説明

電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、及び電子機器

【課題】表示装置単体での線幅調整を可能とし、表現力を向上させることができる電気泳動表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、画素電極に第1又は第2の電位を入力する一方、共通電極に前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルス波を入力し、共通電極の電位が特定階調を表示する電位であるときに前記パルス波の入力を停止することで、特定階調からなる画像要素の輪郭が拡張された画像を表示部に表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶液中に電気泳動粒子を分散させてなる分散液に電界を印加した際に、クーロン力によって電気泳動粒子が泳動する現象(電気泳動現象)が知られており、当該現象を利用した電気泳動表示装置が開発されている。このような電気泳動表示装置は、例えば、下記特許文献1,2に開示されている。電気泳動表示装置は、共通電極と複数に分割された画素電極との間に電位差を生じさせることにより、表示色を所望の色に変化させることが可能となる。特許文献1記載の駆動方法では、共通電極に周期的にローレベルとハイレベルとを繰り返すパルス波を入力する駆動方法(コモン振り駆動)を採用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−70791号公報
【特許文献2】特開2003−140199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気泳動表示装置に限らず、表示装置一般においては、その表示解像度は画素サイズ及び画素ピッチにより規定され、表示される線幅は1画素単位の幅に固定されている。近年では、アンチエイリアス処理などの画像処理を施すことで擬似的に線幅を調整することが成されているが、表示装置単体で線幅調整を可能にすることは検討されていなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであって、表示装置単体での線幅調整を可能とし、表現力を向上させることができる電気泳動表示装置の駆動方法、及び電気泳動表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記画素電極に第1又は第2の電位を入力する一方、前記共通電極に前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルス波を入力し、前記共通電極の電位が特定階調を表示する電位であるときに前記パルス波の入力を停止することで、前記表示部に、前記特定階調からなる画像要素の輪郭が拡張された画像を表示することを特徴とする。
【0007】
この駆動方法では、共通電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルス波を入力することで電気泳動素子を駆動する、いわゆるコモン振り駆動を採用している。そして、コモン振り駆動における共通電極への電位入力停止のタイミングを、上記特定階調を表示する電位とすることで、特定階調からなる画像要素の輪郭を拡張することを可能にしたものである。
【0008】
コモン振り駆動では、共通電極が第1の電位である期間に、第2の電位に保持された画素電極との間の電気泳動素子を駆動し、共通電極が第2の電位である期間に、第1の電位に保持された画素電極との間の電気泳動素子を駆動する。したがって、共通電極が第1の電位である期間には、第2の電位に保持された画素電極が属する画素は実質的に動作せず、共通電極が第2の電位である期間には、第1の電位に保持された画素電極が属する画素は実質的に動作しない。
【0009】
また、共通電極は画素電極よりも大きい平面領域を有し、複数の画素電極と対向しているため、動作時に画素電極と共通電極との間に形成される電界は、画素電極側で狭く、共通電極に近づくに従って広がった電界となる。
【0010】
以上から、電気泳動表示装置をコモン振り駆動した場合には、第1の電位に保持された画素電極(以下第1画素電極とする)と、第2の電位に保持された画素電極(以下第2画素電極とする)とが隣り合う領域において、共通電極の電位変化に伴って、第1画素電極から第2画素電極上にまで広がる電界が形成される期間と、第2画素電極から第1画素電極上にまで広がる電界が形成される期間とが交互に繰り返される。
【0011】
そして、電気泳動素子に含まれる電気泳動粒子は、上述した電界に沿って移動するため、第1画素電極の属する画素が動作する期間では、第1画素電極の電位に対応した表示が第1画素電極よりも広い領域に及ぶ。逆に、第2画素電極の属する画素が動作する期間では、第2画素電極の電位に対応した表示が第2画素電極よりも広い領域に及ぶ。
【0012】
本発明の駆動方法は、上の作用を利用し、共通電極への電位入力停止のタイミングを適切に制御することで、特定階調からなる画像要素の輪郭を自在に拡張させて表示できるようにしたものである。この駆動方法によれば、線幅の調整を表示装置単体で行うことができ、表現力に優れた表示が可能になる。
【0013】
前記パルス波の最終パルスにおける後半のパルス幅を、前記パルス波を構成する他のパルスのパルス幅よりも大きくすることが好ましい。
この駆動方法によれば、線幅を規定する最後の電圧印加期間を長くするので、より確実に輪郭が拡張された表示を得ることができる。
【0014】
前記パルス波の最終パルスの周期を、前記パルス波を構成する他のパルスの周期よりも長くすることが好ましい。
この駆動方法によれば、線幅を規定する最後の電圧印加期間を長くすることで、より確実に輪郭が拡張された表示を得ることができる。さらに、画素電極及び共通電極と電気泳動素子とに対して異なる極性の電位が入力期間を均一化することができる。これにより、電極や電気泳動素子の劣化を抑えることができる。
【0015】
前記パルス幅又は前記周期の長さによって前記輪郭の拡張幅を調整することが好ましい。
この駆動方法によれば、パルス幅又は周期を調整するという簡便な操作で、輪郭の拡張幅を調整でき、さらに表現力に優れた表示を得ることができる。
【0016】
前記特定階調が、階調値が最大である第1の階調、又は階調値が最小である第2の階調であることが好ましい。
この駆動方法によれば、例えば黒表示された画像要素の輪郭を拡張した表示、あるいは、白表示された画像要素の輪郭を拡張した表示が可能である。
【0017】
前記特定階調が、中間階調であることも好ましい。
この駆動方法によれば、例えばグレー表示された画像要素の輪郭を拡張した表示も可能である。
【0018】
本発明の電気泳動表示装置は、第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極と、前記画素電極及び前記共通電極に入力する電位を制御する制御部と、を有する電気泳動表示装置であって、前記制御部は、前記画素電極に第1又は第2の電位を入力する一方、前記共通電極に前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルス波を入力し、前記共通電極の電位が特定階調を表示する電位であるときに前記パルス波の入力を停止することで、前記表示部に、前記特定階調からなる画像要素の輪郭が拡張された画像を表示することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、共通電極への電位入力停止のタイミングを適切に制御することで、特定階調からなる画像要素の輪郭を自在に拡張させて表示することができる。したがって、線幅の調整を表示装置単体で行うことができ、表現力に優れた表示が可能な電気泳動表示装置を実現することができる。
【0020】
前記パルス波の最終パルスにおける後半のパルス幅が、前記パルス波を構成する他のパルスのパルス幅よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、線幅を規定する最後の電圧印加期間が長くなるので、より確実に輪郭が拡張された表示を得ることができる。
【0021】
前記パルス波の最終パルスの周期が、前記パルス波を構成する他のパルスの周期よりも長いことが好ましい。
この構成によれば、線幅を規定する最後の電圧印加期間が長くなるので、より確実に輪郭が拡張された表示を得ることができる。さらに、画素電極及び共通電極と電気泳動素子とに対して異なる極性の電位が入力期間を均一化することができる。これにより、電極や電気泳動素子の劣化を抑えることができる。
【0022】
前記制御部は、前記パルス幅又は前記周期の長さによって前記輪郭の拡張幅を調整する構成とすることもできる。
この構成によれば、パルス幅又は周期を調整するという簡便な操作で、輪郭の拡張幅を調整でき、さらに表現力に優れた表示を得ることができる電気泳動表示装置となる。
【0023】
前記特定階調が、階調値が最大である第1の階調、又は階調値が最小である第2の階調であることが好ましい。
この構成によれば、例えば黒表示された画像要素の輪郭を拡張した表示、あるいは、白表示された画像要素の輪郭を拡張した表示が可能である。
【0024】
前記特定階調が、中間階調であることも好ましい。
この構成によれば、例えばグレー表示された画像要素の輪郭を拡張した表示も可能である。
【0025】
本発明の電子機器は、先に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、表現力に優れた表示手段を具備した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。
【図2】電気泳動表示装置の断面構造とマイクロカプセルを示す図。
【図3】電気泳動素子の動作説明図。
【図4】第1実施形態の第1の駆動方法による画素の状態遷移を示す説明図。
【図5】第1実施形態の第1の駆動方法におけるタイミングチャート。
【図6】第1実施形態の第2の駆動方法による画素の状態遷移を示す説明図。
【図7】第1実施形態の第2の駆動方法におけるタイミングチャート。
【図8】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。
【図9】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の画素回路を示す図。
