説明

電気接続箱

【課題】 枠体に対してハウジングを正規の組み付け状態に保持する。
【解決手段】 電気接続箱は回路構成体10をケース20に収容して構成される。回路構成体10は、回路基板11と、回路基板11に沿って配索されたバスバー12に接続される端子金具14を備え、ケース20は、回路基板11の周縁に沿って配置されるとともに端子金具14の一端部14aを保持する枠構成体23と、枠構成体23に組み付けられて端子金具14の他端部14bを保持するハウジング40を備えている。組み付けられた枠構成体23とハウジング40は、その保持溝72と保持突起45の嵌合により、組み付け方向と交差する方向への相対変位を規制された状態に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される電気接続箱として、回路構成体をケースに収容した構造のものがある。回路構成体は、回路基板と、回路基板に沿って配索したバスバーと、回路基板に実装されるリレー等のスイッチング部材とを備えて構成される。回路基板の周縁部からは、バスバーの端部を曲げ加工して形成した端子部が突出されている。一方、ケースは、回路基板の周縁に沿って回路構成体を包囲するように配置される枠体を有する。枠体にはヒューズ収容部が設けられ、ヒューズ収容部においては、バスバーの端子部と端子金具の一方の接続部とがヒューズによって接続されている。尚、電気接続箱としては、特許文献1に開示されているもの等がある。
【特許文献1】特開2003−164039公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような電気接続箱においては、枠体にハウジングを組み付け、このハウジングによって端子金具の他方の接続部を保持し、ハウジングに対して外部ハーネスのコネクタを嵌合することで電力を外部へ供給する構造をとることができる。このような構造においては、端子金具が枠体とハウジングの両方に保持されているため、枠体に対してハウジングが正しい向き及び位置関係で組み付けられないと、端子金具に変形を生じさせることが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、枠体に対してハウジングを正規の組み付け状態に保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、回路構成体をケースに収容してなり、前記回路構成体は、回路基板と、前記回路基板に沿って配索されたバスバーに接続される端子金具とを備えており、前記ケースは、前記回路基板の周縁に沿って配置されるとともに前記端子金具の一端部を保持する枠体と、前記枠体に組み付けられて前記端子金具の他端部を保持するハウジングとを備えているものにおいて、前記枠体と前記ハウジングには、組付け状態で互いに嵌合することにより、前記枠体と前記ハウジングを組付け方向と交差する方向への相対変位を規制した状態に保持する保持部が設けられているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記保持部が、前記枠体に対する前記ハウジングの組み付け方向と平行に延びた形態とされているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記保持部の横断面形状が略T字形をなすところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
<請求項1の発明>
組み付けられた枠体とハウジングは、その保持部同士の嵌合により、組み付け方向と交差する方向への相対変位を規制された状態に保持される。
【0008】
<請求項2の発明>
保持部が、枠体に対するハウジングの組み付け方向と平行に延びた形態とされているので、ハウジングの組み付け過程では保持部同士の嵌合によって枠体に対するハウジングの姿勢が一定に保たれ、ハウジングの姿勢の傾きに起因して組み付け作業に支障を来たすことが防止される。また、保持部同士の嵌合によって、ハウジングが枠体に対して正規の組み付け位置へ案内されるので、組付けの作業性に優れている。
【0009】
<請求項3の発明>
