説明

電気集塵装置の設計システム、設計方法

【課題】電気集塵装置の設計システム、及び設計方法を提供する。
【解決手段】電気集塵装置を設置するエリア10の複数の測定位置26に配置され各測定位置26を中心とした複数の点群画像を生成するレーザースキャン測定器54と、前記エリア10に配置された基準点ターゲット30と、前記複数の点群画像同士を、各点群画像に表れる前記基準点ターゲット30の座標を基準として合成することにより前記エリア10の合成点群画像12を生成する点群画像生成部38と、前記合成点群画像12と、電気集塵装置のCADモデルとを重ねて描画するCADデータ生成部と、を有する電気集塵装置の設計システムであって、前記エリア10における前記測定位置26は、前記電気集塵装置の設置位置の近傍周囲において、前記エリア10の他の領域より多く配置されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵装置の設計システム、設計方法に関し、特に電気集塵装置の設置位置において既存の構造物等との干渉を防止して短期間に設置を行なうための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電所や製鉄所から排出される排ガスの処理系統はNOを除去する脱硝装置、SOを除去する脱硫装置、塵埃を除去する電気集塵装置、熱交換器、ファンなどで構成される。ここで、既存の電気集塵装置の改造或いは増設を行なう場合、増設用スペースのほか、工事用スペース及び既設の配管ダクト等の障害物の回避にも留意する必要がある。
【0003】
特許文献1には、既設の排気ダクトを有する既存設備と増設された新たな電気集塵装置からなる電気集塵設備において、前記既存の排気ダクトの近傍に設置され前記電気集塵装置を所定高さに載置する架構と、前記既設の排気ダクトの排気ガスを前記電気集塵装置に導入する流入ダクトと、前記電気集塵装置で浄化された排気ガスを前記既設の排気ダクトに戻す流出ダクトと、前記両ダクトを前記既設の排気ダクトに連通する接続ダクトが開示されている。
【0004】
特許文献2には、既設の電気集塵装置の内部構成品である集塵極や放電極の更新方法が開示されている。
特許文献3には、原子力プラントの構造物等の製造製作、据付け、及び点検改造の各段階の作業効率を向上させるものとして、原子力プラントの構造物等の設計用CADデータに表されるモデルと、実際に製作された三次元構造物の寸法を三次元的に計測して生成したモデルとの寸法誤差を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2010−159791号公報
【特許文献2】特開平7−96214号公報
【特許文献3】特開2002−7485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1乃至3においては、現場のスペース、既設設備の寸法、障害物等の位置を計測して、新設の電気集塵装置の設計及び据付工事を効率よく行なう方法についての記載はない。
【0007】
既存の電気集塵装置の改造あるいは増設を行なう場合、上述のように増設用スペースの他、工事用スペース、及び既設の配管やダクト等の障害物の回避に関しても留意する必要があるが、電気集塵装置の寸法は通常10〜20メートルの高さ、幅、奥行きがある大型設備であること、また、配管やダクト等は、地上から数メートルから十メートル以上の高さに配置されていることが多く、さらに改造等が繰り返し行なわれた場合には、必ずしも図面の更新が適切に行なわれておらず、現場にて設置スペースや既設設備との位置関係を実測する必要が生じることが多い。
【0008】
これらの測定対象物は、複雑形状であったり、高所に配置されているなど、人手による測定では多大な労力を要し、また、足場等の設置には費用と時間を要する等の問題があった。また計測データをもとに新たに現場の図面を作成する労力も多大なものであった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題に着目し、新たに電気集塵装置を設置するエリア内の既存の構造物等や設置工事の過程でエリア内に置かれる資材やクレーン等の機材、と新たに設置する電気集塵装置との干渉の有無を事前に検討し、電気集塵装置の設置位置において既存の構造物等との干渉を防止して短期間に設置を行なうための電気集塵装置の設計システム、設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る電気集塵装置の設計システムは、第1には、電気集塵装置を設置するエリアの複数の測定位置に配置され各測定位置を中心とした複数の点群画像を生成するレーザースキャン測定器と、前記エリアに配置された基準点ターゲットと、前記複数の点群画像同士を、各点群画像に表れる前記基準点ターゲットの座標を基準として合成することにより前記エリアの合成点群画像を生成する点群画像生成部と、前記合成点群画像と、電気集塵装置のCADモデルとを重ねて描画するCADデータ生成部と、を有する電気集塵装置の設計システムであって、前記エリアにおける前記測定位置は、前記電気集塵装置の設置位置の近傍周囲において、前記エリアの他の領域より多く配置されたことを特徴とする電気集塵装置の設計システム。
【0011】
