説明

電気音響変換器及びイヤースピーカ装置

【課題】自然な音像定位を与えながら高品質な再生音をリスナに聴取させるようにする。
【解決手段】スピーカユニット7Lから出力される中高音をリスナに聴取させると共に、リスナの外耳道入口とは逆方向へ向けられた管状ダクト8LBの孔部8ALBから僅かに出力される中高音をリスナの外耳道入口まで到達させることなく、管状ダクト8LBの孔部8ALBから出力される筐体部の内部空間に生じさせた指向性のない低音だけをリスナに聴取させることにより、スピーカユニット7Lから出力される中高音だけに基づいて自然な音像定位を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気音響変換器及びイヤースピーカ装置に関し、例えば頭部装着型のウェアラブルスピーカ装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部装着型のウェアラブルスピーカ装置の一例であるヘッドホン装置においては、リスナの頭部に装着された状態でCD(Compact Disc)の再生音声等を表すオーディオ信号を音(以下、これを再生音と呼ぶ)に変換し、これを当該リスナに聴取させるようになされたものが広く普及している。
【0003】
一般的なヘッドホン装置では、再生音を発生させるスピーカユニットがリスナの外耳道入口の正面付近に位置するようになされており、当該スピーカユニットから鼓膜に対して直接的に音を到達させることにより音質を向上し得るものの、音像をリスナの頭内に定位させることになり当該リスナに不自然な印象を与えてしまっていた。
【0004】
このためヘッドホン装置の中には、スピーカユニットを外耳道入口(耳孔)からやや離隔させ前頭部側へ位置させることにより、一般的な据置型のスピーカを用いた場合のように音像を頭外に定位させることにより不自然感を払拭させると共に、リスナの耳の周囲に密閉空間を形成した密閉型とすることにより充分な低音を聴取させ得るよう考慮されたものが考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3054295号明細書(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、かかる構成のヘッドホン装置においては、スピーカユニットを外耳道入口(耳孔)からやや離隔させ前頭部側へ位置させたとしても、リスナが聴取するコンテンツの再生音声等がステレオソースの音源である場合、音像がリスナの頭内に定位してしまうことになり、不自然感を払拭させることは出来ないという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、自然な音像定位を与えながら高品質な再生音をリスナに聴取させ得る電気音響変換器及びイヤースピーカ装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、リスナの頭部の所定位置に装着された筐体部と、筐体部の一面に取り付けられ、筐体部がリスナの頭部に装着された際、リスナの外耳道入口との間に所定距離が設けられたスピーカユニットと、筐体部の内部空間に生じさせた音をリスナの外耳道入口近傍まで到達させるよう延長されたダクトの放音用の孔部が外耳道入口に対して逆方向に向けられてなる管状ダクトとを設けるようにした。
【0008】
これにより、スピーカユニットから出力される中高音をリスナに聴取させると共に、リスナの外耳道入口とは逆方向へ向けられた管状ダクトの孔部から僅かに出力される指向性のある中高音についてはリスナの外耳道入口まで到達させ難くし、管状ダクトの孔部から出力される筐体部の内部空間で生じさせた指向性のない低音だけをリスナに聴取させることができるので、スピーカユニットから出力される中高音だけに基づいて自然な音像定位を与えることができる。
【0009】
また本発明においては、リスナの頭部の所定位置に装着された筐体部と、筐体部の一面に取り付けられ、筐体部がリスナの頭部に装着された際、リスナの外耳道入口との間に所定距離が設けられたスピーカユニットと、筐体部の内部空間に生じた音をリスナの外耳道入口近傍まで到達させるよう延長されたダクトの放音用の孔部が外耳道入口に対して逆方向に向けられてなる管状ダクトとを有する電気音響変換器と、スピーカユニットとリスナの外耳道入口との間に所定距離が設けられるよう電気音響変換器をリスナの頭部に装着させる装着部とを設けるようにした。
【0010】
