説明

電気接続箱

【課題】本発明は、ハウジングを構成する第1部材及び第2部材が互いに揺動するように相対変位することを防止可能な電気接続箱を提供する。
【解決手段】ケース13にはケース側嵌合壁部51が設けられており、コネクタハウジング15にはコネクタ側嵌合壁部52が設けられている。ケース13とコネクタハウジング15とを組み付ける工程においては、両嵌合壁部51,52同士は、ケース13のうち弾性ロック片25が形成された対向する二面と交差する方向から摺接するようになっている。この結果、ケース13とコネクタハウジング15とが組み付けられた状態においては、両嵌合壁部51,52同士が互いに支持しあうことで、ケース13及びコネクタハウジング15が、弾性ロック片25を支点として、ケース13のうち弾性ロック片25が形成された対向する二面と交差する方向について、互いに揺動することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されて車載電装品の通断電を制御する電気接続箱として、板状の回路構成体をハウジング内に収容してなるものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−164039公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、電気接続箱として、例えばハウジングが互いに組み付けられる第1及び第2部材からなり、第1部材は回路構成体の一方の側縁側を固定して保持し、この第1部材と第2部材とを付き合わせるように組み付けることで、回路構成体の他方の側縁側及び両側を第2部材により覆うようになっているものが考えられる。この構成によれば、回路構成体の固定作業を第1部材に対してのみ行えばよいから、製造効率を向上させることができる。
【0004】
しかしながら上記の構成によると、両部材の付き合わせ部分を支点として第1部材及び第2部材が互いに揺動するように相対変位し、第1部材に固定された回路構成体の他方の側縁側が第2部材の内面と衝突するおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハウジングを構成する第1部材及び第2部材が互いに揺動するように相対変位することを防止可能な電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、板状をなす回路構成体をハウジング内に収容してなる電気接続箱であって、前記ハウジングは前記回路構成体の一方の側縁側を固定して保持する第1部材と、この第1部材に組み付けられて前記回路構成体の他方の側縁側及び両面側を覆う第2部材とからなるものにおいて、前記第1部材及び前記第2部材の組み付け部分には、前記両部材から互いに相手側に向けて延びる複数の嵌合壁部が形成され、これらの嵌合壁部を互いに摺接させて前記両部材の組み付けが行われている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記第1部材及び前記第2部材のうちの一方には弾性ロック片が設けられると共に、その弾性ロック片と相手側部材とには互いに係合して前記両部材を組み付け状態に保持するロック突部及びロック凹部が形成され、かつ、前記ロック突部には前記両部材の組み付けに伴って前記弾性ロック片を弾性変形させる案内斜面が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2記載のものにおいて、前記ハウジングはほぼ直方体状をなすと共に前記弾性ロック片は前記ハウジングの対向する二面に形成され、前記各嵌合壁部の摺接面は前記ハウジングの対向する二面とほぼ平行な面に設定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、少なくとも一方の部材に設けた前記嵌合壁部は、縦横に組み合わされた形状で構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記第1部材及び前記第2部材の各嵌合壁部のうち一方は、他方の嵌合壁部の両側に摺接する位置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、前記回路構成体は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、回路基板とこれに貼り付けたバスバーとを備えると共に、そのバスバーは前記回路基板の側縁から並んで延出された延出部を備え、前記第1部材は前記回路構成体から突出する前記バスバーの前記延出部を貫通させて雄コネクタとして構成するコネクタハウジングであり、前記第2部材は前記コネクタハウジングによって開口を塞がれるケースであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、第1部材及び第2部材は、互いに相手側に向けて延びる嵌合壁部同士が摺接する状態で組み付けられるから、第1部材及び第2部材に形成された両嵌合壁部が互いに支持しあうことで、第1部材及び第2部材が互いに組み付け部分を支点として揺動するように相対変位することを防止できる。
