説明

電気部品用ソケット

【課題】コンタクトピンの先端側(基板に接触する先端側)の変形を防止でき、コンタク
トピンの変形に起因するコンタクトピンと外部電気的テスト回路との通電不良を防止でき
る電気部品用ソケットの提供を目的とする。
【解決手段】第2支持板14の第2の穴25を第1支持板13の第1の穴24に対してず
らした状態でコンタクトピン3の他端側の先端が基板18上に押し付けられると、コンタ
クトピン3の他端側被支持部3aの上端が第2支持板14の下面に当接し、コンタクトピ
ン3の他端側被支持部3aの上端が第2支持板14を第2支持板押圧ばね30のばね力に
抗して第1支持板13から離間させると共に、コンタクトピン3の他端側被支持部3aの
うちで第1支持板13の下面から基板18側に突出していた部分が第1の穴24内に移動
する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICパッケージ(電気部品)のバーンインテスト等に使用される電気部品
用ソケットに関するものであり、特に、LGA,BGAタイプのICパッケージ用の電気
部品用ソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気部品用ソケットは、ICパッケージの初期不良を取り除く工程(バーン
インテスト等)において使用される治具として知られている。
【0003】
このような電気部品用ソケットのうち、LGAやBGAタイプのICパッケージのバー
ンインテスト等に使用される電気部品用ソケットは、ICパッケージがソケット本体上の
所定位置に収容されると、そのICパッケージの裏面に形成された複数の電極と外部電気
的テスト回路とを複数のコンタクトピンで電気的に接続することができるようになってい
る。
【0004】
そして、このような電気部品用ソケットは、コンタクトピンをICパッケージの電極と
一対一で対応するように配置するため、ICパッケージの電極のピッチや配列状態に対応
するコンタクトピン収容穴がソケット本体に形成され、そのコンタクトピン収容穴にコン
タクトピンが収容されるようになっている。
【0005】
図13は、このような電気部品用ソケット100におけるコンタクトピン101の支持
部構造を示す図である。
【0006】
この図13に示すように、コンタクトピン101の支持部(ソケット本体の一部)10
2は、3枚の支持板(第1〜第3の支持板)103〜105を重ねて構成されており、コ
ンタクトピン101を挿入することができる穴106〜108が3枚の各支持板103〜
105をZ軸方向(上下方向)に沿って貫通するように形成されている。そして、3枚の
支持板103〜105のうちの中間に位置する支持板(第2の支持板)104が他の2枚
の支持板(第1の支持板103、第3の支持板105)に対してスライド移動できるよう
になっており、第2の支持板104の穴107を第1の支持板103の穴106及び第3
の支持板105の穴108に対してずらすことができるようになっている(図13(a)
〜(c)参照)。
【0007】
このような構造のコンタクトピン101の支持部102は、3枚の支持板103〜10
5の穴106〜108を一致させた状態でコンタクトピン101の下端側を受け入れ、コ
ンタクトピン101の下端側に形成された係合凹部110が第2の支持板104と合致す
る位置まで穴106〜108内を移動すると(図13(d)〜(e)参照)、第2の支持
板104が第1の支持板103及び第3の支持板105に対してスライド移動させられて
、第2の支持板104がコンタクトピン101の係合凹部110に入り込み(図13(a
)〜(c)参照)、第1の支持板103の穴106の内面及び第3の支持板105の穴1
08の内面と第2の支持板104の穴107の内面とでコンタクトピン101の下端側を
挟持するようになっている。その結果、コンタクトピン101は、第1乃至第3の支持板
103〜105の穴106〜108の軸線方向(Z軸方向)への移動が規制され、第1乃
至第3の支持板103〜105の穴106〜108内の回動(X−Y平面内の回動)が規
制され、その姿勢が第1乃至第3の支持板103〜105で保持されるようになっている
(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−342466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図13に示した、従来の電気部品用ソケット100は、ソケット本体を構成する第1の
支持板103の下面からコンタクトピン101の先端(下端)が突出しており、そのコン
