電気掃除機
【課題】使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】電動送風機と集塵部とを有する掃除機本体と、吸込具と、延長管と、ホースと、吸込具に設けられており、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、温度検出手段により検出された表面温度の変化に基づいて被清掃面の種類を識別する制御部とを有する電気掃除機。
【解決手段】電動送風機と集塵部とを有する掃除機本体と、吸込具と、延長管と、ホースと、吸込具に設けられており、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、温度検出手段により検出された表面温度の変化に基づいて被清掃面の種類を識別する制御部とを有する電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特に、被清掃面の種類を識別し、電動送風機の入力を制御する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機においては、被清掃面の種類を識別し、被清掃面に応じて電動送風機の入力を変化させる構成を有する電気掃除機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の電気掃除機としては、例えば、図11に示す構成を有する電気掃除機が提案されている。
【0004】
図11に示すように、従来の電気掃除機は、塵埃を吸引するファンモータ202を有する掃除機本体201と、吸い込み具203と、床面を識別する床面識別手段204と、床面識別手段204の出力に応じてファンモータ202への供給電力を制御する制御手段205と、制御手段5の制御内容に応じてファンモータ202を駆動する駆動手段206とを有し、床面識別手段204はファンモータ202の排気風量を検知する排気風量検知手段204a、ファンモータ202の電流値の変化量を検知する電流変化検知手段204b、ファンモータ202の電力量変化を検知する電力量変化検知手段204c、または、ファンモータ202の回転数変化量を検知する回転変化検知手段204dで構成されている。
【0005】
そして、従来の電気掃除機は、床面識別を排気風量検知手段204a、電流変化検知手段204b、電力量変化検知手段204c、または、回転変化検知手段204dの検知結果で行うように構成されており、床面識別手段204が識別した床面に応じてファンモータ202への供給電力を制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−224544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電気掃除機においては、無駄なエネルギーの消費を十分に抑えるという観点からは未だ改善の余地があった。
【0008】
すなわち、上記従来の電気掃除機においては、床面検出手段により床面の識別はできるものの、使用者が同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかまでは判断できなかった。そのため、床面が綺麗になっていることは使用者の目視による感覚でしか判断できず、使用者によっては、同じ場所を必要以上に掃除し続けてしまい、その結果、掃除時間が長くなり、無駄な電力を消費してしまう場合があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の有する課題を解決するために本発明は、吸引風を発生させる電動送風機と、電動送風機よりも上流側に配置されており、塵埃を捕集する集塵部とを有する掃除機本体と、下面に開口部が設けられており、被清掃面から塵埃を吸引する吸込具と、一端が吸込具に接続される延長管と、一端が延長管に接続されており、他端が掃除機本体に接続されるホースと、吸込具に設けられており、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、温度検出手段により検出された表面温度の変化に基づいて被清掃面の種類を識別する制御部と、を有する電気掃除機を提供する。
【0011】
一般的に、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除した場合、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱によって被清掃面の表面温度が上昇し、温度検出手段によって検出される被清掃面の表面温度も高くなる。また、使用者が被清掃面上の違う場所を新たに掃除した場合、温度検出手段によって検出される被清掃面の表面温度も低くなる。さらに、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱によって被清掃面の表面温度が上昇する温度変化は、被清掃面の材質(木床、畳、絨毯等)によって異なる。
【0012】
そのため、上述のように、本発明の電気掃除機は、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を温度検知部によって検出し、この温度検知部によって検出された表面温度の変化に基づいて制御部が被清掃面の種類を識別するように構成されている。
【0013】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気掃除機によれば、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電気掃除機の実施の形態1を示す外観斜視図
【図2】本発明の電気掃除機の実施の形態1における吸込具の下面図
【図3】本発明の電気掃除機の実施の形態1における制御ブロック図
【図4】本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの側断面図
【図5】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの動作時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の吸込具と被清掃面との密着度のグラフ、(c)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の回転ブラシと被清掃面との摺動による被清掃面の表面温度のグラフ、(d)本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ
【図6】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の被清掃面と吸込具との密着度のグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ
【図7】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ被清掃面で掃除場所を移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除場所を異なる被清掃面に移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ
【図8】本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ場所を掃除し続けた時の時間と塵埃検出量とのグラフ
【図9】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1におけるダニの繁殖数と室内温度とのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における電動送風機の入力と絨毯の深部吸込みの塵埃量とのグラフ、(c)本発明の電気掃除機の実施の形態1における絨毯での電動送風機の入力制御テーブル図
【図10】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間とブラシ毛の長さとのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における摩耗したブラシ毛での掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、(c)本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間と被清掃面の表面温度の温度上昇率との関係図
【図11】(a)従来の電気掃除機の全体斜視図、(b)従来の電気掃除機のブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、吸引風を発生させる電動送風機と、電動送風機よりも上流側に配置されており、塵埃を捕集する集塵部とを有する掃除機本体と、下面に開口部が設けられており、被清掃面から塵埃を吸引する吸込具と、一端が吸込具に接続される延長管と、一端が延長管に接続されており、他端が掃除機本体に接続されるホースと、吸込具に設けられており、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、温度検出手段により検出された表面温度の変化に基づいて被清掃面の種類を識別する制御部と、を有する電気掃除機としたものである。
【0017】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することができる。
【0018】
第2の発明は、特に第1の発明において、温度検知部は、予め設定した開始時間から終了時間まで被清掃面の表面温度を検出する構成としたものである。
【0019】
これにより、上述した第1の発明と同様に、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することができる。
【0020】
第3の発明は、特に第1及び第2の発明において、制御部は、温度検知部によって検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、電動送風機の入力を制御する構成としたものである。
【0021】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が掃除している被清掃面に適した電動送風機の入力に制御することができるので、無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0022】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明において、集塵部よりも上流側には、吸込具から吸引された塵埃の量を検知する塵埃検出部が設けられている構成をしたものである。
【0023】
これにより、使用者が掃除している被清掃面上の塵埃の有無を検出することができ、使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0024】
第5の発明は、特に第4の発明において、制御部は、温度検知部によって検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、塵埃検出部により検出される塵埃の量と被清掃面の種類とに基づいて、電動送風機の入力を制御する構成をしたものである。
【0025】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができるとともに、被清掃面上の塵埃量も検出することができ、使用者が掃除している被清掃面の種類及び被清掃面上の塵埃量に適した電動送風機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0026】
第6の発明は、特に第1〜第5の発明において、吸込具には、使用者に掃除に関する情報を報知する報知手段が設けられている構成をしたものである。
【0027】
これにより、使用者に掃除に関する情報を報知することができ、効率のよい掃除が行える電気掃除機を提供することができる。
【0028】
第7の発明は、特に第6の発明において、制御部は、塵埃検出部により検出される塵埃の量が、予め設定された基準時間以上、基準値以下で、かつ、温度検知部により検出される表面温度が上昇している際に、報知手段への出力を行う構成としたものである。
【0029】
これにより、使用者が、同じ場所の掃除を行い、被清掃面が十分綺麗になっているにもかかわらず、同じ場所の掃除を続けていることを検出できるので、使用者に次の場所の掃除に移ってもらえるように報知をして、少しでも無駄な電力を抑える効率の良い掃除を促がせる使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0030】
第8の発明は、特に第1〜第7の発明において、制御部は、被清掃面の種類が絨毯であると識別し、かつ、温度検知部が検出した表面温度が所定温度である場合には、電動送風機の入力を増加させる構成としたものである。
【0031】
これにより、ダニが生息しやすい絨毯においてダニの快適温度を検出した場合、電動送風機の入力を上げて、効率良くダニの除去を行える使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0032】
