説明

電気柵装置

【課題】本発明においては家庭菜園等に代表される個人向けの小規模な領域を対象とし、より経済性に優れた電気柵装置の提供を課題とする。
【解決手段】家庭菜園等の所定の領域の周囲に張り巡らせて所定の電圧を印加し、獣類の侵入を防止する電気柵装置1において、該電気柵装置1は、電源ユニット2と、防護線6と、防護線6の末端着脱具4と、防護線6の絶縁支持体3と、絶縁支持体3を取り付けるポール5と、を有し、前記電源ユニット2の筐体部12の左右両側に、支持部材22の突起に対して電源ユニット2を着脱可能とする係止孔21を一体的に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭菜園の周囲に張り巡らし、所定の電圧を印加し、獣類の侵入を防止する電気柵装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、農地やレジャー施設等の所定領域への獣類の侵入や、牧場等で飼育される家畜類の逃走を防ぐ手段として、電気柵が知られている。該電気柵は上述の農地やレジャー施設、牧場等の周囲に立設された複数のポールに、裸電線、あるいは、導電性の金網等からなる防御線を張り渡して構成され、該防御線に電圧を印加することにより、該防御線に触れた獣類や家畜等を感電させて、農地等への侵入や、牧場からの逃走等を防ぐものである。
【0003】
前記防御線の一部には電源ユニットが接続されており、該電源ユニットによって発生する電流が常時防御線に通電されることにより、防御線には一定の電圧が印加される。
ここで、獣類においては、その習性から夜間に行動する夜行性動物や、昼間に活発に行動を起こすもの等、千差万別であり、侵入や逃走等を防止する対象を特に夜行性動物に定める場合には、前記電源ユニットの電気回路上に光電センサーを具備させて周囲の明るさを検知し、自動的に夜間に限って防御線に電圧を変化させる電気柵が知られている。
【0004】
しかし、上述の光センサーを具備した電源ユニットでは、昼間に運転させることができないため、季節の変化や将来的な環境の変化等の影響から対象とする獣類の種別が変わり、電気柵の運転方式を変更する必要が生じても、既存の電源ユニットを用いることはできず、新たに別の電源ユニット、すなわち、昼、夜問わず、常時運転可能な電源ユニットを設ける必要があり、経済的にも負担が大きかった。
そこでこのような改良点を網羅するべく、「特許文献1」に示す技術が公知となっている。
【特許文献1】特開2006−217826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記「特許文献1」においては、電気柵に用いられる電源ユニットに関して、「連続作動」、「昼作動」、「夜作動」の3モードからなる運転パターンの選択機能を具備させる技術が公開されており、これによって、上述のように、季節や将来的な環境の変化等から対象とする獣類の種別が変化しても、直ちに電気柵の運転方式を変更することが可能でなり、別途、運転方式の異なる電源ユニットを用意する必要も無く、経済的にも効果がある。
【0006】
しかし、従来からの電気柵は主に農地やレジャー施設、牧場等、広範囲にわたる領域を対象としているため、家庭菜園等に代表される個人向けの小規模な領域を対象とするには、電源ユニットやポール等の構成機器はとかく大きすぎ、必要とする領域に設置するにも手間隙がかかり、逆に経済的にも負担がおおきかった。
【0007】
このような改良点を踏まえたうえで、本発明においては家庭菜園等に代表される個人向けの小規模な領域を対象とし、より経済性に優れた電気柵装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、家庭菜園等の所定の領域の周囲に張り巡らせて所定の電圧を印加し、獣類の侵入を防止する電気柵装置において、該電気柵装置は、電源ユニットと、防護線と、防護線の末端着脱具と、防護線の絶縁支持体と、絶縁支持体を取り付けるポールと、を有し、前記電源ユニットの筐体部の左右両側に、支持部材の突起に対して電源ユニットを着脱可能とする係止孔を一体的に設けるものである。
【0010】