タクトピン101の先端が外部電気的テスト回路を有する基板(図示せず)の係合穴内に
係合されるようになっている。
【0010】
ところが、このような従来の電気部品用ソケット100は、コンタクトピン101の先
端を基板上の通電端子に押し付けて、コンタクトピン101と外部電気的テスト回路とを
通電する態様に転用しようとすると、ソケット本体(第1〜第3の支持板103〜105
)を基板にねじ止めする際の締結力でコンタクトピン101の先端が変形し、コンタクト
ピン101と基板上の端子との接触不良が生じ、コンタクトピン101と外部電気的テス
ト回路との通電不良が生じる虞があった。
【0011】
そこで、本発明は、コンタクトピンの先端側(基板に接触する先端側)の変形を防止で
き、コンタクトピンの変形に起因するコンタクトピンと外部電気的テスト回路との通電不
良を防止できる電気部品用ソケットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、図1乃至図11に示すように、ICパッケージ2の端子と基板18
の外部電気的テスト回路とを電気的に接続するコンタクトピン3が複数収容されてなるモ
ジュール4と、前記モジュール4を内部に収容する枠体5と、前記枠体5に取り付けられ
、前記ICパッケージ2の前記端子を前記コンタクトピン3の一端側の先端に押し付ける
加圧機構部6と、を備えた電気部品用ソケット1に関するものである。この発明において
、前記モジュール4は、(1)前記基板18上に固定される平面形状が略矩形の枠状体で
あるユニットフレーム12と、(2)前記ユニットフレーム12の下面側開口部を塞ぐよ
うに前記ユニットフレーム12に固定され、前記コンタクトピン3の他端側被支持部3a
を上下動可能に収容する第1の穴24が形成された第1支持板13と、(3)前記第1支
持板13に対して接離可能で且つスライド可能となるように前記第1支持板13上に配置
され、前記コンタクトピン3を収容する第2の穴25が形成された第2支持板14と、(
4)前記第2支持板14を前記第1支持板13側へ付勢する第2支持板押圧ばね30と、
(5)前記第2支持板14の上方に離して配置され、且つ、前記コンタクトピン3の前記
一端側を収容する穴38が形成されたフローティングプレート33と、(6)前記フロー
ティングプレート33を前記ユニットフレーム12に対して上下動可能に弾性的に支持す
るフローティングばね36と、を有している。また、この発明は、前記第2支持板14の
前記第2の穴25を前記第1支持板13の前記第1の穴24に対してずらすことにより、
前記第2の穴25と前記第1の穴24の内面で前記コンタクトピン3を挟むようにして前
記コンタクトピン3の回り止めをするようになっている。また、この発明は、前記第2支
持板14の前記第2の穴25を前記第1支持板13の前記第1の穴24に対してずらした
状態で前記コンタクトピン3の前記他端側の先端が前記基板18上に押し付けられると、
前記コンタクトピン3の前記他端側被支持部3aの上端が前記第2支持板14の下面に当
接し、前記コンタクトピン3の前記他端側被支持部3aの上端が前記第2支持板14を前
記第2支持板押圧ばね30のばね力に抗して前記第1支持板13から離間させると共に、
前記コンタクトピン3の前記他端側被支持部3aのうちで前記第1支持板13の下面から
前記基板18側に突出していた部分が前記第1の穴24内に移動するようになっている。
【0013】
請求項2の発明は、図1乃至図12に示すように、ICパッケージ2の端子と基板18
の外部電気的テスト回路とを電気的に接続するコンタクトピン3が複数収容されてなるモ
ジュール4と、前記モジュール4を内部に収容する枠体5と、前記枠体5に取り付けられ
、前記ICパッケージ2の前記端子を前記コンタクトピン3の一端側の先端に押し付ける
加圧機構部6と、を備えた電気部品用ソケット1に関するものである。この発明において
、前記モジュール4は、(1)前記基板18上に固定される平面形状が略矩形の枠状体で
あるユニットフレーム12と、(2)前記ユニットフレーム12の下面側開口部を塞ぐよ
うに前記ユニットフレーム12に固定され、前記コンタクトピン3の他端側被支持部3a
を上下動可能に収容する第1の穴24が形成された第1支持板13と、(3)前記第1支
持板13に対して接離可能で且つスライド可能となるように前記第1支持板13上に配置
され、前記コンタクトピン3を収容する第2の穴25が形成された第2支持板14と、(
4)前記第2支持板14の上方に離して配置され、且つ、前記コンタクトピン3の前記一
端側を収容する穴38が形成されたフローティングプレート33と、(5)前記第2支持
