説明

電気掃除機

【課題】吸込具の動作状態の検出精度を向上させて、省エネ効果の高い電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸引風を発生する電動送風機2と、前記電動送風機2に連通し且つ、下面に設けられた塵埃吸込み口(図示せず)から床面の塵埃を吸引する吸込具6と、前記吸込具6の中に設けられ床面の塵埃を掻きあげる回転ブラシ7と、前記吸込具6の動作中の加速度を検出するための検出手段8と、前記電動送風機2の入力を制御すための制御手段9を設け、前記検出手段8により前記吸込具6の加速度が検出されていないときは、前記制御手段9により前記電動送風機2の動作を停止させるもので、使用者の掃除状況により無駄な電力を使用すること抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特に吸込具の動作に連動した電気掃除機の制御方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電気掃除機として、吸込具の動作速度を検出して、その動作速度に応じて、電動送風機の動作を制御するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1で開示されている従来の電気掃除機の構成を図6を用いて説明する。
【0004】
図6は、従来の電気掃除機の吸込具の要部断面図である。図6において、従来の電気掃除機の吸込具6をスムーズに動作させることができるように、吸込具6には、走行用ローラー10が具備されている。吸込具6には、ホール素子11が設けられ、走行ローラー10には磁石12が設けられ、走行用ローラー10の回転を検出することができ、所定時間におけるホール素子11のカウント数により走行用ローラー10および吸込具6の動作している速度を推定することができるようになっている。
【0005】
ここで吸込具6が動作していると判断された場合には、使用者が掃除を行っているものであるとし、電動送風機(図示せず)を動作させたままの状態とし、一方、吸込具6が停止していると判断した場合には、使用者が掃除を行っていないものとして、電動送風機の入力を停止し、省エネを図るための制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−193244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記特許文献1に記載されたような従来の電気掃除機の構成では、掃除を行っていない場合の状態として、吸込具を床面につけ、走行用ローラー10を回転させたまま移動する場合など、使用者が掃除を行う状態を完全に反映するものではなく、電動送風機の入力を停止させたい状況であっても、電動送風機を動作させたままの状態となってしまうという課題があった。
【0008】
また、吸込具6の動作を検出するための磁石12が、床面に接触しながら回転する走行用ローラー10に具備されているため、ホール素子11と走行用ローラー10間に埃や塵埃が入り込み、ホール素子11と磁石12間に留まり、検出できなくなってしまうという課題もあった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、吸込具の動作状態の検出精度を向上させ、省エネ効果の高い電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、吸引風を発生する電動送風機と、前記電動送風機に連通し且つ、下面に設けられた塵埃吸込み口から床面の塵埃を吸引する吸込具と、前記吸込具の中に設けられ床面の塵埃を掻きあげる回転ブラシと、前記吸込具の動作中の加速度を検出するための検出手段と、前記電動送風機の入力を制御する
ための制御手段を設け、前記検出手段により前記吸込具の加速度が検出されていないときは、前記制御手段により前記電動送風機の動作を停止させるもので、使用者の掃除状況により無駄な電力を使用することを抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気掃除機は、吸込具の動作状態の検出精度が向上し、省エネ効果が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の概略図
【図2】(a)同電気掃除機の吸込具の時間と速度の関係を示す図、(b)同吸込具の時間と加速度の関係を示す図
【図3】同電気掃除機の制御方法を説明するブロック図
【図4】同吸込具の構成図
【図5】同電気掃除機の電動送風機の動作説明図
【図6】従来の電気掃除機の吸込具の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、吸引風を発生する電動送風機と、前記電動送風機に連通し且つ、下面に設けられた塵埃吸込み口から床面の塵埃を吸引する吸込具と、前記吸込具の中に設けられ床面の塵埃を掻きあげる回転ブラシと、前記吸込具の動作中の加速度を検出するための検出手段と、前記電動送風機の入力を制御するための制御手段を設け、前記検出手段により前記吸込具の加速度が検出されていないときは、前記制御手段により前記電動送風機の動作を停止させるもので、使用者の掃除状況により無駄な電力を使用することを抑えることができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明の検出手段は、吸込具の、前後・上下・左右の三方向の動作方向を検出するもので、カーテンなどを掃除する際の吸込具の左右の動きや、吸込具を持ち上げた時の動作も検出できるようになり、一層精度良く吸込具の動作を検出して省エネを図ることができる。
