説明

電気泳動表示装置およびその製造方法、電子機器

【課題】本発明は、熱衝撃等における基板の破壊を防止して、環境温度変化に耐性のある信頼性の高い電気泳動表示装置およびその製造方法、電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置は、素子基板および対向基板と、素子基板と対向基板とに挟持された電気泳動層と、素子基板と対向基板との間に配置され電気泳動層の周囲を取り囲む封止部材と、を備え、少なくとも1つの外形辺おいて、素子基板の辺端と、対向基板の辺端と、封止部材の辺端とが平面視で一致するように配置されており、素子基板の対向基板側の面における外形辺に沿った周縁部に、封止部材と接着されない未接着領域が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置およびその製造方法、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気泳動表示装置として、一対の基板間にマイクロカプセルを多数配列してなる電気泳動層が挟持されたマイクロカプセル型電気泳動表示パネルが知られている(特許文献1)。このような電気泳動表示パネルにおいては電気泳動層の周囲に樹脂からなる封止部材を配置することによって電気泳動層の封止性が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−114822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構成の電気泳動表示パネルにおいては、電気泳動シートの周囲を樹脂からなる封止部材などで保護(封止)する構成が知られている。封止部材は電気泳動シートの外周に位置することになるが、この位置には素子基板側の配線や駆動回路が存在する。
【0005】
このような電気泳動表示パネルの封止構造において、−20℃から85℃の温度範囲において熱衝撃試験や熱サイクル試験を行った場合には、線膨張係数の違いによって、ガラス基板からなる一対の基板と封止部材との間で局部的な応力が生じる。ガラス基板の外縁には、切断加工時のマイクロクラック等の加工ひずみが存在する。したがって、上記したような局部的な応力によって加工ひずみを起点としてクラックが進行し、ガラス基板が破壊されてしまうことがあった。
【0006】
ガラス基板が破壊されると、封止部材からガラス基板が剥離したり、ガラス基板に設けられた電極や配線、駆動回路等が破壊されるおそれもあり、表示不具合が発生するだけでなく水分が浸入して信頼性が低下するという課題があった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、熱衝撃等における基板の破壊を防止して、環境温度変化に耐性のある信頼性の高い電気泳動表示装置およびその製造方法、電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気泳動表示装置は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とに挟持された電気泳動層と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され前記電気泳動層の周囲を取り囲む封止部材と、を備え、少なくとも1つの外形辺おいて、前記第1基板の辺端と、前記第2基板の辺端と、前記封止部材の辺端とが平面視で一致するように配置されており、前記第1基板の前記第2基板側の面における前記外形辺に沿った周縁部に、前記封止部材と接着されない未接着領域が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、例えば熱衝撃試験や熱サイクル試験などを行った際に各部材の線膨張係数の違いによって、前記未接着領域が設けられた第1基板と封止部材との間で生じる局部的な応力を緩和することが可能である。これにより、第1基板が破壊されるようなことを防止することができる。よって、熱衝撃等における基板の破壊を防止して、環境温度変化に耐性のある信頼性の高い電気泳動表示装置を提供することができる。
【0010】
また、前記第2基板の前記第1基板側の面における前記外形辺に沿った周縁部に、前記封止部材と接着されない未接着領域が設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、第2基板の第1基板側の面における外形辺に沿った周縁部に生じる局部的な応力をも緩和することができ、各基板の破壊をともに防止することが可能である。これにより、高品質な電気泳動表示装置となる。
【0012】
また、前記未接着領域が、前記外形辺を構成する前記第1基板または前記第2基板の辺縁部全体に設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、外形辺を構成する第1基板または第2基板の辺縁部全体全体に未接着領域が設けられていることから、第1の辺全体にかかる応力を緩和することができ、基板の破壊をより防止することが可能となる。
【0014】
また、前記未接着領域が、前記第1基板と前記封止部材との間、または前記第2基板と前記封止部材との間に、前記封止部材よりも小さい弾性率を有する保護層が設けられた領域であることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、未接着領域に設けられた保護層によって基板にかかる局部的な応力を効率よく吸収することができる。
【0016】