【0013】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、第1部材と第2部材との組み付け作業を行うと、組み付け作業の途中で、弾性ロック片は、ロック突部に形成された案内斜面により弾性変形する。さらに組み付け作業が進行すると、弾性ロック片が復帰変形し、弾性ロック片と相手側部材とに形成されたロック突部及びロック凹部が互いに係合することで、第1部材及び第2部材が組み付けられる。
【0014】
<請求項3の発明>
ほぼ直方体をなすハウジングの対向する二面に弾性ロック片が形成されている場合、弾性ロック片が撓み変形することで、第1部材及び第2部材が、弾性ロック片を支点としてハウジングの対向する二面と交差する方向に揺動することが懸念される。
【0015】
上記の点に鑑み、請求項3の発明では、各嵌合壁部の摺接面を、ハウジングの対向する二面とほぼ平行な面に設定した。これにより、嵌合壁部同士は、ハウジングの対向する二面と交差する方向から当接するから、第1部材及び第2部材が、ハウジングの対向する二面と交差する方向に揺動することを防止できる。
【0016】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、縦横に組み合わされた形状で構成された嵌合壁部が設けられた側の部材を補強することができる。
【0017】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、嵌合壁部のうち一方は、他方の嵌合壁部の両側に摺接する位置に設けられているから、他方の嵌合壁部の片側にのみ摺接する位置に設けられている場合に比べて、一層強固に嵌合壁部を支持することができる。この結果、第1部材及び第2部材の揺動変位を一層確実に防止することができる。
【0018】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、第1部材を雄コネクタとして用いることができる。これにより、雄コネクタを、第1部材とは別体に形成する場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0019】
また、雄コネクタに対して相手方コネクタを挿抜すると、延出部には相手方コネクタの端子との間で摩擦力が働き、大きな力を受ける。この力に抗して相手方コネクタと雄コネクタとを挿抜しようとすると、コネクタハウジングとケースとに大きな力が加わる。
【0020】
請求項6の発明によれば、このようにコネクタハウジングとケースとに大きな力が加わる場合でも、両部材が、お互いの組み付け部分を支点として揺動するように相対変位することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を車両用の電気接続箱10に適用した一実施形態について図1ないし図17を参照して説明する。このものは、バッテリー等の電源(図示せず)とヘッドランプ、ワイパー等の車載電装品(図示せず)との間に接続されて、各種車載電装品の通断電制御を行うようになっている。この電気接続箱10は、ほぼ扁平な直方体をなすハウジング11内に回路構成体12を収容してなる。このハウジング11は、開口を有すると共に扁平形状をなすケース(本発明に係る第2部材に該当)13と、この開口を塞ぐと共にフード部14を備えたコネクタハウジング(本発明に係る第1部材に該当)15とを備えてなる。ケース13内には回路構成体12を埋めるように充填材16が充填されており、フード部14を覆うカバー17がケース13に取付けられている。この電気接続箱10は車両(図示せず)に対して任意の姿勢で取り付け可能であり、例えば図1のようにカバー17を下側に向けた姿勢で車両に取り付けて使用できる。
【0022】
(ケース)
ケース13は合成樹脂製であって、扁平な形状をなすと共に下方に開口している。ケース13の下端部には、図3における左右方向外方に広がって段差部20が形成されている。段差部20の外面には、外方に突出するロック爪21が形成されており、後述するカバー17のロック爪受け部22と弾性的に係合することで、ケース13とカバー17とが組み付けられるようになっている。段差部20のうち、図2における右端部は下方に垂下して形成されており、カバー17が組み付けられたときに図示しない電線を案内するための電線案内部23とされる。
【0023】
図3に示すように、ケース13の段差部20のうち、図3における左右方向について対向する二側面の下端部には、ケース13の開口縁から上方にスリット24が形成されることで外方に撓み変形可能な複数の弾性ロック片25が形成されている。この弾性ロック片25には、弾性ロック片25の肉厚方向に貫通するロック凹部26が設けられており、後述するコネクタハウジング15のロック突部27と係合することで、ケース13と、コネクタハウジング15とが組み付けられるようになっている。
【0024】
(カバー)
