電線部14aとチューブ15aとの先端部を外方に配する。すなわち、弾性部材12の円形開口部12aにチューブ15aを通し、チューブ15aの先端からチューブ15aを引っ張っていく。円形開口部12aは、チューブ15aが通されることによって弾性変形して拡径し、その復元力により、円形開口部12aの縁部がチューブ15aの外面に密着する。そして、円形開口部12aの縁部は、チューブ15aが先端側に引っ張られることにより、本体部2の外方に向けて凸状に撓み、この撓んだ状態で維持される。
【0022】
それから、連結被覆部16に電源側被覆部18を通した状態で、本体側電線部14aと電源側電線部14bとを圧着によって接続する。この圧着部分が圧着部17となる。さらに、電源側被覆部18が通された連結被覆部16を本体部2側にスライドさせて、圧着部17を覆う位置に配する。そして、チューブ15aと連結被覆部16とを接着剤で水密に連結し、同様に電源側被覆部18と連結被覆部16とを接着剤で水密に連結する。
それから、ケーブル7の他端のコネクタ20を電源供給装置3に接続する。
これにより、図3に示す電気治療器1aが得られる。
【0023】
以上より、本実施形態における電気治療器1によれば、チューブ15aが本体部2の外方に延ばされていることから、本体部2内に浸入した水がカバー10内に浸入することを防止することができる。
また、弾性部材12の円形開口部12aの縁部が外方に凸のまま維持されることから、本体部2内への水の浸入を効果的に防止することができる。
また、チューブ15aと電源側被覆部18とが、連結被覆部16を介して水密に連結されていることから、チューブ15a内への水の浸入を効果的に防止することができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、チューブ15aと電源側被覆部18とを連結するとしたが、これに限ることはなく、チューブ15aをケーブルの他端まで一体的に延ばしてもよい。すなわち、チューブ15aの長さ寸法を大きくし、その他端にコネクタ20を取り付けてもよい。これにより、水密効果を向上させることができる。
また、弾性部材12及び防水シート13を設けるとしたが、これらを設けなくてもよい。弾性部材12及び防水シート13を設けなくても、カバー10及びチューブ15aによって、水の浸入を防止することができる。
【0025】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、電気式マットを電気治療器1に適用した例を示したが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、利用者に温熱効果を与える温熱マットや、温熱と治療の両機能を備えるマットであってもよい。
また、電源供給装置3を設けるとしたが、これに限ることはなく、電源部4として商用電源を利用してもよい。すなわち、ケーブル7の他端側を、コンセントに差し込むためのプラグにしてもよい。
また、カバー10とチューブ15,15aを水密に連結するとしたが、これに限ることはなく、それらカバー10とチューブ15,15aとを一体部品として一体的に形成してもよい。これにより、水密効果を向上させることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電気式マットの第1の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】電気式マットの連結の様子を側面から示す説明図である。
【図3】本発明に係る電気式マットの第2の実施形態を示す図であって、電気式マットの連結の様子を側面から示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 電気式マット(電気治療器)
2 本体部
4 電源部
10 カバー(絶縁カバー)
11 電極部
14a 本体側電線部(電線部)
14b 電源側電線部(電線部)
15,15a チューブ(絶縁チューブ)
20 コネクタ(接続部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から電力が供給される電気式マットであって、
利用者の下に敷かれる本体部と、
前記本体部の中に設けられた電極部と、
前記電極部と前記本体部の外方に配された前記電源部とを接続する電線部と、
前記本体部の中に設けられて、前記電極部を覆う絶縁カバーと、
前記電線部を覆う絶縁チューブとを備え、
前記絶縁チューブが、
前記絶縁カバーに水密に連結されていることを特徴とする電気式マット。
【請求項2】
前記絶縁チューブが、前記絶縁カバーと一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気式マット。
【請求項3】
前記電線部の端部に、前記電源部に接続するための接続部が設けられ、
前記絶縁チューブが、前記絶縁カバーと一体的に形成されて、前記接続部まで延ばされていることを特徴とする請求項1に記載の電気式マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−131516(P2009−131516A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311354(P2007−311354)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(591032518)伊藤超短波株式会社 (69)
【Fターム(参考)】