説明

電気式液体加熱供給装置及び方法

【課題】電気ヒータの水への熱伝達効率を高く得られ、貯液槽内の液体全量を均一に加熱できて液体を外部へ均一な所望温度に保って大量かつ長時間にわたり取り出すことができる電気式液体加熱供給装置を提供すること。
【解決手段】貯液槽11と、貯液槽11に備えられた電気ヒータ13とを有し、貯液槽11に供給され貯留される液体wを電気ヒータ13で加熱し外部に取り出し適宜の目的に利用する電気式液体加熱供給装置10である。貯液槽11の槽壁を貫通して設けられ内方に延びかつ内端を開いた循環液体導入管17と、貯液槽11の槽壁の循環液体導入管17の内端から十分に離れた位置で液体を取り出し循環液体導入管17の外端部より管内に帰還させる循環路15及び循環路15に介設された循環ポンプ16とを備え、電気ヒータ13の発熱部13aが循環液体導入管17内に挿入され該管内に帰還する液体を加熱する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯液槽に液体を供給し該液体を電気ヒータで加熱し、加熱した液体を外部へ取り出す電気式液体加熱供給装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大量の湯を沸かすなどの液体を加熱するための大規模な装置は、燃料のほとんどを重油や灯油、ガスに頼っている。しかし、それらの燃料は価格の変動によってコストの変動が非常に大きいほか、二酸化炭素の排出も多く環境汚染の原因になるという問題がある。そのため、重油や灯油、ガスに替わる燃料として、電気を使用した液体の加熱装置が望まれている。しかし、電気エネルギーは、一般に重油や灯油、ガスといった燃料に比べてコストが高くつく。
【0003】
そこで、貯液槽に電気ヒータを設け、該電気ヒータで貯液槽に供給する液体を加熱し、その後に外部へ取り出す構成とし、余剰の深夜電力を利用する深夜電力の通電制御手段を設け、エネルギーコストの問題を解消または軽減しようとする電気式液体加熱供給装置がいくつか提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
特許文献1には、蓄熱装置と、第1の貯湯槽と第2の貯湯槽が示されている。蓄熱装置は、深夜電力を利用する電気ヒータにより密閉空気を加熱循環しこの加熱空気の熱で第1の貯湯槽と熱交換器を循環通流する水を加熱する。第2の貯湯槽は、常用電力を利用する電気ヒータを備え、第2の貯湯槽から給湯されるボールタップを備え、第2の貯湯槽から給湯される温水をさらに電気ヒータで所望温度に加熱貯湯し給湯栓から給湯する構成である。
【0005】
特許文献2には、深夜電力を利用するヒートポンプシステムと、深夜電力を利用する電気ヒータを備えた貯湯タンクが示され、深夜電力を利用する前に貯湯タンク内を水で満杯にする。深夜時間帯の前半では外部設置の熱交換器でヒートポンプシステムの冷媒の発熱を貯湯タンクを循環する水に伝熱し、加熱した水を貯湯タンクの下部に流入させてタンク内上方へ対流により上昇させて貯湯タンク内の水を上部より徐々に温度上昇させ、深夜時間帯の後半では貯湯タンク内に貯留された温水をさらに電気ヒータで加熱し貯湯タンク内を所望温度に加熱貯湯する構成である。
【0006】
特許文献3には、昼間電力と深夜電力を切り替え利用するとともに給水温度と出湯温度との温度差に応じて電気出力を制御される電気ヒータを備えた貯湯タンクが示されている。深夜電力で加熱した貯湯した温水がなくなると、昼間電力を利用して追い焚きする構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−28964号公報
【特許文献2】特開平10−89766号公報
【特許文献3】特開平5−157352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたものは、貯湯槽に備えられる電気ヒータの熱効率が低いので、熱効率を高めることが要望されている。詳述すると、貯湯槽内の水または湯は、電気ヒータに接触して水は加熱された湯となり体積を膨張し比重を小さくして上昇する。加熱された湯が上昇し電気ヒータから離れると、側方の水が上方へ電気ヒータに接触して加熱され湯になる。このように、電気ヒータの周囲の水又は湯の移動は速度が遅く量が小さいから、電気ヒータは周囲の水だけを温めることができ、離れた位置の水を少しも加熱することができない。電気ヒータで加熱された湯は、水面に到達し水平に広がり、後から水面に到達する湯が水平に広がるとその下層に位置するので、貯湯槽の水は上層が最高温度になり下層が大きな温度勾配を有し低く温度に分布する。
【0009】
このような電気式液体加熱供給装置によれば、(1)貯湯槽内の湯全量を均一に加熱できるものではないため、上層から高温に加熱された湯の外部へ取り出し温度が要望する温度よりも高すぎる。(2)貯湯槽内の湯全量を均一に加熱できるものではなく、追い焚きを行う電気ヒータの水への熱伝達効率が悪いため、湯の外部へ取り出しを一定時間経過すると、要望する温度よりも低い温度の湯の供給を余儀なくされる。
