説明

電気接続箱

【課題】シールド性能を確保し且つ低価格化及び軽量化することができる電気接続箱を提供する。
【解決手段】電装品2と、該電装品2を収容するシールドケース3と、を有する電気接続箱1において、導電性のパネル33の合わせ部分にパネル合わせ部34を合成樹脂によって形成するようにしたので、シールドケース3を薄肉金属のプレス加工で製造することができる。そして、シールドケース3のケース部材のパネル合わせ部34に連結部37を一体成形し、連結部37に締め付け圧力を付加することを可能して、十分な接合強度を得ることができるため、安定した高い防水性能を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としての自動車などに搭載されて電装品を収容する電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、一般に、ヘッドランプ及びテールランプなどのランプ類、スタータモータ及びエアコンディショナ用のモータ等のモータ類、などの多種多様な電子機器が搭載されている。
【0003】
前述した多種多様な電子機器に電力を供給するために、前記自動車は、ジャンクションブロックを適宜箇所に配置してきた。前記ジャンクションブロックは、多数のヒューズやリレー等の各種の電気回路ユニットを集約して構成されている。
【0004】
なお、ジャンクションブロックは、ヒューズ、リレー、ブスバーなどを有することもあることから、ヒューズブロック、リレーボックス、又は総称して電気接続箱とも呼ばれる。本明細書では、前述したヒューズブロック、リレーボックス、ジャンクションブロックを、総称して以下電気接続箱と呼ぶ。
【0005】
電気接続箱は、外郭を形成する箱本体と、端子金具と、を備えている。箱本体の例えば上面には、前述したリレー、ヒューズやヒュージブルリンクなどの電気部品が装着される装着部が複数設けられている。また、箱本体の例えば下面には、前述した自動車に配索されるワイヤハーネスのコネクタが嵌合する。
【0006】
ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタとを備えている。コネクタは、前述した自動車に搭載される各種の電子機器や前述した箱本体に嵌合する。さらに、箱本体は、前述した装着部に装着される各種の電気部品と、ワイヤハーネスのコネクタの端子とを予め定められたパターンにしたがって接続するバスバなどを収容している。
【0007】
端子金具は、厚手の導電性の板金からなり、平板状の電気接触部と、電線接続部とを一体に備えている。電気接触部には、ボルトのねじ部を通すことのできる孔又は切欠きが設けられている。電気接触部は、孔又は切欠き内にねじ部が通るボルトが箱本体の上面にねじ込まれるなどして、前述した箱本体に取り付けられる。
【0008】
電線接続部は、前述した電気接触部から折り曲げられて、該電気接触部から立設している。電線接続部は、電源などと接続した電線を加締めるかしめ片などを備えている。電線接続部は、加締め片で電線を加締めて、該電線の芯線と接続する。
【0009】
前述した電気接続箱は、電線が取り付けられた端子金具の電気接触部をボルトにより、前述した箱本体の上面に取り付ける。なお、このとき、端子金具の電線接続部及び該電線接続部に取り付けられた電線を、前記箱本体内に収容することなく該箱本体の外壁面に沿わしておく。
【0010】
そして、各装着部に所望の電気部品を装着し、ワイヤハーネスのコネクタを箱本体の下面に嵌合する。こうして、前述した電気接続箱が組み立てられる。そして、電気接続箱は、電源などから供給される電源からの電力を、ヒュージブルリンク、ワイヤハーネスの電線などを介して前述した電子機器に供給する。
【0011】
被水環境で用いられる電気接続箱には、パッキンを用いるものがあり、その場合は、ケース本体を複数のケース部材に分割して形成し、分割ケースの内部に電装品を収容するとともに、パッキンを挟み分割面同士を密着して分割ケースを嵌合することで、防水ケース内部を密閉し、外部からの水の進入を防止していた。
【0012】
特許文献1には、コネクタを突出させるコネクタ開口と接触せず且つ基板に対して傾斜する仮想分割平面で上部ケースと下部ケースとに二分割した防水ケースが開示されており、このような構成とすることで、上部ケースと下部ケースの防水構造とコネクタの防水構造との干渉防止が図られてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−270277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した電気接続箱において、EMI(Electro Magnetic Interference:電磁妨害)シールド性能を確保する場合、金属製のケース部材が用いられ、そのケース部材の厚さは、基板面積、つまり、基板を収容するケース面積に対して基準肉厚が規定される。しかしながら、ケース部材は、金属部材の絞り加工によって形成されるか、ダイカストによって製造されるため、絞り加工によって形成される場合には、絞り加工のための金型が高価であり且つ前記基準肉厚を満たすために部分的に厚くなる箇所が生じ、またダイカストによって製造される場合には、型に溶融したアルミ材等を流し込むため、気泡対策や厚さムラが生じないように形成するためには、板材を使用する場合に比べて肉厚が厚くなる傾向にあった。そのため、EMIシールドとして製造する電気接続箱の低価格化及び軽量化を図ることが困難であった。