【図10】第2実施形態の第1の駆動方法による画像表示動作を示す説明図。
【図11】第2実施形態の第1の駆動方法におけるタイミングチャート。
【図12】第2実施形態の第2の駆動方法による画像表示動作を示す説明図。
【図13】第2実施形態の第2の駆動方法におけるタイミングチャート。
【図14】第2実施形態の第3の駆動方法による画像表示動作を示す説明図。
【図15】参考例の駆動方法を示す説明図。
【図16】電子機器の一例を示す図。
【図17】電子機器の一例を示す図。
【図18】電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の電気泳動表示装置について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電気泳動表示装置100の概略構成図である。図2(a)は、電気泳動表示装置100の断面構造とともに電気的構成を示した図である。
【0029】
電気泳動表示装置100は、複数の画素(セグメント)40が配置された表示部5と、コントローラー(制御部)63と、コントローラー63と接続された画素電極駆動回路60とを備えている。画素電極駆動回路60は、それぞれの画素40と画素電極配線61を介して接続されている。また、表示部5には、各々の画素40に共通の共通電極37(図2参照)が設けられている。なお、図1では共通電極37を便宜的に配線として表示している。
【0030】
電気泳動表示装置100は、コントローラー63から画素電極駆動回路60に画像データを転送し、かかる画像データに基づく電位を、個々の画素40に直接入力するセグメント駆動方式の電気泳動表示装置である。
【0031】
図2(a)に示すように、電気泳動表示装置100の表示部5は、第1基板30と第2基板31との間に、電気泳動素子32を挟持した構成である。第1基板30の電気泳動素子32側に複数の画素電極(セグメント電極)35が形成され、第2基板31の電気泳動素子32側には共通電極37が形成されている。電気泳動素子32は、電気泳動粒子を内部に封入した複数のマイクロカプセル20を平面的に配列した構成である。電気泳動表示装置100は、電気泳動素子32により形成された画像を共通電極37側に表示する。
【0032】
第1基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。画素電極35は、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al(アルミニウム)、ITO(インジウム・スズ酸化物)などを用いて形成される。
第2基板31は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、MgAg(マグネシウム銀)、ITO、IZO(登録商標;インジウム・亜鉛酸化物)などを用いて形成される透明電極である。
【0033】
各々の画素電極35には、画素電極配線61を介して画素電極駆動回路60が接続されている。画素電極駆動回路60には、各々の画素電極配線61に対応するスイッチング素子60sが設けられており、スイッチング素子60sの動作により画素電極35に対する電位の入力と電気的切断(ハイインピーダンス化)を行う。
一方、共通電極37には、共通電極配線62を介して共通電極駆動回路64が接続されている。共通電極駆動回路64には、共通電極配線62と接続されたスイッチング素子64sが設けられており、スイッチング素子64sの動作により共通電極37に対する電位の入力と電気的切断(ハイインピーダンス化)を行う。
【0034】
なお、電気泳動素子32は、あらかじめ第2基板31側に形成され、接着剤層33までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。製造工程において、電気泳動シートは接着剤層33の表面に保護用の剥離シートが貼り付けられた状態で取り扱われる。そして、別途製造された第1基板30(画素電極35などが形成されている)に対して、剥離シートを剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部5を形成する。このため、接着剤層33は画素電極35側のみに存在することになる。
【0035】
図2(b)は、マイクロカプセル20の模式断面図である。マイクロカプセル20は、例えば30〜50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、図2に示したように共通電極37と画素電極35との間に挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
【0036】
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
【0037】
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26及び白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部5に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
【0038】
図3は、電気泳動素子の動作説明図である。図3(a)は、画素40を白表示する場合、図3(b)は、画素40を黒表示する場合をそれぞれ示している。
図3(a)に示す白表示の場合には、共通電極37が相対的に高電位、画素電極35が相対的に低電位に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子27が共通電極37に引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35に引き寄せられる。その結果、表示面側となる共通電極37側からこの画素を見ると、白色(W)が認識される。
図3(b)に示す黒表示の場合、共通電極37が相対的に低電位、画素電極35が相対的に高電位に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37に引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子27が画素電極35に引き寄せられる。その結果、共通電極37側からこの画素を見ると黒色(B)が認識される。
【0039】
[第1の駆動方法(太い黒線の表示方法)]
次に、上記構成を備えた電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
図4は、本発明に係る電気泳動表示装置の第1の駆動方法による画素40の状態遷移を示す説明図である。図4(a)及び図4(b)は、5つの画素40の初期状態を示す平面図及び断面図である。図4(c)及び図4(d)は、書き込み動作後の画素40の状態を示す平面図及び断面図である。図5は、第1の駆動方法におけるタイミングチャートである。
【0040】
本実施形態に係る第1の駆動方法は、図4(a)に示す白表示された5つの画素40のうち、画素電極SEG0(画素電極35)が属する中央の画素40のみを、図4(c)に示すように黒表示(特定階調)に移行させ、かつ、1画素の幅よりも広い領域を黒表示させる駆動方法である。以下、かかる駆動方法について詳細に説明する。
【0041】
図4(a)及び図4(b)に示す白表示の画素40では、画素電極SEG0、SEG1側に黒色粒子26が引き寄せられ、共通電極37側に白色粒子27が引き寄せられている。かかる表示状態に移行させる駆動方法としては、例えば、2つの画素電極SEG0、SEG1にローレベル(例えば0V)の電位を入力し、共通電極COM(共通電極37)にローレベルの電位とハイレベル(例えば15V)の電位を周期的に繰り返すパルス波を入力する。これにより、5つの画素40をいずれも白表示状態とすることができる。また、共通電極COMをハイレベルの電位に保持しても同様の表示状態を得ることができる。
【0042】
なお、図4(a)に示す初期状態は、説明の簡単のために、全ての画素40が白表示されている状態を示したにすぎない。すなわち、本実施形態の駆動方法において、表示を更新する前の初期状態は任意の表示状態とすることができる。例えば、5つの画素40が全て黒表示されている状態を初期状態としてもよく、白表示の画素40と黒表示の画素40が混在した状態を初期状態としてもよい。
【0043】
次に、図4(a)に示す白表示状態から図4(c)に示す白表示と黒表示とが混在した状態とするには、図5(a)に示すように、画素電極SEG0にハイレベル(15V)の電位を入力する一方、画素電極SEG1にローレベル(例えば0V)の電位を入力する。そして、共通電極COMに、ローレベル(例えば0V)とハイレベル(例えば15V)を周期的に繰り返す矩形波状のパルス波を入力する。
【0044】
これにより、画素電極SEG0が属する画素40では、共通電極COMがローレベルである期間に、画素電極SEG0(ハイレベル)と共通電極COMとの電位差により電気泳動素子32が駆動され、画素40が黒表示動作する。
一方、画素電極SEG1が属する画素40では、共通電極COMがハイレベルである期間に画素電極SEG1と共通電極COMとの間に電位差が生じ、白表示動作する。しかし、これらの画素40は、初期状態がいずれも白表示であるため表示は変化しない。
【0045】
ここで、本実施形態の駆動方法では、図5(a)に示すように、共通電極COMに入力されるパルス波のうち最終パルスPnが、他のパルスとは異なるパルス幅のパルスとされている。より詳細には、最終パルスPn以外のパルスがデューティ比1:1、パルス幅Pw1のパルスであるのに対して、最終パルスPnは、後半のパルス幅が大きいデューティ比(例えば1:3)に設定されており、前半のパルス幅Pw1に対して、後半のパルス幅Pw2が大きくされている。
【0046】
図4(d)に示すように、画素電極SEG0の属する画素40が黒表示動作する際には、画素電極SEG0よりも共通電極COMの方が広いため、画素電極SEG0から共通電極COMに向かう電界Eは、画素電極SEG0の端部から外側に広がるようにして形成される。一方、画素40が白表示動作する際には、画素電極SEG1から画素電極SEG0上の一部にまで広がった電界が形成される。
【0047】
すなわち、画素電極SEG0の属する画素40による黒表示領域は、共通電極COMの電位がハイレベルとローレベルとの間で切り替わるのに連動して変化する。そして、上記黒表示領域の広さ(線幅)は、共通電極COMへの電位入力が停止されたときの電界の状態に依存して決定される。つまり、共通電極COMへの電位入力を停止するタイミングにおける共通電極COMの電位により決定される。