上記構成により、エリア全体を描画し既存の構造物等を包含する合成点群画像に新たに設置する電気集塵装置のCADモデルを配置することにより、電気集塵装置と構造物等との干渉の有無を確認することができる。よって、構造物等との干渉をチェックしながら電気集塵装置の外形等の設計を行なうことができるので、実際の設置の際に電気集塵装置と構造物等との干渉が回避され、現場での部材寸法の変更や、設計変更等の手間を省き、短時間で電気集塵装置の設計・設置することが可能な電気集塵装置の設計システムとなる。
【0012】
また、点群画像は、パルス状に照射されるレーザー光の照射角と反射光の戻り時間に基づいて生成されるが、測定中は照射角の変化の割合、すなわち角速度は一定であるため、レーザー光を反射する構造物等がレーザースキャン測定器から遠くなるほど、その構造物に対する分解能が低下する。またレーザースキャン測定器から構造物等までの距離が遠くなるほど途中に障害物が介在する確率が高くなり構造物等に対する死角が増えることになる。このためその構造物等のデータに欠損が生じて構造物等を詳細に把握することができず、構造物等と電気集塵装置との干渉の有無を確認することが困難となる。よって上述のように測定位置を、電気集塵装置の設置位置の近傍周囲に多く配置させることにより、電気集塵装置の近傍周囲にある構造物等に対する分解能を向上させるとともに構造物等に対する死角を抑制する。これにより構造物等のデータの欠損を抑制し、構造物等と電気集塵装置との干渉の有無を容易に確認することができる。また電気集塵装置の設置位置の近傍周囲以外の領域は高い設置密度での点群画像を形成する必要はないので、計測に係る作業負担を軽減しつつ合成点群画像を形成することが可能な電気集塵装置の設計システムとなる。
【0013】
第2には、前記レーザースキャン測定器が配置される測定位置のうち、少なくとも1箇所以上は前記電気集塵装置の高さより高くなるように設定されたことを特徴とする。
電気集塵装置は既設の工場や火力発電所等と煙道により接続されている。この煙道は電気集塵装置の上方に設置されることがある。よって測定位置を電気集塵装置の上方にも設置することにより、電気集塵装置の上方にある煙道等の構造物等のデータを欠損なく構築できるので、構造物等と電気集塵装置との干渉の有無を正確に確認することが可能な電気集塵装置の設計システムとなる。
【0014】
第3には、前記CADデータ生成部は、前記電気集塵装置の設置工事の過程で前記エリアに導入する資材及び機材のCADモデルを前記合成点群画像に重ねて描画するとともに、前記エリア内の前記測定位置は、前記資材及び前記機材の通過位置・設置位置において前記エリアの他の領域より多く配置されたことを特徴とする。
【0015】
ここで資材や機材の通過位置・設置位置とは、電気集塵装置の部品が通過する領域や一時的に載置される領域、前記部品を搬入する車両やクレーン等、前記部品を組み立てる際に用いる車両類が通過する領域や停車する領域を含むものとする。よって上述の領域にレーザースキャン測定器の設置位置をエリアの他の領域より多く配置させることにより、搬入・組み立て作業において必要とする領域のデータを欠損なく高い分解能で形成することができる。これにより電気集塵装置の部品や車両等の構造物等との干渉を回避する搬入・組み立ての計画を事前に立てることが可能となり、工期を短縮するとともに安全に搬入・組み立てを行なうことが可能な電気集塵装置の設計システムとなる。
【0016】
第4には、前記測定位置は、互いに隣接する前記測定位置に設置された前記レーザースキャン測定器の測定範囲同士が互いに重複する領域を形成するように配置され、前記基準点ターゲットは、球形に形成されるとともに、前記重複する領域に複数配置されたことを特徴とする。
【0017】
これにより、レーザースキャン測定器が配置される位置が変わり、基準点ターゲットに照射されるレーザー光の角度が変わっても、その反射光がレーザースキャン測定器に戻ることができて測定可能となるとともに、レーザースキャン測定器の位置が変わった際の点群画像合成における正確な座標合わせが可能となる。したがってエリアを描画する合成点群画像を精度よく生成することが可能な電気集塵装置の設計システムとなる。
【0018】
一方、本発明に係る電気集塵装置の設計方法は、第1には、電気集塵装置を設置するエリアに基準点ターゲットを配置し、前記エリアの複数の測定位置に配置されたレーザースキャン測定器により各測定位置を中心とした複数の点群画像を生成し、前記複数の点群画像を各点群画像中に表れる前記基準点ターゲットの座標を基準として合成することにより前記エリアの合成点群画像を生成し、前記合成点群画像に電気集塵装置のCADモデルを重ねて描画する電気集塵装置の設計方法であって、前記エリアにおける前記測定位置を、前記電気集塵装置の設置位置の近傍周囲において、前記エリアの他の領域より多く配置させることを特徴とする。
【0019】
上述の理由により、実際の設置の際に電気集塵装置と構造物等との干渉が回避され、現場での部材寸法の変更や、及び設計変更等の手間を省き、短時間で電気集塵装置の設計・設置することが可能となる。
【0020】
また上述の理由により、構造物等のデータの欠損を抑制し、構造物等と電気集塵装置との干渉の有無を正確に確認することができる。また電気集塵装置の設置位置の周囲以外の領域は高い設置密度で点群画像を形成する必要はないので作業負担を軽減しつつ合成点群画像を形成することができる。
【0021】