板14を前記第1支持板13側へ付勢すると共に前記フローティングプレート33を前記
ユニットフレーム12に対して上下動可能に弾性的に支持する圧縮ばね41と、を有して
いる。また、この発明は、前記第2支持板14の前記第2の穴25を前記第1支持板13
の前記第1の穴24に対してずらすことにより、前記第2の穴25と前記第1の穴24の
内面で前記コンタクトピン3を挟むようにして前記コンタクトピン3の回り止めをするよ
うになっている。また、この発明は、前記第2支持板14の前記第2の穴25を前記第1
支持板13の前記第1の穴24に対してずらした状態で前記コンタクトピン3の前記他端
側の先端が前記基板18上に押し付けられると、前記コンタクトピン3の前記他端側被支
持部3aの上端が前記第2支持板14の下面に当接し、前記コンタクトピン3の前記他端
側被支持部3aの上端が前記第2支持板14を前記圧縮ばね41のばね力に抗して前記第
1支持板13から離間させると共に、前記コンタクトピン3の前記他端側被支持部3aの
うちで前記第1支持板13の下面から前記基板18側に突出していた部分が前記第1の穴
24内に移動するようになっている。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明のコンタクトピン3に特徴を有するものであ
る。すなわち、前記コンタクトピン3は、前記一端側と前記他端側被支持部3aとの中間
部分に、前記一端側から前記他端側に向かう直線の側方へ湾曲して出っ張る湾曲変形部3
dが形成されている。そして、前記湾曲変形部3dは、前記第2支持板14と前記フロー
ティングプレート33との間の空間に配置され、且つ、前記ユニットフレーム12によっ
てスライド可能に支持された仕切板15の第3の穴32に係合され、隣り合う他のコンタ
クトピン3の湾曲変形部3dから隔てられるようになっている。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記コンタクトピン3
の前記一端側の端子支持部3eと前記他端側被支持部3aが、平板を丸めることにより円
筒状に形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンタクトピンの先端が基板上に押し付けられると、コンタクトピン
が第2支持板を第2支持板押圧ばね(又は圧縮ばね)のばね力に抗して第1支持板から離
間させると共に、コンタクトピンのうちで第1支持板の下面から基板側に突出していた部
分が第1の穴内に移動するため、コンタクトピンのうちの基板との接触部側(他端側)の
変形が防止されると共に、コンタクトピンが第2支持板押圧ばね(又は圧縮ばね)のばね
力で基板に確実に押圧され、コンタクトピンと外部電気的テスト回路の通電不良を生じる
ことがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電気部品用ソケットの正面側断面図であり、ICパッケージを装着する前の状態を示す図である。
【図2】本発明に係る電気部品用ソケットの正面側断面図であり、ICパッケージを装着した後の状態を示す図である。
【図3】本発明に係る電気部品用ソケットを構成するモジュールの外観斜視図である。
【図4】本発明に係る電気部品用ソケットを構成するモジュールの分解斜視図である。
【図5】本発明に係る電気部品用ソケットを構成するモジュールの一部部品が取り除かれた状態の平面図である。
【図6】モジュール内におけるコンタクトピンの支持構造を示す断面図であり、モジュールが基板に取り付けられる前の状態を示す図である。
【図7】モジュール内におけるコンタクトピンの支持構造を示す断面図であり、モジュールが基板に取り付けられた後の状態を示す図である。
【図8】モジュールの組立工程の第1ステップを説明するための図である。図8(a)がコンタクトピンの下端側の支持構造を示す断面図であり、図8(b)が図8(a)のA1−A1線に沿って切断して示す拡大平面図である。
【図9】モジュールの組立工程の第2ステップを説明するための図である。図9(a)がコンタクトピンの下端側の支持構造を示す断面図であり、図9(b)が図9(a)のA2−A2線に沿って切断して示す拡大平面図である。
【図10】図10(a)がコンタクトピンの側面図であり、図10(b)がコンタクトピンの正面図であり、図10(c)がコンタクトピンの機能の一部を説明するための図である。
【図11】図11(a)はコンタクトピンと仕切板との関係を説明するための図であり、図11(b)は仕切板がない場合の不具合発生状態を説明するための図である。
