説明

電気長整合の方法およびシステム

本発明の一つの実施形態によると、導線をチューニングして特定の電気長をもたせる電算化された方法が提供される。その方法は、参照導線とチューニングすべき導線を扱う。その方法はまた、参照導線および目的地点への導線を通じてそれぞれ参照信号および試験信号を送信することをも含む。その方法はまた、前記目的地点でのそれぞれの信号の到着の時間差を測定することを含む。その方法はまた、前記時間差に基づいて、導線の全長のどこで参照導線の電気長とほぼ同じ電気長になるかの指示を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般には電気装置に、より詳細には電気長の整合をとる方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの洗練された電子装置では、異なる導線によって運ばれる信号が特定の目的地点に実質同時に到着することが求められることがある。そのような導線は一般に同じ「電気長」であるという。電気長が同じ導線を提供するためには、導線を同じ物理的長さになるように切ればよい。しかし、この方法が認められるのは、各導線が比較的一定の物理的な長さで、近似的に同じ信号伝搬速度をもつ場合のことである。導線がそのような条件を満たしていない場合には、設計者は各導線の物理的な長さを調整、あるいは「チューニング」して電気長が同じになるようにすることがある。そのような工程は「電気長整合」と呼ぶことができる。
【0003】
従来の電気長整合の工程はかなりの時間と膨大な手作業を必要とすることがあった。たとえば、一組の導線のチューニングを行う技術者は一つ一つの導線を別個にチューニングしなければならないこともあったのである。各導線について、その技術者は該導線の一端から信号を送り、該導線の他端でその信号の所要時間を測定する。測定された所要時間が所定の電気長についての既知の信号所要時間よりも長ければ、導線の長い分が除去される。それから技術者はこの処理を、その導線について信号所要時間の測定値が所定の信号長についての既知の信号所要時間と等しくなるまで繰り返す。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの実施形態によると、導線をチューニングして特定の電気長をもたせる電算化された方法が提供される。その方法は、参照導線とチューニングすべき導線を扱う。その方法はまた、参照導線および目的地点への導線を通じてそれぞれ参照信号および試験信号を送信することをも含む。その方法はまた、前記目的地点でのそれぞれの信号の到着の時間差を測定することを含む。その方法はまた、前記時間差に基づいて、導線の全長のどこで参照導線の電気長とほぼ同じ電気長になるかの指示を提供する。
【0005】
本発明のいくつかの実施形態は数多くの技術的な利点を与えてくれる。そうした利点の一部を実現する実施形態もあれば、一つも実現しない実施形態も、全部を実現する実施形態もある。たとえば、ある実施形態によると、ほぼ同じ電気長をもつ導線の組を提供するための時間と費用が低減されうる。別の実施形態によれば、ほぼ同じ電気長をもつ導線の組を提供するのにより低品質の導線を使うこともできる。
【0006】
当業者には他の利点もすぐ認識できるものと思われる。
【0007】
以下の説明は付属の図面との関連でなされるものだが、図面において、同様の参照符号は同様の要素を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態は図面の図1Aから図4を参照することで最もよく理解できる。ここで、同様の参照数字は、さまざまな図面での同様の対応する部分を指すのに使われている。
【0009】
図1Aは、本発明の思想によって裨益しうるシステム10の一つの実施形態を解説する概略図である。システム10は装置14、装置18、結線集合体20を含んでいる。装置14および18は複数の信号を伝送することで互いに通信するよう動作することのできるいかなる電子装置でもよい。結線集合体20は複数の導線24、コネクタ28、コネクタ30を有している。コネクタ28および30は図1Aに示すような導線24の各端に結合している。装置14および18は互いに結線集合体20によって結合している。たとえば、装置14および18のそれぞれは、コネクタ28もしくはコネクタ30またはその両方を受け入れるよう構成されうるポートを有することができる(明示的には示していない)。各導線24は、装置14と装置18との間で両方向に信号を運ぶよう動作する。
【0010】