第2には、前記レーザースキャン測定器が配置される測定位置のうち、少なくとも1箇所以上は前記電気集塵装置の高さより高くなるように配置することを特徴とする。
上述の理由により、電気集塵装置の上方にある煙道等の構造物等のデータを欠損なく構築できるので、構造物等と電気集塵装置との干渉の有無を容易に確認することが可能となる。
【0022】
第3には、前記電気集塵装置の設置工事の過程で前記エリアに導入される資材及び機材のCADモデルを前記合成三次元点群画像に重ねて描画するとともに、前記エリアの前記測定位置を、前記機材の通過位置・設置位置において前記エリアの他の領域より多く配置させることを特徴とする。
【0023】
上述の理由により、電気集塵装置の部品や車両等の構造物等との干渉を回避する搬入・組み立ての計画を事前に立てることが可能となり、工期を短縮するとともに安全に搬入・組み立てを行なうことが可能となる。
【0024】
第4には、前記測定位置を、互いに隣接する前記測定位置に設置された前記レーザースキャン測定器の測定範囲同士が互いに重複する領域を形成するように配置し、前記基準点ターゲットを、球形に形成するとともに、前記重複する領域に複数配置することを特徴とする。
上述の理由により、エリアを描画する合成点群画像を精度よく生成することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本実施形態に係る電気集塵装置の設計方法、設計システムによれば、電気集塵装置の設置場所における電気集塵装置、電気集塵装置に付属する資材、電気集塵装置を搬入する機材のエリア内の構造物との干渉を高い精度で事前に確認し、工期を短縮し設置コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態が適用されるエリアとレーザースキャン測定器の測定配置、基準点ターゲットの配置点の概略図である。
【図2】エリア内のレーザースキャン測定器の測定位置、基準点ターゲットの配置点の詳細図である。
【図3】本実施形態のシステム構成を示す図である。
【図4】本実施形態の電気集塵装置の設計システムのフロー(その1)を示す図である。
【図5】本実施形態の電気集塵装置の設計システムのフロー(その2)を示す図である。
【図6】エリアの合成点群画像と新設の電気集塵装置のCADモデルを示す図である。
【図7】エリアの合成点群画像に新設の電気集塵装置のCADモデルを重ね合わせた概略図である。
【図8】エリアの合成点群画像に新設の電気集塵装置のCADモデルと機材(クレーン)のCADモデルを重ね合わせた概略図である。
【図9】エリアの合成点群画像に新設の電気集塵装置のCADモデルと機材(クレーン)のCADモデルを重ね合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0028】
図1に本実施形態が適用されるエリアとレーザースキャン測定器の測定配置、基準点ターゲットの配置点の概略図である。エリア10は工場の敷地の一部であり、工場の建屋15、既設の電気集塵装置17、建屋15と電気集塵装置17とを連結する煙道19がある。その他エリア10内には植えられた樹木、電柱、空中に張られた電線などの構造物等がある。そして本実施形態では、既設の電気集塵装置17を撤去し、その撤去場所に新設の電気集塵装置を設置することを目的としている。したがって新設の電気集塵装置が、その設置位置に設置したときに構造物等と干渉するか否かを事前に検討する必要がある。そこで、本実施形態においてはエリア10内の構造物等を三次元で描画する合成点群画像12と、新設の電気集塵装置のCADモデル60(図6参照)を構築し、新設の電気集塵装置のCADモデル60をエリア10の合成点群画像12に重ね合わせ、新設する電気集塵装置と構造物等との干渉の有無を検討する必要がある。
【0029】
また、新設の電気集塵装置の設置は、電気集塵装置をパーツごとに分解して搬送車両で搬送し、現地でクレーン等を用いてパーツを組み立てることにより行なう。よって、このような設置工事に用いる搬送車両やクレーン等の機材、および電気集塵装置を組み立てる際に用いる資材(電気集塵装置のパーツ、電気集塵装置の周辺機器も含む)が通過・配置される位置における構造物等との干渉についても検討する必要がある。したがって上述の資材のCADモデル(不図示)や機材のCADモデル62(図8)も構築して点群合成画像12に重ね合わせ、資材及び機材と点群合成画像12に現れる構造物等との干渉の有無を検討する必要がある。
【0030】
本実施形態においては、新設の電気集塵装置のCADモデル60(図6参照)、資材のCADモデル(不図示)、機材(クレーン)のCADモデル62(図8参照)は三次元のCADデータにより構築するが、その手順は従来技術なので説明を省略する。一方、エリア10の合成点群画像12は後述のようにレーザースキャン測定器54により生成された複数の点群画像データから構築する。
【0031】
レーザースキャン測定器54(Z+F社:IMAGER5600)は、鉛直方向を回転軸として水平方向に回転する本体と、本体に取り付けられとともに仰角を変更可能とされ所定の仰角でパルス状のレーザー光を照射するレーザー光源と、レーザー光源と同一の光軸を有する受光素子等からなる。
【0032】