カバー17は合成樹脂製であって、上方に開口を有すると共に、ケース13の下端部を下方から覆う形状をなしている。カバー17の下縁部は図2における右方に向けて下方に傾斜して形成されており、カバー17の下端部のうち図2における右端部には、図示しない電線が導出される電線導出口28が形成されており(図1参照)、ケース13の電線案内部23との間の空間を通って、電線が導出されるようになっている。カバー17の上端部には、上述したケース13のロック爪21と係合するロック爪受け部22が形成されており、このロック爪受け部22とロック爪21とが弾性的に係合することで、ケース13とカバー17とが組み付けられるようになっている。
【0025】
(コネクタハウジング)
コネクタハウジング15は合成樹脂製であって、図6に示すように、略直方体状をなす本体部30と、本体部30のうち図6の左右両端部から上方に延設されて、回路構成体12とコネクタハウジング15とを組み付ける際に回路構成体12をガイドする一対のガイドレール31とを備えてなる。
【0026】
本端部30の外面には、上述したケース13の弾性ロック片25と対応する位置に、弾性ロック片25に設けられたロック凹部26と係合するロック突部27が、外方に突設されている。ロック突部27のうち上面側には、上方に向かうにつれて内方に傾斜する案内斜面50が形成されている。コネクタハウジング15とケース13とを組み付ける際に、案内斜面50と弾性ロック片25とが係合して、弾性ロック片25が案内斜面50に乗り上げて外方に弾性変形するようになっている。
【0027】
図3に示すように、本体部30の下面には下方に開口する複数のフード部14が形成されており、図示しない相手方コネクタと嵌合可能になっている。相手方コネクタには電線(図示せず)が接続されており、この電線は、ケース13の電線案内部23に案内されて、カバー17の電線案内部23と電線導出口28との間から電気接続箱10の外部に導出されるようになっている。フード部14の奥壁には、後述する回路構成体12のバスバー32の延出部33が貫通するための挿通孔34が、上下方向に貫通して形成されている。
【0028】
本体部30の上面側には、図4における挿通孔34の右側縁から上方に延びて、バスバー32の延出部33を図4における右方から受ける受板部35が形成されている。図6に示すように、受板部35は、図6における本体部30の左右方向の略全幅に亘って形成されている。
【0029】
本体部30の上面のうち、図8における左右両端部寄りの位置には、受板部35の上端縁から下方に向けて設けられた一対のスリット24に囲まれた領域に、上方に向けて延びる一対の弾性係合部36が形成されている。この弾性係合部36は、図7における左右方向に弾性撓み変形可能になっている。弾性係合部36の上端部には、図7における左方に突出して係合突部37が形成されており、回路構成体12の係合孔38と係合可能になっている。この弾性係合部36は裏面側に撓み変形することで、係合孔38との係合が解除されるようになっている。
【0030】
受板部35のうち図3及び図4における左側面からは、左方に突出すると共に上方に延びるリブ43が形成されている。このリブ43は、隣り合う挿通孔34間に形成されており、隣接する延出部33同士の間に入り込むようになっている。リブ43は、延出部33が挿通孔34に挿入された状態で、加熱、加圧することで図4における左方から圧潰されて延出部33に密着すると共に受板部35との間で延出部33を挟み付けることで、延出部33の抜け止めを図るようになっている。
【0031】
ガイドレール31は上方から見て略コ字状をなしており、このコ字状に囲まれた空間内に回路構成体12の左右両端部が挿入されて、回路構成体12を上下方向に案内可能になっている。
【0032】
本体部30のうち図10における右端部には、図10における上方に開口して、充填材16をケース13内に注入するための注入口18が形成されている。この注入口18に連通して、注入筒部19が形成されている。充填材16は、図9ないし図10に示すように、注入口18を上方に向けた姿勢でケース13内に注入されるようになっており、注入筒部19は、図10に示すように、図10における下方に向けて延設されており、注入筒部19の図10における下端縁は、ケース13のうち図10における下壁の近傍にまで延びて形成されている。
【0033】
(回路構成体)
図5に示すように、回路構成体12は、回路基板39の表面に例えばプリント配線技術により形成された導電路(図示せず)に電子部品40を実装し、裏面には複数のバスバー32を絶縁性の接着層(図示せず)を介して接着してなる。回路基板39には開口部41が形成されており、この開口部41内にはバスバー32が露出している。開口内には電子部品40が収容されており、この電子部品40のうちバスバー32側の面には接続端子(図示せず)が設けられており、この接続端子とバスバー32とが接続されるようになっている。また、電子部品40のうち、図7における下面側には、下方へ延出された後、回路基板39側に略直角曲げされた複数の接続端子42が形成されている。図7に示すように、各電子部品40に設けられた接続端子42の一部は開口から露出するバスバー32に接続されており、他の接続端子42は回路基板39の表面に形成された導電路に接続されている。
【0034】
図4に示すように、回路基板39の下端縁からは、下方に向けてバスバー32が延出されており、延出部33とされる。延出部33の下部は、図3及び図4に示すように、コネクタハウジング15のフード部14の奥壁に形成された挿通孔34内に挿通されて、フード部14内に突出するようになっており、相手方コネクタと嵌合可能になっている。延出部33の外表面は挿通孔34と接するようになっている。
