説明

電気自動車用充電装置

【課題】電気自動車用の充電装置であって、充電中に異常が検出された場合、その異常検出が所定時間継続した場合は充電を中断して終了し、所定時間経過前に異常が検出されなくなった場合に、速やかに充電を再開する。
【解決手段】充電装置10は、外部電源93が供給する交流電力を直流電力に変換するACDCコンバータ13と、ACDCコンバータを制御するコントローラ18を備える。コントローラ18は、充電装置10の異常が検出された場合、ACDCコンバータ13を一時停止させる。また、コントローラ18は、異常検出が継続した時間が予め定められた継続時間閾値を超えた場合にコントローラ自身を含む充電装置の動作を終了し、継続時間閾値に達する前に異常が検出されなくなった場合には、ACDCコンバータ13の一時停止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の電源を使って車載のバッテリを充電する装置に関する。特に、電気自動車に搭載された、車輪駆動モータ用の高電圧大容量バッテリを充電する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車においては、充電中に何らかの異常・不具合を検出した場合、充電装置は充電を停止するのがよい。異常・不具合とは、例えば、電圧センサの出力データが正常でない場合、あるいは、コントローラ同士(例えば、充電を管理するコントローラとバッテリを使う駆動系コントローラ)の通信が途絶した場合がある。しかしながら、異常を示す信号そのものが正常でない場合も起こり得る。典型的には、ノイズによる信号の揺れを、異常を示す信号と誤って判断してしまった場合などである。あるいは、一時的に異常が発生しても直後に異常が解消することもあり得る。そのような場合には、満充電まで充電を継続することが好ましい。特許文献1には、ノイズ等により異常を誤検出した場合であっても充電を継続する技術が開示されている。その技術は、異常の検出が継続した時間が閾値以上である場合に異常を確定する。ただし、異常の検出が継続した時間が閾値以上となる前は、その異常検出が本当の異常であるか、誤検出であるか判断できない。そこで、システムの安全を確保するため、異常検出が継続した時間が閾値以上となる前に、外部電源とバッテリとの間の電気経路を遮断する。そして、閾値に達する前に異常を検出しなくなった場合、バッテリと外部電源を接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−201189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、異常の検出が継続した時間が閾値以上となる前に、バッテリと外部電源との間の電気経路を遮断する。そして、閾値に達する前に異常を検出しなくなった場合、再びバッテリと外部電源を接続する。本明細書は、リレーに代わる他の手法により、異常が検出されたときに充電を停止し、異常検出が継続した時間閾値に達する前に異常が検出されなくなったときに充電を再開する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、外部電源が供給する電力で車載のバッテリを充電する充電装置であって、新規な充電装置を提供する。その充電装置は、外部電源が供給する交流電力を直流電力に変換するACDCコンバータと、ACDCコンバータを制御するコントローラを備える。そのコントローラは、充電装置の異常が検出された場合、ACDCコンバータを一時停止させる。コントローラは、異常検出が継続した時間が予め定められた継続時間閾値を超えた場合にコントローラ自身を含む充電装置の動作を終了する。他方、コントローラは、継続時間閾値に達する前に異常が検出されなくなった場合には、ACDCコンバータの一時停止を解除する。ここで、「ACDCコンバータを一時停止する」、とは、コントローラが、ACDCコンバータに対して、ゼロ電圧を出力する指令を与えることに相当する。また、「一時停止を解除する」とは、ACDCコンバータの動作を再開することに相当する。
【0006】
