説明

電気掃除機

【課題】通常の掃除中に騒音や電力消費を増大させずに空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集できる、電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機は、空気から塵埃を分離し捕集する集塵部15と、集塵部15へ塵埃を含む空気を流通させるための電動送風機16と、電動送風機16により吸引される空気の流量を検知する風量センサ23と、外部から吸い込んだ空気を清浄化するための空気清浄部30と、空気清浄部30へ空気を吸引する空気清浄用送風機18と、空気清浄用送風機18を駆動するモータ26と、モータ26を制御する制御部と、を備える。制御部は、風量センサ23によって検知された流量に基づいて、モータ26の駆動状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特に、空気清浄機能を有する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機と空気清浄機との両方を同時に運転させることが可能な空気清浄機能付き電気掃除機において、掃除機本体を、集塵室を含む掃除風路と、空気清浄のための清浄風路とに区画し、掃除風路と清浄風路とに別々の排気フィルターを設け、掃除用の電動送風機と空気清浄用送風機との両方の性能を十分に生かすようにした、電気掃除機が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−135992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献には、通常の掃除をしながらまたは掃除終了後に空気清浄機能を運転して、空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集することが記載されている。しかし、上記文献には、空気清浄機能の運転状態についてオン/オフの切換がされることのみが開示されており、空気清浄機能の運転中の運転状態は変化しない。そのため、空気清浄機能の運転によって、電気掃除機の騒音が増大したり、電気掃除機の運転に係る電力の消費量が増大したりする問題があった。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、通常の掃除中に騒音の増大や電力消費の増大などを招来することなく空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集できる、電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る電気掃除機は、空気から塵埃を分離し捕集する集塵部と、集塵部へ塵埃を含む空気を流通させるための電動送風機と、電動送風機により吸引される空気の流量を検知する風量センサと、外部から吸い込んだ空気を清浄化するための空気清浄部と、空気清浄部へ空気を吸引する空気清浄用送風機と、空気清浄用送風機を駆動するモータと、モータを制御する制御部と、を備える。制御部は、風量センサによって検知された流量に基づいて、モータの駆動状態を制御する。
【0007】
上記電気掃除機において、制御部は、流量が低下したことを風量センサが検知するとき、モータの負荷を増加させてもよく、または、流量が増加したことを風量センサが検知するとき、モータの負荷を低下させてもよい。
【0008】
上記電気掃除機は、電動送風機を駆動する吸込みモータを備え、風量センサは、吸込みモータへ供給される電流を検知することにより、流量を検知してもよい。
【0009】
本発明の他の局面に係る電気掃除機は、吸込口体を備える。吸込口体は、被掃除面に向かって開口する集塵開口部が形成された本体ケースと、本体ケース内に配置され被掃除面の種類を識別する被掃除面センサと、を含む。電気掃除機はさらに、外部から吸い込んだ空気を清浄化するための空気清浄部と、空気清浄部へ空気を吸引する空気清浄用送風機と、空気清浄用送風機を駆動するモータと、モータを制御する制御部と、を備える。制御部は、被掃除面センサによって識別された被掃除面の種類に基づいて、モータの駆動状態を制御する。
【0010】
上記電気掃除機において、吸込口体は、集塵開口部に連通する本体ケース内の空間に配置され被掃除面に向いて回転する回転ブラシと、回転ブラシを駆動するブラシモータと、を含み、被掃除面センサは、ブラシモータへ供給される電流の値に基づいて、被掃除面の種類を識別してもよい。
【0011】
上記電気掃除機において、制御部は、吸込口体が被掃除面から離れて掃除動作が休止したとき、モータの負荷を低減させてもよい。
【0012】