一部の電子システムでは、ある一組の信号がある目的地点にほぼ同時に着かねばならないという設計上の要求がある場合がある。たとえば、装置14がデジタルスイッチマトリクスで装置18が信号処理装置の場合、各導線24を通じて伝送される複数の信号が装置14なり装置18なりに同時に到着しないとシステム10が正しく動作しないこともありうる。信号が装置18に同時に到着しうるように導線24が各信号を運べるようにするには、導線24の各電気長が同じであることが必要である場合がある。「電気長」というのは導線の一端から他端にある所与の時間内に信号が伝わる距離のことをいう。銅線の物理的な長さを変えても必ずしもその導線の電気長は変わらない。たとえば、撚り対線を引っ張って物理的に線を長くしても、その導線の電気長は必ずしも長くならない。物理的な長さが同じ導線でも電気長が同じとは限らないため、導線が同じ電気長になるようにするには、個々の導線をチューニングする必要がある。たとえば、その性質上伸びやすいため物理的な長さが変わりうるような一群の撚り対線は電気長チューニングが必要となりうる。撚り対線の一つの例は、カテゴリー5の撚り対線ケーブルである。
【0011】
システム10のための一組の導線を提供するために、あらかじめ電気長を測定した導線を使うことができる。たとえば、一貫した物理長をもつ導線から電気長が同じ複数の導線を切り出すことができる。撚り対線の場合、線の全長にわたって伸び方が比較的一貫しているように線を置く。そして電気長の整合をとるために物理的に同じ長さに切る。このような導線を物理的な長さが等しくなるように切ることによって電気長が等しい導線を提供しうるのは、導線をなす素材がほぼ同じ信号伝搬速度を有しており、導線の全長にわたって伸びの量が比較的一貫している場合である。しかし、システム10とともに使うこれらの導線を購入することは、システム10の製造業者にとって高価なものになりうる。あるいはまた、その製造業者は、既知の電気長をもつ導線を外部業者から購入するのではなく、自社独自の導線を使うこともできる。しかし、装置間を接続するのに使われる各導線は、全導線が同じ電気長となるようチューニングを必要とすることがある。そのような工程はかなりの時間と膨大な手作業を必要とすることがある。たとえば、システム10の導線24のそれぞれをチューニングするには、導線24の一端から導線24の他端に信号を送ることになるだろう。そして導線24を伝わる時間が測定され、その導線が所望の電気長になっているかどうかが判定される。もし測定された時間が所望の電気長に対応する時間よりも長かった場合、導線24の長い分が除去される。そして同じ導線24について別の信号が伝わる時間が測定され、調整された導線24が所望の電気長になったかどうかが判定される。導線24が所望の電気長になるまでこの工程が反復される。そのような工程は膨大な手作業を必要とし、コストのかさむ誤りも起こりやすい。たとえば、技術者が導線を除去しすぎれば、この技術者は新しい導線を使ってこの処理を全くはじめからやり直さなければならなくなる。製造業者としては、既知の電気長をもつ導線の組を購入しないことで費用を節約できるかもしれないが、システムの各導線のチューニングを行う費用を考えるとその節約分など帳消しになってしまいかねない。
【0012】
本発明の一つの実施形態によると、導線のチューニングの改良されたシステムおよび方法が提供される。ある実施形態によると、ほぼ同じ電気長をもつ導線の組を提供するための時間と費用が低減されうる。別の実施形態によれば、ほぼ同じ電気長をもつ導線の組を提供するのにより低品質の導線を使うこともできる。本発明の実施例のさらなる詳細が以下で図1Bから図4との関連でずっと詳しく記述される。
【0013】
図1Bは、電気長整合システム50の一つの実施形態を解説する概略図である。システム50は、信号発生器54、測定装置58、スイッチマトリクス60、64、マーキング装置68、コンピュータシステム70を有している。信号発生器54は電気信号を発生し、送出するよう動作するいかなる装置でもよい。ある実施形態では、信号発生器54は信号分割器74に結合していることができる。この信号分割器は、信号発生器54によって該信号分割器74に送信された一つの信号を使って、同時に少なくとも二つの信号を送出するのに使えるものである。十分な速度で動作するいかなる信号発生器54を使ってもよい。信号発生器54の一つの例がHP8131Aパルスジェネレータにオプション020を付けたもので、ヒューレット・パッカード社から供給されている。測定装置58は、信号到着の時間差を決定するよう動作するいかなる装置でもよい。測定装置58の例としては、オシロスコープやパルス計数器が含まれるが、信号到着の時間差を決定するいかなる好適な装置を使ってもよい。測定装置58の一つの例がTEKTRONIX TDS820デジタルオシロスコープであり、テクトロニクス社から供給されている。スイッチマトリクス60、64は、信号の経路をある経路から別の経路に切り替えることのできるいかなる装置でもよい。たとえば、スイッチマトリクス60、64はそれぞれがコンピュータシステム70によって制御しうるバス(図1Bでは明示的に示さず)を有していてもよい。マーキング装置68は、導線24が特定の電気長になる位置を指示する動作をするいかなる装置でもよい。たとえば、マーキング装置68は発光ダイオードのようなランプを使ってその位置を視覚的に示すのでもよい。マーキング装置68のさらなる詳細はのちに図3Aおよび図3Bとの関連で述べる。コンピュータシステム70はプログラム78およびプロセッサ79を有している。プログラム78はコンピュータシステム70によって実行されうる電気長チューニングのための一連の命令を含んでいる。コンピュータシステム70のさらなる詳細はのちに図2との関連で述べる。