特許文献1の技術と異なる点であるACDCコンバータを一時停止することには、ACDCコンバータの再開が早いという利点がある。即ち、ACからDCへの変換動作の開始、一時停止、再開の全てが、コントローラからACDCコンバータへの同一の指令形態で行われるので、再開が素早く行える。なお、コントローラからACDCコンバータへの指令の形態は、ACDCコンバータが備えるスイッチング回路への指令であるPWM信号である。ACDCコンバータに対するPWM信号は、そのデューティ比が出力電圧(ACDCコンバータの出力電圧)に対応する。即ち、コントローラは、出力電圧ゼロに相当するPWM信号をACDCコンバータに与えることで、ACDCコンバータを一時停止の状態にすることができる。
【0007】
上記した充電装置は、異常が検出されなくなったときにACDCコンバータを素早く再開する(一時停止を解除する)という利点を有した。これとは別の観点として、異常が検出されたときに確実にACDCコンバータの出力を止めることも重要である。そこで、本明細書が開示する技術の別の態様では、充電装置は、上記の構成に加えて、ACDCコンバータを経由する外部電源からバッテリまでの電気経路を切断したり接続するリレーをさらに備える。そして、コントローラは、充電装置の異常が検出された場合、ACDCコンバータを一時停止させるとともに、上記のリレーを開放する。なお、「リレーを開放する」とは、外部電源からバッテリまでの電気経路(通電経路)を切断することを意味する。そしてコントローラは、異常検出が継続した時間が予め定められた継続時間閾値を超えた場合にコントローラ自身の処理を含む充電装置の動作を終了し、上記の継続時間閾値に達する前に異常が検出されなくなった場合には、リレーを閉じるとともにACDCコンバータの一時停止を解除する。なお、「リレーを閉じる」とは、外部電源とバッテリを電気的に接続することを意味する。
【0008】
ACDCコンバータを一時停止するとともにリレーを開放することによって、ACDCコンバータの出力を確実に止めることができる。例えば、リレーに異常が発生した場合であってもACDCコンバータを一時停止することによってACDCコンバータの出力はゼロとなる。他方、ACDCコンバータが制御不能になってコントローラからの指令を受け付けなくなった場合であっても、リレーを開放することで、ACDCコンバータの出力を止めることができる。
【0009】
さらに安全性を高めるために、コントローラは、継続時間閾値に達する前に異常が検出されなくなった場合、予め定められた待機時間の後に、リレーを閉じるとともにACDCコンバータの一時停止を解除することも好適である。異常が正しく検出されたにも関わらず、異常が検出されなくなったことが誤動作である可能性もある。即ち、一時的に異常が検出されなくなるが再び異常検出の状態に戻ることも想定される。そのような場合に備えて、異常が検出されなくなった後に既定の待機時間だけ待って、それからリレーを閉じ、ACDCコンバータを再開させるのがよい。既定の待機時間とは、例えば10秒程度である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電気自動車の充電系を表す模式図である。
【図2】充電系のブロック図である。
【図3】異常検出時の処理のフローチャート図である。
【図4】異常検出時の処理の変形例のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して実施例の電気自動車100を説明する。図1に、電気自動車100の充電系の模式図を示す。図2に充電系のブロック図を示す。ここで、充電系とは、外部電源からバッテリまでの電力の流れを規定するデバイス群を意味する。なお、図1と図2は、本発明の説明に必要なデバイスのみを示しており、電気自動車が有する全てのデバイスを示してはいないことに留意されたい。
【0012】
図1を参照して充電系の概要を説明する。電気自動車100は、モータ3によって走行する1モータの自動車である。電気自動車100は、高出力大容量のバッテリ4を搭載しており、そのバッテリ4の直流電力をインバータ2が交流電力に変換し、モータ3へ供給する。バッテリ4は、車両の減速エネルギを利用した回生電力によって充電することもできるが、外部電源(商用100V電源93)から充電することもできる。
【0013】