従って、従来の電気式液体加熱供給装置は、湯の供給を均一な温度で大量に長時間にわたり必要とするシステムとしては適用できなかった。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑み案出されたもので、その目的とするところは、電気ヒータの液体への熱伝達効率を高く得られ、貯液槽内の液体全量を均一に加熱できて原液を供給しながらでも温度を下げずに一定温度に加熱された液体を外部へ大量かつ長時間にわたり取り出すことができる電気式液体加熱供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の電気式液体加熱供給装置は、貯液槽と、前記貯液槽に液体を供給する原液供給口と、発熱部が該貯液槽内に設けられ該貯液槽に貯留される前記液体を加熱する電気ヒータと、前記貯液槽内で前記電気ヒータにより加熱された加熱液体を外部へ取り出す加熱液体取出口とを備えた電気式液体加熱供給装置において、前記貯液槽から液体を取り出して循環液体とし、該循環液体を他の位置より該貯液槽内に帰還させる循環路及び該循環路に介設された循環ポンプを備え、前記循環路は、前記循環液体を前記貯液槽内に帰還させる管路部分が、該貯液槽の槽壁を貫通し該貯液槽内に延びて内端を開いた状態に設けられ循環液体導入管とされ、前記電気ヒータは、発熱部が前記循環液体導入管の内部に備えられ該循環液体導入管内を通流する前記循環液体を加熱する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電気式液体加熱供給方法は、貯液槽に液体を供給し該液体を電気ヒータにより加熱し、加熱された液体を加熱液体外部取出口より外部へ取り出し適宜の目的に利用する電気式液体加熱供給方法において、前記貯液槽の槽壁を貫通して備えられ該貯液槽内に延びて内端が開口した循環液体導入管に前記電気ヒータの発熱部を挿入し、前記貯液槽に貯留される液体を該貯液槽の一の個所より取り出し前記循環液体導入管の外端部より管内に帰還させ循環を行わせると共に、該循環液体導入管内で前記電気ヒータの発熱部に接触通流させて加熱して前記貯液槽内に帰還する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、貯液槽に原液供給口から供給された液体の原液は、電気ヒータによって加熱され循環されて何度も温められてから、加熱液体取出口から外部に取り出される。液体を加熱する仕組みは、循環液体導入管と電気ヒータと循環ポンプを備えた循環路とで構成される。すなわち、槽内の温度の低い液体を循環ポンプによって循環路に取り出し循環液体導入管に導いて循環液体導入管を通し貯液槽の奥深い内方に帰還させ、これを繰り返す循環を行わせると共に、循環液体導入管を通流し貯液槽へ帰還しようとする液体を循環液体導入管の内部に備えられた電気ヒータに乱流状態に接触させて何度も加熱させ混流(混練流)させるところにある。電気ヒータ発熱量を同一とした条件での電気ヒータの液体への伝熱量は、接触する液体の温度が低ければ低いほど熱移動が大きくなり熱伝達量が大きくなり、また電気ヒータに接触する液体が留まっているよりも流れている液体の方が熱移動が大きく熱伝達量が大きくなり、電気ヒータに接触している液体の温度が電気ヒータ温度に近いときには、熱移動が小さく熱伝達量が小さい。本発明では、循環液体導入管を貯液槽に備えて該循環液体導入管内に電気ヒータを設置すると共に、循環液体導入管内に循環液体を通流させるので、電気ヒータから水への伝熱量が大きく保たれる。すなわち、循環液体を循環液体導入管の内部に備えられた電気ヒータによって加熱させるので、循環液体導入管内を流通する循環液体は、乱流となり電気ヒータの発熱部に何度も接触し加熱されて流れ混流し接触する液体の温度が局部的に加熱されず流れ方向に垂直な断面での温度分布が絶えず平均化され、流れ方向の下流に行くにつれて電気ヒータの発熱部への加熱される接触回数が比例的に多くなり温度上昇する。電気ヒータの発熱部は、循環液体を加熱するので、循環液体への熱伝達効率が高く得られ、貯液槽の液体は全体的に次第に温度上昇していく。循環液体導入管内を流通する過程で水温の平均化を生じて貯液槽内に流れる液体は、貯液槽内においてさらに混流し循環流となり槽内全体のどの位置でも液温を平均化する。貯液槽がボンベ型形状である場合では、貯液槽の下部に備えて電気ヒータを設置すれば、循環液体導入管内を流通し加熱される液体は、槽内に流入すると槽内の液体を全体的に混流させて槽内全体の液体温度を平均化する。貯液槽が直方体形状である場合では、槽内に隔壁を備えて蛇行通路を形成し蛇行通路の両端に連通した循環路に液体を循環させると、循環液体導入管内を流通し加熱される液体は、槽内に流入すると蛇行通路を流れ何度も循環するので、混流して槽内全体の液体温度を平均化する。こうして、貯液槽内の液体全量を均一に加熱できて原液を供給しながらでも温度を下げずに一定温度に加熱された液体を外部へ大量かつ長時間にわたり取り出すことができる。
【0014】