保持部の横断面形状が略T字形をなすので、例えば、I字形断面のものと比較して、保持部の剛性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図16を参照して説明する。本実施形態の電気接続箱は、自動車に搭載され、バッテリ(図示せず)とランプ、オーディオ等の図示しない電装品との間に介設され、バッテリから供給される電力を各電装品に分配・供給するとともに、これら電力供給の切り替え等の制御を行うものである。尚、図においては、電気接続箱を表面側が上向きとなるように描いているが、自動車に搭載されるときには、電気接続箱は枠構成体23が上側に位置し、第1ハウジング40と第2ハウジング50が下向きに開口する向きで車体に固定される。
【0011】
電気接続箱は、回路構成体10と、回路構成体10を収容するケース20とを備えて構成される。
回路構成体10は、図2に示すように、回路基板11と、回路基板11の裏面(図における下面)に沿って配索した複数のバスバー12と、回路基板11の表面側(図における上面側)に実装されるリレーなどのスイッチング部材13と、端子金具14を備えて構成されている。回路基板11は、概ね方形をなし、その下端縁のうち略左半分の領域は上端縁に対して斜めをなす傾斜縁部となっている。
【0012】
バスバー12は回路基板11の裏面に接着されており、バスバー12の端部に形成した複数の第1端子部15Aが回路基板11の前端縁から突出されているとともに、同じくバスバー12の端部に形成した複数の第2端子部15Bが回路基板11の下端縁から突出されている。第1端子部15Aは、回路基板11に対して略直角に表面側(上向き)に立ち上がる支持部16Aと、この支持部16Aの立ち上がり端から前方(回路基板11とは反対側)へ略直角に(回路基板11とほぼ平行に)延出する接続部17Aとから構成され、側方から見て略L字形をなす。この複数の第1端子部15Aは、回路基板11の上端縁に沿って並列している。一方、第2端子部15Bは、回路基板11に対して略直角に表面側(上向き)に立ち上がる支持部16Bと、この支持部16Bの立ち上がり端から後方(回路基板11とは反対側)へ略直角に(回路基板11とほぼ平行に)延出する接続部17Bとから構成され、側方から見て略L字形をなす。この複数の第2端子部15Bは、回路基板11の下端縁のうち傾斜縁部よりも右方の領域(上端縁と平行に領域)に沿って並列している。
【0013】
図5に示すように、端子金具14は、金属板材を曲げ加工したものであり、全体として前後方向に細長い形状をなす。端子金具14の略前半領域は、第1端子部15Aの接続部17Aとほぼ同形状のヒューズ接触部14a(本発明の「端子金具の一端部」に相当する)となっており、端子金具14の略後半領域は、第2端子部15Bの接続部17Bと同様にタブ状をなす出力用接触部14b(本発明の「端子金具の他端部」に相当する)となっている。この端子金具14は、後述する枠構成体23と第1ハウジング40に取り付けられる。
【0014】
図1、図3に示すように、ケース20は、合成樹脂等の絶縁材料からなる枠体21と、枠体21に対しその裏側の開口を塞ぐように固着される金属製の放熱板30と、枠体21に対しその表面側(放熱板30とは反対側)の開口を塞ぐように組み付けられる合成樹脂製のカバー60と、枠体21に組み付けられる合成樹脂製の第1ハウジング40(本発明の構成要件であるハウジング)と、枠体21に組み付けられる合成樹脂製の第2ハウジング50とを備えている。
【0015】
枠体21は、図4に示すように、枠本体22と、ヒューズボックスとして機能する枠構成体23との2部品を合体させて構成され、回路基板11の周縁に沿って回路構成体10を全周に亘って連続して包囲するように配置されているとともに、放熱板30の表面に接着剤(図示せず)により固定されている。枠本体22は、回路基板11の周縁のうち下端縁及び左右両側縁に沿うように概ね「コ」字形をなす。詳しくは、枠本体22の後枠部22Bの略左半分領域は、回路基板11の下端縁の傾斜縁部に沿うように、枠本体22の左右両枠部22L,22Rに対して斜めを向いた傾斜枠部22Sとなっている。また、後枠部22Bのうち傾斜枠部22Sよりも右方の領域は、第2端子部15Bよりも後方に位置する。
【0016】
枠本体22には、図4に示すように、その左右両枠部22L,22Rの前端部同士(即ち、枠本体22における枠構成体23との連結端部同士)を連結した形態の第1連結部24Aが形成されている。この第1連結部24Aは、第1端子部15Aの支持部16Aに対して後方(回路基板11側であり、接続部17Aとは反対側)から当接するように位置する。この第1連結部24Aには、各支持部16Aと対応するように第1連結部24Aの長さ方向と直角な板状の補強部25が複数形成されている。また、枠本体22には、右枠部22Rの後端に近い位置と傾斜枠部22Sのほぼ中央位置とを連結した形態であって、後枠部22Bと略平行をなす第2連結部24Bが形成されている。第2連結部24Bは、第2端子部15Bの支持部16Bに対して前方(回路基板11側であり、接続部17Bとは反対側)から当接するように位置する。
