説明

電気集塵装置及びこれを含む空気清浄機

【課題】 気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に帯電させることができる電気集塵装置、及びこれを含む空気清浄機を提供する。
【解決手段】 空気中の埃粒子を帯電させるために少なくとも二つの帯電セルを有する帯電部と、前記帯電部で帯電された埃粒子を集塵する集塵部とを含み、前記少なくとも二つの帯電セルは、前記埃粒子が第1の流速で通過する第1のセルと、前記埃粒子が前記第1の流速と異なる第2の流速で通過する第2のセルとを含み、前記第1のセルと前記第2のセルは、前記第1の流速と前記第2の流速との差による帯電量の差を補償し、前記埃粒子をそれぞれ帯電させることを特徴とする電気集塵装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各実施形態は、気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に帯電させることができる電気集塵装置、及びこれを含む空気清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気集塵装置は、空気調和機などに装着され、空気中の埃などの汚染物質を集塵することによって空気を浄化する装置である。
【0003】
このような電気集塵装置の集塵方式のうち、帯電部と集塵部が分離されて配置される2段集塵方式が広く採用されている。
【0004】
このような2段集塵方式において、帯電部は、高電圧放電電極と各対向電極によって形成された一つのセルが同一間隔で繰り返して設置されるように構成され、集塵部は、高電圧電極と低電圧電極が並列に配置されて電界を形成するように構成される。
【0005】
一般に、帯電部の高電圧放電電極は、ワイヤ状、平板状及び針状を有し、放電特性を向上させるために特定形状を有することもある。そして、帯電部の各対向電極は、高電圧放電電極から一定の距離だけ離隔するように設置され、その平らな面が空気流動方向と平行になる。
【0006】
このような帯電部は、コロナ放電によって電気集塵装置に流入する空気中の埃粒子をプラス又はマイナスに帯電させる役割をする。
【0007】
すなわち、各対向電極が接地されて0電位を有するので、放電電極にプラス又はマイナス極性の高電圧が印加されれば、放電電極と各対向電極との間でコロナ放電が発生し、このコロナ放電によって空気中の埃粒子がプラス又はマイナスに帯電され、帯電された埃粒子は、空気の流動に沿って移動し、集塵部に捕集される。
【0008】
しかし、送風装置を使用して電気集塵装置を通過する空気流動が作られる場合、気流の流速が速い一部のセルでは電気集塵装置の集塵効率が急激に低下するという問題がある。したがって、気流の流速が速い領域で電気集塵装置の効率が低下するので、電気集塵装置を空気清浄機に適用することが難しくなる。
【0009】
また、従来の電気集塵装置の帯電部では各セルが同一間隔で配置されているので、気流の流速が速いセルでは空気中の埃粒子が充分に帯電されず、気流の流速が遅いセルでは埃粒子の帯電のために必要なエネルギーより高いエネルギーが投入される。したがって、必要以上のエネルギーが投入され、その結果、全体的にエネルギー効率が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一側面は、気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に帯電させることができる電気集塵装置、及びこれを含む空気清浄機を提供することにある。
【0011】
他の側面は、帯電部を通過する気流の流速が不均一であるとしても帯電及び集塵効率を向上させる電気集塵装置、及びこれを含む空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一側面によれば、電気集塵装置は、空気中の埃粒子を帯電させるために少なくとも二つの帯電セルを有する帯電部と、前記帯電部で帯電された埃粒子を集塵する集塵部とを含み、前記少なくとも二つの帯電セルは、前記埃粒子が第1の流速で通過する第1のセルと、前記埃粒子が前記第1の流速と異なる第2の流速で通過する第2のセルとを含み、前記第1のセルと前記第2のセルは、前記第1の流速と前記第2の流速との差による帯電量の差を補償し、前記埃粒子をそれぞれ帯電させることを特徴とする。
【0013】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセル間の間隔は前記第2のセル間の間隔より小さいことを特徴とする。
