説明

電気部品モジュール

【課題】電流経路板の搭載面に電気部品を搭載し、電流経路板の搭載面及び電気部品を封止樹脂により封止する構成の電気部品モジュールにおいて、電流経路板と封止樹脂との剥離防止を図る。
【解決手段】電流経路板2に、その搭載面2aから突出する導電性の端子台7を設け、電気部品5を端子台7の突出方向の先端面7aに搭載することで、端子台7を介して電気部品5と電流経路板2とを電気接続する。また、端子台7に、その外周面7cから窪む係合穴71を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気部品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気部品モジュール(樹脂封止型半導体装置)には、例えば特許文献1のように、導電性を有する板材や配線基板(セラミック基板)、リードフレーム等の電流経路板の搭載面に、半導体チップや基板等の電気部品を搭載し、これら電流経路板と電気部品とを電気接続した上で、電流経路板の搭載面及び電気部品を封止樹脂により封止したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−238804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電気部品モジュールでは、封止樹脂が電流経路板の搭載面から剥離する虞がある。
例えば、電流経路板及び封止樹脂の熱膨張係数が互いに異なる場合には、電気部品モジュールを加熱冷却した際に、電流経路板と封止樹脂との界面に電流経路板の搭載面に沿う方向へのせん断応力が作用して、封止樹脂が電流経路板の搭載面から剥離してしまう。
【0005】
また、電気部品モジュールを各種部材にネジ止めする等して電気部品モジュールに曲げ応力が生じた場合にも、電流経路板と封止樹脂との界面に前述と同様のせん断応力が作用し、封止樹脂が電流経路板の搭載面から剥離することもある。
さらに、電流経路板の搭載面にめっきが施される等して、この搭載面の表面粗さが小さくなっていると、電流経路板の搭載面に対する封止樹脂の密着性が低下するため、封止樹脂が電流経路板の搭載面から剥離しやすくなる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、電流経路板と封止樹脂との剥離防止を図ることが可能な電気部品モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の電気部品モジュールは、電流経路板と、当該電流経路板の搭載面上に配されて前記電流経路板に電気接続される電気部品と、前記搭載面及び前記電気部品を封止する封止樹脂とを備え、前記電流経路板には、その搭載面から突出する導電性の端子台が設けられ、前記電気部品が前記端子台の突出方向の先端面に搭載されることで、前記電気部品と前記電流経路板とが前記端子台を介して電気接続されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電気部品モジュールによれば、電流経路板の搭載面から突出する端子台が封止樹脂に係合するため、電気部品モジュールが加熱冷却されたり、電気部品モジュールに曲げ応力が生じたとしても、封止樹脂が電流経路板に対してその搭載面に沿う方向(電流経路板の面方向)に移動することが規制される。したがって、電流経路板の搭載面と封止樹脂との界面には、従来のように、電流経路板の面方向へのせん断応力が作用しない、あるいは、このせん断応力が弱まり、結果として、電流経路板と封止樹脂との剥離防止を図ることができる。
【0009】
そして、前記電気部品モジュールにおいては、前記端子台には、その外周面から窪む有底の係合穴が形成され、当該係合穴の内側面が、前記係合穴の底面に対向するように傾斜していることが好ましい。
この構成では、封止樹脂が係合穴に入り込むことで傾斜する係合穴の内側面に係合するため、封止樹脂が端子台の外周面から離間する方向(離間方向)に移動することを規制できる。ここで、封止樹脂の離間方向には搭載面に沿う方向の成分が含まれるため、端子台の外周面のうち係合穴に対向する封止樹脂が搭載面に沿う方向に移動することを特に規制できる。すなわち、搭載面に沿う方向への電流経路板と封止樹脂との相対移動をさらに規制して、電流経路板と封止樹脂との剥離を、より確実に防止することができる。
【0010】
さらに、前記電気部品モジュールでは、前記係合穴が前記端子台の外周面の周方向に延びる溝状に形成されているとさらによい。