第9の発明は、特に第1〜第8の発明において、制御部には、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力毎にまとめた第1データが格納されており、制御部は、温度検知部によって検出される被清掃面の表面温度の変化と第1データとに基づいて被清掃面の種類を識別する構成をしたものである。
【0033】
これにより、さらに精度良く被清掃面を識別することでき、使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0034】
第10の発明は、特に第9の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシが設けられており、制御部には、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力と回転ブラシの使用時間とを固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力と回転ブラシの使用年数との組み合わせ毎にまとめた第2データが格納
されており、制御部は、回転ブラシの使用時間により第1データを第2データで補正し、第1データを第2データで補正した第3データと温度検知部により検出された被清掃面の表面温度の変化とに基づいて被清掃面の種類を識別する構成としたものである。
【0035】
これにより、経年劣化によって回転ブラシが摩耗しても、予め記憶している温度上昇率の補正を行うことで精度良く床面を識別できるので、使用性の良い電気掃除を長期間に渡り提供することができる。
【0036】
第11の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0037】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が掃除している被清掃面に適した電動機の入力に制御することができるので、無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0038】
第12の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、塵埃検出部により検出される塵埃の量と被清掃面の種類とに基づいて、電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0039】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができるとともに、被清掃面上の塵埃量も検出することができ、使用者が掃除している被清掃面の種類及び被清掃面上の塵埃量に適した電動機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0040】
第13の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、電動送風機の入力及び電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0041】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が掃除している被清掃面に適した電動送風機及び電動機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0042】
第14の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、塵埃検出部により検出される塵埃の量と被清掃面の種類とに基づいて、電動送風機の入力及び電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0043】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、
使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができるとともに、被清掃面上の塵埃量も検出することができ、使用者が掃除している被清掃面の種類及び被清掃面上の塵埃量に適した電動送風機及び電動機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0044】
以下、図面を参照しながら本発明の電気掃除機の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
【0045】
(実施の形態1)
本発明の電気掃除機の実施の形態1について、図1〜図3を用いて説明する。
【0046】
図1は、本発明の電気掃除機の実施の形態1を示す外観斜視図である。また、図2は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における吸込具の下面図である。さらに、図3は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における制御ブロック図である。
【0047】
図1に示すように、電気掃除機100は、主として、掃除機本体1と、被清掃面の塵埃を吸引する吸込具10と、一端が掃除機本体1に接続されるホース8と、一端がホース8に接続され、他端が吸込具10に接続される延長管9とから構成されている。
【0048】
掃除機本体1の後部には、吸引風を発生させる電動送風機2が内蔵されており、この電動送風機2の前方には、塵埃を捕集する集塵部3が配置されている。また、掃除機本体1の後方下部の両側には、走行用の1対の車輪4が回転自在に設けられている。さらに、掃除機本体1の底面の前方には、走行用のキャスター5が回転自在に設けられている。
【0049】
ホース8は、一端が掃除機本体1の前方に着脱自在に接続され、他端が伸縮自在或いは継ぎ自在の延長管9に接続される。ホース8の延長管9側には、使用者が電気掃除機100の各種の運転モード(例えば強・中・弱・切等の吸込み力)を選択する操作部6が設けられている。また、ホース8の掃除機本体1との接続部には、塵埃検知部7が設置されている。この塵埃検知部7は、発光素子7aと受光素子7bとから構成されており、この発光素子7aと受光素子7bとは、互いに対向して配置されている。また、塵埃検知部7は、発光素子7aと受光素子7bの間を塵埃が通過し、一時的に受光素子7bによる受光が塵埃により遮られることで生じるパルス波形により、塵埃の量を検出している。
【0050】
延長管9は、一端がホース8に接続され、他端が被清掃面に接して被清掃面の塵埃等を吸引するための吸込具10に接続される。吸込具10から吸込まれた塵埃を含む吸引風は、延長管9、ホース8を介して掃除機本体1内の集塵部3に捕集される。
【0051】
図1及び図2に示すように、吸込具10は、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシ11と、ベルト12を介して回転ブラシ11を駆動する電動機13とから構成されている。吸込具10の上面には、掃除している使用者に掃除に関する情報を報知する報知部23が設けられている。また、吸込具10の底面、すなわち、吸込具10の被清掃面と対向する側の被清掃面と接触しない位置には、被清掃面の表面温度を非接触で検出する温度検知部14が配置されている。
【0052】
図3に示すように、電動送風機2は、双方向性サイリスタ等で構成された駆動部21で駆動される。ベルト12を介して回転ブラシ11を回転駆動する電動機13は、電動機駆動部22の位相制御で駆動される。制御部20は、マイクロコンピュータ等で構成されている。この制御部20は、使用者が操作する操作部6、塵埃検知部7、温度検知部14か
らの信号をもとに、駆動部21及び電動機駆動部22へ位相制御するための点弧パルスを出力し、電気掃除機100の運転動作を制御する。また、制御部20は、掃除に関する情報を報知部23に出力して使用者に報知する(例えばLED表示など)。また、電気掃除機は、商用電源30により電力供給を受けている。
【0053】
以上のように構成された電気掃除機について、図4〜図10を加えて、以下その動作、作用を説明する。
【0054】
図4は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの側断面図である。また、図5(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの動作時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、図5(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の吸込具と被清掃面との密着度のグラフ、図5(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の回転ブラシと被清掃面との摺動による被清掃面の表面温度のグラフ、図5(d)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフである。さらに、図6(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の被清掃面と吸込具との密着度のグラフ、図6(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフである。また、図7(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ被清掃面で掃除場所を移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、図7(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除場所を異なる被清掃面に移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフである。さらに、図8は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ場所を掃除し続けた時の時間と塵埃検出量とのグラフである。また、図9(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1におけるダニの繁殖数と室内温度とのグラフ、図9(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における電動送風機の入力と絨毯の深部吸込みの塵埃量とのグラフ、図9(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における絨毯での電動送風機の入力制御テーブル図である。さらに、図10(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間とブラシ毛の長さとのグラフ、図10(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における摩耗したブラシ毛での掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、図10(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間と被清掃面の表面温度の温度上昇率との関係図である。
【0055】
まず、使用者が、操作部6を操作し、例えば、電気掃除機100の運転モードとして「中」を選択したとする。制御部20は、操作部6からの信号をもとに、駆動部21及び電動機駆動部22に予め定められた信号を送り、電動送風機2及び電動機13を駆動させる。電動機13の駆動は、ベルト12を介して回転ブラシ11に伝達され、回転ブラシ11が回転駆動する。
【0056】
図4に示すように、回転ブラシ11のブラシ17が回転しながら被清掃面18と接触することにより、被清掃面18上の塵埃が掻き上げられ、吸込具10の下面に設けられた横長の開口部(図示せず)から吸引される。吸込具10より吸引された塵埃は、延長管9、ホース8を介して掃除機本体1内の集塵部3に捕集される。
【0057】
図4に示すように、使用者が被清掃面18の掃除を行うと、吸込具10の回転ブラシ11のブラシ17が回転しながら被清掃面18と接触することにより摩擦熱が発生し、吸込具10が当接している被清掃面18の表面温度が上昇する。温度検知部14は、予め定められた開始時間から終了時間まで、この表面温度を非接触で検出しており、被清掃面の温度検出情報を、制御部20に出力している。
【0058】
例えば、使用者が吸込具10を動かさずに静止させた状態で同じ場所を掃除し続けた場合、被清掃面18の表面温度は図5(a)に示すように変化する。掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。使用者が被清掃面18の掃除を開始すると、吸込具10の回転ブラシ11が高速で回転し、この回転ブラシ11と被清掃面との摺動により摩擦熱が発生し、被清掃面18の表面温度が上昇する。被清掃面18の表面温度は、所定時間T1で所定温度P1となり飽和する。
【0059】
図5(b)に示すように、被清掃面18の種類が変わると、吸込具10と被清掃面18との密着度も変化する。例えば、被清掃面18が、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、吸込具10と被清掃面18との間には一定の空間が確保されるため、吸込具10と被清掃面18との密着度は低くなる(図5(b)中、M2)。この場合、回転ブラシ11と被清掃面18とが摺動する抵抗が小さくなるため、使用者が行う掃除動作も軽くなる。