上記電気掃除機において、制御部は、吸込口体が被掃除面に停止して掃除動作が休止したとき、モータの負荷を低減させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気掃除機によると、通常の掃除中に、騒音の増大や電力消費の増大などを招来することなく、空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電気掃除機の外観図である。
【図2】電気掃除機の掃除機本体部の構成を示す断面模式図である。
【図3】電気掃除機の吸込口体の構成を示す模式図である。
【図4】吸込口体が床面上に配置された状態を示す模式図である。
【図5】電気掃除機の制御部の構成の詳細を示すブロック図である。
【図6】操作キーの詳細を示す概略図である。
【図7】「強」運転モードでの吸込みモータとファンモータとの運転状態を示す図である。
【図8】「エコ」運転モードでの吸込みモータとファンモータとの運転状態を示す図である。
【図9】ファンモータ回転数の制御の一例を示すフローチャートである。
【図10】ファンモータ回転数の制御の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0016】
図1は、電気掃除機Xの外観図である。図1に示すように、電気掃除機Xは、掃除機本体部1、吸込口体2、接続管3、接続ホース4、操作ハンドル5を備える。掃除機本体部1は、掃除機本体部1の前端に接続された接続ホース4と、接続ホース4に接続された接続管3とを介在させて、吸込口体2に接続されている。電気掃除機Xでは、吸込口体2から塵埃を含む空気が吸い込まれ、吸込口体2から吸気された空気は、接続管3および接続ホース4を経由して掃除機本体部1に流入する。掃除機本体部1の内部において、空気から塵埃が分離され、塵埃が分離された後の空気は、掃除機本体部1の後端に設けられた排気口から排出される。
【0017】
操作ハンドル5には、ユーザが電気掃除機Xの稼動操作や運転モードの選択操作などを行なうための、操作キーが設けられている。操作キーの近傍には、電気掃除機Xの現在の状態を表示する、LED(Light Emitting Diode)などの図示しない表示部も設けられている。
【0018】
図2は、電気掃除機Xの掃除機本体部1の構成を示す断面模式図である。図2には、掃除機本体部1に取り付けられた一対の走行用車輪7によって、掃除機本体部1が床面100上に支持されている状態が図示されている。図2に示すように、掃除機本体部1の前部(図中左側)には第一吸気口としての吸気口11が形成され、後部(図中右側)には第一排気口としての排気口12が形成されている。また掃除機本体部1の上部には第二吸気口としての吸気口13が形成され、後部には第二排気口としての排気口14が形成されている。排気口12,14には、空気を濾過するフィルタが取り付けられていてもよい。
【0019】
吸気口11の下流側には、集塵部の一例としての集塵室15が設けられている。集塵室15において、吸気口11を経由して集塵室15の内部へ流入する空気から、塵埃が除去される。集塵室15の下流側には、電動送風機16を収容するファン収容室10が設けられている。集塵室15とファン収容室10とは、通風路19によって連通されている。集塵室15から流出する空気は、通風路19を経由してファン収容室10の内部へ流入する。吸気口11、集塵室15、通風路19、ファン収容室10および排気口12は、吸気口11から集塵室15、通風路19およびファン収容室10を順に通過して排気口12へ至る、掃除用風路を形成する。
【0020】
ファン収容室10の内部には、集塵室15への吸気を行なうための電動送風機16と、電動送風機16を回転駆動する送風機モータとしての吸込みモータ21と、が配置されている。吸込みモータ21は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変えて回転力を発生し、電動送風機16を回転駆動する。吸込みモータ21と電動送風機16とは、回転シャフト22によって連結されている。吸込みモータ21で発生した回転力は、回転シャフト22を経由して、電動送風機16へ伝達される。電動送風機16が作動することによって、図1に示す吸込口体2から塵埃を含む空気が吸引され、吸気口11を経由して集塵室15へ空気が流通する。集塵室15へ流入した空気に含まれる塵埃は、集塵室15において空気から分離されて、集塵室15の内部に捕集される。
【0021】
ファン収容室10にはまた、風量センサ23が配置されている。風量センサ23は、電動送風機16の動作により集塵室15へ吸引される空気の流量を検知する。風量センサ23は、吸込みモータ21に取り付けられている。風量センサ23は、吸込みモータ21へ供給される電流を検知して、電流に比例する風量を検知する。