この構成では、端子台の外周面の周囲近傍に位置する封止樹脂全体の移動を規制することができるため、電流経路板と封止樹脂との剥離防止をさらに図ることができる。
【0011】
また、前記電気部品モジュールにおいては、前記搭載面から上方に延びる前記端子台の外周面が、前記端子台の突出方向の先端面側において当該端子台の径方向外側に膨出するように形成されていることが好ましい。言い換えれば、前記端子台の突出方向の先端面側には、前記端子台の径方向外側に膨出する膨出部が形成されていることが好ましい。
この構成では、端子台の膨出部が、電流経路板の搭載面の上方に間隔をあけて対向するように位置することになる。これにより、電流経路板の搭載面と端子台の膨出部との間に封止樹脂が入り込んで端子台に係合するため、封止樹脂が電流経路板の搭載面から上方に剥離することを防止できる。
【0012】
さらに、前記電気部品モジュールでは、前記搭載面と当該搭載面から上方に延びる前記端子台の外周面との角部が、前記搭載面と前記外周面とを滑らかに接続する湾曲面となっているとよい。
この構成では、封止樹脂が電流経路板に対して移動しようとする力に基づいて、電流経路板の搭載面と端子台の外周面との角部に応力が集中することを防止できる。そして、角部への応力集中を防ぐことで、電流経路板と端子台との境界部分にクラックが生じることを防止することができる。
【0013】
また、前記電気部品モジュールにおいては、前記端子台が、平面視円形あるいは楕円形に形成されているとよい。
この構成では、端子台が平面視多角形である場合と比較して、端子台の周方向に尖った角部が形成されないため、封止樹脂と電流経路板とが相対移動しようとする力によって端子台の周方向の一部に応力が集中することを防止できる。
【0014】
さらに、前記電気部品モジュールにおいては、前記端子台の外周面と先端面との角部が、丸みを帯びているとよい。
この構成では、電気部品を端子台の先端面に載置する際に、電気部品が端子台の外周面と先端面との角部によって傷付けられることを防止できる。
【0015】
また、前記電気部品モジュールにおいては、前記電流経路板と前記端子台とが一体に形成されていてもよい。
【0016】
さらに、前記電気部品モジュールにおいては、前記電流経路板の搭載面及び当該搭載面に対向する前記端子台の対向面に、互いに係合する凹凸面が形成されていることがより好ましい。
この場合、前記電流経路板の搭載面及び前記端子台の対向面の一方の面に形成される前記凹凸面が、前記一方の面から窪む凹部によって画成され、前記電流経路板の搭載面及び前記端子台の対向面の他方の面に形成される前記凹凸面が、前記他方の面から突出して前記凹部に挿入可能な凸部によって画成されていればよい。
【0017】
このように電流経路板と端子台とが別個に形成されていれば、電流経路板に取り付ける端子台の形状や大きさを変更するだけで、様々な形状や大きさの電気部品を端子台に搭載することが可能となる。すなわち、電流経路板の汎用性が向上し、電気部品モジュールをより安価に製造することが可能となる。
また、電流経路板及び端子台の凹凸面同士を係合させることで、電流経路板及び端子台が、搭載面や対向面に沿う方向に互いに動いてずれることも確実に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電気部品モジュールを構成する電流経路板と封止樹脂との剥離防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図2に示す半導体装置の要部を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る半導体装置を構成するヒートシンク及び端子台を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜3を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、この実施形態に係る半導体装置(電気部品モジュール)1は、厚板状のヒートシンク(電流経路板)2、複数の端子板3,4及び複数の半導体チップ(電気部品)5を封止樹脂6で封止して大略構成されている。
本実施形態の半導体チップ5は、大電流トランジスタ等のように通電により発熱するものであり、平面視矩形の板状に形成されて、上面及び下面の両方に電極パッドを有している。
【0021】