【0015】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、シールド性能を確保し且つ低価格化及び軽量化することができる電気接続箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の電気接続箱は、電装品と、該電装品を収容するシールドケースと、を有する電気接続箱において、前記シールドケースが、導電性を有する金属製の平板状のパネルからなると共に一方側に開口部を有する箱状ケース部材を有し且つ前記開口部に相手部材を組み合わせることでその内部に前記電装品の収容空間が形成され、前記箱状ケース部材が、前記パネルを合わせた前記箱状ケース部材の角部分に合成樹脂で一体形成されたパネル合わせ部と、前記相手部材と連結するために、前記開口部の全周から外側に向かって立設するように合成樹脂で前記パネル合わせ部と一体形成された連結部と、前記連結部に一体に形成されて前記相手部材と締め付け部材によって連結するための複数の締め付け部と、を有し、前記連結部と前記相手部材の間にパッキングが挟持された状態で、前記複数の締め付け部によって締め付けて前記連結部に前記相手部材を連結することで、前記箱状ケース部材と前記相手部材を固定するようにしたことを特徴とする。
【0017】
上記請求項1に記載した本発明の電気接続箱によれば、導電性を有する金属製のパネルの合わせ部分にパネル合わせ部を合成樹脂によって一体形成するようにしたので、シールド性能に対応した厚さの金属部材と合成樹脂とでシールドケースを製造することができる。そして、該シールドケース内に電装品を収容するので、電気接続箱のシールド性能を確保することができる。そして、開口部から立設する連結部を合成樹脂でケース部材に形成し且つパネル合わせ部と一体に形成して、該連結部によって相手側の箱部材と連結するようにしたことから、箱状ケース部材に連結部を一体成形することができる。
【0018】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電気接続箱において、前記開口部が、前記シールドケースにおける投影面積の少ない面と平行となるように形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記請求項2に記載した本発明の電気接続箱によれば、シールドケースにおける投影面積の少ない面と平行となるように開口部を箱状ケース部材に形成しているので、箱状ケース部材と相手部材との界面を少なくすることができる。
【0020】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の電気接続箱において、前記シールドケースを、取付先部材に取り付けるための取付部を有するとともに、前記取付部が、前記パネル合わせ部と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0021】
上記請求項3に記載した本発明の電気接続箱によれば、取付先部材に取り付けるための取付部をパネル合わせ部と一体的に形成するようにしたことから、シールドケースに取付部を一体成形することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の電気接続箱によれば、導電性を有する金属製のパネルの合わせ部分にパネル合わせ部を合成樹脂によって一体形成し、シールド性能に対応した厚さの金属部材と該合成樹脂とでシールドケースを製造するようにしたことから、シールドケースの薄型化及び軽量化に対応することができる。また、パネル合わせ部によってシールドケースの強度も維持することができる。そして、ケース部材のパネル合わせ部に連結部を一体成形することができるので、連結部に締め付け圧力を付加することが可能となり、十分な接合強度を得ることができるため、安定した高い防水性能を確保することができる。従って、シールド性能を確保し且つ低価格化及び軽量化することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、シールドケースにおける投影面積の少ない面と平行となるように開口部を箱状ケース部材に形成して、箱状ケース部材と相手部材の界面を少なくしているので、安定したパッキング面圧力を加えることができるため、安定した高い防水性能を確保することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、取付先部材に取り付けるための取付部をパネル合わせ部と一体的に形成するようにしたことから、シールドケースに取付部を一体成形することができるため、低価格化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る電気接続箱の外観の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電気接続箱を分解した分解斜視図である。