【0014】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセルの放電電極の厚さは、前記第2のセルの放電電極の厚さより大きいことを特徴とする。
【0015】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセルの放電電極の電気抵抗値は、前記第2のセルの放電電極の電気抵抗値より小さいことを特徴とする。
【0016】
前記少なくとも二つの帯電セルは、平板状の各対向電極と、前記隣接する各対向電極の中心位置で前記各対向電極と平行に配置される各放電電極とを含むことを特徴とする。
【0017】
前記各放電電極は各放電ワイヤを含むことを特徴とする。
【0018】
他の側面によれば、電気集塵装置は、空気中の埃粒子を帯電させる帯電部と、前記帯電部で帯電された埃粒子を集塵するために少なくとも二つの集塵セルを有する集塵部とを含み、前記少なくとも二つの帯電セルは、前記埃粒子が第1の流速で通過する第1のセルと、前記埃粒子が前記第1の流速と異なる第2の流速で通過する第2のセルとを含み、前記第1のセルと前記第2のセルは、前記第1の流速と前記第2の流速との差による集塵量の差を補償し、前記埃粒子をそれぞれ集塵することを特徴とする。
【0019】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセル間の間隔は前記第2のセル間の間隔より小さいことを特徴とする。
【0020】
前記少なくとも二つの集塵セルは、前記埃粒子を捕集するために、高電圧電極と低電圧電極を交互に積層することによって形成されることを特徴とする。
【0021】
他の側面によれば、空気清浄機は、上面に吐出口が形成された空気清浄機本体と、前記空気清浄機本体に結合され、空気が吸入される吸入口が形成された吸入グリルと、前記本体の内部に装着され、外部の空気を本体の内部に強制循環させる送風装置と、前記吸入グリルの背面に配置され、吸入される空気中の埃粒子を高電圧で帯電させ、前記帯電された埃粒子を捕集する電気集塵装置とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
一実施形態に係る電気集塵装置及びこれを含む空気清浄機によれば、電気集塵装置を通過する気流の特性によって帯電部又は集塵部での帯電効率又は集塵効率が変わり、気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に帯電させ、全体のエネルギーを各セル別に効率的に配分して使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】2段電気集塵装置の基本的原理を示した図である。
【図2】2段電気集塵装置を示した斜視図である。
【図3】一実施形態に係る電気集塵装置を示した縦断面図である。
【図4】図3に示した電気集塵装置の帯電部を拡大して示した縦断面図である。
【図5】他の実施形態に係る電気集塵装置の一部を示した図である。
【図6】更に他の実施形態に係る電気集塵装置の一部を示した図である。
【図7】更に他の実施形態に係る電気集塵装置の一部を示した図である。
【図8】一実施形態に係る空気清浄機を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明に係る好適な実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、2段電気集塵装置の基本的原理を示した図で、図2は、2段電気集塵装置を示した斜視図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、電気集塵装置1は、空気中の埃粒子を帯電させる帯電部10と、帯電部10で帯電された埃粒子を集塵する集塵部20とを含んで構成される。
【0027】
帯電部10は、高電圧電源30によってプラス極を形成する各放電電極100と、一定の高さ差をおいて各放電電極100の上下に設置され、マイナス極を形成する各対向電極200とを含むことができる。
【0028】
各放電電極100には直流電圧が印加され、各放電電極100と各対向電極200との間でコロナ放電が発生する。
【0029】
このような各放電電極100は、タングステンからなる細い放電ワイヤを含む。ただし、各放電電極100は、ワイヤ状のみならず、平板状又は針状を有することもできる。そして、各対向電極200は平板状を有することができる。