請求項2においては、前記絶縁支持体は防御線を懸架する本体部と、該本体部が具備する螺子部に螺着するナット部と、により構成し、該本体部に設けた、一側面にスリットを有する円筒部材を介して、ポールに装着するものである。
【0011】
請求項3においては、前記絶縁支持体におけるナット部は楕円からなる円盤形状の外観を有し、前記螺子部と螺着する際には捩じ込み端にて前記本体部と並行になるものである。
【0012】
請求項4においては、前記末端着脱具の本体部表面に該本体部の軸線に並行して複数の溝を設けるものである。
【0013】
請求項5においては、前記末端着脱具の本体部の長さ寸法は人の手のひらの幅より僅かに大きな値とし、かつ、該本体部の両端部には該本体部の断面積より大きな板部材を直交して設けるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、電気柵装置に具備される電源ユニットに関して、その本体部を構成する筐体部の左右両側に、係止孔を設けることにより、該電源ユニットを地上に保持させるための支持部材に対して、容易に着脱することができる。よって、メンテナンスを容易にでき、また、電源を長期間作動させない場合には、容易に取り外して格納し、劣化を防止することができる。
【0016】
請求項2においては、電気柵装置に具備される絶縁支持体に関して、一側面にスリット部を設けた円筒部材からなる本体部と、該本体部の開放部から直角方向に突出する雄螺子部と、該雄螺子部に螺着する雌螺子部と、から形成することにより、スリットから容易にポールに対し着脱作業ができ、雌螺子部を緩めることにより位置調整作業を容易に行うことができる。
【0017】
請求項3においては、前記絶縁支持体に螺設される雌螺子部に関して、楕円からなる円盤形状の外観を有することにより、利用者は指先で掴み易く、前記雄螺子部への捩じ込み時には容易にトルクを掛けることができる。また、前記雄螺子部と螺着する際には、雌螺子部は捩じ込み端にて本体部の軸線と並行になることにより、雌螺子部は、ポールの横幅にほぼ隠れ、外部からの異物の衝突を受けにくく、不意に緩む心配もない。
【0018】
請求項4においては、前記末端着脱具の本体部表面に、該本体部の軸線に並行して複数の溝を設けることにより、利用者の手の中で滑って回転することもなく、確実に握持することができる。
【0019】
請求項5においては、前記末端着脱具の本体部の長さ寸法を、人の手のひらの幅より僅かに大きな値とし、かつ、該本体部の両端部には、該本体部の断面積より大きな板部材を直交して設けることにより、利用者の手から滑り抜けることもなく、確実に握持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る電気柵装置の全体的な構成を示した模式図である。
図2は本発明の一実施例に係る電気柵装置のポール周辺部を示す正面図である。
図3は同じく裏面図である。
図4は電気柵装置に用いられる電源ユニットの正面図である。
図5は同じく背面図である。
図6は同じく側面図である。
図7は図2に示すB切断面における電源ユニットの断面図である。
図8は同じく電源ユニットのブロック図である。
図9は本発明の一実施例に係る電気柵装置の絶縁支持体の全体を示す斜視図である。
図10は同じく絶縁支持体の本体部を示す側面図である。
図11は同じく平面図である。
図12は同じく絶縁支持体の雌螺子部を示す正面図である。
図13は本発明の一実施例に係る電気柵装置の絶縁支持体グリップの全体を示す斜視図である。
図14は同じく側面図である。
【0021】
[電気柵装置1]
まず、本発明の一実施例に係る電気柵装置1の全体構成について、図1、乃至、図3を用いて説明をする。
電気柵装置1は、電源ユニット2や、絶縁支持体(ガイシ)3や、末端着脱具(ゲートグリップ)4や、ポール(支持柱)5や、防御線6等と、から構成されており、主に一般家庭における園芸、家庭菜園や、周囲100m程度の小さな田畑の周囲に張り巡らされ、野犬、猫、猪等、獣類の侵入を防ぎ、農作物等の被害を防止するために設けられる。
【0022】