さらに、上記課題を解決するために、本発明は、貯液槽とは分離された循環液体導入管と、該循環液体導入管に発熱部を挿入した状態に組付けた電気ヒータとを備えたヒータアセンブリを含んでいる。該ヒータアセンブリにおいて、循環液体導入管は、貯液槽の槽壁に嵌入され嵌入部を全周溶接される構成でも良いし、槽壁側と管側に一対のフランジを備えていて、フランジ間に液封パッキンを介在させて連結固定する構成でも良い。また、該ヒータアセンブリは、循環液体導入管の側と電気ヒータの側に一対のフランジを備えていて、フランジ間に液封パッキンを介在させて連結固定される構成でも良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、貯液槽の槽壁を貫通する循環液体導入管に電気ヒータを収めると共に、貯液槽内の液体を循環液体導入管に帰還させたので、貯液槽内の液体が電気ヒータの発熱部に乱流状態に接触し、電気ヒータの液体への熱伝達効率が従来の取付構造の電気ヒータに比べて頗る高く得られ、貯液槽内に循環させることができ、貯液槽内の液体全量を均一に加熱できて原液を供給しながらでも温度を下げずに一定温度に加熱された液体を外部へ大量かつ長時間にわたり取り出すことができる電気式液体加熱供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態の電気式液体加熱供給装置に係り、(a)は、全体縦断正面図である。(b)は、装置の作用を説明するための要部断面概略図である。
【図2】第2の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置の一部を断面して示す正面図である。
【図3】図2の電気式液体加熱供給装置の一部を断面して示す平面図である。
【図4】図2におけるIV−IV矢視図である。
【図5】図2の電気式液体加熱供給装置の電気ヒータを引き抜いた状態を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置の一部を断面して示す正面図である。
【図7】図6におけるVII−VII矢視図である。
【図8】図6の電気式液体加熱供給装置の一部を断面して示す平面図である。
【図9】図8の状態から電気ヒータを引き抜いた状態を示す図である。
【図10】第4の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置の一部を断面して示す正面図である。
【図11】第5の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置の一部を断面して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置及び方法について図面を参照して説明する。
【0018】
〔基本的構成〕
以下に説明する複数の実施形態の電気式液体加熱供給装置及び方法に共通する基本的構成について図1を参照して説明する。図1(a)に示すように、電気式液体加熱供給装置10は、貯液槽11を備え、該貯液槽11に、原液供給口12と、電気ヒータ13と、加熱液体取出口14と、循環路15と、循環ポンプ16と、循環液体導入管17とが付設されている。なお、本願では、貯液槽11と分離された電気ヒータ13と循環液体導入管17との組み合わせた機能部品組立体をヒータアセンブリという。
【0019】
貯液槽11は、ボンベ形状であるときは貯留する液体の循環通路となる蛇行通路を備える必要はなく、貯液槽11が直方体形状であり蛇行通路が形成されるときは必要に応じて蛇行通路が形成されるものとする。
【0020】
原液供給口12は、貯液槽11に貯留される原液L1を供給する入り口である。原液供給口12にボールタップ12aを設けて原液L1の供給を行うのが好ましいが、液面管理を他の手段で行っても良い。加熱液体取出口14は、貯液槽11内で電気ヒータ13により加熱された加熱液体L2を外部へ取り出して利用するための出口である。原液供給口12と加熱液体取出口14は、図1(a)では貯液槽11に直接備えているが、例えば、循環路15に対して備えても良い。
【0021】
電気ヒータ13は、発熱部13aが循環液体導入管17に備えられ貯液槽11に貯留される循環液体を加熱する手段である。
【0022】
循環路15は、循環液体を取り込む循環液体取出口15dを循環液体導入管17の内端開口から離れた位置で貯液槽11に連通され、他端開口を循環液体導入管17の外端部に連通されている。循環ポンプ16は、貯液槽11内の液体wを循環液体取出口15dより取り出し循環路15内を通流させ、循環液体導入管17の外端部より管内に流入させ、貯液槽11内を循環させる役目をはたす。循環液体取出口15dは、図1に示すようにボンベ形状の貯液槽11であるときは、蛇行通路を形成する必要が無く、貯液槽11の液体温度が低い適宜位置に設ければ足り、また図2に示すように直方体形状の貯液槽11Aであるときは蛇行通路を形成する必要があり仕切り板22を備えて蛇行通路が形成され、このときは、蛇行通路の末端付近に設けられるのが好ましい。循環路15には、循環量調整用仕切弁15bが設けられ、弁の開度調整によって流量を調節できるようになっている。
【0023】
循環液体導入管17は、電気ヒータ13の発熱部13aを収容し循環液体を発熱部13aに接触させて発熱部13aに沿って流れさせる流路形成体である。電気ヒータ13は、発熱部13aが循環液体導入管17の内部に備えられ循環液体導入管17内を通流する循環液体を加熱する(図1(b)参照)。循環液体導入管17は、槽壁を貫通し槽内に深く延びて内端を開いた状態に設けられ内端筒部17bの管径が先に行くに連れて小径になっていて、循環液体の流速を大きくして貯液槽11に混流状態を起こして流入させるようになっているのが好ましい。循環液体導入管17は、貯液槽11に開口を設けて該開口より挿入され槽壁に溶接されているが、フランジを備えて槽壁に備えるフランジにボルト締めにより固定される構成でも良い。
【0024】