ヒートシンク2は、導電性を有し、かつ、放熱性の高い材料によって形成されている。ヒートシンク2をなす具体的な材料としては、例えば銅(Cu)、タングステン、モリブデン、あるいは、これにNiメッキを施したものが挙げられる。
このヒートシンク2には、その上面(搭載面)2aから突出する導電性の端子台7が複数(図示例では四つ)設けられている。本実施形態の端子台7は、ヒートシンク2と一体に形成されているため、ヒートシンク2と同じ材料によって形成されている。
【0022】
端子台7は、図1〜3に示すように、平面視円形で、突出方向の先端面7aがヒートシンク2の上面2aに平行する略円柱形状に形成されている。また、端子台7は、その外径が高さ寸法よりも大きい扁平な円柱形状となっている。
この端子台7には、その外周面7c(ヒートシンク2の上面2aから上方に延びる端子台7の外周面7c)から径方向内側に窪む有底の係合穴71が形成されている。この係合穴71は、端子台7の外周面7cの周方向に延びる溝状に形成されている。言い換えれば、係合穴71はリング状に形成されている。また、係合穴71の内側面71bは、係合穴71の底面71aに対向するように傾斜している。すなわち、係合穴71の開口部分の面積が係合穴71の底面71aの面積よりも小さくなっている。
【0023】
さらに、端子台7の外周面7cは、端子台7の突出方向の先端側において端子台7の径方向外側に膨出するように形成されている。言い換えれば、端子台7の外周面7cは、端子台7の突出方向の基端側から先端側に向かうにしたがって、端子台7の径方向外側に膨出している。さらに言い換えれば、端子台7の突出方向の先端面7a側には、端子台7の径方向外側に膨出する膨出部72が形成されている。この膨出部72は、ヒートシンク2の上面2aの上方に間隔をあけて対向するように位置している。
【0024】
また、端子台7の外周面7cと先端面7aとの角部7dは、丸みを帯びている。
そして、上記構成の端子台7の外周面7cとヒートシンク2の上面2aとの角部7eは、これら上面及び外周面7cとを滑らかに接続する湾曲面73となっている。したがって、本実施形態の端子台7は、断面視で端子台7の突出方向の中途部分において括れを有する形状を呈している。
【0025】
以上のようにしてヒートシンク2上に設けられる複数の端子台7の各先端面7aには、前述した半導体チップ5が半田11によって接合されている。これにより、ヒートシンク2と半導体チップ5とが端子台7を介して電気接続されることになる。言い換えれば、ヒートシンク2及び端子台7は、半導体チップ5を外部に電気接続するための外部端子や接続配線としての役割を果たしている。
なお、本実施形態では、半導体チップ5の下面の面積が端子台7の先端面7aの面積よりも大きいため、半導体チップ5を端子台7に接合した状態では、半導体チップ5が端子台7の先端面7aの周縁から突出している。
【0026】
各端子板3,4は、銅材などの導電性板材を平面視短冊状に形成して大略構成されており、その長手方向の一端部31,41が封止樹脂6内に埋設されるインナーリード部をなし、他端部32,42が封止樹脂6から外側に突出して半導体チップ5を外部に接続するためのアウターリード部をなしている。なお、各端子板3,4の他端部32,42は、例えば、モールド樹脂6の外面から離間するように延在していてもよい(図2の実線部分)が、例えば、モールド樹脂6の外面に沿って配されるように折り曲げられていてもよい(図2の二点鎖線部分)。
そして、各端子板3,4の一端部31,41と他端部32,42との間には、折り曲げ加工を施すことで一端部31,41を他端部32,42よりも端子板3,4の板厚方向にずらして低く位置させる段差板部33,43が形成されている。なお、この段差板部33,43は、一端部31,41と共に封止樹脂6内に埋設されるインナーリード部をなしている。
【0027】
本実施形態では、一対の端子板3,4の一端部31,41同士が互いに間隔をあけて向かい合うように、一対の端子板3,4がその長手方向に配列されている。また、一対の端子板3,4がその幅方向に間隔をあけて二組配列されている。
そして、一対の端子板3,4のうちの一方(第一端子板3)を構成する一端部31は、他方の端子板(第二端子板4)の一端部41よりも端子板3,4の長手方向に長く形成されている。
【0028】
第一端子板3の一端部31は、端子台7と共に半導体チップ5を挟み込むように、半田12によって半導体チップ5の上面に接合されている。本実施形態においては、二つの半導体チップ5が、同一の第一端子板3の長手方向に配列されるようにして同一の一端部31の下面に接合されている。これにより、半導体チップ5が、第一端子板3に電気接続されている。