【0048】
そして、本実施形態では、画素電極SEG0の属する画素40により表示される線幅を拡張するために、共通電極COMへの電位入力停止のタイミングが、図5(a)に示すように、共通電極COMがローレベルである期間に設定されている。これにより、図4(d)に示したように、黒表示の領域を拡張しうる電界Eが形成されているときに電気泳動素子32への電圧印加を停止し、輪郭が拡張された表示が保持されるようにしている。
【0049】
さらに本実施形態の駆動方法では、共通電極COMに入力される最終パルスPnの後半部分のパルス幅が長くなっているため、パルス幅Pw1である他のパルスが入力されたときよりも、図4(d)に示す斜め方向の電界が電気泳動粒子に作用する時間が長くなる。
そのため、画素電極SEG0よりも広い範囲で黒色粒子26が共通電極COM側に引き寄せられ、図4(c)に示すように、画素電極SEG0の端部から外側に黒表示領域が拡張された表示を得ることができる。
【0050】
さらにまた、本実施形態の駆動方法によれば、最終パルスPnの後半のパルス幅Pw2を調整することで、黒表示領域の拡張幅Wbを調整することが可能である。具体的には、パルス幅Pw2の長さを伸縮することで、拡張幅Wbを伸縮させることができる。これは、図4(d)に示すように、画素電極SEG0の端部から斜め方向に延びる電界は、画素電極SEG0から電極法線方向に形成される電界に比して弱く、またかかる斜め電界により移動される電気泳動粒子の移動距離も長くなるためである。
【0051】
そのため、パルス幅Pw2を短くすると、画素電極SEG0側から離れた位置の共通電極COM近傍までは黒色粒子26が到達できなくなり、拡張幅Wbが狭くなる。逆に、パルス幅Pw2を長くすると、斜め電界により移動される黒色粒子26を共通電極COM近傍に到達させることができ、拡張幅Wbを広くすることができる。
【0052】
なお、図4(d)に示す電界Eが広がる領域には限界があるため、パルス幅Pw2の長さを一定時間以上に長くすると、拡張幅Wbは変化しなくなる。拡張幅Wbを調整できる範囲は、電気泳動表示装置100の構造や電気泳動素子32の特性にも依存するが、おおよそ0.5画素分である。したがって、本実施形態の駆動方法によれば、1画素分からおおよそ2画素分までの間で自在に線幅を調整することが可能である。
【0053】
また本実施形態では、パルス幅Pw2をパルス幅Pw1よりも大きくした場合について説明したが、先に記載のように、共通電極COMへの電位入力停止のタイミングを適切に規定すれば、線幅を拡張する効果を得ることができる。そのため、パルス幅Pw2とパルス幅Pw1とが同等の長さとされていてもよい。したがって、パルス幅Pw2の下限値はPw1であり、上限値は拡張幅Wbが変化しなくなる長さである。
【0054】
また、本発明の駆動方法では、図5(b)に示すタイミングチャートを採用することがより好ましい。図5(b)に示すタイミングチャートでは、共通電極COMに入力される最終パルスPnが前半後半ともにパルス幅Pw2のパルスとされている。すなわち、パルスの前半のパルス幅も他のパルスのパルス幅よりも長くされ、デューティ比1:1に変更されている。
【0055】
図5(b)に示すタイミングチャートを採用することで、電気泳動素子32や画素電極35、共通電極37の劣化を抑えることができる。
より詳しくは、図5(a)に示した最終パルスPnでは、画素電極SEG0の属する画素40を黒表示動作させる期間が、同じ画素40を白表示させる期間よりも長くなる。また、画素電極SEG1の属する画素40を白表示動作させる期間が、同じ画素40を黒表示動作させる期間よりも長くなる。このように電気泳動素子32に作用する電界に偏りを生じると、画素電極35や共通電極37が電気化学的反応により劣化するおそれがあり、電気泳動素子32の寿命が短くなるおそれもある。
これに対して、図5(b)に示すタイミングチャートでは、最終パルスPnのデューティ比が1:1になっているため、電気泳動素子32に作用させる電界の偏りが生じることがなく、上記のような電気泳動素子32や電極の劣化が生じるのを回避し、長期間にわたって良好な表示を得ることができる。
【0056】
[第2の駆動方法(太い白線の表示方法)]
次に、本実施形態の第2の駆動方法について説明する。
図6は、本発明に係る電気泳動表示装置の第2の駆動方法による画素40の状態遷移を示す説明図である。図6(a)及び図6(b)は、5つの画素40の初期状態を示す平面図及び断面図である。図6(c)及び図6(d)は、書き込み動作後の画素40の状態を示す平面図及び断面図である。図7は、本発明の駆動方法におけるタイミングチャートである。
【0057】
本実施形態に係る第1の駆動方法は、図6(a)に示す黒表示された5つの画素40のうち、画素電極SEG1(画素電極35)が属する中央の画素40のみを、図6(c)に示すように白表示(特定階調)に移行させ、かつ、1画素の幅よりも広い領域を白表示させる駆動方法である。以下、かかる駆動方法について詳細に説明する。
【0058】
なお、図6(a)に示す初期状態は、先の第1の駆動方法と同様に、説明の簡単のために、全ての画素40が黒表示されている状態を示したにすぎず、任意の表示状態を初期状態とすることができる。
【0059】
図6(a)に示す黒表示状態から図6(c)に示す白表示と黒表示とが混在した状態とするには、図7(a)に示すように、画素電極SEG0にハイレベル(15V)の電位を入力する一方、画素電極SEG1にローレベル(例えば0V)の電位を入力する。そして、共通電極COMに、ローレベル(例えば0V)とハイレベル(例えば15V)を周期的に繰り返す矩形波状のパルス波を入力する。
【0060】
これにより、画素電極SEG1の属する画素40では、共通電極COMがハイレベルである期間に、画素電極SEG1と共通電極COMとの電位差により電気泳動素子32が駆動され、画素40が白表示動作する。
一方、画素電極SEG0の属する画素40では、共通電極COMがローレベルである期間に、画素電極SEG0と共通電極COMとの電位差により電気泳動素子32が駆動され、画素40が黒表示動作する。しかし、画素電極SEG0の属する画素40は初期状態が黒表示であるため、表示は変化しない。
【0061】
第2の駆動方法においても、図7(a)に示すように、共通電極COMに入力されるパルス波のうち最終パルスPnが、他のパルスとは異なるパルス幅のパルスとされている。すなわち、最終パルスPnのデューティ比が、前半のパルス幅Pw1に対して後半のパルス幅Pw2が大きいデューティ比(例えば1:3)に設定されている。
【0062】
図6(d)に示すように、画素電極SEG1の属する画素40が白表示動作する際には、画素電極SEG1よりも共通電極COMの方が広いため、共通電極COMから画素電極SEG1に向かう電界Eは、共通電極COM側で画素電極SEG1よりも広い平面領域に広がって形成される。
そして、本駆動方法では、図6(d)に示す電界Eが形成されている状態で共通電極COMへの電位入力を停止するので、白表示の線が拡張された表示状態を保持することができる。
【0063】
さらに本実施形態では、共通電極COMに入力される最終パルスPnの後半部分のパルス幅が長くなっているため、パルス幅Pw1のパルスが入力されたときよりも、図6(d)に示す斜め方向の電界が電気泳動粒子に作用する時間が長くなる。これにより、よりも広い範囲で白色粒子27が共通電極COM側に引き寄せられるので、より大きい拡張幅Wwで白表示の線幅が拡張された表示を得ることができる。
【0064】
さらに、本実施形態の駆動方法においても、最終パルスPnの後半のパルス幅Pw2を調整することで、白表示領域の拡張幅Wwを調整することが可能である。すなわち、パルス幅Pw2の長さを伸縮することで、拡張幅Wwを伸縮させることができる。パルス幅Pw2を短くすると、画素電極SEG1側から離れた位置の共通電極COM近傍までは白色粒子27が到達できなくなり、拡張幅Wwが狭くなる。逆に、パルス幅Pw2を長くすると、斜め電界により移動される白色粒子27を共通電極COM近傍に到達させることができ、拡張幅Wwを広くすることができる。
【0065】
なお、図6(d)に示す電界Eが広がる領域には限界があるため、パルス幅Pw2の長さが一定時間に達すると、それ以上に拡張幅Wwを伸長させる作用は得られなくなる。拡張幅Wbを調整できる範囲は、電気泳動表示装置100の構造や電気泳動素子32の特性にも依存するが、おおよそ0.5画素分である。したがって、本実施形態の駆動方法によれば、1画素分からおおよそ2画素分までの間で自在に線幅を調整することが可能である。
【0066】
また第2の駆動方法においても、第1の駆動方法と同様に、パルス幅Pw2をパルス幅Pw1と同等の長さとしてもよい。この場合にも、画像書き込みの最後に図6(d)に示す電界Eが電気泳動素子32に作用するため、一部の白色粒子27が画素電極SEG1の属する画素40よりも外側の共通電極COM側へ引き寄せられた状態で電気泳動素子32への電圧印加が停止され、画素電極SEG1よりも広い範囲で白表示された状態が得られる。したがって、パルス幅Pw2の下限値はPw1であり、上限値は拡張幅Wwが変化しなくなる長さである。
【0067】
また、第2の駆動方法においても、図7(b)に示すタイミングチャートを採用することがより好ましい。図7(b)に示すタイミングチャートでは、共通電極COMに入力される最終パルスPnが前半後半ともにパルス幅Pw2のパルスとされている。すなわち、パルスの前半のパルス幅も他のパルスのパルス幅よりも長くされ、デューティ比1:1に変更されている。図7(b)に示すタイミングチャートを採用することで、先に説明した第1の駆動方法と同様に、電気泳動素子32や画素電極35、共通電極37の劣化を抑えることができる。
【0068】
(第2の実施形態)
本発明の駆動方法によれば、黒表示又は白表示における線幅の拡張のみならず、中間調表示(グレー表示)における線幅の拡張も可能である。本実施形態では、線幅を拡張した中間調表示(特定階調表示)を行う駆動方法について図面を参照しつつ説明する。
【0069】
なお、先の第1実施形態では、セグメント方式の電気泳動表示装置に本発明に係る駆動方法を適用した場合について説明した。本実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置に本発明に係る駆動方法を適用した場合について説明する。