また、前記未接着領域が、前記第1基板と前記封止部材との間、または前記第2基板と前記封止部材との間に、空隙が設けられた領域であることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、未接着領域の空隙によって基板と封止部材との間で局部的な応力がかかるのを防止することができる。
【0018】
本発明の電気泳動表示装置の製造方法は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とに挟持された電気泳動層と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され前記電気泳動層の周囲を取り囲む封止部材と、を備えた電気泳動表示装置の製造方法であって、第1マザー基板の表面に1つの前記電気泳動表示装置に相当する複数のパネル領域を形成する工程と、前記第1マザー基板上の前記複数のパネル領域にそれぞれ電気泳動層を配置する工程と、前記電気泳動層を介して前記第1マザー基板および前記第2マザー基板を貼り合わせる工程と、前記第1マザー基板と前記第2マザー基板との間に前記封止部材を形成する工程と、前記パネル領域ごとに前記第1マザー基板および前記第2マザー基板を切断する工程と、を備え、前記封止部材を形成する工程では、前記複数のパネル領域の少なくとも一部の領域に未接着領域を形成しつつ、前記複数のパネル領域の周囲に前記封止部材を形成することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、複数のパネル領域の少なくとも一部の領域に未接着領域を形成しつつ、複数のパネル領域の周囲に封止部材を形成した後、貼り合わされた第1マザー基板および第2マザー基板をパネル領域ごとに切断することから、未接着領域上を切断することになる。これにより、電気泳動表示装置における第1基板および第2基板のいずれか一方の第1の辺にマイクロクラック等の加工ひずみが生じることが防止される。
これにより、熱衝撃等における基板の破壊を防止して、環境温度変化に耐性のある信頼性の高い電気泳動表示装置を提供することができる。
【0020】
また、前記第2マザー基板の前記第1マザー基板側の面における前記外形辺に沿った周縁部に、前記封止部材と接着されない未接着領域を形成することが好ましい。
【0021】
本発明によれば、第1マザー基板および第2マザー基板の両方に未接着領域を形成することにより、電気泳動表示装置における第1基板および第2基板のそれぞれの外形辺にマイクロクラック等の加工ひずみが生じることを防止することができる。
【0022】
また、前記外形辺を構成する前記第1マザー基板または前記第2マザー基板の辺縁部全体に前記未接着領域を形成することが好ましい。
【0023】
本発明によれば、部分的に未接着領域を形成するよりも1辺全体に未接着領域を形成することによって、当該辺全体で加工ひずみ等が生じるのを防止することができる。
【0024】
また、前記第1および前記第2マザー基板を貼り合わせる工程の前に、前記未接着領域に前記封止部材の弾性率よりも小さい弾性率を有する保護層を設けることが好ましい。
【0025】
本発明によれば、未接着領域に封止部材の弾性率よりも小さい弾性率を有する保護層を設けることによって、切断加工時に保護層が引っ張り出されることなく切断することができるようになる。
【0026】
また、前記第1および前記第2マザー基板を貼り合わせる工程の前に、前記未接着領域となる領域に前記封止部材の硬化熱よって溶解する材料を塗布することが好ましい。
【0027】
本発明によれば、封止部材の硬化熱によって未接着領域となる領域に塗布した材料が溶解して当該部分に空隙が形成される。これにより、未接着領域に空隙が形成されて切断加工によって基板端部に加工ひずみ等が生じるのを防止することができる。
【0028】
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、熱衝撃等における基板の破壊を防止して、環境温度変化に体制のある信頼性の高い電気泳動表示装置を備えているので当該電子機器も信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す平面図。
【図2】図1のA−A線における断面図。
【図3】(a)図1のB−B線における断面図、(b)(a)の部分拡大断面図。
【図4】電気泳動表示装置の製造方法を示すフローチャート。
【図5】電気泳動表示装置の製造方法を示す工程図。
【図6】同、工程図。
【図7】同、工程図。
【図8】同、工程図。
【図9】同、工程図。
【図10】同、工程図。
【図11】同、工程図。
【図12】同、工程図。
【図13】同、工程図。
【図14】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図。
【図15】電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、本発明の電気泳動装置の第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A線における断面図、図3(a)は図1のB−B線における断面図、図3(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【0032】
電気泳動表示装置1(電気泳動装置)は、図1〜図3に示すように、素子基板2(第1基板)と電気泳動シート3と、ガラス保護基板4(第2基板)とが互いに貼り合わされてなる電気泳動パネル1Aを備えている。
【0033】
