説明

電気生理信号の安定度フィードバック動態検出装置及びその方法

【課題】電気生理信号の安定度フィードバック動態検出装置及びその方法の提供。
【解決手段】訓練機で被訓練者に注目させる標的物を表示し、その後、被訓練者が標的物に注目する視線を遮り、特定時間の後、被訓練者に対し標的物に関係する命令動作を提示し、被訓練者が命令動作の実行を完成した後、被訓練者の安定度を評価及び訓練する。また、本発明は脳波等の電気生理信号を測定するとき、被訓練者が命令動作をフィードバックして、電気生理信号測定の基準となす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種の電気生理信号の安定度フィードバック動態検出装置及びその方法に係り、安定度訓練可能な装置及び方法であって、電気生理信号の測定結果の基準とされ得る装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国内外の関係研究によると、現代生活中、多くの人の情緒、心理障害はいずれも集中と記憶の問題に起因する。集中と記憶は学習効果、日常生活の独立、情緒制御及び団体中の人間関係などに影響を与え、並びに睡眠品質と健康に影響を与え得るためである。
【0003】
また、科学技術の進歩により、近年、電気生理信号の測定は、非侵入の方式で、呼吸、心拍数と脈拍及び脳波などの生理信号を得られるようになっており、これにより身体の状況を了解できる。
【0004】
医学上、既に証明されていることとして、脳部の電流と化学反応を測定することで、脳部の各種の活動の状態を取得でき、これにより、全世界で積極的に生命科学研究及び関係する生物科学技術発展の潮流が誘発され、脳波と人類の情緒、思想などの精神レベルの関係が研究されている。
【0005】
一般に脳波は周波数によりα波、β波、θ波及びδ波に分けられるか、或いは測定数値が整合計算されて、集中度(Attention)とリラックス度(Meditation)の脳波信号とされる。実用上、脳波は心身医学界、教育界にあって、注意力のメーターとして運用される。その方法は、画面、音声及び映像などの刺激信号を被訓練者に与え、並びに被訓練者が刺激を受け取る時の脳波活動の変化を測定する、というものである。
【0006】
しかし、脳波の測定は、往々にして被訓練者の脳部活動の程度を知ることができるにすぎず、同じ程度の脳部活動の下で、被訓練者の精神レベル上の変化を知ることはできず、このため、多くの、脳波測定を通しての診療或いは訓練は、最終的には、いずれも分析、治療、訓練過程中で参考のデータとされるにとどまり、決定的な指標とすることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、周知の方法が僅かに送出した刺激信号と被訓練者の例えば脳波のような電気生理信号の活動との関連を知ることができるだけで、被訓練者の受信状況を知ることはできず、このため分析、治療、訓練過程中に刺激信号を送出した時に、被訓練者が自身の体調、情緒或いは意欲などの因子により、刺激の効果が明かにならず、実際の状況に対して誤判断を形成する問題を克服することにある。
【0008】
研究によると、個人の最良の学習状態は完全に集中した時であり、且つ単一事物に集中する時、記憶力は改善され得て、並びに間接的に作業の効率、情緒、生活態度などを改善でき、さらに睡眠品質を向上でき、もともとの自己回復力と免疫能力を回復できる。このため、特定事物に対する集中の能力(すなわち「stillness」)を訓練することは、現代人の生活、学習上の鍵となる課題である。本発明の目的は、周知の方法の、被訓練者の実際の状況に対して誤判断を発生する問題を克服することにあり、これにより一種の電気生理信号の安定度フィードバック動態検出装置及びその方法を発明する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は安定度を訓練するための訓練機を提供し、その上表面には標的物を表示できる応答エリアが設けられ、該応答エリアの外周に待機エリアが設けられている。
【0010】
被訓練者が訓練、試験を受ける時、被訓練者はまず訓練機の標的物に注目し、並びに特定肢体(例えば手指)を待機エリアに置き、第1提示の後に、被訓練者が標的物を注目する視線を遮り、さらに第2提示の後、被訓練者が視線を遮られた状態で、該特定肢体を移動させて標的物に関係する命令動作を実行し(例えば、手指を標的物に指向させる)、訓練機の応答エリアより被訓練者の命令動作実行の完成度を検出し、被訓練者の安定度数値を測定し、並びに多次の訓練、試験により、被訓練者の心境の安定集中を調整し、安定力訓練の目的を達成する。