ただし、以下に説明する中間調の線幅拡張表示を行う駆動方法は、第1実施形態に係るセグメント方式の電気泳動表示装置100にも問題なく適用することができる。また、第1実施形態に係る駆動方法を、第2実施形態に係るアクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置に適用することもできる。
【0070】
図8は、第2の実施形態に係る電気泳動表示装置200の概略構成を示す図である。図9は、第2の実施形態に係る電気泳動表示装置200の画素回路を示す図である。
なお、図8及び図9において、先の第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略することとする。
【0071】
図8に示すように、電気泳動表示装置200は、画素140がマトリクス状に配列された表示部5と、走査線駆動回路161と、データ線駆動回路162と、コントローラー163(制御部)と、共通電源変調回路164と、を備えている。コントローラー163は、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、電気泳動表示装置200を総合的に制御する。
【0072】
表示部5には、走査線駆動回路161から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路162から延びる複数のデータ線68とが形成されており、それぞれ画素140に接続されている。
また表示部5には、共通電源変調回路164から延びる低電位電源線49、高電位電源線50、共通電極配線55、第1の制御線91、及び第2の制御線92が設けられており、それぞれの配線も画素140と接続されている。共通電源変調回路164は、コントローラー163の制御のもと、上記の配線の各々に供給すべき各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス化)を行う。
【0073】
走査線駆動回路161は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)を介して各々の画素140に接続されており、コントローラー163の制御のもと、1行目からm行目までの走査線66を順次選択し、画素140に設けられた選択トランジスタ41(図9参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。
【0074】
データ線駆動回路162は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)を介して各々の画素140に接続されており、コントローラー163の制御のもと、画素140の各々に対応する1ビットの画素データを規定する画像信号を画素140に供給する。
なお、本実施形態では、画素データ「0」を規定する場合にはローレベル(L)の画像信号を画素140に供給し、画素データ「1」を規定する場合はハイレベル(H)の画像信号を画素140に供給するものとする。
【0075】
画素140には、図9に示すように、選択トランジスタ41(画素スイッチング素子)と、ラッチ回路(メモリ回路)70と、スイッチ回路80と、電気泳動素子32と、画素電極35と、共通電極37とが設けられている。これらの素子を取り囲むように、走査線66、データ線68、低電位電源線49、高電位電源線50、第1の制御線91、及び第2の制御線92が配置されている。画素40は、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成である。
【0076】
選択トランジスタ41は、N−MOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。選択トランジスタ41のゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子はラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
【0077】
ラッチ回路70のデータ入力端子N1及びデータ出力端子N2は、スイッチ回路80と接続されている。さらにスイッチ回路80は、画素電極35と接続されるとともに第1及び第2の制御線91、92と接続されている。画素電極35と共通電極37との間に電気泳動素子32が挟持されている。
【0078】
ラッチ回路70は、転送インバータ70tと帰還インバータ70fとを備えている。転送インバータ70t及び帰還インバータ70fはいずれもC−MOSインバータである。転送インバータ70tと帰還インバータ70fとは、互いの入力端子に他方の出力端子が接続されたループ構造を成しており、それぞれのインバータには、高電位電源端子PHを介して接続された高電位電源線50と、低電位電源端子PLを介して接続された低電位電源線49とから電源電圧が供給される。
【0079】
転送インバータ70tは、それぞれのドレイン端子をデータ出力端子N2に接続されたP−MOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ71とN−MOSトランジスタ72とを有している。P−MOSトランジスタ71のソース端子は高電位電源端子PHに接続され、N−MOSトランジスタ72のソース端子は低電位電源端子PLに接続されている。P−MOSトランジスタ71及びN−MOSトランジスタ72のゲート端子(転送インバータ70tの入力端子)は、データ入力端子N1(帰還インバータ70fの出力端子)と接続されている。
【0080】
帰還インバータ70fは、それぞれのドレイン端子をデータ入力端子N1に接続されたP−MOSトランジスタ73とN−MOSトランジスタ74とを有している。P−MOSトランジスタ73及びN−MOSトランジスタ74のゲート端子(帰還インバータ70fの入力端子)は、データ出力端子N2(転送インバータ70tの出力端子)と接続されている。
【0081】
上記構成のラッチ回路70において、ハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶されると、ラッチ回路70のデータ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力される。一方、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶されると、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力される。
【0082】
スイッチ回路80は、第1のトランスミッションゲートTG1と、第2のトランスミッションゲートTG2とを備えて構成されている。
第1のトランスミッションゲートTG1は、P−MOSトランジスタ81とN−MOSトランジスタ82とからなる。P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のソース端子は第1の制御線91に接続され、P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のドレイン端子は画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ81のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1(選択トランジスタ41のドレイン端子)に接続され、N−MOSトランジスタ82のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続されている。
【0083】
第2のトランスミッションゲートTG2は、P−MOSトランジスタ83とN−MOSトランジスタ84とからなる。P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のソース端子は第2の制御線92に接続され、P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のドレイン端子は、画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ83のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続され、N−MOSトランジスタ84のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
【0084】
ここで、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶され、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力された場合、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91を介して供給される電位S1が画素電極35に入力される。
一方、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶され、データ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力された場合、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となり、第2の制御線92を介して供給される電位S2が画素電極35に入力される。
【0085】
[第1の駆動方法(太いライトグレー線の表示方法)]
図10は、本実施形態の第1の駆動方法による画像表示動作を示す説明図である。図11は、図10に対応する共通電極37(Vcom)、第1の制御線91(S1)、及び第2の制御線92(S2)の電位状態を示すタイミングチャートである。
【0086】
本実施形態の駆動方法は、図11に示すように、白表示ステップS101と、グレー表示ステップS102とを含む。図10(a)及び図10(b)は、白表示ステップS101の実行結果に対応する表示状態を示し、図10(c)及び図10(d)は、グレー表示ステップS102の実行結果に対応する表示状態を示している。
なお、図11では、図面を見やすくするために白表示ステップS101とグレー表示ステップS102とを間隔を空けて表示している。
【0087】