電気泳動パネル1Aには、静止画や動画等の画像を表示する表示領域5が設けられている。表示領域5内には、マトリクス状に配列された複数の画素が設けられており、画素ごとに表示が行われるようになっている。この表示領域5に電気泳動シート3が貼り付けられている。表示領域5の周囲には画像が表示されない非表示領域6となっている。この非表示領域6には画素は設けられておらず、走査線駆動回路23、データ線駆動回路22および端子24などが設けられている。これら走査線駆動回路23およびデータ線駆動回路22等は不図示のコントローラとそれぞれ接続されている。
【0034】
素子基板2は、例えば0.5mm程度の厚さの基板20と、基板20上に形成された画素電極25及びスイッチング素子26などを含む駆動層21を有している。基板20としては、例えばガラス基板、石英基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板などの無機基板や、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。
【0035】
駆動層21は、基板20のうち表示領域5に対応する領域に形成されている。この駆動層21には、各画素に設けられる不図示の画素電極やスイッチング素子、スイッチング素子に接続されるデータ線及び走査線などが形成されている。また、各画素電極にはそれぞれ不図示の保持容量が接続されていてもよい。
【0036】
駆動層21の平面領域は、表示領域5と略一致しており、駆動回路22,23はこの駆動層21の周縁部(非表示領域6)に設けられている。駆動回路22,23はデータ線や走査線に電気的に接続されており、駆動層21に信号を供給するようになっている。端子24は素子基板2の4辺のうち一辺(図中では右端)に沿って複数設けられており、これらの端子24の一部は素子基板2上に形成されている図示しない配線によって駆動回路22,23に接続されている。
【0037】
基板20の裏面20bには接続基板8が貼り付けられている。接続基板8は例えばガラスエポキシなどの絶縁部材からなるコア部材8aとコア部材8aの表面(素子基板2側の面)に設けられた接続電極8bと裏面に設けられた外部接続端子8cとを有している。
図1〜図3に示すように、コア部材8aは一辺が基板20の外縁からはみ出すとともに、基板20の裏面20b全体を覆うように貼り付けられた矩形の板状部材である。接続電極8bは例えば銅などの金属からなるワイヤー10を介して基板20の内面20aに設けられた端子24に接続されている。
【0038】
電気泳動シート3は、透明基板30、共通電極、電気泳動層31及び接着層33を有して構成されている。透明基板30は電気泳動層31を保持する基板であり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)など光透過性の高い材料からなる矩形の基板である。透明基板30の表面30a側は電気泳動表示装置100の表示面側になっている。
【0039】
共通電極(不図示)は、透明基板30の内面30bのほぼ全面に形成されている。この共通電極35は例えばITOなどの光透過性の高い導電材料で構成されており、上下導通部9によって素子基板2に接続されている。
【0040】
電気泳動層31は、複数のマイクロカプセル32を有している。
マイクロカプセル32は電気泳動分散液が封入された略球状のカプセルであり、各カプセルの直径はほぼ同一(50μm〜100μm)になっている。マイクロカプセル32のカプセル壁膜を形成する材料としては、アラビアガム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂などの化合物が挙げられる。マイクロカプセル32に封入された電気泳動分散液は電気的に刺激に対応した光学特性が変化する電気光学物質であり、複数の電気泳動粒子と、当該電気泳動粒子を分散させるための液相分散媒とからなる。
【0041】
液相分散媒としては、水やアルコール系溶媒、各種エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独、またはこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0042】
電気泳動粒子としては、分散媒中で電位差による電気泳動により移動する性質を有する有機あるいは無機の粒子(高分子あるいはコロイド)を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、アニリンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン等の白色顔料、モノアゾのアゾ系顔料、イソインドリノン等の黄色顔料、モノアゾのアゾ系顔料、キナクリドンレッド等の赤色顔料、フタロシアニンブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0043】
マイクロカプセル32には、例えば白色顔料である二酸化チタンと黒色顔料であるカーボンブラックとの二種類の電気泳動粒子が封入されており、一方が負に、他方が正に帯電されている。勿論他の電気泳動粒子を用いても構わないし、電気泳動粒子を一種類のみ用い、これを共通電極側、あるいは画素電極側に泳動させることで表示可能となるように構成しても構わない。
【0044】
接着層33は、バインダを兼ねた熱硬化タイプの接着剤である。接着層33としては、マイクロカプセル32のカプセル壁膜に対する親和性が良好で、共通電極および画素電極に対する接着性に優れ、かつ絶縁性の良い接着剤であることが好ましい。また、熱硬化タイプではあるが、硬化後も弾性がある接着剤が好ましい。
