説明

電気機器接続構造及び電気機器接続方法

【課題】本発明の目的は、ランプの電極と被覆電線とが通電する状態に、ランプを被覆電線に接続する作業を、容易で安価に行うことのできる電気機器接続構造及び電気機器接続方法を提供することである。
【解決手段】芯線11及び被覆層12を有する被覆電線14と外部電極蛍光ランプ(EEFL:external electrode fluorescent lamp)16の電極18とが通電する状態に、ランプ16を被覆電線14に接続する電気機器接続構造10を、ランプ16の電極18を接触した状態に保持する保持部20、及び、被覆層12を切り裂きつつ芯線11に接触するスリット22を備えたコネクタ24と、被覆電線14に取り付けられ、コネクタ24を圧入することにより、スリット22が被覆層12を切り裂きつつ芯線14に接触する状態に維持するコネクタカバー26と、を含んで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆電線から電気機器に電気を供給するために電気機器を被覆電線に接続するための電気機器接続構造及び電気機器接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイのバックライトとして外部電極蛍光ランプ(EEFL:external electrode
fluorescent lamp)を使用することが増えている。図11は、ランプ200を被覆電線202に接続する状態を示している。ランプ200の電極201をコネクタ204に挿入し、コネクタ204の端子206を被覆電線202の被覆層208を削除した部分に接触させ、上下からカバー210及び212を覆って固定することにより、ランプ200の電極201と被覆電線202とが通電する状態に、ランプ200を被覆電線202に接続することができる。
【0003】
しかし、このような接続方法によれば、コネクタ204の端子206を被覆電線202の被覆層208を削除した部分に接触させておくために電極202を折り曲げる所謂かしめ作業又はハンダ付け作業が必要であった。また、被覆電線202の被覆層208を部分的に削除するステップが必要であった。このため、ランプ200の電極201と被覆電線202とが通電する状態に、ランプ200を被覆電線202に接続する作業が煩雑であった。また、コネクタ204、カバー210及びカバー212を製造しておく必要があり、初期コストが嵩んでいた。さらに、カバー210及び212によってコネクタ204を挟んだのでは、絶縁が不十分であった。なお、蛍光ランプ用ソケットに関する案出が幾つかなされている(例えば、特許文献1〜特許文献5参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−217778号公報
【特許文献2】特開平06−013146号公報
【特許文献3】実開平05−053178号公報
【特許文献4】実開平03−066188号公報
【特許文献5】特開平01−209681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電気機器の電極と被覆電線とが通電する状態に、電気機器を被覆電線に接続する作業を、容易で安価に行うことのできる電気機器接続構造及び電気機器接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気機器接続構造は、芯線及び被覆層を有する被覆電線と電気機器の電極とが通電する状態に、該電気機器を該被覆電線に接続する電気機器接続構造であり、電気機器の電極又は該電極から引き出された通電体を接触した状態に保持する保持部、及び、前記被覆層を切り裂きつつ前記芯線に接触するスリット部を備えたコネクタと、前記被覆電線に取り付けられ、前記コネクタを圧入することにより、前記スリット部が前記被覆層を切り裂きつつ前記芯線に接触する状態に維持するコネクタカバーと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の電気機器接続構造は、前記電気機器接続構造において、前記コネクタカバーが弾性体から一体的に構成されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電気機器接続構造は、前記電気機器接続構造において、前記芯線が前記スリット部によって挟持されつつ前記スリット部が前記芯線に接触し、前記コネクタカバーが該スリット部を圧縮する方向に該スリット部を押圧することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電気機器接続構造は、前記電気機器接続構造において、前記弾性体がゴムであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電気機器接続構造は、前記電気機器接続構造において、前記コネクタカバーが、前記保持部が圧入される第一の圧入部と、前記スリット部が圧入される第二の圧入部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