【0060】
一方、図5(b)に示すように、例えば、被清掃面18が、絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面の場合、吸込具10が被清掃面18の凹凸に沈み込むため、吸込具10と被清掃面18との間には空間が確保されず、吸込具10と被清掃面18との接触面積が増加する。また、電動送風機2が発生させる吸引力によって、絨毯の毛が吸込具10の開口部に吸い寄せられ、開口部が塞がれる傾向になるので、吸込具10と被清掃面との密着度も高くなる(図5(b)中、M3)。この場合、回転ブラシ11と被清掃面18とが摺動する抵抗が大きくなるため、使用者が行う掃除動作も重くなる。
【0061】
このように、被清掃面18の種類によって、吸込具10と被清掃面18との密着度が変化し、回転ブラシ11と被清掃面18とが摺動する抵抗も変化するため、回転ブラシ11と被清掃面18との摺動で発生する摩擦熱による被清掃面の表面温度の温度上昇値(温度上昇率)も変化する。
【0062】
図5(c)に示すように、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面では、吸込具10と被清掃面との密着度が低く使用者が行う掃除動作も軽くなるため、発生する摩擦熱も低くなり、被清掃面の表面温度も低くなる(図5(c)中、P2)。一方、絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面では、吸込具10と被清掃面との密着度が高く、使用者が行う掃除動作も重くなるため、発生する摩擦熱も高くなり、被清掃面の表面温度も高くなる(図5(c)中、P3)。
【0063】
使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を、同じ場所で繰り返した場合の経過時間と被清掃面の表面温度との関係は、図5(d)に示すように変化する。
【0064】
まず、被清掃面が畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T3で所定温度P20となり飽和する。
【0065】
次に、被清掃面が絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面の場合、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合と同様に、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P20よりも高い所定温度P30となり飽和する。
【0066】
このように、被清掃面の種類によって、被清掃面の表面温度の温度上昇値(温度上昇率
)も変化するため、制御部20は、温度検知部14により検出された被清掃面の表面温度から、予め定められた開始時間から終了時間までの被清掃面の温度上昇率(単位時間当りの温度上昇値)や到達温度(P20やP30)を判定することで、使用者が掃除している床面の種類の識別ができる。
【0067】
なお、制御部20は、予め、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力毎にまとめた第1データを記憶しており、この第1データと温度検知部14により検知される被清掃面の表面温度とを比較して、被清掃面の種類を識別するように構成されていてもよい。
【0068】
ここで、「開始時間」、「終了時間」及び「第1データ」は、電動送風機の入力、被清掃面の種類、被清掃面上の塵埃量などにより決定されるもので、これらを考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。
【0069】
また、吸引された塵埃は、吸引経路の途中であるホース8内に配置されている塵埃検知部7の発光素子7aと受光素子7bの間を通過することで、塵埃検知部7により検出される。制御部20は、常に塵埃検知部7からの情報を得ており、単位時間あたり(例えば0.1秒間)の塵埃の検出度合いから被清掃面上にある塵埃の量を判定し、それに応じた電動送風機2の入力制御を行っている。
【0070】
例えば、使用者が操作部6を操作し、電気掃除機100の運転モードとして「中」を選択した場合、制御部20が、電動送風機2の入力が300Wとなるように駆動部21を出力したとする。
【0071】
使用者が絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面を掃除すると、吸込具10から被清掃面の塵埃が吸い込まれ、吸い込まれた塵埃は塵埃検知部7で検知される。制御部20は、塵埃検知部7からの信号により、単位時間当りの塵埃量が、予め定めている基準値を上回ったことを検知すると、被清掃面に存在する塵埃量が多いと判断し、被清掃面の塵埃を効率良く吸込めるように、電動送風機2の入力を上げる(例えば400Wにする)制御を行う。そして、検出される単位時間辺りの塵埃量が予め定めている基準値より少なくなったとき、被清掃面に存在する塵埃量も少ないと判断し、無駄な電力を抑えるように、電動送風機2の入力を下げる(例えば300Wに戻す)制御を行っている。
【0072】
図6(a)に示すように、電動送風機2の入力が変わると、吸込具10と被清掃面との密着度も変化する。例えば、電動送風機2の入力が300Wの時、絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面においては、吸込具10と被清掃面との密着度がM3であったものが、400Wになると、吸込具10と被清掃面との密着度がM3よりも高いM31になる。これは、電動送風機2の入力が上がり吸引力が増すことで、更に、吸込み具10が被清掃面の凹凸に沈み込み、吸着力が増え、絨毯の毛を吸い寄せることで開口部が塞がれ、吸込具10と被清掃面との密着度が高くなるためである。
【0073】
一方、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、電動送風機2の入力が上がることで吸引力が増すものの、吸込具10と被清掃面との間には一定の空間が確保されているので、密着度は絨毯程には増えない(図6(a)中、M2及びM21)。
【0074】
この場合、使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を同じ場所で繰り返した場合、経過時間と被清掃面の表面温度との関係は、図6(b)のようになる。
【0075】
被清掃面が絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面の場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0であるが、使用者が掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は時間が経過するとともに上昇する。
【0076】
電動送風機2の入力が300Wの場合、所定時間T2で、所定温度P30に達する。また、電動送風機2の入力が400Wの場合、所定時間T2で、所定温度P31に達する。このように、電動送風機2の入力が高い方が、単位時間当たりの被清掃面の表面温度の温度上昇値(温度上昇率)が高くなる。
【0077】
これに対し、被清掃面が畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、掃除開始前時点T0での床表面温度は、絨毯の場合と同じくP0であるが、掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T3で、300Wでは所定温度P20、400Wでは所定温度P21に達する。図6(b)に示すように、被清掃面が畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合では、電動送風機2の入力の違いによって被清掃面の表面温度の温度上昇率および到達温度に、絨毯ほどの差が出ない。
【0078】
このように、予め、被清掃面毎の電動送風機2の各入力(例えば、300W、400W、500Wといった各100W)毎の被清掃面の表面温度の温度上昇率および床表面温度が飽和して到達する温度を記憶しておけば、電動送風機2の入力が変化しても、被清掃面の表面温度の温度上昇率、被清掃面の表面温度を検出すれば、床面の種類を識別することができる。
【0079】
また、使用者が吸込み具10の被清掃面上での掃除動作を、同じ場所で繰り返している時に、掃除場所を別の新たな場所に変更した場合、経過時間と被清掃面の表面温度との関係は図7(a)のようになる。
【0080】
例えば、電動送風機2の入力が400Wで絨毯を掃除している場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0であるが、使用者が掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇する。所定時間T4では、床表面温度は、所定温度P32まで上昇している。この時、使用者が掃除場所を別の新たな場所(例えば、吸込具10の横幅分の隣の場所など)に移動した場合、温度検知部14が検出する被清掃面の表面温度は、再びP0になる。制御部20は、この温度検知部14の検出温度の変化(P32→P0)によって、使用者が新しい場所の掃除を始めたことを識別できるのである。その後、使用者が移動した新たな場所での掃除を所定時間T5まで続ければ、温度検知部14の検出温度は所定温度P31に達する。
【0081】
また、使用者が掃除している被清掃面を、種類の異なった被清掃面に変更した場合の経過時間と被清掃面の表面温度との関係の一例を図7(b)に示す。
【0082】
例えば、電動送風機2の入力が400Wで絨毯を掃除している場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0であるが、使用者が掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇する。時間T4では、被清掃面の表面温度は、P32まで上昇している。この時、使用者が掃除場所を別の新たな場所に移動した場合、温度検知部14が検出する被清掃面の表面温度は、再びP0になる。この時点では、制御部20は、掃除場所が変わった事は識別できるが被清掃面の種類が変わったことまでは識別できない。しかし、一旦、掃除が始まると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇する。例えば、時間T6では、被清掃面の表面温度は、P22まで上昇している。制御手段20は、この時の温度上昇率(単位時間あたりの温度上昇値=(P22−P0)/(T6−T4) )を算出し、予め記憶している電動送風機2の一定入力毎で変わる、
被清掃面の種類毎の温度上昇率と比較することで、現在、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別できる。
【0083】
また、使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を、同じ場所で繰り返した場合の経過時間と塵埃検知部7が検出する塵埃量との関係を図8に示す。
【0084】
まず、フローリングを掃除した場合、掃除開始前時点T0での塵埃検出量はゼロであるが、掃除を開始すると、塵埃が検出され、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T8で、最大塵埃量G21を検出する。同じ場所で繰り返して掃除しているので、検出する塵埃量も一気に減り、所定時間T10時点では、検出される塵埃量は、ほとんどなくなる。
【0085】
これに対し、絨毯を掃除した場合、掃除開始前時点T0では、フローリングの場合と同じくゼロであるが、掃除を開始すると塵埃が検出され、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T9で、最大塵埃量G31を検出する。これも同じ場所で繰り返して掃除しているので、検出する塵埃量は時間の経過とともに減り、所定時間T10時点では、検出される塵埃量が一定になる。ここで、絨毯での塵埃検出量がフローリングのように少なくならないのは、絨毯では塵埃がなくなっても、絨毯の遊び毛を吸い込んでしまい、それを塵埃として検出してしまっているからである。
【0086】
この関係より、制御部20は、塵埃検知部7の塵埃検出量より、掃除している被清掃面が綺麗になったことを知ることができる。例えば、フローリングなら、塵埃検知部7により検出される塵埃検出量が所定時間(図8中、T10からT11)以上、基準値S2以下である場合は、その被清掃面は綺麗な状態だといえる。また、絨毯では、塵埃検知部7により検出される塵埃検出量が所定時間(図8中、T10からT11)以上、基準値S3以下である場合は、その被清掃面は綺麗な状態だと判断することができる。つまり、掃除動作した場所については、もうこれ以上掃除しなくても良い状態になっていることがわかる。
【0087】
ここで、本実施の形態における「所定時間」、「基準値」は、電動送風機の入力、被清掃面の種類、被清掃面上の塵埃量などにより決定されるもので、これらを考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。
【0088】