すなわち、複数本のポール5・5・・・が所定間隔を空けて前記家庭菜園等の所定領域周囲に立設され、かつ、各々の該ポール5に装着される絶縁支持体3を介して防御線6を張り渡し、電源ユニット2によって該防御線6に電圧を印加することによって、電気柵装置1は構成されている。
【0023】
ここで、ポール5、および、絶縁支持体3については、絶縁機能を有する硬化性樹脂により形成されており、これによって、電源ユニット2、および、防御線6を架設した通電範囲と、ポール5、および、絶縁支持体3等よりなる非通電範囲とが完全に絶縁状態となる。その結果、複数のポール5・5・・・により区切られるエリアの外側に防御線6を張り渡すことで、該エリアの内側では直接防御線6に触れない限り感電等することもなく、安全に菜園作業等を行うことができる。
【0024】
防御線6によって囲まれるエリアの一角には、出入口7が設けられており、該出入口7より、エリア内への人の出入りを可能にしている。
すなわち、出入口7には防御線6の末端部と先端部が位置しており、該末端部(または先端部)に取り付けられている末端着脱具4により、周囲に張り渡した防御線6の一部を取り外し、該出入口7とすることができ、末端着脱具4は容易に取り外すことができるようにしている。これによって、エリア内への人の出入りを可能にしている。
【0025】
防御線6はコード(引き出し線)8を介して、近傍に配置される電源ユニット2の前面に設けられる出力端子9と結線されており、また、該出力端子9に並設されるアース端子10において、コード8を介してアース棒11と結線されている。
これにより、電源ユニット2から供給されるパルス電圧が、コード8を介して防御線6に印加され、該防御線6に高電圧が印加される。
【0026】
[電源ユニット2]
次に、電源ユニット2について、図4、乃至、図8を用いて説明する。なお、図6、および、図7に記載の矢印Aの方向は、電源ユニット2の前方向を示しており、前記矢印Aの方向に従い、左右方向を便宜上決定する。
電源ユニット2には上下方向に延出する直方体形状の筐体部12が設けられており、該筐体部12の前面において、略中央部から上部側に操作スイッチ等が配置されている。
【0027】
また、筐体部12の内部は上下方向略中央部に設けられる仕切り部12aによって、上下二段の空間13・14に仕切られており、その上部空間13側には主に制御回路部26や各種スイッチ類が配設され、また、下部空間14側には電力を供給するための電源回路、すなわち、本実施例では電池ケース15が納められている。
【0028】
ここで電池ケース15は、複数の電池32・32・・・を収納するための箱状部材から形成されており、上面部にはプラス極、および、マイナス極からなる2本のリード線19・19が導かれ、内部において結線されている。また、前記リード線19・19の一方の端部は制御回路部26部と結線されており、電池ケース15の内部において、予め定められた配置により電池32を装着することで、複数の電池32・32・・・から、まとめて起電力を取り出し、制御回路部26へ送電することができる。但し、電池は乾電池に限定するものではなく、乾電池や充電池等であってよく、また、電池ケース15の代わりに変圧器と整流回路を配置する構成としてもよい。
【0029】
筐体部12の後方は全面に渡って開放されており、後カバー16が螺子等を介して該筐体部12と着脱自在に取り付けられている。また、前記後カバー16の下方には、矩形形状の開口部17が設けられており、蓋部材18を前記後カバー16と螺子等を介して組付けることによって、前記開口部17は塞がれている。
【0030】
このような構成により、電池ケース15は後カバー16の脱着を必要とせず、蓋部材18を取り外すことによって、前記開口部17を介して筐体部12内部から引き出すことが可能となり、電池32・32・・・の交換作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、前記後カバー16の上部には、側面視にてU字形に窪ませた、略矩形の取っ手部20が設けられており、外部に突起部を設けることなく、容易に電源ユニット2を握持することを可能としている。
【0032】