外部電源からの充電は、EVSE8(後述)を通して行う。EVSE8は、家庭用の交流100Vコンセント92にプラグ91を差し込み、外部電源93から電力を取得する。EVSE8からはケーブル7が伸びており、その先端に充電プラグ6が取り付けられている。充電プラグ6を車両100のコネクタ5に差し込み、EVSE8を介して外部電源93から車両100へ電力を供給する。電気自動車100には外部電源が供給する交流電力を直流電力に変換してバッテリに出力する充電装置10が備えられている。
【0014】
実施例の電気自動車の充電系は、SAE(Society of Automotive Engineers:米国自動車技術者協会)のJ1772で規格化されている充電インターフェイスに準拠している。その規格によると、外部電源と充電装置(ACDCコンバータ)の間に接続されるEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)と呼ばれるデバイスが定義されている。EVSEは、外部電源が供給可能な電流容量を車両に伝える信号出力や、車両が離れたときに電力供給を停止するインターロック機構を備えたデバイスである。SAE−J1772は、EVSEと電気自動車(充電装置)との通信プロトコルも規定している。規定された通信線の一つにパイロット信号と呼ばれる信号がある。パイロット信号は、EVSEから充電装置へ向けて、外部電源が供給可能な電流容量を伝える。別言すれば、パイロット信号は、外部電源が供給可能な電流容量を表す。パイロット信号を伝える信号線はCPLT線と呼ばれる。このCPLT線は、充電装置からEVSEへ指令を伝える役割も有する。その意味でCPLT線は、コントロールパイロット線と呼ばれている。CPLT線を使ったESVEと充電装置との間のプロトコルについては後に説明する。
【0015】
図2を参照して充電系を詳しく説明する。なお、図2において、コネクタ5よりも右側が電気自動車100に搭載されたデバイスを表しており、充電プラグ6よりも左側は、車両の外部に相当する。EVSE8は、漏電検出器8a、交流リレー8b、及び、制御回路8cを備える。交流リレー8bは、外部電源93と車両100を電気的に接続したり切り離したりするスイッチである。交流リレー8bは、制御回路8cによって制御される。漏電検出器8aが漏電と検出すると、制御回路8cは交流リレー8bを開放、すなわち、外部電源93を車両100から切り離す。制御回路8cは、ケーブル7を介してパイロット信号を車両の充電装置10に送る。図の「CPLT」は、コントロールパイロット信号線(以下、CPLT線)を示しており、この線を通じてパイロット信号が送られる。CPLT線は双方向通信が可能である。詳しくは後述する。
【0016】
EVSE8から電力を受ける充電装置10は、ACDCコンバータ13と整流回路17と異常検出部24を備える。EVSE8から供給された交流電力は、ACDCコンバータ13によって直流電力に変換される。例えば、ACDCコンバータ13は、入力される商用100V交流電力を、バッテリ4の電圧である直流300[V]に変換する。なお、厳密にはACDCコンバータ13は、バッテリ4の出力電圧よりもわずかに高い電圧を出力する。直流電力(直流電流)は、整流回路17によって整えられ、バッテリ4へ供給される。ACDCコンバータ13の入力側には交流電圧を計測する第1電圧センサ12が備えられており、ACDCコンバータ13の出力側には直流電圧を計測する第2電圧センサ15が備えられている。また、整流回路17の入力側と出力側にそれぞれ電流平滑化のためのコンデンサ14、16が接続されている。電圧センサ12、15のセンサデータは充電コントローラ18に送られる。充電コントローラ18は、電圧センサのセンサデータやCPLT信号の状態に基づき、ACDCコンバータ13と整流回路17を制御する。ACDCコンバータ13は多数のスイッチング回路を備えており、充電コントローラ18はそれらスイッチング回路に対するスイッチング指令(PWM信号)を与える。別言すると、充電コントローラ18はACDCコンバータ13の作動と停止を切り換えることができる。充電コントローラ18はまた、CPLT線を介して、EVSE8に指令を与えることもできる(後述)。さらに、充電コントローラ18は、車両のシステムメインリレー31を制御したり、バッテリの充電状態(SOC:State Of Charge)や結果を不揮発性メモリ19に記憶させたりする。なお、システムメインリレー31とは、バッテリ4を電力系に接続したり切り離したりするスイッチである。