もし、制御部20が、使用者が掃除している被清掃面が綺麗になっている状態を検出しているにも関わらず、使用者が同じ場所の掃除を続けていることを検知した場合、使用者の掃除の効率が悪くなっている可能性がある。そこで、制御部20は、塵埃検知部7の情報により、被清掃面が綺麗になっている状態を所定時間以上、検出した場合、温度検知部14の情報も監視することにより、上記の場面の識別が可能になる。
【0089】
例えば、絨毯を400Wで掃除中、被清掃面が綺麗な状態になったことを検出した状態で、温度検知部14が、図6(b)に示すP31の表面温度を検出し続けておれば、使用者が綺麗になった被清掃面に対して、掃除を継続していることが識別できる。
【0090】
また、絨毯を400Wで掃除中、被清掃面が綺麗な状態になったことを検出した状態で、温度検知部14が、図6(b)に示す絨毯400Wでの温度上昇率(単位時間あたりの温度上昇値=(P31−P0)/(T2−T0) )を検出すれば、使用者が綺麗になった床面に対して、引き続き掃除をしていることが識別できる。
【0091】
よって、制御部20は、報知部23(例えばLEDを点滅させる)に出力したり、電動
送風機2の入力と電動機13の回転数を一時的に低下させたりして、使用者に報知し、使用者に次の新しい別の掃除場所への移動を促すことで、使用者が、効率良い掃除と省エネルギーができるようにアシストを行うことができる。
【0092】
また、一般的に、ダニは高温多湿を好み、畳や絨毯などがダニの隠れ場所になっており、温度が25〜30℃、湿度が60〜85%がダニの繁殖に適した条件と言われている(図9(a))。
【0093】
そして、図9(b)に示すように、電動送風機2の入力を低くして絨毯を電気掃除機で掃除した場合(例えば300W)、吸引できた絨毯の深部吸込みの塵埃量はG2となる。これに対して、入力を高くした場合(例えば700W)、吸引できた絨毯の深部吸込みの塵埃量はG3となり、電動送風機2の入力が高い方が、絨毯の深部から吸引する塵埃量の多いことが、実験で明らかになっている。
【0094】
そこで、本実施の形態の電気掃除機では、制御部20が、絨毯を掃除していると判断した場合で、温度検知部14により検知される被清掃面の表面温度が、例えば、20℃以上35℃以下であると判断した場合には、ダニの生息が予想されるので、電動送風機2の入力を増加するように制御を行う。
【0095】
例えば、制御部20は、塵埃検知部7からの情報により検出する塵埃量に応じて、図9(c)に示すように、塵埃検出量のレベルを0、1、2、3の4段階に判定する。そして、判定したレベルに応じて、電動送風機2の入力を制御する。被清掃面の表面温度が、20℃未満の場合、レベル0なら300W、レベル1なら400W、レベル2なら500W、そして、レベル3なら600Wという具合に制御を行う。
【0096】
ここで、もし制御部20が、被清掃面の表面温度が20℃以上であると判断した場合には、判定した塵埃検出量のレベルに応じて、電動送風機2の入力を、レベル0なら350W、レベル1なら500W、レベル2なら600W、そして、レベル3なら700Wという具合に、被清掃面の表面温度を20℃未満の時より、更に増加する制御を行う。これにより、ダニが生息しやすい絨毯においてダニの快適温度を検出した場合、電動送風機2の入力を上げて、効率良くダニの除去を行える使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0097】
また、回転ブラシ11のブラシ毛17は、被清掃面と摺動することで摩耗し、運転時間とともに短くなってくる。そして、短くなったブラシ毛17と、被清掃面とが摺動することによって起きる摩擦熱は、若干ではあるが少なくなり、被清掃面の表面温度の温度上昇率も変化する。
【0098】
まず、ブラシ毛17の長さと運転時間の関係を図10(a)に示す。新品の初期状態では、ブラシ毛17の長さはL0(例えば7mm)ある。運転時間が100時間経過すると、その長さは、L1(例えば6mm)になる。そして、運転時間が200時間経過すると、その長さはL2(例えば5mm)、運転時間が300時間経過すると、その長さはL3となり、運転時間の経過とともにブラシ毛17が被清掃面との摩擦で削れ、短くなっていく。この時、使用者が絨毯の上で、電動送風機2を400Wの入力で運転し、掃除動作を同じ場所で繰り返した場合の経過時間と被清掃面の表面温度との関係を図10(b)に示す。
【0099】
まず、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。新品の吸込具10で掃除を開始した場合、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P310に達し飽和するように変化する。次いで、運転時間が100時
間経過後の吸込具10で掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P311となり飽和する。次いで、運転時間が200時間経過後の吸込具10で掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P312となり飽和する。次いで、運転時間が300時間経過後の吸込具10で掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P313となり飽和する。
【0100】
このように、累積運転時間が増えるほど、ブラシ毛17が摩耗により短くなり、被清掃面との摺動抵抗が減り、被清掃面との間で発生する摩擦熱も低下する。その結果、所定時間に到達する被清掃面の表面温度も低くなっていくのである。
【0101】
絨毯での累積運転時間に対する被清掃面の表面温度の温度上昇率は、図10(c)のような関係になる。例えば、累積運転時間0時間では、電動送風機2を400Wの入力にして、掃除した場合は、絨毯の被清掃面の表面温度の温度上昇率は、(P310−P10)/(T2−T0)の値で判定することができる。しかし、累積運転時間が100時間を経過した吸込具10では、ブラシ毛17の摩耗により、累積運転時間が0時間と同じ絨毯を掃除しても、その温度上昇率は異なる。よって、この時点では、補正した温度上昇率(P311−P0)/(T2−T0)を判定値とすることで、摩耗したブラシ毛17でも絨毯を精度良く識別することができる。
【0102】
このように、制御部20が予め、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力毎にまとめた第1データと、被清掃面の種類毎に電動送風機2の入力と回転ブラシ11の使用時間とを固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機2の入力と回転ブラシ11の累積運転時間との組み合わせ毎にまとめた第2データとを記憶しており、この第1データを第2データにより補正した第3データと、温度検知部14で検出される被清掃面の表面温度とにより、被清掃面の種類を識別することで、長期間に渡り精度良く被清掃面の識別を行うことができる。また、電動送風機2の入力毎の補正値も合わせて記憶しておくことで、長期間に渡り精度良く被清掃面の識別を行うことができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0103】
ここで、本実施の形態における「第2データ」は、電動送風機の入力、被清掃面の種類、回転ブラシの累積運転時間などにより決定されるもので、これらを考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。
【0104】
また、本実施の形態においては、制御部20は、温度検知部14からの信号に基づき、被清掃面の種類を識別し、電動送風機20の入力を制御する構成について説明したが、制御部20は、温度検知部14からの信号に基づき、被清掃面の種類を識別し、電動機13の入力を制御するように構成されていてよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、使用者が掃除している被清掃面の種類が識別でき、掃除している場所が同じ所を継続して掃除しているのか、それとも違う新たな場所を掃除しているのかを識別できるので、使用者の掃除動作のパターンや掃除する被清掃面の種類や被清掃面比率を把握することができるので、高度な制御が要求される家庭用及び業務用電気掃除機の分野等に広く適用できる。
【符号の説明】
【0106】
2 電動送風機
7 塵埃検知部
10 吸込具
11 回転ブラシ
13 電動機
14 温度検知部
20 制御部
23 報知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特に、被清掃面の種類を識別し、電動送風機の入力を制御する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機においては、被清掃面の種類を識別し、被清掃面に応じて電動送風機の入力を変化させる構成を有する電気掃除機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の電気掃除機としては、例えば、図11に示す構成を有する電気掃除機が提案されている。
【0004】
図11に示すように、従来の電気掃除機は、塵埃を吸引するファンモータ202を有する掃除機本体201と、吸い込み具203と、床面を識別する床面識別手段204と、床面識別手段204の出力に応じてファンモータ202への供給電力を制御する制御手段205と、制御手段5の制御内容に応じてファンモータ202を駆動する駆動手段206とを有し、床面識別手段204はファンモータ202の排気風量を検知する排気風量検知手段204a、ファンモータ202の電流値の変化量を検知する電流変化検知手段204b、ファンモータ202の電力量変化を検知する電力量変化検知手段204c、または、ファンモータ202の回転数変化量を検知する回転変化検知手段204dで構成されている。
【0005】
そして、従来の電気掃除機は、床面識別を排気風量検知手段204a、電流変化検知手段204b、電力量変化検知手段204c、または、回転変化検知手段204dの検知結果で行うように構成されており、床面識別手段204が識別した床面に応じてファンモータ202への供給電力を制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−224544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電気掃除機においては、無駄なエネルギーの消費を十分に抑えるという観点からは未だ改善の余地があった。
【0008】
すなわち、上記従来の電気掃除機においては、床面検出手段により床面の識別はできるものの、使用者が同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかまでは判断できなかった。そのため、床面が綺麗になっていることは使用者の目視による感覚でしか判断できず、使用者によっては、同じ場所を必要以上に掃除し続けてしまい、その結果、掃除時間が長くなり、無駄な電力を消費してしまう場合があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の有する課題を解決するために本発明は、吸引風を発生させる電動送風機と、電動送風機よりも上流側に配置されており、塵埃を捕集する集塵部とを有する掃除機本体と、下面に開口部が設けられており、被清掃面から塵埃を吸引する吸込具と、一端が吸込具に接続される延長管と、一端が延長管に接続されており、他端が掃除機本体に接続されるホースと、吸込具に設けられており、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、温度検出手段により検出された表面温度の変化に基づいて被清掃面の種類を識別する制御部と、を有する電気掃除機を提供する。
【0011】
一般的に、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除した場合、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱によって被清掃面の表面温度が上昇し、温度検出手段によって検出される被清掃面の表面温度も高くなる。また、使用者が被清掃面上の違う場所を新たに掃除した場合、温度検出手段によって検出される被清掃面の表面温度も低くなる。さらに、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱によって被清掃面の表面温度が上昇する温度変化は、被清掃面の材質(木床、畳、絨毯等)によって異なる。
【0012】
そのため、上述のように、本発明の電気掃除機は、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を温度検知部によって検出し、この温度検知部によって検出された表面温度の変化に基づいて制御部が被清掃面の種類を識別するように構成されている。
【0013】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気掃除機によれば、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電気掃除機の実施の形態1を示す外観斜視図
【図2】本発明の電気掃除機の実施の形態1における吸込具の下面図
【図3】本発明の電気掃除機の実施の形態1における制御ブロック図