筐体部12の左右両側面部において、支柱や壁等の支持部材に取り付けた螺子やボルト等の突起に対して電源ユニット2を着脱可能とする係止孔21を一体的に設けている。つまり、筐体部12の後端部の上下方向略中央部には、平板部12b・12bが外側に向かって延出されており、該平板部12bは本実施例では矩形形状に構成して、その左右方向中央部には、係止孔21・21が上下2箇所、一直線上に並べて穿孔されている。
【0033】
該係止孔21は上部が小さい半径の上下方向の長孔とし、その下部に連続して前記よりも大きな半径の円形とした略ダルマ形状に穿孔されたものであり、該係止孔21を柱や壁等の支持部材22に取り付けた釘やねじ等の係止部材23に係止することで、電源ユニット2を地上に保持でき、容易に着脱することができる。
【0034】
すなわち、電源ユニット2を取り付けるための柱等の支持部材22を所定位置に立設し、該支持部材22の操作し易い所望の高さに電源ユニット2を位置させて、釘または螺子またはボルト等より突起となる係止部材23を、前記係止孔21・21・・・の上部と同じ位置に取り付ける。このとき係止孔21の上部の直径は係止部材23の軸部の直径より若干大きく、係止孔21の下部の直径は係止部材23の頭部より若干大きく構成する。
【0035】
このように取り付けることにより、電源ユニット2を上方に持ち上げて、係止部材23の頭部が係止孔21の下部と一致させて、手前に移動させることにより、係止孔21が係止部材23より抜けて電源ユニット2を取り外すことができる。よって、前記係止部材23をその都度、着脱することもなく、容易に支持部材22に対して電源ユニット2を外すことができるばかりでなく、獣の侵入を防止しないときには、容易に電源ユニット2を外して持ち帰ることができる。
【0036】
また、一旦係止部材23を支持部材22に取り付けておけば、電源ユニット2を再び取り付けるときには、電源ユニット2の係止孔21の下部を係止部材23の位置に一致させて挿入して、下方に押し下げることで、電源ユニット2を係止することができる。このとき、係止部材23の頭部は係止孔21の上部より抜け出ることができないので、電源ユニット2は確実に支持部材22に保持固定される。
【0037】
[電気回路50]
次に本実施例における電源ユニット2の電気回路50について、図8を用いて説明する。
電気回路50は電源ユニット2の筐体部12の内部に収納され、主に、電力を供給する電池ケース15や、後述する各種スイッチ類33・34や、該スイッチ類33・34からの入力信号を演算処理し、外部の機器に指令信号を送る制御回路部26や、防御線6に印加する前に電圧を一旦昇圧するためのトランス部38や、表示ランプ等各種機器類34・36・37等により構成されている。
【0038】
制御回路部26は上述の通り、各種スイッチ類33・34等からの信号を入力信号として取り入れて、該入力信号に対応する指令信号を出力信号として外部機器類に送信する演算部であり、トランジスタや、コンデンサや、ダイオード、または、マイコン等から構成され、前記筐体部12内部の略中央部に設けられている。
【0039】
制御回路部26の入力側にはプラス極、マイナス極からなる2本のリード線19・19を介して電池ケース15が接続されており、該電池ケース15に収納される複数の電池32・32・・・の起電力が該制御回路部26に供給される。また、前記リード線19の中間部には、押釦スイッチからなる電池確認スイッチ35と、緑色の表示ランプからなる電池残量表示36と図示しない抵抗が直列に接続されている。
【0040】
これにより、電池ケース15に複数の電池32・32・・・が収納され、十分な起電力がある場合には、電池確認スイッチ35を押圧することで通電されて、電池残量表示36が緑色に点灯する。しかし、電池ケース15が空の場合、あるいは、電池32の起電力が完全に放電している場合や、作動させるには起電力が不足する場合には、該電池残量表示36が点灯することが無い。または、十分明るく点灯しない。そのため、利用者は使用する前に前記電池確認スイッチ35を押圧することで、容易に電池32の起電力の残量を確認することができる。
【0041】
前記リード線19の末端部には、セレクトスイッチからなるモード切換スイッチ33が接続されており、二者択一の配線構造となっている。