電気式液体加熱供給装置10が取り扱うことができる液体wは水道水に限定されない。電気式液体加熱供給装置10は、飲料用や入浴用の給湯装置としての利用だけでなく、あるいは水道水を利用した家庭用風呂用の給湯装置、温泉水・鉱泉水を利用した大規模浴場用の給湯装置として用いることができるものである。また、ハウス栽培や乗用車における中水を利用した温水暖房システム用の給湯装置に用いることができるが、この場合には、中水の熱を利用した後は、給水源に帰還させるようにする。さらに、油などの他の液体を循環加熱し利用するシステムに用いることができる。
【0025】
循環ポンプ16及び電気ヒータ13に供給する電力はコストが安い深夜電力を利用するのが好ましい。図1(a)に示す深夜電力利用手段は、電力源30と電力切替手段31とバッテリ32とを備えてなる。電力切替手段31は、電力コストが割安な深夜時間帯に電力源30から深夜電力を入力し、電気ヒータ13と循環ポンプ16と加熱液体取出ポンプ14bとバッテリ32に対して出力する。電気式液体加熱供給装置10は、電気ヒータ13と循環ポンプ16に割安な深夜電力が供給され深夜時間帯に貯液槽11内の液体が設定温度に加熱される。貯液槽11内の液体が設定温度に加熱されると、これを検知する温度検知装置11dの検知信号に基づいて電力切替手段31が電気ヒータ13と循環ポンプ16と加熱液体取出ポンプ14bへの給電を停止するようになっている。もしも、深夜営業の温泉センターのように、深夜時間帯に加熱液体取出口14から加熱液体L2が取り出され、ボールタップ12aから原液L1が供給されるときは、電気ヒータ13と循環ポンプ16と加熱液体取出ポンプ14bへの給電は停止しない。他方、電力切替手段31は、深夜時間帯に、電気ヒータ13と循環ポンプ16への給電とは別にバッテリ32に蓄電するようになっている。電力切替手段31は、電力コストが割安な深夜時間帯が過ぎると、バッテリ32への給電を停止し、バッテリ32の蓄電力を電気ヒータ13と循環ポンプ16と加熱液体取出ポンプ14bへ給電するように回路接続を切り替えるようになっている。さらに、電力切替手段31は、バッテリ32の蓄電力がなくなった時には、常用電力を電気ヒータ13と循環ポンプ16と加熱液体取出ポンプ14bへ給電するように回路接続を切り替えるようになっている。なお、原液L1の供給が停止されかつ加熱液体L2の取り出しが行われず、貯液槽11の液体が設定温度まで温度上昇したときは、電力切替手段31から電気ヒータ13と循環ポンプ16と加熱液体取出ポンプ14bへの給電が行われない。
【0026】
〔作用・効果〕
初めに、原液供給口12から原液L1を貯液槽11に流入し液面管理レベルまで貯留する。次いで、循環ポンプ16及び電気ヒータ13に深夜電力を通電し、貯液槽11内の原液L1を設定温度まで加熱する。循環ポンプ16が稼働すると、槽内の液体wは、循環液体取出口15dより循環路15、循環液体導入管17を通流し貯液槽11の奥深い内方に帰還する。循環液体導入管17を通流する液体は、電気ヒータ13に乱流状態に接触させて何度も加熱され混流(混練流)となり、電気ヒータ13から液体へ高い熱伝達効率での伝熱が行われ、加熱される。こうして、循環液体導入管17を通流する液体は、乱流となり電気ヒータ13に接触を繰り返し加熱され混流し流れ方向に垂直な断面での温度分布が絶えず平均化され、流れ方向の下流に行くにつれて電気ヒータ13の発熱部13aへの接触回数・時間が比例的に多くなり温度上昇する。貯液槽11の液体は、再び循環流となり電気ヒータ13により加熱を繰り返す。これにより、槽内全体のどの位置でも液温を平均化する貯液槽11の液体は全体的に次第に設定温度まで温度上昇していく。貯液槽11の液体が設定温度まで温度上昇してからは、加熱液体取出口14より加熱液体L2を取り出して使用でき、該加熱液体L2の取り出しが長時間連続しても、原液供給口12から供給される原液L1が加熱液体L2として補充され、加熱液体L2が温度変化なく生成され設定温度に保たれる。
【0027】
この構成によれば、貯液槽11に原液が満杯に貯留され電気ヒータ13により設定温度に加熱されてから加熱液体取出弁14cを開放し加熱液体取出ポンプ14bを稼働し、加熱液体L2を取り出す。加熱液体L2の取り出しを長時間行っても、設定温度、例えば43℃に加熱された加熱液体L2の取り出しを行うことができ、風呂用、温泉用に利用できる。なお、電気ヒータ13の出力を調整することで、設定温度が100℃となるように調整することもできる。さらに、貯液槽11内の液体全量を均一に加熱できて原液を供給しながらでも温度を下げずに一定温度に加熱された液体を外部へ大量かつ長時間にわたり取り出すことができる。
【0028】
この構成によれば、貯液槽内の液体全量を均一に加熱できて液体を外部へ均一な所望温度に保って大量かつ長時間にわたり取り出すことができ、電気ヒータから液体への熱伝達効率が高いので、電気ヒータ13の液体への伝熱効率が高く得られるので、コストが安い深夜電力を用いると、石油やガスに比べても熱量あたりのコストを同等に下げることができ、石油やガスのコストが高騰したときには、本発明の方が安くなる。また上記構成によれば、直管状の循環液体導入管17と棒状の電気ヒータ13を有することで、貯液槽11内の液体に循環流と混流とを与えて液体の全量を均一な温度とすることができると共に、高い熱伝達効率が得られるから、貯液槽11内の液体の加熱速度が速くでき、しかも、電気ヒータ13の出力と循環ポンプ16の出力とを調整することで、貯液槽11内の液体の設定加熱温度を調節することが極めて容易である。さらに本構成によれば、装置の構造が難しくなく、電気ヒータ13の発熱部13aへのスケールの堆積が長期間にわたり少なく保たれ、電気ヒータ13を採用するのでメンテナンスもやり易い。