【図4】本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの側断面図
【図5】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの動作時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の吸込具と被清掃面との密着度のグラフ、(c)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の回転ブラシと被清掃面との摺動による被清掃面の表面温度のグラフ、(d)本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ
【図6】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の被清掃面と吸込具との密着度のグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ
【図7】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ被清掃面で掃除場所を移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除場所を異なる被清掃面に移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ
【図8】本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ場所を掃除し続けた時の時間と塵埃検出量とのグラフ
【図9】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1におけるダニの繁殖数と室内温度とのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における電動送風機の入力と絨毯の深部吸込みの塵埃量とのグラフ、(c)本発明の電気掃除機の実施の形態1における絨毯での電動送風機の入力制御テーブル図
【図10】(a)本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間とブラシ毛の長さとのグラフ、(b)本発明の電気掃除機の実施の形態1における摩耗したブラシ毛での掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、(c)本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間と被清掃面の表面温度の温度上昇率との関係図
【図11】(a)従来の電気掃除機の全体斜視図、(b)従来の電気掃除機のブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、吸引風を発生させる電動送風機と、電動送風機よりも上流側に配置されており、塵埃を捕集する集塵部とを有する掃除機本体と、下面に開口部が設けられており、被清掃面から塵埃を吸引する吸込具と、一端が吸込具に接続される延長管と、一端が延長管に接続されており、他端が掃除機本体に接続されるホースと、吸込具に設けられており、吸込具が被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、温度検出手段により検出された表面温度の変化に基づいて被清掃面の種類を識別する制御部と、を有する電気掃除機としたものである。
【0017】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することができる。
【0018】
第2の発明は、特に第1の発明において、温度検知部は、予め設定した開始時間から終了時間まで被清掃面の表面温度を検出する構成としたものである。
【0019】
これにより、上述した第1の発明と同様に、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が必要以上の時間をかけずに効率よく掃除ができる、省電力にもつながる電気掃除機を提供することができる。
【0020】
第3の発明は、特に第1及び第2の発明において、制御部は、温度検知部によって検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、電動送風機の入力を制御する構成としたものである。
【0021】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が掃除している被清掃面に適した電動送風機の入力に制御することができるので、無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0022】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明において、集塵部よりも上流側には、吸込具から吸引された塵埃の量を検知する塵埃検出部が設けられている構成をしたものである。
【0023】
これにより、使用者が掃除している被清掃面上の塵埃の有無を検出することができ、使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0024】
第5の発明は、特に第4の発明において、制御部は、温度検知部によって検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、塵埃検出部により検出される塵埃の量と被清掃面の種類とに基づいて、電動送風機の入力を制御する構成をしたものである。
【0025】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができるとともに、被清掃面上の塵埃量も検出することができ、使用者が掃除している被清掃面の種類及び被清掃面上の塵埃量に適した電動送風機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0026】
第6の発明は、特に第1〜第5の発明において、吸込具には、使用者に掃除に関する情報を報知する報知手段が設けられている構成をしたものである。
【0027】
これにより、使用者に掃除に関する情報を報知することができ、効率のよい掃除が行える電気掃除機を提供することができる。
【0028】
第7の発明は、特に第6の発明において、制御部は、塵埃検出部により検出される塵埃の量が、予め設定された基準時間以上、基準値以下で、かつ、温度検知部により検出される表面温度が上昇している際に、報知手段への出力を行う構成としたものである。
【0029】
これにより、使用者が、同じ場所の掃除を行い、被清掃面が十分綺麗になっているにもかかわらず、同じ場所の掃除を続けていることを検出できるので、使用者に次の場所の掃除に移ってもらえるように報知をして、少しでも無駄な電力を抑える効率の良い掃除を促がせる使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0030】
第8の発明は、特に第1〜第7の発明において、制御部は、被清掃面の種類が絨毯であると識別し、かつ、温度検知部が検出した表面温度が所定温度である場合には、電動送風機の入力を増加させる構成としたものである。
【0031】
これにより、ダニが生息しやすい絨毯においてダニの快適温度を検出した場合、電動送風機の入力を上げて、効率良くダニの除去を行える使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0032】
第9の発明は、特に第1〜第8の発明において、制御部には、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力毎にまとめた第1データが格納されており、制御部は、温度検知部によって検出される被清掃面の表面温度の変化と第1データとに基づいて被清掃面の種類を識別する構成をしたものである。
【0033】
これにより、さらに精度良く被清掃面を識別することでき、使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0034】
第10の発明は、特に第9の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシが設けられており、制御部には、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力と回転ブラシの使用時間とを固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力と回転ブラシの使用年数との組み合わせ毎にまとめた第2データが格納
されており、制御部は、回転ブラシの使用時間により第1データを第2データで補正し、第1データを第2データで補正した第3データと温度検知部により検出された被清掃面の表面温度の変化とに基づいて被清掃面の種類を識別する構成としたものである。
【0035】
これにより、経年劣化によって回転ブラシが摩耗しても、予め記憶している温度上昇率の補正を行うことで精度良く床面を識別できるので、使用性の良い電気掃除を長期間に渡り提供することができる。
【0036】
第11の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0037】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が掃除している被清掃面に適した電動機の入力に制御することができるので、無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0038】
第12の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、塵埃検出部により検出される塵埃の量と被清掃面の種類とに基づいて、電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0039】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができるとともに、被清掃面上の塵埃量も検出することができ、使用者が掃除している被清掃面の種類及び被清掃面上の塵埃量に適した電動機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0040】
第13の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、電動送風機の入力及び電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0041】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができ、使用者が掃除している被清掃面に適した電動送風機及び電動機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0042】
第14の発明は、特に第1〜第8の発明において、吸込具には、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、制御部は、温度検知部により検出される表面温度の変化に基づいて、被清掃面の種類を識別し、塵埃検出部により検出される塵埃の量と被清掃面の種類とに基づいて、電動送風機の入力及び電動機の入力を制御する構成としたものである。
【0043】
これにより、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別することができるとともに、
使用者が被清掃面上の同じ場所を掃除しているのか、それとも新しい場所を掃除しているのかも識別することができるとともに、被清掃面上の塵埃量も検出することができ、使用者が掃除している被清掃面の種類及び被清掃面上の塵埃量に適した電動送風機及び電動機の入力に制御することができるので、さらに無駄な電力を抑えることができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0044】
以下、図面を参照しながら本発明の電気掃除機の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
【0045】
(実施の形態1)
本発明の電気掃除機の実施の形態1について、図1〜図3を用いて説明する。
【0046】
図1は、本発明の電気掃除機の実施の形態1を示す外観斜視図である。また、図2は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における吸込具の下面図である。さらに、図3は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における制御ブロック図である。
【0047】
図1に示すように、電気掃除機100は、主として、掃除機本体1と、被清掃面の塵埃を吸引する吸込具10と、一端が掃除機本体1に接続されるホース8と、一端がホース8に接続され、他端が吸込具10に接続される延長管9とから構成されている。
【0048】
掃除機本体1の後部には、吸引風を発生させる電動送風機2が内蔵されており、この電動送風機2の前方には、塵埃を捕集する集塵部3が配置されている。また、掃除機本体1の後方下部の両側には、走行用の1対の車輪4が回転自在に設けられている。さらに、掃除機本体1の底面の前方には、走行用のキャスター5が回転自在に設けられている。
