電気集塵機
【課題】スパークを抑制するスペーサーを設けるとともに、スペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させる電気集塵機の実現を目的としている。
【解決手段】流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部2と、前記帯電部2の下流側に配置して帯電した粒子を集塵する集塵部3からなる2段式の電気集塵機において、集塵部3は高電圧を印加する高圧極板23とアースに接続する接地極板24を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、高圧極板23と接地極板24の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁スペーサー35を設け、高圧極板23に高電圧を印加しないときに、高圧極板23もしくは接地極板24のどちらかにのみ接するように絶縁スペーサー35を配置したことによりスペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させることができる。
【解決手段】流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部2と、前記帯電部2の下流側に配置して帯電した粒子を集塵する集塵部3からなる2段式の電気集塵機において、集塵部3は高電圧を印加する高圧極板23とアースに接続する接地極板24を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、高圧極板23と接地極板24の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁スペーサー35を設け、高圧極板23に高電圧を印加しないときに、高圧極板23もしくは接地極板24のどちらかにのみ接するように絶縁スペーサー35を配置したことによりスペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に含まれる粉塵を捕集し空気清浄を行うための電気集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気集塵機は空気中に含まれる粉塵を高効率で捕集できるため、あらゆる所で活用されている。
【0003】
特に工業用向けの電気集塵装置は、生産プロセス用除塵・集塵装置として大風量のガス処理に使用されており、燃焼排ガスからの煤塵の除去など、大気汚染の防止、環境対策に多大な貢献をしている。
【0004】
従来の空気を浄化する方法には、フィルター方式と電気集塵方式がある。
【0005】
フィルター式は、ファンによって吸い込んだ粉塵を含んだ空気を、フィルターで濾過し浄化する方式であり、集塵効率が高く浄化装置の構成が簡単というメリットを有するが、圧力損失が大きいため、消費電力が大きく、騒音の点でも不利である。また、フィルターが汚れると交換しなくてはならないため、ランニングコストもかかる。
【0006】
一方、電気集塵方式は、ファンによって吸い込んだ空気に含まれる粉塵を帯電部によって帯電させ、集塵部で発生するクーロン力によって集塵し浄化する方法であり、原理的にはフィルターを用いた浄化装置よりも細かな粒子を集塵することができ、基本的に電極を洗って再生使用するため、ランニングコストは低い。また、フィルターを用いていないため、圧力損失が低く、とくに工業用向けとしては、汚れたフィルターという産業廃棄物が発生しない電気集塵機が多く使われる。
【0007】
この電気集塵機のメカニズムを以下に概略的に説明する。
【0008】
電気集塵機は帯電部、集塵部と送風機によって構成される。
【0009】
まず送風機によって粉塵を含んだ空気が帯電部へ送られる。
【0010】
帯電部ではコロナ放電が常時発生しており、ここを通過する粉塵はコロナ放電により一方の極性に帯電し、次に集塵部へ送られる。
【0011】
集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続された接地極板が交互に配置され、高圧極板に高電圧を印加すると高圧極板と接地極板との間に電界が発生し、ここへ送られた帯電した粉塵はクーロン力によって一方の極板へ引き寄せられ捕集することができる。
【0012】
しかし、このような従来の電気集塵機は、集塵効率を高めるために高圧極板の印加電圧を上げたり、高圧極板と接地極板との極間距離を狭くすると、スパークが発生し電気集塵の性能が大幅に低下するという問題があった。
【0013】
高圧極板の印加電圧を下げたり、高圧極板と高圧極板と接地極板との極間距離を大きくすれば上記問題は解決するが、荷電された粉塵に働くクーロン力が低下するため、電気集塵の性能が低下する。
【0014】
また、高圧極板に高電圧を印加するとき、高圧極板と接地極板に互いを引きつけるクーロン力が働き両極板が接近する結果、スパークが発生するため、あらかじめ高圧極板と接地極板の極間距離を大きめにとる必要があり、集塵性能が低い構成で使用しなければならないという問題もあった。
【0015】
そこで、高圧極板と接地極板との間でのスパークを抑制するとともに、集塵性能を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0016】
この方法を以下に図9を用いて説明する。
【0017】
図9は集塵部の従来例であり、高圧極板91もしくは接地極板92のいずれか一方の極板を絶縁被覆することにより、極間に発生するスパークを抑制することができる。
【0018】
さらに、高圧極板91と接地極板92の間に両極板に接しており、スパークが発生する極間距離より長いスペーサー93を挿入することにより、両極板が接近することによるスパークの発生を防ぐため、両極板の極間距離を大きめにとる必要がなくなり、比較的高い集塵性能を得ることができる。
【特許文献1】実開昭62−24950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来の方法では、スペーサーが高圧極板および接地極板に接触するポイントが多数存在し、高圧極板に保持されている電荷がスペーサーの表面を介し接地極板へわずかに流れる(リークする)ため、電気集塵機がもつ本来の集塵性能を発揮することができないという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、スパークを抑制するスペーサーを設けるとともに、スペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させる電気集塵機の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記従来の課題を解決するために、本発明の電気集塵機は、流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部と、前記帯電部の下流側に配置して帯電した前記粒子を集塵する集塵部からなる2段式の電気集塵機において、前記集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続する接地極板を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、前記高圧極板と前記接地極板の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁体のスペーサーを設け、前記高圧極板に高電圧を印加しないときに、前記高圧極板もしくは前記接地極板のどちらかにのみ接するように絶縁体スペーサーを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