【図3】図2中の電装品を分解した分解斜視図である。
【図4】図3中のコネクタユニットを分解した分解斜視図である。
【図5】ケース部品に対する電装品の組み付けを説明するための図である。
【図6】ケース部材同士の組み付けを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る電気接続箱の一実施の形態を、図1〜図6の図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態にかかる図1に示す電気接続箱1は、移動体としての自動車に搭載される。電気接続箱1は、図1〜図6に示すように、電装品2と、該電装品2を収容するシールドケース3と、絶縁性のラバーパネル4と、絶縁性のラバーカバー5と、を有している。
【0028】
電装品2は、シールドケース3内に収容可能な箱状に形成されている。電装品2は、ベースとなる第1基板21と、該第1基板21に対して取り付けられる第2基板22及び第3基板23と、一対のコネクタユニット24と、第2基板22及び第3基板23を第1基板21に取り付ける複数(図3中では4つ)のステイ25と、有している。
【0029】
第1基板21は、矩形板状に形成されている。第1基板21は、図示しないが、その両端部に形成されてコネクタユニット24が実装されるコネクタ取付部と、該コネクタ取付部に実装されたコネクタユニット24と電気的に接続される配線パターンと、を有している。
【0030】
第2基板22は、第1基板21よりも小さな略矩形板状に形成されている。第2基板22は、ステイ25とねじ締め固定するための4つのねじ穴を有しており、該ねじ穴にねじ26を貫通させてステイ25にねじ締めすることで、第1基板21に対して第1間隔で取り付けられる。第2基板22の四隅部分には、ステイ25を挿通するように挿通部22aが形成されている。
【0031】
第3基板23は、第1基板21よりも小さく、かつ、第2基板22よりも大きな矩形板状に形成されている。第3基板23は、ステイ25とねじ締め固定するための4つのねじ穴を有しており、該ねじ穴にねじ27を貫通させてステイ25にねじ締めすることで、第1基板21に対して第2間隔で取り付けられる。なお、本実施形態では、第2間隔を前記第1間隔よりも長くなるように設定している。
【0032】
各ステイ25は、合成樹脂によって形成されており、第1基板21に立設するように固定される。各ステイ25は、中空状の第1円柱部25aと、該第1円柱部25aよりも長い中空状の第2円柱部25bと、を有している。第1円柱部25a及び第2円柱部25bの各々は、雌めねじの切ってある穴を有している。第1円柱部25a及び第2円柱部25bは、一端側が揃えられ、他端側が異なるように一体的に形成されている。第1円柱部25a及び第2円柱部25bの長さは、前述した第1間隔及び第2間隔と等しくなっている。そして、第1円柱部25aと第2円柱部25bの各他端側には、第2基板22と第3基板23がそれぞれ当接されて、ねじ26,27によってねじ締めされる。
【0033】
コネクタユニット24は、図4に示すように、コネクタ基板24aと、コネクタ24bと、ラバーコネクタ24cと、コネクタパネル24dと、を有している。コネクタ基板24aは、一方側にコネクタ24bが実装され、他方側に前述した第1基板21に接続される連結コネクタ24eを設けている。コネクタ基板24aは、コネクタ24bと連結コネクタ24eとを電気的に接続する。
【0034】
コネクタ24bは、一対の雄コネクタ24b1を有しており、その端子は背面側に突出してコネクタ基板24aに電気的に接続される。ラバーコネクタ24cは、一対の雄コネクタ24b1に周設可能な略矩形状に絶縁部材によって形成されている。コネクタパネル24dは、矩形状の蓋部として形成されており、その中央にはコネクタ24bの雄コネクタ24b1を外部に突出させる突出口24d1が形成されている。コネクタパネル24dは、四角柱状に形成された一対の立設部24d2を有しており、該一対の立設部24d2の各々はねじ穴を有している。また、コネクタパネル24dは、突出口24d1の両側に一対のねじ穴24d3を形成している。
【0035】
ここで、コネクタユニット24の組み付け例を説明する。まず、ラバーコネクタ24cをコネクタ24bに組み込み、該コネクタ24bをコネクタ基板24aに挿入され、コネクタ24bとコネクタ基板24aとが3つのねじ24fによって固定され、コネクタ24bの端子が半田付けされる。そして、コネクタ基板24aをコネクタパネル24dに2つのねじ24gでねじ締められることで、コネクタユニット24が完成する。このようにコネクタユニット24は、コネクタ24bとコネクタパネル24dとの間にラバーコネクタ24cが介在することで、内部に水等が浸入することを防止して高い防水機能を確保している。
【0036】