【0049】
ホース8は、一端が掃除機本体1の前方に着脱自在に接続され、他端が伸縮自在或いは継ぎ自在の延長管9に接続される。ホース8の延長管9側には、使用者が電気掃除機100の各種の運転モード(例えば強・中・弱・切等の吸込み力)を選択する操作部6が設けられている。また、ホース8の掃除機本体1との接続部には、塵埃検知部7が設置されている。この塵埃検知部7は、発光素子7aと受光素子7bとから構成されており、この発光素子7aと受光素子7bとは、互いに対向して配置されている。また、塵埃検知部7は、発光素子7aと受光素子7bの間を塵埃が通過し、一時的に受光素子7bによる受光が塵埃により遮られることで生じるパルス波形により、塵埃の量を検出している。
【0050】
延長管9は、一端がホース8に接続され、他端が被清掃面に接して被清掃面の塵埃等を吸引するための吸込具10に接続される。吸込具10から吸込まれた塵埃を含む吸引風は、延長管9、ホース8を介して掃除機本体1内の集塵部3に捕集される。
【0051】
図1及び図2に示すように、吸込具10は、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシ11と、ベルト12を介して回転ブラシ11を駆動する電動機13とから構成されている。吸込具10の上面には、掃除している使用者に掃除に関する情報を報知する報知部23が設けられている。また、吸込具10の底面、すなわち、吸込具10の被清掃面と対向する側の被清掃面と接触しない位置には、被清掃面の表面温度を非接触で検出する温度検知部14が配置されている。
【0052】
図3に示すように、電動送風機2は、双方向性サイリスタ等で構成された駆動部21で駆動される。ベルト12を介して回転ブラシ11を回転駆動する電動機13は、電動機駆動部22の位相制御で駆動される。制御部20は、マイクロコンピュータ等で構成されている。この制御部20は、使用者が操作する操作部6、塵埃検知部7、温度検知部14か
らの信号をもとに、駆動部21及び電動機駆動部22へ位相制御するための点弧パルスを出力し、電気掃除機100の運転動作を制御する。また、制御部20は、掃除に関する情報を報知部23に出力して使用者に報知する(例えばLED表示など)。また、電気掃除機は、商用電源30により電力供給を受けている。
【0053】
以上のように構成された電気掃除機について、図4〜図10を加えて、以下その動作、作用を説明する。
【0054】
図4は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの側断面図である。また、図5(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における回転ブラシの動作時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、図5(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の吸込具と被清掃面との密着度のグラフ、図5(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面の種類毎の回転ブラシと被清掃面との摺動による被清掃面の表面温度のグラフ、図5(d)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフである。さらに、図6(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の被清掃面と吸込具との密着度のグラフ、図6(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における被清掃面及び電動送風機の入力が変化した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフである。また、図7(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ被清掃面で掃除場所を移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、図7(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における掃除場所を異なる被清掃面に移動した時の掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフである。さらに、図8は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における同じ場所を掃除し続けた時の時間と塵埃検出量とのグラフである。また、図9(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1におけるダニの繁殖数と室内温度とのグラフ、図9(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における電動送風機の入力と絨毯の深部吸込みの塵埃量とのグラフ、図9(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における絨毯での電動送風機の入力制御テーブル図である。さらに、図10(a)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間とブラシ毛の長さとのグラフ、図10(b)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における摩耗したブラシ毛での掃除動作の継続時間と被清掃面の表面温度とのグラフ、図10(c)は、本発明の電気掃除機の実施の形態1における累積運転時間と被清掃面の表面温度の温度上昇率との関係図である。
【0055】
まず、使用者が、操作部6を操作し、例えば、電気掃除機100の運転モードとして「中」を選択したとする。制御部20は、操作部6からの信号をもとに、駆動部21及び電動機駆動部22に予め定められた信号を送り、電動送風機2及び電動機13を駆動させる。電動機13の駆動は、ベルト12を介して回転ブラシ11に伝達され、回転ブラシ11が回転駆動する。
【0056】
図4に示すように、回転ブラシ11のブラシ17が回転しながら被清掃面18と接触することにより、被清掃面18上の塵埃が掻き上げられ、吸込具10の下面に設けられた横長の開口部(図示せず)から吸引される。吸込具10より吸引された塵埃は、延長管9、ホース8を介して掃除機本体1内の集塵部3に捕集される。
【0057】
図4に示すように、使用者が被清掃面18の掃除を行うと、吸込具10の回転ブラシ11のブラシ17が回転しながら被清掃面18と接触することにより摩擦熱が発生し、吸込具10が当接している被清掃面18の表面温度が上昇する。温度検知部14は、予め定められた開始時間から終了時間まで、この表面温度を非接触で検出しており、被清掃面の温度検出情報を、制御部20に出力している。
【0058】
例えば、使用者が吸込具10を動かさずに静止させた状態で同じ場所を掃除し続けた場合、被清掃面18の表面温度は図5(a)に示すように変化する。掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。使用者が被清掃面18の掃除を開始すると、吸込具10の回転ブラシ11が高速で回転し、この回転ブラシ11と被清掃面との摺動により摩擦熱が発生し、被清掃面18の表面温度が上昇する。被清掃面18の表面温度は、所定時間T1で所定温度P1となり飽和する。
【0059】
図5(b)に示すように、被清掃面18の種類が変わると、吸込具10と被清掃面18との密着度も変化する。例えば、被清掃面18が、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、吸込具10と被清掃面18との間には一定の空間が確保されるため、吸込具10と被清掃面18との密着度は低くなる(図5(b)中、M2)。この場合、回転ブラシ11と被清掃面18とが摺動する抵抗が小さくなるため、使用者が行う掃除動作も軽くなる。
【0060】
一方、図5(b)に示すように、例えば、被清掃面18が、絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面の場合、吸込具10が被清掃面18の凹凸に沈み込むため、吸込具10と被清掃面18との間には空間が確保されず、吸込具10と被清掃面18との接触面積が増加する。また、電動送風機2が発生させる吸引力によって、絨毯の毛が吸込具10の開口部に吸い寄せられ、開口部が塞がれる傾向になるので、吸込具10と被清掃面との密着度も高くなる(図5(b)中、M3)。この場合、回転ブラシ11と被清掃面18とが摺動する抵抗が大きくなるため、使用者が行う掃除動作も重くなる。
【0061】
このように、被清掃面18の種類によって、吸込具10と被清掃面18との密着度が変化し、回転ブラシ11と被清掃面18とが摺動する抵抗も変化するため、回転ブラシ11と被清掃面18との摺動で発生する摩擦熱による被清掃面の表面温度の温度上昇値(温度上昇率)も変化する。
【0062】
図5(c)に示すように、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面では、吸込具10と被清掃面との密着度が低く使用者が行う掃除動作も軽くなるため、発生する摩擦熱も低くなり、被清掃面の表面温度も低くなる(図5(c)中、P2)。一方、絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面では、吸込具10と被清掃面との密着度が高く、使用者が行う掃除動作も重くなるため、発生する摩擦熱も高くなり、被清掃面の表面温度も高くなる(図5(c)中、P3)。
【0063】
使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を、同じ場所で繰り返した場合の経過時間と被清掃面の表面温度との関係は、図5(d)に示すように変化する。
【0064】
まず、被清掃面が畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T3で所定温度P20となり飽和する。
【0065】
次に、被清掃面が絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面の場合、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合と同様に、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P20よりも高い所定温度P30となり飽和する。
【0066】
このように、被清掃面の種類によって、被清掃面の表面温度の温度上昇値(温度上昇率
)も変化するため、制御部20は、温度検知部14により検出された被清掃面の表面温度から、予め定められた開始時間から終了時間までの被清掃面の温度上昇率(単位時間当りの温度上昇値)や到達温度(P20やP30)を判定することで、使用者が掃除している床面の種類の識別ができる。
【0067】
なお、制御部20は、予め、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力毎にまとめた第1データを記憶しており、この第1データと温度検知部14により検知される被清掃面の表面温度とを比較して、被清掃面の種類を識別するように構成されていてもよい。
【0068】
ここで、「開始時間」、「終了時間」及び「第1データ」は、電動送風機の入力、被清掃面の種類、被清掃面上の塵埃量などにより決定されるもので、これらを考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。
【0069】
また、吸引された塵埃は、吸引経路の途中であるホース8内に配置されている塵埃検知部7の発光素子7aと受光素子7bの間を通過することで、塵埃検知部7により検出される。制御部20は、常に塵埃検知部7からの情報を得ており、単位時間あたり(例えば0.1秒間)の塵埃の検出度合いから被清掃面上にある塵埃の量を判定し、それに応じた電動送風機2の入力制御を行っている。
【0070】
例えば、使用者が操作部6を操作し、電気掃除機100の運転モードとして「中」を選択した場合、制御部20が、電動送風機2の入力が300Wとなるように駆動部21を出力したとする。
【0071】
使用者が絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面を掃除すると、吸込具10から被清掃面の塵埃が吸い込まれ、吸い込まれた塵埃は塵埃検知部7で検知される。制御部20は、塵埃検知部7からの信号により、単位時間当りの塵埃量が、予め定めている基準値を上回ったことを検知すると、被清掃面に存在する塵埃量が多いと判断し、被清掃面の塵埃を効率良く吸込めるように、電動送風機2の入力を上げる(例えば400Wにする)制御を行う。そして、検出される単位時間辺りの塵埃量が予め定めている基準値より少なくなったとき、被清掃面に存在する塵埃量も少ないと判断し、無駄な電力を抑えるように、電動送風機2の入力を下げる(例えば300Wに戻す)制御を行っている。
【0072】