【0029】
封止樹脂6は、端子板3,4の他端部32,42が外部に突出するように、また、ヒートシンク2の下面2bが露出するように、ヒートシンク2の上面2a及び側面2c、端子台7、半導体チップ5、並びに、端子板3,4の一端部31,41及び段差板部33,43を封止している。また、封止樹脂6は、端子台7の係合穴71に入り込んでいる。そして、封止樹脂6は第一端子板3と第二端子板4との間に介在することで、第一端子板3と第二端子板4との電気的な絶縁を図っている。
以上のように構成される本実施形態の半導体装置1では、例えば、通電によって半導体チップ5において生じた熱を、端子台7からヒートシンク2に伝え、ヒートシンク2の下面2bから外部に効率よく放熱することが可能である。
【0030】
そして、本実施形態の半導体装置1によれば、ヒートシンク2の上面2aから突出する端子台7が封止樹脂6に係合するため、半導体装置1が加熱冷却されたり、半導体装置1に曲げ応力が生じたとしても、封止樹脂6がヒートシンク2に対してその上面2aに沿う方向(ヒートシンク2の面方向)に移動することが規制される。したがって、ヒートシンク2の上面2aと封止樹脂6との界面には、従来のように、ヒートシンク2の面方向へのせん断応力が作用しない、あるいは、このせん断応力が弱まり、結果として、ヒートシンク2と封止樹脂6との剥離防止を図ることができる。
【0031】
また、端子台7の外周面7cに形成された係合穴71に封止樹脂6が入り込むことによって、封止樹脂6が係合穴71の内側面71bに係合するため、封止樹脂6が端子台7の外周面7cから離間する方向(離間方向)に移動することを規制できる。ここで、封止樹脂6の離間方向にはヒートシンク2の上面2aに沿う方向の成分が含まれるため、端子台7の外周面7cのうち係合穴71に対向する封止樹脂6がヒートシンク2の面方向に移動することを規制できる。特に本実施形態では、係合穴71が端子台7の外周面7cの周方向に延びるリング状に形成されているため、端子台7の外周面7cの周囲近傍に位置する封止樹脂6全体の移動を規制することができる。
したがって、ヒートシンク2の面方向へのヒートシンク2と封止樹脂6との相対移動をさらに規制して、ヒートシンク2と封止樹脂6との剥離を、より確実に防止することができる。
【0032】
さらに、端子台7に膨出部72が形成されていることで、封止樹脂6がヒートシンク2の上面2aと端子台7の膨出部72との間に入り込んで係合するため、封止樹脂6がヒートシンク2の上面2aから上方に剥離することを防止できる。
また、端子台7に膨出部72が形成されていることで、本実施形態のように半導体チップ5が端子台7の先端面7aの周縁から突出していても、封止樹脂6がヒートシンク2の上面2aから上方に離間しようとする力が、この半導体チップ5の突出部分に集中することを防止できる。すなわち、半導体チップ5と端子台7とを接合する半田11に応力が集中することを防いで、この半田11にクラックが生じることも防止できる。
【0033】
さらに、ヒートシンク2の上面2aと端子台7の外周面7cとの角部7eを湾曲面73とすることで、封止樹脂6がヒートシンク2に対して移動しようとする力に基づいて、ヒートシンク2の上面2aと端子台7の外周面7cとの角部7eに応力が集中することを防止できる。そして、この角部7eへの応力集中を防ぐことで、ヒートシンク2と端子台7との境界部分にクラックが生じることを防止することができる。
【0034】
また、端子台7の平面視形状が円形に設定されていることで、端子台7の周方向に尖った角部が形成されないため、ヒートシンク2と封止樹脂6とが相対移動しようとする力によって端子台7の周方向の一部に応力が集中することを防止できる。
さらに、端子台7の外周面7cと先端面7aとの角部7dが丸みを帯びていることで、半導体チップ5を端子台7の先端面7aに載置する際に、半導体チップ5が端子台7の外周面7cと先端面7aとの角部7dによって傷付けられることを防止できる。
【0035】
以上、上記実施形態により本発明の詳細を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、端子台7は、ヒートシンク2と一体に形成されることに限らず、図4に示すように、別個に形成されてもよい。この場合、ヒートシンク2及び端子台7は同一材料によって形成されてもよいが、例えば互いに異なる材料によって形成されてもよい。