シールドケース3は、箱状ケース部材である第1ケース部材31と、相手部材である第2ケース部材32とを有している。第1ケース部材31と第2ケース部材32とは、シールドケース3における投影面積の最も小さくなる面で分割している。本最良の形態では、シールドケース3の奥行き(図中のY方向)における中央付近で2分割するようにしている。つまり、シールドケース3の幅方向(図中のX方向)の断面が小さくなり、第1ケース部材31と第2ケース部材32との連結部分を少なくすることができるため、安定したパッキング面圧力を加えることが可能となり、安定した高い防水性能を確保することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、シールドケースを二等分に分割する場合について説明するが、分割方法については、種々異なる分割方法とすることができる。例えば、分割数を増やして複数のケース部材に分割することもできる。また、分割については、均等に分割する必要はなく、シールドケース3の端面寄りで分割して、ケースと蓋の関係等として各ケース部材を構成するなど種々異なる形態とすることができる。
【0038】
第1ケース部材31及び第2ケース部材32の各々は、導電性のパネル33と、該パネル33の合わせ部分(折り曲げ部分)に合成樹脂で形成されたパネル合わせ部34と、電装品2を収容する収容部35と、該収容部35の一方側に形成された開口部36と、連結部37と、取付部38と、を有している。
【0039】
パネル33は、アルミニウム等の金属板により一面が開口となる中空直方体状に形成されて、第1ケース部材31及び第2ケース部材32の側壁33aとコネクタユニット24の取付壁(底壁)33bをなしている。パネル33の厚さは、電装品2の第1基板21を収容するケース面積に対応して規定された基準肉厚となっている。取付壁33bは、コネクタパネル24dが当接した状態で、コネクタ24bを外部に突出するコネクタ穴33cを有している。
【0040】
なお、第1ケース部材31及び第2ケース部材32については、平板状のパネル部材を組み合わせても、平板状のパネル部材を折り曲げて形成したパネル部材を組み合わせて形成してもよい。
【0041】
パネル合わせ部34は、パネル3の四隅の合わせ部分に樹脂モールドで一体形成されている。パネル合わせ部34は、シールドケース3の奥行き(図中のY方向)及び高さ(図中のZ方向)における合わせ部分の全てを覆うように形成されている。このようにパネル合わせ部34を設けることで、パネル33の合わせ部分を樹脂モールドすることができるため、パネル33に薄肉金属を用いることができるようになる。
【0042】
収容部35は、パネル33の内部に形成された空間となっている。収容部35は、電装品2の約半分を収容可能な大きさに形成されている。開口部36は、パネル33の一面に形成された開口となっている、開口部36は、他の開口部36と同一の形状となっており、第1ケース部材31及び第2ケース部材32の各開口部36同士を組み合わせることで、シールドケース3が形成されるようになっている。
【0043】
連結部37は、第1ケース部材31と第2ケース部材32を連結するために、開口部36に周設するように、開口部36からシールドケース1の外側に向かって立設している。連結部37は、パネル合わせ部34と樹脂モールドで一体形成されている。連結部37は、ボルト51とナット52からなる締め付け部材で締め付けられる複数(図中では6つ)の締め付け部37aを有している。この締め付け部37aを設けることで、締め付け部材によって確実に連結部37同士を連結することを可能としている。
【0044】
取付部38は、シールドケース3、つまり電気接続箱1を取付先部材(図示せず)に取り付けるためのものであり、第1ケース部材31と第2ケース部材32との各々に各2個形成されている。取付部38は、パネル合わせ部34と樹脂モールドで一体形成されている。取付部38は、ねじ等によって取付先部材に固定される。なお、取付先部材としては、車両の車体、相手側機器等が挙げられる。このように、取付部38をパネル合わせ部34と一体的に形成するようにしたことから、シールドケース3に取付部38を一体成形することができるため、低価格化に貢献することができる。
【0045】
また、第1ケース部材31及び第2ケース部材32は、任意のパネル33の表面上に、パネル合わせ部34と連結部37とに連なる帯部39を有している。第1ケース部材31の帯部39には、収容部35に貫通して呼吸弁(デミッシュ)が着脱自在の構成となっている。
【0046】
ラバーパネル4は、絶縁性のゴム部材等からなるパッキングである。一対のラバーパネル4は、それぞれの第1ケース部材31及び第2ケース部材32の取付壁33bに対応した形状になっており、コネクタユニット24と各取付壁33bとの間に介在することで、コネクタ24bの雄コネクタ24b1側からシールドケース3内への水等の浸水を防止している。
【0047】
ラバーカバー5は、絶縁性のゴム部材等からなるパッキングであり、第1ケース部材31及び第2ケース部材32の連結部37から締め付け部37aを除いた形状に形成されている。ラバーカバー5は、第1ケース部材31と第2ケース部材32との間に挟まれることで、シールドケース3内への水等の浸水を防止している。
【0048】