【0014】
信号発生器54は測定装置58に参照導線80を通じて結合されている。参照導線80は基準となる電気長をもつ実際の導線でもよい。参照導線80はまた、結線集合体ごとに操作者が電気長を選択できるようにする調整可能な遅延線でもよい。チューニングされる導線24のそれぞれの物理的な長さは、参照導線80と電気長が同じになるよう調整される。ある実施形態では、信号発生器54は参照導線80に信号分割器74を通じて結合しているが、実施形態によっては信号分割器74は省略しうる。信号発生器54はまたスイッチマトリクス60にも結合されている。ある実施形態では信号発生器54はスイッチマトリクス60に信号分割器74を通じて結合されている。測定装置58はスイッチマトリクス64に結合されている。スイッチマトリクス60はスイッチマトリクス64に導線24およびマーキング装置68を通じて結合されている。ある実施形態では、スイッチマトリクス60は導線24にコネクタ28を通じて結合されていることもあるが、実施形態によってはコネクタ28はシステム50から省略しうる。ある実施形態では、参照導線80は省略されることがあり、導線24のうちの一つが参照導線として使われうる。コンピュータシステム70は信号発生器54、測定装置58、スイッチマトリクス64、マーキング装置68に結合している。
【0015】
実際の動作では、導線24の電気長整合を実行するために、コンピュータシステム70がプロセッサ79を使ってプログラム78を実行する。ある実施形態では、コンピュータシステム70は、導線24を参照導線80と同じ電気長となるように、信号発生器54、測定装置58、スイッチマトリクス60、64、マーキング装置68を使ってチューニングすることができる。ある実施形態では、プログラム78は、プロセッサ79上で実行されると、信号発生器54に、信号を生成してその信号を信号分割器74に送信するよう指示する動作をする。信号分割器74は受信した信号を分割し、一方の信号を参照導線80を通じて測定装置58に送り、他方の信号をスイッチマトリクス60、選択された導線24、スイッチマトリクス64を通じて測定装置58に送る。プログラム78はスイッチマトリクス60に、信号分割器74から受け取った信号を送出する経路として特定の導線24を選ぶよう指示し、またスイッチマトリクス64にはその選択された導線24を伝わってくる信号を受信するよう指示する。測定装置58が参照導線80および選択された導線24を伝わる信号をそれぞれ受信したら、該測定装置58は両信号の到着の時間差を決定する。
【0016】
時間差を決定したのち、測定装置58は決定された時間差をコンピュータシステム70に送信する。決定された時間差を使って、プログラム78は、導線24の全長のうち電気長が参照導線80の電気長と同じになる位置を決定する動作をする。プログラム78は導線24上で決定された位置をマーキング装置68を使って指示する動作をする。
【0017】
ある実施形態では、信号分割器74はスイッチマトリクス60に直接取り付けられ、信号分割器74とスイッチマトリクス60との間の距離に起因する誤差を最小にするようにすることができる。ある実施形態では、プログラム78は導線24上で導線24が基準電気長を有するようになる位置を決定するのに、決定された信号到着の時間差を導線24および導線80の既知の時間遅延値で割ることによって行うことができる。ある実施形態では、プログラム78はまた、マーキング装置68を使って、チューニング導線24の対応するピン番号を指示することもできる。プログラム78がこうした動作ができるのは、特定の導線24をチューニングするようスイッチマトリクス60、64を使って選択するのがプログラム78だからである。
【0018】
ひとたび導線24上での位置が決定されれば、プログラム78は別の選択された導線24について前記処理を再び実行する。導線24のすべてが参照導線80と同じ電気長となるようチューニングされるまでこれが反復される。実施形態によっては、導線24の一本一本が独自の信号発生器および測定装置に結合されていることがある。そのような実施形態では、スイッチマトリクスは省略でき、各導線24は同時にチューニングできる。
【0019】
図2は、図1Bで示されたコンピュータシステム70の一つの実施形態を解説する概略図である。コンピュータシステム70はプロセッサ79、電気長整合プログラム78を記憶しているメモリ84、一つ以上のデータ記憶装置88、入力装置90、出力装置94を有している。プロセッサ79はメモリ84、データ記憶装置88、入力装置90、出力装置94に結合している。プロセッサ79はプログラム78の論理を実行し、データ記憶装置88にアクセスしてプログラム78に関係するデータを引き出したり保存したりするよう動作することができる。プロセッサ79の例としてはペンティアム(登録商標)プロセッサがあり、インテル社から供給されている。