白表示ステップS101は、グレー表示に先立って、グレー表示される部分を含む表示部5の一部領域又は表示部5の全体を白表示するステップである。白表示ステップS101は必要に応じて設けられ、グレー表示される領域が予め白表示されている場合には実行しなくてもよい。また、白表示ステップS101では、グレー表示される領域を白表示することが可能であればよいため、表示部5の全体を白表示させる画像消去ステップを実行してもよく、二値画像(白黒画像)を表示するモノクロ画像表示ステップを実行してもよい。
グレー表示ステップS102は、表示部5において白表示されている領域の画素140を、黒表示動作させることで白表示からグレー表示に移行させるステップである。
【0088】
以下、図10及び図11を参照しつつ、本実施形態の駆動方法について詳細に説明する。
【0089】
<白表示ステップS101>
まず、白表示ステップS101では、図8に示したコントローラー163に、図10(a)に示す表示状態に対応する画像データが入力される。本実施形態の場合、画素140A〜140Eはいずれも白表示されるから、これらの画素140A〜140Eに対応する位置に画素データ「1」(ハイレベル(H)の画像信号)を含む画像データが入力される。
【0090】
そして、コントローラー163から走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162に供給される制御信号に基づいて、画像データが表示部5に送信される。走査線駆動回路161は、制御信号に基づいて走査線66に選択信号を入力する。一方、データ線駆動回路162は、コントローラー163から供給される画像信号を、走査線駆動回路161による選択動作に同期させて画素140(画素140A〜140E)に供給する。
【0091】
これにより、図10(a)に対応する画像データが、表示部5の画素140A〜140Eの各々のラッチ回路70に入力される。白表示に対応する画素データを入力された画素140A〜140Eでは、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号が保持され、ラッチ回路70からの出力により第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となる。したがって、第2の制御線92と画素電極35A〜35Eとが、第2のトランスミッションゲートTG2を介して接続される。
【0092】
次に、コントローラー163は、共通電源変調回路164に対して、共通電極37をパルス駆動し、第1及び第2の制御線91、92をそれぞれ所定の電位とする制御信号を出力する。共通電源変調回路164は、入力された制御信号に基づいて、図11に示すように、第1の制御線91(電位S1)をハイレベル(H;例えば15V)、第2の制御線92(電位S2)をローレベル(L;例えば0V)に保持し、共通電極37(電位Vcom)にハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返す矩形波状のパルス波を入力する。
【0093】
そうすると、表示部5の画素140A〜140Eでは、第2の制御線92と画素電極35とが接続されているから、画素電極35A〜35Eに対して、第2の制御線92からローレベルの電位が入力される。その結果、共通電極37がハイレベルである期間に、画素電極35A〜35E(ローレベル)と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
これにより、白色粒子27が共通電極37側に、黒色粒子26が画素電極35側に引き寄せられ(図3参照)、図10(a)及び図10(b)に示すように、画素140A〜140Eが白表示状態となる。
【0094】
<グレー表示ステップS102>
次に、グレー表示ステップS102に移行すると、コントローラー163に、グレー表示される画素140と、表示を変化させない画素140とに対応した画像データが入力される。本実施形態の場合、図示中央の画素140Cを黒表示動作させ、他の画素140A、140B、140D、140Eを白表示動作させる。したがって、コントローラー163には、画素140Cの位置に画素データ「0」を、他の画素140A、140B、140D、140Eの位置に画素データ「1」を有する画像データが入力される。
【0095】
コントローラー163は、走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162を駆動して、上記画像データを画素140A〜140Eに転送する。
画素140Cでは、ラッチ回路70にローレベルの画像信号が保持される。これにより、ラッチ回路70の出力に基づいて第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、画素電極35Cと第1の制御線91とが接続される。
一方、他の画素140A、140B、140D、140Eでは、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号が保持される。これにより、ラッチ回路70の出力に基づいて第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となり、画素電極35A、35B、35D、35Eと第2の制御線92とが接続される。
【0096】
次いで、コントローラー163は、共通電源変調回路164に対して、第1及び第2の制御線91、92にそれぞれ所定の電位を入力し、共通電極37をパルス駆動する制御信号を出力する。共通電源変調回路164は、入力された制御信号に基づいて、図11に示すように、第1の制御線91にハイレベルの電位を入力し、第2の制御線92にローレベルの電位を入力する。また、共通電極37にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルス波を入力する。
【0097】
黒表示に対応する画像信号(画素データ「0」)が入力された画素140Cでは、画素電極35Cに第1の制御線91を介してハイレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35Cと共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
このとき、電気泳動素子32は黒表示動作するが、図11に示すように、グレー表示ステップS102の電圧印加期間は、白表示ステップS101よりも短いため、元が白表示であった画素140Cは黒表示にはならず、淡いグレー表示となる。
【0098】
一方、他の画素140A、140B、140D、140Eでは、画素電極35A、35B、35D、35Eにローレベルの電位が入力され、共通電極37がハイレベルである期間に白表示動作する。しかし、これらの画素140A、140B、140D、140Eは元が白表示であるため、表示は変化しない。
【0099】
ここで、本実施形態の駆動方法では、図11に示すように、グレー表示ステップS102における共通電極37への電位入力停止のタイミングが、共通電極37に入力される最終パルスPnがローレベルである期間に設定されている。すなわち、画素140Cを黒表示動作させる一方、他の画素140A、140B、140D、140Eを動作させない期間に、電気泳動素子32への電圧印加を停止する。
【0100】
かかる期間では、図10(d)に示すように、画素140Cの画素電極35Cから共通電極37側に向かう電界Eが形成されており、電界Eは共通電極37側に向かって画素電極35Cの平面領域よりも広がっている。そして、電界Eの斜め方向成分の存在により、画素電極35Cの外側の領域においても黒色粒子26が共通電極37側に引き寄せられ、図示のように画素140B、140Dの一部もグレー表示される。この状態で電位入力を停止することで、画素140Cよりも広い範囲でグレー表示された状態を得ることができる。
【0101】
以上のグレー表示ステップS102により、白表示ステップS101で白表示されていた領域の一部(画素140C)が淡いグレーの中間調表示とされ、中間階調を含む多階調表示が実現される。
【0102】
なお、上記駆動方法では、グレー表示ステップS102において第2の制御線92にローレベルの電位を供給し、画素140A、140B、140D、140Eの表示を変化させないようにしたが、グレー表示ステップS102において、第2の制御線92を電気的に切断されたハイインピーダンス状態としてもよい。この場合、グレー表示ステップS102において画素電極35A、35B、35D、35Eはいずれもハイインピーダンス状態となり、共通電極37の電位によらず電気泳動素子32に電圧は印加されないため、上記と同様に動作させることができ、画素140Cよりも広い範囲のグレー表示を得ることができる。
【0103】
また本実施形態では、最終パルスPnのパルス幅や周期を他のパルスと同等の長さとしている。これは、グレー表示ステップS102では、電圧印加開始直後の電気泳動素子32の反射率変化の大きい期間中に電圧印加を停止させるためである。つまり、かかる期間においては、電気泳動粒子が電界に敏感に応答するため、斜め電界の影響を受けやすい。そのため、最終パルスPnのパルス幅や周期を変更しなくとも、共通電極37への電位入力停止のタイミングを制御するのみで、線幅が十分に拡張されたグレー表示を得ることができるのである。
【0104】
ただし、本実施形態の駆動方法において、グレー表示ステップS102における最終パルスPnの後半のパルス幅、又は最終パルスPnの周期を、他のパルスのパルス幅又は周期よりも長くすることが妨げられるものではない。電気泳動素子32の応答特性により効果は異なるが、パルス幅や周期の調整により図10(d)の拡張幅Wgを伸縮させることが可能である。
【0105】
[第2の駆動方法(太いダークグレー線の表示方法)]
図12は、本実施形態の第2の駆動方法による画像表示動作を示す説明図である。図13は、図12に対応する共通電極37(Vcom)、第1の制御線91(S1)、及び第2の制御線92(S2)の電位状態を示すタイミングチャートである。
【0106】
本実施形態の駆動方法は、図13に示すように、黒表示ステップS201と、グレー表示ステップS202とを含む。図12(a)及び図12(b)は、黒表示ステップS201の実行結果に対応する表示状態を示し、図12(c)及び図12(d)は、グレー表示ステップS202の実行結果に対応する表示状態を示している。
なお、図13では、図面を見やすくするために黒表示ステップS201とグレー表示ステップS202とを間隔を空けて表示している。