【0022】
集塵室15内には図示しない集塵フィルタが設けられる。集塵フィルタの清掃直後は集塵フィルタへの塵埃の詰まりが少ないので、吸込みモータ21への供給電力が小さくても所定量以上の空気を掃除用風路へ供給でき、集塵室15へ流通する空気の流量を確保できる。
【0023】
集塵フィルタへの塵の詰まりが増加して集塵室15へ流通する空気の流量が低下すると、掃除用風路へ所定量以上の空気を供給するために、吸込みモータ21への供給電力を大きくする。吸込みモータ21への供給電力を大きくすることで吸込みモータ21の回転数を増加し、電動送風機16による通風量を増加させる。このときの吸込みモータ21への供給電力の変化を検知することで、風量センサ23は、電動送風機16によって掃除用風路へ吸引される空気の流量を検知する。風量センサ23による空気の流量の検知方法の他の例として、吸込みモータ21の回転数の変化を検知する方法、または、吸気口11での風圧の変化を検知する方法などがある。
【0024】
掃除機本体部1の内部にはさらに、吸気口13を経由して外部から吸い込んだ空気を清浄化し、排気口14を経由して外部へ流通させる、空気清浄部30が設けられている。吸気口13、空気清浄部30および排気口14は、清浄用風路を形成する。空気清浄部30の内部には、吸気口13の近傍に、好ましくは吸気口13に対向して、電動送風機16と異なる第二の送風機としての空気清浄用送風機18が配置されている。
【0025】
空気清浄部30の内部にはまた、空気清浄用送風機18を駆動するファンモータ26が配置されている。ファンモータ26は、吸込みモータ21と同様に電気的エネルギーを機械的エネルギーに変えて回転力を発生し、空気清浄用送風機18を回転駆動する。空気清浄用送風機18とファンモータ26とは、回転シャフト27によって連結されている。ファンモータ26で発生した回転力は、回転シャフト27を経由して、空気清浄用送風機18へ伝達される。空気清浄用送風機18の動作によって、吸気口13を経由して空気清浄部30へ空気が吸引され、空気清浄部30の内部空間を経由して空気が流通し、排気口14を経由して空気清浄部30から空気が流出する。
【0026】
空気清浄部30の内部には、イオン発生部31が配置されている。イオン発生部31は、正イオンおよび負イオンを発生する。正イオンは、水素イオン(H)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、負イオンは、酸素イオン(O)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンである。正イオンおよび負イオンを空気内に放出すると、両イオンが空気中を浮遊するカビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その表面上で互いに化学反応を起こす。その際に生成される活性種の水酸化ラジカルの作用により、浮遊カビ菌などが除去される。なお空気清浄部30は、空気を清浄するものであれば、イオンを用いるものに限られるものではない。
【0027】
吸気口13と排気口14とのいずれかまたは両方に、空気を濾過するフィルタが取り付けられている。フィルタはたとえばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)であってもよい。フィルタを通過して空気が流通するとき、空気中に含まれるゴミや塵埃がフィルタによって取り除かれる。イオン発生部31とフィルタとの作用によって、空気清浄部30を流通する空気は清浄空気になる。
【0028】
空気清浄部30にはまた、ファンモータ26の回転数を検知するセンサ28が配置されている。センサ28は、ファンモータ26に取り付けられている。センサ28は、ファンモータ26の回転数を直接計測するものでもよく、ファンモータ26へ供給される電流を検知するものでもよい。
【0029】
図3は、電気掃除機Xの吸込口体2の構成を示す模式図である。図4は、吸込口体2が床面100上に配置された状態を示す模式図である。図3および図4を参照して、吸込口体2は、吸込口体2の輪郭を形成する樹脂成形品の本体ケース40を有する。本体ケース40の底面側には、本体ケース40の一部が開口する集塵開口部41が形成されている。集塵開口部41は、被掃除面の一例としての床面100に向かって、本体ケース40の底面が開口して形成されている。被掃除面とは、電気掃除機Xにより掃除される対象の面である。吸込口体2には、その後方側(図3中の上側、図4中の右側)において、接続管3が連結されている。
【0030】