【0017】
枠構成体23は、回路基板11の上端縁に沿って配置され、接着剤(図示せず)により放熱板30の表面に固着されているとともに、接着剤(図示せず)により枠本体22に固着されている。また、枠構成体23の左右両端部と、枠本体22の左右両枠部22L,22Rの前端部とが、ビス(図示せず)により固定されている。枠構成体23内には、前後方向に貫通する複数のキャビティ26A,26Bが上下2段に分かれて左右方向に並列して形成されており、第1端子部15Aの接続部17Aが、下段側のキャビティ26Bに対して後方から挿入されている。挿入された第1端子部15Aは、接続部17Aの係止孔18Aをキャビティ26Bのランス27Bに係止させることで、抜止め状態に保持されている。そして、枠構成体23のうち、下段側のキャビティ26Bよりも下方の部分23Aが、第1端子部15Aの接続部17Aよりも裏面側(即ち、接続部17Aと放熱板30との間)に配置されることになる。
【0018】
枠構成体23の表面(上面)には、上方及び後方(回路基板11側)へ開放された横長で浅く凹まされた嵌合凹部70が形成されている。嵌合凹部70の前面壁からは、幅寸法が嵌合凹部70よりも狭く後方へ板状に延出した形態の当接部71が形成されており、この当接部71には、その後端縁から前方へ左右一対のスリットを切り込むことにより上下方向へ弾性撓み可能なロックアーム23Bが形成されている。
【0019】
また、枠構成体23には、図4に示すように、その幅方向における略中央位置において嵌合凹部70よりも下方であり且つ嵌合凹部70と連通する形態の保持溝72(本発明の「枠体の保持部」に相当する)が、後面に開口して形成されている。この保持溝72の横断面形状(枠構成体23に対する第1ハウジング40の組付け方向と直交する断面形状)は「逆T字」形、即ち「凸字」形をなしている。保持溝72は、第1ハウジング40の組付け方向(即ち、前後方向)に沿って穿孔され、保持溝72の内面は第1ハウジング40の組付け方向と平行をなしている。さらに、嵌合凹部70の左右両端部には、軸線を上下方向に向けた一対の雌ネジ孔73が形成されている。
【0020】
放熱板30は、回路基板11と概ね相似形であり、且つ回路基板11よりも一回り大きい形状をなす板本体31と、板本体31の前端縁から裏面側前方へ段差状に延出した形態の板状のブラケット32とを一体形成したものである(図3参照)。板本体31の表面には、バスバー12の裏面が接着剤(図示せず)により固着され、固着された状態では、回路基板11とバスバー12(端子部15A,15Bを含む)は、放熱板30の周縁から外側へ突出することがなく、放熱板30の表裏方向(上下方向)に視た投影面内に配置される。ブラケット32は、ボルト(図示せず)により車体に固定される。
【0021】
図1、図5に示すように、第1ハウジング40は、後方に開口する左右2つの筒状嵌合部41と、前方に突出する横長の嵌合板部43とを有している。ロック突起42とを有している。第1ハウジング40には、複数の端子金具14が、その出力用接触部14bを前方から圧入させることによって組み付けられ、組み付け状態では、出力用接触部14bが筒状嵌合部41内に収容されるとともに、ヒューズ接触部14aが第1ハウジング40から前方に突出されている。嵌合板部43には、その上面を浅く凹ませた形態の逃がし凹部44が形成され、この逃がし凹部44の上面にはロック突起42が形成されている。また、第1ハウジング40には、その前面から前方へ突出する保持突起45(本発明のハウジングの「保持部」に相当する)が形成されている。保持突起45の横断面形状(枠構成体23に対する第1ハウジング40の組付け方向と直交する断面形状)は、枠構成体23の保持溝72と同じく「逆T字」形、即ち「凸字」形をなしている。保持突起45は、第1ハウジング40の組付け方向(即ち、前後方向)に沿って突出され、保持突起45の外面は第1ハウジング40の組付け方向と平行をなしている。保持突起45の上端部は嵌合板部43の下面に連なっている。また、嵌合板部43の左右両端部には、軸線を上下方向に向けた一対のビス孔43Hが形成されている。さらに、第1ハウジング40には、筒状嵌合部41の下端における後縁及び左右両縁に沿って外向き水平(枠体21に対するカバー60の組付け方向と直角な方向)に張り出す係止部46が形成されている。この係止部46は、両筒状嵌合部41の間の領域及び筒状嵌合部41よりも外側方の領域にも形成されている。