【0107】
黒表示ステップS201は、グレー表示に先立って、グレー表示される部分を含む表示部5の一部領域又は表示部5の全体を黒表示するステップである。黒表示ステップS201は必要に応じて設けられ、グレー表示される領域が予め黒表示されている場合には実行しなくてもよい。また、グレー表示される領域を黒表示することが可能であればよいため、表示部5の全体を黒表示させる画像消去ステップとすることもでき、二値画像を表示するモノクロ画像表示ステップとすることもできる。
グレー表示ステップS202は、黒表示されている領域の画素140を白表示動作させることで黒表示からグレー表示に移行させるステップである。
【0108】
以下、図12及び図13を参照しつつ、本実施形態の駆動方法について詳細に説明する。
【0109】
<黒表示ステップS201>
まず、黒表示ステップS201では、図8に示したコントローラー163に、図12(a)に対応する画像データが入力される。本実施形態の場合、画素140A〜140Eはいずれも黒表示されるから、これらの画素140A〜140Eに対応する位置に画素データ「0」(ローレベル(L)の画像信号)を含む画像データが入力される。
【0110】
そして、コントローラー163から走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162に供給される制御信号に基づいて、画像データが表示部5に転送される。これにより、図12(a)に示す画像データが、表示部5の画素140A〜140Eの各々のラッチ回路70に入力され、ラッチ回路70からの出力によりオン状態とされた第1のトランスミッションゲートTG1を介して第1の制御線91と画素電極35A〜35Eとが接続される。
【0111】
コントローラー163は、共通電源変調回路164に対して、共通電極37をパルス駆動し、第1及び第2の制御線91、92をそれぞれ所定の電位とする制御信号を出力する。共通電源変調回路164は、入力された制御信号に基づいて、図13に示すように、第1の制御線91(電位S1)をハイレベル(H;例えば15V)、第2の制御線92(電位S2)をローレベル(L;例えば0V)に保持し、共通電極37(電位Vcom)にハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返す矩形波状のパルス波を入力する。
【0112】
そうすると、表示部5の画素140A〜140Eにおいて、画素電極35A〜35Eに第1のトランスミッションゲートTG1を介して第1の制御線91からハイレベルの電位が入力され、共通電極37がローレベルである期間に電気泳動素子32が駆動される。
これにより、黒色粒子26が共通電極37側に、白色粒子27が画素電極35側に引き寄せられ(図3参照)、図12(a)及び図12(b)に示すように、画素140A〜140Eが黒表示状態となる。
【0113】
<グレー表示ステップS202>
次に、グレー表示ステップS202に移行すると、コントローラー163に、グレー表示される画素140と、表示を変化させない画素140とに対応した画像データが入力される。入力される画像データは、画素140Cに対応する位置に白表示に対応する画素データ「1」を有し、他の画素140A、140B、140D、140Eに対応する位置に黒表示に対応する画素データ「0」を有する画像データである。
【0114】
コントローラー163は、走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162を駆動して、上記画像データを画素140A〜140Eに転送する。
画素140Cのラッチ回路70にハイレベルの画像信号が保持され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第2のトランスミッションゲートTG2を介して画素電極35Cと第2の制御線92とが接続される。
一方、他の画素140A、140B、140D、140Eにはローレベルの画像信号が保持され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第1のトランスミッションゲートTG1を介して画素電極35A、35B、35D、35Eと第1の制御線91とが接続される。
【0115】
次いで、コントローラー163は、共通電源変調回路164に対して、第1及び第2の制御線91、92にそれぞれ所定の電位を入力し、共通電極37をパルス駆動する制御信号を出力する。共通電源変調回路164は、入力された制御信号に基づいて、図13に示すように、第1の制御線91にハイレベルの電位を入力し、第2の制御線92にローレベルの電位を入力する。また、共通電極37にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルス波を入力する。
【0116】
白表示に対応する画像信号(画素データ「1」)が入力された画素140Cでは、画素電極35Cに第2の制御線92を介してローレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がハイレベルである期間に、画素電極35Cと共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。このとき、電気泳動素子32は白表示動作するが、図13に示すように、グレー表示ステップS202の電圧印加期間は、黒表示ステップS201よりも短いため、元が黒表示であった画素140Cは白表示にはならず、濃いグレー表示となる。
【0117】
一方、他の画素140A、140B、140D、140Eは、画素電極35A、35B、35D、35Eにハイレベルの電位が入力されるので、共通電極37がローレベルである期間に黒表示動作する。したがって、元が黒表示であるこれらの画素140A、140B、140D、140Eの表示は変化しない。
【0118】
ここで、第2の駆動方法では、図13に示すように、グレー表示ステップS202における共通電極37への電位入力停止のタイミングが、共通電極37に入力される最終パルスPnがハイレベルである期間に設定されている。すなわち、画素140Cを白表示動作させる一方、他の画素140A、140B、140D、140Eを動作させない期間に、電気泳動素子32への電圧印加を停止する。
【0119】
かかる期間では、図12(d)に示すように、共通電極37から画素電極35C側に向かう電界Eが形成されており、かかる電界Eは共通電極37側で画素電極35Cよりも広がっている。そのため、画素電極35Cの外側に位置する共通電極37側の領域にも白色粒子27が引き寄せられており、この状態で電位入力を停止することで、画素140Cよりも広い範囲でグレー表示された状態を得ることができる。
【0120】
以上のグレー表示ステップS202により、黒表示ステップS201で白表示されていた領域の一部(画素140C)が濃いグレーの中間調表示とされ、中間階調を含む多階調表示が実現される。
【0121】
なお、第2の駆動方法についても、グレー表示ステップS202において第1の制御線91を電気的に切断されたハイインピーダンス状態とすることができる。この場合、グレー表示ステップS202において画素電極35A、35B、35D、35Eはいずれもハイインピーダンス状態となり、共通電極37の電位によらず電気泳動素子32に電圧は印加されないため、上記と同様の結果を得ることができる。
【0122】
また第2の駆動方法においても、先の第1の駆動方法と同様の理由により最終パルスPnのパルス幅や周期を他のパルスと同等の長さとしているが、グレー表示ステップS202における最終パルスPnの後半のパルス幅、又は最終パルスPnの周期を、他のパルスのパルス幅又は周期よりも長くすることが妨げられるものではない。
【0123】
[第3の駆動方法(2種類のグレー線の表示方法)]
図14は、本実施形態の第3の駆動方法による画像表示動作を示す説明図である。図14(a)は、本駆動方法の各ステップにおいて表示部5に転送される画像データを概念的に示す図である。図14(b)は、各ステップにおける表示部5の表示状態を示す図である。図14(c)は、各ステップにおける共通電極37(Vcom)、第1の制御線91(S1)、及び第2の制御線92(S2)の電位状態を示すタイミングチャートである。
【0124】
本実施形態の駆動方法は、図14(c)に示すように、モノクロ画像表示ステップS301と、第1のグレー表示ステップS302と、第2のグレー表示ステップS303とを含む。なお、図14(c)では、図面を見やすくするために、ステップS301〜S303を間隔を空けて表示している。
【0125】
モノクロ画像表示ステップS301は、グレー表示に先立って、黒表示の領域と白表示の領域とからなる白黒画像(モノクロ画像)を表示部5に表示させるステップである。
第1のグレー表示ステップS302は、モノクロ画像表示ステップS301において黒表示された領域の画素140を白表示動作させることで、表示部5の一部領域の画素140を黒表示からグレー表示に移行させるステップである。
第2のグレー表示ステップS303は、モノクロ画像表示ステップS301において白表示された領域の画素140を黒表示動作させることで、表示部5の一部領域の画素140を白表示からグレー表示に移行させるステップである。
【0126】
以下、図14を参照しつつ、本実施形態の駆動方法について詳細に説明する。
【0127】
<モノクロ画像表示ステップS301>
まず、モノクロ画像表示ステップS301では、図8に示したコントローラー163に、図14(a)に対応する画像データD1が入力される。画像データD1は、図示左半分の領域が画素データ「0」(ローレベルの画像信号)からなり、図示右半分の領域が画素データ「1」(ハイレベルの画像信号)からなる。
【0128】
画像データD1は、コントローラー163の制御のもと、走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162により表示部5に転送される。
画素データ「0」(ローレベルの画像信号)を入力された画素140では、第1のトランスミッションゲートTG1を介して画素電極35と第1の制御線91とが接続される。一方、画素データ「1」(ハイレベルの画像信号)を入力された画素140では、第2のトランスミッションゲートTG2を介して画素電極35と第2の制御線92とが接続される。
【0129】