これにより、リスナの頭部に装着された電気音響変換器のスピーカユニットから出力される中高音をリスナに聴取させると共に、リスナの外耳道入口とは逆方向へ向けられた管状ダクトの孔部から僅かに出力される指向性のある中高音についてはリスナの外耳道入口まで到達させ難くし、管状ダクトの孔部から出力される筐体部の内部空間で生じさせた指向性のない低音だけをリスナに聴取させることができるので、スピーカユニットから出力される中高音だけに基づいて自然な音像定位を与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スピーカユニットから出力される中高音をリスナに聴取させると共に、リスナの外耳道入口とは逆方向へ向けられた管状ダクトの孔部から僅かに出力される指向性のある中高音についてはリスナの外耳道入口まで到達させ難くし、管状ダクトの孔部から出力される筐体部の内部空間で生じさせた指向性のない低音だけをリスナに聴取させることができるので、スピーカユニットから出力される中高音だけに基づいて自然な音像定位を与えることができ、かくして自然な音像定位を与えながら高品質な再生音をリスナに聴取させ得る電気音響変換器を実現することができる。
【0012】
また本発明によれば、リスナの頭部に装着された電気音響変換器のスピーカユニットから出力される中高音をリスナに聴取させると共に、リスナの外耳道入口とは逆方向へ向けられた管状ダクトの孔部から僅かに出力される指向性のある中高音についてはリスナの外耳道入口まで到達させ難くし、管状ダクトの孔部から出力される筐体部の内部空間で生じさせた指向性のない低音だけをリスナに聴取させることができるので、スピーカユニットから出力される中高音だけに基づいて自然な音像定位を与えることができ、かくして自然な音像定位を与えながら高品質な再生音をリスナに聴取させ得るイヤースピーカ装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を、第1の実施の形態と第2の実施の形態とに分けて詳述する。
【0014】
(1)第1の実施の形態
(1−1)イヤースピーカ装置の構成
図1、図2及び図3において、1は全体として第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置を示し、ポータブルCD(Compact Disc)プレーヤやDMP(Digital Music Player)の再生処理等により生成されたオーディオ信号を再生音に変換し、これをリスナに聴取させるようになされている。
【0015】
イヤースピーカ装置1は、一般的な箱形のスピーカ装置とは異なり、ヘッドホン装置と同様にリスナの頭部に装着されることを前提としており、大きく分けてオーディオ信号を再生音に変換する電気音響変換部2L及び2Rと、当該電気音響変換部2L及び2Rをリスナの頭部に装着して固定させるためのバンド部3とにより構成されている。
【0016】
電気音響変換部2L及び2Rは、球体が垂直方向に4等分されたような形状でなる筐体部4L及び4Rを中心に構成されている。筐体部4L及び4Rは、それぞれ後面側及び左右内側に平面部分が形成されており、左右内側にはリスナの頭部に対する側圧を和らげるためのパッド部5L及び5Rが取り付けられている。
【0017】
筐体部4L及び4Rの後面側における平面部分であるバッフル板4AL及び4ARには、オーディオ信号を再生音に変換するスピーカユニット7L及び7Rが取り付けられている。このスピーカユニット7L及び7Rは、ポータブルCDプレーヤやDMP等から接続ケーブル6を介して供給されるオーディオ信号に応じて、振動板を振動させることにより放音するようになされている。
【0018】
また筐体部4L及び4Rのバッフル板4AL及び4ARには、金属製でなり、所定太さを有する中空の部材が側面略U字状に曲げられた管状ダクト8L及び8Rが取り付けられている。この管状ダクト8L及び8Rは、図1に示したように、外端部がそれぞれ左右内側方向に曲げられており、さらに後側先端部のほぼ中央にそれぞれ孔部8AL及び8ARが設けられている。
【0019】
バンド部3は、中央部3Aを中心に一般的な人間の頭部の形状に合わせて上に凸の略アーチ型に形成されていると共に、当該中央部3Aに対して伸縮自在に摺動し得るアジャスト部3BL及び3BRによりバンド部3全体の長さを調整し得るようになされている。
【0020】
またバンド部3は、一般的な人間の頭部の形状よりも小さい径のアーチ型に形成されていると共に弾性力を有しており、リスナに装着される際に筐体部4L及び4Rを左右に広げながら装着されると、装着後に当該弾性力の作用によって元の形状に戻ろうとするため、筐体部4L及び4Rを当該リスナの頭部に対して当接させた状態で保持させるようになされている。