そして本体を一回転させる間に、所定の仰角に設定されたレーザー光源からレーザー光を照射するとともにその反射光を受光素子で受光する。この工程をレーザー光の仰角を所定の角度ごとに変更し、最終的に全方位にレーザー光を照射してその反射光を受光する。そしてレーザー光源の方位(仰角、水平方位)と、方位に対応するレーザー光の戻り時間と、により、測定位置を中心とする点群画像となる点群画像データを生成する。この点群画像データは後述のコンピュータ32に付属するメモリ34に記憶される。
【0033】
図2にエリア内のレーザースキャン測定器の測定位置、基準点ターゲットの配置点の詳細図を示す。レーザースキャン測定器54から照射されるレーザー光は無限遠まで伝播するが、その反射光の強度は反射源が遠方になるほど小さくなり受光素子がその反射光を検知することが困難となる。よって、レーザースキャン測定器54は実質的には有効測定範囲28を有することになる。そこで、レーザースキャン測定器54の測定位置26をエリア10において複数設定し、各測定位置26において点群画像データを生成する。ここで、隣接する測定位置26に配置されたレーザースキャン測定器54の有効測定範囲28同士が互いに重なるように、且つエリア10全体に有効測定範囲28が及ぶように測定位置26を設定する。これによりエリア10全体を漏れなく点群画像化することができる。
【0034】
また、レーザースキャン測定器54においては、回転速度や仰角の刻み幅を調整することにより、点群画像データの分解能を調整することができる。しかし実効分解能は、レーザースキャン測定器54からレーザー光の反射光を発する構造物等(基準点ターゲットを含む)からの距離が遠いほど低下する。このため点群画像データが表す点群画像は、レーザースキャン測定器54の測定位置26から遠くなるほど、構造物等の詳細を認識することが困難となる。さらにレーザースキャン測定器54の測定位置26から遠い構造物等に対しては、途中に障害物が介在する確率が高くなるので死角が増えることになる。
【0035】
したがって点群画像データにより描画される構造物等の点群画像は部分的に欠損が生じることになり、三次元のCADデータで形成される新設の電気集塵装置のCADモデル60、資材のCADモデル(不図示)、機材(クレーン)のCADモデル62との干渉の有無を確認することが困難となる。そこで本実施形態においてはエリア10全体の合成点群画像12を形成するにあたって、既設の電気集塵装置17の設置位置、すなわち新設の電気集塵装置の設置位置の近傍周囲にレーザースキャン測定器54の測定位置26をエリア10の他の領域よりも多く配置する。これにより新設の電気集塵装置の設置位置に近接する構造物等の点群画像の分解能を高めることができるとともに、構造物等に対する死角も低減されるので、構造物等の点群画像を欠損を抑制して生成することができ、新設の電気集塵装置と構造物等との干渉を容易にチェックすることができる。
【0036】
また本実施形態においては、レーザースキャン測定器54の測定位置26のうち、少なくとも1つ以上は電気集塵装置(既設、新設ともに)の高さより高くなる位置に設定することが好適である。電気集塵装置の周囲にある構造物としては、電気集塵装置に接続する煙道や外付け階段等がある。そしてこれらの構造物は電気集塵装置の高さ程度、若しくはそれ以上の高さを有する。よって測定位置26を地上のみにするとこれらの構造物に対する死角が多くなるので、合成点群画像12に表される構造物等の点群画像に大きな欠損が生じ、新たに設置する電気集塵装置と構造物との干渉のチェックは困難となる。そこで、例えば既設の電気集塵装置の上、外付け階段の上などを測定位置26とすればよい。これにより電気集塵装置の周囲にある構造物の合成点群画像12の欠損を抑制することができる。ただし測定位置26は、地上に配置された基準点ターゲット30から見て死角にならない位置であって、基準点ターゲット30からの距離がレーザースキャン測定器54の有効測定範囲より近くなる位置にする必要がある。
【0037】
さらに本実施形態においては、上述の資材のCADモデル(不図示)、資材のCADモデル(不図示)を前記エリア10の合成点群画像12に重ねて描画する。そして、エリア10における測定位置26を、機材や資材の通過位置・設置位置にエリア10の他の領域より多く配置する。ここで機材や資材の通過位置・設置位置とは、電気集塵装置の部品が通過する領域や一時的に載置される領域、前記部品を搬入する車両や前記部品を組み立てる際に用いる車両(クレーン)が通過する領域や停車する領域を含むものとする。よって上述の領域にレーザースキャン測定器54の測定位置を多く配置することにより、搬入・組み立て作業において必要する領域の合成点群画像12を欠損なく高い分解能で形成することができる。これにより電気集塵装置の部品や車両等の構造物との干渉を回避する搬入・組み立ての計画を事前に立てることが可能となり、工期を短縮するとともに安全に搬入・組み立てを行なうことができる。
【0038】
複数の点群画像データからエリア10の合成点群画像を描画する合成点群画像データを合成するため、エリア10(地面)には、図1に示すように基準点ターゲット30が配置される。基準点ターゲット30は、図1に示すように、金属やプラスティックで形成された球形形状を有している。そして図2に示すように、基準点ターゲット30は同一直線には乗らないように同一の配置点に複数(図2では3つであるが3つ以上でも良い)配置する。これにより複数の基準点ターゲット30が形成する配置形状からレーザースキャン測定器54からの基準点ターゲット30からの方位と距離、すなわち基準点ターゲット30の座標が点群画像データから特定することができる。また基準点ターゲット30を球形形状とすることにより後述の合成点群画像生成部において基準点ターゲット30の座標を特定することが容易となり、容易に合成点群画像データを形成することができる。