電気機器接続構造は、前記電気機器接続構造において、前記第二の圧入部の断面積が前記第一の圧入部の断面積よりも大きく構成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電気機器接続構方法は、芯線及び被覆層を有する被覆電線と電気機器の電極とが通電する状態に、該電気機器を該被覆電線に接続する電気機器接続方法であり、前記電気機器と前記被覆電線とのコネクタのコネクタカバーを該被覆電線に取り付けるステップと、前記コネクタの保持部に、前記電気機器の電極又は該電極から引き出された通電体を接触した状態に保持させるステップと、前記コネクタを前記コネクタカバーに圧入することにより、前記コネクタのスリット部が前記被覆層を切り裂きつつ前記被覆電線に接触する状態に維持するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本発明の電気機器接続構造及び電気機器接続方法によれば、コネクタをコネクタカバーに圧入するとともに電気機器をコネクタに圧入することにより、電気機器の電極と芯線とが通電可能な状態に容易に接続作業が行える。また、コネクタ及びコネクタカバーの2個の器具を準備しておけば接続作業を行うことができ、初期コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の電気機器接続構造及び電気機器接続方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図3において、符号10は、電気機器の一例であるランプを接続するための本発明の電気機器接続構造である。電気機器接続構造10は、芯線11及び被覆層12を有する被覆電線14と外部電極蛍光ランプ(EEFL:external electrode fluorescent lamp)16の電極18とが通電する状態に、ランプ16を被覆電線14に接続する電気機器接続構造である。電気機器接続構造10は、ランプ16の電極18を接触した状態に保持する保持部20、及び、被覆層12を切り裂きつつ芯線11に接触するスリット部22を備えたコネクタ24と、被覆電線14に取り付けられ、コネクタ24を圧入することにより、スリット部22が被覆層12を切り裂きつつ芯線14に接触する状態に維持するコネクタカバー26と、を含んでいる。
【0016】
被覆電線14の被覆層12は、スリット部22によって切り裂き可能な絶縁体から構成されている。ランプ16は、液晶ディスプレイのバックライト等に使用されるランプであり、外部に電極18を有している。
【0017】
コネクタ24は、ランプ16の電極18と被覆電線14とを通電させるために、金属板等の導電性部材から構成されている。コネクタ24の保持部20は、ランプ16の電極18を弾性的に圧入して電極18を接触した状態に保持できるように、湾曲形状に構成されている。コネクタ24のスリット部22は、スリット21を構成する2本の先鋭刃部28を有し、被覆層12を切り裂くとともに芯線11を挟持できるように構成されている。
【0018】
コネクタカバー26は、コネクタ24を圧入する図2に示す中空部30及び被覆電線14を通す貫通孔32を備えている。中空部30の形状は、圧入するコネクタ24の方向が自動的に定まるように、コネクタ24の外形に対応させることが望ましい。貫通孔32の内径は、植物工場等においての水の浸入を防ぐために、電線14の外径よりも小さいことが望ましい。また、コネクタカバー26は、弾性体であるゴムから一体的に構成されており、コネクタ24及び被覆電線14を押圧しつつ保持できるように構成されている。また、コネクタカバー26は、保持部20が圧入される第一の圧入部34と、スリット部22が圧入される第二の圧入部36とを備え、第二の圧入部36の断面積が第一の圧入部34の断面積よりも大きく構成され、図2に示すように、第二の圧入部36によって2本の先鋭刃部28を押圧力Nにより強く押圧してスリット部22を芯線11に強固且つ確実に接触させることができる一方で、ランプ16を保持する保持部20は弾性的に微小揺動できるように構成されている。
【0019】
このような構成の電気機器接続構造の作用について以下に説明することにより、本発明の電気機器接続方法についても説明する。
【0020】
本発明の電気機器接続構造10により、ランプ16を被覆電線14に接続する場合、図1に示すように、被覆電線14をコネクタカバー26の貫通孔32に通すことにより、予め、コネクタカバー26を被覆電線14に取り付けておく。次に、コネクタ24をコネクタカバー26に圧入する。この時、スリット部22は、被覆層12を切り裂きながら圧入され、2本の先鋭刃部28が芯線11を挟持しつつ芯線11に接触した状態で止まる。また、2本の先鋭刃部28が中空部30の湾曲状の内壁に沿って挿入された後、図2に示すように、先鋭刃部28の先端が内壁に突き刺さることにより、コネクタ24は安定した状態に保持される。次に、ランプ16の電極18を、コネクタ24の保持部20に圧入してランプ16をコネクタ24に接続する。このようにして、図2に示すように、ランプ16の電極18と被覆電線14の芯線11とがコネクタ24を介して通電可能な状態に維持される。
