説明

電気集じん機

【課題】接地極板を所定の間隔に配置することで、また接地極板に歪を発生させないようにすることで、集じん性能を安定的に発揮し、さらに接地極板がセラミックスのような脆い材料であっても割れにくい固定方法を提供することを目的としている。
【解決手段】高電圧が印加された放電極1と、この放電極1と空気を介して対向している接地極板2と、枠体3とを備えた電気集じん機であって、放電極1と接地極板2とが交互に複数配置し、枠体3は、弾性部材4と当て具5が固定される第1フレーム6と、第1フレーム6を固定する第2フレーム7によって構成し、接地極板2は所定の間隔をもって前記弾性部材と前記当て具5によって挟まれることにより固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の浮遊粒子状物質を捕集し空気清浄を行うための電気集じん機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気集じん機は、以下のようなものが知られており図5を参照しながら説明する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図に示すように、集じん電極51と放電電極52は交互に複数所定の間隔を持って配置され、放電電極51に高電圧を印加し、集じん電極51との間で発生するコロナ放電により、空気中の浮遊粒子状物質を帯電させクーロン力により捕集している。集じん電極51と放電電極52は所定の間隔を保つために、複数の集じん電極は第1支持棒53により支持され、隣り合う集じん電極との間に間隔調整部材54がくるように第1支持棒53に通し、第1支持棒53の両端からネジを締め付けることで所定の間隔を保ち固定されている。同様に複数の放電電極52は第2支持棒55により支持され、隣り合う放電電極52との間に間隔調整部材54がくるように第2支持棒55に通し、第2支持棒55の両端からネジを締め付けることで所定の間隔を保ち固定されている。第1支持棒53は放電電極52と接触しておらず、第2支持棒55は集じん電極51と接触していない。
【0004】
このようにすることで、集じん電極と放電電極を所定の間隔に保っている。
【特許文献1】特開2006−7112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の電気集じん機では、第1支持棒または第2支持棒の両端からネジで締め付けているため、締め付けていくことで集じん極板または放電極板に歪が生じ、集じん極板と放電極板の間隔にバラツキが出てしまう。また、集じん極板がセラミックスなどの脆い材料では、ネジでの締め付けによる圧縮力が大きいとセラミックスが破壊される可能性がある。また、放電極板を支持している第2支持棒の両側からネジで固定する時に、集じん極板と放電極板の間隔が均等になるようにネジの位置を微調整する必要がある。逆を言えば、ネジの位置が少しずれるだけで、間隔が均等ではなくなってしまう。さらに間隔調整部材の各部品の長さに誤差があり、それが複数積層された時に集じん極板と放電極板の間隔にズレが生じてしまう。このように、所定の間隔を保てなくなることで、異常な火花放電の発生や短絡が発生し、電気集じん機の集じん性能を安定的に発揮出来なくなる。
【0006】
また、間隔が狭い所はコロナ放電が強く、間隔が広い所はコロナ放電が弱くなり、浮遊粒子状物質への帯電量にもバラツキが出てしまい、集じん性能が低下してしまう。
【0007】
また、従来の固定方法では、メンテナンス時などに、真ん中付近にある集じん極板を1枚だけ取り出したい時に、ネジを緩め片方から1枚ずつ取り出さなければならず、時間と労力が非常にかかる。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、集じん極板と放電極板を所定の間隔を空けて積層することが可能で集じん性能が安定し、また集じん極板が脆いセラミックスのような材料の場合でも割れることなく固定することが可能であり、同時に短時間で容易に集じん極板を取り出すことが可能な電気集じん機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気集じん機は上記目的を達成するために、高電圧が印加された放電極と、この放電極と空気を介して対向している接地極板と、枠体とを備えた電気集じん機であって、前記放電極と、前記接地極板とが交互に複数配置し、前記枠体は、弾性部材と当て具が固定される第1フレームと、前記第1フレームを固定する第2フレームによって構成し、前記接地極板を所定の間隔を空けて前記弾性部材と前記当て具によって挟んで固定したものである。
【0010】
この手段により、接地極板を所定の間隔で固定し積層することが可能であり、また接地極板に歪を生じることなく固定でき、さらに余計な締め付けによる圧縮力が接地極板にかからないため、接地極板が脆いセラミックスのような材料の場合でも割れることなく固定することができ、同時に接地極板1枚を容易に取り付けたり取り外したりすることができる電気集じん機が得られる。
【0011】
また他の手段は、接地極板の固定箇所が複数あり、前記接地極板の片面に弾性部材を複数接触させ、前記接地極板の他面に当て具を複数接触させたものである。
【0012】
この手段により、集じん極板と放電極板の間隔を所定の間隔を持って、積層することが可能となり、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0013】