【0039】
さらに基準点ターゲット30は、レーザースキャン測定器54の測定位置26の間に配置する。より詳細には2つのレーザースキャン測定器54の隣り合う測定位置26における2つの有効測定範囲28が互いに重複する範囲を配置点とする。これにより隣り合う測定位置26で測定された点群画像データ同士を、各点群画像データに共通に表れる基準点ターゲット30の座標を基準として容易に合成することができる。そしてこの作業を繰り返すことによりエリア10全体の合成点群画像12を表わす合成点群画像データを生成することができる。
【0040】
図3に本実施形態のシステム構成を示す。本実施形態においては、コンピュータ32を中心にシステムが構築されている。コンピュータ32は、二次元CADデータ、CADデータ、点群画像データ、合成点群画像データを記憶可能なメモリ34を有する。ここで二次元CADデータは、例えば施工先から入手したエリア10の平面図であって、既設の電気集塵装置や構造物等が描かれているものである。
【0041】
またコンピュータ32は、入力された複数の点群画像データからエリア10の合成点群画像12を表わす合成点群画像データを生成する合成点群画像生成部38を有する。
さらにコンピュータ32は、二次元CADデータに基づいて生成された後述の電気集塵装置のCADモデル60(図6参照)を表す三次元のCADデータ、後述の機材のCADモデル62(図8参照)を表す三次元のCADデータ、資材のCADモデル(不図示)を表す三次元のCADデータを生成するとともに、これらのCADデータと合成点群画像データとを重ね合わせて描画するCADデータ生成部36を有する。
【0042】
さらにコンピュータ32はユーザインターフェースとして上述のCADモデルを描画する表示装置44に接続された表示制御部42と、キーボード48に接続されたキーボードインターフェース46と、マウス52に接続されたマウスインターフェース50と、レーザースキャン測定器54に接続されたハードウェアインターフェース56と、を有する。そしてこれらの構成要素はバス58により接続され、データの流通を行なうようにしている。
【0043】
CADデータ生成部36は、メモリ34から二次元CADデータを読み出し、マウス52やキーボード48等を用いて新設の電気集塵装置のCADモデル60、資材のCADモデル(不図示)、機材のCADモデル62を二次元CADデータが表わすエリア10の合成点群画像12上に重ねて描画しながらCADデータを生成し、生成したCADデータをメモリ34に記憶する。
【0044】
合成点群画像生成部38は、マウス52やキーボード48の操作を介して、互いに隣り合う測定位置26で計測された2つの点群画像データを読み出して描画し、2つの点群画像データに共通に表れる基準点ターゲット30の点群画像を識別し基準点ターゲット30の座標を特定する。基準点ターゲット30の点群画像の識別は画像認識処理等を用いて行ってもよい。そして共通に表れる基準点ターゲット30の点群画像が互いに重なるように、すなわち、基準点ターゲット30の座標を互いに一致させるように、基準点ターゲット30の点群画像を平行移動、回転させる。この作業は基準点ターゲット30の点群画像の画像認識と同時に演算により行なっても良いし、作業者が基準点ターゲット30の点群画像を認識した上でマウス52やキーボード48の操作により行なっても良い。これにより2つの点群画像が融合した点群画像データが生成される。
【0045】
そして合成点群画像生成部38は先に生成された点群画像データに係る測定位置26に隣接する他の測定位置26に係る点群画像データを読み出す。そして、上述同様に新たに読み出された点群画像データと先に生成された点群画像データに共通に表れる基準点ターゲット30の点群画像・座標に基づいて新たに読み出された点群画像データの点群画像を平行移動・回転させ、先に融合させた点群画像に融合させ、3つの点群画像が融合した点群画像データを生成する。以上の操作を繰り返すことにより、エリア10全体の合成点群画像12を表わす合成点群画像データが形成され、これがメモリ34に記憶される。この合成点群画像データにより現されるエリア10の合成点群画像12には、建屋の点群画像14(図6参照)、既設の電気集塵装置の点群画像16(図6参照)、煙道の点群画像18(図6参照)が含まれる。
【0046】
なお、点群画像データは複数生成されメモリ34に入力されるが、互いに識別できるようにキーボード48またはマウス52の操作によりファイル名を入力した上で記憶するものとする。また合成点群画像生成部38は、合成前の点群画像データにより示されるエリア10の一部を現す点群画像を描画可能である。これにより、その点群画像に欠損があるか否かをチェックし、欠陥が見つかった場合にはレーザースキャン測定器54の設置位置26、分解能を変更するものとする。したがってコンピュータ32は点群画像データを測定するエリア10に配置する、或いはインターネット等を通じてコンピュータ32とレーザースキャン測定器54との間でデータ転送が可能な状態にする必要がある。