【0029】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置10を示す。電気式液体加熱供給装置10は、貯液槽11が、円筒胴部の上下に鏡板を溶接してなり、架台19上に設置されている。なお、貯液槽11の外面に断熱被覆体を被覆するのが良い。貯液槽11には、1本の循環液体導入管17が、貯液槽11の側壁の低い位置に開けられた孔より内方へ水平に深く延びて挿入され側壁貫通部を溶接されている。循環液体導入管17は、電気ヒータ13の電極部13bを収容する直管部17aと、斜め上向きに曲がりかつ先端に向かって小径となるテーパ筒状の内端筒部17bと、直管部17aの外端に備えられたフランジ(ヒータ支持部)17cと、直管部17aの外端部に備えられた循環液体導入口17dとを備えてなる。循環液体導入管17の内端筒部17bは、閉塞手段18を設置しやすいように、また液体w1を上方へ流すように折れ曲がっている。なお、循環液体導入管17は、貯液槽11の側壁に溶接ではなくボルト締めで取り付けられる構成でも良い。
【0030】
貯液槽11の側壁の循環液体導入管17の内端筒部17bに対向する部分に閉塞手段18を備えている。閉塞手段18は、円錐面を有する弁体18aと、弁体18aを支持し雄ねじを有するシャフト18bと、シャフト18bの外端に固定された手回しハンドル18cと、シャフト18bを嵌挿状態に収容しかつシャフト18bの雄ねじに螺合する雌ねじを有し液漏れ防止の軸封手段を備えた支持筒部18dとを有してなる。閉塞手段18は、電気ヒータ13の引き抜き時には、手回しハンドル18cを回し、弁体18aを循環液体導入管17の内端筒部17bに着座させ閉弁状態とし、また循環量調整用仕切弁15bを閉弁することで、電気ヒータ13の引き抜きを行っても、貯液槽11の液体が循環液体導入管17を通して外部へ流出することを防止できる。すなわち、貯液槽11の液体の全量を抜かなくても、電気ヒータ13を引き抜いて発熱部13aに付着したスケールを拭い取ることができ、高い熱伝達効率を保つことができる。このため、温泉水の加熱の場合には、循環液体導入管17内の掃除と、電気ヒータ13の発熱部13aに付着したスケールの拭い取りを短時間に行える利便性がある。なお、本発明では、電気ヒータ13の発熱部13aに乱流の液体が接触して流れるので、従来の取付構造に比して頗る、発熱部13aにスケールが付着しにくいものとなっている。
【0031】
電気ヒータ13は、棒状の発熱部13aと、フランジ(電気ヒータ取付部)13cと、電極部13bとを備えてなる。電気ヒータ13は、発熱部13aが循環液体導入管17の外端開口より挿入され、フランジ13cがフランジ17cにボルト締めされて発熱部13aの中心が直管部17aに中心を一致された状態に収容され、電極部13bに深夜電力利用手段である電力源30と電力切替手段31とバッテリ32とが電気的に接続されている。循環液体導入管17と電気ヒータ13は液体が漏れないように備えられる。
【0032】
この実施形態では、循環液体取出口15dは貯液槽11の下面中央に備えられ貯液槽11内の最も温度が低い液体を取り出せるようになっている。
【0033】
貯液槽11には、液体の温度を検知して電気ヒータ13を停止させ異常を防止するための温度検知装置11d、配管の各所から液体を抜くためのドレンパイプ20a〜20cと開閉装置であるドレンバルブ21a、21b、事故、その他何らかの原因で液面レベルが上がり過ぎた場合に起こりうる貯液槽11の圧力の上昇を防ぐための溢流口20を備えている。ドレンパイプ20a〜20cを流れる液体は、排水枡21cに流れ込むようになっている。なお、液体が油等である場合には流せないので、回収タンク(不図示)に回収されるようにする。
【0034】
この構成では、電気ヒータ13を引き抜いてメンテナンスや交換を行うことができる。すなわち、閉塞手段18で循環液体導入管17の内端筒部17bを閉塞し、ドレンバルブ21a、21bを開放して循環液体導入管17、循環路15、ドレンパイプ20b、20c内の液体を排水枡21cに流し、引き抜き可能な電気ヒータ13を取り外すことができる。なお、この実施形態でも、電気ヒータ13に後述する放熱フィンを備えても良い。
【0035】
原液供給口12には、ボールタップ12aが備えられている。ボールタップ12aは液面が原液供給口12と同じか上になった際は原液供給口12を閉塞し、液面が下になった際には原液供給口12を開けることで、原液自動給液機能を持つ。また、液面が原液供給口12より下になった際は、その液面の下降、すなわちボールタップ12aの傾きに応じて原液の供給流量が増えるので、液体が足りない場合は多く原液L1を供給する、液面レベル管理機能ももつ。ボールタップ12aによる原液L1の最大供給量は、後述する加熱液体取出ポンプ14bによる最大の送液の量より多目になるように設定されており、液体が減りすぎることによる空焚きを防ぐようになっている。
【0036】
加熱液体取出口14は、貯液槽11の上部近くに設置されている。加熱液体取出口14に加熱液体取出管14aが接続され、加熱液体取出管14aに加熱液体取出ポンプ14bと加熱液体取出弁14cが配置される。
【0037】