【0030】
したがって、高電圧電源30から各放電電極100に高電圧が印加されれば、各放電電極100と各対向電極200との間の高い電位差によって電流が流れはじめながらコロナ放電が発生し、矢印方向に流動する空気中の埃粒子を帯電させるようになる。
【0031】
集塵部20は、帯電部10で帯電された埃粒子を捕集するために、高電圧電極21と低電圧電極22を交互に積層することによって形成される。
【0032】
そして、高電圧電極21には高電圧電源40によってプラス極性の高電圧が印加され、低電圧電極22は、接地されて電界を形成する。
【0033】
結局、帯電部10で発生するコロナ放電によって空気中の埃粒子がプラスに帯電されれば、プラスに帯電された埃粒子は、クーロン力によって集塵部20で相対的にマイナス極性を有する低電圧電極22に捕集される。
【0034】
一方、高電圧電源30、40は、プラス又はマイナス極性を有することができ、パルス電圧を供給することも可能である。ここで、参照符号50は、電気集塵装置の内部で気流の流速を形成する送風ユニットを示す。
【0035】
図3は、一実施形態に係る電気集塵装置を示した縦断面図で、図4は、図3に示した電気集塵装置の帯電部を拡大して示した縦断面図である。
【0036】
図3〜図4に示すように、一実施形態に係る電気集塵装置1―1の帯電部10―1は、コロナ放電を形成するために、各放電ワイヤ110、120、130、140、150及び各対向電極210、220、230、240、250、260を含んで構成される。
【0037】
各対向電極210〜260は、気流の流速(V)によって異なる間隔で積層され、各放電ワイヤ110〜150は、隣接する各対向電極210〜260間の中心位置で配置される。
【0038】
このような帯電部10―1においては、各放電ワイヤ110〜160のうち一つ及び一対の対向電極210〜260を含む帯電セル310、320、330、340、350が繰り返して形成される。このとき、各帯電セル310〜350での各対向電極210〜260間の間隔は、気流の流速(V)によって異なる。
【0039】
説明の便宜上、このような各帯電セル310〜350のうち、第1及び第2の対向電極210、220及び第1の放電ワイヤ110によって形成される帯電セルを第1の帯電セル310と称し、第2及び第3の対向電極220、230及び第2の放電ワイヤ120によって形成される帯電セルを第2の帯電セル320と称し、第3及び第4の対向電極230、240及び第3の放電ワイヤ130によって形成される帯電セルを第3の帯電セル330と称し、第4及び第5の対向電極240、250及び第4の放電ワイヤ140によって形成される帯電セルを第4の帯電セル340と称し、第5及び第6の対向電極250、260及び第5の放電ワイヤ150によって形成される帯電セルを第5の帯電セル350と称する。
【0040】
そして、空気中の埃粒子は、第1の帯電セル310を第1の流速(V1)で通過し、第2の帯電セル320を第2の流速(V2)で通過し、第3の帯電セル330を第3の流速(V3)で通過し、第4の帯電セル340を第4の流速(V4)で通過し、第5の帯電セル350を第5の流速(V5)で通過する。このとき、各流速(V1〜V5)の大きさは、第3の流速(V3)>第2の流速(V2)=第4の流速(V4)>第1の流速(V1)=第5の流速(V5)を満足し、第2の流速(V2)と第4の流速(V4)は平均流速である。
【0041】
この実施形態に係る電気集塵装置1―1の帯電部10―1においては、上述した流速の分布を満足するように、第2の帯電セル320を形成する第2の対向電極220と第3の対向電極230との間の間隔と、第4の帯電セル340を形成する第4の対向電極240と第5の対向電極250との間の間隔がそれぞれDであれば、第1の帯電セル310を形成する第1の対向電極210と第2の対向電極220との間の間隔と、第5の帯電セル350を形成する第5の対向電極250と第6の対向電極260との間の間隔がそれぞれD+Aで、第3の帯電セル330を形成する第3の対向電極230と第4の対向電極240との間の間隔がD−Bである。ここで、AとBは、互いに同一又は異なる値を有することができる。
【0042】
すなわち、この実施形態に係る電気集塵装置1―1の帯電部10―1では、気流の流速(V)の分布によって、隣接する各対向電極210〜260間の間隔がそれぞれD、D+A、D−Bのように異なる値を有するが、気流の流速が速い帯電セル330では、流速が平均流速である帯電セル320、340に比べて各対向電極230、240間の間隔が小さくなり、気流の流速が遅い帯電セル310、350では、平均流速を有する帯電セル320、340に比べて各対向電極210、220間の間隔及び各対向電極250、260間の間隔が大きくなる。