【0022】
かかる第1ハウジング40は枠構成体23に対して後方から組み付けられる。組み付けの過程では、ヒューズ接触部14aが枠構成体23の上段側のキャビティ26Aに後方から差し込まれ、その係止孔14cにキャビティ26A内のランス27Aを係止させることで、抜止め状態に保持されている。また、組付けの過程では、嵌合板部43が嵌合凹部70に対して上下左右方向(組付け方向と直交する方向)へのガタつきなく嵌合されるとともに、保持突起45が保持溝72内に上下左右方向のガタ付きなく嵌入される。また、当接部71が逃がし凹部44に嵌合され、ロックアーム23bが上方へ弾性撓みしつつロック突起42を乗り越え、第1ハウジング40と枠構成体23が正規の組付け状態に至ると、ロックアーム23Bが弾性復帰してロック突起42に係止し、もって、第1ハウジング40は枠構成体23に対して組付け状態にロックされている。組み付けられた第1ハウジング40は、第1端子部15Aよりも表面側(回路基板11とは反対側)に位置する。
【0023】
枠構成体23には、上段側のキャビティ26Aと下段側のキャビティ26Bに連通するヒューズ収容空間28が形成されており、このヒューズ収容空間28内においては、下段側に位置する第1端子部15Aの接続部17Aと上段側に位置する端子金具14のヒューズ接触部14aとがヒューズ(図示せず)によって接続されている。
【0024】
図4に示すように、第2ハウジング50は、後方に開口するとともに、左右に仕切られた2つの筒状嵌合部51を有する。第2ハウジング50は、枠本体22の後枠部22Bにおける傾斜枠部22Sよりも右方の領域(第2連結部24Bと略平行な領域)の表面に組み付けられ、第2ハウジング50の左右両端部においてビス(図示せず)により固定されている。組付けの過程では、第2端子部15Bの接続部17Bが第2ハウジング50に対して前方から相対的に貫通され、組付け状態では、接続部17Bが筒状嵌合部51内に収容されている。また、第2ハウジング50は第2連結部24Bよりも後方に位置する。
【0025】
図6に示すように、カバー60は、全体として回路基板11とほぼ相似形であって、回路基板11よりも一回り大きい形状をなす。カバー60には、第1ハウジング40の2つの筒状嵌合部41との干渉を回避するために前端縁を方形に切欠した形態の左右一対の切欠部61が形成されている。この切欠部61の開口縁部は、第1ハウジング40の係止部46に対して上から(即ち、枠構成体23に対する第1ハウジング40の組付け方向と直角な方向から)当接する押え部65となっている。また、切欠部61における後側の縁部は、筒状嵌合部41の前端面に対し前方(枠構成体23に対する第1ハウジング40の組付け方向と同じ方向)に当接する規制部66となっている。
【0026】
また、カバー60の前端縁には、表面側へ立ち上がる取付部62が左右一対形成され、各取付部62には、軸線を上下方向に向けたビス孔62Hが形成されている。さらに、カバー60の左右両側縁には、前後方向に細長く延びる係止リブ63が形成され、係止リブ63には、弾性係止片64が形成されている。かかるカバー60は、表面側から枠体21に対して組み付けられ、係止リブ63の弾性係止片64が枠本体22の左右両外側面の係止突起29に係止することで、カバー60が組付け状態に対して組付け状態にロックされる。また、取付部62は第1ハウジング40の表面側に当接され、表面側から取付部62のビス孔62Hと第1ハウジング40のビス孔43Hを貫通して枠構成体23の雌ネジ孔73にねじ込んだビス(図示せず)により、カバー60と第1ハウジング40と枠構成体23とが固定される。
【0027】
次に、電気接続箱の組み付け手順を説明する。
組付けに際しては、まず、スイッチング部材13が実装されていない回路基板11とバスバー12を接着剤(図示せず)により固着し、次いでバスバー12と放熱板30を接着する。このとき、回路基板11にはスイッチング部材13が実装されていないので、回路基板11の表面を広い領域に亘って押圧することにより、バスバー12と放熱板30とを強固に接着させることができる。
【0028】
