説明

電気機器

【課題】非表示時はスッキリとしたデザインを確保でき、表示時は視認性および認知性に優れた表示装置を備えた電気機器を提供する。
【解決手段】電気機器の筺体10の表面に難透視処理されたカバー20を取り付け、該カバー20の背面側に表示室31を設け、該表示室31内に該表示室31の奥壁のほぼ中央部から一部がカバー20に正対して突出する導光体40を配置し、該導光体40の突出する部分と反対側にLED60を配置し、且つ前記表示室31の左右の壁面31aを前記カバー20側に向けて拡開するよう階段状に形成した表示装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を備える電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6(a)に従来の電気機器の表示装置を示す。この表示装置は、電気機器の筺体110に形成した開口111の背面から、光散乱物質が配合された導光体120を、その先端が前面に突出するよう挿入し、その筺体110背面に位置するLEDホルダ130により、回路基板140に取り付けたLED150を、導光体120の背面に対向するように保持したものである。
【0003】
この表示装置では、LED150を点灯させると、そこで発生した光は、LEDホルダ130によって周囲への光漏れが防止され、導光体120に入射する。これにより、その光は導光体120の内部で乱反射して拡散され、その導光体120の先端が光っているように見える。
【0004】
したがって、例えば、導光体120を図6(a)の紙面に垂直方向に長く形成し、LED150を紙面に垂直方向に複数個並べて配置しておけば、現在の電気機器の動作、パワーセーブ状態等を、連続した線を表面に垂直方向に伸縮する形態として表示させることができる。
【0005】
図6(b)はLEDホルダ130を無くして筺体110の裏面にLEDホルダ部112を一体的に設けた別の従来例である。この図6(a)、(b)に記載したような表示装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−149098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、図6に記載の表示装置は、LED150を消灯して表示を行わない場合であっても導光体120の先端が筺体110の前面よりも突出して目立ち、スッキリとしたデザインとならず美観を損なう問題がある。また、導光体120が突出していることで照明環境が暗いときの視認性は高いが、明るいときは周囲の光を直接受けるため点灯が視認しづらくなる問題がある。
【0008】
本発明は以上のような点に鑑みてなされたもので、その目的は、非表示時はスッキリとしたデザインを確保でき、表示時は視認性および認知性に優れた表示装置を備えた電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、電気機器の筺体の表面に難透視処理されたカバーを取り付け、該カバーの背面側に表示室を設け、該表示室内に該表示室の奥壁のほぼ中央部から一部が前記カバーに正対して突出する導光体を配置し、該導光体の前記突出する部分と反対側に光源を配置し、且つ前記表示室の内壁の少なくとも一部を前記カバー側に向けて拡開するように階段状に形成した表示装置を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の電気機器において、前記表示室は、前記階段状のステップ面の奥側が角側よりも前記カバーから遠ざかっていることを特徴とする。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の電気機器において、前記表示室は、前記階段状ステップ面の角側に前記カバーの方向に突出する遮光リブが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源が消灯しているときは導光体が外部から見えず、スッキリとしたデザインを確保できる。また、光源が点灯したときは導光体が光って浮かび上がるとともに表示室の内壁が縞模様を呈するので、表示/非表示の区別が明確となり、視認性および認知性に優れた表示が行われるばかりか、表示自体が新鮮な印象を与え、さらにパワー表示等に迫力を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の実施例の表示装置のカバーを外した正面図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
【図2】(a)は本発明の実施例の表示装置の消灯時の外観斜視図、(b)は点灯時の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施例の改変例の表示装置の消灯時の外観正面図である。
【図4】本発明の実施例の表示装置を適用した空気調和機の室内機の斜視図である。
【図5】本発明の実施例の別の改変例の表示装置の横断面図である。
【図6】(a)は従来の表示装置の縦断面図、(b)は別の従来の表示装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1(a)〜(c)に本発明の実施例の表示装置を示す。10は電気機器の筺体であり、その正面の一部に開口11が形成され、その開口11はカバー20によって覆われている。このカバー20は、ハーフミラー又はスモーク色の樹脂材等によって表面から内部が見え難いよう難透視処理され、表面は筺体10の表面と同一面となっている。30は表示室31と光源室32が隔壁33によって区画された遮光性樹脂で成形されたホルダ、40はそのホルダ30の隔壁33に挿通された導光体、50はホルダ30の背面に取り付けられる回路基板、60はその回路基板50に導光体40に対向するよう取り付けられる光源としてのLEDである。
【0015】
表示室31は、左右の壁面31aがカバー20の側が拡開するように階段形状となっている。この階段形状の壁面31aは階段のステップ面31bの角部31b1よりも奥部31b2がカバー20から遠ざかるように低くなっている。なお、壁面31aの縦面31cは、垂直ではなく、ステップ面31bがより広くなるように外側にオーバーハングしていても良い。また、表示室31の上下の壁面31dは、塗装あるいは暗色部品等によって暗色処理が施され、左右の側壁31aと異なって、光が反射し難いようになっている。
【0016】