【0043】
電気集塵装置1―1の集塵部20の効率が一定であると仮定すれば、帯電部10―1のコロナ放電による粒子帯電効率が高いほど、電気集塵装置1―1の集塵効率が高くなるが、これは、帯電部10―1の帯電効率が帯電部10―1の放電電流に正比例し、隣接する各対向電極210〜260間の間隔(又は、隣接する放電ワイヤ110〜150と対向電極210〜260との間の間隔)に反比例するためである。したがって、各対向電極210〜260間の間隔が小さくなり、帯電部10―1の放電電流が多いほど、粒子帯電効率が高くなる。
【0044】
また、帯電部10―1を通過する気流の流速が速いほど、帯電部10―1を通過する埃粒子の移動速度が増加し、粒子帯電効率が低くなる。
【0045】
そのため、気流の流速が最も速い第3の流速(V3)を有する第3の帯電セル330では、第3の対向電極230と第4の対向電極240との間の間隔が最も小さくなり、気流の流速による帯電量の減少はコロナ電流の増加によって補償される。
【0046】
また、気流の流速が最も遅い第1及び第5の流速(V1、V5)を有する第1及び第5の帯電セル310、350では、第1及び第2の対向電極210、220間の間隔、第5及び第6の対向電極250、260間の間隔が最も大きくなり、コロナ電流が減少するとしても、遅い流速によって十分な粒子帯電効率が達成される。
【0047】
これと同様に、気流の平均流速である第2及び第4の流速(V2、V4)を有する第2及び第4の帯電セル320、340では、第2及び第3の対向電極220、230間の間隔、第4及び第5の対向電極240、250間の間隔がそれぞれ平均値Dを有し、十分な粒子帯電効率が得られる。
【0048】
したがって、気流の流速によって隣接する各対向電極210〜260間の間隔を調節することによって、第1の帯電セル310、第2の帯電セル320、第3の帯電セル330、第4の帯電セル340及び第5の帯電セル350の帯電効率が同様に維持される。
【0049】
そのため、この実施形態に係る帯電部10―1を含む電気集塵装置1―1は、気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に帯電させるとともに、全体のエネルギーを帯電部10―1の各帯電セル310〜350別に効率的に配分し、全体的なエネルギー効率を向上させることができる。
【0050】
以下では、他の実施形態を図5を参照して説明する。上述した図3に示した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付与し、それに対する説明は省略する。図5は、この実施形態に係る電気集塵装置の一部を示した図である。
【0051】
この実施形態に係る電気集塵装置1―2の帯電部10―2は、コロナ放電を形成するために、各放電ワイヤ410〜450及び各対向電極210〜260を含んで構成されるが、各対向電極210〜260は一定の間隔で積層され、各放電ワイヤ410〜450は、隣接する各対向電極210〜260間の中心位置で配置される。
【0052】
この実施形態に係る電気集塵装置1―2において、帯電部10―2の各帯電セル310〜350を通過する気流の流速が異なる場合、帯電部10―2の各帯電セル310〜350の放電ワイヤ410〜450が異なる直径を有するので、帯電部10―2の各帯電セル310〜350の粒子帯電効率が異なるようになる。
【0053】
その理由は、放電ワイヤ410〜450の直径が大きくなれば、各放電ワイヤ410〜450の表面と対向電極210〜260の表面との間の間隔が小さくなるので、コロナ電流量が増加し、粒子帯電効率が増加する一方、放電ワイヤ410〜450の直径が小さくなれば、コロナ電流量が減少し、粒子帯電効率が減少するためである。
【0054】
したがって、気流の流速が最も速い第3の流速(V3)を有する第3の帯電セル330では、第3の放電ワイヤ430の直径が大きくなり、気流の流速による帯電量の減少はコロナ電流の増加によって補償される。
【0055】
また、気流の流速が最も遅い第1及び第5の流速(V1、V5)を有する第1及び第5の帯電セル310、350では、第1及び第5の放電ワイヤ410、450の直径が小さくなり、コロナ電流が減少するとしても、遅い流速によって十分な粒子帯電効率が達成される。
【0056】