【図12】本発明の変形例1に係るコンタクトピンの支持構造を示す断面図である。
【図13】図13(a)は、従来例に係るコンタクトピンの支持構造を示す断面図である。図13(b)は、図13(a)の一部を拡大して示す図である。図13(c)は、図13(b)の平面図である。図13(d)は、コンタクトピンがロックされる前の状態の支持構造を示す図である。図13(e)は、図13(d)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0019】
(電気部品用ソケットの概略構成)
図1乃至図2は、本実施形態に係る電気部品用ソケット1を示すものであり、LGA,
BGAタイプのICパッケージ2のバーンインテスト等に使用される電気部品用ソケット
1を示すものである。なお、図1は、ICパッケージ2を装着する前の状態を示す電気部
品用ソケット1の正面側断面図である。また、図2は、ICパッケージ2を装着した後の
状態を示す電気部品用ソケット1の正面側断面図である。
【0020】
これらの図に示すように、電気部品用ソケット1は、ICパッケージ2の端子と基板の
外部電気的テスト回路(図示せず)とを電気的に接続するコンタクトピン3が複数収容さ
れてなるモジュール4と、このモジュール4が内部に収容された枠体5と、この枠体5に
取り付けられた加圧機構部6と、からなっている。なお、モジュール4と枠体5とでソケ
ット本体7を構成している。
【0021】
(加圧機構部)
加圧機構部6は、操作フレーム8が枠体5の着座プレート10に図示しない自動機のア
ームで押し付けられると、一対の加圧プレート11,11が閉じ方向に作用する図外の押
圧ばねの付勢力に抗して開き、ICパッケージ2をモジュール4上に収容することが可能
になる(図1参照)。モジュール4上にICパッケージ2が収容され、自動機のアームが
退避し、操作フレーム8が元の位置に復帰すると、一対の加圧プレート11,11が押圧
ばねの付勢力で閉じ、その押圧ばねの付勢力で閉じ方向に付勢された一対の加圧プレート
11,11がICパッケージ2をモジュール4の上面に押し付けるようになっている(図
2参照)。
【0022】
(モジュール)
モジュール4は、図1乃至図7に示すように、ユニットフレーム12,第1支持板13
,第2支持板14,仕切板15,フローティングプレートユニット16,コンタクトピン
3等からなっている。なお、図4は、コンタクトピン3を省略して示すモジュール4の分
解斜視図である。
【0023】
ユニットフレーム12は、平面形状が略矩形の枠状体であり、その下面に第1支持板1
3の4コーナー部がねじ17で固定され、その下面側開口部が第1支持板13で塞がれる
ようになっている。また、ユニットフレーム12の対向する2辺には、ユニットフレーム
12の下方に突出して基板18の位置決め穴に係合する位置決めピン20を収容するピン
穴21が形成されている(図4,図7参照)。そして、このユニットフレーム12に収容
された位置決めピン20には、後述するフローティングプレートユニット16のフローテ
ィングフレーム22の位置決め穴23がスライド可能に嵌合されるようになっている。
【0024】
第1支持板13は、コンタクトピン3の下端側被支持部(他端側被支持部)3aをスラ
イド移動できるように収容する第1の穴(丸穴)24が少なくともコンタクトピン3と同
数だけ表裏に貫通するように形成されている。なお、図4に示した第1支持板13は、第
1の穴24を省略してある。
【0025】
ユニットフレーム12の内部空間で且つ第1支持板13の上面側には、第2支持板14
がユニットフレーム12及び第1支持板13に対してスライド移動できるように配置され
ている。この第2支持板14は、その外縁がユニットフレーム12の内面との間に隙間が
生じる程度の大きさに形成されている。また、第2支持板14は、第1の穴24と同じ大
きさの第2の穴(丸穴)25が表裏に貫通するように形成されている。そして、この第2
支持板14は、第2の穴25を第1支持板13の第1の穴24に合致させた状態でコンタ
クトピン3が挿入され(図8(a),(b)参照)、コンタクトピン3の下端側被支持部
3aが第1の穴24に収容されるとスライド移動させられ、第2の穴25が第1の穴24
に対してずらされる(図9(a),(b)参照)。この際、コンタクトピン3の下端側被
支持部3aの上方に隣接して位置する回り止め部3bが、第2支持板14の第2の穴25
の内面と第1支持板13の第1の穴24の内面とで挟まれる。これにより、コンタクトピ
ン3が第1の穴24及び第2の穴15内で回動するのを抑えることが可能になる。また、