【0045】
ガラス保護基板4は、電気泳動シートの表面(視認側)に設けられ、透明基板の表面に接着材を介して貼り合わされている。ガラス保護基板4の板材としては光透過性が高く、平坦度が優れ、キズがつきにくい材料が適しており、例えば向きガラスやクリスタルガラスを用いることができる。また、サファイヤガラスやアクリル系の板材、強化ガラス等を用いてもかまわない。このガラス保護基板4と電気泳動シート3とは例えば両面テープなどの透明な接着層11により固定されている。
【0046】
封止部材7は、電気泳動シート3の周囲を封止するように取り囲み、素子基板2とガラス保護基板4の周辺部どうしの間に設けられている。この封止部材7は、さらに素子基板2側の端子24と接続基板8側の接続電極8bおよびこれらを接続するワイヤー10を覆うように設けられており、素子基板2と接続基板8との接続を構成する部位は封止部材7によって覆われた状態になっている。
【0047】
ここで、電気泳動層31はその表裏面側が素子基板2とガラス保護基板4とによって封止されているとともにその周囲は封止部材7によって封止されている。水分を嫌う電気泳動層31がこのように覆われていることにより、外部からの水分の浸入を確実に防止することができるようになっている。
【0048】
電気泳動表示装置100は、図1、図2および図3(a)に示すように、平面視における電気泳動パネル1Aの少なくとも1つの外形辺において、素子基板2の3つの辺端2B,2C,2Dと、ガラス保護基板4の3つの辺端4B,4C,4Dと、封止部材7の3つの辺端7B,7C,7Dとが平面視で一致している。ここで、「電気泳動パネル1Aの外形辺」とは、電気泳動パネルの外形を構成する最も外側の辺のことである。また、「辺端」とは、各基板の端部を指す。
【0049】
さらに、素子基板2(基板20)のガラス保護基板4側の面20aにおける外形辺に沿った周縁部(面20aの周縁部)と、ガラス保護基板4の素子基板2側の面4aにおける外形辺に沿った周縁部(4aの周縁部)とに、封止部材7とは直接接着されていない未接着領域Rがそれぞれ設けられている。
未接着領域Rは、基板20と封止部材7との間、およびガラス保護基板4と封止部材7との間に、封止部材7よりも小さい弾性率を有する保護層50が設けられた領域であって、当該領域R上に配置された保護層50によって素子基板2およびガラス保護基板4の内面の一部が封止部材7と直接には接することのない領域とされている。
【0050】
次に、保護層50の構成について具体的に述べる。
素子基板2上には、上記した素子基板2の3つの辺端2B,2C,2Dと、ガラス保護基板4の3つの辺端4B,4C,4Dとの各辺端2B〜2D、4B〜4Dにおける辺縁部全体にわたってそれぞれ保護層50が設けられている。
ここで、「辺端における辺縁部」とは、基板面の1辺に沿った領域のことである。
【0051】
電気泳動パネル1Aのうち、例えば、上下導通部9が存在する辺端2C,4C側の封止幅W3がこれらと隣り合う上記辺端2B,4Bの封止幅W2および上記辺端2D,4Dの封止幅W4よりも広くなっている場合は、封止部材7の硬化収縮による応力の影響を受けにくい。このように、少なくとも封止部材7による封止幅の狭い辺端に保護層50を設けるようにする。
【0052】
保護層50の材料としては、封止部材7よりも軟らかい弾性率の小さい材料が好ましく、例えばエポキシ樹脂の弾性率よりも1桁〜2桁程度小さい弾性率を有する材料が特に適している。
【0053】
本実施形態では保護層50として厚さtが25μmのアクリル系粘着シート材を用いる。なお、これに限定されることはなく、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の樹脂をディスペンサにより塗布する方法で形成することも可能である。
【0054】
保護層50の厚さt(図3(b))は薄ければ薄いほど良く、本実施形態では25μm以下の寸法で形成されている。これは電気泳動シート3と外気を遮断する封止部材7の厚さをできる限り厚くすることができるからである。封止部材7を厚くすることで電気泳動シート3に対する封止性を高めることができる。
【0055】
なお、走査線駆動回路23側の辺端2B,4Bにおける封止部材7の封止幅を広くすることができれば、当該辺端2B,4Bの保護層50を省略することも可能である。本実施形態では、多面取りによって電気泳動表示装置100が製造される場合にマザー素子基板およびマザーガラス保護基板のダイシングライン上に保護層50を設けておくようにする。つまり、切断加工される辺に保護層50を設けておくようにする。
【0056】
また、図3(b)に示すように、本実施形態においては各辺端2B〜2D,4B〜4Dにおける保護層50の幅W5が一定とされている。なお、この保護層50の幅W5は封止部材7の幅によって適宜変更することが可能であり、封止部材7の厚さと同様の理由から狭い方が良い。しかしながら、後述するダイシング加工時に必要となる最低限の幅は確保することにする。
このようにして本実施形態の電気泳動表示装置100が構成されている。
【0057】
本実施形態の電気泳動表示装置100は、素子基板2の辺端2B〜2Dおよびガラス保護基板4の辺端4B〜4Dの辺縁部に、封止部材7よりも弾性率の小さい保護層50をそれぞれ有している。このような保護層50が各基板2,4上に設けられることによって、封止部材7と各基板2,4の一部が直接接触しない未接着領域Rが複数存在する構成とされている。
【0058】
