説明

電気電子機器

【課題】ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断することができ、また、電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかる電気電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】定格外の電流が印加されたり、定格外の電圧が印加されたりするおそれがある電子部品7と、該電子部品7を収容し密閉した状態で取り付け先に取り付けられるハウジングケース13Aと、を備える電気電子機器であって、ハウジングケース13Aの少なくとも一部の領域が少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成され、該領域でハウジングケース13Aの外部から電子部品7が見えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定格外の電流が印加されたり、定格外の電圧が印加されたりするおそれがある電子部品と、該電子部品を収容し密閉した状態で取り付け先に取り付けられるハウジングケースと、を備える電気電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ケース内に避雷素子を設け、電気回路に接続して設置し、その接続電気回路に所定以上の雷電圧が印加したとき、避雷素子の弁作用により雷電流を大地へと流し、その際時として避雷素子が破壊発熱する避雷器において、避雷素子の発熱により変色する感熱紙を、ケース内に外部から目視可能に備えてなる避雷器が記載されている。
【特許文献1】実開平6−70205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載の構成では、感熱紙は、ケース内の温度が70℃程度になったときに変色してしまい、ケースを用いて熱を逃がすように設計された電気電子機器などに使用した場合には、感熱紙が変色したとしても、ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断することができないという問題点がある。
【0004】
また、ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていたとしても、その程度や箇所がわからないため、電子部品の印刷の変色や破壊に対して効率良く対応することができないという問題点もある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断することができ、また、電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかる電気電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の電気電子機器は、定格外の電流が印加されたり、定格外の電圧が印加されたりするおそれがある電子部品と、該電子部品を収容し密閉した状態で取り付け先に取り付けられるハウジングケースと、を備える電気電子機器であって、ハウジングケースの少なくとも一部の領域が少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成され、該領域でハウジングケースの外部から電子部品が見えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の電気電子機器において、ハウジングケースの全面が透光性である材質で形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の電気電子機器において、ハウジングケースが取り付け先に取り付けられた状態で、ハウジングケースが外部に臨む前面のみが透光性である材質で形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の電気電子機器において、ハウジングケースには、反射体がさらに収容され、反射体は、電子部品を直接見える角度とは別の角度で前記領域に向けて映すことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、上記請求項3に記載の電気電子機器において、ハウジングケースには、反射体がさらに収容され、反射体は、電子部品の側面をハウジングケースの前面に向けて映すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ハウジングケースの少なくとも一部の領域が少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成され、該領域でハウジングケースの外部から電子部品が見えるので、ハウジングケースを開けなくても、ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断することができ、また、電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかるので、電子部品の印刷の変色や破壊に対して効率良く対応することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、特に、ハウジングケースの全面が透光性である材質で形成されているので、ケース内の電子部品を様々な角度から見ることができ、電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断しやすく、また、電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかりやすくなる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、特に、ハウジングケースが取り付け先に取り付けられた状態で、ハウジングケースが外部に臨む前面のみが透光性である材質で形成されているので、ハウジングケースを取り付け先から取り外さなくても、ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断することができ、また、電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかるとともに、ハウジングケースの該前面以外の部分については、デザインを任意に設計することができるので、電気電子機器の外観を良くすることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、特に、反射体により、電子部品を直接見える角度とは別の角度でも見ることができるため、ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断しやすく、また、電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかりやすくなる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、特に、ハウジングケースが外部に臨む前面のみを透光性である材質で形成しているにもかかわらず、反射体により、電子部品の側面の状態を確認することができるので、ケース内の電子部品が電気的なストレスを受けて電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしているかどうかを明確に判断しやすく、また、電子部品の印刷が変色したり電子部品が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかりやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では具体例を挙げて本発明を説明する場合があるが、本発明は以下の具体例に限定されない。
【0017】
(実施形態1)
図1は、二線式多重伝送方式を用いたシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、センタ1は、端末器2a、2bに接続されている。また、端末器2aは、電源3から引き出された電源線4上に接続され、端末器2bは、伝送線5上に接続されている。そして、電源3と端末器2aとの間の電源線4上には、電気電子機器であるサージ対策商品6Aが接続され、伝送線5上にも、サージ対策商品6Aが適宜接続され、このサージ対策商品6Aにより、端末器2a、2bは、定格外の電流や電圧から保護される。サージ対策商品6Aは、電子部品であるサージアブソーバ7を収容し、密閉している。そして、サージアブソーバ7は、定格外の電流が印加されたり、定格外の電圧が印加されたりするおそれがあり、この電気的なストレスにより、ときとして印刷が変色したり破壊されたりする。また、センタ1は、端末器2a、2bと信号の送受信をする伝送ドライバ部8と、当該信号を処理するCPU9と、液晶・スイッチ等のマン―マシンI/F部10と、様々なデータを記憶する記憶部11と、で構成されている。ここで、伝送ドライバ部8には、サージアブソーバ7が内蔵されている。
【0018】