また、モード切換スイッチ33の先には2本のリード線39a・39bがさらに配線されており、一方のリード線39aはそのまま制御回路部26の入力側と接続され、他方のリード線39bは、その中間部において光センサー34が接続され、その後制御回路部26の入力側と接続されている。
【0042】
ここで、モード切換スイッチ33によるリード線39a側への短絡は「昼・夜モード」とし、リード線39b側への短絡は「夜モード」として、それぞれ設定されており、両リード線39a・39bのどちらにも短絡していない状態(中立点)として、「切」が設けられている。
【0043】
なお、モード切換スイッチ33により「切」に選択された場合は、電池ケース15と制御回路部26とのリード線19による接続が、該モード切換スイッチ33部において、断線することとなるため、複数の電池32・32・・・による起電力が防御線6に印加されることはない。
【0044】
これにより、利用者は電池32の脱着や、配線のやり直し等おこなうことなく、容易に「昼・夜モード」、「夜モード」、「切」の選択をおこなうことができる。
ここで、「昼・夜モード」は昼夜を問わず常時防御線6に通電される常時作動モードであり、「夜モード」は夜間のみ通電がされる夜間作動モードである。
【0045】
すなわち、本発明における電気柵装置1を利用するにあたり、防御線6によって侵入を防ぐ対象が夜行性の獣類である場合には、主に夜間に限って防御線6に通電させればよく、また、昼間に活動する獣類等も含めて侵入を防ぐ場合には、「昼・夜モード」を選択し、常時防御線6に通電させることができるため、利用条件に適した運用方式を容易に選択することができ、しかも、無駄な電力消費を抑制することができるため経済的である。
【0046】
なお、「夜モード」に選択した場合には、前記光センサー34によって周囲の明るさを検知することにより、設定した明るさよりも暗くなると、自動的に電池ケース15と制御回路部26とを接続させ、あるいは、設定した明るさよりも明るくなると切断するようにしている。
【0047】
制御回路部26において、前記2本のリード線39a・39bが接続される他方の出力側にはトランス部38がリード線を介して接続して設けられており、さらに該トランス部38の出力側にはプラス極、マイナス極からなる2本のリード線40R・40Bが接続されており、該プラス極側のリード線40Rには出力端子9が、また、該マイナス極側のリード線40Bにはアース端子10が、それぞれ設けられている。
【0048】
また、前記2本のリード線40R・40Bの間に渡って、前記表示ランプと異なる色、例えば、赤色の表示ランプからなる出力表示ランプ37が接続されており、電池32の起電力が防御線6に通電された場合、赤色に点灯することで、該防御線6の通電状態を表示することができる。
【0049】
なお、前記出力端子9には防御線6の端部が接続され、また、前記アース端子10にはリード線を介してアース棒11が接続されている。
【0050】
このような構成により電源ユニット2の電気回路50は形成されており、電池ケース15に収納される複数の起電力はリード線19等を介して制御回路部26に送電され、交流に変換して、トランス部38によって所定の電圧(約一万ボルト)まで昇圧されて整流した後に防御線6に印加されることになる。
[絶縁支持体3]
次に、本発明の一実施例に係る絶縁支持体3について、図9、乃至、図12を用いて説明をする。
絶縁支持体3はポール5に防御線6を固定するための係止部材であり、該防御線6が懸架される本体部24と、該本体部24の一端に螺着して締付固定するためのナット部25により構成される。
【0051】
本体部24は一側がポール5への取付部、他側が防御線6の巻架部24cとされ、取付部は平面視C字形状の円筒部24aと雄螺子部24bから形成されており、該円筒部24aの開放される側面からは、雄螺子部24bが該円筒部24aの軸心に対して垂直に延出され、該雄螺子部24bから円筒部24aの一端側には上下方向にスリット27が設けられている。また、雄螺子部24bと反対側の円筒部24aの側面には、防御線6が巻架される巻架部24cが配置され、該巻架部24cと円筒部24aとの間は支持部材24dにより連結されている。