従来は、各基板2,4の周縁部全体が封止部材7に接していたため、これら各部材の線膨張係数の違いから熱衝撃試験時の封止部材7の樹脂収縮によって封止部材7から各基板2,4が剥離したり、これら基板2,4の外縁部に製造時に生じたマイクロクラックなどの加工ひずみを起点としてクラックが進行して基板が破壊してしまうことがあった。
【0059】
本実施形態では封止部材7よりも弾性率の小さい材料からなる保護層50が緩衝材(弾性材)として機能することにより上記封止部材7の樹脂収縮による応力を緩和することができる。つまり、封止部材7の樹脂収縮に伴って保護層50が伸縮することで応力が吸収され、当該応力の集中しやすい各基板2,4の端部においてマイクロクラックや封止部材7との剥離等が発生するのを防止することができる。
【0060】
また、電気泳動表示装置100の封止幅は辺端によって異なっている。特に封止幅の狭い辺端において封止部材7の樹脂収縮の影響を受けやすく、マイクロクラックの発生や封止部材7との剥離等が発生しやすい。クラックや剥離等が生じた部分から水分が浸入することで電気泳動層31に対する封止性が低下してしまうことから、少なくとも封止幅の狭い辺に保護層50を形成して封止部材7と部分的に接触しない領域を設けることで、クラックや剥離等の不具合の発生を防止するようにする。
【0061】
本実施形態の保護層50は封止部材7よりも弾性率の小さい材料によって非常に薄い層で形成されている。これは、封止部材7の外側に封止部材7と同じ厚さを有する保護層50を設けた場合は封止性が低下するおそれがあるためである。例えば、封止幅が0.6mm前後のところ、幅0.1mm程度の保護層50を設けてしまうと実際の封止幅の寸法が減ってしまう。つまり、封止領域の約20%を保護層50の形成領域が占めることになるため十分な封止性を確保することがむずかしい。そこで、本実施形態においては保護層50を薄く形成して該保護層50上を覆うように封止部材7を形成することで、十分な封止幅を確保できる構成とした。
【0062】
次に、本実施形態の電気泳動表示装置の製造方法について図面を参照して説明する。
図4は電気泳動表示装置の製造方法を示すフローチャートであり、図5〜図13は電気泳動表示装置の製造方法を示す概略図である。
本実施形態では、複数の電気泳動表示パネルの集合体(マザー基板の集合体)を形成し、当該集合体(マザー基板の集合体)を切断することによって個々の電気泳動表示装置に個片化する、いわゆる多面取りと呼ばれる手法を例に挙げて説明する。
【0063】
本実施形態の電気泳動表示装置の製造方法は、図4に示すように、パネル形成領域工程S1と、保護層形成工程S2と、電気泳動層配置工程S3と、基板貼り合せ工程S4と、封止部材形成工程S5と、基板切断工程S6とを含む。
【0064】
まず、図5に示すように、マザー素子基板40(第1マザー基板)の表面40aに、1つの電気泳動表示装置に相当する複数のパネル領域Pを形成する(S1)。各パネル領域Pのうち表示領域5には画素電極やスイッチング素子などを形成し、非表示領域6には上記したデータ線駆動回路22、走査線駆動回路23、端子24および配線などを形成する。この各パネル領域Pが1つ1つの電気泳動表示装置100となる。複数のパネル領域Pを形成した後、粘着テープなどを介してマザー接続基板41をマザー素子基板40の裏面40bに貼り付ける。
【0065】
次に、図6に示すようにマザー素子基板40上の端子24とマザー接続基板41上の接続電極8bとの間をワイヤー10によって接続する。ワイヤー10による接続後、図7に示すように、ワイヤー10の配列方向に並ぶ複数のパネル領域Pどうしの境界上に保護層50(マザー素子基板40と後に形成する封止部材との未接着領域R)を形成する(S2)。
【0066】
一方、図8に示すように、マザー素子基板40に保護層50を形成した後、電気泳動層31を含む電気泳動シート3を表示領域5(図1)の各パネル領域Pに対応した所定の位置に貼り付ける(S3)。電気泳動シート3は接着層11の表面に設けられた保護用の剥離シート(不図示)が貼り付けられた状態で取り扱われるため、この保護用の剥離シートを剥離してから貼り付ける。
そして、マザーガラス保護基板44,44の長辺方向に並ぶパネル領域Pどうしの境界上に複数の保護層50を形成する。
【0067】
本実施形態においては保護層50としてアクリル系の接着シート材をマザー素子基板40およびマザーガラス保護基板44,44上に直接貼り付けることによって形成した。保護層50を構成する接着シート材は各基板2,4の長辺方向で隣り合うパネル領域Pどうしの境界上に存在することになる。
【0068】
次に、図9に示すようにマザー素子基板40上に電気泳動シート3を介してマザーガラス保護基板44,44を貼り合わせる(S4)。これにより、図10に示すように電気泳動シート3がマザー素子基板40とマザーガラス保護基板44とにより挟持された状態となる。この状態において、各マザー基板40,44上に形成された保護層50どうしは互いに対向する。なお、マザー基板40,44どうしを貼り合わせる際に各基板2,4上の保護層50をアライメントマークとして利用してもよい。
【0069】
次に、図11に示すようにマザー素子基板40上にマザーガラス保護基板44,44を貼り合わせた状態で、マザー素子基板40、マザーガラス保護基板44および電気泳動シート3によって囲まれた領域に封止部材7の材料となる封止材料を流し込んで充填する。その後、80℃〜85℃程度の加熱処理によって封止材料を硬化させることにより非表示領域6に封止部材7を形成する(S5)。同時に、上記保護層50により、パネル領域Pの少なくとも一部の境界、本実施形態ではパネル領域Pの全ての境界に未接着領域Rが形成される。
【0070】