【0011】
また、本発明は脳波試験機のような電気生理信号測定装置と組合せられ、並びに該電気生理信号測定装置の受信した信号を訓練機に伝送する。
【0012】
本発明者は周知の電気生理信号(たとえば、脳波)の測定或いは訓練方法を研究し、被訓練者は僅かに受動的に刺激を受け、訓練、試験時に被訓練者の心境を知ることはできず、また、被訓練者の心中に、煩わしさや無関心、或いは意欲が低く、協力意欲が比較的低い状況があると、測定結果の信頼度が下がり、僅かな兆候しかなくとも、脳波測定数値に極めて大きな(或いは小さな)不合理な状況を出現させる場合がある。
【0013】
上述の問題を解決するため、本発明は被訓練者に特定の命令動作を実行するよう要求し主動的にフィードバックする時、電気生理信号を再測定し、電気生理信号の測定数値の信頼度を上げる。且つ訓練、試験時に電気生理信号測定装置が続けて電気生理信号を測定し、被訓練者が身体と精神が自然にリラックスした状態で、習慣的に雑念のない状態に進入できるように調整並びに訓練し、心身がリラックスした自然な状況での注意力、すなわち、自然注意力を訓練する。
【0014】
本発明は脳波測定機を増設するのが最良の実施例とされ、訓練、試験過程中に、被訓練者の脳部放電により得られる脳波数値を続けて測定するか、或いは、脳波数値を整合計算し集中度とリラックス度のような脳波信号を得る。
【0015】
使用者が訓練機で標的物と関係する命令動作を実行し、さらに脳波の測定結果を組合せ、対比により被訓練者の命令動作実行時の脳波変化を得ることができる。
【0016】
被訓練者は安定力訓練及び脳波測定により集中時の安定力が注意して努力した注意力であるか、或いはリラックス時の自然注意力であるかを知ることができ、長時間脳波の変化を観察し反復し訓練及び調整することで、自然注意力と安定力を訓練する目的を達成する。
【発明の効果】
【0017】
大多数の人の、注意力に対する定義は、ある事情における注意の焦点に対する集中であり、訓練の重点はいずれも集中に置かれる。実際に、人類の身体と精神は、自然の状態で最良の学習効果と自然治癒能力を有する。心中がすっきりせず身体が疲れている時、強制的に注意力を集中させても、不自然な圧迫と圧力の下、強制集中により目標を達成できても、身体と精神状態はいずれも学習と訓練の良いタイミングを失い、学習成果は大幅にダウンし、且つマイナス面の思想或いは恐るべき疾病の種を植えつける恐れが極めてある。
【0018】
且つ、被訓練者に訓練、試験の意欲がない時、或いは気が散って集中できないとき、訓練機の命令動作を集中して実行できず、訓練機の測定、評価から被訓練者の安定力フィードバック値が一定の標準に達さず、その脳波の測定結果は高い信頼度或いは参考価値を有さないことがわかる。
【0019】
ひいては、被訓練者が訓練及び測定の結果に影響を与えようとして、意識的に脳波を制御するとき、脳波の測定結果に影響はあっても、訓練機の命令動作実行の結果が組み合わされるため、意識的に変更された脳波測定結果は排除される。
【0020】
本発明の脳波の測定構造は同じ信頼できる共同基準上にあり、すなわち、被訓練者が主動的に同一命令動作を実行するときの脳波数値を主動フィードバックし、すなわち、信頼度を有する脳波測定結果をスクリーニングし、さらに被訓練者の心身状況に基づき、訓練プロセスをスケジュールする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の操作図である。
【図2】本発明のステップのフローチャートである。
【図3】本発明の実施例の操作図である。
【図4】本発明の実施例のステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び図2に示されるように、本発明の電気生理信号の安定度フィードバック動態検出装置及び方法は、訓練機(1)であって、上表面に応答エリア(11)が設けられ、該応答エリア(11)は下方に標的物(111)のイメージが設けられたタッチコントロール装置或いはタッチスクリーンとされる上記訓練機(1)で、複数の標的物(111)が選択されて提供され、該応答エリア(11)の外周には待機エリア(12)が設けられる。
【0023】