【0020】
プログラム78は、導線が同じ電気長となるようにチューニングするために図1Bに示したシステム50を制御するコンピュータプログラムである。プログラム78は、メモリ84、データ記憶装置88などいかなる記憶媒体中にあってもよい。プログラム78はCやC++などいかなる好適なコンピュータ言語で書かれていてもよい。
【0021】
メモリ84およびデータ記憶装置88はファイル、スタック、データベース、あるいはその他の好適な形のデータを有していることができる。メモリ84およびデータ記憶装置88はランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、CD−ROM、リムーバブルメモリ装置、あるいはデータの保存もしくは取り出しまたはその両方ができるその他いかなる好適なデバイスでもよい。メモリ84および記憶装置88は交換可能であってもよく、同じ機能を実行することもある。入力装置90はユーザーからシステム70への入力を実現するよう動作するいかなる装置であってもよい。入力装置の例としては、キーボード、マウス、マイクロホンが含まれる。出力装置94はシステム70によって生成された情報をユーザーに伝えるよう動作するいかなる装置であってもよい。出力装置94の例としては、画面表示装置、プリンタ、スピーカーが含まれる。
【0022】
図3Aは、図1Bで示されたマーキング装置28の一つの実施形態の上面図である。図3Bは、図1Bで示されたマーキング装置28の一つの実施形態の側面図である。図3Aおよび図3Bについては一緒に説明する。図3Aおよび図3Bに示されるように、マーキング装置68は、プラットフォーム106上に配置された複数のランプ100およびコネクタ104を有する。ある実施形態では、ランプ100は導線24の長さに沿って伸びる列100Aをなして配列されている。ランプ100は発光ダイオード、白熱電球、液晶表示装置など、いかなる視覚的な指示手段でもよい。ランプ100としては電気的なものも非電気的なものも含めていかなる視覚的な指示手段を用いることもできるが、ここではランプ100と称している。各ランプ100の大きさは、当該導線24を組み込みうるシステムの特定の性能要求によって許容されうる導線24の電気長の誤差の幅によって変わりうる。各ランプ100の各導線24の長さに沿う方向の長さは、要求される電気長の精度が高くなればそのぶん短くなることがありうる。ある例では、50フィート〔15.24m〕のケーブルに対し、導線の長さに沿う方向の各ランプ100の長さはだいたい1/8インチ〔約3mm〕とすることができる。コネクタ104は導線24をマーキング装置68に電気的に結合するのに使いうるいかなるコネクタでもよい。コネクタ104の例としては、パンチダウンブロックがある。ある実施形態では、ランプ100の上には傷に強い透明シールドをかぶせることができる。シールドの例としてはプレキシグラスがある。
【0023】
各導線24はランプ100の特定の列100Aの上に配置される。ある実施形態では、各導線24をランプ列100A上に配置するために導線案内具108を使うことができる。決定された時間差および導線24の時間遅延値を使って、プログラム78は導線24が所望の電気長となる位置を決定し、決定された位置に対応する特定のランプ100の点灯を開始させることができる。すると技術者は指示された位置で導線24を切断することができる。図3Aに示されるように、点灯したランプ100はランプ100C、非点灯のランプ100はランプ100Bと示されている。所望の電気長の位置を決定したのち、プログラム78は、スイッチマトリクス60、64に次の導線24に切り替えるよう指示する。この切り換えは、次の導線24に対応するバス110および114の経路を選択することによって行われる。ある実施形態では、導線24は、導線24を装置14や18に結合するのに使いうるコネクタ28を使って、導線24をスイッチマトリクス60に結合することがある。コネクタ28はシステム10の現実の実装に使われているコネクタであり、各導線24の一端にすでに結合されているので、これは図1Aに示されているシステム10の製造の時間と費用を削減することになり、本発明のいくつかの実施形態においては有益となりうるものである。
【0024】