【0047】
上述のCADデータ生成部36は、合成点群画像データが表わすエリア10の合成点群画像12とCADデータが表わすCADモデル(新設の電気集塵装置のCADモデル60、機材のCADモデル62)とを重ね合わせて表示するものである。ここでCADデータ生成部36は、合成点群画像データが表わす合成点群画像12中の鉛直方向に延びる構造物等の点群画像を基準とする等により、合成点群画像12の鉛直方向の座標設定を行なう。この座標設定はマウス52やキーボード48の操作により行う。そしてCADデータが表わすCADモデル(新設の電気集塵装置のCADモデル60)を平行移動、水平方向に回転させて、合成点群画像12中の新設の電気集塵装置の設置位置に重ねて表示する。すると新設の電気集塵装置のCADモデル60は既設の電気集塵装置の点群画像16に重ねて表示されるとともに、既設の煙道等の構造物との干渉の有無を確認することができる。
【0048】
さらにCADデータ生成部36は、CADデータに含まれる新設の電気集塵装置を搬入する搬入車両のCADモデル(不図示)や、電気集塵装置を組み立てる際に用いる機材(クレーン)のCADモデル62、そして資材のCADモデル(不図示)を、エリア10の合成点群画像12に重ねて表示させることで、作業時のこれらの機材・資材の構造物との干渉の有無を確認することができる。
【0049】
図4、図5に本実施形態の電気集塵装置の設計システムのフローを示す。また図6に、エリアの合成点群画像と新設の電気集塵装置のCADモデルを示し、図7にエリアの合成点群画像に新設の電気集塵装置のCADモデルを重ね合わせた概略図を示し、図8にエリアの合成点群画像に新設の電気集塵装置のCADモデルと機材(クレーン)のCADモデルを重ね合わせた概略図を示す。ここで、エリア10の合成点群画像12を表す合成点群画像データは点群により表される(図9参照)。しかし、図6、図7、図8においては、簡単のためエリアの合成点群画像12中に現れる構造物の点群画像の輪郭のみを破線で表示するものとする。
【0050】
上記構成による電気集塵装置の設計システムのフローについて説明する。まず、二次元CADデータによる現場配置図(平面図)を見て測定対象とするエリア10の分割(分割エリア(不図示)の生成)、レーザースキャン測定器54(図4においてはレーザ計測器と記載する)の測定位置26、基準点ターゲット30(図4、図5においてはターゲットと記載する)の配置点の検討を行う。
【0051】
そしてエリア10全体を例えば格子状に分割して、M(整数)個の分割エリア(不図示)を設定する。また電気集塵装置を組み立てる際に用いる資材や機材の置き場所を検討するとともに、各分割エリア(不図示)における測定位置26の調整を行う。次に、レーザースキャン測定器54がエリア10全体を測定可能とするようにレーザースキャン測定器54の測定位置26を設定する。このとき、構造物に対して死角があるか否か、または構造物に対する分解能が十分か否か検討する。そして、死角がある場合は、測定位置26を変更するまたは測定位置26を追加し、分解能が得られない(計測密度が不足する)場合は、構造物に測定位置26を接近させる等の調整を行う。
【0052】
特に本実施形態においては、既設の電気集塵装置17(図2参照)の周囲(新設の電気集塵装置の設置位置の周囲)、及び上述の機材・資材の通過位置、配置位置において測定位置26をエリア10の他の領域よりも多く配置し、電気集塵装置の搬入、組み立ての際に干渉し得る構造物の詳細な構造を点群画像で把握できるようにする。そして測定位置26を決定したのち、基準点ターゲット30の配置点(図2参照)を決定する。上述の作業により設定されたレーザースキャン測定器54の測定位置26及び基準点ターゲット30の配置点は、分割エリア(不図示)ごとに番号付けを行ない、測定位置26の測定順番(1〜L)及び配置位置(1〜N)を決定する。
【0053】
そしてCADデータ生成部36により二次元CADデータを読み出し、上述の分割エリア(不図示)、測定位置26、基準点ターゲット30の配置点をマウス52またはキーボード48の操作により書き込んで二次元CADデータを上書きする。また二次元CADデータ上に新設の電気集塵装置のCADモデル60、資材のCADモデル(不図示)、機材(クレーン)のCADモデル62を表すCADデータを生成する。
【0054】
次に分割エリア(不図示)ごとにレーザー計測を開始する。まず、1番面の分割エリア(不図示)において、レーザースキャン測定器54を1番目の測定位置26に配置するとともに、第1の分割エリア(不図示)内のN箇所の基準点ターゲット30の配置点にそれぞれ基準点ターゲット30(3つ以上の複数の球形の基準点ターゲット)を配置する。そしてレーザースキャン測定器54を起動させ、エリア10内の構造物に対するレーザースキャンを行い、点群画像データを生成する。生成された点群画像データはコンピュータ32に送信されメモリ34に記憶される。
【0055】