【0052】
前記巻架部24cは断面積の異なる2枚の円盤部材24e・24fを平行に軸心部で連結して設けたものであり、該表面積が小さい方を外側になるようにして、一定の間隙を設けて同軸状に並設して設けられている。
このように前記円盤部材24e・24fを配置することにより、防御線6や、後述する末端着脱具4を絶縁支持体3に容易に掛架させることができる。
【0053】
すなわち、防御線6や末端着脱具4を絶縁支持体3に掛架させる際に、該部材6・4の掛架させる部位を、内側の円盤部材24e(断面積が大きい方)にあてがうことで、容易に両円盤部材24e・24fの間隙に前記掛架させる部位を配置させることができるのである。
【0054】
前記雄螺子部24bは平面視にて中心軸上で左右に分割されており、該分割部はスリット27として円筒部24aへと連なっている。
また、ナット部25は楕円形状の外形からなる円盤部材25aの中心部に円柱部材25bが直交して設けられている。該円柱部材25bの中心部には、軸芯に沿って雌螺子孔25cが穿孔されている。
【0055】
前記円盤部材25aの外周部には円筒状の外周部25dが設けられ、雌螺子孔25cを収容するように配置して、外周部25dを握り易くして、締めつけ易くしている。
【0056】
このような形状からなる本体部24、および、ナット部25により、絶縁支持体3は構成されており、ポール5への装着作業や取り付け位置の調整作業を容易なものとしている。
【0057】
すなわち、絶縁支持体3は円筒部24aによりポール5に握持して固定されるが、その際には、ポール5の上端部から円筒部24aを差し込むことも可能であるが、雄螺子部24bの先端部の間隙を徐々に開けながら、ポール5を円筒部24aの内側に導き入れることもできる。よって、ポール5が長い場合に、高い上端部から円筒部24aを差し込む必要がなく、容易に絶縁支持体3を該ポール5に組付けることができる。
【0058】
また、雄螺子部24bにナット部25を捩じ込むことで、円筒部24aの内径寸法を小さくして締め上げることができ、ポール5に対して任意の位置に、絶縁支持体3を容易に固定することができる。
【0059】
さらに、雄螺子部24bにおけるナット部25の捩じ込み端では、該ナット部25は常にポール5(あるいは、円筒部24a)の軸芯方向に沿って並行、すなわち、該軸芯方向に歪んだ状態になるように、雄螺子部24bとナット部25の螺子ピッチが設けられているため、ポール5に絶縁支持体3が固定された後は、ナット部25はポール5の横幅にほぼ隠れ、外部からの異物の衝突等も受けにくく、一度確固に固定されたナット部25が不意に緩む心配もない。
【0060】
[末端着脱具4]
次に、本発明の一実施例に係る末端着脱具4について、図13、乃至、図14を用いて説明をする。
末端着脱具4は上述の通り、防御線6の一方の末端部に取り付けられ、前記張り渡した防御線6の一区画の一部を容易に開放できるようにするためのものであり、握持される本体部である握り部28や、防御線6の端部と接続される接続部29や、他方の端部となる、例えば、前記絶縁支持体3に掛止させる掛止部30等により構成される。
【0061】
握り部28は円筒部材により形成され、該円筒部材の表面部には軸芯に並行し、複数の溝部28d・28d・・・が設けられている。
また、握り部28の長さ寸法(図14に示すY寸法)は成人の「手のひら」の幅に比べて若干大きな寸法にて形成されており、該握り部28の両端部には、その断面積より大きな円盤部材31・31が同軸に直交して設けられている。
【0062】
接続部29は前記円盤部材31の中心部より、軸芯に沿って外側へ向かって延出し、かつ、先端部を円形形状に緩やかに屈曲させた、針金により形成されており、該円形形状部において、防御線6を結び付けて取り付けるようにしている。
【0063】