第2支持板14は、図9(a)〜(b)に示すように、第1支持板13に対してずらすこ
とにより、位置決め穴(図示せず)を第1支持板13のねじ係合穴26に合致させ、第1
支持板13にねじ27で固定されるばね受けピン28の軸部が位置決め穴に僅かな隙間を
もって係合されるようになっている。
【0026】
また、第2支持板14は、その上面とばね受けピン28の頭部との間に装着された第2
支持板押圧ばね30のばね力で第1支持板13の上面に押し付けられるようになっている
。そして、この第2支持板14は、コンタクトピン3の下端側被支持部3aが第1支持板
13の第1の穴24内を上方へ向かって持ち上げられると、第1支持板13に対向する下
面にコンタクトピン3の下端側被支持部3aの押上突起3cが突き当たり、第2支持板押
圧ばね30を押し縮め、第1支持板13の上面から上方へコンタクトピン3の下端側被支
持部3aによって離間させられるようになっている。この際、第2支持板14の上下動が
ばね受けピン28によってガイドされるようになっている。なお、ばね受けピン28は、
第2支持板14のコンタクトピン装着領域を取り囲む外縁領域の6箇所に配置されるよう
になっている。なお、図4に示した第2支持板14は、第2の穴25を省略してある。
【0027】
ユニットフレーム12の上面には、平面形状が略矩形形状の仕切板15の下面をスライ
ド可能に支持する複数の支持突起31が突出形成されている。仕切板15は、対向する2
辺に張り出すように形成された矩形形状の舌片15aの下面がユニットフレーム12の支
持突起31で支持され、コンタクトピン3の変形に合わせてスライド移動できるようにな
っている。
【0028】
仕切板15は、第3の穴(丸穴)32が第2支持板14の第2の穴25と同数だけ表裏
に貫通するように形成されており、その第3の穴32にコンタクトピン3の湾曲変形部3
dが隙間をもって係合されるようになっている(図11(a)参照)。この仕切板15の
第3の穴32は、コンタクトピン3の一端側と他端側との中間部分に形成された湾曲変形
部3dのうちの頂部(湾曲変形部3dのうちの最も出っ張った部分)よりも僅かに下側(
第2支持板14寄り)の位置に係合し、隣り合うコンタクトピン3,3同士を隔てて、隣
り合うコンタクトピン3,3同士が接触するのを確実に防止している。なお、図9(b)
に示すように第1の穴24と第2の穴25とをずらし、コンタクトピン3の回り止め部3
bを第1の穴24の内面と第2の穴25の内面とで挟むようにして、コンタクトピン3が
第1の穴24及び第2の穴25内で回動するのを抑えている。しかし、コンタクトピン3
が第1の穴24及び第2の穴25内でスライド移動(上下動)できるようにするため、第
1の穴24及び第2の穴25の内面とコンタクトピン3との間に微小な隙間を設けてある
。その結果、コンタクトピン3が第1の穴24及び第2の穴25内において僅かながら(
±θだけ)回動する(図11(b)参照)。したがって、図11(b)に示すように、隣
り合うコンタクトピン3,3のピッチPが小さい場合であって、仕切板15を使用しない
場合には、隣り合うコンタクトピン3,3同士が接触して、各種電気的テストが実行でき
なくなる虞がある。このような不具合の発生を未然に防止するため、本実施の形態におい
ては、仕切板15の第3の穴32にコンタクトピン3の湾曲変形部3dを係合し、隣り合
うコンタクトピン3,3同士の接触を確実に防止している。なお、図4に示した仕切板1
5は、第3の穴32を省略してある。
【0029】
また、仕切板15は、コンタクトピン3の回り止め部3bを第1の穴24の内面と第2
の穴25の内面とで挟むようにして、第1の穴24及び第2の穴25内におけるコンタク
トピン3の回動量が抑えられているため(図9(b)参照)、コンタクトピン3の湾曲変
形部3dが撓み変形しても、コンタクトピン3の湾曲変形部3dと第3の穴32の内面と
の擦れ合いの程度が軽減され、コンタクトピン3の作動を阻害するようなことがなく、ま
た、長期間にわたってコンタクトピン3,3同士の接触を防止できる。
【0030】
フローティングプレートユニット16は、ユニットフレーム12上に取り付けられるフ
ローティングフレーム22と、このフローティングフレーム22上に固定されてフローテ
ィングフレーム22の上方側開口部を塞ぐフローティングプレート33とからなっている

【0031】
フローティングフレーム22は、平面形状が略矩形形状の枠状体であり、ユニットフレ
ーム12の4コーナー部の上面側にねじ17で締め付け固定されているガイドピン34の
軸部に4コーナー部のガイド穴35がスライド移動できるように係合され、ガイドピン3