共通電源変調回路164は、コントローラー163の制御のもと、図14(c)に示すように、第1の制御線91(電位S1)をハイレベル(H;例えば15V)、第2の制御線92(電位S2)をローレベル(L;例えば0V)に保持し、共通電極37(電位Vcom)にハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返す矩形波状のパルス波を入力する。
【0130】
図14(b)に示す表示部5の図示左半分の領域A1に属する画素140では、第1のトランスミッションゲートTG1を介して第1の制御線91から画素電極35にハイレベルの電位が入力され、共通電極37がローレベルである期間に電気泳動素子32が駆動される。これにより、当該領域に属する画素140が黒表示状態となる。
【0131】
一方、表示部5の図示右半分の領域A2に属する画素140では、第2のトランスミッションゲートTG2を介して第2の制御線92から画素電極35にローレベルの電位が入力され、共通電極37がハイレベルである期間に電気泳動素子32が駆動される。これにより、当該領域に属する画素140が白表示状態となる。
【0132】
以上の動作により、図14(b)に示すように、黒表示された領域A1と白表示された領域A2とからなるモノクロ画像が表示部5に表示される。
【0133】
<第1のグレー表示ステップS302>
次に、第1のグレー表示ステップS302に移行すると、コントローラー163に、図14(a)に示す画像データD2が入力される。画像データD2は、黒表示の領域A1の一部に書き込まれるグレー線に対応する領域(図示の縦線の領域Dg1)が画素データ「0」からなり、その他の領域が画素データ「1」からなる画像データである。
【0134】
画像データD2は、コントローラー163の制御のもと、走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162により表示部5に転送される。
図14(b)に示す領域G1に属する画素140では、ラッチ回路70にローレベルの画像信号(領域Dg1に対応する画素データ「0」)が入力され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第1のトランスミッションゲートTG1を介して画素電極35と第1の制御線91とが接続される。
一方、領域G1以外の領域A1及び領域A2に属する画素140では、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号が入力され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第2のトランスミッションゲートTG2を介して画素電極35と第2の制御線92とが接続される。
【0135】
共通電源変調回路164は、コントローラー163の制御のもと、図14(c)に示すように、第1の制御線91にローレベルの電位を入力する。一方、第2の制御線92と共通電極37には、ハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルス波を入力する。第2の制御線92と共通電極37とに入力されるパルス波は、同期した同一のパルス波である。
【0136】
領域G1に属する画素140では、画素電極35に第1の制御線91を介してローレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がハイレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
このとき、電気泳動素子32は白表示動作するが、図14(c)に示すように、第1のグレー表示ステップS302の電圧印加期間は、モノクロ画像表示ステップS301よりも短いため、元が黒表示であった画素140は白表示にはならず、濃いグレー表示となる。
【0137】
第3の駆動方法においても、図14(c)に示すように、第1のグレー表示ステップS302における共通電極37への電位入力停止のタイミングは、共通電極37に入力される最終パルスPn1がハイレベルである期間に設定されている。すなわち、領域G1に属する画素140を白表示動作させる一方、他の領域の画素140を実質的に動作させない期間に、電気泳動素子32への電圧印加を停止する。これにより、領域G1よりも広い範囲でグレー表示された状態を得ることができる。
【0138】
一方、領域G1以外の領域A1、A2に属する画素140では、第2の制御線92と接続された画素電極35は共通電極37と同電位となるので、これらの画素140の表示は変化しない。したがって、領域G1を除く領域A1の黒表示、領域A2の白表示は維持される。
以上の第1のグレー表示ステップS302により、モノクロ画像(領域A1、A2)の表示状態を維持しつつ、領域G1に選択的に濃いグレーの線を表示することができる。
【0139】
<第2のグレー表示ステップS303>
次に、第2のグレー表示ステップS303に移行すると、コントローラー163に、図14(a)に示す画像データD3が入力される。画像データD3は、白表示の領域A2の一部に書き込まれるグレー線に対応する領域(図示の縦線の領域Dg2)が画素データ「0」からなり、その他の領域が画素データ「1」からなる画像データである。
【0140】
画像データD3は、コントローラー163の制御のもと、走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162により表示部5に転送される。
図14(b)に示す領域G2に属する画素140では、ラッチ回路70にローレベルの画像信号(領域Dg2に対応する画素データ「0」)が入力され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第1のトランスミッションゲートTG1を介して画素電極35と第1の制御線91とが接続される。
一方、領域G2以外の領域A1及び領域A2に属する画素140では、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号が入力され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第2のトランスミッションゲートTG2を介して画素電極35と第2の制御線92とが接続される。
【0141】
次いで、コントローラー163の制御のもと、共通電源変調回路164は、図14(c)に示すように、第1の制御線91にハイレベルの電位を入力する。一方、第2の制御線92と共通電極37には、ハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルス波を入力する。第2の制御線92と共通電極37とに入力されるパルス波は、同期した同一のパルス波である。
【0142】
領域G2に属する画素140では、画素電極35に第1の制御線91を介してハイレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
このとき、電気泳動素子32は黒表示動作するが、図14(c)に示すように、第2のグレー表示ステップS303の電圧印加期間は、モノクロ画像表示ステップS301よりも短いため、元が白表示であった領域G2の画素140は白表示にはならず、淡いグレー表示となる。
【0143】
第2のグレー表示ステップS303では、共通電極37への電位入力停止のタイミングは、図14(c)に示すように、共通電極37に入力される最終パルスPn2がローレベルである期間に設定されている。すなわち、領域G2に属する画素140を黒表示動作させる一方、他の領域の画素140を実質的に動作させない期間に、電気泳動素子32への電圧印加を停止する。これにより、領域G2よりも広い範囲でグレー表示された状態を得ることができる。
【0144】
一方、領域G2以外の領域A1及び領域A2に属する画素140では、第2の制御線92と接続された画素電極35は共通電極37と同電位になるので、これらの画素140の表示は変化しない。したがって、領域G2を除く領域A1の黒表示、領域A2の白表示、並びに領域G1のグレー表示は維持される。
以上の第2のグレー表示ステップS303により、領域A1、A2、及びG1の表示状態を維持しつつ、領域G2に選択的に淡いグレーの線を表示することができる。
【0145】
以上のステップS301〜S303により、モノクロ画像上の領域G1、G2に、それぞれの線幅が拡張されたグレー線を表示することができる。
【0146】
第3の駆動方法では、グレー表示ステップを、第1のグレー表示ステップS302と第2のグレー表示ステップS303とに分割していることで、背景色の異なる領域G1、G2のグレー線の双方で線幅が拡張された表示を得られるようにしている。
【0147】
第2実施形態に係る電気泳動表示装置200では、表示部5の一部領域のみを書き換える部分書き換え動作が可能であるため、グレー表示ステップを分割しなくとも領域G1、G2にグレー線を書き込むことが可能である。しかし領域G1、G2のグレー線を一括して書き込むと、領域G1のグレー線と領域G2のグレー線のいずれか一方のみが線幅の拡張された線となってしまう。
【0148】
ここで図15は、参考例としてのグレー表示ステップを分割しない場合の駆動方法を示す説明図である。図15(a)は、参考例に係る駆動方法の各ステップにおいて表示部5に転送される画像データを概念的に示す図である。図15(b)は、各ステップにおける表示部5の表示状態を示す図である。図15(c)は、各ステップにおける共通電極37(Vcom)、第1の制御線91(S1)、及び第2の制御線92(S2)の電位状態を示すタイミングチャートである。
【0149】
参考例に係る駆動方法は、図15(c)に示すように、モノクロ画像表示ステップS501と、グレー表示ステップS502とを含む。
モノクロ画像表示ステップS501は、先の第3の駆動方法におけるモノクロ画像表示ステップS301と同様であり、説明は省略する。
グレー表示ステップS502は、1回の書き込み動作で表示部5の領域G1、G2の双方にグレー線を表示させるステップである。
【0150】
参考例に係るグレー表示ステップS502では、図15(a)に示す画像データD4が用いられる。画像データD4は、表示部5の領域A1に対応する領域と領域G2に対応する領域に画素データ「0」が配置され、領域A2に対応する領域と領域G1に対応する領域に画素データ「1」が配置された画像データである。
【0151】
画像データD4は、コントローラー163の制御のもと、表示部5の画素140に転送される。