貯液槽11に原液が満杯に貯留され電気ヒータ13により設定温度に加熱されてから加熱液体取出弁14cを開放し加熱液体取出ポンプ14bを稼働し、加熱液体L2を取り出すものとする。加熱液体L2の取り出しを長時間行っても、設定温度、例えば43℃〜45℃に加熱された加熱液体(水)L2を取り出してお風呂又は温泉湯として利用できる。貯液槽11内の下層部には温度が低い液体が集まり、循環液体取出口15dより循環路15に取り込まれ循環流となり、循環液体導入管17内へ導かれる。循環液体導入管17内を通流する液体は、電気ヒータ13により加熱され、循環液体導入管17の内端筒部17bより貯液槽11内に流入し上昇流f1となる。
こうして、貯液槽11内の液体の全量が循環して上下方向の温度分布が大きく変わらない設定温度に加熱される。
【0038】
この実施形態によれば、電気ヒータ13を水平方向に引き抜き可能であるため電気ヒータ13に付着する湯垢の除去や電気ヒータ13の交換等のメンテナンスが可能である。電気ヒータ13の引き抜き時に内端筒部17bの開口を閉塞することで、電気ヒータ13を引き抜くために循環液体導入管17の外端部を開口しても液体が漏れることなく、液量にかかわらず電気ヒータ13の引き抜きによるメンテナンスが可能となる。貯液槽11の側方から電気ヒータ13の引き抜きが可能なため、貯液槽11の上方にメンテナンスのためのスペースを必要とせず、より狭いスペースに設置できる。
【0039】
〔第2の実施形態〕
図2〜図5は本発明の第2の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置10Aを示す。なお、基本構成の説明を省略し、また第1の実施形態と同一の構成部分は同符号を付して説明を省略する。
【0040】
貯液槽11Aは、鋼板あるいはステンレス鋼板等を用いて直方体形状に溶接組立してなる貯液槽本体11aと、該貯液槽本体11aの外側を被覆する断熱被覆体11bとからなる。貯液槽本体11a内は、垂直に立てられた複数の仕切り板22により平面視において蛇行する蛇行経路が形成され、循環液体導入管17Aから貯液槽本体11a内に流入する循環液体が蛇行流f2になる。
【0041】
循環液体取出口15dは、蛇行経路の末端付近の槽壁部分の下部に設けられている。この位置に循環液体取出口15dを備えると、貯液槽本体11a内の液体が万遍なく循環する蛇行流を形成し易くなると共に、温度の低い液体を循環路15に取り込むことができる。この実施形態では、循環量調整用仕切弁15bと循環ポンプ16の間には、ゴミや湯垢などを除去するフィルタ15cを備えている。循環路15は、横ヘッダ管15aに連通接続され、横ヘッダ管15aに備える4つの枝管が循環液体導入管17Aの循環液体導入口17dに連通接続されている(図3参照)。
【0042】
特にこの実施形態では、循環液体導入管17Aは、貯液槽11Aの天井壁11cを貫通し管内端が槽内の深い位置となるように垂設され(図2、図4参照)、電気ヒータ13Aは、貯液槽11Aの上方に引き抜き可能となるように循環液体導入管17Aのフランジ17cに取外し可能に固定されている(図5参照)。この実施形態では、複数組(図示例は4組)の循環液体導入管17Aと電気ヒータ13Aを備え、大きな流量の加熱液体を生成できる。循環液体導入管17Aが天井壁11cより垂設されているので、電気ヒータ13Aを垂直方向に引き抜くことが可能である(図5参照)。循環液体導入管17Aを貯液槽11Aの天井壁11cより垂設し、電気ヒータ13Aを垂直方向に引き抜く構成であるので、貯液槽11A内の加熱液体の全量を抜かないで電気ヒータ13Aを引き抜いても循環液体導入管17Aから貯液槽11A内の加熱液体が少しもこぼれ出ないので、メンテナンスを短時間で行える。特に、加熱液が廃棄できない油等の液体であるときに利便性が高い。さらに、この実施形態では、電気ヒータ13Aを循環液体導入管17Aの外端開口より挿入できるので、電気ヒータ13Aの発熱部13aに放熱フィン13dを備え、熱伝達効率を高めた構成とされている。なお、放熱フィン13dは備えてなくても良い。
【0043】
循環液体導入管17Aの内端筒部17bは、槽内隅面の近傍に位置しかつ該槽内隅面に備えた乱流板23に対抗して備えられている。該乱流板23は、循環液体導入管17A内を通流し内端筒部17bから槽内に流入する液体を多方向に向きを変更させてかき混ぜる役目を果たす(図2参照)。
【0044】
〔第3の実施形態〕
図6〜図9は第3の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置10Bを示す。なお、基本構成の説明を省略し、また第1及び第2の実施形態と同一の構成部分は同符号を付して説明を省略する。
【0045】
特にこの実施形態では、循環液体導入管17Bは、貯液槽11Bの側壁11eを貫通し水平に延びて管内端が槽壁対向面に近い位置となるように設けられ(図6、図7参照)、電気ヒータ13Bは、発熱部13aを循環液体導入管17Bの外端開口より収容され、フランジ13cを循環液体導入管17Bの外端部のフランジ17cに取外し可能に固定されている(図7参照)。この実施形態においても、第2の実施形態と同様に、複数組(図示例は4組)の循環液体導入管17Bと電気ヒータ13Bを備え、大きな流量の加熱液体を生成できる構成とされている。循環路15は、縦ヘッダ管15eに連通接続され、縦ヘッダ管15eに備える4つの枝管が循環液体導入管17Bの循環液体導入口17dに連通接続されている(図6、図8参照)。そして、この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、貯液槽11Bの側壁11fには循環液体導入管17Bの内端筒部17bに対向する位置に閉塞手段18を備えている。循環液体導入管17Bが側壁11eを貫通し水平に設けられているので、フランジ13cとフランジ17cの連結を解いて、電気ヒータ13Bを貯液槽11Bの側方へ水平に引き抜く構成である(図9参照)。第1の実施形態と同様に、側壁11fに備えた閉塞手段18で循環液体導入管17Bの内端筒部17bを閉塞し、循環量調整用仕切弁15bを閉弁し、ドレンバルブ21a、21bを開放して循環液体導入管17B内の液体を流せば電気ヒータ13Bを取り外すことができる。