本発明の電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法は以下のステップを包含する。
ステップ1(S1):標的物(111)を、被訓練者に注目させるために提供し、このとき被訓練者は手指を訓練機(1)の待機エリア(12)に指向させる。
ステップ2(S2):第1提示後に、被訓練者の標的物(111)を注目する視線を阻み、被訓練者は第1提示を受け取った後、標的物(111)を注目する視線が阻まれるが、続けて標的物(111)の位置に注意させられ、且つ該第1提示は聴覚(ボイス或いはサウンド)、視覚或いは触覚の提示とされる。
ステップ3(S3):第2提示後に被訓練者が応答し、標的物(111)と関係する命令動作を実行し、実行する命令動作は手指を応答エリア(11)で移動させて標的物(111)の位置を指すこととされ、該第2提示は聴覚(ボイス或いはサウンド)、視覚或いは触覚の提示とされる。
【0024】
本発明は被訓練者が数回上述のステップを実行した後、使用者の認知と実際の標的物(111)との差の距離を計算し、被訓練者の安定度を計算する。且つ本発明の訓練機(1)と方法を反復使用することにより、被訓練者の安定度を動態試験並びに訓練し、並びに訓練により、被訓練者が習慣的にスピーディーに気が散りにくい状態に進入できるようにし、被訓練者の安定度を改善する目的を達成する。
【0025】
また、図3及び図4に示されるように、本発明はある実施例を有し、それは、脳波測定機のような電気生理信号測定装置(2)を使用し、訓練過程中に被訓練者の脳波のような電気生理信号の変化を続けて測定し、並びに該電気生理信号測定装置(2)の受信した信号を訓練機(1)に伝送する。
【0026】
本発明の実施例のステップは以下のとおりである。
前処理ステップS0:電気生理信号測定装置(2)を取り付ける。該電気生理信号測定装置(2)は被訓練者の訓練期間の電気生理信号の動態変化を続けて測定できる。
ステップ1(S1):標的物(111)を、被訓練者に注目させるために提供する。このとき被訓練者は手指を訓練機(1)の待機エリア(12)に指向させる。
ステップ2(S2):第1提示後に、被訓練者の標的物(111)を注目する視線を阻む。被訓練者は第1提示を受け取った後、標的物(111)を注目する視線が阻まれるが、続けて標的物(111)の位置に注意させられ、且つ該第1提示は聴覚(ボイス或いはサウンド)、視覚或いは触覚の提示とされる。
ステップ3(S3):第2提示後に被訓練者が応答し、標的物(111)と関係する命令動作を実行する。該第2提示は聴覚(ボイス或いはサウンド)、視覚或いは触覚の提示とされる。実行する命令動作は手指を応答エリア(11)で移動させて標的物(111)の位置を指すこととされ得る。
【0027】
本発明の実施例中、電気生理信号測定装置(2)たとえば脳波測定機が被訓練者の電気生理信号たとえば脳波を続けて受信し、被訓練者の、訓練機(1)を操作して上述の前処理ステップ(S0)からステップ3(S3)を実行するときの動態の電気生理信号(たとえば集中波信号とリラックス波信号)を対比し、並びに訓練機(1)が命令動作実行を評価した安定度結果を整合し、被訓練者が一定程度の安定度を達成したとき、その電気生理信号の数値変化を判別する。本訓練方法で得られるフィードバック値或いは同じ程度のフィードバック基準の下で、被訓練者の真実の或いは意義のある電気生理信号を動態測定できる。
【0028】
一般の状況では、被訓練者がステップ1(S1)を実行するとき、標的物(111)を注目することで脳部に集中波の信号を放出させられる。
【0029】
ステップ2(S2)を実行するとき、被訓練者が標的物(111)に注目する視線を阻止すると、脳波はリラックス波の信号を放出し得る。
【0030】
ステップ3(S3)を実行するとき、被訓練者は標的物(111)に注目する視線を阻まれた状況で、手指を移動させて標的物(111)に関係する命令動作を実行する。すなわち、同時に安定度を測定し並びに集中波信号とリラックス波信号を比較し、被訓練者の真実の脳部電気生理信号を測定する。
【0031】
被訓練者が設定された安定度の程度に到達したとき、被訓練者は集中可能であることを表示する。この安定度の数値は基準とされ得て、被訓練者が一定の安定度数値標準に到達するとき、被訓練者の集中波信号とリラックス波信号よりその安定度が自然注意力であるか否かを知ることができ、また、被訓練者が情緒などの心身状況及び習慣を調整することにより、ひいては被訓練者の自然注意力を訓練することができる。