次に、図12に示すようにマザー接続基板41が下になるようにしてダイシングテープ(不図示)上に配置し、パネル領域Pの外形に沿ってダイシングブレード(不図示)によってマザー基板の集合体(マザー接続基板41、マザー素子基板40、マザーガラス保護基板44)を切断する(S6)。この際、ダイシングブレードはパネル領域Pの境界に存在する保護層50を切断しながら進行する。このようにして図13に示すような個々の電気泳動表示装置100を得る。
【0071】
ここで、封止樹脂の熱硬化後は樹脂の硬化収縮が2%〜3%生じる。このため、保護層50を設けていない従来の製造方法ではマザー素子基板およびマザーガラス保護基板のダイシング領域全体が封止部材に接触していることから、マザー素子基板およびマザーガラス保護基板を貼り合わせた後はこの端部に応力がかかった状態にある。この状態でダイシング工程が行われるため、電気泳動表示装置の素子基板およびガラス保護基板の周縁部の端部には切断加工時におけるマイクロクラック等の加工ひずみが生じやすい。
【0072】
これに対して本実施形態の製造方法であれば、一対のマザー基板40,44の各パネル領域Pに封止部材7と直接接触するのを防止する保護層50がそれぞれ設けられている。この保護層50は封止部材7よりも弾性率が小さい材料を用いて形成されたものであるとともに非常に薄膜であるため、ダイシングブレードによって切断しやすいという利点がある。また、ダイシング時に引っ張り出されることもないので封止性も確保され、かつ、見た目にも良好な切断面となる。
【0073】
また、例えば−20℃から85℃の熱衝撃試験や熱サイクル試験を行った場合に、基板材料と封止部材7との線膨張係数の違いによって、素子基板2あるいはガラス保護基板4と封止部材7との間で局部的な応力が発生したとしても、封止部材7よりも弾性率の小さい(柔軟性の高い)保護層50によってこの局部的な応力を緩和することが可能である。これにより、素子基板2やガラス保護基板4にマイクロクラック等が発生するのを防止することができる。また、このマイクロクラック等の加工ひずみを起点として素子基板2やガラス保護基板4が破壊されることが防止される。さらには、素子基板2側に設けられた走査線駆動回路23やデータ線駆動回路22やこれらにつながる配線等の断裂を防ぐとともに、基板端部の加工ひずみから水分等が電気泳動シート3側に浸入することを防ぐことができる。
【0074】
また、素子基板2とガラス保護基板4との対向する各辺端2B〜2D、4B〜4Dにそれぞれ保護層50を設けることによって応力のバランスが良好になり不具合が生じにくくなる。
また、ダイシングする領域に保護層50を設けておくことが好ましい。これによりダイシング加工が良好に行える。
このようにして得られた本実施形態の電気泳動表示装置100は、熱衝撃試験や熱サイクル試験等における素子基板2およびガラス保護基板4の破壊を防止して、環境温度変化に耐性のある信頼性の高いものとすることができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、マザー素子基板40およびマザーガラス保護基板44,44のいずれにも保護層50を形成したが、マザー素子基板40あるいはマザーガラス保護基板44のいずれか一方に保護層50を形成してもかまわない。
また、各基板40,44のダイシングライン全体にわたって保護層50を形成したが、ダイシングライン上に部分的に保護層50を形成してもかまわない。
【0076】
なお、本実施形態では、保護層50の厚さや幅W5は辺縁部全体にわたって均一になっているが、部分的に厚く(広く)なっていたり薄く(狭く)なっていたり変動していても構わない。あるいは辺全体に設けられていなくてもよく、分断されていても構わない。
【0077】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電気泳動表示装置について述べる。
図14は第2実施形態の電気泳動表示装置200の概略構成を示す断面図である。
図14に示すように、本実施形態においては先に実施形態の保護層に代えて空隙Kが設けられている。すなわち、素子基板2とガラス保護基板4の内面20a,4aは部分的に露出しており、この露出面102,104上には撥液処理が施されている。このため、封止部材7はこの撥液処理された露出面102,104には接触しておらず、先の実施形態において述べた各基板20,4の内面20a,4aの一部と封止部材7の一部とが直接接触していない未接着領域Rとなっている。
【0078】
本実施形態における電気泳動表示装置200における製造方法においては、素子基板2およびガラス保護基板4の互いに対向する辺端2B,4Bと辺端2C,4Cと辺端2D,4Dとの内面20a,4a上にそれぞれの辺縁部に沿って撥液処理を予め施しておき、これら撥液処理が施された素子基板2とガラス保護基板4の内面20a,4aどうしを対向させた状態で電気泳動シート3を介して貼り合わせ、封止材料を充填する。すると、撥液処理が施された露出面102,104上を避けるようにして封止材料が充填される。この状態で封止材料を熱硬化させることによって封止部材7を形成すると、撥液処理が施された素子基板2とガラス保護基板4の辺縁部に空隙Kが形成される。
【0079】