、スパークを抑制するスペーサーを設けるとともに、スペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させる電気集塵機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の請求項1記載の発明は、流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部と、帯電部の下流側に配置して帯電した粒子を集塵する集塵部からなる2段式の電気集塵機において、集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続する接地極板を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、高圧極板と接地極板の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁体のスペーサーを設け、高圧極板に高電圧を印加しないときに、高圧極板もしくは接地極板のどちらかにのみ接するように絶縁体スペーサーを配置したものであり、クーロン力により接近する高圧極板と接地極板との極間距離が、スパークする距離まで接近しないためスパークせず、さらに高圧極板および接地極板がスペーサーと接触する面積が減るため、リーク電流を小さくすることができ、集塵効率が向上させることができる。
【0024】
本発明の請求項2記載の発明は、スペーサーが、高圧極板の両面にのみ配置されたものであり、フレームにスペーサーを配置する必要がないため、フレーム用の冶具が必要ない構成にすることができる。
【0025】
本発明の請求項3記載の発明は、スペーサーは、高圧極板および接地極板の同一方向の片面にのみ配置されたものであり、極板の両面にスペーサーを配置する必要がないため、スペーサーを両面に配置するための特殊な冶具が必要ない構成にすることができる。
【0026】
本発明の請求項4記載の発明は、高圧極板は接地極板同士の中間位置からずれている位置に配置し、高圧極板と接地極板との極間距離が狭い方にスペーサーを配置するものであり、高圧極板に高電圧を印加するときに、高圧極板と接地極板がクーロン力によって接近する方向を制御することができるため、スペーサーの配置数を少なくすることができ、送風抵抗を小さくすることができる。
【0027】
本発明の請求項5記載の発明は、高圧極板を絶縁被覆し、絶縁被覆上にスペーサーを配置するものであり、高圧極板と接地極板との極間における絶縁抵抗が増加するためスパークが発生する距離を小さくすることができるため、スパークを抑制することができる。また、高電圧が印加されている部分を保護しているため、人が誤って接触した場合でも、高電流が流れないようにすることができる。
【0028】
本発明の請求項6記載の発明は、スペーサーは、極板と平行な断面形状が翼形状であり、翼形状であるスペーサーの翼先端がガス流入方向に向いているものであり、スペーサーを配置することによる圧力損失の増大を抑制することができるため、省エネルギー化することができる。
【0029】
本発明の請求項7記載の発明は、高圧極板と接地極板は支持体によって支持されており、スペーサーは高圧極板および接地極板において支持体からもっとも遠い位置に少なくとも一つ配置するものであり、クーロン力により極板が最も変化しやすい位置に配置することによってスペーサーの配置数を最小限にすることができるため、スペーサーの配置数を少なくし、リーク電流を小さくすることができ、送風抵抗を小さくすることができる。
【0030】
本発明の請求項8記載の発明は、スペーサーの高さは、スパークを起こす距離より1mm以上高いものであり、高圧極板と接地極板が接近しスパークを起こす距離は、湿度などの外的要因により、0.1mmオーダーでの変化があるため、1mmの余裕を持たせることにより、スパーク距離に変化が起きても、スパークを発生させない。
【0031】
本発明の請求項9記載の発明は、スペーサーの材質は合成樹脂であるものであり、合成樹脂は成形性が良いため、スペーサーの形状が複雑化しても簡単に作成することができる。
【0032】
本発明の請求項10記載の発明は、スペーサーは高圧極板もしくは接地極板と接着手段によって接着しているものであり、スペーサーと絶縁被膜を別々に作成することができるため、スペーサーの形状が複雑化しても簡単に作成することができる。
【0033】
本発明の請求項11記載の発明は、接着手段は溶着であるものであり、接合する樹脂部材の接合面を融点以上まで加熱し圧力を加え、その接合面で分子結合が起きるため、接合の強度が強く、信頼性がある。
【0034】
本発明の請求項12記載の発明は、溶着は超音波溶着であるものであり、樹脂に縦方向の超音波振動(15〜100kHz程度)を与え、摩擦熱により局所的瞬間的に昇温させ、接合面の樹脂が完全に溶融するため、高い気密性が得られる。また、同材質同士の溶着であれば母材強度に近いレベルで溶着することができる。
【0035】
本発明の請求項13記載の発明は、絶縁被覆した高圧極板のスペーサーを配置する位置に穴を設けるものであり、スペーサーと絶縁被覆を溶着するとき、スペーサーを配置する面の裏側から熱を与えることができるため、作業性が良くすることができる。
【0036】
本発明の請求項14記載の発明は、スペーサーは絶縁被覆と一体化しているものであり、接着するための端面がないため、母材レベルの強度、耐久性を得ることができる。
【0037】
本発明の請求項15記載の発明は、絶縁被覆はエンボス加工を施されているものであり、エンボス加工は、裏面を押し上げて浮かす加工であるため、シート状の絶縁被覆により成型が可能なため、極板に被覆しやすく作業性に優れる。
【0038】
以下、本発明による実施の形態の電気集塵機について、図面を参照して説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は電気集塵機の全体構成図である。
【0040】
図1に示すように、ダクト1内に、空気中に含まれる粉塵を帯電させる帯電部2と、帯電された粉塵を捕集する集塵部3とを備え、集塵部3の下流には、ダクト1内に粉塵を含んだ空気を引き込むための送風手段4である送風機を備えている。5は、帯電部2と集塵部3に高電圧を供給する高電圧発生手段で、本実施の形態1では直流高圧電源であり、電流検出手段7と制御器6が電気的に接続されている。
【0041】
次に、図1における動作を説明する。
【0042】
まず送風機の吸引力によって、ダクト1内に流入した粉塵を含む空気は、帯電部2を通過する。帯電部2では常時コロナ放電が発生しており、粉塵が帯電部2を通過する際にコロナ放電によって帯電され、集塵部3へ送られる。
【0043】
集塵部3では電場を形成しており、帯電した粉塵が集塵部3を通過する際に電界によるクーロン力によって捕集、除去され、清浄空気となって送風機から機外へ排出される。
【0044】
このとき、帯電部2および集塵部3へは、高電圧発生手段5から直流高電圧(例えば、帯電部2へは−8kV、集塵部3へは−8kV)が供給され、これらの制御は制御器6によって行われる。
【0045】
図2は帯電部2と集塵部3の斜視構成図である。
【0046】
帯電部2は高電圧を印加する放電電極21とアースに接続された接地電極22が空気の流れ方向に対して平行に積層配置されており、集塵部3は高電圧を印加する高圧極板23とアースに接続された接地極板24が空気の流れ方向に平行に積層配置されている。
【0047】
ここで、放電電極21の形状は高い放電電流が得られるような形状であれば良く、例えば丸線、とげ付き線、突起つき帯板、針付き平板などがあるが、本実施例では針付き平板を用いている。
【0048】