また、掛止部30は接続部29の反対側に設けられ、該接続部29と同様、反対側の円盤部材31の中心部より、軸芯に沿って外側へ向かって延出し、かつ、先端部を円形形状に緩やかに屈曲させてフック状に形成して、針金により構成されている。さらに、掛止部30の該円形形状部においては、前記絶縁支持体3に具備される、外側の円盤部材24fの直径寸法(図11に示すX寸法)に比べて僅かに小さい直径寸法(図14に示すZ寸法)となるように形成されており、その後、該直径寸法(図14に示すZ寸法)より僅かに小さな幅寸法により開放されている。
【0064】
このような構成から末端着脱具4を形成することにより、本発明に係る電気柵装置1の利用者は、張り渡された防御線6の一端部を容易に着脱することが可能になり、防御線6によって囲まれるエリアの一角に出入口7を設けることができる。
【0065】
すなわち、前記末端着脱具4の握り部28の表面に、該握り部28の軸線に並行して複数の溝部28a・28a・・・を設けることにより、利用者が末端着脱具4を握持する場合、手中で滑って回転することもなく、確実に握持することができる。
【0066】
また、前記末端着脱具4の握り部28の長さ寸法を、成人の「手のひら」の幅に比べて僅かに大きな値とし、かつ、該握り部28の両端部において、該握り部28の断面積より大きな円盤部材25a・25aを直交して設けることにより、利用者の手から滑り抜けることもなく、確実に握持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例に係る電気柵装置の全体的な構成を示した模式図。
【図2】本発明の一実施例に係る電気柵装置のポール周辺部を示す正面図。
【図3】同じく裏面図。
【図4】電気柵装置に用いられる電源ユニットの正面図。
【図5】同じく背面図。
【図6】同じく側面図。
【図7】図2に示すB切断面における電源ユニットの断面図。
【図8】同じく電源ユニットのブロック図。
【図9】本発明の一実施例に係る電気柵装置の絶縁支持体の全体を示す斜視図。
【図10】同じく絶縁支持体の本体部を示す側面図。
【図11】同じく平面図。
【図12】同じく絶縁支持体の雌螺子部を示す正面図。
【図13】本発明の一実施例に係る電気柵装置の絶縁支持体グリップの全体を示す斜視図。
【図14】同じく側面図。
【符号の説明】
【0068】
1 電気柵装置
2 電源ユニット
3 絶縁支持体
4 末端着脱具
5 ポール
6 防御線
9 出力端子
10 アース端子
12 筐体部
12b 平板部
18 蓋部材
21 係止孔
22 支持部材
23 係止部材
33 モード切換スイッチ
35 電池確認スイッチ
36 電池残量表示ランプ
37 出力表示ランプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭菜園等の所定の領域の周囲に張り巡らせて所定の電圧を印加し、獣類の侵入を防止する電気柵装置において、該電気柵装置は、電源ユニットと、防護線と、防護線の末端着脱具と、防護線の絶縁支持体と、絶縁支持体を取り付けるポールと、を有し、前記電源ユニットの筐体部の左右両側に、支持部材の突起に対して電源ユニットを着脱可能とする係止孔を一体的に設けることを特徴とする、電気柵装置。
【請求項2】
前記絶縁支持体は防御線を懸架する本体部と、該本体部が具備する螺子部に螺着するナット部と、により構成し、該本体部に設けた、一側面にスリットを有する円筒部材を介して、ポールに装着することを特徴とする、請求項1に記載の電気柵装置。
【請求項3】
前記絶縁支持体におけるナット部は楕円からなる円盤形状の外観を有し、前記螺子部と螺着する際には捩じ込み端にて前記本体部と並行になる、ことを特徴とする、請求項1、または、請求項2に記載の電気柵装置。
【請求項4】
前記末端着脱具の本体部表面に該本体部の軸線に並行して複数の溝を設けることを特徴とする、請求項1、乃至、請求項3の内のいずれかに記載の電気柵装置。
【請求項5】
前記末端着脱具の本体部の長さ寸法は人の手のひらの幅より僅かに大きな値とし、かつ、該本体部の両端部には該本体部の断面積より大きな板部材を直交して設ける、ことを特徴とする、請求項1、乃至、請求項4の内のいずれかに記載の電気柵装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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