このように本実施形態の構成によれば、素子基板2とガラス保護基板4の各辺端2B〜2D、4B〜4Dにおけるそれぞれの辺縁部に微小な空隙Kを形成することによって、各基板2,4の内面20a,4の一部が部分的に露出した状態となっており、これら露出面102,104は封止部材7には接着されていない。これにより、熱衝撃試験や熱サイクル試験等を行った場合に各部材の線膨張係数の違いによって素子基板2あるいはガラス保護基板4が封止部材7から剥がれて水分が内部に浸入してしまうのを防止することができる。つまり、試験中の温度低下により封止部材7が収縮したとしても、空隙Kによって素子基板2およびガラス保護基板4の各辺端2B〜2D、4B〜4Dにおける辺縁部が封止部材7と接触していないため、樹脂収縮に伴って両基板2,4の端部が内側(封止部材7側)に引っ張られることが防止される。つまり空隙Kによって辺縁部には応力がかからなくなるため、封止部材7が収縮しても基板2,4全体の変形が緩和されてマイクロクラック等が発生するのを防止することができる。
【0080】
以下に本実施形態の電気泳動表示装置200の製造方法について述べる。ここでは、先の実施形態と異なる部分について詳しく説明し、先の実施形態と同様の部分についての説明は省略するものとする。
【0081】
本実施形態の電気泳動表示装置200を製造では、未接着領域Rの形成工程S2において、マザー素子基板40およびマザーガラス保護基板44,44の複数のパネル領域Pの境界上にそれぞれ未接着領域Rを形成した後、これら未接着領域Rに後の工程において形成する封止部材の硬化熱によって溶解する材料を塗布する。
【0082】
その後、マザー素子基板40上の複数のパネル領域Pにそれぞれ電気泳動層31を配置する工程S3と、電気泳動層31を介してマザー素子基板40およびマザーガラス保護基板44,44を貼り合わせる工程S4とを実行し、マザー素子基板40とマザーガラス保護基板44,44との間に封止部材7を形成する工程S5において、封止部材の形成材料(樹脂材料)を基板40,44間に充填させた後、所定の温度で加熱することによって樹脂が硬化し、封止部材7が形成される。この際、封止部材7の硬化熱によって先の工程において未接着領域Rに塗布した材料が溶け出し、残された部分に空隙Kが形成される。このようにして未接着領域Rに空隙Kが形成されることとなる。
【0083】
その後、パネル領域Pごとにマザー素子基板40およびマザーガラス保護基板44,44を切断する工程S6を実施する。
【0084】
本実施形態の製造方法によれば、ダイシングライン上に予め空隙Kを形成しておくことによって切断加工によって基板2,4の端部にマイクロクラックなどの加工ひずみが発生してしまうのを防止することができる。これにより、より精度良く基板を加工できるとともに高品質な電気泳動表示装置が得られる。
【0085】
なお、本実施形態においては、封止材料を充填する前に基板面の所定箇所に撥液処理を施すことによって空隙Kを形成することとしたが、例えば、80度くらいの温度で溶け出すワックスのような材料であっても良い。このような材料を封止材料の充填前に基板面の所定箇所に塗布しておくことによって、封止部材7の熱硬化の際にワックスが溶け出して封止部材7の完成後には素子基板2およびガラス保護基板4の各辺端2B〜2D、4B〜4Dにおける辺縁部と封止部材7との間に空隙Kが形成される。このような場合、マザー素子基板40やマザーガラス保護基板44どうしをダイシングする際、このダイシング箇所が空隙Kになるため切断に有利となる。
【0086】
あるいは、封止部材7よりも弾性率の小さい材料であればワックス自体が残っていても構わない。
【0087】
熱によって溶解するワックス以外にもアルコールによって溶解する材料を用いることもできる。
【0088】
また、封止材料の充填前に予めテープ部材を貼っておいても構わない。例えば、テープ部材の粘着層が封止部材7の熱硬化の際に溶け出すことによって粘着層を保持していた保持材を基板2,4から除去することができるとともに、当該貼付箇所に空隙Kを形成することができる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0090】
(電子機器)
次に、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部として備える電子機器の一例について説明する。図15は、電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
図15(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック1000は、ブック形状の本体1001と、この本体1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、本実施形態に係る電気泳動表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。表示部1004には、上記各実施形態に係る電気泳動表示装置のいずれかが搭載されている。
図15(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、本実施形態に係る電気泳動表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
上記表示部1004および上記表示部1101には、上記各実施形態に係る電気泳動表示装置のいずれかが搭載されている。
【0091】
以上の電子ブック1000及び時計1100によれば、本発明に係る電気泳動表示装置が採用されているので、環境温度変化に耐性のある信頼性に優れた表示手段を備えた電子機器となる。
【0092】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