粉塵を含んだ空気は、帯電部2の放電電極21と接地電極22との隙間、および集塵部3の高圧極板23と接地極板24との隙間を矢印のように流れる。
【0049】
帯電部2は、例えば放電電極21にマイナスの電圧を印加することにより、放電電極21と接地電極22との間にコロナ放電が発生し、粉塵を負の極性に帯電させる。
【0050】
また、集塵部3では、例えば高圧極板23にマイナスの電圧を印加することにより、高圧極板23と接地極板24との間に、極板に対して垂直に電場が形成され、負に帯電した粉塵は接地極板24へと引き寄せられ、捕集される。
【0051】
ここで、放電電極21、接地電極22、高圧極板23、接地極板24の材質は比強度、硬度、耐摩耗性、耐腐食性に優れた素材を用いるのがよく、ここではステンレスを使用している。
【0052】
図3は集塵部3の詳細図である。
【0053】
集塵部3は高電圧を印加する高圧極板23とアースに接続された接地極板24とフレーム31が空気の流れ方向に対して平行に積層配置されており、接地極板24は接地極板支持体33によってフレーム31に支持され、また、高圧極板23は高圧極板支持体32によって碍子を介してフレーム31に支持されアースに接触しない構成になっている。
【0054】
高圧極板23は絶縁フィルム34によって被覆されており、高圧極板23において高圧極板支持体32からもっとも遠い位置に絶縁スペーサー35を高圧極板23の両面にのみ配置している。
【0055】
高圧極板23を絶縁被覆することにより、高圧極板23と接地極板24との極間における絶縁抵抗が増加するためスパークの発生を抑制することができ、また高電圧を印加する部分が保護されているため、人が誤って接触した場合でも、高電流が流れず、安全性に優れる構成となる。
【0056】
また、高圧極板支持体32からもっとも遠い位置に絶縁スペーサー35を配置することにより、クーロン力で極板が最も変形しやすい位置に配置することによって絶縁スペーサー35の配置数を最小限にすることができるため、送風抵抗を小さくすることができる。
【0057】
また、絶縁スペーサー35を高圧極板23の両面にのみ配置することによって、フレーム31に絶縁スペーサー35を配置する必要がなくなるため、フレーム31に絶縁スペーサー35を接着するための特殊な冶具を必要としない構成にすることができる。
【0058】
なお、図4のように絶縁スペーサー35は、高圧極板23および接地極板24の同一方向の片面にのみ配置してもよい。上記構成にすることによって極板の両面に絶縁スペーサー35を配置する必要がないため、極板の両面に絶縁スペーサーを接着するための特殊な冶具を必要としない構成にすることができる。
【0059】
絶縁スペーサー35の形状は、極板と平行な断面形状が翼形状であり、翼形状であるスペーサーの翼先端がガス流入方向に向いている。
【0060】
図5は絶縁スペーサー35の極板と平行な断面図である。矢印は流入した空気の風路を示している。絶縁スペーサー35の断面形状を図5のような形状にすることによって通風抵抗を小さくすることができる。
【0061】
ここで通風抵抗の大きな起因として、圧力抵抗を挙げることができる。断面積が大きくても形状が翼形状であると、空気が流線状に流れるため流れの速度変化が小さく、圧力抵抗に変換されることもないため通風抵抗が小さくなる。また、断面積が小さいほうが通風抵抗は小さくなるが、接着や溶着を行う場合には接合強度が十分に得られる程度の断面積は最低限必要である。
【0062】
絶縁スペーサー35の材質は、絶縁性が高いものを選定する必要があるが、成形性が良く作業性が向上するため、合成樹脂を用いる。ここで合成樹脂であるなら詳細は問わないが、例えば、ポリエステル・エポキシ樹脂・メラミン樹脂・フェノール樹脂・ポリウレタン等が挙げられる。
【0063】
また、合成樹脂には、加熱すると溶ける性質を持つ熱可塑性合成樹脂と、加熱すると硬化する性質を持つ熱硬化性合成樹脂がある。
【0064】
絶縁スペーサー35もしくは高圧極板23に被覆されている絶縁フィルム34が熱可塑性合成樹脂である場合、絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34を別々に製作した後、溶着で接合することができる。絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34を別々に作成することによって、絶縁スペーサー35の形状が複雑化しても簡単に作成することができ、溶着を行うことによって加熱と圧力でその接合面で分子結合が起きるため、接合強度が強く、信頼性がある。さらに、超音波溶着を用いると接合面の樹脂が完全に溶融する為、高い気密性が得られ、同材質同士の溶着であれば母材強度に近いレベルで溶着することができる。ここで、熱可塑性合成樹脂にはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。
【0065】
また、絶縁フィルム34によって被覆されている高圧極板23において絶縁スペーサー35を配置する位置に穴を設けておけば、絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34を溶着するとき、絶縁スペーサー35を配置する面の裏側から熱を与えることができ、作業性を良くすることができる。
【0066】
一方、絶縁スペーサー35および高圧極板23に被覆されている絶縁フィルム34が熱硬化性合成樹脂である場合、絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34が一体化している構成となる。具体的には絶縁フィルム34にエンボス加工を施すことによって絶縁フィルム34が絶縁スペーサー35の役割も果たす構成となっている。エンボス加工とは絶縁フィルム34の裏面を押し上げて浮かす加工であり、絶縁フィルム34により成型が可能なため、極板に被覆しやすく作業性に優れる。
【0067】
なお、絶縁スペーサー35および高圧極板23に被覆されている絶縁フィルム34が熱硬化性合成樹脂である場合は、接着剤によって接着を行っても良い。接着剤の素材としては合成樹脂系であれば良く、作業性に優れ、少量の加工でも対応可能となる。ここで、熱硬化性合成樹脂にはポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0068】
絶縁スペーサー35の高さは、高圧極板23および接地極板24の極間においてスパークが発生する距離より高く、接地極板24には接触していない構成となっている。詳細は後述するが、高圧極板23に高電圧を印加するとき高圧極板23と接地極板24とがクーロン力によって引き付けあうため、絶縁スペーサー35の高さはスパークが発生する距離よりわずかでも高い必要がある。
【0069】
ただし、スパークが発生する距離は、湿度などの外的要因により変化するため、絶縁スペーサーの高さにある程度の余裕を持たせるほうが良い。
【0070】
そこで、湿度によってスパークが発生する距離にどの程度変化が起きるかを調査するために、以下のような実験を行った。
【0071】
実験は平行平板を用い、温度を一定にした状態で湿度を変化させ、平行平板間でスパークが発生する距離を測定した。平行平板のうち一方の平板は厚みが100μmのPETフィルムで絶縁被膜され、直流電源により−10.0kVを印加しており、もう一方の平板はアースに接続されている。温度は恒温槽により25℃に一定にし、湿度を20%、50%、80%に変化させ、それぞれの条件でスパークが発生する距離を測定する。
【0072】
この実験結果を図6に示す。湿度が20%から80%まで変化すると、スパークが発生する距離が0.5mm変化することがわかる。
【0073】
この結果をもとに絶縁スペーサー35の高さを決定するが、湿度0%〜100%までの変化を考慮して、絶縁スペーサーの高さはスパークが発生する距離より、実験値の2倍、1mm高いこととする。