【0021】
なお、イヤースピーカ装置1は、図1〜図3に示したようにほぼ左右対称に構成されているため、以下では主に左側の電気音響変換部2Lを例に説明する。
【0022】
実際上、イヤースピーカ装置1は、図4の左側面図に示すように、バンド部3における長さが調整された上でリスナの頭部100に装着されることにより、アジャスト部3BLの下端側に取り付けられた電気音響変換部2Lをリスナの頭部における耳介101Lよりもやや前方に位置させるようになされている。
【0023】
これによりイヤースピーカ装置1の電気音響変換部2Lは、スピーカユニット7Lから放射された中高音を直接リスナの外耳道内部へ到達させると共に、当該リスナの頬や耳介101L等で反射された反射音も外耳道内部へ到達させることができるため、一般的な据置型スピーカを介して聴取した場合と同様の、自然な音像定位を与え得るようになされている。
【0024】
このときイヤースピーカ装置1は、リスナに対して正常に装着された際、スピーカユニット7Lが耳介101L及び外耳道入口102Lのやや前方に位置し、管状ダクト8Lの孔部8ALが外耳道入口102Lの近傍に位置するようになされている。
【0025】
因みに管状ダクト8Lは、その先端が略U字状に形成されているため、リスナの外耳道内へ入り込まないようになされている。これによりイヤースピーカ装置1は、当該リスナがイヤースピーカ装置1の装着時等に、誤って管状ダクト8Lにより当該外耳道内を傷つけてしまうことを未然に防止し得るようになされている。
【0026】
ここで図4におけるQ1−Q2断面を図5に示すように、筐体部4Lはスピーカユニット7Lが取り付けられた状態で管状ダクト8Lを除き密閉された空間を形成しており、スピーカユニット7Lに対して筐体部4L及び当該管状ダクト8Lにより共振回路を形成するようになされている。
【0027】
また管状ダクト8Lは、筐体部4Lの内部から筐体部4Lのバッフル板4ALを貫通してリスナの外耳道入口102Lの近傍に到達している。実際上、電気音響変換部2Lは、管状ダクト8Lをバスレフダクトとして作用させることにより、全体としてバスレフ型のスピーカとして動作するようになされている。
【0028】
ところで、一般的なバスレフ型スピーカでは、ダクトが筐体の内部のみに設けられ、外部へは延長しないようになされている。そこで、電気音響変換部2Lとの比較用に、図5の対応部分に同一符号を付した図6に示すような電気音響変換部12Lを想定する。
【0029】
この電気音響変換部12L(図6)は、一般的なバスレフ型スピーカと同様に構成されており、電気音響変換部2Lの管状ダクト8L(図5)に代えて、筐体部4Lの内側のみに2本の管状ダクト18L及び19Lを有している。
【0030】
この電気音響変換部12Lの場合、スピーカユニット7Lの位置を仮想的な音源の位置(以下、これを仮想音源位置と呼ぶ)PMと見なしたときの、当該スピーカユニット7Lから放射された中高音がリスナの鼓膜103Lに到達するまでの経路長EMと、孔部18AL及び19ALを仮想音源位置PL2と見なしたときの、管状ダクト18L内及び19L内を伝わり当該孔部18AL及び19ALから放射された低音がリスナの鼓膜103Lに到達するまでの経路長EL2とを比較すると、経路長EM≒経路長EL2となっている。
【0031】
ここで、電気音響変換部12Lにより鼓膜103Lに到達する音の周波数特性を図7に示す。この図7に示すように、一般的なバスレフ型の電気音響変換部12Lは、スピーカユニット7Lから放射される、特性曲線SMに示すような周波数特性でなる中高音と、管状ダクト18L内及び19L内を伝わり孔部18AL及び19ALから放射される、特性曲線SL2に示すような周波数特性でなる低音とを合わせてリスナの鼓膜103Lまで到達させることになる。
【0032】
これにより電気音響変換部12Lは、特性曲線SM及び特性曲線SL2が合成された特性曲線SG2に示すように、特性曲線SMにおける低音域の音圧レベルがある程度上昇された再生音をリスナに聴取させることができる。
【0033】
一方、本発明による電気音響変換部2L(図5)では、スピーカユニット7Lを仮想音源位置PMとみなしたときの、当該スピーカユニット7Lから放射された中高音がリスナの鼓膜103Lに到達するまでの経路長EMと、孔部8ALを仮想音源位置PL1と見なしたときの、管状ダクト8L内を伝わり当該孔部8ALから放射された低音がリスナの鼓膜103Lに到達するまでの経路長EL1とを比較すると、経路長EM>経路長EL1となっている。