【0035】
図6及び図8に示すように、回路基板39及びバスバー32の双方には、回路構成体12がコネクタハウジング15に対して正規位置に保持された状態で、後述する弾性係合部36の係合突部37に対応する位置に、係合孔(本発明に係る係合部に該当)38が形成されている。図7に示すように、この係合孔38に係合突部37が係合することで、回路構成体12が図7における上方への抜け止めがなされる。そして、回路基板39は、コネクタハウジング15に一体に形成された弾性係合部36と係合することで、コネクタハウジング15に固定された状態になっている。
【0036】
図5に示すように、延出部33のうち回路基板39寄りの位置には、隣接する延出部33のうち互いに対向する面に、係合凹部44が形成されている。図6に示すように、リブ43が圧潰されることで、リブ43は係合凹部44内に膨出し、リブ43と係合凹部44とが係合して延出部33の抜け止めが図られるようになっている。
【0037】
図3及び図4に示すように、ケース13内には、延出部33を残して回路基板39の全体を埋める充填材16が充填されている。充填材16により回路基板39全体が埋められることで、回路構成体12の防水が図られる。充填材16は、図10に示すように、ケース13を下側にし、コネクタハウジング15を上側にした姿勢でケース13内に充填されるようになっている。
【0038】
さて、図14に示すように、ケース13の側壁のうち図14における上下方向について対向する二面の内面には、段差部20との略境界部分に、図14における右斜め手前側に延びる複数の(図示7つ)ケース側嵌合壁部51が形成されており、後述するコネクタハウジング側嵌合壁部52と摺接しながら、ケース13とコネクタハウジング15との組み付けが行われるようになっている。ケース側嵌合壁部51のうち図14における右上端に位置するものと、図14における左上端に位置するものを除いて、各ケース側嵌合壁部51の左右両端縁は、図14における上方又は下方に曲げ形成されている。ケース側嵌合壁部51の摺接面は、図14における左右方向に沿う面(ケース13のうち弾性ロック片25が形成された対向する二面に平行な面)及び上下方向に沿う面となっている。
【0039】
一方、図11に示すように、本体部30の上面(図11における右手前側の面)には、上方(図11における右手前側)に突出する複数のコネクタ側嵌合壁部52が形成されている。コネクタ側嵌合壁部52は、図11における上下方向に延設されると共に、図11における左右方向にも延設されており、本体部30の補強も兼ねるようになっている。このコネクタ側嵌合壁部52は、コネクタハウジング15をケース13に組み付ける際に、上述したケース側嵌合壁部51と摺接可能になっている。コネクタ側嵌合壁部52の摺接面は、図11における左右方向に沿う面(ケース13のうち弾性ロック片25が形成された対向する二面に平行な面)及び、上下方向に沿う面となっている。
【0040】
図14に示すように、ケース13とコネクタハウジング15とを組み付ける工程においては、両嵌合壁部51,52は、互いに相手側に向けて延びるように配設されている。
【0041】
図16に示すように、ケース13とコネクタハウジング15とを組み付けた状態においては、ケース側嵌合壁部51と、コネクタ側嵌合壁部52のうち図16における上下方向に延設されたものとは、図16における左右方向から互いに当接するようになっている。また、図17に示すように、ケース側嵌合壁部51のうち図17における左右方向に曲げ形成された部分は、コネクタ側嵌合壁部52のうち図17において紙面を貫通する方向に延設されたものと、図17における左右方向から当接するようになっている。
【0042】
また、図16において、ケース側嵌合壁部51のうち、右上端に位置するものと、左上端に位置するものとを除いたものは、図16における左右方向について両側からコネクタ側嵌合壁部51に摺接するようになっている。
【0043】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。まず、回路構成体12をコネクタハウジング15に組み付ける。図12に示すように、コネクタハウジング15のガイドレール31内に、回路構成体12の回路基板39の両端縁部を挿入する。組み付け工程が進行して、図13に示すように、延出部33の先端が受板部35に達すると、延出部33と受板部35とを摺接させながら回路構成体12をさらに挿入する。すると、受板部35に案内されて、延出部33が挿通孔34内に挿入される。組み付けが進行すると、コネクタハウジング15の弾性係合部36がバスバー32と当接し、回路基板39の裏面側に弾性撓み変形する。
【0044】
図14に示すように、回路構成体12がコネクタハウジング15に対して正規位置に組み付けられた状態では、弾性係合部36が復帰変形し、弾性係合部36の係合突部37が回路構成体12の係合孔38に係止する。このとき、延出部33が挿通孔34と接しているから延出部33は挿通孔34の内壁面に支持されることで、回路構成体12が弾性係合部36から逃げる方向に撓み変形することを防止できる。この結果、回路構成体12は、その下端縁が、コネクタハウジング15と一体に形成された弾性係合部36により、コネクタハウジング15に固定される。
