説明

電気電子機器収納用キャビネットの排気構造

【課題】電子電気機器収納用キャビネットの筐体に取り付けた排気誘導用の排気フードに設けた排気口を変更して排気方向を任意な方向とすることができる電気電子機器収納用キャビネットの排気構造を提供する。
【解決手段】電子電気機器収納用キャビネットの筐体1の側板部2,2及び背板部3の何れかに排気フード7を取り付け、前記排気フード7には排気方向の異なる排気口形成用開口71を少なくとも2箇所設け、前記排気方向の異なる排気口形成用開口71の1箇所を選択して排気口71aに形成して、また、他の排気口形成用開口71をカバー部材9により閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子機器を収納する電気電子機器収納用キャビネットの排気構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気電子機器収納用キャビネットの排気構造は、電子電気機器収納用キャビネットの筐体の背板部の外面に取り付けた排気フードに設けた排気口から一定方向に排気するものであった(特許文献1参照)。
【0003】
ところが、前記のような従来のものは、排気フードに設けた排気口の排気方向が固定されているため電気電子機器収納用キャビネットの設置箇所や設置向きによっては、排気口が適正な排気方向を向かないことがある。すなわち、排気フードの風の吹き出し方向に壁面や別のキャビネットが隣接している場合には、隣接している方向への排気は好ましいものではない。そのため、異なる排気方向の排気口を設けた排気フードに取り替える必要がある。
【0004】
しかしながら、このように排気フードを取り替えることは、異なる排気方向の排気口を設けた排気フードを複数種用意しなければならずコスト高となり、また、設置場所において排気方向が決まる場合には現場で迅速な対応ができない問題もある。
【特許文献1】実用新案登録第3122283号登録実用新案公報(図3、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記のような従来の問題点を解決して、電子電気機器収納用キャビネットの筐体に取り付けた排気誘導用の排気フードに設けた排気口を選択して排気方向を変更することができる電気電子機器収納用キャビネットの排気構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気電子機器収納用キャビネットの排気構造は、電子電気機器収納用キャビネットの筐体の側板部及び背板部の何れかに排気フードを取り付け、前記排気フードには排気方向の異なる排気口形成用開口を少なくとも2箇所設け、前記排気方向の異なる排気口形成用開口の1箇所を選択して排気口に形成して、また、他の排気口形成用開口をカバー部材により閉塞したことを特徴とするものを基本の発明とする。
【0007】
そして、この発明において、排気口を形成した排気口形成用開口を他の排気口形成用開口を閉塞するカバー部材により閉塞できる形状とすることが好ましいものである。
【0008】
また、排気フード内に防音材を貼付したり、吸気孔を筐体の底板部の前方に設けてもよいものである。
【発明の効果】
【0009】
前記した本発明の電気電子機器収納キャビネットの排気構造は、電子電気機器収納用キャビネットの筐体の側板部及び背板部の何れかに取り付けた排気フードに少なくとも2箇所設けた排気方向の異なる排気口形成用開口の1箇所を選択して排気口に形成して、また、他の排気口形成用開口をカバー部材により閉塞したものであるので、排気フードを取り替えることなく排気方向を変更して適切な排気方向を採ることができ、現場において迅速な対応が可能となるものである。
【0010】
また、排気口を形成した排気口形成用開口を他の排気口形成用開口を閉塞するカバー部材により閉塞できる形状とすることにより、同一のカバー部材が全ての排気口形成用開口に対応でき、カバー部材を保管するための手段を不要とするものである。
【0011】
また、排気フード内に防音材を貼付したものとすると、電気電子機器収納キャビネットに収納する電気電子機器がサーバのように搭載した冷却ファンの音等の騒音がキャビネットの外に洩れることを防止できるものである。さらに、吸気孔を筐体の底板部の前方に設けものとすると、最も温度の低い最下層の空気がキャビネット内に導入されて効率のよい排熱を行うことできるものである。また、サーバのように前側から吸気して後側から排熱する電気電子機器を収納した場合にはキャビネット前方より冷気を供給できるのでより効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づき説明する。
図1において、1は電気電子機器収納キャビネットの筐体であり、該筐体1は、多数のフレームを直方体状に組み合わせたフレーム構造体10に側板部2、2、背板部3、天板部4及び底板部5を取り付けて前面に形成される開口11を透視窓6a付きの扉6により開閉してなるものである。なお、少なくとも側板部2、2、背板部3はネジ等で容易に着脱できるものとして側板部2、2、背板部3を外して電気電子機器の収納作業や配線作業を容易なものとしている。
【0013】
前記筐体1は側板部2、2及び背板部3の何れかの外面に排気フード7を取り付けてこれに対応して側板部2、2及び背板部3の何れかに設けた排気孔8からの排熱を誘導して筐体1の外部に排出するものである。なお、図2に示すように排気フード7は背板部3の外面に着脱自在に取り付けて該背板部3の上部に設けた排気ファン8a付きの排気孔8に対応させたうえ、排熱を後述する排気口71aに誘導するものである。