【0017】
バッテリ4はシステムメインリレー31を介してインバータ2にも接続されている。インバータ2は昇圧回路2aとインバータ回路2bを備えており、モータコントローラ2cが、それらのデバイスが有するスイッチング回路へ指令(PWM信号)を与える。なお、図2中の文字列「C−CNLT」は、「チャージコントローラ」を表しており、文字列「M−CNLT」は、「モータコントローラ」を表している。
【0018】
異常検出部24は、ACDCコンバータ13や整流回路17、及び、第1、第2電圧センサ12、15の動作を監視する。それらの動作が正常でない場合には、異常を検出したとして充電コントローラ18に通知する。例えば電圧センサのセンサデータが、正常でない値を示した場合、電圧センサに異常が発生したと判断し、そのことを充電コントローラ18に通知する。異常検出部24は、また、モータコントローラ2c、バッテリ4の状態を監視するコントローラ(不図示)、あるいは、他のコントローラ(不図示)から異常検出の通知を受ける。例えばバッテリ4の状態を監視するコントローラは、バッテリ4の電圧やSOCの値を計測するセンサの出力が正常でない値を示したときに、異常発生を異常検出部24へ通知する。他のコントローラからの異常検出の通知には、コントローラ間の通信途絶/通信異常などがある。図2では異常検出部24を一つの矩形で表しているが、異常検出部24は、一つのユニットで構成されるものではなく、上記したように、様々なコントローラが個々に有する異常検出手段の集合である。異常検出手段には、許容範囲を超えたデータを異常として検出するプログラムも含まれる。異常が検出されたときの充電コントローラ18の動作については後述する。
【0019】
パイロット信号のプロトコルを概説する。EVSE8(制御回路8c)は、外部電源93が接続されると、CPLT線の電位を電圧V3[V](典型的には12V)に上げる。充電装置10(充電コントローラ18)は、CPLT線の電位を監視しており、電位が電圧V3[V]に上がったことを検出して、EVSE8から電力供給を受けられることを知る。充電コントローラ18は、供給を受けることができる電流の値を知るために、CPLT線の電位を電圧V2[V](典型的には9[V])に下げる。EVSE8(制御回路8c)は、CPLT線の電位が電圧V2[V]に下がったことを検出すると、外部電源93の電圧と電流をチェックして供給可能電流容量を特定し、充電コントローラ18へ伝える。具体的にはEVSE8は、CPLT線にパルス波を出力する。このとき、パルス波のデューティ比が供給可能電流容量を表す。充電装置10は、CPLT線のパルス波をモニタし、供給可能電流容量を知る。充電の準備が整ったら、充電装置10は、システムメインリレー31を閉じる(即ち、充電装置10とバッテリ4を接続する)とともに、CPLT線の電位を電圧V1[V](典型的には6[V])に下げる。CPLT線の電圧をV1[V]に下げることは、EVSE8に対して、給電開始を指示することを意味する。EVSE8は、CPLT線の電位が電圧V3[V]に下がったことを検出すると、交流リレー8bを閉じる。外部電源93と充電装置10が電気的に接続され、給電が開始される。特定の指令を伝える電圧の大きさの関係は、電圧V3>電圧V2>電圧V1である。コントロールパイロット信号のプロトコルは、SEA−J1772で規定されているので詳しくはそちらを参照されたい。
【0020】
充電コントローラ18は、充電中に異常検出を示す信号を受信すると、とりあえずACDCコンバータ13を一時停止させて様子を見る。異常検出を示す信号が所定の継続時間閾値の間継続すると、充電コントローラ18は、交流リレー8bとシステムメインリレー31を開放するとともに、充電コントローラ18自身が実行していた処理を終了する。他方、継続時間閾値が経過する前に異常検出を示す信号が途絶えた場合には、先の異常検出は誤検出であったとして、ACDCコンバータ13を再開させる。次に、異常検出信号を受信した際の充電コントローラ18の処理を詳しく説明する。
【0021】