これと同様に、気流の平均流速である第2及び第4の流速(V2、V4)を有する第2及び第4の帯電セル320、340では、第2及び第4の放電ワイヤ420、440の直径がそれぞれ平均値を有し、十分な粒子帯電効率が得られる。
【0057】
したがって、気流の流速によって放電ワイヤ410〜450の直径を変化させることによって、第1の帯電セル310、第2の帯電セル320、第3の帯電セル330、第4の帯電セル340及び第5の帯電セル350の帯電効率が同様に維持される。その結果、気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に帯電させるとともに、全体のエネルギーを帯電部10―2の各帯電セル310〜350別に効率的に配分し、全体的なエネルギー効率を向上させることができる。
【0058】
以下では、更に他の実施形態を図6を参照して説明する。また、上述した図3に示した実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、それに対する説明は省略する。図6は、この実施形態に係る電気集塵装置の一部を示した図である。
【0059】
この実施形態に係る電気集塵装置1―3の帯電部10―3は、コロナ放電を形成するために、各放電ワイヤ510〜550及び各対向電極210〜260を含んで構成されるが、各対向電極210〜260は一定の間隔で積層され、各放電ワイヤ510〜550は、隣接する各対向電極210〜260間の中心位置で配置される。
【0060】
この実施形態に係る電気集塵装置1―3において、帯電部10―3の各帯電セル310〜350を通過する気流の流速が異なる場合、帯電部10―3の各帯電セル310〜350の各放電ワイヤ510〜550は異なる電気抵抗値を有し、帯電部10―3の各帯電セル310〜350の粒子帯電効率が異なるようになる。
【0061】
帯電部10―3の各帯電セル310〜350の各放電ワイヤ510〜550が並列に設置され、各帯電セル310〜350の電気抵抗値が同一である場合、高電圧電源30によって帯電部10―3に一定の電圧が印加されれば、各帯電セル310〜350に印加される電圧及び電流が同一になる。しかし、各帯電セル310〜350の放電ワイヤ510〜550が異なる電気抵抗値を有する場合、電気抵抗値によって各帯電セル310〜350に印加される電圧は同一であるが、各帯電セル310〜350に印加される電流は異なるようになる。このような方法で帯電部10―3の各帯電セル310〜350のコロナ電流量を変化させることによって、この実施形態に係る電気集塵装置1―3は、図3に示した実施形態による電気集塵装置1―1及び図5に示した実施形態による電気集塵装置1―2と同一の効果を得る。
【0062】
すなわち、第3の帯電セル330で気流の流速が最も速い場合、第3の放電ワイヤ530は最も小さい電気抵抗値(X[Ω])を有し、気流の流速による帯電量の減少はコロナ電流量の増加によって補償される。
【0063】
また、第1及び第5の帯電セル310、350で気流の流速が最も遅い場合、第1及び第5の放電ワイヤ510、550は最大の電気抵抗値(Y[Ω])を有し、コロナ電流量が減少するとしても、遅い流速によって十分な粒子帯電効率が達成される。
【0064】
これと同様に、第2及び第4の帯電セル320、340で気流の流速が平均流速である場合、第2及び第4の放電ワイヤ520、540は平均的な電気抵抗値(Z[Ω])を有し、十分な粒子帯電効率が得られる。
【0065】
したがって、気流の流速によって放電ワイヤ510〜550の電気抵抗値を変化させることによって、第1の帯電セル310、第2の帯電セル320、第3の帯電セル330、第4の帯電セル340及び第5の帯電セル350の帯電効率が同様に維持される。その結果、この実施形態に係る電気集塵装置1―3は、気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に帯電させるとともに、全体のエネルギーを帯電部10―3の各帯電セル310〜350別に効率的に配分し、全体的なエネルギー効率を向上させることができる。
【0066】
以下では、更に他の実施形態を図7を参照して説明する。また、上述した図3に示した実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、それに対する説明は省略する。図7は、この実施形態に係る電気集塵装置の一部を示した図である。
【0067】