図6(a)に示すように、電動送風機2の入力が変わると、吸込具10と被清掃面との密着度も変化する。例えば、電動送風機2の入力が300Wの時、絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面においては、吸込具10と被清掃面との密着度がM3であったものが、400Wになると、吸込具10と被清掃面との密着度がM3よりも高いM31になる。これは、電動送風機2の入力が上がり吸引力が増すことで、更に、吸込み具10が被清掃面の凹凸に沈み込み、吸着力が増え、絨毯の毛を吸い寄せることで開口部が塞がれ、吸込具10と被清掃面との密着度が高くなるためである。
【0073】
一方、畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、電動送風機2の入力が上がることで吸引力が増すものの、吸込具10と被清掃面との間には一定の空間が確保されているので、密着度は絨毯程には増えない(図6(a)中、M2及びM21)。
【0074】
この場合、使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を同じ場所で繰り返した場合、経過時間と被清掃面の表面温度との関係は、図6(b)のようになる。
【0075】
被清掃面が絨毯のように表面の凹凸が大きい被清掃面の場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0であるが、使用者が掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は時間が経過するとともに上昇する。
【0076】
電動送風機2の入力が300Wの場合、所定時間T2で、所定温度P30に達する。また、電動送風機2の入力が400Wの場合、所定時間T2で、所定温度P31に達する。このように、電動送風機2の入力が高い方が、単位時間当たりの被清掃面の表面温度の温度上昇値(温度上昇率)が高くなる。
【0077】
これに対し、被清掃面が畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合、掃除開始前時点T0での床表面温度は、絨毯の場合と同じくP0であるが、掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T3で、300Wでは所定温度P20、400Wでは所定温度P21に達する。図6(b)に示すように、被清掃面が畳やフローリングのように表面の凹凸が小さい被清掃面の場合では、電動送風機2の入力の違いによって被清掃面の表面温度の温度上昇率および到達温度に、絨毯ほどの差が出ない。
【0078】
このように、予め、被清掃面毎の電動送風機2の各入力(例えば、300W、400W、500Wといった各100W)毎の被清掃面の表面温度の温度上昇率および床表面温度が飽和して到達する温度を記憶しておけば、電動送風機2の入力が変化しても、被清掃面の表面温度の温度上昇率、被清掃面の表面温度を検出すれば、床面の種類を識別することができる。
【0079】
また、使用者が吸込み具10の被清掃面上での掃除動作を、同じ場所で繰り返している時に、掃除場所を別の新たな場所に変更した場合、経過時間と被清掃面の表面温度との関係は図7(a)のようになる。
【0080】
例えば、電動送風機2の入力が400Wで絨毯を掃除している場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0であるが、使用者が掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇する。所定時間T4では、床表面温度は、所定温度P32まで上昇している。この時、使用者が掃除場所を別の新たな場所(例えば、吸込具10の横幅分の隣の場所など)に移動した場合、温度検知部14が検出する被清掃面の表面温度は、再びP0になる。制御部20は、この温度検知部14の検出温度の変化(P32→P0)によって、使用者が新しい場所の掃除を始めたことを識別できるのである。その後、使用者が移動した新たな場所での掃除を所定時間T5まで続ければ、温度検知部14の検出温度は所定温度P31に達する。
【0081】
また、使用者が掃除している被清掃面を、種類の異なった被清掃面に変更した場合の経過時間と被清掃面の表面温度との関係の一例を図7(b)に示す。
【0082】
例えば、電動送風機2の入力が400Wで絨毯を掃除している場合、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0であるが、使用者が掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇する。時間T4では、被清掃面の表面温度は、P32まで上昇している。この時、使用者が掃除場所を別の新たな場所に移動した場合、温度検知部14が検出する被清掃面の表面温度は、再びP0になる。この時点では、制御部20は、掃除場所が変わった事は識別できるが被清掃面の種類が変わったことまでは識別できない。しかし、一旦、掃除が始まると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇する。例えば、時間T6では、被清掃面の表面温度は、P22まで上昇している。制御手段20は、この時の温度上昇率(単位時間あたりの温度上昇値=(P22−P0)/(T6−T4) )を算出し、予め記憶している電動送風機2の一定入力毎で変わる、
被清掃面の種類毎の温度上昇率と比較することで、現在、使用者が掃除している被清掃面の種類を識別できる。
【0083】
また、使用者が吸込具10を被清掃面上で前後に動かす掃除動作(往復動作)を、同じ場所で繰り返した場合の経過時間と塵埃検知部7が検出する塵埃量との関係を図8に示す。
【0084】
まず、フローリングを掃除した場合、掃除開始前時点T0での塵埃検出量はゼロであるが、掃除を開始すると、塵埃が検出され、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T8で、最大塵埃量G21を検出する。同じ場所で繰り返して掃除しているので、検出する塵埃量も一気に減り、所定時間T10時点では、検出される塵埃量は、ほとんどなくなる。
【0085】
これに対し、絨毯を掃除した場合、掃除開始前時点T0では、フローリングの場合と同じくゼロであるが、掃除を開始すると塵埃が検出され、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T9で、最大塵埃量G31を検出する。これも同じ場所で繰り返して掃除しているので、検出する塵埃量は時間の経過とともに減り、所定時間T10時点では、検出される塵埃量が一定になる。ここで、絨毯での塵埃検出量がフローリングのように少なくならないのは、絨毯では塵埃がなくなっても、絨毯の遊び毛を吸い込んでしまい、それを塵埃として検出してしまっているからである。
【0086】
この関係より、制御部20は、塵埃検知部7の塵埃検出量より、掃除している被清掃面が綺麗になったことを知ることができる。例えば、フローリングなら、塵埃検知部7により検出される塵埃検出量が所定時間(図8中、T10からT11)以上、基準値S2以下である場合は、その被清掃面は綺麗な状態だといえる。また、絨毯では、塵埃検知部7により検出される塵埃検出量が所定時間(図8中、T10からT11)以上、基準値S3以下である場合は、その被清掃面は綺麗な状態だと判断することができる。つまり、掃除動作した場所については、もうこれ以上掃除しなくても良い状態になっていることがわかる。
【0087】
ここで、本実施の形態における「所定時間」、「基準値」は、電動送風機の入力、被清掃面の種類、被清掃面上の塵埃量などにより決定されるもので、これらを考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。
【0088】
もし、制御部20が、使用者が掃除している被清掃面が綺麗になっている状態を検出しているにも関わらず、使用者が同じ場所の掃除を続けていることを検知した場合、使用者の掃除の効率が悪くなっている可能性がある。そこで、制御部20は、塵埃検知部7の情報により、被清掃面が綺麗になっている状態を所定時間以上、検出した場合、温度検知部14の情報も監視することにより、上記の場面の識別が可能になる。
【0089】
例えば、絨毯を400Wで掃除中、被清掃面が綺麗な状態になったことを検出した状態で、温度検知部14が、図6(b)に示すP31の表面温度を検出し続けておれば、使用者が綺麗になった被清掃面に対して、掃除を継続していることが識別できる。
【0090】
また、絨毯を400Wで掃除中、被清掃面が綺麗な状態になったことを検出した状態で、温度検知部14が、図6(b)に示す絨毯400Wでの温度上昇率(単位時間あたりの温度上昇値=(P31−P0)/(T2−T0) )を検出すれば、使用者が綺麗になった床面に対して、引き続き掃除をしていることが識別できる。
【0091】
よって、制御部20は、報知部23(例えばLEDを点滅させる)に出力したり、電動
送風機2の入力と電動機13の回転数を一時的に低下させたりして、使用者に報知し、使用者に次の新しい別の掃除場所への移動を促すことで、使用者が、効率良い掃除と省エネルギーができるようにアシストを行うことができる。
【0092】
また、一般的に、ダニは高温多湿を好み、畳や絨毯などがダニの隠れ場所になっており、温度が25〜30℃、湿度が60〜85%がダニの繁殖に適した条件と言われている(図9(a))。
【0093】
そして、図9(b)に示すように、電動送風機2の入力を低くして絨毯を電気掃除機で掃除した場合(例えば300W)、吸引できた絨毯の深部吸込みの塵埃量はG2となる。これに対して、入力を高くした場合(例えば700W)、吸引できた絨毯の深部吸込みの塵埃量はG3となり、電動送風機2の入力が高い方が、絨毯の深部から吸引する塵埃量の多いことが、実験で明らかになっている。
【0094】
そこで、本実施の形態の電気掃除機では、制御部20が、絨毯を掃除していると判断した場合で、温度検知部14により検知される被清掃面の表面温度が、例えば、20℃以上35℃以下であると判断した場合には、ダニの生息が予想されるので、電動送風機2の入力を増加するように制御を行う。
【0095】
例えば、制御部20は、塵埃検知部7からの情報により検出する塵埃量に応じて、図9(c)に示すように、塵埃検出量のレベルを0、1、2、3の4段階に判定する。そして、判定したレベルに応じて、電動送風機2の入力を制御する。被清掃面の表面温度が、20℃未満の場合、レベル0なら300W、レベル1なら400W、レベル2なら500W、そして、レベル3なら600Wという具合に制御を行う。
【0096】
ここで、もし制御部20が、被清掃面の表面温度が20℃以上であると判断した場合には、判定した塵埃検出量のレベルに応じて、電動送風機2の入力を、レベル0なら350W、レベル1なら500W、レベル2なら600W、そして、レベル3なら700Wという具合に、被清掃面の表面温度を20℃未満の時より、更に増加する制御を行う。これにより、ダニが生息しやすい絨毯においてダニの快適温度を検出した場合、電動送風機2の入力を上げて、効率良くダニの除去を行える使用性の良い電気掃除を提供することができる。
【0097】
また、回転ブラシ11のブラシ毛17は、被清掃面と摺動することで摩耗し、運転時間とともに短くなってくる。そして、短くなったブラシ毛17と、被清掃面とが摺動することによって起きる摩擦熱は、若干ではあるが少なくなり、被清掃面の表面温度の温度上昇率も変化する。
【0098】
まず、ブラシ毛17の長さと運転時間の関係を図10(a)に示す。新品の初期状態では、ブラシ毛17の長さはL0(例えば7mm)ある。運転時間が100時間経過すると、その長さは、L1(例えば6mm)になる。そして、運転時間が200時間経過すると、その長さはL2(例えば5mm)、運転時間が300時間経過すると、その長さはL3となり、運転時間の経過とともにブラシ毛17が被清掃面との摩擦で削れ、短くなっていく。この時、使用者が絨毯の上で、電動送風機2を400Wの入力で運転し、掃除動作を同じ場所で繰り返した場合の経過時間と被清掃面の表面温度との関係を図10(b)に示す。
【0099】
まず、掃除開始前時点T0での被清掃面の表面温度はP0である。新品の吸込具10で掃除を開始した場合、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P310に達し飽和するように変化する。次いで、運転時間が100時
間経過後の吸込具10で掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P311となり飽和する。次いで、運転時間が200時間経過後の吸込具10で掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P312となり飽和する。次いで、運転時間が300時間経過後の吸込具10で掃除を開始すると、被清掃面の表面温度は、時間が経過するとともに上昇し、所定時間T2で、所定温度P313となり飽和する。
【0100】
このように、累積運転時間が増えるほど、ブラシ毛17が摩耗により短くなり、被清掃面との摺動抵抗が減り、被清掃面との間で発生する摩擦熱も低下する。その結果、所定時間に到達する被清掃面の表面温度も低くなっていくのである。
【0101】