また他の手段は、第2フレームの両側に、それぞれ複数の第1フレームを固定したものである。
【0014】
この手段により、接地極板の枚数を増やすことができ、集じん性能を高めることが出来る。
【0015】
また他の手段は、弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方は金属製としたものである。
【0016】
この手段により、弾性部材または当て具の少なくともいずれか一方を使用してコロナ放電時の電流を流すことが可能となり、別途電流経路を設ける必要がなく装置を小型にすることが出来る。
【0017】
また他の手段は、接地極板は電気絶縁性のあるセラミックス基板の表面に電気導電性のある導電層と電気抵抗値を持った抵抗層を設け、弾性部材と前記導電層が接触する部分は前記弾性部材の幅よりも前記導電層の幅の方が広く、前記弾性部材の両側が前記導電層の範囲内に納まったものである。
【0018】
この手段により、弾性部材が接地極板と平行に接触せず斜めに接触したりした場合でも、確実にセラミック基板上の導電層と接触することができ、コロナ放電が発生し集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0019】
また他の手段は、弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方は単体で隣り合う2枚の接地極板に同時に接触するものである。
【0020】
この手段により、弾性部材と当て具の使用部品数を半分に減らすことが可能となり、組立時またはメンテナンス時に弾性部材と当て具の取り付け、取り外しにかかる時間を短縮することができる。
【0021】
また他の手段は、第1フレームと弾性部材と当て具にお互いを固定するための固定穴を設け、少なくともいずれか一方の前記固定穴を長穴にしたものである。
【0022】
この手段により、弾性部材と当て具を所定の位置に固定することが可能となり、しいては接地極板を所定の間隔に設けることができ、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0023】
また他の手段は、当て具と第1フレームを固定するために前記当て具にバーリングによる穴を設けたものである。
【0024】
この手段により、容易に当て具と第1フレームを固定することができ、取り付け・取り外しの時間を短縮することができると共に、固定する際にナットが不要となるため、重量を軽減することができる。
【0025】
また他の手段は、弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方を、リベットにより第1フレームと固定したものである。
【0026】
この手段により、電気集じん機の運転時に風速により接地極板等が振動した場合でも、リベットは緩むことがなく、長期にわたって確実に固定することができ、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0027】
また他の手段は、第1フレームと第2フレームを固定する枠固定穴を設け、少なくともいずれか一方の前記枠固定穴を長穴にしたものである。
【0028】
この手段により、第1フレームを確実に所定の位置に固定することができるため、接地極板の位置が確実に決められ、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0029】
また他の手段は、第1フレームと第2フレームを溶接により固定したものである。
【0030】
この手段により、第2フレームと接地極板との隙間を小さくすることが可能となり、装置を小型にすることが可能となる。
【0031】
また他の手段は、第1フレームと第2フレームはアルミニウムにより構成したものである。
【0032】
この手段により、装置の重量を軽減することができる。
【0033】
また他の手段は、第1フレームと第2フレームはリベットにより固定したものである。
【0034】
この手段により、第1フレームと第2フレームを確実に固定することができ、緩みにくくなるため、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0035】
また他の手段は、接地極板は複数のセラミックス基板で構成し、前記セラミックス基板それぞれの表面にある導電層同士が導通するように2枚のセラミックス基板の接続部分を金属製の連結板で連結したものである。
【0036】
この手段により、万一2枚のうちどちらかが電気的に接地がとれていなくても、2枚のうちのもう片方が電気的に接地がとれていれば、連結板により2枚とも接地されることとなり、確実に接地することができ、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0037】
また他の手段は、 第1フレームにストッパーを設けて、接地極板の位置決めをするものである。
【0038】
この手段により、接地極板の位置を決めるときに、ストッパーに当たるまで接地極板を挿入するだけで簡単に位置決めをすることができ、組立時間の短縮化が図れると共に、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0039】
また他の手段は、接地極板が枠体の外側へずれないように、接地極板挿入後に仕切板を枠体に固定したものである。
【0040】