【0074】
次に、集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したときの動作について説明を行う。
【0075】
図7は、集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したときの概略図である。
【0076】
集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したとき、極板にはクーロン力が発生する。極板に発生するクーロン力は以下の式(1)にて表される。
【0077】
F = Q ・ E / 2 ・・・(1)
ここで、F:高圧極板に働くクーロン力[N]、Q:高圧極板の電荷量[C]、 E:電界強度[V/m]である。
【0078】
式(1)よりクーロン力は極間距離に反比例することがわかる。仮に各極間距離が正確に等しければ、極板の左右に発生するクーロン力が等しくなり静止する。
【0079】
しかし、実際には各極間距離が正確に等しいということはなく、わずかな誤差を含んでいる。図7に示すように、例えば左の高圧極板23に主観をおき、高圧極板23の左右の極間距離がそれぞれXl、Xrとし、Xl>Xrのとき、高圧極板23の左右に発生するクーロン力において右に働くクーロン力が大きくなるため、その位置で高圧極板23と接地極板24が接近する。このとき、高圧極板23と接地極板24の間に配置した絶縁スペーサー35は、極間でスパークが発生する距離より高いため、スパークが発生させる距離まで接近することを阻止することができる。このとき、高圧極板23の右側に配置している絶縁スペーサー35は接地極板24と接触していないため、リーク電流が小さくなり集塵効率を向上させることができる。
【0080】
また、集塵部3全体でみたとき、クーロン力の均衡が保っている個所では、絶縁スペーサー35を介して高圧極板23と接地極板24が接触していないため、リーク電流が小さくなり集塵効率を向上させることができる。
【0081】
このように本発明の実施の形態1の電気集塵機によれば、スパークを抑制するスペーサーを設けるとともに、スペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させる電気集塵機を実現することができる。
【0082】
(実施の形態2)
図7は、本発明の電気集塵機の他の実施の形態を示す構成図である。なお、実施の形態1と同様の構成や作用を有するものについては同一符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
アースに接続された接地極板24とフレーム31が空気の流れ方向に平行に積層配置されており、フレーム31と隣り合う接地極板24との中間および、隣り合う接地極板24同士の中間から少しずれた位置で空気の流れ方向に平行に高電圧を印加する高圧極板23を配置している。絶縁スペーサー35は高圧極板23において、高圧極板23と接地極板24の極間が狭いほうの片面に配置されている。
【0084】
次に、集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したときの動作について説明を行う。
【0085】
前述したように、高圧極板23に高電圧を印加するとき、高圧極板23と接地極板24にクーロン力が働き、極間が狭くなる。実施の形態1では、高圧極板23はその左右にある接地極板24のどちら側に引き付けられるかわからないため、高圧極板23の両面に絶縁スペーサー35を配置する必要があった。
【0086】
本実施例では高圧極板23の左右にある接地極板24との極間距離に対して、広いところと狭いところを設けることにより、クーロン力によって高圧極板23と接地極板24が引き付けられる位置を制御することができるため、そこにのみ絶縁スペーサー35を設けることができるため、絶縁スペーサー35の配置数を少なくすることができ、また通風抵抗を小さくすることができる。
【0087】
このように本発明の実施の形態2の電気集塵機によれば、スパークを抑制する絶縁スペーサー35の配置数を最小限にし、集塵性能を向上させる電気集塵機を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、空気中に可燃性物質が含まれている場合の空気清浄方式として有効であり、火花放電の発生を抑えて集塵効率を向上させることができる電気集塵機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1の電気集塵機を示す断面構成図
【図2】同帯電部と集塵部の斜視構成図
【図3】同集塵部の詳細図
【図4】同集塵部の他の例を示す詳細図
【図5】同絶縁スペーサーの断面図
【図6】同湿度を変化させたときのスパークの発生距離の実験結果を示すグラフ
【図7】同集塵部の高圧極板に高電圧を印加したときの詳細図
【図8】本発明の実施の形態2の集塵部を示す詳細図
【図9】従来の電気集塵機を示す図
【符号の説明】
【0090】
1 ダクト
2 帯電部
3 集塵部
4 送風手段
5 高電圧発生手段
6 制御器
7 電流検出手段
21 放電電極
22 接地電極
23 高圧極板
24 接地極板
31 フレーム
32 高圧極板支持体
33 接地極板支持体
34 絶縁フィルム
35 絶縁スペーサー
91 高圧極板
92 接地極板
93 スペーサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に含まれる粉塵を捕集し空気清浄を行うための電気集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気集塵機は空気中に含まれる粉塵を高効率で捕集できるため、あらゆる所で活用されている。
【0003】
特に工業用向けの電気集塵装置は、生産プロセス用除塵・集塵装置として大風量のガス処理に使用されており、燃焼排ガスからの煤塵の除去など、大気汚染の防止、環境対策に多大な貢献をしている。
【0004】
従来の空気を浄化する方法には、フィルター方式と電気集塵方式がある。
【0005】
フィルター式は、ファンによって吸い込んだ粉塵を含んだ空気を、フィルターで濾過し浄化する方式であり、集塵効率が高く浄化装置の構成が簡単というメリットを有するが、圧力損失が大きいため、消費電力が大きく、騒音の点でも不利である。また、フィルターが汚れると交換しなくてはならないため、ランニングコストもかかる。
【0006】
一方、電気集塵方式は、ファンによって吸い込んだ空気に含まれる粉塵を帯電部によって帯電させ、集塵部で発生するクーロン力によって集塵し浄化する方法であり、原理的にはフィルターを用いた浄化装置よりも細かな粒子を集塵することができ、基本的に電極を洗って再生使用するため、ランニングコストは低い。また、フィルターを用いていないため、圧力損失が低く、とくに工業用向けとしては、汚れたフィルターという産業廃棄物が発生しない電気集塵機が多く使われる。
【0007】
この電気集塵機のメカニズムを以下に概略的に説明する。
【0008】
電気集塵機は帯電部、集塵部と送風機によって構成される。
【0009】
まず送風機によって粉塵を含んだ空気が帯電部へ送られる。
【0010】
帯電部ではコロナ放電が常時発生しており、ここを通過する粉塵はコロナ放電により一方の極性に帯電し、次に集塵部へ送られる。
【0011】
集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続された接地極板が交互に配置され、高圧極板に高電圧を印加すると高圧極板と接地極板との間に電界が発生し、ここへ送られた帯電した粉塵はクーロン力によって一方の極板へ引き寄せられ捕集することができる。