絨毯での累積運転時間に対する被清掃面の表面温度の温度上昇率は、図10(c)のような関係になる。例えば、累積運転時間0時間では、電動送風機2を400Wの入力にして、掃除した場合は、絨毯の被清掃面の表面温度の温度上昇率は、(P310−P10)/(T2−T0)の値で判定することができる。しかし、累積運転時間が100時間を経過した吸込具10では、ブラシ毛17の摩耗により、累積運転時間が0時間と同じ絨毯を掃除しても、その温度上昇率は異なる。よって、この時点では、補正した温度上昇率(P311−P0)/(T2−T0)を判定値とすることで、摩耗したブラシ毛17でも絨毯を精度良く識別することができる。
【0102】
このように、制御部20が予め、被清掃面の種類毎に電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機の入力毎にまとめた第1データと、被清掃面の種類毎に電動送風機2の入力と回転ブラシ11の使用時間とを固定して測定された掃除動作中の表面温度の経時変化のデータを、電動送風機2の入力と回転ブラシ11の累積運転時間との組み合わせ毎にまとめた第2データとを記憶しており、この第1データを第2データにより補正した第3データと、温度検知部14で検出される被清掃面の表面温度とにより、被清掃面の種類を識別することで、長期間に渡り精度良く被清掃面の識別を行うことができる。また、電動送風機2の入力毎の補正値も合わせて記憶しておくことで、長期間に渡り精度良く被清掃面の識別を行うことができる使用性の良い電気掃除機を提供することができる。
【0103】
ここで、本実施の形態における「第2データ」は、電動送風機の入力、被清掃面の種類、回転ブラシの累積運転時間などにより決定されるもので、これらを考慮して、実験、シミュレーション、及びモニターのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。
【0104】
また、本実施の形態においては、制御部20は、温度検知部14からの信号に基づき、被清掃面の種類を識別し、電動送風機20の入力を制御する構成について説明したが、制御部20は、温度検知部14からの信号に基づき、被清掃面の種類を識別し、電動機13の入力を制御するように構成されていてよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、使用者が掃除している被清掃面の種類が識別でき、掃除している場所が同じ所を継続して掃除しているのか、それとも違う新たな場所を掃除しているのかを識別できるので、使用者の掃除動作のパターンや掃除する被清掃面の種類や被清掃面比率を把握することができるので、高度な制御が要求される家庭用及び業務用電気掃除機の分野等に広く適用できる。
【符号の説明】
【0106】
2 電動送風機
7 塵埃検知部
10 吸込具
11 回転ブラシ
13 電動機
14 温度検知部
20 制御部
23 報知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生させる電動送風機と、前記電動送風機よりも上流側に配置されており、塵埃を捕集する集塵部とを有する掃除機本体と、
下面に開口部が設けられており、被清掃面から塵埃を吸引する吸込具と、
一端が前記吸込具に接続される延長管と、
一端が前記延長管に接続されており、他端が前記掃除機本体に接続されるホースと、
前記吸込具に設けられており、前記吸込具が前記被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する前記被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、
前記温度検出手段により検出された前記表面温度の変化に基づいて前記被清掃面の種類を識別する制御部と、
を有する電気掃除機。
【請求項2】
前記温度検知部は、予め設定した開始時間から終了時間まで前記被清掃面の表面温度を検出する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検知部によって検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記電動送風機の入力を制御する請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記集塵部よりも上流側には、前記吸込具から吸引された塵埃の量を検知する塵埃検出部が設けられている請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度検知部によって検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量と前記被清掃面の種類とに基づいて、前記電動送風機の入力を制御する請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記吸込具には、使用者に掃除に関する情報を報知する報知部が設けられている請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記制御部は、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量が、予め設定された基準時間以上、基準値以下で、かつ、前記温度検知部により検出される前記表面温度が上昇している際に、前記報知部への出力を行う請求項6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記制御部は、前記被清掃面の種類が絨毯であると識別し、かつ、前記温度検知部が検出した前記表面温度が所定温度である場合には、前記電動送風機の入力を増加させる請求項1〜7のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記制御部には、前記被清掃面の種類毎に前記電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の前記表面温度の経時変化のデータを、前記電動送風機の入力毎にまとめた第1データが格納されており、前記制御部は、前記温度検知部によって検出される前記被清掃面の前記表面温度の変化と前記第1データとに基づいて前記被清掃面の種類を識別する請求項1〜8のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシが設けられており、前記制御部には、前記被清掃面の種類毎に前記電動送風機の入力と前記回転ブラシの使用時間とを固定して測定された掃除動作中の前記表面温度の経時変化のデータを、前記電動送風機の入力と前記回転ブラシの前記使用年数との組み合わせ毎にまとめた第2データが格納されており、前記制御部は、前記回転ブラシの使用時間により前記第1データを前記第2データで補正し、前記第1データを前記第2データで補正した第3データと前記温度検知
部により検出された前記被清掃面の前記表面温度の変化とに基づいて前記被清掃面の種類を識別する請求項9に記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【請求項12】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量と前記被清掃面の種類とに基づいて、前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【請求項13】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記電動送風機の入力及び前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【請求項14】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量と前記被清掃面の種類とに基づいて、前記電動送風機の入力及び前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【請求項1】
吸引風を発生させる電動送風機と、前記電動送風機よりも上流側に配置されており、塵埃を捕集する集塵部とを有する掃除機本体と、
下面に開口部が設けられており、被清掃面から塵埃を吸引する吸込具と、
一端が前記吸込具に接続される延長管と、
一端が前記延長管に接続されており、他端が前記掃除機本体に接続されるホースと、
前記吸込具に設けられており、前記吸込具が前記被清掃面上を移動する際に生じる摩擦熱により変化する前記被清掃面の表面温度を検出する温度検知部と、
前記温度検出手段により検出された前記表面温度の変化に基づいて前記被清掃面の種類を識別する制御部と、
を有する電気掃除機。
【請求項2】
前記温度検知部は、予め設定した開始時間から終了時間まで前記被清掃面の表面温度を検出する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検知部によって検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記電動送風機の入力を制御する請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記集塵部よりも上流側には、前記吸込具から吸引された塵埃の量を検知する塵埃検出部が設けられている請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度検知部によって検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量と前記被清掃面の種類とに基づいて、前記電動送風機の入力を制御する請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記吸込具には、使用者に掃除に関する情報を報知する報知部が設けられている請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記制御部は、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量が、予め設定された基準時間以上、基準値以下で、かつ、前記温度検知部により検出される前記表面温度が上昇している際に、前記報知部への出力を行う請求項6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記制御部は、前記被清掃面の種類が絨毯であると識別し、かつ、前記温度検知部が検出した前記表面温度が所定温度である場合には、前記電動送風機の入力を増加させる請求項1〜7のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記制御部には、前記被清掃面の種類毎に前記電動送風機の入力を固定して測定された掃除動作中の前記表面温度の経時変化のデータを、前記電動送風機の入力毎にまとめた第1データが格納されており、前記制御部は、前記温度検知部によって検出される前記被清掃面の前記表面温度の変化と前記第1データとに基づいて前記被清掃面の種類を識別する請求項1〜8のうちの何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシが設けられており、前記制御部には、前記被清掃面の種類毎に前記電動送風機の入力と前記回転ブラシの使用時間とを固定して測定された掃除動作中の前記表面温度の経時変化のデータを、前記電動送風機の入力と前記回転ブラシの前記使用年数との組み合わせ毎にまとめた第2データが格納されており、前記制御部は、前記回転ブラシの使用時間により前記第1データを前記第2データで補正し、前記第1データを前記第2データで補正した第3データと前記温度検知
部により検出された前記被清掃面の前記表面温度の変化とに基づいて前記被清掃面の種類を識別する請求項9に記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【請求項12】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量と前記被清掃面の種類とに基づいて、前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【請求項13】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記電動送風機の入力及び前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【請求項14】
前記吸込具には、前記被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機が設けられており、前記制御部は、前記温度検知部により検出される前記表面温度の変化に基づいて、前記被清掃面の種類を識別し、前記塵埃検出部により検出される前記塵埃の量と前記被清掃面の種類とに基づいて、前記電動送風機の入力及び前記電動機の入力を制御する請求項1〜8に記載の電気掃除機。
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−206354(P2011−206354A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78362(P2010−78362)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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