集塵開口部41には、回転ブラシ42が配置されている。回転ブラシ42は、本体ケース40内の、集塵開口部41に連通する空間に配置されている。回転ブラシ42は、シャフト43と、シャフト43の回りに螺旋状に取り付けられた複数のブラシ部とを有し、シャフト43を回転中心として回転可能に設けられている。図4に示すように、集塵開口部41を介して床面100に対向して配置された回転ブラシ42が回転することにより、床面100から塵埃が掻き上げられる。掻き上げられた塵埃は、電動送風機16の駆動によって流通する空気と共に、吸込口体2に吸い込まれ、接続管3、接続ホース4の順に移動し、掃除機本体部1へ流入して集塵室15で捕集される。
【0031】
吸込口体2はまた、回転ブラシ42を駆動するブラシモータ45を含む。ブラシモータ45は、回転ブラシ42に対して吸込口体2の後方側に配置されている。回転ブラシ42のシャフト43の一端には、伝動軸47が連結されている。ブラシモータ45には、伝動軸48が連結されている。伝動ベルト49は、伝動軸47,48に巻き掛けられている。伝動軸47,48は、伝動ベルト49を介して連結されている。ブラシモータ45で発生した回転駆動力は、伝動軸48、伝動ベルト49および伝動軸47を順に経由して回転ブラシ42へ伝達され、回転ブラシ42を回転駆動する。回転ブラシ42は、ブラシモータ45からの回転駆動力を受けて回転する、パワーブラシである。
【0032】
吸込口体2の本体ケース40の内部にはまた、被掃除面センサの一例としての、床面100の種類を識別する床面センサ46が配置されている。床面センサ46は、床面100がたとえばじゅうたん、フローリングまたはたたみであることを検知する。床面センサ46は、ブラシモータ45に取り付けられている。床面センサ46は、ブラシモータ45へ供給される電流を検知し、当該電流の値に基づいて、床面100の種類を識別する。
【0033】
たとえば床面100がじゅうたんの場合、回転ブラシ42が床面100から受ける回転に対する抵抗が相対的に大きいので、ブラシモータ45へ供給される電流が大きくなる。床面100がフローリングの場合、回転ブラシ42の回転に対する抵抗が相対的に小さいので、ブラシモータ45へ供給される電流が小さくなる。床面センサ46はこのようにして、床面100の種類を識別できる。
【0034】
図5は、電気掃除機Xの制御部の構成の詳細を示すブロック図である。電気掃除機Xの動作を制御する制御部は、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)などの制御回路60と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ61を有する。メモリ61に記憶された制御プログラムに従って制御回路60が各種の処理を実行することにより、電気掃除機Xが統括的に制御される。
【0035】
制御回路60は、後述する操作キー70を介したユーザからの運転モード切替指示を受け、電気掃除機Xの運転状態を切り換える。具体的には、ユーザからの指示に合わせて、上述した吸込みモータ21に制御回路60から制御信号が送られて電動送風機16による集塵室15への空気の流通量が切り換えられ、またブラシモータ45に制御信号が送られて回転ブラシ42の回転数が変化する。
【0036】
また制御回路60は、上述した風量センサ23から集塵室15へ吸引される空気流量に係る信号を受け、センサ28からファンモータ26の回転数に係る信号を受け、床面センサ46から床面100の種類に係る信号を受ける。制御回路60は、これらの信号に基づいて、ファンモータ26の運転状態を制御する。
【0037】
図6は、操作キー70の詳細を示す概略図である。操作キー70は、電気掃除機Xを使用して掃除を行なうユーザが容易に操作キー70を操作できるように、操作ハンドル5に取り付けられている。操作キー70は、回転ブラシ42の回転を開始または停止させるためのキー71と、「強」運転での電気掃除機Xの運転開始および「強」運転と「弱」運転との切り換えのためのキー72と、を有する。操作キー70はさらに、「エコ」運転での電気掃除機Xの運転開始のためのキー73と、電気掃除機Xの運転を停止し「切」状態(待機状態)へ移行させるためのキー74と、を有する。
【0038】
ユーザが図示しない電源プラグを掃除機本体部1から取り出し、電源に差し込み、続いてキー72を押すことにより、「強」運転モードにて電気掃除機Xが起動する。「強」運転モードでの電気掃除機Xの運転中にキー72をもう一度押すことにより、「弱」運転モードに切り替わる。「強」運転と「弱」運転との違いは、電動送風機16を用いた空気の吸引量が、「強」運転では相対的に大きく、「弱」運転では相対的に小さいことである。「エコ」運転モードとは、床面100の種類に対応して、自動で吸込みモータ21の回転力を切り換える運転モードである。ユーザが図示しない電源プラグを電源に差し込み、続いてキー73を押すことにより、「エコ」運転モードにて電気掃除機Xが起動する。