この実施形態に係る電気集塵装置1―4の集塵部20―1は、帯電部(図示せず)で帯電された埃粒子を集塵するために、各高電圧電極710〜750及び各低電圧電極810〜860を含んで構成される。
【0068】
各低電圧電極810〜860は、気流の流速(V1、V2、V3、V4、V5)によって異なる間隔で積層され、各高電圧電極710〜760は、隣接する各低電圧電極810〜860間の中心位置で配置される。
【0069】
このような集塵部20―1において、各高電圧電極710〜760のうち一つ及び一対の低電圧電極810〜860を含んで構成された集塵セル610〜650が繰り返して形成される。このとき、各集塵セル310〜350での隣接する各低電圧電極810〜860間の間隔は、気流の流速(V1、V2、V3、V4、V5)によって異なる。
【0070】
すなわち、気流の流速が最も速い第3の流速(V3)を有する第3の集塵セル630では、第3の低電圧電極830と第4の低電圧電極840との間の間隔が最も小さくなり、気流の流速による帯電量の減少はクーロン力の増加によって補償される。
【0071】
また、気流の流速が最も遅い第1及び第5の流速(V1、V5)を有する第1及び第5の集塵セル610、650では、第1及び第2の低電圧電極810、820間の間隔、第5及び第6の低電圧電極850、860間の間隔が最も大きくなり、クーロン力が減少するとしても、遅い流速によって十分な粒子集塵効率が達成される。
【0072】
これと同様に、気流の平均流速である第2及び第4の流速(V2、V4)を有する第2及び第4の集塵セル620、640では、第2及び第3の低電圧電極820、830間の間隔と第4及び第5の低電圧電極840、850間の間隔がそれぞれ平均値を有し、十分な粒子集塵効率が得られる。
【0073】
したがって、気流の流速によって隣接する各低電圧電極810〜860間の間隔を変化させることによって、第1の集塵セル610、第2の集塵セル620、第3の集塵セル630、第4の集塵セル640及び第5の集塵セル650の集塵効率が同様に維持される。
【0074】
そのため、この実施形態に係る電気集塵装置1―4は、気流の流速が速い領域でも集塵効率の低下なしに埃粒子を効率的に集塵するとともに、全体のエネルギーを集塵部20―1の各集塵セル610〜650別に効率的に配分し、全体的なエネルギー効率を向上させることができる。
【0075】
一方、上述した各実施形態は、個別的に実施されたり、又は各実施形態の少なくとも一部の結合によって実施される。
【0076】
以下、一実施形態に係る電気集塵装置に適用された空気清浄機について説明する。図8は、この実施形態に係る空気清浄機を示した図である。
【0077】
図8に示すように、この実施形態に係る空気清浄機2は、空気が吐出される吐出口3aが上面に形成される空気清浄機本体3と、空気清浄機本体3に結合され、空気が吸入される吸入口4aが形成された吸入グリル4と、空気清浄機本体3の内部に装着され、外部の空気を空気清浄機本体3の内部に強制循環させる送風装置5と、吸入グリル4の背面に配置され、吸入された空気から体積の大きい埃粒子をろ過するエアフィルタ6と、エアフィルタ6の後方に配置され、吸入される空気中の埃粒子を高電圧で帯電させて捕集する電気集塵装置1と、を含んで構成される。
【0078】
このような空気清浄機2によれば、外部空気は、送風装置5の動作によって吸入された後、エアフィルタ6及び電気集塵装置1によってきれいな空気に変化され、本体3の外部に吐出される。
【0079】
すなわち、空気清浄機本体3の内部に設置された送風装置5及び電気集塵装置1に電源が印加されれば、送風装置5が駆動され、外部空気が空気清浄機2の内部に吸入される。外部空気が吸入グリル4に形成された吸入口4aを介して吸入された後、エアフィルタ6によって比較的大きい埃粒子がろ過され、引き続いて、電気集塵装置1によって微細な埃粒子がろ過される。
【0080】
ここで、電気集塵装置1に電源が印加されるとき、電気集塵装置1は、コロナ放電によって通過する微細な埃粒子を電離させた後、埃粒子を捕集することによって、空気中に含まれた微細な埃粒子を取り除く。
【0081】
このとき、送風装置5が駆動され、外部空気が吸入されるとき、外部空気は、一部分では相対的に速い流速で吸入され、他の部分では相対的に遅い流速で吸入される。このような流速の差によって、電気集塵装置1の帯電部(図示せず)が異なる帯電効率を有し(又は集塵部(図示せず)が異なる集塵効率を有し)、電気集塵装置1が全体のエネルギーを効率的に配分するようになる。
【0082】