この手段により、電気集じん機の運転中においても、接地極板の位置がずれることがなく、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば集じん極板と放電極板を所定の間隔を空けて積層することが可能で集じん性能が安定し、また集じん極板が脆いセラミックスのような材料の場合でも割れることなく固定することが可能であり、同時に短時間で容易に集じん極板を取り出すことが可能な電気集じん機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の請求項1記載の発明は、高電圧が印加された放電極と、この放電極と空気を介して対向している接地極板と、枠体とを備えた電気集じん機であって、前記放電極と、前記接地極板とが交互に複数配置し、前記枠体は、弾性部材と当て具が固定される第1フレームと、前記第1フレームを固定する第2フレームによって構成し、前記接地極板を所定の間隔を空けて前記弾性部材と前記当て具によって挟んで固定したものであり、接地極板を所定の間隔で固定し積層することが可能であり、また接地極板に歪を生じることなく固定でき、さらに余計な締め付けによる圧縮力が接地極板にかからないため、接地極板が脆いセラミックスのような材料の場合でも割れることなく固定することができ、同時に接地極板1枚を容易に取り付けたり取り外したりすることができるという作用を有する。
【0043】
本発明の請求項2記載の発明は、接地極板の固定箇所が複数あり、前記接地極板の片面に弾性部材を複数接触させ、前記接地極板の他面に当て具を複数接触させたものであり、集じん極板と放電極板の間隔を所定の間隔を持って、積層することが可能となり、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0044】
本発明の請求項3記載の発明は、第2フレームの両側に、それぞれ複数の第1フレームを固定したものであり、接地極板の枚数を増やすことができ、集じん性能を高めることが出来るという作用を有する。
【0045】
本発明の請求項4記載の発明は、弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方は金属製としたものであり、弾性部材または当て具の少なくともいずれか一方を使用してコロナ放電時の電流を流すことが可能となり、別途電流経路を設ける必要がなく装置を小型にすることが出来るという作用を有する。
【0046】
本発明の請求項5記載の発明は、接地極板は電気絶縁性のあるセラミックス基板の表面に電気導電性のある導電層と電気抵抗値を持った抵抗層を設け、弾性部材と前記導電層が接触する部分は前記弾性部材の幅よりも前記導電層の幅の方が広く、前記弾性部材の両側が前記導電層の範囲内に納まったものであり、弾性部材が接地極板と平行に接触せず斜めに接触したりした場合でも、確実にセラミック基板上の導電層と接触することができ、コロナ放電が発生し集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0047】
本発明の請求項6記載の発明は、弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方は単体で隣り合う2枚の接地極板に同時に接触するものであり、弾性部材と当て具の使用部品数を半分に減らすことが可能となり、組立時またはメンテナンス時に弾性部材と当て具の取り付け、取り外しにかかる時間を短縮することができるという作用を有する。
【0048】
本発明の請求項7記載の発明は、第1フレームと弾性部材と当て具にお互いを固定するための固定穴を設け、少なくともいずれか一方の前記固定穴を長穴にしたものであり、弾性部材と当て具を所定の位置に固定することが可能となり、しいては接地極板を所定の間隔に設けることができ、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0049】
本発明の請求項8記載の発明は、当て具と第1フレームを固定するために前記当て具にバーリングによる穴を設けたものであり、容易に当て具と第1フレームを固定することができ、取り付け・取り外しの時間を短縮することができると共に、固定する際にナットが不要となるため、重量を軽減することができるという作用を有する。
【0050】
本発明の請求項9記載の発明は、弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方を、リベットにより第1フレームと固定したものであり、電気集じん機の運転時に風速により接地極板等が振動した場合でも、リベットは緩むことがなく、長期にわたって確実に固定することができ、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0051】
本発明の請求項10記載の発明は、第1フレームと第2フレームを固定する枠固定穴を設け、少なくともいずれか一方の前記枠固定穴を長穴にしたものであり、第1フレームを確実に所定の位置に固定することができるため、接地極板の位置が確実に決められ、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0052】
本発明の請求項11記載の発明は、第1フレームと第2フレームを溶接により固定したものであり、第2フレームと接地極板との隙間を小さくすることが可能となり、装置を小型にすることが可能となるという作用を有する。
【0053】