【0039】
図7は、「強」運転モードでの吸込みモータ21とファンモータ26との運転状態を示す図である。上述したように、電動送風機16の動作によって集塵室15に吸い込まれる空気の流量(吸込み風量)は、集塵フィルタへの塵埃の詰まり量によって変動する。吸込み風量が低下すると、吸込みモータ21へ供給される電力が増大し、吸込みモータ21の回転数が増大する。これにより、電動送風機16の送風量を大きくして、吸込み風量の低下を抑制する。吸込み風量が増加すると、吸込みモータ21へ供給される電力が減少し、吸込みモータ21の回転数が減少する。これにより、電動送風機16の送風量を小さくして、吸込み風量が過大になることを抑制する。
【0040】
吸込みモータ21の供給電力が大きいときは、吸込みモータ21の回転に伴って発生する騒音が比較的大きい。そのため、ファンモータ26の回転数を増大しファンモータ26の負荷を増大させても、ファンモータ26による騒音は吸込みモータ21の騒音に紛れ、電気掃除機X全体として発生する騒音が増大するのを抑制できる。また、吸込みモータ21の回転数が大きいときは、掃除による浮遊ゴミが増加するので、ファンモータ26の回転数を増加して空気清浄機能を向上させるのが望ましい。
【0041】
一方、吸込みモータ21の供給電力が小さいと、吸込みモータ21の騒音が小さくなり、ファンモータ26による騒音が電気掃除機X全体としての騒音を増大させることになる。そのため、吸込みモータ21の供給電力が小さいときには、ファンモータ26の回転数を低下させ、またはファンモータ26を停止させるなど、ファンモータ26の負荷を低下させることにより、騒音の増大を抑制できる。
【0042】
したがって、図7に示すように、電動送風機16を回転させるための吸込みモータ21の供給電力、すなわち、電動送風機16により吸引される空気の流量に基づいて、空気清浄部30へ空気を導入させるためのファンモータ26の回転数を制御すれば、電気掃除機Xの騒音の増大を回避しつつ、空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集することができる。
【0043】
図8は、「エコ」運転モードでの吸込みモータ21とファンモータ26との運転状態を示す図である。上述したように、電気掃除機Xによって掃除される対象の床面100の種類は、吸込口体2に設けられた床面センサ46により識別される。
【0044】
図8に示すように、検知された床面の種類がじゅうたんの場合、じゅうたんから塵埃を掻き出すために吸込み風量を増大させる必要があるので、吸込みモータ21へ供給される電力を増大する。このとき、じゅうたんを掃除することにより空中の浮遊塵埃が増大するので、ファンモータ26の回転数を増大させ空気清浄用送風機18の風量を増大させて空気清浄機能を向上させることにより、空気を清浄に保つことができる。
【0045】
検知された床面100の種類がフローリングやたたみの場合は、床面100が滑らかであるので吸込み風量を減少しても床面100の清掃能力を十分確保できるので、吸込みモータ21へ供給される電力を中程度にする。このとき、掃除による空中の浮遊塵埃も相対的に少ないので、ファンモータ26の回転数を中程度にしても空気清浄機能を十分に確保できる。ファンモータ26の回転数が下げられることにより無駄な電力消費を抑えると共に、騒音を抑制することができる。
【0046】
吸込口体2を持ち上げ、吸込口体2を床面100から離す場合は、掃除動作、すなわち吸込口体2からの塵埃を含む空気の供給を休止する場合であると判断される。また、吸込口体2を床面100に停止させ、床面100に対して吸込口体2が相対的に移動しない場合も、掃除動作を休止する場合であると判断されてもよい。この場合、吸込みモータ21の供給電力をさらに低下させる、または吸込みモータ21をOFFにする。このとき、ファンモータ26の回転数もさらに下げられ、ファンモータ26の負荷が低減されて無駄な電力消費を抑えると共に、ファンモータ26が騒音源となるのを回避する。掃除動作の停止中に、ファンモータ26はその回転数を下げられた状態で運転を継続し、ファンモータ26は停止しないので、空気清浄機能の運転は継続される。ユーザが吸込口体2を持ち上げて床面100の掃除動作を行なっていないときを利用して空気清浄機能を運転することにより、効率のよい空気清浄を実現することができる。
【0047】
したがって、図8に示すように、電気掃除機Xによって掃除される対象の床面100の種類、および、掃除動作の状態に基づいて、空気清浄部30へ空気を導入させるためのファンモータ26の回転数を制御すれば、電気掃除機Xの騒音の増大を回避しつつ、空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集することができる。