【0015】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の検出手段により吸込具の加速度が検出されていないときは、制御手段により電動送風機の入力をあらかじめ設定した第1の所定時間毎に徐々に変化させるもので、掃除を行う際に邪魔なものをどかすといった動作をするために掃除を一時中断するといったような状況の場合、電動送風機の入力が停止した状態からよりも、電動送風機の入力が小さくなった状態から掃除を再開したほうが電動送風機の入力が、掃除を行っていたときの状態に復帰するまでの時間が短くてすむために、効率よく掃除を続けていくことができるようになる。
【0016】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の検出手段により吸込具の加速度が検出されていないときは、制御手段により回転ブラシの動作を停止させるもので、使用勝手の良い電気掃除機を提供することができる。
【0017】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の検出手段により吸込具の加速度が検出されていないときは、制御手段により回転ブラシの入力をあらかじめ設定した第2の所定時間毎に徐々に変化させるもので、使用勝手の良い電気掃除機を提供することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における電気掃除機について、図1〜図5を用いて説明する。図1は、本実施の形態における電気掃除機の概略図である。
【0020】
図1において、本実施の形態における電気掃除機の掃除機本体1内には、電動送風機2が収納され吸引力を発生させる。掃除機本体1には、ホース3が接続され、その一部に利用者が操作する操作部4が設けられている。さらにホース3から延長管5を介して、下面に塵埃吸込み口(図示せず)を有する吸込具6が接続される。前記吸込具6の中には、床面の塵埃を掻きあげることにより床面の塵埃を吸引しやすくするための回転ブラシ7を配している。また前記吸込具6の内部には、吸込具6の前後方向の動作を検出するための検出手段8が配されている。この検出手段8には所定の方向に対する加速度を検出するものを配するものとする。また、掃除機本体1内には、検出手段8や操作部4からの信号を取り込み、その信号にあわせて電動送風機2の回転数を決定し駆動を行う制御手段9が配されている。
【0021】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0022】
通常床面の掃除を行う場合は、吸込具6を前後に移動させて床面の塵埃を吸引させるが、吸込具6を前方に移動させたときの吸込具6の動きは、停止している状態から前方に動き出し、一定速度となった後に前方へ進む速度が遅くなり、使用者の手の届く範囲内で停止するというような一連の動作となる。
【0023】
このときの吸込具6の動作中の時間と速度の関係を図2(a)に示し、合わせて時間と加速度の関係を図2(b)に示す。吸込具6を後方に移動させた場合も向きが逆となるだけであり同様な関係となることは明確である。このように掃除を行っている場合の吸込具6に発生する加速度は、所定の時間内に正負の値を発生させることとなる。
【0024】
ここで、掃除を行っている際の状況を考えると、通常の掃除を行っている場合の動作は前述したようになる。次に、掃除を行う場所を変更するために、掃除機本体1を移動する場合が考えられるが、この場合、吸込具6を床面につけたまま移動することが考えられる。この場合、移動している間一方方向に進み続けることとなるため、吸込具6にかかる所定時間での加速度方向の変化が無く通常の掃除状況とは違うことを検出することができる。
【0025】
また、吸込具6を浮かした状態または、掃除機本体1に接続した状態で移動した場合においても、吸込具6にかかる加速度の変化は無い。または加速度の変化がある場合においても通常の掃除状態のように、吸込具6を急激に移動させることは無いため吸込具6にかかる加速度の絶対値が小さくなる。
【0026】
これにより通常の掃除状況とは違うということを検出することができる。このように吸込具6に加わる加速度を検出することにより通常の掃除状況であるのか、移動中であるのかを検出することができるようになる。
【0027】
このように、吸込具6内に検出手段8を配することにより、通常の掃除を行っている状況と、掃除を一時中断している状況を明確に検出することが可能となっている。
【0028】
この検出手段8からの信号は、図3に示しているように、延長管5、ホース3を通り掃除機本体1内に配されている制御手段9に送信される。制御手段9によって吸込具6が掃
除を一時中断している状況であると判断した場合、掃除を行っていない状況であるため電動送風機2の回転を停止させて、無駄な電力を抑制することができるようになる。掃除を一時中断した状態から、再度掃除を行う場合、再び吸込具6に加速度が加わるため吸込具6が動作していることを検出することができ、再度電動送風機2を回転させるように、制御手段9によって制御を行う。
【0029】
図4に示しているように、吸込具6に配されている検出手段8を、前後、左右、上下の3方向を検出できるように配した場合、さらに精度の高い検出を行うことが可能となる。例えば、カーテン(図示せず)などを掃除する場合、吸込具6を前後ではなく左右に動作させるということが考えられるが、吸込具6の動作の検出可能方向が前後方向のみの場合であると、このような動作を行った場合に、吸込具6の左右の動作を検出することが難しくなってしまう。そこで、前後、左右、上下の3方向の検出をできるようにした場合には、吸込具6が左右に動作した場合であっても検出が可能となり、また、吸込具6を持ち上げたこともあわせて検出できるため、動作中であるということがはっきりと検出可能となりより精度の高い動作検出を行うことが可能となる。