【0021】
このような電気機器接続構造10及び電気機器接続方法によれば、図2に示すように、弾性体から構成されたコネクタカバー26が2本の先鋭刃部28を押圧力Nにより押圧することにより、2本の先鋭刃部28が芯線11を挟持しながら押圧する。このため、コネクタ24及びコネクタカバー26とが一体不可分の関係となって、ランプ16の電極18と被覆電線14の芯線11とが通電可能な状態に確実に維持できる。
【0022】
また、本発明の電気機器接続構造10及び電気機器接続方法によれば、コネクタ24をコネクタカバー26に圧入するとともに電極18をコネクタ24に圧入することにより、所謂かしめ作業やハンダ付け作業を行うことなく、電極18と芯線11とが通電可能な状態に容易に接続作業が行える。また、コネクタ24は1枚の金属板から構成され、コネクタカバー26は弾性体から一体的に構成されるため、コネクタ24及びコネクタカバー26の製造のための型費、工具費、工数を低減することができ、初期コストを低減できる。また、図2に示すように、コネクタカバー26によって電極18及びコネクタ24を完全に覆うことができるため、絶縁性を高めて安全性を向上できる。
【0023】
さらに、上述のようなコネクタカバー26及びコネクタ24の被覆電線14への接続作業を繰り返していくことにより、コネクタカバー26及びコネクタ24を数珠繋ぎに接続でき、図3に示すように、複数のランプ16を接続できる。この時、管ピッチPは、コネクタカバー26を被覆電線14に沿ってスライドさせることにより、ランプ16を取り付ける装置に対応して自由に設定できる。
【0024】
以上、本発明について一実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。例えば、図4に示すように、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:cold cathode flurescent lammp)50を保持するコネクタ52を含む電気機器接続構造54であってもよい。コネクタ52は、ランプ50の内部電極から引き出されたピン(通電体)56を挟持して接触した状態に保持する保持部58を備えている。このような電気機器接続構造54によれば、ランプ50の被覆電線14への接続作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0025】
また、電気機器接続構造10において、図5に示すように、コネクタ24の表面に突起部60を設けてもよい。この突起部60はコネクタ24がコネクタカバー26から抜け出るのを防止でき、返しとしての機能を有する。また、図6に示すように、コネクタ24の2本の先鋭刃部28の内側に切り欠き部62を設けてもよい。この切り欠き部62は、コネクタ24が芯線11から離脱するのを防止する返しとしての機能を有するとともに、コネクタ24と芯線11との接触面積を大きくして通電性を高めることができる。また、図7に示すように、コネクタカバー26の中空部30の内壁に突起部63を設けてもよい。この突起部63は、コネクタ24及びランプ16が抜け出ないようにする返しとしての機能を有するとともに、中空部30内の防水性を高める機能を有する。
【0026】
また、電気機器接続構造10において、図8に示すように、コネクタ24のスリット部22を2個設けてもよい。スリット部22を2個設けることにより、コネクタ24と芯線11との接触面積を大きくして通電性を高めることができるとともに、コネクタ24の取り付け安定性を向上させることができる。
【0027】
また、電気機器接続構造10において、図9に示すように、コネクタカバー26の中空部30の形状を2本の先鋭刃部28の外形に対応した形状に構成するとともに、被覆電線14を支持する支持台64を設けてもよい。この場合、2本の先鋭刃部28が中空部30を切り裂く必要がないため、コネクタ24のコネクタカバー26への圧入が容易になる。また、被覆電線14を支持台64によって支持するため、2本の先鋭刃部28によって被覆層12を切り裂く時に被覆電線14が2本の先鋭刃部28の間から外れることがない。
【0028】
また、コネクタカバー26において、図10に示すように、第二の圧入部36に、貫通孔32に連続する切込み66を設けてもよい。この場合、切り込み66を被覆電線14に押し付けることにより、図9(b)に示すように、第二の圧入部36を弾性的に曲げながら切り込み66を開いて、コネクタカバー26を被覆電線14へ容易に取り付けることができる。
【0029】
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良,修正,変形を加えた態様で実施できるものである。例えば、本発明の電気機器接続構造及び電気機器接続方法により被覆電線に接続するランプは、EEFL又はCCFLに限定されず、その他のランプであってもよい。また、通信機、半導体、電熱器等のランプ以外の電気機器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の電気機器接続構造を示す図であり、外部電極蛍光ランプ(EEFL)用の電気機器接続構造を示す斜視図である。