【0048】
図9は、ファンモータ26回転数の制御の一例を示すフローチャートである。図9中に示す”I”とは、吸込みモータ21に供給される電流を示す。I1およびI2はそれぞれ、吸込みモータ21への供給電力の基準となる値であり、I1>I2の関係を有する。また”M”とは、ファンモータ26の回転数を示す。M1,M2およびM3は、それぞれ回転数の基準となる値であり、M1>M2>M3の関係を有する。
【0049】
図9に示すように、まずステップ(S10)において、吸込みモータ21へ供給される電流の値Iに、吸込みモータ21に供給される電流の現在の値を代入する。次にステップ(S20)において、電流値Iが所定の値であるI1よりも大きいか否かを判断する。ステップ(S20)で電流値IがI1よりも大きいと判断された場合、吸込みモータ21へ供給される電流が大きく吸込みモータ21の回転数が大きい状態であるので、ファンモータ26の回転数を大きくしても騒音への影響は小さい。そこで次にステップ(S30)において、ファンモータ26の回転数Mを最も高い設定値であるM1に設定する。
【0050】
ステップ(S20)で電流値IがI1以下であると判断された場合、次にステップ(S40)において、電流値Iが所定の値であるI2よりも大きいか否かを判断する。ステップ(S40)で電流値IがI2よりも大きいと判断された場合、現在の電流値IはI2を越えI1以下の範囲にあり、中程度の大きさの電流が吸込みモータ21に供給され吸込みモータ21の回転数が中程度である状態である。そこで、騒音および空気清浄機能への影響を考慮して、次にステップ(S50)において、ファンモータ26の回転数Mを中程度の設定値であるM2に設定する。
【0051】
ステップ(S40)で電流値IがI2以下であると判断された場合、吸込みモータ21へ供給される電流が小さく、吸込みモータ21の回転数が小さい状態である。そこで、ファンモータ26の回転により発生する騒音によって電気掃除機X全体の騒音が増大するのを回避するために、ファンモータ26の回転数Mを最小の設定値であるM3に設定する。このとき、ファンモータ26は停止してもよい。つまり回転数の設定値M3の値はゼロであってもよい。
【0052】
ステップ(S30)、(S50)または(S60)でファンモータ26の回転数を設定すると、再びステップ(S10)に戻り、吸込みモータ21へ供給される電流の値に応じたファンモータ26の回転数の制御が続けられる。このとき、所定の時間を経過した後にステップ(S10)が再開されてもよい。
【0053】
図9に示すフローチャートに従ってファンモータ26を制御し、ファンモータ26の運転状態を変化させることにより、ファンモータ26の発生する騒音で電気掃除機X全体で発生する騒音が増大することを回避でき、またファンモータ26の運転に伴う電力消費の増大を抑制することができる。このようにして、空気清浄部30を最適に使用して、空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集することができる。
【0054】
図10は、ファンモータ26回転数の制御の他の例を示すフローチャートである。図10中に示す”I”とは、吸込みモータ21に供給される電流を示し、I1は、吸込みモータ21への供給電力の基準となる設定値である。また”M”とは、ファンモータ26の回転数を示す。M1はファンモータ26の回転数の基準となる値であり、M’はファンモータ26の一つ前の回転数であり、Maはファンモータ26の検討中の回転数であり、aは所定の回転数の差(たとえば10回転)である。
【0055】
図10に示すように、まずステップ(S110)において、吸込みモータ21へ供給される電流の値Iに、吸込みモータ21に供給される電流の現在の値を代入する。次にステップ(S120)において、ファンモータ26の回転数Mに一つ前の回転数の値M’を代入する。続いてステップ(S130)において、検討中のファンモータ26の回転数Maを、Ma=M1×(I1/I)の関係式に基づいて、算出する。
【0056】
次にステップ(S140)において、MaからM1を減じた差の絶対値が、所定値aよりも大きいか否かを判断する。当該差の絶対値が所定値aよりも大きいと判断された場合、続いてステップ(S150)において、上記の関係式に基づいて算出されたMaの値を、新たなファンモータ26の回転数Mとする。ステップS(140)において上記差の絶対値が所定値a以下であると判断された場合、ファンモータ26の回転数は現状のままとされ、再びステップ(S110)に戻り、吸込みモータ21へ供給される電流の値に応じたファンモータ26の回転数の制御が続けられる。このとき、所定の時間を経過した後にステップ(S110)が再開されてもよい。