【0012】
しかし、このような従来の電気集塵機は、集塵効率を高めるために高圧極板の印加電圧を上げたり、高圧極板と接地極板との極間距離を狭くすると、スパークが発生し電気集塵の性能が大幅に低下するという問題があった。
【0013】
高圧極板の印加電圧を下げたり、高圧極板と高圧極板と接地極板との極間距離を大きくすれば上記問題は解決するが、荷電された粉塵に働くクーロン力が低下するため、電気集塵の性能が低下する。
【0014】
また、高圧極板に高電圧を印加するとき、高圧極板と接地極板に互いを引きつけるクーロン力が働き両極板が接近する結果、スパークが発生するため、あらかじめ高圧極板と接地極板の極間距離を大きめにとる必要があり、集塵性能が低い構成で使用しなければならないという問題もあった。
【0015】
そこで、高圧極板と接地極板との間でのスパークを抑制するとともに、集塵性能を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0016】
この方法を以下に図9を用いて説明する。
【0017】
図9は集塵部の従来例であり、高圧極板91もしくは接地極板92のいずれか一方の極板を絶縁被覆することにより、極間に発生するスパークを抑制することができる。
【0018】
さらに、高圧極板91と接地極板92の間に両極板に接しており、スパークが発生する極間距離より長いスペーサー93を挿入することにより、両極板が接近することによるスパークの発生を防ぐため、両極板の極間距離を大きめにとる必要がなくなり、比較的高い集塵性能を得ることができる。
【特許文献1】実開昭62−24950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来の方法では、スペーサーが高圧極板および接地極板に接触するポイントが多数存在し、高圧極板に保持されている電荷がスペーサーの表面を介し接地極板へわずかに流れる(リークする)ため、電気集塵機がもつ本来の集塵性能を発揮することができないという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、スパークを抑制するスペーサーを設けるとともに、スペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させる電気集塵機の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記従来の課題を解決するために、本発明の電気集塵機は、流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部と、前記帯電部の下流側に配置して帯電した前記粒子を集塵する集塵部からなる2段式の電気集塵機において、前記集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続する接地極板を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、前記高圧極板と前記接地極板の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁体のスペーサーを設け、前記高圧極板に高電圧を印加しないときに、前記高圧極板もしくは前記接地極板のどちらかにのみ接するように絶縁体スペーサーを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、スパークを抑制するスペーサーを設けるとともに、スペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させる電気集塵機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の請求項1記載の発明は、流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部と、帯電部の下流側に配置して帯電した粒子を集塵する集塵部からなる2段式の電気集塵機において、集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続する接地極板を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、高圧極板と接地極板の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁体のスペーサーを設け、高圧極板に高電圧を印加しないときに、高圧極板もしくは接地極板のどちらかにのみ接するように絶縁体スペーサーを配置したものであり、クーロン力により接近する高圧極板と接地極板との極間距離が、スパークする距離まで接近しないためスパークせず、さらに高圧極板および接地極板がスペーサーと接触する面積が減るため、リーク電流を小さくすることができ、集塵効率が向上させることができる。
【0024】
本発明の請求項2記載の発明は、スペーサーが、高圧極板の両面にのみ配置されたものであり、フレームにスペーサーを配置する必要がないため、フレーム用の冶具が必要ない構成にすることができる。
【0025】
本発明の請求項3記載の発明は、スペーサーは、高圧極板および接地極板の同一方向の片面にのみ配置されたものであり、極板の両面にスペーサーを配置する必要がないため、スペーサーを両面に配置するための特殊な冶具が必要ない構成にすることができる。
【0026】
本発明の請求項4記載の発明は、高圧極板は接地極板同士の中間位置からずれている位置に配置し、高圧極板と接地極板との極間距離が狭い方にスペーサーを配置するものであり、高圧極板に高電圧を印加するときに、高圧極板と接地極板がクーロン力によって接近する方向を制御することができるため、スペーサーの配置数を少なくすることができ、送風抵抗を小さくすることができる。
【0027】
本発明の請求項5記載の発明は、高圧極板を絶縁被覆し、絶縁被覆上にスペーサーを配置するものであり、高圧極板と接地極板との極間における絶縁抵抗が増加するためスパークが発生する距離を小さくすることができるため、スパークを抑制することができる。また、高電圧が印加されている部分を保護しているため、人が誤って接触した場合でも、高電流が流れないようにすることができる。
【0028】
本発明の請求項6記載の発明は、スペーサーは、極板と平行な断面形状が翼形状であり、翼形状であるスペーサーの翼先端がガス流入方向に向いているものであり、スペーサーを配置することによる圧力損失の増大を抑制することができるため、省エネルギー化することができる。
【0029】
本発明の請求項7記載の発明は、高圧極板と接地極板は支持体によって支持されており、スペーサーは高圧極板および接地極板において支持体からもっとも遠い位置に少なくとも一つ配置するものであり、クーロン力により極板が最も変化しやすい位置に配置することによってスペーサーの配置数を最小限にすることができるため、スペーサーの配置数を少なくし、リーク電流を小さくすることができ、送風抵抗を小さくすることができる。
【0030】
本発明の請求項8記載の発明は、スペーサーの高さは、スパークを起こす距離より1mm以上高いものであり、高圧極板と接地極板が接近しスパークを起こす距離は、湿度などの外的要因により、0.1mmオーダーでの変化があるため、1mmの余裕を持たせることにより、スパーク距離に変化が起きても、スパークを発生させない。
【0031】
本発明の請求項9記載の発明は、スペーサーの材質は合成樹脂であるものであり、合成樹脂は成形性が良いため、スペーサーの形状が複雑化しても簡単に作成することができる。
【0032】
本発明の請求項10記載の発明は、スペーサーは高圧極板もしくは接地極板と接着手段によって接着しているものであり、スペーサーと絶縁被膜を別々に作成することができるため、スペーサーの形状が複雑化しても簡単に作成することができる。