次に、上述した電気接続箱1の組み付け例を説明する。まず、電装品3は、図3に示すように、前述した一対のコネクタユニット24の連結コネクタ24eの端子を第1基板21に挿入し、コネクタパネル24dの立設部24d2と第1基板21をねじ28によるねじ締めによって固定した後に、第1基板21と連結コネクタ24eとを半田付けする。そして、4つのステイ25とねじ27によって第2基板22と第3基板23が第1基板21に取り付けられることで、電装品3を組み立てる。
【0049】
図5に示すように、ラバーパネル4を電装品3の一方側のコネクタパネル24dにセットし、第1ケース部材31の開口部36から収容部35に向かって挿入する。そして、コネクタパネル24dが第1ケース部材31の取付壁33bに当接すると、コネクタパネル24dの各ねじ穴24d3に、スプリングワッシャー54を介在させてねじ53でねじ締めして固定する。
【0050】
図6に示すように、電装品3の一方側に第1ケース部材31が取り付けられた状態で、ラバーパネル4とラバーカバー5を電装品3の他方側のコネクタパネル24dにセットし、第2ケース部材32の開口部36から収容部35に向かって挿入する。そして、コネクタパネル24dが第2ケース部材32の取付壁33bに当接して、コネクタパネル24dの各ねじ穴24d3に、スプリングワッシャー54を介在させてねじ53でねじ締めして固定すると、第1ケース部材31と第2ケース部材32の各開口部36は組み合わさった状態となる。そして、開口部36の締め付け部37aがボルト51とナット52で締め付けることで、第1ケース部材31と第2ケース部材32とは固定されて電気接続箱1が完成する。
【0051】
以上説明した本発明に係る電気接続箱1は、導電性のパネル33の合わせ部分にパネル合わせ部34を合成樹脂によって形成し、シールド性能に対応した厚さの金属部材と該合成樹脂とでシールドケース3を製造するようにしたことから、シールドケース3の薄型化及び軽量化に対応することができる。また、パネル合わせ部34によってシールドケース3の強度も維持することができる。従って、シールド性能を確保し且つ低価格化及び軽量化することができる。
【0052】
また、第1ケース部材31と第2ケース部材32に収容部35と開口部36とを形成し、2つの第1ケース部材31と第2ケース部材32の開口部36同士を組み合わせてシールドケース3を形成して、第1ケース部材31と第2ケース部材32の組み合わせ部分に平滑面構造を確保できるようにしたことから、安定した高い防水性能を確保することができる。
【0053】
さらに、第1ケース部材31と第2ケース部材32に連結部37を一体成形することができるので、連結部37に締め付け圧力を付加することが可能となり、十分な接合強度を得ることができるため、安定した高い防水性能を確保することができる。
【0054】
また、上述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 電気接続箱
2 電装品
3 シールドケース
31 第1ケース部材
32 第2ケース部材
33 パネル
34 パネル合わせ部
35 収容部
36 開口部
37 連結部
38 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装品と、該電装品を収容するシールドケースと、を有する電気接続箱において、
前記シールドケースが、導電性を有する金属製の平板状のパネルからなると共に一方側に開口部を有する箱状ケース部材を有し且つ前記開口部に相手部材を組み合わせることでその内部に前記電装品の収容空間が形成され、
前記箱状ケース部材が、前記パネルを合わせた前記箱状ケース部材の角部分に合成樹脂で一体形成されたパネル合わせ部と、前記相手部材と連結するために、前記開口部の全周から外側に向かって立設するように合成樹脂で前記パネル合わせ部と一体形成された連結部と、前記連結部に一体に形成されて前記相手部材と締め付け部材によって連結するための複数の締め付け部と、を有し、
前記連結部と前記相手部材の間にパッキングが挟持された状態で、前記複数の締め付け部によって締め付けて前記連結部に前記相手部材を連結することで、前記箱状ケース部材と前記相手部材を固定するようにしたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記開口部が、前記シールドケースにおける投影面積の少ない面と平行となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記シールドケースを、取付先部材に取り付けるための取付部を有するとともに、
前記取付部が、前記パネル合わせ部と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−10590(P2012−10590A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174851(P2011−174851)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【分割の表示】特願2006−10723(P2006−10723)の分割
【原出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】