【0057】
図10に示すフローチャートに従ってファンモータ26を制御し、ファンモータ26の運転状態を変化させることにより、ファンモータ26の発生する騒音で電気掃除機X全体で発生する騒音が増大することを回避でき、またファンモータ26の運転に伴う電力消費の増大を抑制することができる。このようにして、空気清浄部30を最適に使用して、空気中の浮遊塵埃を効率よく捕集することができる。
【0058】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 掃除機本体部、2 吸込口体、5 操作ハンドル、10 ファン収容室、11,13 吸気口、12,14 排気口、15 集塵室、16 電動送風機、18 空気清浄用送風機、19 通風路、21 吸込みモータ、22,27 回転シャフト、23 風量センサ、26 ファンモータ、28 センサ、30 空気清浄部、31 イオン発生部、40 本体ケース、41 集塵開口部、42 回転ブラシ、43 シャフト、45 ブラシモータ、46 床面センサ、47,48 伝動軸、49 伝動ベルト、60 制御回路、61 メモリ、70 操作キー、71〜74 キー、100 床面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気から塵埃を分離し捕集する集塵部と、
前記集塵部へ塵埃を含む空気を流通させるための電動送風機と、
前記電動送風機により吸引される空気の流量を検知する風量センサと、
外部から吸い込んだ空気を清浄化するための空気清浄部と、
前記空気清浄部へ空気を吸引する空気清浄用送風機と、
前記空気清浄用送風機を駆動するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記風量センサによって検知された前記流量に基づいて、前記モータの駆動状態を制御する、電気掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、前記流量が低下したことを前記風量センサが検知するとき、前記モータの負荷を増加させ、または、前記流量が増加したことを前記風量センサが検知するとき、前記モータの負荷を低下させる、請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記電動送風機を駆動する吸込みモータを備え、
前記風量センサは、前記吸込みモータへ供給される電流を検知することにより、前記流量を検知する、請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
被掃除面に向かって開口する集塵開口部が形成された本体ケースと、前記本体ケース内に配置され前記被掃除面の種類を識別する被掃除面センサと、を含む、吸込口体と、
外部から吸い込んだ空気を清浄化するための空気清浄部と、
前記空気清浄部へ空気を吸引する空気清浄用送風機と、
前記空気清浄用送風機を駆動するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記被掃除面センサによって識別された前記被掃除面の種類に基づいて、前記モータの駆動状態を制御する、電気掃除機。
【請求項5】
前記吸込口体は、前記集塵開口部に連通する前記本体ケース内の空間に配置され前記被掃除面に向いて回転する回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するブラシモータと、を含み、
前記被掃除面センサは、前記ブラシモータへ供給される電流の値に基づいて、前記被掃除面の種類を識別する、請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記制御部は、前記吸込口体が前記被掃除面から離れて掃除動作が休止したとき、前記モータの負荷を低減させる、請求項4または請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記制御部は、前記吸込口体が前記被掃除面に停止して掃除動作が休止したとき、前記モータの負荷を低減させる、請求項4または請求項5に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−22359(P2013−22359A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162000(P2011−162000)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】