次に、回路基板11にスイッチング部材13を実装し(図2及び図8を参照)、これにより、回路構成体10が概ね組み上がる(図3及び図9を参照)。この後、放熱板30に対し、表面側から枠本体22を接近させつつ接着剤(図示せず)により固着する(図4及び図10を参照)。枠本体22が固着された後、枠本体22に対し前方から枠構成体23を接近させつつ組み付けることで、下段側のキャビティ26Bに第1端子部15Aの接続部17Aを挿入させるとともに、枠構成体23のうち下段側のキャビティ26Bよりも裏面側の部分23Aを第1端子部15Aと放熱板30との間の空間(第1端子部15Aよりも裏面側の空間)に配置させる(図5及び図11を参照)。枠構成体23の組付け時に、枠構成体23と放熱板30とが接着剤(図示せず)により固着されるとともに、枠構成体23と枠本体22とが接着剤(図示せず)により固着され、もって、枠体21が構成される。尚、本実施形態では、枠本体22を枠構成体23よりも先に組み付けたが、枠本体22よりも先に枠構成体23を組み付けてもよい。このように、枠本体22と枠構成体23を別々に組み付けることができるので、枠構成体23を第1端子部15Aの裏側に配置させることに支障はない。
【0029】
このように回路基板11を全周に亘って包囲する枠体21が構成されるとともに、回路基板11とバスバー12を裏面側から覆う放熱板30が枠体21に固定された後は、枠体21と放熱板30とによって構成された凹部内に防水用の充填材(図示せず)を注入する。充填材は、バスバー12における第1端子部15Aと第2端子部15Bとを除いた領域(即ち、回路基板11の裏面に沿って配索されている領域)と、回路基板11の全体と、回路基板11におけるスイッチング部材13との接触部分を覆い、これにより、回路基板11とバスバー12とスイッチング部材13の導通部分に対する浸水や異物の干渉が防止される。
【0030】
この後は、枠構成体23に対して第1ハウジング40を組み付けるとともに、端子金具14のヒューズ接触部14aを上段側のキャビティ26A内に挿入させ、枠構成体23のロックアーム23Bとロック突起42との係止により、第1ハウジング40と枠構成体23を組付け状態にロックする。また、この第1ハウジング40の組付けと前後して、第2ハウジング50を枠本体22に組み付けるとともに、第2端子部15Bを第2ハウジング50に取り付け、ビス(図示せず)により第2ハウジング50と枠本体22とを組付け状態にロックする(図6及び図12を参照)。
【0031】
最後に、カバー60を表面側から枠体21に組み付け、弾性係止片64と係止突起29の係止により、組付け状態にロックするとともに、ビス(図示せず)によりカバー60と第1ハウジング40と枠構成体23とを固定する(図1及び図7を参照)。このカバー60により、回路基板11とスイッチング部材13が覆い隠される。
【0032】
上述のように本実施形態においては、組み付けられた枠構成体23と第1ハウジング40は、枠構成体23に設けた保持溝72と第1ハウジング40に設けた保持突起45との嵌合により、組み付け方向と交差する方向(上下左右方向)への相対変位を規制された状態に保持されるので、端子金具14の変形を防止することができる。
【0033】
また、保持突起45と保持溝72が、枠構成体23に対する第1ハウジング40の組み付け方向と平行に延びた形態とされているので、第1ハウジング40の組み付け過程では保持溝72と保持突起45の嵌合によって枠構成体23に対する第1ハウジング40の姿勢が一定に保たれ、第1ハウジング40の姿勢の傾きに起因して組み付け作業に支障を来たすことが防止される。また、保持突起45と保持溝72の嵌合によって、第1ハウジング40が枠構成体23に対して正規の組み付け位置へ案内されるので、組付けの作業性に優れている。
【0034】
また、保持突起45と保持溝72の横断面形状が「略T字」形をなすので、例えば、「I字形」断面のものと比較すると、保持突起45の剛性が高くなっている。
【0035】
また、第1ハウジング40は枠構成体23に対し嵌合板部43において片持ち支持状態に組み付けられるため、この支持部分(嵌合板部43と嵌合凹部70との嵌合部分)を支点として第1ハウジング40が上下方向(枠構成体23に対する第1ハウジング40の組付け方向と交差する方向)へ傾動することが懸念される。しかし、本実施形態では、第1ハウジング40に係止部46が設けられ、カバー60には、枠構成体23に固定された状態において係止部46に係止することで、第1ハウジング40が枠構成体23への取付部(嵌合板部43と嵌合凹部70との嵌合部分)を支点として傾動することを規制可能な押え部65が設けられているので、第1ハウジング40の傾動が規制され、第1ハウジング40は枠構成体23に対して正規の組み付け状態に保持される。