【0033】
本発明の請求項11記載の発明は、接着手段は溶着であるものであり、接合する樹脂部材の接合面を融点以上まで加熱し圧力を加え、その接合面で分子結合が起きるため、接合の強度が強く、信頼性がある。
【0034】
本発明の請求項12記載の発明は、溶着は超音波溶着であるものであり、樹脂に縦方向の超音波振動(15〜100kHz程度)を与え、摩擦熱により局所的瞬間的に昇温させ、接合面の樹脂が完全に溶融するため、高い気密性が得られる。また、同材質同士の溶着であれば母材強度に近いレベルで溶着することができる。
【0035】
本発明の請求項13記載の発明は、絶縁被覆した高圧極板のスペーサーを配置する位置に穴を設けるものであり、スペーサーと絶縁被覆を溶着するとき、スペーサーを配置する面の裏側から熱を与えることができるため、作業性が良くすることができる。
【0036】
本発明の請求項14記載の発明は、スペーサーは絶縁被覆と一体化しているものであり、接着するための端面がないため、母材レベルの強度、耐久性を得ることができる。
【0037】
本発明の請求項15記載の発明は、絶縁被覆はエンボス加工を施されているものであり、エンボス加工は、裏面を押し上げて浮かす加工であるため、シート状の絶縁被覆により成型が可能なため、極板に被覆しやすく作業性に優れる。
【0038】
以下、本発明による実施の形態の電気集塵機について、図面を参照して説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は電気集塵機の全体構成図である。
【0040】
図1に示すように、ダクト1内に、空気中に含まれる粉塵を帯電させる帯電部2と、帯電された粉塵を捕集する集塵部3とを備え、集塵部3の下流には、ダクト1内に粉塵を含んだ空気を引き込むための送風手段4である送風機を備えている。5は、帯電部2と集塵部3に高電圧を供給する高電圧発生手段で、本実施の形態1では直流高圧電源であり、電流検出手段7と制御器6が電気的に接続されている。
【0041】
次に、図1における動作を説明する。
【0042】
まず送風機の吸引力によって、ダクト1内に流入した粉塵を含む空気は、帯電部2を通過する。帯電部2では常時コロナ放電が発生しており、粉塵が帯電部2を通過する際にコロナ放電によって帯電され、集塵部3へ送られる。
【0043】
集塵部3では電場を形成しており、帯電した粉塵が集塵部3を通過する際に電界によるクーロン力によって捕集、除去され、清浄空気となって送風機から機外へ排出される。
【0044】
このとき、帯電部2および集塵部3へは、高電圧発生手段5から直流高電圧(例えば、帯電部2へは−8kV、集塵部3へは−8kV)が供給され、これらの制御は制御器6によって行われる。
【0045】
図2は帯電部2と集塵部3の斜視構成図である。
【0046】
帯電部2は高電圧を印加する放電電極21とアースに接続された接地電極22が空気の流れ方向に対して平行に積層配置されており、集塵部3は高電圧を印加する高圧極板23とアースに接続された接地極板24が空気の流れ方向に平行に積層配置されている。
【0047】
ここで、放電電極21の形状は高い放電電流が得られるような形状であれば良く、例えば丸線、とげ付き線、突起つき帯板、針付き平板などがあるが、本実施例では針付き平板を用いている。
【0048】
粉塵を含んだ空気は、帯電部2の放電電極21と接地電極22との隙間、および集塵部3の高圧極板23と接地極板24との隙間を矢印のように流れる。
【0049】
帯電部2は、例えば放電電極21にマイナスの電圧を印加することにより、放電電極21と接地電極22との間にコロナ放電が発生し、粉塵を負の極性に帯電させる。
【0050】
また、集塵部3では、例えば高圧極板23にマイナスの電圧を印加することにより、高圧極板23と接地極板24との間に、極板に対して垂直に電場が形成され、負に帯電した粉塵は接地極板24へと引き寄せられ、捕集される。
【0051】
ここで、放電電極21、接地電極22、高圧極板23、接地極板24の材質は比強度、硬度、耐摩耗性、耐腐食性に優れた素材を用いるのがよく、ここではステンレスを使用している。
【0052】
図3は集塵部3の詳細図である。
【0053】
集塵部3は高電圧を印加する高圧極板23とアースに接続された接地極板24とフレーム31が空気の流れ方向に対して平行に積層配置されており、接地極板24は接地極板支持体33によってフレーム31に支持され、また、高圧極板23は高圧極板支持体32によって碍子を介してフレーム31に支持されアースに接触しない構成になっている。
【0054】
高圧極板23は絶縁フィルム34によって被覆されており、高圧極板23において高圧極板支持体32からもっとも遠い位置に絶縁スペーサー35を高圧極板23の両面にのみ配置している。
【0055】
高圧極板23を絶縁被覆することにより、高圧極板23と接地極板24との極間における絶縁抵抗が増加するためスパークの発生を抑制することができ、また高電圧を印加する部分が保護されているため、人が誤って接触した場合でも、高電流が流れず、安全性に優れる構成となる。
【0056】
また、高圧極板支持体32からもっとも遠い位置に絶縁スペーサー35を配置することにより、クーロン力で極板が最も変形しやすい位置に配置することによって絶縁スペーサー35の配置数を最小限にすることができるため、送風抵抗を小さくすることができる。
【0057】
また、絶縁スペーサー35を高圧極板23の両面にのみ配置することによって、フレーム31に絶縁スペーサー35を配置する必要がなくなるため、フレーム31に絶縁スペーサー35を接着するための特殊な冶具を必要としない構成にすることができる。
【0058】
なお、図4のように絶縁スペーサー35は、高圧極板23および接地極板24の同一方向の片面にのみ配置してもよい。上記構成にすることによって極板の両面に絶縁スペーサー35を配置する必要がないため、極板の両面に絶縁スペーサーを接着するための特殊な冶具を必要としない構成にすることができる。
【0059】
絶縁スペーサー35の形状は、極板と平行な断面形状が翼形状であり、翼形状であるスペーサーの翼先端がガス流入方向に向いている。
【0060】
図5は絶縁スペーサー35の極板と平行な断面図である。矢印は流入した空気の風路を示している。絶縁スペーサー35の断面形状を図5のような形状にすることによって通風抵抗を小さくすることができる。
【0061】
ここで通風抵抗の大きな起因として、圧力抵抗を挙げることができる。断面積が大きくても形状が翼形状であると、空気が流線状に流れるため流れの速度変化が小さく、圧力抵抗に変換されることもないため通風抵抗が小さくなる。また、断面積が小さいほうが通風抵抗は小さくなるが、接着や溶着を行う場合には接合強度が十分に得られる程度の断面積は最低限必要である。
【0062】
絶縁スペーサー35の材質は、絶縁性が高いものを選定する必要があるが、成形性が良く作業性が向上するため、合成樹脂を用いる。ここで合成樹脂であるなら詳細は問わないが、例えば、ポリエステル・エポキシ樹脂・メラミン樹脂・フェノール樹脂・ポリウレタン等が挙げられる。
【0063】
また、合成樹脂には、加熱すると溶ける性質を持つ熱可塑性合成樹脂と、加熱すると硬化する性質を持つ熱硬化性合成樹脂がある。
【0064】