そして合成点群画像生成部38はメモリ34に記憶された点群画像データを読み出し、それによって表れるエリア10の一部を表す点群画像を表示装置44に表示させる。そして分解能が十分か否か(計測密度が十分か否か)をチェックする。分解能が不十分であれば、該当する測定位置においてレーザースキャン測定器54の回転速度や仰角の刻み幅を小さくして新たにレーザースキャンを行い、構造物の点群画像の分解能を高めた点群画像データを生成してコンピュータ32に送信する。このとき同一の測定位置で先に生成した点群画像データはマウス52やキーボード48の操作により消去する。1番目の測定位置26において点群画像データを生成したのちは2番目の測定位置26において点群画像データを生成し、これをL番目の測定位置26まで繰り返す。そして2番目の分割エリア(不図示)についても同様の作業を行い、これをM番目の分割エリア(不図示)まで繰り返す。
【0056】
次に合成点群画像生成部38は、隣り合う測定位置26で計測することにより形成された点群画像データを読み出し、2つの点群画像に共通に表れる基準点ターゲット30の座標を基準として各点群画像データが表わすエリア10の一部の点群画像を繋ぎ合わせ、同様の手順で全ての点群画像データの点群画像を繋ぎ合わせることにより、図6、図7に示すように、エリア10全体の合成点群画像12を表す合成点群画像データを生成してメモリ34に記憶する。
【0057】
そしてCADデータ生成部36は、新設の電気集塵装置のCADモデル60を表すCADデータとエリア10の合成点群画像12を表す合成点群画像データを読み出し、図6に示すように、表示装置44において新設の電気集塵装置のCADモデル60とエリア10の合成点群画像12とを同時に表示させる。そして図7に示すように、マウス52やキーボード48の操作により新設の電気集塵装置のCADモデル60をエリア10の合成点群画像12中の電気集塵装置の設置位置に移動させ、新設の電気集塵装置のCADモデル60とエリア10中の構造物の点群画像(例えば煙道の点群画像18)との干渉の有無を確認する。
【0058】
これにより既存設備(構造物)と新規設備(新設の電気集塵装置)との近接箇所のクリアランス確認を行なうことができる。そして干渉が確認された場合には、CADデータ生成部36を用いて新設の電気集塵装置のCADモデル60の設計変更を行い、新設の電気集塵装置のCADモデル60を表すCADデータを生成し、新設の電気集塵装置のCADモデル60と構造物の点群画像との干渉の有無を確認し、干渉が回避されるまで上述の作業を繰り返す。
【0059】
そして新設の電気集塵装置と構造物との干渉が回避されたことを確認したのち、CADデータ生成部36により上述の資材のCADモデル(不図示)を現すCADデータを読み出し、資材の通過位置における構造物との干渉の有無、及び資材の設置位置における構造物及び新設の電気集塵装置との干渉の有無を確認し、干渉が回避されるまで検討を行なう。これにより資材の既存設備(構造物)または新規設備(新設の電気集塵装置)との干渉の確認を行なうことができる。例えば、資材の通過位置における構造物の干渉を回避するためには、資材のCADモデル(不図示)の搬入姿勢・角度・寸法・搬入ルートを変更することにより行なう。また資材の設置位置における構造物及び新設の電気集塵装置との干渉を回避するためには、資材のCADモデル(不図示)の寸法を変更することにより行なう。
【0060】
そして資材と構造物及び新設の電気集塵装置との干渉が回避されたことを確認したのち、CADデータ生成部36により上述の機材(クレーン)のCADモデル62を現すCADデータを読み出し、図8に示すように、エリア10の合成点群画像12及び新設の電気集塵装置のCADモデル60とともに機材のCADモデル62を表示させる。
【0061】
そして、機材の通過位置における構造物との干渉の有無、及び機材の設置位置における構造物、資材、新設の電気集塵装置との干渉の有無を確認し、干渉が回避されるまで検討を行なう。これにより機材(クレーン)の既存設備(構造物)、資材、新規設備(新設の電気集塵装置)からなる周辺設備との干渉の確認(クレーン設置可能可否確認)を行なうことができる。例えば、機材の通過位置における構造物の干渉を回避するためには機材のCADモデル62の搬入姿勢・角度等変更することにより行なう。また機材の設置位置における構造物、資材、新設の電気集塵装置との干渉を回避するためには、機材の設置位置を変更することにより行なう。
【0062】
上述の作業を行うことにより、エリア10の合成点群画像12には新設の電気集塵装置のCADモデル60、資材のCADモデル(不図示)、機材(クレーン)のCADモデル62が互いに干渉することなく重ねて描画される(図8参照)。よって新設の電気集塵装置は、新設の電気集塵装置のCADモデル60を表すCADデータに基づいて設計する。また資材は、資材のCADモデル(不図示)を表すCADデータに基づいて設計する。そして二次元CADデータに資材の姿勢、搬入ルート、機材(クレーン)の設置位置等を書き込んで二次元CADデータを上書きする。そして現場では資材を二次元CADデータに示された姿勢で搬入し、機材の設置位置は現場に直接マークしておけばよい。なお既存の電気集塵装置の撤去は資材や機材の搬入前に行なうものとする。
【0063】
図9にエリアの合成点群画像に新設の電気集塵装置のCADモデルと機材(クレーン)のCADモデルを重ね合わせた図を示す。エリアの合成点群画像(図6、図7参照)は、地面や建屋の所定の測定位置に設置されたレーザースキャン測定器により生成された点群画像を合成したものである。そして電気集塵装置のCADモデル(図6、図7参照)は、既設の電気集塵装置の点群画像に重ねられた状態で描画されている。また機材(クレーン)のCADモデル(図8参照)も電気集塵装置のCADモデルに隣接して描画されている。