【0030】
また、吸込具6が停止し、掃除作業を一時中断していると判断した場合、図5に示しているように、第1の所定時間吸込具6が停止している場合に、電動送風機2の入力を低下させ、そこからさらに第1の所定時間経過した後に、さらに電動送風機2の入力を低下させその後、さらに第1の所定時間経過した後に電動送風機2を停止させる制御を行うようにする。
【0031】
これにより、掃除中に、掃除を行う際に邪魔なものをどかすといった動作をするために掃除を一時中断するといったような状況の場合、電動送風機2の入力が停止した状態からよりも、電動送風機2の入力が小さくなった状態から掃除を再開したほうが電動送風機2の入力が、掃除を行っていたときの状態に復帰するまでの時間が短くてすむために、効率よく掃除を続けていくことができるようになる。
【0032】
ある程度以上の時間、吸込具6の動作がない状態が続いている場合、掃除を行う状況が整っていないと考えられ、そこからさらに吸込具6の動作が無い状態が続いていくということも考えられるため、第1の所定時間以上では、段階的に電動送風機2の入力を低下させ停止させるというような制御が実際の使用状況にあった効率的な制御方法であると考えることができる。
【0033】
このときの電動送風機2の入力を低下させる割合、電動送風機2の入力を下げる第1の所定時間も複数のパターンをあらかじめ準備しておき、使用者が選択できるようにすることも可能である。このように、使用者が選択できるようにしておいた場合、より実際の掃除状況にあった制御が可能となり、使用者にとって非常に使用勝手のよい電気掃除機を提供することができるようになる。
【0034】
吸込具6内に配されている回転ブラシ7に関しても、検出手段8の動作により電動送風機2と同様の制御を行うことができる、すなわち、吸込具6が掃除を一時中断することにより停止した場合、回転ブラシ7の回転を停止または、第2の所定時間経過後に回転ブラシ7の回転数を小さくするといった制御を行うことができ、これにより使用勝手のよい電気掃除機を提供することが可能となる。この場合も、回転数を下げるための第2の所定時間、回転数を複数のパターンをあらかじめ準備することにより、使用者の使用状況に合わせて選択し、より使い勝手のよいものとすることができる。
【0035】
また、吸込具6の動作検出方向を、前後、左右、上下の3方向検出できるようにした場合、吸込具6が、床面から浮いているのかどうかということも同時に検出することが可能
となるので、現在一般的に吸込具6に配されている床面に接しているかどうかを検出するためのスイッチを廃止することが可能となる。このスイッチが廃止できた場合、床面に傷をつける原因のひとつを除去することとなり更に使用勝手のよい電気掃除機とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、吸込具の動作状況を精度良く検出して省エネ性に優れたもので、電気掃除機だけでなく動作させながら使用する電気製品にも特に有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 掃除機本体
2 電動送風機
3 ホース
4 操作部
5 延長管
6 吸込具
7 回転ブラシ
8 検出手段
9 制御手段
10 走行用ローラー
11 ホール素子
12 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生する電動送風機と、前記電動送風機に連通し且つ、下面に設けられた塵埃吸込み口から床面の塵埃を吸引する吸込具と、前記吸込具の中に設けられ床面の塵埃を掻きあげる回転ブラシと、前記吸込具の動作中の加速度を検出するための検出手段と、前記電動送風機の入力を制御すための制御手段を設け、前記検出手段により前記吸込具の加速度が検出されていないときは、前記制御手段により前記電動送風機の動作を停止させることを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
検出手段は、吸込具の、前後・上下・左右の三方向の動作方向を検出する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
検出手段により吸込具の加速度が検出されていないときは、制御手段により電動送風機の入力をあらかじめ設定した第1の所定時間毎に徐々に変化させることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
検出手段により吸込具の加速度が検出されていないときは、制御手段により回転ブラシの動作を停止させることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
検出手段により吸込具の加速度が検出されていないときは、制御手段により回転ブラシの入力をあらかじめ設定した第2の所定時間毎に徐々に変化させることを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−41621(P2011−41621A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190623(P2009−190623)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】