4の大径部と軸部との段差面34aに支持されてガイドピン34の軸部に隙間をもって嵌
合されたフローティングばね36で弾性的に支持されるようになっている。そして、この
フローティングフレーム22は、その上面にフローティングプレート33を重ねた状態で
、ストッパねじ37がガイドピン34の上端部のめねじに締め付け固定されることにより
、ストッパねじ37の頭部にフローティングプレート33と共にフローティングばね36
で押し付けられ、ストッパねじ37の頭部で高さ方向に位置決めされるようになっている

【0032】
フローティングプレート33は、コンタクトピン3の一端側の端子支持部3eをスラ
イド可能に収容するコンタクトピン位置決め穴(穴)38が第1〜3の穴24,25,3
2と同数形成されている。このコンタクトピン位置決め穴38は、コンタクトピン3の一
端側の端子支持部3eが収容される円筒状の丸穴部38aと、この丸穴部38aの下端か
らテーパ状に広がるコンタクトピン逃がし穴部38bとからなっている(図6,図7参照
)。なお、フローティングプレート33のコンタクトピン逃がし穴部38bは、コンタク
トピン3が姿勢変化しても、コンタクトピン3の端子支持部3e以外の部分がフローティ
ングプレート33と接触しないようになっている。
【0033】
フローティングプレート33の上面側の4コーナー部には、各コーナー部を挟み込むよ
うに一対のパッケージガイド40,40が取り付けられるようになっている。このフロー
ティングプレート33の4コーナー部に取り付けられるパッケージガイド40は、ICパ
ッケージ2の下面側の端子がフローティングプレート33に収容されたコンタクトピン3
の一端側(端子支持部3e)の先端に合致するように、ICパッケージ2をフローティン
グプレート33上の所定位置に案内するようになっている。なお、図4に示したフローテ
ィングプレート33は、コンタクトピン位置決め穴38を省略してある。
【0034】
コンタクトピン3は、図10に詳細を示すように、導電性及び弾性に優れた金属板を打
ち抜き、一体に形成されており、一端側(上端側)を略円筒状に丸めて端子支持部3eが
形成され、他端側(下端側)を略円筒状に丸めて下端側被支持部3aが形成され、ICパ
ッケージ2と接触する端子支持部3eの強度を高めると共に、基板18と接触する下端側
被支持部3aの強度を高めてある。また、コンタクトピン3は、下端側被支持部3aの上
面側に押上突起3cが突出形成されている。また、コンタクトピン3は、端子支持部3e
から延びる直線部と下端側被支持部3aから延びる直線部との間を側方へ出っ張るように
(端子支持部3eから下端側被支持部3aに向かう直線から側方へ出っ張るように)湾曲
させて湾曲変形部3dが形成され、端子支持部3eと下端側被支持部3aを近づける方向
の力が作用すると、湾曲変形部3dが撓み変形するようになっている。また、コンタクト
ピン3の下端側被支持部3aと湾曲変形部3dとの間の直線部には、第2支持板14の第
2の穴25を通過できない張り出し部3fが形成されている。そして、このコンタクトピ
ン3の張り出し部3fは、第2支持板14に対するコンタクトピン3の降下位置を規制す
るようになっている。また、コンタクトピン3は、張り出し部3fと回り止め部3bとの
間に形成された穴合わせ突起3gを第2支持板14の第2の穴25に係合することにより
、第2の穴25を第1の穴24に合致させることができる(図8(b)参照)。
【0035】
このようなコンタクトピン3は、図5に示すように、湾曲変形部3dの張出方向がユニ
ットフレーム12の一辺に対して45度の方向(対角線方向)に揃うように第1支持板1
3,第2支持板14,及び仕切板15に収容されている。また、第2支持板14を第1支
持板13に対してスライド移動させる方向は、ユニットフレーム12の一辺に対して45
度の方向(対角線方向)である。
【0036】
このようなコンタクトピン3は、一端側(端子支持部3e)の先端がICパッケージ2
の端子に接触し、他端側(下端側被支持部3a)の先端が基板18の外部電気的テスト回
路の端子に押圧され、ICパッケージ2と外部電気的テスト回路とを電気的に接続できる
ようになっている。
【0037】
(電気部品用ソケットの使用状態)
図1に示したように、基板18上に位置決めされた状態で固定された電気部品用ソケッ
ト1は、加圧機構部6の一対の加圧プレート11,11が開いた状態において、ICパッ
ケージ2がフローティングプレート33上の所定位置に収容される。その後、図2に示し
たように、電気部品用ソケット1は、加圧機構部6の一対の加圧プレート11,11が閉