【0045】
続いて、リブ43を加熱溶融して圧潰する。すると、リブ43は、延出部33と密着する。そして、延出部33は、リブ43と受板部35との間に挟み付けられる。さらに、リブ43は、延出部33に形成された係合凹部44内に膨出することで接触して係合する。これにより、バスバー32は、コネクタハウジング15に固定される。
【0046】
その後、回路構成体12を組み付けたコネクタハウジング15を、図14に示すようにして、ケース13内に収容する。収容作業の途中において、ケース側嵌合壁部51と、コネクタ側嵌合壁部52とが摺接し始める。さらに収容作業が進行すると、コネクタハウジング15のロック突部27に形成された案内斜面50と、とケース13の弾性ロック片25とが当接し、弾性ロック片25が案内斜面50に案内されて外方に弾性撓みする。さらに収容作業が進行すると、弾性六編25が復帰変形し、ロック突部27が弾性ロック片25のロック凹部26内に係合することで、コネクタハウジング15とケース13とが組み付けられる。これにより、回路構成体12の左右両側縁及び上端縁がケース13により覆われる。
【0047】
弾性ロック片25は、撓み変形可能なので、この弾性ロック片25が形成されたケース13の対向する二面に交差する方向(図17における左右方向)に、コネクタハウジング15が、弾性ロック片25を支点として揺動することが懸念される。
【0048】
上記の点に鑑み、本実施形態では、ケース13及びコネクタハウジング15とに、それぞれケース側嵌合壁部51と、コネクタ側嵌合壁部52とを形成する構成とした。ケース13とコネクタハウジング15とが組み付けられた状態においては、図16に示すように、ケース側嵌合壁部51と、コネクタ側嵌合壁部52のうち図16における上下方向に延設されたものとは、図16における左右方向から互いに当接するようになっている。また、図17に示すように、ケース側嵌合壁部51のうち図17における左右方向に曲げ形成された部分は、コネクタ側嵌合壁部52のうち図17における紙面を貫通する方向に延設されたものと、図17における左右方向から当接するようになっている。これにより、ケース13又はコネクタハウジング15が、弾性ロック片25及びロック突部27の係合部分を支点として、図17における左右方向及び、図16における左右方向について、互いに揺動するように変位することを防止できる。
【0049】
続いて、ケース13を下側にすると共にコネクタハウジング15を上側にした姿勢で、コネクタハウジング15の注入口18から液状の充填材16を所定量注入し、固化する。
【0050】
充填材16が固化したら、フード部14内に相手方コネクタを嵌合する。その後、コネクタハウジング15のうちフード部14が形成された側からカバー17を組み付ける。すると、ケース13のロック爪21と、カバー17のロック爪受け部22とが当接し、ロック爪21が弾性変形した後に復帰変形し、ロック爪21とロック爪受け部22とが弾性的に係合することで、カバー17とコネクタハウジング15とが組み付けられる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、ケース13にはケース側嵌合壁部51が設けられており、コネクタハウジング15にはコネクタ側嵌合壁部52が設けられている。ケース13とコネクタハウジング15とを組み付ける工程においては、両嵌合壁部51,52は互いに相手側に向けて延びるように配されており、両嵌合壁部51,52同士は、図16における左右方向、及び、図17における左右方向から摺接するようになっている。この結果、ケース13とコネクタハウジング15とが組み付けられた状態においては、両嵌合壁部51,52同士が互いに支持しあうことで、ケース13及びコネクタハウジング15が、弾性ロック片25及びロック突部27の係合部分を支点として、図16における左右方向、及び、図17における左右方向について、互いに揺動するように変位することを防止できる。
【0052】
さらに、ケース側嵌合壁部51は、図16における右端部及び左上部に配されたものを除いて、コネクタ側嵌合壁部52と幅方向両側から当接しているから、片側のみで摺接する場合に比べて、一層確実に、ケース13又はコネクタハウジング15の揺動変位を防止できる。
【0053】
また、コネクタ側嵌合壁部52は、縦横に(図11における上下方向及び左右方向に)延びて形成されているから、コネクタハウジング15の本体部30を補強できる。
【0054】
また、ケース13と組み付けられる第1部材をコネクタハウジング15としたことにより、第1部材とコネクタとを、別体に形成する場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0055】
そして、本実施形態によれば、相手方コネクタの挿抜に起因して、コネクタハウジング15とケース13とに大きな力が加わる場合でも、両部材が、お互いの組み付け部分を支点として揺動するように相対変位することを防止できる。