図4は電気長整合の方法150の一つの実施形態を解説するフローチャートである。方法150に関連する一部または全部の動作がプログラム78を使って実行できる。方法150はステップ154で開始される。ステップ158では、参照導線およびチューニングすべき導線が与えられる。ステップ160では参照信号および試験信号がそれぞれ参照導線および試験導線を通じて送出される。ステップ160で参照信号および試験信号を送出するのにはいかなる装置あるいは装置の組み合わせを用いてもよい。これらの装置の例としては、信号発生器および信号分割器がある。ステップ164では、参照信号と試験信号の到着の時間差が目的地点において決定される。ある実施形態では、時間差の決定は、オシロスコープやパルス計数器のような測定装置を使って行われる。ステップ168では導線が参照導線の電気長とほぼ同じになるような、チューニング中の導線上の位置が決定される。ステップ170ではその位置が指示される。ステップ174では導線がその位置で切断される。ある実施形態では導線は手で切断してもよいが、コンピュータシステム70によって制御される切断装置によって自動的に切断してもよい。自動化された切断装置を使う場面では、ステップ170は省略でき、コンピュータシステム70が導線切断のために切断工具をステップ168で決定された位置に合わせる。
【0025】
判定ステップ178では、まだチューニングされていない導線があるかどうかが判定される。イエスであれば「YES」分枝をたどってステップ160に進む。ノーであれば「NO」分枝をたどってステップ180に進む。実施形態によってはステップ174と178は省略できる。方法150はステップ180で終了する。
【0026】
ステップ160のある実施形態では、参照信号と試験信号は実質同時に送信される。それらの信号を同時に送信するには、信号分割器を使うか、あるいは同時に信号を送信するように調整された複数の信号発生器を使うかすることができる。ある実施形態では方法150はチューニングされている各導線のピン位置を示すステップがあってもよい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に記述してきたが、付属の請求項によって定義される本発明の精神と範囲から外れることなくさまざまな変更、置き換え、代替を施すことが可能であることは理解しておくものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】本発明の思想によって裨益しうるシステムの一つの実施形態を解説する概略図である。
【図1B】図1Aで示されたシステムの結線集合体を提供するのに使うことのできる電気長整合システム一つの実施形態を解説する概略図である。
【図2】図1Bで示された電気長整合システムとともに使うことのできるコンピュータシステムを解説する概略図である。
【図3A】図1Bで示されたマーキング装置の一つの実施形態の上面図である。
【図3B】図3Aで示されたマーキング装置の側面図である。
【図4】電気長整合の方法の一つの実施形態を解説するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照導線およびチューニングすべき複数の導線を用意し、前記導線のそれぞれが対応する特定の発光素子の列に実質平行に配置され、
チューニングすべき各導線について、
前記参照導線および当該導線を通じてそれぞれ参照信号および試験信号を測定装置に送信し、前記測定装置におけるそれぞれの信号の到着の時間差を決定し、ここで前記参照信号と前記試験信号は同時に送出されるものとし、
コンピュータおよび前記時間差を用いて、当該導線の全長のどこで当該導線が前記参照導線の電気長と実質等しい電気長になるかの位置を決定し、
前記コンピュータによって、当該導線に対応する特定の列中の前記発光素子の少なくとも一つを作動させることによる当該導線上の前記位置の視覚的指示を開始する、
ことを特徴とする、電気長整合の電算化された方法。
【請求項2】
前記導線のそれぞれについて、前記決定された位置において当該導線を切断することをさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の電算化された方法。
【請求項3】
前記コンピュータによって当該導線のそれぞれに関連しているピン位置を指示することをさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の電算化された方法。
【請求項4】
前記複数の導線と前記対応する特定の発光素子列との間にシールドを配置することをさらに含み、そのシールドが少なくとも部分的に透明であり傷に強いことを特徴とする、請求項1記載の電算化された方法。
【請求項5】
当該導線上の位置の決定が、前記決定された時間差を当該導線の時間遅延値で除算することを含むことを特徴とする、請求項1記載の電算化された方法。
【請求項6】
導線が特定の電気長となるようチューニングする電算化された方法であって、
参照導線およびチューニングすべき前記導線を用意し、
前記参照導線およびある目的地点への当該導線を通じてそれぞれ参照信号および試験信号を送信し、前記目的地点におけるそれぞれの信号の到着の時間差を決定し、
前記時間差に基づいて、当該導線の全長のどこで当該導線が前記参照導線の電気長と近似的に等しい電気長になるかの位置の指示を決定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