【0014】
また、前記排気フード7は排気方向の異なる排気口形成用開口71を少なくとも2箇所設けてあり、その排気方向の異なる排気口形成用開口71の1箇所を選択して排気口71aに形成して、また、他の排気口形成用開口71をカバー部材9により閉塞している。すなわち、図1に示すように排気フード7は四角箱形状として排気口形成用開口71を両側面7a、7aに縦長に背面7bの下方に横長に形成してある。そして、両側面7a、7aに形成した排気口形成用開口71、71を排気口71aに形成して、他方背面7bに形成した排気口形成用開口71をカバー部材9により閉塞している。なお、図2に示すものは排気口71aを背面7bに形成したものとし、両側面7a、7aに形成した排気口形成用開口71、71をカバー部材9で閉塞している。
【0015】
これにより、排気方向の異なる排気口形成用開口71の1箇所を選択して排気口71に形成して、また、他の排気口形成用開口71をカバー部材9により閉塞して、排気フード7を取り替えることなく排気方向を変更して設置箇所において適切な排気方向を取るることができるものである。なお、排気口形成用開口71は排気フード7の底面に形成して排気方向の選択の自由度をより高いものとしてもよい。
【0016】
また、排気口71aを形成した排気口形成用開口71を他の排気口形成用開口71を閉塞するカバー部材9により閉塞できる形状として、同一のカバー部材9が全ての排気口形成用開口71に対応できるものとして、カバー部材9を保管するための手段を不要とするものである。
【0017】
例えば、前記したように排気口形成用開口71を両側面7a、7aに縦長に、背面7bの下方に横長に形成したものにあっては、背面7bの下方に横長に形成した排気口形成用開口71の横方向の長さを側面7aに形成した縦長の排気口形成用開口71の縦方向の長さと同一寸法とし、縦幅の寸法を縦長の排気口形成用開口71の横幅の寸法の倍として、両側側面7a、7aの排気口形成用開口71、71を夫々閉塞できる2枚のカバー部材9により背面7bの下方に横長に形成した排気口形成用開口71を閉塞できるものとしている。
【0018】
また、前記した排気フード7内に防音材72を貼付してあり、電気電子機器収納キャビネットに収納する電気電子機器がサーバのように搭載した冷却ファンの音等の騒音がキャビネットの外に洩れることを防止できるものである。この場合に筐体1の内面にも防音材72を貼付していることが好ましいことは勿論である。
【0019】
なお、筐体1内に冷却用空気を導入する吸気孔12は側板部2、2や扉6に設けてもよいものであるが、図示のようにを筐体1の底板部5の前方に設けものとすると、最も温度の低い最下層の空気がキャビネット内に導入されて効率のよい冷却を行うことできるものである。また、サーバのように前側から吸気して後側から排熱する電気電子機器を収納した場合にはより効果を発揮するものである。この場合に底板部5の外面に吸気用フード12aを設けて吸気口12bを後向きに形成したものとすれば筐体1内の音が外部に洩れる量が低減できるものである。なお、吸気用フード12aにも防音材を貼付することが好ましいものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を背面方向から示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態を背面方向から示す一部切欠斜視図。
【図3】本発明の実施形態を断面図。
【図4】本発明の実施形態を背面方向から排気用フードを除いて示す一部切欠斜視図。
【図5】本発明の実施形態に使用する排気用フードの一例を示す斜視図。
【図6】本発明の実施形態を前面方向から示す斜視図。
【図7】本発明の実施形態を示す正面図。
【図8】本発明の実施形態を示す背面図。
【符号の説明】
【0021】
1 筐体
2 側板部
3 背板部
5 底板部
7 排気用フード
9 カバー部材
12 吸気孔
71 排気口形成用開口
71a 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子電気機器収納用キャビネットの筐体の側板部及び背板部の何れかに排気フードを取り付け、前記排気フードには排気方向の異なる排気口形成用開口を少なくとも2箇所設け、前記排気方向の異なる排気口形成用開口の1箇所を選択して排気口に形成して、また、他の排気口形成用開口をカバー部材により閉塞したことを特徴とする電気電子機器収納用キャビネットの排気構造。
【請求項2】
排気口を形成した排気口形成用開口を他の排気口形成用開口を閉塞するカバー部材により閉塞できる形状とした請求項1に記載の電気電子機器収納用キャビネットの排気構造。
【請求項3】
排気フード内に防音材を貼付した請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用キャビネットの排気構造。
【請求項4】
吸気孔を筐体の底板部の前方に設けた請求項1又は2又は3の何れかに記載の電気電子機器収納用キャビネットの排気構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−94151(P2009−94151A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261080(P2007−261080)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】