絶縁スペーサー35もしくは高圧極板23に被覆されている絶縁フィルム34が熱可塑性合成樹脂である場合、絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34を別々に製作した後、溶着で接合することができる。絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34を別々に作成することによって、絶縁スペーサー35の形状が複雑化しても簡単に作成することができ、溶着を行うことによって加熱と圧力でその接合面で分子結合が起きるため、接合強度が強く、信頼性がある。さらに、超音波溶着を用いると接合面の樹脂が完全に溶融する為、高い気密性が得られ、同材質同士の溶着であれば母材強度に近いレベルで溶着することができる。ここで、熱可塑性合成樹脂にはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。
【0065】
また、絶縁フィルム34によって被覆されている高圧極板23において絶縁スペーサー35を配置する位置に穴を設けておけば、絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34を溶着するとき、絶縁スペーサー35を配置する面の裏側から熱を与えることができ、作業性を良くすることができる。
【0066】
一方、絶縁スペーサー35および高圧極板23に被覆されている絶縁フィルム34が熱硬化性合成樹脂である場合、絶縁スペーサー35と絶縁フィルム34が一体化している構成となる。具体的には絶縁フィルム34にエンボス加工を施すことによって絶縁フィルム34が絶縁スペーサー35の役割も果たす構成となっている。エンボス加工とは絶縁フィルム34の裏面を押し上げて浮かす加工であり、絶縁フィルム34により成型が可能なため、極板に被覆しやすく作業性に優れる。
【0067】
なお、絶縁スペーサー35および高圧極板23に被覆されている絶縁フィルム34が熱硬化性合成樹脂である場合は、接着剤によって接着を行っても良い。接着剤の素材としては合成樹脂系であれば良く、作業性に優れ、少量の加工でも対応可能となる。ここで、熱硬化性合成樹脂にはポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0068】
絶縁スペーサー35の高さは、高圧極板23および接地極板24の極間においてスパークが発生する距離より高く、接地極板24には接触していない構成となっている。詳細は後述するが、高圧極板23に高電圧を印加するとき高圧極板23と接地極板24とがクーロン力によって引き付けあうため、絶縁スペーサー35の高さはスパークが発生する距離よりわずかでも高い必要がある。
【0069】
ただし、スパークが発生する距離は、湿度などの外的要因により変化するため、絶縁スペーサーの高さにある程度の余裕を持たせるほうが良い。
【0070】
そこで、湿度によってスパークが発生する距離にどの程度変化が起きるかを調査するために、以下のような実験を行った。
【0071】
実験は平行平板を用い、温度を一定にした状態で湿度を変化させ、平行平板間でスパークが発生する距離を測定した。平行平板のうち一方の平板は厚みが100μmのPETフィルムで絶縁被膜され、直流電源により−10.0kVを印加しており、もう一方の平板はアースに接続されている。温度は恒温槽により25℃に一定にし、湿度を20%、50%、80%に変化させ、それぞれの条件でスパークが発生する距離を測定する。
【0072】
この実験結果を図6に示す。湿度が20%から80%まで変化すると、スパークが発生する距離が0.5mm変化することがわかる。
【0073】
この結果をもとに絶縁スペーサー35の高さを決定するが、湿度0%〜100%までの変化を考慮して、絶縁スペーサーの高さはスパークが発生する距離より、実験値の2倍、1mm高いこととする。
【0074】
次に、集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したときの動作について説明を行う。
【0075】
図7は、集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したときの概略図である。
【0076】
集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したとき、極板にはクーロン力が発生する。極板に発生するクーロン力は以下の式(1)にて表される。
【0077】
F = Q ・ E / 2 ・・・(1)
ここで、F:高圧極板に働くクーロン力[N]、Q:高圧極板の電荷量[C]、 E:電界強度[V/m]である。
【0078】
式(1)よりクーロン力は極間距離に反比例することがわかる。仮に各極間距離が正確に等しければ、極板の左右に発生するクーロン力が等しくなり静止する。
【0079】
しかし、実際には各極間距離が正確に等しいということはなく、わずかな誤差を含んでいる。図7に示すように、例えば左の高圧極板23に主観をおき、高圧極板23の左右の極間距離がそれぞれXl、Xrとし、Xl>Xrのとき、高圧極板23の左右に発生するクーロン力において右に働くクーロン力が大きくなるため、その位置で高圧極板23と接地極板24が接近する。このとき、高圧極板23と接地極板24の間に配置した絶縁スペーサー35は、極間でスパークが発生する距離より高いため、スパークが発生させる距離まで接近することを阻止することができる。このとき、高圧極板23の右側に配置している絶縁スペーサー35は接地極板24と接触していないため、リーク電流が小さくなり集塵効率を向上させることができる。
【0080】
また、集塵部3全体でみたとき、クーロン力の均衡が保っている個所では、絶縁スペーサー35を介して高圧極板23と接地極板24が接触していないため、リーク電流が小さくなり集塵効率を向上させることができる。
【0081】
このように本発明の実施の形態1の電気集塵機によれば、スパークを抑制するスペーサーを設けるとともに、スペーサーからの電荷のリークを抑制し、集塵性能を向上させる電気集塵機を実現することができる。
【0082】
(実施の形態2)
図7は、本発明の電気集塵機の他の実施の形態を示す構成図である。なお、実施の形態1と同様の構成や作用を有するものについては同一符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
アースに接続された接地極板24とフレーム31が空気の流れ方向に平行に積層配置されており、フレーム31と隣り合う接地極板24との中間および、隣り合う接地極板24同士の中間から少しずれた位置で空気の流れ方向に平行に高電圧を印加する高圧極板23を配置している。絶縁スペーサー35は高圧極板23において、高圧極板23と接地極板24の極間が狭いほうの片面に配置されている。
【0084】
次に、集塵部3の高圧極板23に高電圧を印加したときの動作について説明を行う。
【0085】
前述したように、高圧極板23に高電圧を印加するとき、高圧極板23と接地極板24にクーロン力が働き、極間が狭くなる。実施の形態1では、高圧極板23はその左右にある接地極板24のどちら側に引き付けられるかわからないため、高圧極板23の両面に絶縁スペーサー35を配置する必要があった。
【0086】
本実施例では高圧極板23の左右にある接地極板24との極間距離に対して、広いところと狭いところを設けることにより、クーロン力によって高圧極板23と接地極板24が引き付けられる位置を制御することができるため、そこにのみ絶縁スペーサー35を設けることができるため、絶縁スペーサー35の配置数を少なくすることができ、また通風抵抗を小さくすることができる。
【0087】
このように本発明の実施の形態2の電気集塵機によれば、スパークを抑制する絶縁スペーサー35の配置数を最小限にし、集塵性能を向上させる電気集塵機を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、空気中に可燃性物質が含まれている場合の空気清浄方式として有効であり、火花放電の発生を抑えて集塵効率を向上させることができる電気集塵機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1の電気集塵機を示す断面構成図