そして、図2は、実施形態1に係るサージ対策商品6Aの概略斜視図である。図2に示すように、サージ対策商品6Aは、プリント基板12上に配置されたサージアブソーバ7がハウジングケース13Aに収容されてなる。サージ対策商品6Aは、取り付け先(図示せず)に取り付けられる。
【0019】
ここで、ハウジングケース13Aは、側面の一部の領域が少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成され、該領域でハウジングケース13Aの外部からサージアブソーバ7が見えるようになっている。
【0020】
本実施形態では、ハウジングケース13Aにおける側面の一部の領域を透光性である材質で形成しているが、外部からサージアブソーバ7が見えるようにハウジングケース13Aの一部の領域を透光性である材質で形成する限り、該領域の箇所は制限されない。
【0021】
また、ハウジングケース13Aの透光性である材質を用いた部分領域以外の領域については、任意のデザインにしてよく、例えば、黒色とすることができる。
【0022】
したがって、ハウジングケース13Aの一部の領域が少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成され、該領域でハウジングケース13Aの外部からサージアブソーバ7が見えるので、ハウジングケース13Aを開けなくても、ケース13A内のサージアブソーバ7が電気的なストレスを受けてサージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしているかどうかを明確に判断することができ、また、サージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかるので、サージアブソーバ7の印刷の変色や破壊に対して効率良く対応することができる。また、ハウジングケース13Aの透光性である材質を用いた部分領域以外の領域については、任意のデザインにしてよいため、サージ対策商品6Aの外観を良くすることができる。
【0023】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係るサージ対策商品6Bの概略斜視図である。サージ対策商品6Bは、実施形態1で述べたサージ対策商品6Aとは、ハウジングケース13Bの全面が少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成されている点で異なり、その他の点については同様である。
【0024】
したがって、ハウジングケース13Bの全面が透光性である材質で形成されているので、ケース13B内のサージアブソーバ7を様々な角度から見ることができ、サージアブソーバ7が電気的なストレスを受けてサージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしているかどうかを明確に判断しやすく、また、サージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかりやすくなる。
【0025】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係るサージ対策商品6Cの概略斜視図である。サージ対策商品6Cは、実施形態1で述べたサージ対策商品6Aとは、ハウジングケース13Cが取り付け先(図示せず)に取り付けられた状態で、ハウジングケース13Cが外部に臨む前面のみが少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成されている点で異なり、その他の点については同様である。
【0026】
したがって、ハウジングケース13Cが取り付け先に取り付けられた状態で、ハウジングケース13Cが外部に臨む前面のみが透光性である材質で形成されているので、ハウジングケース13Cを取り付け先から取り外さなくても、ケース13C内のサージアブソーバ7が電気的なストレスを受けてサージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしているかどうかを明確に判断することができ、また、サージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかるとともに、ハウジングケース13Cの該前面以外の部分については、デザインを任意に設計することができるので、サージ対策商品6Cの外観を良くすることができる。
【0027】
(実施形態4)
図5は、実施形態4に係るサージ対策商品6Dの概略斜視図である。サージ対策商品6Dは、実施形態3で述べたサージ対策商品6Cとは、ハウジングケース13Dに反射体であるミラー14が収容されている点で異なり、その他の点については同様である。
【0028】
ここで、ミラー14は、図5に示すように、ハウジングケース13Dの前面側から見たときに、サージアブソーバ7の側面が映し出されるように配置されている。
【0029】
したがって、ミラー14により、サージアブソーバ7を直接見える角度とは別の角度でも見ることができるため、ケース13D内のサージアブソーバ7が電気的なストレスを受けてサージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしているかどうかを明確に判断しやすく、また、サージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかりやすくなる。特に、本実施形態では、ハウジングケース13Dが外部に臨む前面のみを透光性である材質で形成しているにもかかわらず、ミラー14により、サージアブソーバ7の側面の状態を確認することができるので、ケース13D内のサージアブソーバ7が電気的なストレスを受けてサージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしているかどうかを明確に判断しやすく、また、サージアブソーバ7の印刷が変色したりサージアブソーバ7が破壊されたりしていれば、その程度や箇所がわかりやすくなる。
【0030】
また、サージアブソーバ7がハウジングケース13Dの前面側から見えない位置に配置されている場合にも、ミラー14を用いて、サージアブソーバ7の状態を確認することができる。このとき、複数のミラー14をハウジングケース13D内に配置し、それらを組み合わせて使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】二線式多重伝送方式を用いたシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1に係るサージ対策商品の概略斜視図である。
【図3】実施形態2に係るサージ対策商品の概略斜視図である。
【図4】実施形態3に係るサージ対策商品の概略斜視図である。
【図5】実施形態4に係るサージ対策商品の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 センタ
2a、2b 端末器
3 電源
4 電源線
5 伝送線
6A、6B、6C、6D サージ対策商品(電気電子機器)
7 サージアブソーバ(電子部品)
8 伝送ドライバ部
9 CPU
10 マン―マシンI/F部
11 記憶部
12 プリント基板
13A、13B、13C、13D ハウジングケース
14 ミラー(反射体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定格外の電流が印加されたり、定格外の電圧が印加されたりするおそれがある電子部品と、
該電子部品を収容し密閉した状態で取り付け先に取り付けられるハウジングケースと、
を備える電気電子機器であって、
ハウジングケースの少なくとも一部の領域が少なくとも可視光帯域では透光性である材質で形成され、
該領域でハウジングケースの外部から電子部品が見えることを特徴とする電気電子機器。
【請求項2】
ハウジングケースの全面が透光性である材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気電子機器。
【請求項3】
ハウジングケースが取り付け先に取り付けられた状態で、ハウジングケースが外部に臨む前面のみが透光性である材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気電子機器。
【請求項4】
ハウジングケースには、反射体がさらに収容され、
反射体は、電子部品を直接見える角度とは別の角度で前記領域に向けて映すことを特徴とする請求項1に記載の電気電子機器。
【請求項5】
ハウジングケースには、反射体がさらに収容され、
反射体は、電子部品の側面をハウジングケースの前面に向けて映すことを特徴とする請求項3に記載の電気電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−54772(P2009−54772A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219775(P2007−219775)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】