【0064】
以上の工程を経ることにより現場での設計変更を回避し、工期を短縮して電気集塵装置の設置を行なうことができる。なお、本実施形態では、電気集塵装置を適用対象として述べてきたが、これに限定されず他の構造物にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
電気集塵装置の設置場所における電気集塵装置、電気集塵装置に付属する資材、電気集塵装置を搬入する機材のエリア内の構造物との干渉を高い精度で事前に確認し、工期を短縮し設置コストを抑制することが可能な電気集塵装置の設計方法、設計システムとなる。
【符号の説明】
【0066】
10………エリア、12………合成点群画像、14………建屋の点群画像、15………建屋、16………既設の電気集塵装置の点群画像、17………既設の電気集塵装置、18………煙道の点群画像、19………煙道、26………測定位置、28………有効測定範囲、30………基準点ターゲット、32………コンピュータ、34………メモリ、36………CADデータ生成部、38………合成点群画像生成部、42………表示制御部、44………表示装置、46………キーボードインターフェース、48………キーボード、50………マウスインターフェース、52………マウス、54………レーザースキャン測定器、56………ハードウェアインターフェース、58………バス、60………CADモデル、62………CADモデル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気集塵装置を設置するエリアの複数の測定位置に配置され各測定位置を中心とした複数の点群画像を生成するレーザースキャン測定器と、
前記エリアに配置された基準点ターゲットと、
前記複数の点群画像同士を、各点群画像に表れる前記基準点ターゲットの座標を基準として合成することにより前記エリアの合成点群画像を生成する点群画像生成部と、
前記合成点群画像と、電気集塵装置のCADモデルとを重ねて描画するCADデータ生成部と、を有する電気集塵装置の設計システムであって、
前記エリアにおける前記測定位置は、前記電気集塵装置の設置位置の近傍周囲において、前記エリアの他の領域より多く配置されたことを特徴とする電気集塵装置の設計システム。
【請求項2】
前記レーザースキャン測定器が配置される測定位置のうち、少なくとも1箇所以上は前記電気集塵装置の高さより高くなるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の電気集塵装置の設計システム。
【請求項3】
前記CADデータ生成部は、前記電気集塵装置の設置工事の過程で前記エリアに導入する資材及び機材のCADモデルを前記合成点群画像に重ねて描画するとともに、
前記エリア内の前記測定位置は、前記資材及び前記機材の通過位置・設置位置において前記エリアの他の領域より多く配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電気集塵装置の設計システム。
【請求項4】
前記測定位置は、互いに隣接する前記測定位置に設置された前記レーザースキャン測定器の測定範囲同士が互いに重複する領域を形成するように配置され、
前記基準点ターゲットは、球形に形成されるとともに、前記重複する領域に複数配置されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気集塵装置の設計システム。
【請求項5】
電気集塵装置を設置するエリアに基準点ターゲットを配置し、前記エリアの複数の測定位置に配置されたレーザースキャン測定器により各測定位置を中心とした複数の点群画像を生成し、
前記複数の点群画像を各点群画像中に表れる前記基準点ターゲットの座標を基準として合成することにより前記エリアの合成点群画像を生成し、
前記合成点群画像に電気集塵装置のCADモデルを重ねて描画する電気集塵装置の設計方法であって、
前記エリアにおける前記測定位置を、前記電気集塵装置の設置位置の近傍周囲において、前記エリアの他の領域より多く配置させることを特徴とする電気集塵装置の設計方法。
【請求項6】
前記レーザースキャン測定器が配置される測定位置のうち、少なくとも1箇所以上は前記電気集塵装置の高さより高くなるように配置することを特徴とする請求項5に記載の電気集塵装置の設計方法。
【請求項7】
前記電気集塵装置の設置工事の過程で前記エリアに導入される資材及び機材のCADモデルを前記合成点群画像に重ねて描画するとともに、
前記エリアの前記測定位置を、前記機材の通過位置・設置位置において前記エリアの他の領域より多く配置させることを特徴とする請求項5または6に記載の電気集塵装置の設計方法。
【請求項8】
前記測定位置を、互いに隣接する前記測定位置に設置された前記レーザースキャン測定器の測定範囲同士が互いに重複する領域を形成するように配置し、
前記基準点ターゲットを、球形に形成するとともに、前記重複する領域に複数配置することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の電気集塵装置の設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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