充電の準備が整うと、充電コントローラ18はコントロールパイロット信号を利用してESVE8に交流リレー8bの閉鎖(外部電源93と充電装置10の接続)を指令するとともに、システムメインリレー31を閉じ、ACDCコンバータ13に電力変換の指令(PWM信号)を与える。充電中に異常検出部24から異常検出を示す信号(異常検出信号)を受信すると充電コントローラ18は図3の処理を実行する。
【0022】
充電コントローラ18は、異常検出部24から異常検出信号を受信すると、ACDCコンバータ13を一時停止する(S2)。即ち、バッテリ4の充電を一時停止する。具体的には、充電コントローラ18は、ACDCコンバータ13のスイッチング回路への指令(PWM信号)として、出力電圧ゼロに相当するPWM信号を与える。その結果、ACDCコンバータ13は、作動はしているが出力はしていない状態となる。その状態で充電コントローラ18が特定の出力電圧に対応するPWM信号を与えれば、ACDCコンバータ13は直ちに出力を再開する。即ち、一時停止が解除される。
【0023】
次に充電コントローラ18は、自身のプログラム内に定義された第1タイマをスタートさせる(S3)。第1タイマは、異常検出信号の受信が継続した時間を計測するために設けられる。充電コントローラ18は、予め定められた期間である継続時間閾値TIMEの間、異常検出信号を継続して受信した場合(S4:YES、S5:YES)、異常発生により充電を中断したことを示すエラーコードをメモリ19に書き込む(S6)。そして、EVSE8へ交流リレー8bを開放する指令を出力し、システムメインリレー31を開放し、充電コントローラ18が実行している処理を終了する(S7)。なお、継続時間閾値TIMEには例えば3秒が予め設定されている。
【0024】
他方、第1タイマをスタートしてから(即ち、異常検出信号を受信してから)継続時間閾値TIMEを経過する前に異常検知信号が消失したら(即ち、異常を検出しなくなったら)、充電コントローラ18は第2タイマをスタートする(S8)。第2タイマは、異常を検出しなくなったときからの経過時間を計測するために設けられる。異常検出信号が消失してから予め定められた待ち時間WAITが経過しても新たに異常検出信号を受信しなかった場合(S9:NO、S10:YES)、充電コントローラ18はACDCコンバータ13の動作を再開する(S12)。即ち、ACDCコンバータ13の一時停止を解除する。具体的には充電コントローラ18は、バッテリ4の電圧に相当するPWM信号をACDCコンバータ13に与える。そうするとACDCコンバータ13は直流電力の出力を再開する。即ち、バッテリ4への充電が再開する。
【0025】
他方、第2タイマをスタートしてから待ち時間WAITが経過する前に再び異常検出信号を受信したら(S9:YES)、ステップS4の処理に戻る。即ち、充電コントローラ18は、異常検出信号が一時的に途絶えたとしてもそのことは無視し、第1タイマのスタートからの経過時間の監視を続ける(S5)。
【0026】
なお、ステップS9の処理において、新たに受信した異常検出信号が先に受信した異常検出信号と同じ異常を示す信号の場合はS4の処理に戻り、異なる異常を示す信号の場合は、充電コントローラ18は、次の処理を行う。即ち、充電コントローラ18は、現在の図3の処理においては新たな異常検出信号の受信は無視し、新たに受信した異常検出信号に対応して新たな図3の処理を起動する。即ち、異なる異常を示す複数の異常検出信号の夫々に対応して図3の処理が独立に実行される。
【0027】
上記説明した異常検出時の処理は、予め定められた継続時間閾値TIMEの間、継続して異常が検出されたら充電を中断して終了する。充電コントローラ18は、異常を検出すると直ちにACDCコンバータ13の動作を一時停止してバッテリ4への充電を止める。継続時間閾値TIMEに達する前に異常が検出されなくなったら、充電コントローラ18はACDCコンバータ13を再開する(一時停止を解除する)。一時停止の間、ACDCコンバータ13は、出力はゼロであるが動作は継続しているので、直ちに再開できる。
【0028】
また、上記の処理では、異常が検出されなくなってもその後、待ち時間WAITの間に再び同じタイプの異常検出信号を受信した場合は、異常は継続して生じているが一時的に検出されなくなっただけである判断して、異常検出が継続時間閾値TIMEまで継続しているか否かをチェックする処理(S5)に戻る。