じられると、その一対の加圧プレート11,11がICパッケージ2をフローティングプ
レート33へ向けて付勢し、フローティングプレートユニット16がフローティングばね
36を押し縮めて下降し、コンタクトピン3の一端側(端子支持部3e)の先端がICパ
ッケージ2の端子と接触する。コンタクトピン3がICパッケージ2を介して加圧プレー
ト11,11で押圧されると、湾曲変形部3dが撓み変形する。この際、コンタクトピン
3は、第2支持板押圧ばね30及び湾曲変形部3dの弾性力によって下端側被支持部3a
の下端が基板18の外部電気的テスト回路の端子に確実に押圧される。
【0038】
また、コンタクトピン3の下端側被支持部3aは、電気部品用ソケット1のユニットフ
レーム12が第1支持板13を介して基板18に固定される際に、第2支持板押圧ばね3
0を押し縮めて第2支持板14を第1支持板13から離間させる(持ち上げる)方向へ押
し上げ、第1支持板13の第1の穴24内に押し込まれるため、外部電気的テスト回路の
端子との接触不良を生じるような変形が生じない。
【0039】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態の電気部品用ソケット1によれば、第1支持板13の下面から
基板18側へ出っ張るコンタクトピン3の他端側の先端(他端側被支持部3aの先端)が
基板18上に押し付けられると、コンタクトピン3の他端側被支持部3aの上端(押上突
起3cの先端)が第2支持板14を第2支持板押圧ばね30のばね力に抗して第1支持板
13から離間させると共に、コンタクトピン3のうちで第1支持板13の下面から基板1
8側に突出していた部分が第1の穴24内に移動するため、コンタクトピン3のうちの基
板18との接触部側(他端側)の変形が防止されると共に、コンタクトピン3が第2支持
板押圧ばね30のばね力で基板18に確実に押圧される。その結果、本実施形態の電気部
品用ソケット1によれば、コンタクトピン3と外部電気的テスト回路の通電不良を生じる
ことがない。
【0040】
また、本実施形態の電気部品用ソケット1によれば、隣り合うコンタクトピン3,3同
士の接触を仕切板15で確実に防止できるため、ICパッケージ2の電気的テストを確実
に行うことができる。
【0041】
(モジュールの変形例1)
図12は、モジュール4の変形例1を示す図である。この変形例1に係るモジュール4
は、圧縮ばね41を仕切板15と干渉しないように、且つ、圧縮ばね41をフローティン
グプレート33と第2支持板14とに張り渡し、圧縮ばね41のばね力がフローティング
プレートユニットと第2支持板とを離間させる方向に作用するようになっている。すなわ
ち、本変形例1は、上記実施形態におけるフローティングばね36と第2支持板押圧ばね
30に代えて圧縮ばね41を使用している。このような本変形例1は、上記実施形態と同
様の効果を得ることができる。
【0042】
(モジュールの変形例2)
モジュール4は、各コンタクトピン3のピッチPが広い場合であって、隣り合うコンタ
クトピン3,3同士の接触の虞がない場合に限り、仕切板15を省略してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1……電気部品用ソケット、2……ICパッケージ、3……コンタクトピン、3a……
他端側被支持部(下端側被支持部)、3d……湾曲変形部、3e……端子支持部、4……
モジュール、5……枠体、6……加圧機構部、12……ユニットフレーム、13……第1
支持板、14……第2支持板、15……仕切板、18……基板、24……第1の穴、25
……第2の穴、30……第2支持板押圧ばね、32……第3の穴、33……フローティン
グプレート、36……フローティングばね、38……穴(コンタクトピン位置決め穴)、
41……圧縮ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICパッケージの端子と基板の外部電気的テスト回路とを電気的に接続するコンタクト
ピンが複数収容されてなるモジュールと、
前記モジュールを内部に収容する枠体と、
前記枠体に取り付けられ、前記ICパッケージの前記端子を前記コンタクトピンの一端
側の先端に押し付ける加圧機構部と、
を備えた電気部品用ソケットにおいて、
前記モジュールは、
前記基板上に固定される平面形状が略矩形の枠状体であるユニットフレームと、
前記ユニットフレームの下面側開口部を塞ぐように前記ユニットフレームに固定され、
前記コンタクトピンの他端側被支持部を上下動可能に収容する第1の穴が形成された第1
支持板と、