【0046】
このように、循環液体導入管17Bを水平に設ける場合も、貯液槽11B内の加熱液体の全量を抜かないで電気ヒータ13Bを引き抜いても循環液体導入管17Bから貯液槽11B内の加熱液体がこぼれ出ないので、メンテナンスを短時間で行える。
なお、この実施形態は、循環液体導入管17Bを平面視したときに上下に重なるように水平に複数段に備えたが、平面視したときに並列するように備えても良い。
【0047】
〔第4の実施形態〕
図10は本発明の第4の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置10Cを示す。なお、基本構成の説明を省略する。この実施形態では、以下の点を除き、貯液槽11Cが第3の実施形態の貯液槽11Bと略同一に構成されている。
【0048】
加熱液体取出口14に加熱液体取出管14aが接続され、加熱液体取出管14aの中途に加熱液体取出弁14cと加熱液体取出フィルタ14dと加熱液体取出ポンプ14bとが順に配設されている。そして、加熱液体取出管14aの加熱液体取出弁14cよりも上流側の中途に循環路15の循環液体取出口15dが分岐接続されている。すなわち、加熱液体取出管14aが循環液体取出口15dを兼ねている。この実施形態では、加熱液体取出弁14cと循環量調整用仕切弁15bとの相対的な開度調整を行って、循環流の流量と加熱流体の取り出し量を決める。
【0049】
〔第5の実施形態〕
図11は第5の実施形態に係る電気式液体加熱供給装置10Dを示す。なお、基本構成の説明を省略し、また第1ないし第4の実施形態と同一の構成部分は同符号を付して説明を省略する。
【0050】
この実施形態では、ボンベ形の貯液槽11Dに循環液体導入管17Dが水平に備えられ、該循環液体導入管17Dの内部に電気ヒータ13Dを取外し不能に備えたものである。
【0051】
〔その他の実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態が技術的範囲に含まれるものである。
【0052】
例えば、貯液槽の形状は、四角、長方形などの角型または円柱、楕円などの円形、円錐、三角形、台形などであっても良い。
【0053】
また、貯液槽への原液は、ボールタップによる供給でなく、電磁弁を介して循環路15の中途に給液してもよい。この場合は、フロートスイッチを設置して、上限スイッチONのときは電磁弁を閉弁し、下限スイッチONのときは電磁弁を開弁するように設ける。
【符号の説明】
【0054】
10、10A、10B、10C、10D 電気式液体加熱供給装置
11、11A、11B、11C、11D 貯液槽
11a 貯液槽本体
11b 断熱被覆体
11c 天井壁
11d 温度検知装置
11e、11f 側壁
12 原液供給口
L1 原液
L2 加熱液体
12a ボールタップ
13、13A、13B、13D 電気ヒータ
13a 発熱部
13b 電極部
13c フランジ(ヒータ取付部)
13d 放熱フィン
14 加熱液体取出口
14a 加熱液体取出管
14b 加熱液体取出ポンプ
14c 加熱液体取出弁
14d 加熱液体取出フィルタ
15 循環路
15a 縦ヘッダ管
15b 仕切弁
15c フィルタ
15d 循環液体取出口
15e 横ヘッダ管
16 循環ポンプ
17、17A、17B、17C、17D 循環液体導入管
17a 直管部
17b 内端筒部
17c フランジ(ヒータ支持部)
17d 循環液体導入口
18 閉塞手段
18a 弁体
18b シャフト
18c 手回しハンドル
18d 支持筒部
19 架台
20 溢流口
20a、20b、20c ドレンパイプ
21a、21b ドレンバルブ
21c 排水枡
22 仕切り板
22a 液流ストッパ
23 乱流板
30 電力源
31 電力切替手段
32 バッテリ
w、w1 液体
f1 上昇流
f2 蛇行流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯液槽と、前記貯液槽に備えられた電気ヒータとを有し、前記貯液槽に供給され貯留される液体を前記電気ヒータで加熱し外部に取り出し適宜の目的に利用する電気式液体加熱供給装置において、
前記貯液槽の槽壁を貫通して設けられ内方に延びかつ内端を開いた循環液体導入管と、
前記貯液槽の槽壁の前記循環液体導入管の内端から十分に離れた位置で前記液体を取り出し前記循環液体導入管の外端部より管内に帰還させる循環路及び該循環路に介設された循環ポンプとを備え、
前記電気ヒータの発熱部が前記循環液体導入管内に挿入され該管内に帰還する前記液体を加熱する構成である、
ことを特徴とする電気式液体加熱供給装置。
【請求項2】