【0032】
且つ、もし被訓練者が無心に訓練していても、その他の事物に集中したいと思うと、集中波信号は比較的高くなるが、注意力分散の影響は安定度の数値に表現される。
【0033】
もし被訓練者が訓練及び測定結果を左右しようと意図して、故意に脳波を制御しようとするとき、集中波信号とリラックス波信号に影響がでるものの、安定度数値が故意に脳波をコントロールすることによる雑念の影響を現出する。
【0034】
本発明の効果は以下のとおりである。
1.本発明は自然注意力と安定度測定の標準を提供し、明確に被訓練者の自然注意力と安定度を表現できる。
2.本発明は電気生理信号測定機の測定の基準を提供し、並びにこの基準の下で、研究参考価値を有する真実の電気生理信号或いは信頼度を有する動態測定方法を現出し、疾病の予防、治療、分析上、画期的なメリットを有する。
3.本発明は被訓練者の自然注意力を訓練し、被訓練者の集中の習慣を調整し、被訓練者が習慣的に自然のリラックスした状態で集中とリラックスが行えるようにする。
4.本発明は被訓練者の安定度を訓練し、被訓練者の思考情緒の整理及び集中を訓練する。
5.本発明は被訓練者の自然注意力と安定度を回復し、ゆえにネガティブ思考を除去し、自信を回復させ、やさしさをとりもどさせ、睡眠品質を改善し、間接的にもともと持っている自然治癒力と免疫能力を回復させる。
【符号の説明】
【0035】
1 訓練機
11 応答エリア
12 待機エリア
111 標的物
2 電気生理信号測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理信号の安定度フィードバック動態検出装置において、
標的物(111)を表示できる応答エリア(11)が上表面に設けられ、該応答エリア(11)の外周に待機エリア(12)が設けられた訓練機(1)と、
受信した電気生理信号を該訓練機(1)に伝送する電気生理信号測定装置(2)と、
を包含したことを特徴とする、電気生理信号の安定度フィードバック動態検出装置。
【請求項2】
電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法において、
ステップ1(S1)であって、標的物(111)を、被訓練者に注目させるために提供するステップ、
ステップ2(S2)であって、被訓練者が標的物(111)に注目する視線を阻止するステップ、
ステップ3(S3)であって、被訓練者が応答し、標的物(111)と関係する命令動作を実行するステップ、
を包含することを特徴とする、電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法。
【請求項3】
請求項2記載の電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法において、ステップ1(S1)の前に、前処理ステップとして、電気生理信号測定装置(2)を取り付けるステップを包含することを特徴とする、電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法。
【請求項4】
請求項2記載の電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法において、被訓練者が標的物(111)に注目する視線を阻止する前に、第1提示を提供し、該第1提示は聴覚或いは視覚或いは触覚提示であることを特徴とする、電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法。
【請求項5】
請求項2記載の電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法において、被訓練者が応答する前に、第2提示を提供し、該第2提示は聴覚或いは視覚或いは触覚提示であることを特徴とする、電気生理信号の安定度フィードバック動態検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−11180(P2012−11180A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89465(P2011−89465)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(511079838)
【出願人】(511093362)
【Fターム(参考)】