1A 電気泳動表示パネル、2 素子基板(第1基板)、2B〜2D 辺端、3 電気泳動シート、4 ガラス保護基板(第2基板)、4a 内面、4B〜4D 辺端、5 表示領域、6 非表示領域、7 封止部材、7B〜7D 辺端、8 接続基板、8a コア部材、8b 接続電極、9 上下導通部、K 空隙、P パネル領域、R 未接着領域、t 厚さ、10 ワイヤー、11 接着層、20 基板、20a 内面、20b 裏面、21 駆動層、22 データ線駆動回路、23 走査線駆動回路、24 端子、25 画素電極、26 スイッチング素子、30 透明基板、30a 表面、30b 内面、31 電気泳動層、32 マイクロカプセル、33 接着層、35 共通電極、40 マザー素子基板、40a 表面、40b 裏面、41 マザー接続基板、44 マザーガラス保護基板、50 保護層、W1,W2,W3,W4 封止幅、W5 幅、100,200 電気泳動表示装置、102 露出面、1000 電子ブック(電子機器)、1001 本体、1002 カバー、1003 操作部、1004 表示部、1100 時計、1100 腕時計(電子機器)、1101 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板および第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とに挟持された電気泳動層と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され前記電気泳動層の周囲を取り囲む封止部材と、を備え、
少なくとも1つの外形辺おいて、前記第1基板の辺端と、前記第2基板の辺端と、前記封止部材の辺端とが平面視で一致するように配置されており、
前記第1基板の前記第2基板側の面における前記外形辺に沿った周縁部に、前記封止部材と接着されない未接着領域が設けられていることを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記第2基板の前記第1基板側の面における前記外形辺に沿った周縁部に、前記封止部材と接着されない未接着領域が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
前記未接着領域が、前記外形辺を構成する前記第1基板または前記第2基板の辺縁部全体に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の電気泳動表示装置。
【請求項4】
前記未接着領域が、前記第1基板と前記封止部材との間、または前記第2基板と前記封止部材との間に、前記封止部材よりも小さい弾性率を有する保護層が設けられた領域であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項5】
前記未接着領域が、前記第1基板と前記封止部材との間、または前記第2基板と前記封止部材との間に、空隙が設けられた領域であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項6】
第1基板および第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とに挟持された電気泳動層と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され前記電気泳動層の周囲を取り囲む封止部材と、を備えた電気泳動表示装置の製造方法であって、
第1マザー基板の表面に1つの前記電気泳動表示装置に相当する複数のパネル領域を形成する工程と、
前記第1マザー基板上の前記複数のパネル領域にそれぞれ電気泳動層を配置する工程と、
前記電気泳動層を介して前記第1マザー基板および前記第2マザー基板を貼り合わせる工程と、
前記第1マザー基板と前記第2マザー基板との間に前記封止部材を形成する工程と、
前記パネル領域ごとに前記第1マザー基板および前記第2マザー基板を切断する工程と、を備え、
前記封止部材を形成する工程では、前記複数のパネル領域の少なくとも一部の領域に未接着領域を形成しつつ、前記複数のパネル領域の周囲に前記封止部材を形成することを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2マザー基板の前記第1マザー基板側の面における前記外形辺に沿った周縁部に、前記封止部材と接着されない未接着領域を形成することを特徴とする請求項6記載の電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記外形辺を構成する前記第1マザー基板または前記第2マザー基板の辺縁部全体に前記未接着領域を形成することを特徴とする請求項6または7記載の電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1および前記第2マザー基板を貼り合わせる工程の前に、
前記未接着領域に前記封止部材の弾性率よりも小さい弾性率を有する保護層を設けることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1および前記第2マザー基板を貼り合わせる工程の前に、
前記未接着領域となる領域に前記封止部材の硬化熱よって溶解する材料を塗布することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−232462(P2011−232462A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101321(P2010−101321)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】