【0056】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
(1)本実施形態では、弾性ロック片25はケース13に設けられる構成としたが、コネクタハウジング15に設けられる構成としてもよい。
【0058】
(2)本実施形態では、弾性ロック片25にロック凹部26が設けられる構成としたが、弾性ロック片25にロック突部26が設けられる構成としてもよい。
【0059】
(3)本実施形態では、ケース側嵌合壁部51はコネクタハウジング側嵌合壁部52と、図16における両側に摺接する構成としてが、これに限られず、コネクタハウジング側嵌合壁部51の片側のみに摺接する位置に設けられていてもよい。
【0060】
(4)延出部33にはヒューズ等の電子部品が接続される構成としてもよい。
【0061】
(5)弾性ロック片25は、ケース13のうち図2における左右方向について対向する側面に形成される構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気接続箱の斜視図
【図2】電気接続箱の正面図
【図3】図2におけるA−A線断面図
【図4】図2におけるB−B線断面図
【図5】回路構成体12を示す斜視図
【図6】コネクタハウジングと回路構成体とを組み付けた状態を示す正面図
【図7】図6におけるC−C線断面図
【図8】コネクタハウジングを回路構成体とを組み付けた状態を示す背面図
【図9】コネクタハウジングとケースとを組み付けた状態を示す側面図
【図10】図9におけるE−E線断面図
【図11】コネクタハウジングと回路構成体とを組み付ける前の状態を示す斜視図
【図12】コネクタハウジングと回路構成体との組み付け作業の途中状態を示す斜視図
【図13】コネクタハウジングと回路構成体とを組み付けた状態を示す斜視図
【図14】コネクタハウジングとケースとを組み付ける前の状態を示す斜視図
【図15】コネクタハウジングとケースとを組み付けた状態を示す正面図
【図16】図15におけるD−D線断面図
【図17】コネクタハウジングとケースとを組み付けた状態を示す側断面図
【符号の説明】
【0063】
10…電気接続箱
11…ハウジング
12…回路構成体
13…ケース(第2部材)
15…コネクタハウジング(第1部材)
25…弾性ロック片
26…ロック凹部
27…ロック突部
32…バスバー
33…延出部
34…挿通孔
39…回路基板
50…案内斜面
51…ケース側嵌合壁部
52…コネクタハウジング側嵌合壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなす回路構成体をハウジング内に収容してなる電気接続箱であって、前記ハウジングは前記回路構成体の一方の側縁側を固定して保持する第1部材と、この第1部材に組み付けられて前記回路構成体の他方の側縁側及び両面側を覆う第2部材とからなるものにおいて、
前記第1部材及び前記第2部材の組み付け部分には、前記両部材から互いに相手側に向けて延びる複数の嵌合壁部が形成され、これらの嵌合壁部を互いに摺接させて前記両部材の組み付けが行われている電気接続箱。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材のうちの一方には弾性ロック片が設けられると共に、その弾性ロック片と相手側部材とには互いに係合して前記両部材を組み付け状態に保持するロック突部及びロック凹部が形成され、かつ、前記ロック突部には前記両部材の組み付けに伴って前記弾性ロック片を弾性変形させる案内斜面が形成されている請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ハウジングはほぼ直方体状をなすと共に前記弾性ロック片は前記ハウジングの対向する二面に形成され、前記各嵌合壁部の摺接面は前記ハウジングの対向する二面とほぼ平行な面に設定されている請求項2記載の電気接続箱。
【請求項4】
少なくとも一方の部材に設けた前記嵌合壁部は、縦横に組み合わされた形状で構成されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記第1部材及び前記第2部材の各嵌合壁部のうち一方は、他方の嵌合壁部の両側に摺接する位置に設けられている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記回路構成体は、回路基板とこれに貼り付けたバスバーとを備えると共に、そのバスバーは前記回路基板の側縁から並んで延出された延出部を備え、前記第1部材は前記回路構成体から突出する前記バスバーの前記延出部を貫通させて雄コネクタとして構成するコネクタハウジングであり、前記第2部材は前記コネクタハウジングによって開口を塞がれるケースである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−189883(P2007−189883A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7950(P2006−7950)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】