【0036】
また、カバー60に設けた規制部66が、第1ハウジング40に対し押え部65が係止部46に係止する方向と略直交する方向に係止し、この係止作用により、第1ハウジング40の枠構成体23に対して離間方向(後方)へ変位することが規制されるようになっている。つまり、カバー60の押え部65と規制部66が第1ハウジング40に対して略直交する2方向に係止するようにしたので、第1ハウジング40を枠構成体23に対し、より確実に組み付け状態に保持することができる。
【0037】
また、枠構成体23には、第1ハウジング40に対し、押え部65が係止部46に係止する方向と同じ方向に当接する当接部71が設けられているので、第1ハウジング40は、枠構成体23の当接部71とカバー60の押え部65とによって前後に離間した異なる2箇所で同じ方向に押え込まれるようになっており、これにより、第1ハウジング40の傾きが確実に防止される。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では枠体の保持部とハウジングの保持部を1つずつ設けたが、本発明によれば、枠体の保持部とハウジングの保持部を複数ずつ設けてもよい。
(2)上記実施形態では枠体の保持部を溝状とし、ハウジング側の保持部を突起状としたが、本発明によれば、枠体側の保持部を突起状とし、ハウジング側の保持部を溝状としてもよい。
(3)上記実施形態では保持部の横断面形状を略T字形としたが、本発明によれば、保持部の横断面形状はL字形やI字形などとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施形態1の斜視図
【図2】回路構成体の斜視図
【図3】回路構成体に枠本体を組み付ける前の状態をあらわす斜視図
【図4】枠本体に枠構成体と第2ハウジングを組み付ける前の状態をあらわす斜視図
【図5】枠構成体に第1ハウジングを組み付ける前の状態をあらわす斜視図
【図6】枠体にカバーを組み付ける前の状態をあらわす斜視図
【図7】断面図
【図8】回路構成体の断面図
【図9】回路構成体に枠本体を組み付ける前の状態をあらわす断面図
【図10】枠本体に枠構成体と第2ハウジングを組み付ける前の状態をあらわす断面図
【図11】枠構成体に第1ハウジングを組み付ける前の状態をあらわす断面図
【図12】枠体にカバーを組み付ける前の状態をあらわす断面図
【図13】組付け状態の断面図
【図14】第1ハウジングの断面図
【図15】枠構成体の背面図
【図16】第1ハウジングの正面図
【符号の説明】
【0040】
10…回路構成体
11…回路基板
12…バスバー
14…端子金具
14a…ヒューズ接触部(端子金具の一端部)
14b…出力用接触部(端子金具の他端部)
20…ケース
40…第1ハウジング(ハウジング)
45…保持突起(保持部)
72…保持溝(保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路構成体をケースに収容してなり、
前記回路構成体は、回路基板と、前記回路基板に沿って配索されたバスバーに接続される端子金具とを備えており、
前記ケースは、前記回路基板の周縁に沿って配置されるとともに前記端子金具の一端部を保持する枠体と、前記枠体に組み付けられて前記端子金具の他端部を保持するハウジングとを備えているものにおいて、
前記枠体と前記ハウジングには、組付け状態で互いに嵌合することにより、前記枠体と前記ハウジングを組付け方向と交差する方向への相対変位を規制した状態に保持する保持部が設けられていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記保持部が、前記枠体に対する前記ハウジングの組み付け方向と平行に延びた形態とされていることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記保持部の横断面形状が略T字形をなすことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−158072(P2006−158072A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344235(P2004−344235)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】