参照信号と試験信号の送出が前記参照信号と前記試験信号を同時に送出することであることを特徴とする、請求項6記載の電算化された方法。
【請求項8】
前記目的地点がオシロスコープであることを特徴とする、請求項6記載の電算化された方法。
【請求項9】
前記位置の決定が、前記時間差を当該導線の時間遅延値で除算することを含むことを特徴とする、請求項6記載の電算化された方法。
【請求項10】
前記位置で当該導線を切断することをさらに含むことを特徴とする、請求項6記載の電算化された方法。
【請求項11】
前記コンピュータによって当該導線に関連するピン位置を指示することをさらに含むことを特徴とする、請求項6記載の電算化された方法。
【請求項12】
前記指示が視覚的な指示であることを特徴とする、請求項6記載の電算化された方法。
【請求項13】
導線が参照導線と同じ電気長となるようチューニングするシステムであって:
プロセッサを有するコンピュータシステムと、
前記コンピュータシステムに結合したコンピュータ読み取り可能媒体とを有し、該コンピュータ読み取り可能媒体が前記プロセッサ上で実行されたときに:
信号発生器からある目的地点に向けて、前記参照導線およびチューニングすべき当該導線を通じてのそれぞれ参照信号および試験信号の送信を開始し、
前記目的地点におけるそれぞれの信号の到着の時間差を決定し、
前記時間差に基づいて、当該導線の全長のどこで当該導線が前記参照導線の電気長と近似的に等しい電気長になるかの位置の指示を決定する、
よう動作できるプログラムを有していることを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記参照信号および前記試験信号が同時に送信されることを特徴とする、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータシステムに結合しており、該コンピュータシステムからの指令に反応して信号を発生する動作をする信号発生器と、
前記信号発生器に結合しており、前記信号発生器からの信号を受信して該信号を分割して前記参照信号および前記試験信号とする信号分割器とをさらに有し、
前記信号分割器が前記目的地点に前記参照導線およびチューニングすべき当該導線によって結合されていることを特徴とする、請求項13記載のシステム。
【請求項16】
前記目的地点がオシロスコープであり、前記コンピュータシステムに結合した前記オシロスコープをさらに有することを特徴とする、請求項13記載のシステム。
【請求項17】
前記プログラムが、前記時間差を当該導線の時間遅延値で除算することによって前記位置の指示を提供するよう動作することを特徴とする、請求項13記載のシステム。
【請求項18】
前記コンピュータシステムに結合した表示装置をさらに有し、該表示装置がランプの列および当該導線の少なくとも一部を前記ランプ列に平行な位置に案内する機能を果たす少なくとも一つの導線案内具を有し、該表示装置が当該導線上で前記位置を視覚的に指示する機能を果たすことを特徴とする、請求項13記載のシステム。
【請求項19】
前記コンピュータシステムに結合しており、該コンピュータシステムからの指令に反応して信号を発生する動作をする信号発生器と、
前記信号発生器に結合しており、前記信号発生器からの信号を受信して該信号を分割して前記参照信号および前記試験信号とする信号分割器と、
前記コンピュータシステムおよび前記信号分割器に前記参照導線およびチューニングすべき当該導線よって結合しており、前記目的地点におけるそれぞれの信号の到着の時間差を決定し、該決定された時間差を前記コンピュータシステムに送るよう動作する測定装置と、
前記コンピュータシステムに結合しており、ランプの列および当該導線の少なくとも一部を前記ランプ列に平行な位置に案内する機能を果たす少なくとも一つの導線案内具を有する表示装置とを、
さらに有することを特徴とする、請求項13記載のシステム。
【請求項20】
前記プログラムがさらに、当該導線に関連しているピン位置を指示するよう動作することを特徴とする、請求項19記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−514410(P2006−514410A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568585(P2004−568585)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/039755
【国際公開番号】WO2004/074859
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(504245871)レイセオン・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】