また、ヒートシンク2と端子台7とが別体である場合、導電性を有すると共に放熱性の高い接着剤等によってヒートシンク2の平坦な上面2aに端子台7を単純に接着するだけでもよいが、図4に示すように、ヒートシンク2の上面2a及び、この上面2aに対向する端子台7の対向面7bに、互いに係合する凹凸面が形成されているとより好ましい。
【0036】
なお、図4に記載の構成では、ヒートシンク2の凹凸面がヒートシンク2の上面2aから窪む凹部21によって画成され、端子台7の凹凸面が端子台7の対向面7bから突出してヒートシンク2の凹部21に挿入可能な凸部74によって画成されているが、例えば、ヒートシンク2の凹凸面が上面2aから突出する凸部によって画成されると共に、端子台7の凹凸面が対向面7bから窪む凹部によって画成されてもよい。
また、ヒートシンク2及び端子台7に形成される凹部21や凸部74の数は、1つだけに限らず複数形成されていてもよい。この場合、複数の凹部21や凸部74は互いに間隔をあけて形成されてもよいし、互いに隣接するように連ねて形成されてもよい。
【0037】
このようにヒートシンク2と端子台7とが別個に形成されていれば、ヒートシンク2に取り付ける端子台7の形状や大きさを変更するだけで、様々な形状や大きさの半導体チップ5を端子台7に搭載することが可能となる。すなわち、ヒートシンク2の汎用性が向上し、半導体装置1をより安価に製造することが可能となる。
また、ヒートシンク2及び端子台7の凹凸面同士が係合することで、ヒートシンク2と端子台7とが、上面(搭載面)2aや対向面7bに沿う方向に互いに動いてずれることも確実に防止できる。
【0038】
そして、上記実施形態では、端子台7の係合穴71が、端子台7の外周面7cの周方向に延びてリング状に形成されているが、例えば端子台7の外周面7cの周方向に互いに間隔をあけて複数配列されていてもよい。また、端子台7の係合穴71は、例えば端子台7の外周面7cの周方向の一部にのみ形成されていてもよい。このような構成であっても、端子台7の外周面7cのうち係合穴71に対向する封止樹脂6がヒートシンク2の面方向に移動することを規制して、ヒートシンク2と封止樹脂6との剥離を防ぐことができる。
【0039】
また、端子台7には、係合穴71及び膨出部72が両方共に形成されるとしたが、例えば係合穴71及び膨出部72の一方のみが形成されてもよいし、例えば両方共に形成されなくてもよい。
さらに、端子台7の外周面7cと先端面7aとの角部7dは、丸みを帯びた形状に形成されるとしたが、例えば尖った形状に形成されていてもよい。
【0040】
また、端子台7の外周面7cとヒートシンク2の上面2aとの角部7eは、湾曲面73に限らず、例えば端子台7の外周面7cとヒートシンク2の上面2aの両方に対して傾斜する傾斜面であってもよい。このような構成であっても、端子台7の外周面7cとヒートシンク2の上面2aとの角部7eの角度が緩やかになるため、上記実施形態の場合と同様に、端子台7の外周面7cとヒートシンク2の上面2aとの角部7eに応力が集中することを防止できる。
【0041】
さらに、上記実施形態において、端子台7は、平面視円形に形成されるとしたが、これに限ることは無く、平面視多角形等のように任意の平面視形状に形成されてよい。ただし、端子台7の周方向の一部への応力集中を防止あるいは抑制するためには、端子台7の平面視形状を、円形、楕円形、あるいは、角部に丸みを持たせた多角形とすることがより好ましい。
また、端子台7は平面視で半導体チップ5よりも小さく形成されているが、例えば半導体チップ5よりも大きく形成されてもよい。すなわち、端子台7の先端面7aに接合された半導体チップ5は、先端面7aの周縁から突出していなくてもよい。
【0042】
さらに、上記実施形態では、一対の端子板3,4の一方(第一端子板3)のみが半導体チップ5に電気接続されているが、例えば、一対の端子板3,4の大きさを調整する等して、一対の端子板3,4の両方(第一端子板3及び第二端子板4)に別個の半導体チップ5が接合されてもよい。
また、端子板3,4は、例えば段差板部33,43のない平坦な板状に形成されていてもよい。
さらに、端子板3,4、半導体チップ5及び端子台7の配列や数は、上記実施形態のものに限らず、半導体装置の仕様に応じて任意に設定されてよい。
【0043】