【図2】図1の電気機器接続構造において、ランプを被覆電線に接続した状態を示す拡大断面図である。
【図3】図1の電気機器接続構造を用いて複数のランプを並列接続した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の電気機器接続構造の他の実施形態を示す図であり、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)用の電気機器接続構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の電気機器接続構造の更に他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の電気機器接続構造のコネクタの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の電気機器接続構造の更に他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の電気機器接続構造のコネクタの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】本発明の電気機器接続構造の更に他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の電気機器接続構造の更に他の実施形態を示す図であり、同(a)は被覆電線をコネクタカバーに挿入する前の状態を示す斜視図であり、同図(b)は被覆電線をコネクタカバーに挿入する状態を示す斜視図である。
【図11】従来の電気機器接続構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
10,54:電気機器接続構造
11:芯線
12:被覆層
14:被覆電線
16:外部電極蛍光ランプ(EEFL)
18:電極
20,58:保持部
22:スリット部
24,52:コネクタ
26:コネクタカバー
28:先鋭刃部
30:中空部
32:貫通孔
34:第一の圧入部
36:第二の圧入部
50:冷陰極蛍光ランプ(CCFL)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線及び被覆層を有する被覆電線と電気機器の電極とが通電する状態に、該電気機器を該被覆電線に接続する電気機器接続構造であり、
電気機器の電極又は該電極から引き出された通電体を接触した状態に保持する保持部、及び、前記被覆層を切り裂きつつ前記芯線に接触するスリット部を備えたコネクタと、
前記被覆電線に取り付けられ、前記コネクタを圧入することにより、前記スリット部が前記被覆層を切り裂きつつ前記芯線に接触する状態に維持するコネクタカバーと、
を含む電気機器接続構造。
【請求項2】
前記コネクタカバーが弾性体から一体的に構成された請求項1に記載する電気機器接続構造。
【請求項3】
前記芯線が前記スリット部によって挟持されつつ前記スリット部が前記芯線に接触し、前記コネクタカバーが該スリット部を圧縮する方向に該スリット部を押圧する請求項2に記載する電気機器接続構造。
【請求項4】
前記弾性体がゴムである請求項2又は請求項3に記載する電気機器接続構造。
【請求項5】
前記コネクタカバーが、前記保持部が圧入される第一の圧入部と、前記スリット部が圧入される第二の圧入部とを備えた請求項1〜請求項4のいずれかに記載する電気機器接続構造。
【請求項6】
前記第二の圧入部の断面積が前記第一の圧入部の断面積よりも大きく構成された請求項5に記載する電気機器接続構造。
【請求項7】
芯線及び被覆層を有する被覆電線と電気機器の電極とが通電する状態に、該電気機器を該被覆電線に接続する電気機器接続方法であり、
前記電気機器と前記被覆電線とのコネクタのコネクタカバーを該被覆電線に取り付けるステップと、
前記コネクタの保持部に、前記電気機器の電極又は該電極から引き出された通電体を接触した状態に保持させるステップと、
前記コネクタを前記コネクタカバーに圧入することにより、前記コネクタのスリット部が前記被覆層を切り裂きつつ前記被覆電線に接触する状態に維持するステップと、
を含む電気機器接続方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−218181(P2008−218181A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53602(P2007−53602)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(505145091)ツジコー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】