本発明の請求項12記載の発明は、第1フレームと第2フレームはアルミニウムにより構成したものであり、装置の重量を軽減することができるという作用を有する。
【0054】
本発明の請求項13記載の発明は、第1フレームと第2フレームはリベットにより固定したものであり、第1フレームと第2フレームを確実に固定することができ、緩みにくくなるため、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0055】
本発明の請求項14記載の発明は、接地極板は複数のセラミックス基板で構成し、前記セラミックス基板それぞれの表面にある導電層同士が導通するように2枚のセラミックス基板の接続部分を金属製の連結板で連結したものであり、万一2枚のうちどちらかが電気的に接地がとれていなくても、2枚のうちのもう片方が電気的に接地がとれていれば、連結板により2枚とも接地されることとなり、確実に接地することができ、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0056】
本発明の請求項15記載の発明は、第1フレームにストッパーを設けて、接地極板の位置決めをするものであり、接地極板の位置を決めるときに、ストッパーに当るまで接地極板を挿入するだけで簡単に位置決めをすることができ、組立時間の短縮化が図れると共に、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0057】
本発明の請求項16記載の発明は、接地極板が枠体の外側へずれないように、接地極板挿入後に仕切板を枠体に固定したものであり、電気集じん機の運転中においても、接地極板の位置がずれることがなく、集じん性能を安定的に発揮することができるという作用を有する。
【0058】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0059】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態の斜視構成図であり、放電極1と空気を介して対向している接地極板2と枠体3とを備えた電気集じん機であって、放電極1と接地極板2とは交互に複数配置し、枠体3は弾性部材4と当て具5が固定される第1フレーム6と、第1フレーム6を固定する第2フレーム7によって構成している。接地極板2は2枚の板を連結板8によって接続し1枚の接地極板2として使用している。接地極板2は1枚の板で構成されていてもよい。
【0060】
本実施の形態では、各部品の材料は次の通りとなっている。第1フレーム6・第2フレーム7・弾性部材4・当て具5・連結板8はステンレス、接地極板2はアルミナを主原料とするセラミックスである。本実施の形態は一例を示しており、例えば当て具5が樹脂であってもよい。
【0061】
図2は接地極板2の表面状態を図示したものであり、電気的に導通のある導電層21と、電気抵抗値をもった抵抗層22を両表面に設けている。導電層21の表面抵抗率は10Ω/□以下、抵抗層22の表面抵抗率は106〜1010Ω/□である。
【0062】
上記構成において、放電極1には図示しない高圧電源から高電圧(本実施の形態では−10kV)が印加され、接地極板2の導電層21は弾性部材または当て具5と導通しており、第1フレーム6・第2フレーム7を介してアースへつながっている。
【0063】
放電極1と接地極板2の間ではコロナ放電が発生するため、空気中に浮遊している粒子状物質は放電極1と接地極板2の間を通過する際に、コロナ放電により帯電され、帯電された粒子は電界によってクーロン力が発生し、接地極板2へ捕集される。
【0064】
なお、図1に示す斜視構成図は空気中に浮遊している粒子状物質を帯電させる帯電部であり、下流側に集じん部を備えることで、より捕集効率を高めることが出来る。集じん部は高電圧が印加された極板とアースに接続された極板とが交互に複数積層配置したもので、コロナ放電は発生せず、極板間には電界が発生している。
【0065】
枠体3は、第1フレーム6と第2フレーム7が枠固定穴9を使用してボルト・ナットによって固定されている。本実施の形態では第2フレーム7の枠固定穴9が長穴になっており、第1フレーム6の取り付け位置を微調整できるようになっている。接地極板2は第1フレーム6をZ方向に2本使用して固定しているが、第2フレーム7のY方向へもう1セットの第1フレーム6を2本備えており、こちらにも接地極板2を固定している。なお、第2フレーム7はY方向へ2セットではなく、1セットだけでもよい。
【0066】
この時、両側(Y方向)の接地極板2へ向かって、放電極1に備えた両側の尖った複数の針10の先端が向いている。このことで、それぞれにコロナ放電させることが可能となり、集じん性能が向上する。
【0067】
本実施の形態の特徴は、接地極板2を弾性部材4と当て具5によって所定の間隔を空けて固定していることである。
【0068】
図1に示すように第1フレーム6には弾性部材4と当て具5を固定するための固定穴11を所定の間隔をおいて設け、その固定穴11は図1のX方向に長穴となって、弾性部材と当て具5の間隔を1ヶずつ微調整出来るようになっている。所定の間隔とは本実施の形態では隣り合う接地極板2の間隔が40mmになるようにしている。常時所定の間隔を保つことが出来ることで、集じん性能を安定的に発揮することが可能となる。
【0069】
なお、当て具5にはバーリングによる穴を備えておりナットを使用する必要がなく、重量を軽減している。
【0070】