【0029】
次に異常検出時の処理の変形例を説明する。変形例の処理のフローチャートを図4に示す。この変形例は、図3のフローチャートのステップS2とS12が異なる。その他の処理は図3のフローチャートと同じである。
【0030】
充電コントローラ18は、図3のステップS2に対応するステップS202において、コンバータ13を一時停止するとともに、コントロールパイロット信号を使ってEVSE8の交流リレー8bを開放する。即ち、外部電源93とバッテリ4との間の電気経路を物理的に遮断する。また、充電コントローラ18は、図3のステップS12に対応するS212の処理において、交流リレー8bを閉じるとともに、ACDCコンバータ13を再開する。
【0031】
この変形例では、異常が検出されるとACDCコンバータ13を一時停止するとともに、交流リレー8bを開放して外部電源93とバッテリ4との間を物理的に遮断する。従って、異常が検出された際、バッテリ4への充電を確実に止めることができる。
【0032】
上記説明した実施例の留意点を述べる。変形例の処理では、EVSE8が有する交流リレー8bを使って外部電源93とバッテリ4との接続を物理的に遮断した。充電コントローラ18は、交流リレー8bに代えてシステムメインリレー31を開放することによって、外部電源93とバッテリ4との接続を物理的に切断してもよい。
【0033】
実施例の車両は一つのモータを有する電気自動車であった。本明細書が開示する技術は、車輪駆動用のモータとエンジンを共に備えるいわゆるプラグイン−ハイブリッド車に適用することも可能である。
【0034】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0035】
2:インバータ
2a:昇圧回路
2b:インバータ回路
2c:モータコントローラ
3:モータ
4:バッテリ
5:コネクタ
6:充電プラグ
7:ケーブル
8a:漏電検出器
8b:交流リレー
8c:制御回路
10:充電装置
12、15:電圧センサ
13:ACDCコンバータ
14、16:コンデンサ
17:整流回路
18:充電コントローラ
19:メモリ
24:異常検出部
31:システムメインリレー
93:外部電源
100:電気自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源が供給する電力で車載のバッテリを充電する充電装置であり、
外部電源が供給する交流電力を直流電力に変換するACDCコンバータと、
ACDCコンバータを制御するコントローラと、
を備えており、
コントローラは、
充電装置の異常が検出された場合、ACDCコンバータを一時停止させ、
異常検出が継続した時間が予め定められた継続時間閾値を超えた場合にコントローラ自身を含む充電装置の動作を終了し、
前記継続時間閾値に達する前に異常が検出されなくなった場合には、ACDCコンバータの一時停止を解除する、
ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
ACDCコンバータを経由する外部電源からバッテリまでの電気経路を切断したり接続するリレーをさらに備え、
コントローラは、
充電装置の異常が検出された場合、ACDCコンバータを一時停止させるとともに、前記リレーを開放し、
前記継続時間閾値に達する前に異常が検出されなくなった場合には、前記リレーを閉じるとともにACDCコンバータの一時停止を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
コントローラは、前記継続時間閾値に達する前に異常が検出されなくなった場合、予め定められた待機時間の後に、前記リレーを閉じるとともに前記ACDCコンバータの一時停止を解除することを特徴とする請求項2に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90496(P2013−90496A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230515(P2011−230515)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】