【図2】同帯電部と集塵部の斜視構成図
【図3】同集塵部の詳細図
【図4】同集塵部の他の例を示す詳細図
【図5】同絶縁スペーサーの断面図
【図6】同湿度を変化させたときのスパークの発生距離の実験結果を示すグラフ
【図7】同集塵部の高圧極板に高電圧を印加したときの詳細図
【図8】本発明の実施の形態2の集塵部を示す詳細図
【図9】従来の電気集塵機を示す図
【符号の説明】
【0090】
1 ダクト
2 帯電部
3 集塵部
4 送風手段
5 高電圧発生手段
6 制御器
7 電流検出手段
21 放電電極
22 接地電極
23 高圧極板
24 接地極板
31 フレーム
32 高圧極板支持体
33 接地極板支持体
34 絶縁フィルム
35 絶縁スペーサー
91 高圧極板
92 接地極板
93 スペーサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部と、前記帯電部の下流側に配置して帯電した前記粒子を集塵する集塵部からなる2段式の電気集塵機において、前記集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続する接地極板を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、前記高圧極板と前記接地極板の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁体のスペーサーを設け、前記高圧極板に高電圧を印加しないときに、前記高圧極板もしくは前記接地極板のどちらかにのみ接するように絶縁体の前記スペーサーを配置したことを特徴とする電気集塵機。
【請求項2】
スペーサーは、高圧極板の両面にのみ配置されたことを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項3】
スペーサーは、高圧極板および接地極板の同一方向の片面にのみ配置されたことを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項4】
高圧極板は接地極板同士の中間位置からずれている位置に配置し、前記高圧極板と前記接地極板との極間距離が狭い方にスペーサーを配置する構成であることを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項5】
高圧極板を絶縁被覆し、前記絶縁被覆上にスペーサーを設けることを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項6】
スペーサーは、極板と平行な断面形状が翼形状であり、前記翼形状である前記スペーサーの翼先端がガス流入方向に向いていることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の電気集塵機。
【請求項7】
高圧極板と接地極板は支持体によって支持されており、スペーサーは前記高圧極板および前記接地極板において前記支持体からもっとも遠い位置に少なくとも一つ配置することを特徴とする請求項1から6いずれか記載の電気集塵機。
【請求項8】
スペーサーの高さは、スパークを起こす距離より1mm以上高いことを特徴とする請求項1から7いずれか記載の電気集塵機。
【請求項9】
スペーサーの材質は合成樹脂であることを特徴とする請求項1から8いずれか記載の電気集塵機。
【請求項10】
スペーサーは高圧極板もしくは接地極板と接着手段によって接着していることを特徴とする請求項9記載の電気集塵機。
【請求項11】
接着手段は溶着であることを特徴とする請求項10記載の電気集塵機。
【請求項12】
溶着は超音波溶着であることを特徴とする請求項11記載の電気集塵機。
【請求項13】
絶縁被覆した高圧極板のスペーサーを配置する位置に穴を設けることを特徴とする請求項11または12記載の電気集塵機。
【請求項14】
スペーサーは絶縁被覆と一体化していることを特徴とする請求項9記載の電気集塵機。
【請求項15】
絶縁被覆はエンボス加工を施されていることを特徴とする請求項14記載の電気集塵機。
【請求項1】
流入ガス中の粒子を帯電させるための帯電部と、前記帯電部の下流側に配置して帯電した前記粒子を集塵する集塵部からなる2段式の電気集塵機において、前記集塵部は高電圧を印加する高圧極板とアースに接続する接地極板を交互に所定間隔を置いて配置する構成であり、前記高圧極板と前記接地極板の間にスパークを起こす距離より長い高さを持つ絶縁体のスペーサーを設け、前記高圧極板に高電圧を印加しないときに、前記高圧極板もしくは前記接地極板のどちらかにのみ接するように絶縁体の前記スペーサーを配置したことを特徴とする電気集塵機。
【請求項2】
スペーサーは、高圧極板の両面にのみ配置されたことを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項3】
スペーサーは、高圧極板および接地極板の同一方向の片面にのみ配置されたことを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項4】
高圧極板は接地極板同士の中間位置からずれている位置に配置し、前記高圧極板と前記接地極板との極間距離が狭い方にスペーサーを配置する構成であることを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項5】
高圧極板を絶縁被覆し、前記絶縁被覆上にスペーサーを設けることを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
【請求項6】
スペーサーは、極板と平行な断面形状が翼形状であり、前記翼形状である前記スペーサーの翼先端がガス流入方向に向いていることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の電気集塵機。
【請求項7】
高圧極板と接地極板は支持体によって支持されており、スペーサーは前記高圧極板および前記接地極板において前記支持体からもっとも遠い位置に少なくとも一つ配置することを特徴とする請求項1から6いずれか記載の電気集塵機。
【請求項8】
スペーサーの高さは、スパークを起こす距離より1mm以上高いことを特徴とする請求項1から7いずれか記載の電気集塵機。
【請求項9】
スペーサーの材質は合成樹脂であることを特徴とする請求項1から8いずれか記載の電気集塵機。
【請求項10】
スペーサーは高圧極板もしくは接地極板と接着手段によって接着していることを特徴とする請求項9記載の電気集塵機。
【請求項11】
接着手段は溶着であることを特徴とする請求項10記載の電気集塵機。
【請求項12】
溶着は超音波溶着であることを特徴とする請求項11記載の電気集塵機。
【請求項13】
絶縁被覆した高圧極板のスペーサーを配置する位置に穴を設けることを特徴とする請求項11または12記載の電気集塵機。
【請求項14】
スペーサーは絶縁被覆と一体化していることを特徴とする請求項9記載の電気集塵機。
【請求項15】
絶縁被覆はエンボス加工を施されていることを特徴とする請求項14記載の電気集塵機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−12400(P2010−12400A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174152(P2008−174152)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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