図3は弾性部材4と当て具5部分の詳細図である。弾性部材4は、板バネ状に形成されており、図1に示すように接地極板2の両側(図1では上側と下側)に配置し、同時に弾性部材4によって接地極板2が押されるため、これを受け止める部材が当て具5となっている。
【0071】
このように接地極板2を固定することにより、歪を発生させずに、接地極板2同士の間隔を確実に所定の間隔をおいて固定することが可能となる。さらに、接地極板2は1枚だけでも、引き出すだけで簡単に取り外すことが可能となる。
【0072】
また、接地極板2が本実施の形態のようなセラミック基板である場合でも、従来のような支持棒に1枚ずつ接地極板2を通し間隔調整部材で間隔を調整し最後に支持棒の両側からネジで固定する方法では、ネジの締め付けによる圧縮力によりセラミックスのような脆性材料であると割れる可能性がある。
【0073】
また支持棒は枠体3を構成する一部品であるため、枠体3にねじれが加わったときは接地極板2にもねじれが生じ、接地極板2が脆性材料であると割れてしまう。
【0074】
本実施の形態では、接地極板2が1枚ずつ弾性部材4と当て具5により固定しているため、ネジの締め付けによる圧縮力やねじれによる割れを防ぐことが出来る。また接地極板2間を空気が流れた場合に発生する振動も弾性部材4により吸収することができ、振動による割れも防ぐことができる。
【0075】
ここで、セラミック基板上の導電層21において、弾性部材4と接触する部分は、接地極板2に接触する部分が多少変形を起こしていても(例えば接地極板2と平行でなく傾いている場合でも)確実にお互いが導通するように、弾性部材4の幅(図2に点線で図示)よりも導電層21の幅の方が広くなるようにしている。この構成により、接地極板を確実に接地することができ、コロナ放電を確実に発生させ、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0076】
また、弾性部材4と当て具5はそれぞれ単体で隣り合う接地極板2に同時に接触しており、接地極板2が1枚毎に弾性部材4と当て具5を使用する場合より部品数が半分ですむため、弾性部材4と当て具5の取り付け・取り外しにかかる時間を短縮することが出来る。
【0077】
また、接地極板2は片面を弾性部材4と接触し、もう片面には当て具5を接触させ、同じ面で片側は弾性部材4、もう片側は当て具5といった固定の方法はしていない。これは、接地極板2の位置を確実に固定するためであり、接地極板2の同じ面の一端を弾性部材4、他端を当て具5で固定すると、接地極板2にモーメント力が加わるため、接地極板2の間隔が平行ではなくなり、間隔にバラツキが生じてしまう。
【0078】
図1に示すY方向の接地極板2の位置決め方法は、第1フレーム6に備えたストッパー12によって、位置が決定される。
【0079】
本実施の形態では、ストッパー12は第1フレーム6と一体でL型に形成されており、部品点数を少なくできると同時に、第1フレームがL型のため剛性が向上し、枠体全体の剛性が向上する。
【0080】
なお、ストッパー12だけでは枠体3の外側へずれることがあるため、図1に示すように、接地極板2挿入後に仕切板13を枠体3に固定することで、接地極板2の位置が固定され、安定的に集じん性能を発揮することができる。
【0081】
(実施の形態2)
本実施の形態は、図1に示す第1フレーム6と第2フレーム7と弾性部材4と当て具5の材料がアルミニウムであるものである。これにより、装置の重量を軽減することができ、メンテナンス時の出し入れが容易になり、作業性が向上する。
【0082】
本実施の形態において、弾性部材4または当て具5と第1フレーム6はリベットにより固定されている。また、第1フレーム6と第2フレーム7もリベットにより固定されている。リベット止めにより、お互いを確実に固定することができ、ネジ止めに比べ使用中の緩みも少なく、長期的に接地極板2の位置が変化せず、集じん性能を安定的に発揮することができる。
【0083】
(実施の形態3)
図4は本実施の形態を表す詳細図であり、第1フレーム6と第2フレーム7を溶接により固定したものである。
【0084】
図3に示すように、ネジ止めまたはリベット止めの場合、最も第2フレーム7寄りの接地極板2を固定している当て具5と第2フレーム7の間にはネジまたはリベットがくるため、第2フレーム7と当て具5の間には隙間を設けておかなければならない。
【0085】
しかし図4のように、第1フレーム6と第2フレーム7を溶接で固定すれば、このような隙間を設ける必要がなく、装置を小型化することが可能となる。
【0086】
以上のように、放電極1と、接地極板2とが交互に複数配置し、枠体を、弾性部材と当て具が固定される第1フレーム6と、第1フレーム6を固定する第2フレーム7によって構成し、接地極板2は所定の間隔を空けて弾性部材4と当て具5によって挟んで固定したものであり、接地極板2を所定の間隔で固定し積層することが可能であり、また接地極板2に歪を生じることなく固定でき、さらに余計な締め付けによる圧縮力が接地極板2にかからないため、接地極板2が脆いセラミックスのような材料の場合でも割れることなく固定することができるとともに、1枚の接地極板2を容易に取り付けたり取り外したりすることができるという効果のある電気集じん機を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、空気中の浮遊粒子状物質を捕集する場合の空気清浄方式として有効であり、接地極板2を所定の間隔をもって弾性部材4と当て具5により固定することで、集じん性能を安定的に発揮できるとともに、接地極板2に強い圧縮力がかからないため、接地極板2がセラミックスのような脆い材料であっても確実に固定することができる電気集じん機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態1、2を示す電気集じん機の斜視構成図