前記第1支持板に対して接離可能で且つスライド可能となるように前記第1支持板上に
配置され、前記コンタクトピンを収容する第2の穴が形成された第2支持板と、
前記第2支持板を前記第1支持板側へ付勢する第2支持板押圧ばねと、
前記第2支持板の上方に離して配置され、且つ、前記コンタクトピンの前記一端側を収
容する穴が形成されたフローティングプレートと、
前記フローティングプレートを前記ユニットフレームに対して上下動可能に弾性的に支
持するフローティングばねと、を有し、
前記第2支持板の前記第2の穴を前記第1支持板の前記第1の穴に対してずらすことに
より、前記第2の穴と前記第1の穴の内面で前記コンタクトピンを挟むようにして前記コ
ンタクトピンの回り止めをするようになっており、
前記第2支持板の前記第2の穴を前記第1支持板の前記第1の穴に対してずらした状態
で前記コンタクトピンの前記他端側の先端が前記基板上に押し付けられると、前記コンタ
クトピンの前記他端側被支持部の上端が前記第2支持板の下面に当接し、前記コンタクト
ピンの前記他端側被支持部の上端が前記第2支持板を前記第2支持板押圧ばねのばね力に
抗して前記第1支持板から離間させると共に、前記コンタクトピンの前記他端側被支持部
のうちで前記第1支持板の下面から前記基板側に突出していた部分が前記第1の穴内に移
動する、
ことを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項2】
ICパッケージの端子と基板の外部電気的テスト回路とを電気的に接続するコンタクト
ピンが複数収容されてなるモジュールと、
前記モジュールを内部に収容する枠体と、
前記枠体に取り付けられ、前記ICパッケージの前記端子を前記コンタクトピンの一端
側の先端に押し付ける加圧機構部と、
を備えた電気部品用ソケットにおいて、
前記モジュールは、
前記基板上に固定される平面形状が略矩形の枠状体であるユニットフレームと、
前記ユニットフレームの下面側開口部を塞ぐように前記ユニットフレームに固定され、
前記コンタクトピンの他端側被支持部を上下動可能に収容する第1の穴が形成された第1
支持板と、
前記第1支持板に対して接離可能で且つスライド可能となるように前記第1支持板上に
配置され、前記コンタクトピンを収容する第2の穴が形成された第2支持板と、
前記第2支持板の上方に離して配置され、且つ、前記コンタクトピンの前記一端側を収
容する穴が形成されたフローティングプレートと、
前記第2支持板を前記第1支持板側へ付勢すると共に前記フローティングプレートを前
記ユニットフレームに対して上下動可能に弾性的に支持する圧縮ばねと、を有し、
前記第2支持板の前記第2の穴を前記第1支持板の前記第1の穴に対してずらすことに
より、前記第2の穴と前記第1の穴の内面で前記コンタクトピンを挟むようにして前記コ
ンタクトピンの回り止めをするようになっており、
前記第2支持板の前記第2の穴を前記第1支持板の前記第1の穴に対してずらした状態
で前記コンタクトピンの前記他端側の先端が前記基板上に押し付けられると、前記コンタ
クトピンの前記他端側被支持部の上端が前記第2支持板の下面に当接し、前記コンタクト
ピンの前記他端側被支持部の上端が前記第2支持板を前記圧縮ばねのばね力に抗して前記
第1支持板から離間させると共に、前記コンタクトピンの前記他端側被支持部のうちで前
記第1支持板の下面から前記基板側に突出していた部分が前記第1の穴内に移動する、
ことを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項3】
前記コンタクトピンは、前記一端側と前記他端側被支持部との中間部分に、前記一端側
から前記他端側に向かう直線の側方へ湾曲して出っ張る湾曲変形部が形成され、
前記湾曲変形部は、前記第2支持板と前記フローティングプレートとの間の空間に配置
され、且つ、前記ユニットフレームによってスライド可能に支持された仕切板の第3の穴
に係合され、隣り合う他のコンタクトピンの湾曲変形部から隔てられる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気部品用ソケット。
【請求項4】
前記コンタクトピンの前記一端側の端子支持部と前記他端側被支持部は、平板を丸める
ことにより円筒状に形成された、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気部品用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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