そして、上記実施形態では、ヒートシンク2上に半導体チップ5を配してこれらを電気接続した半導体装置1について説明したが、本発明は、電流経路板上に電気部品を配してこれらを電気接続した構成の電気部品モジュールに適用することが可能である。したがって、電流経路板には、ヒートシンク2の他に、例えばリードフレームやセラミック基板等の配線基板を適用することが可能である。また、電気部品には、半導体チップ5の他に、例えば電流経路板よりも小さい小型のリードフレームや配線基板、あるいは、小型のリードフレームや配線基板に半導体チップ5等の電子部品を搭載した電子部品ユニットを適用することが可能である。
【0044】
なお、電流経路板がリードフレームや配線基板からなる場合には、ボンディングワイヤや導電性の板材等の導電性部材によって電気部品をリードフレームのリードや配線基板の配線パターンに電気接続することもできるため、電気部品モジュールは、例えば上記実施形態のような端子板3,4を備えていなくても構わない。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体装置(電気部品モジュール)
2 ヒートシンク(電流経路板)
2a 上面(搭載面)
5 半導体チップ(電気部品)
6 封止樹脂
7 端子台
7a 先端面
7b 対向面
7c 外周面
7d 角部
7e 角部
71 係合穴
71a 底面
71b 内側面
72 膨出部
73 湾曲面
74 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流経路板と、当該電流経路板の搭載面上に配されて前記電流経路板に電気接続される電気部品と、前記搭載面及び前記電気部品を封止する封止樹脂とを備える電気部品モジュールであって、
前記電流経路板には、その搭載面から突出する導電性の端子台が設けられ、
前記電気部品が前記端子台の突出方向の先端面に搭載されることで、前記電気部品と前記電流経路板とが前記端子台を介して電気接続されることを特徴とする電気部品モジュール。
【請求項2】
前記端子台には、その外周面から窪む有底の係合穴が形成され、
当該係合穴の内側面が、前記係合穴の底面に対向するように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の電気部品モジュール。
【請求項3】
前記係合穴は、前記端子台の外周面の周方向に延びる溝状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気部品モジュール。
【請求項4】
前記搭載面から上方に延びる前記端子台の外周面が、前記端子台の突出方向の先端面側において当該端子台の径方向外側に膨出するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気部品モジュール。
【請求項5】
前記搭載面と当該搭載面から上方に延びる前記端子台の外周面との角部が、前記搭載面と前記外周面とを滑らかに接続する湾曲面となっていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気部品モジュール。
【請求項6】
前記端子台が、平面視円形あるいは楕円形に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気部品モジュール。
【請求項7】
前記端子台の外周面と先端面との角部が、丸みを帯びていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項8】
前記電流経路板と前記端子台とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気部品モジュール。
【請求項9】
前記電流経路板の搭載面及び当該搭載面に対向する前記端子台の対向面に、互いに係合する凹凸面が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気部品モジュール。
【請求項10】
前記電流経路板の搭載面及び前記端子台の対向面の一方の面に形成される前記凹凸面が、前記一方の面から窪む凹部によって画成され、
前記電流経路板の搭載面及び前記端子台の対向面の他方の面に形成される前記凹凸面が、前記他方の面から突出して前記凹部に挿入可能な凸部によって画成されていることを特徴とする請求項9に記載の電気部品モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−222111(P2012−222111A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85576(P2011−85576)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)