上述したように、一実施形態に係る電気集塵装置及びこれを含む空気清浄機は、電気集塵装置を通過する気流の特性によって帯電部又は集塵部での帯電効率又は集塵効率を変化させるので、流速が速い領域でも埃粒子を効率的に帯電させ、全体のエネルギーを各セル別に効率的に配分することを基本的な技術的思想としていることが分かる。したがって、本発明の基本的な技術的思想の範疇内で当業界の通常の知識を有する者によって他の多くの変形が可能であることは当然である。
【符号の説明】
【0083】
1 電気集塵装置
2 空気清浄機
10 帯電部
20 集塵部
30、40 高電圧電源
50 送風ユニット
110〜150 放電電極
210〜260 対向電極
310〜350 帯電セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の埃粒子を帯電させるために少なくとも二つの帯電セルを有する帯電部と、
前記帯電部で帯電された埃粒子を集塵する集塵部と、を含み、
前記少なくとも二つの帯電セルは、前記埃粒子が第1の流速で通過する第1のセルと、前記埃粒子が前記第1の流速と異なる第2の流速で通過する第2のセルと、を含み、
前記第1のセルと前記第2のセルは、前記第1の流速と前記第2の流速との差による帯電量の差を補償し、前記埃粒子をそれぞれ帯電させることを特徴とする電気集塵装置。
【請求項2】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセル間の間隔は前記第2のセル間の間隔より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の電気集塵装置。
【請求項3】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセルの放電電極の厚さは、前記第2のセルの放電電極の厚さより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の電気集塵装置。
【請求項4】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセルの放電電極の電気抵抗値は、前記第2のセルの放電電極の電気抵抗値より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の電気集塵装置。
【請求項5】
前記少なくとも二つの帯電セルは、平板状の各対向電極と、前記隣接する各対向電極の中心位置で前記各対向電極と平行に配置される各放電電極と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気集塵装置。
【請求項6】
前記各放電電極は各放電ワイヤを含むことを特徴とする、請求項5に記載の電気集塵装置。
【請求項7】
空気中の埃粒子を帯電させる帯電部と、
前記帯電部で帯電された埃粒子を集塵するために少なくとも二つの集塵セルを有する集塵部と、を含み、
前記少なくとも二つの帯電セルは、前記埃粒子が第1の流速で通過する第1のセルと、前記埃粒子が前記第1の流速と異なる第2の流速で通過する第2のセルと、を含み、
前記第1のセルと前記第2のセルは、前記第1の流速と前記第2の流速との差による集塵量の差を補償し、前記埃粒子をそれぞれ集塵することを特徴とする電気集塵装置。
【請求項8】
前記第1の流速が前記第2の流速より速い場合、前記第1のセル間の間隔は前記第2のセル間の間隔より小さいことを特徴とする、請求項7に記載の電気集塵装置。
【請求項9】
前記少なくとも二つの集塵セルは、前記埃粒子を捕集するために、高電圧電極と低電圧電極を交互に積層することによって形成されることを特徴とする、請求項7に記載の電気集塵装置。
【請求項10】
上面に吐出口が形成された空気清浄機本体と、
前記空気清浄機本体に結合され、空気が吸入される吸入口が形成された吸入グリルと、
前記本体の内部に装着され、外部の空気を本体の内部に強制循環させる送風装置と、
前記吸入グリルの背面に配置され、吸入される空気中の埃粒子を高電圧で帯電させ、前記帯電された埃粒子を捕集する請求項1から9のうちいずれか一つによる電気集塵装置と、を含むことを特徴とする空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−92932(P2011−92932A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239382(P2010−239382)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】