領域A1及びG2に属する画素140では、ラッチ回路70にローレベルの画像信号が入力され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第1のトランスミッションゲートTG1を介して画素電極35と第1の制御線91とが接続される。
領域A2及びG1に属する画素140では、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号が入力され、ラッチ回路70の出力によりオン状態とされた第2のトランスミッションゲートTG2を介して画素電極35と第2の制御線92とが接続される。
【0152】
共通電源変調回路164は、コントローラー163の制御のもと、図15(c)に示すように、第1の制御線91にハイレベルの電位を供給する一方、第2の制御線92にローレベルの電位を入力し、共通電極37にはハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルス波を入力する。
【0153】
領域A1及び領域G2に属する画素140では、画素電極35に第1の制御線91を介してハイレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
このとき、電気泳動素子32は黒表示動作するので、元が黒表示であった領域A1の画素140の表示は変化しない。一方、元が白表示であった領域G2の画素140は、短い期間の電圧印加によって淡いグレー表示となる。
【0154】
領域A2及び領域G1に属する画素140では、画素電極35に第2の制御線92を介してローレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がハイレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
このとき、電気泳動素子32は白表示動作するので、元が白表示であった領域A2の画素140の表示は変化しない。一方、元が黒表示であった領域G1の画素140は、短い期間の電圧印加によって濃いグレー表示となる。
【0155】
以上の動作により、図15(b)に示すように、領域G1、G2にグレー線を書き込むことができる。
しかしながら、図15(c)に示すように、グレー表示ステップS502では、共通電極37への電位入力停止のタイミングが、共通電極37に入力される最終パルスPnがローレベルである期間に設定されている。
かかる期間においては、領域G2に属する画素140は黒表示動作し、領域G2を取り囲む領域A2に属する画素140は実質的に動作しないため、領域G2の画素140に属する画素電極35から共通電極37に向かって外側に広がる電界が形成される。したがって、領域G2においては、画素電極35よりも広い領域がグレー表示された線を表示することができる。
しかし、上記期間において、領域G1に属する画素140は実質的に動作せず、領域G1を取り囲む領域A1に属する画素140が黒表示動作する。したがって、領域G1に表示されるグレー線は、線幅が拡張された表示とはならない。
【0156】
このように、背景のそれぞれ異なるグレー線を表示させる場合には、複数のグレー線を一括して書き込むと、背景色によって線幅が異なってしまう。したがって、先の第3の駆動方法のように、第1のグレー表示ステップS302と第2のグレー表示ステップS303とを順次実行する必要がある。
【0157】
なお、第3の駆動方法においても、先の第1の駆動方法と同様の理由により最終パルスPnのパルス幅や周期を他のパルスと同等の長さとしているが、第1及び第2のグレー表示ステップS302、S303における最終パルスPn1、Pn2の後半のパルス幅、又は最終パルスPn1、Pn2の周期を、他のパルスのパルス幅又は周期よりも長くすることが妨げられるものではない。
【0158】
また、第3の駆動方法では、ステップS302、S303において、第2の制御線92に共通電極37の電位Vcomと同期したパルス波を入力することとしたが、これらのステップにおいて、第2の制御線92をハイインピーダンス状態(Hi−Z)としてもよい。この場合にも、第2の制御線92と接続された画素電極35と共通電極37との間に電位差が生じないため、これらの画素140は実質的に動作せず、表示は変化しない。したがって、上記と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0159】
(電子機器)
次に、上記実施形態の電気泳動表示装置を、電子機器に適用した場合について説明する。
図16は、腕時計1000の正面図である。腕時計1000は、時計ケース1002と、時計ケース1002に連結された一対のバンド1003とを備えている。
時計ケース1002の正面には、上記実施形態の電気泳動表示装置100(200)からなる表示部1005と、秒針1021と、分針1022と、時針1023とが設けられている。時計ケース1002の側面には、操作子としての竜頭1010と操作ボタン1011とが設けられている。竜頭1010は、ケース内部に設けられる巻真(図示は省略)に連結されており、巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。表示部1005では、背景となる画像、日付や時間などの文字列、あるいは秒針、分針、時針などを表示することができる。
【0160】
図17は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記各実施形態の電気泳動表示装置100(200)を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
【0161】
図18は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0162】
以上の腕時計1000、電子ペーパー1100、及び電子ノート1200によれば、表示部に本発明に係る電気泳動表示装置100(200)が採用されているので、表現力に優れた表示部を備える電子機器となっている。
なお、各図に示した電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0163】
100,200 電気泳動表示装置、20 マイクロカプセル、32 電気泳動素子、35 画素電極、37 共通電極、40,140 画素、60 画素電極駆動回路、61 画素電極配線、62 共通電極配線、63,163 コントローラー(制御部)、64 共通電極駆動回路、70 ラッチ回路、80 スイッチ回路、91 第1の制御線、92 第2の制御線、161 走査線駆動回路、162 データ線駆動回路、164 共通電源変調回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記画素電極に第1又は第2の電位を入力する一方、前記共通電極に前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルス波を入力し、前記共通電極の電位が特定階調を表示する電位であるときに前記パルス波の入力を停止することで、前記表示部に、前記特定階調からなる画像要素の輪郭が拡張された画像を表示することを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記パルス波の最終パルスにおける後半のパルス幅を、前記パルス波を構成する他のパルスのパルス幅よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記パルス波の最終パルスの周期を、前記パルス波を構成する他のパルスの周期よりも長くすることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記パルス幅又は前記周期の長さによって前記輪郭の拡張幅を調整することを特徴とする請求項2又は3に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記特定階調が、階調値が最大である第1の階調、又は階調値が最小である第2の階調であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記特定階調が、中間階調であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極と、前記画素電極及び前記共通電極に入力する電位を制御する制御部と、を有する電気泳動表示装置であって、
前記制御部は、
前記画素電極に第1又は第2の電位を入力する一方、前記共通電極に前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルス波を入力し、前記共通電極の電位が特定階調を表示する電位であるときに前記パルス波の入力を停止することで、前記表示部に、前記特定階調からなる画像要素の輪郭が拡張された画像を表示することを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項8】
前記パルス波の最終パルスにおける後半のパルス幅が、前記パルス波を構成する他のパルスのパルス幅よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の電気泳動表示装置。
【請求項9】
前記パルス波の最終パルスの周期が、前記パルス波を構成する他のパルスの周期よりも長いことを特徴とする請求項7に記載の電気泳動表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記パルス幅又は前記周期の長さによって前記輪郭の拡張幅を調整することを特徴とする請求項8又は9に記載の電気泳動表示装置。
【請求項11】
前記特定階調が、階調値が最大である第1の階調、又は階調値が最小である第2の階調であることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項12】
前記特定階調が、中間階調であることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−211048(P2010−211048A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58284(P2009−58284)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】