前記電気ヒータの発熱部が棒状であり直管状に設けられた前記循環液体導入管の外端開口部より管内に挿入され該外端開口部に取外し可能に固定された、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項3】
前記循環液体導入管と、該循環液体導入管内に加熱部が収容される前記電気ヒータとが、単数組又は複数組備えられた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項4】
前記循環液体導入管から前記電気ヒータを引き抜いて取外す時に前記貯液槽内の液体が前記循環液体導入管内を通流し該循環液体導入管の外端開口部から外部への流出が不可であるように、前記循環液体導入管及び前記電気ヒータが備えられている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項5】
前記循環液体導入管が前記貯液槽の天井壁を貫通して垂設されると共に、前記電気ヒータが前記貯液槽の上方に引き抜き可能となるように前記循環水導入管の外端部に取外し可能に固定されていることにより、前記貯液槽内の液体の外部への流出が不可である構成とされている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項6】
前記循環液体導入管が前記貯液槽の側壁を貫通して内方へ延びて設けられると共に、前記電気ヒータの引き抜き時に内端を閉塞する適宜の閉塞手段を有し、かつ前記電気ヒータが前記貯液槽の側方に引き抜き可能となるように前記循環液体導入管の外端部に取外し可能に固定されていることにより、前記貯液槽内の液体の外部への流出が不可である構成とされている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項7】
前記貯液槽が概略直方体に形成され、かつ内部に備えられる複数の仕切り板壁により平面視において蛇行する蛇行流路を備えており、該蛇行流路の一端に前記電気ヒータが備えられている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項8】
前記貯液槽の槽壁の蛇行流路の他端ないし他端寄りの適宜位置に前記循環路の液体取出口が備えられている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項9】
前記貯液槽の槽壁の蛇行流路の他端ないし他端寄りの適宜位置に加熱液体外部取出口が備えられている、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項10】
前記貯液槽への液体の供給及び液面レベルの管理がボールタップにより行われる構成である、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項11】
電力が割安な深夜電力を蓄電し電力が割安な深夜時間帯が過ぎた時に前記電気ヒータ及び前記循環ポンプに電力供給するバッテリを備えた構成である、
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項12】
前記電気ヒータ及び前記循環ポンプに電力が割安な深夜時間帯に深夜電力の供給に切り替え、深夜時間帯が過ぎた時は前記バッテリからの電力に切り替える電力切替手段を備えた構成である、
ことを特徴とする請求項11に記載の電気式液体加熱供給装置。
【請求項13】
貯液槽に液体を供給し該液体を電気ヒータにより加熱し、加熱された液体を加熱液体外部取出口より外部へ取り出し適宜の目的に利用する電気式液体加熱供給方法において、
前記貯液槽の槽壁を貫通して備えられ該貯液槽内に延びて内端が開口した循環液体導入管に前記電気ヒータの発熱部を挿入し、
前記貯液槽に貯留される液体を該貯液槽の一の個所より取り出し前記循環液体導入管の外端部より管内に帰還させ循環を行わせると共に、該循環液体導入管内で前記電気ヒータの発熱部に接触通流させて加熱して前記貯液槽内に帰還する、
ことを特徴とする電気式液体加熱供給方法。
【請求項14】
循環液体導入管と、電気ヒータと有してなり、
前記循環液体導入管は、前記電気ヒータの電極部を収容する直管部と、該直管部の外端に備えられたヒータ支持部と、前記直管部の外端部に備えられた循環液体導入口とを備え、前記直管部が、請求項1〜12のいずれか1に記載の電気式液体加熱供給装置を構成するための貯液槽への組付時に該貯液槽の槽壁を貫通し大部分を槽内に深く延びた状態に保って貫通部を溶接により又はフランジを介して固定される構成であり、
前記電気ヒータは、前記直管部に収容される棒状の加熱部と、該加熱部の基端に備えられる電極部と、前記加熱部の基端部の前記電極部よりも該加熱部寄りに備えられ前記ヒータ支持部に連結固定される電気ヒータ取付部と、を備えた、
ことを特徴とするヒータアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−175207(P2010−175207A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20914(P2009−20914)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(593228287)
【出願人】(596018687)
【出願人】(505249045)株式会社シンプル東京 (3)
【Fターム(参考)】