導光体40は、光散乱物質が配合された樹脂材あるいは透明樹脂材で板形状に成形され、先端部中央が長手方向(縦方向)に沿って山高形状(刃形状)となり、中央の周囲に鍔41が形成され、奥端面は平面となってLED60に正対している。つまり、導光体40は、表示室31内に該表示室31の奥壁のほぼ中央部から一部がカバー20に正対して突出している。導光体40の先端部高さ(突出高さ)は、後記するように、壁面31aに影を生じさせながらその壁面31aを照らせるような高さが好ましい。そして、鍔41よりも先端部(図1(c)の上側)の全表面に微細凹凸によるシボ加工が施されており、その鍔41が隔壁33に形成された開口33aでストップするまで、奥側から挿入されている。この表示装置は、図4(a)に示す空気調和機の室内機70に適用する場合には、その正面の表示部80の表示装置として組み込まれる。
【0017】
本実施例の表示装置では、LED60が消灯しているときは、カバー20が難透視処理されているので、外部から表示室31および導光体40は見えず、図2(a)に示すようになり、スッキリとしたデザインを確保できるとともに、カバー20の表面が電気機器の筺体10の表面と同一面であるので、汚れにくく清掃性が良好ともなる。
【0018】
一方、3個のLED60が点灯すると、導光体40の背面がほぼ均等に照明され、導光体40の先端部から光が放射される。ハーフミラー又はスモーク色の樹脂材等のカバー20は中からの光を透過するため、外部から視認可能となる。しかも、その導光体40は、光散乱物質が配合された樹脂材あるいは透明樹脂材で成形され、先端部の全表面にシボ加工が施されているので、その先端全表面が高輝度で光るようになる。このとき、その導光体40の先端部から出射される光は、図1(c)に示すように、表示室31の左右の壁面31aの縦面31cで反射されてカバー20の方向に放射される。またこのとき、角部31b1よりも低くなっている奥部31b2は、角部31b1により遮光されるため、奥部31b2に達する光は弱く影部分となる。よって、図2(b)に示すように、表示室31の左右の縦面31cが明るい縦縞模様として浮かび上がる。中央で立体的に浮かび上がってくるように見える高輝度で光る導光体40とともに、カバー20に向かって階段状に左右の壁面が縞模様に光ることで、光が周囲に広がっていくように見え、例えば、パワー表示などに迫力ある効果をもたらす。これにより、表示/非表示の区別が明確となり、視認性および認知性に優れた表示が行われるばかりか、表示自体が新鮮な印象を与える。
【0019】
なお、図1で説明した表示室31は、左右の壁面31aのみを、カバー20の側に向けて拡開するよう階段状に形成した場合であったが、表示室31の上下の壁面31dにもカバー20の側に向けて拡開するよう階段状に形成してもよい(図示せず)。この場合は、この壁面31dの階段状の各面に塗装あるいは暗色部品等によって暗色処理を施しておくことにより、LED60を点灯させたとき、図3に示すように、上下の階段が濃淡で現れ、奥行きがあり、且つ光が上下方向にも広がって見える表示形態を実現できる。LED60を消灯させたときは、図2(a)と同様に、外部から表示室31および導光体40は見えない。
【0020】
また、図1で説明した表示室31は、左右の壁面31aの階段状のステップ面31bの角部31b1はそのままほぼ90度の角形状としたが、図5に示すように、その角部31b1をカバー20の方向に突出する遮光リブ31b3に変形すれば、導光体40から出射する光がその遮光リブ31b3で遮光されてステップ面31bの奥に届き難くなるので、図2(b)と同様な縦縞模様を浮かび上がらせることができる。
【0021】
また、図1ではホルダ30を独立して形成し、これを筺体10の裏面に取り付ける構成としたが、筺体10と一体構造でホルダ30を形成してもよい。また、図4(b)に示すように、表示室31を有するホルダ30を独立した筺体10bとして、取り付けるようにしてもよい。
【0022】
また、図1ではLED60の数を3個としたが、導光体40が短い場合は1個であってもよく、導光体40が長い場合は3個以上を配置していもよい。
【0023】
また、図4(a)に示すように、表示部80のカバー20の表面にマークやブランド名を刻印21してもよい。この場合は非点灯時にも空気調和機70に立体的なデザイン処理により高級感を与えることができ、点灯時は背面からの光が透過することで、点灯表示に影響を与えることはない。
【符号の説明】
【0024】
10、10b:電気機器の筺体、11:開口
20:カバー、21:刻印
30:ホルダ、31:表示室、31a:左右の壁面、31b:ステップ面、31b1:角部、31b2:奥部、31b3:遮光リブ、31c:縦面、31d:上下の壁面、32:光源室、33:隔壁、33a:開口
40:導光体、41:鍔
50:回路基板
60:LED
70:空気調和機の室内機
80:表示部
110:電気機器の筺体、111:開口、112:LEDホルダ部
120:導光体
130:LEDホルダ
140:回路基板
150:LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の筺体の表面に難透視処理されたカバーを取り付け、該カバーの背面側に表示室を設け、該表示室内に該表示室の奥壁のほぼ中央部から一部が前記カバーに正対して突出する導光体を配置し、該導光体の前記突出する部分と反対側に光源を配置し、且つ前記表示室の内壁の少なくとも一部を前記カバー側に向けて拡開するように階段状に形成した表示装置を備えることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器において、
前記表示室は、前記階段状のステップ面の奥側が角側よりも前記カバーから遠ざかっていることを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機器において、
前記表示室は、前記階段状のステップ面の角側に前記カバーの方向に突出する遮光リブが形成されていることを特徴とする電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−224339(P2010−224339A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73203(P2009−73203)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】