【図2】同接地極板の詳細図
【図3】同固定部分の詳細図
【図4】本発明の実施の形態3を示す固定部分の詳細図
【図5】従来の電気集じん機を示す構成図
【符号の説明】
【0089】
1 放電極
2 接地極板
3 枠体
4 弾性部材
5 当て具
6 第1フレーム
7 第2フレーム
8 連結板
9 枠固定穴
10 針
11 固定穴
12 ストッパー
13 仕切板
21 導電層
22 抵抗層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧が印加された放電極と、この放電極と空気を介して対向している接地極板と、枠体とを備えた電気集じん機であって、前記放電極と、前記接地極板とが交互に複数配置し、前記枠体は、弾性部材と当て具が固定される第1フレームと、前記第1フレームを固定する第2フレームによって構成し、前記接地極板を所定の間隔を空けて前記弾性部材と前記当て具によって挟んで固定したことを特徴とする電気集じん機。
【請求項2】
接地極板の固定箇所が複数あり、前記接地極板の片面に弾性部材を複数接触させ、前記接地極板の他面に当て具を複数接触させたことを特徴とする請求項1記載の電気集じん機。
【請求項3】
第2フレームの両側に、それぞれ複数の第1フレームを固定したことを特徴とする請求項1または2記載の電気集じん機。
【請求項4】
弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方は金属製であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の電気集じん機。
【請求項5】
接地極板は電気絶縁性のあるセラミックス基板の表面に電気導電性のある導電層と電気抵抗値を持った抵抗層を設け、弾性部材と前記導電層が接触する部分は前記弾性部材の幅よりも前記導電層の幅の方が広く、前記弾性部材の両側が前記導電層の範囲内に納まったことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の電気集じん機。
【請求項6】
弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方は単体で隣り合う2枚の接地極板に同時に接触することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の電気集じん機。
【請求項7】
第1フレームと弾性部材と当て具にお互いを固定するための固定穴を設け、少なくともいずれか一方の前記固定穴を長穴にしたことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の電気集じん機。
【請求項8】
当て具と第1フレームを固定するために前記当て具にバーリングによる穴を設けたことを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の電気集じん機。
【請求項9】
弾性部材と当て具の少なくともいずれか一方を、リベットにより第1フレームと固定したことを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の電気集じん機。
【請求項10】
第1フレームと第2フレームを固定する枠固定穴を設け、少なくともいずれか一方の前記枠固定穴を長穴にしたことを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の電気集じん機。
【請求項11】
第1フレームと第2フレームを溶接により固定したことを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の電気集じん機。
【請求項12】
第1フレームと第2フレームはアルミニウムにより構成したことを特徴とする請求項1〜11いずれか記載の電気集じん機。
【請求項13】
第1フレームと第2フレームはリベットにより固定したことを特徴とする請求項1〜12いずれか記載の電気集じん機。
【請求項14】
接地極板は複数のセラミックス基板で構成し、前記セラミックス基板それぞれの表面にある導電層同士が導通するように2枚のセラミックス基板の接続部分を金属製の連結板で連結したことを特徴とする請求項1〜13いずれか記載の電気集じん機。
【請求項15】
第1フレームにストッパーを設けて、接地極板の位置決めをする請求項1〜14いずれか記載の電気集じん機。
【請求項16】
接地極板が枠体の外側へずれないように、接地極板挿入後に仕切板13を枠体に固定したことを特徴とする請求項1〜15いずれか記載の電気集じん機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−184166(P2010−184166A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28090(P2009−28090)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】