【0034】
ここで、電気音響変換部2Lにより鼓膜103Lに到達する音の周波数特性を図8に示す。電気音響変換部2Lは、上述したようにバスレフ型スピーカの一種であるため、図7に示した場合と同様、スピーカユニット7Lから放射される、特性曲線SMに示すような周波数特性でなる中高音と、管状ダクト8Lを伝わり孔部8ALから放射される、特性曲線SL1に示すような周波数特性でなる低音とを合わせてリスナの鼓膜103Lまで到達させることになる。
【0035】
ところで、一般に音源からの距離と音圧レベルとは反比例の関係にある。ここで電気音響変換部2L(図5)と電気音響変換部12L(図6)との経路長を比較すると、経路長EL1<経路長EL2の関係となる。
【0036】
すなわち電気音響変換部2L(図5)は、仮想音源位置PL1が電気音響変換部12L(図6)の仮想音源位置PL2よりもリスナの外耳道入口102L近傍に位置しているため、管状ダクト8L内を伝わり孔部8AL(仮想音源位置PL1)から放射される低音を、電気音響変換部12Lの場合よりも高い音圧レベルで鼓膜103Lまで到達させ得るようになされている。
【0037】
すなわち、2つの特性曲線SL1及びSL2を重ねた図9に示すように、管状ダクト8Lによる低音の特性曲線SL1は、経路長EL1<経路長EL2の関係により、管状ダクト18L及び19Lによる低音の特性曲線SL2と比較して全体的な音圧レベルが高くなる。
【0038】
この結果、第1の実施の形態における電気音響変換部2Lは、特性曲線SM及び特性曲線SL1が合成された特性曲線SG1に示すように、特性曲線SMにおける低音域の音圧レベルが電気音響変換部12Lの場合(特性曲線SG2)よりも上昇された、比較的低い周波数帯まで十分な音圧レベルの再生音をリスナに聴取させ得るようになされている。
【0039】
ここで特性曲線SG1と特性曲線SG2とを比較すると、特性曲線SG2では低音域側へ進むに連れて比較的急峻に音圧レベルが低下しているのに対して、特性曲線SG1では低音域側へ進むに連れて音圧レベルの低下度合いが緩やかになっていることが分かる。
【0040】
すなわち電気音響変換部2Lは、電気音響変換部12Lと比較して、広い周波数帯域に渡って高い音圧レベルでなる、すなわち充分な低音域が含まれる良好な再生音をリスナの鼓膜103に伝達して聴取させ得るようになされている。
【0041】
この場合、電気音響変換部2Lは、図4及び図5に示したように、リスナの外耳道入口102Lの近傍に管状ダクト8Lの外端部を位置させるものの、当該外耳道入口102Lを完全には閉塞しない。
【0042】
このため電気音響変換部2Lは、スピーカユニット7Lから放射する中高音及び管状ダクト8Lの孔部8ALから放射する低音を合わせた再生音に加えて、リスナの周囲で発生した音(以下これを周囲音と呼ぶ)を遮断することなく当該リスナの鼓膜103Lまで到達させ聴取させ得るようになされている。
【0043】
因みに電気音響変換部2Lは、筐体部4Lの内容積が10[ml]、スピーカユニット7Lの外径が21[mm]、当該スピーカユニット7Lの振動板における有効振動半径が8.5[mm]、振動系の等価質量が0.2[g]、最低共振周波数f0が360[Hz]、共振のQ0が1.0とされている。
【0044】
また管状ダクト8Lは、内径が1.8[mm]、当該管状ダクト8Lの筐体部4L内に位置する内部端8BLから孔部8ALまでの有効長が50[mm]、バッフル板4ALの表面から孔部8ALまでの距離が約35[mm]とされている。
【0045】
ここで管状ダクト8Lは、その側面がU字状に形成され、外端部の中央に孔部8ALが設けられているため、実質的に上半分及び下半分による2本のバスレフダクトを構成しているのと同じであり、当該管状ダクト8Lを1本の管状ダクトに換算した場合の内径(この場合は約2.5[mm]に相当する)が考慮された上で、その内径及び有効長が決定されている。
【0046】
すなわち管状ダクト8Lは、側面U字状に形成されたことにより、1本の管状ダクトとした場合に比べてその有効長を短く設定し得ると共に、デザイン性及び安全性を大きく向上させ得るようになされている。
【0047】
この電気音響変換部2L(図5)及び電気音響変換部12L(図6)について、人間の耳介及び外耳道を模した測定用治具を用いて実際の周波数特性を測定したところ、図10に示すような特性曲線SG11(電気音響変換部2Lの場合)及び特性曲線SG12(電気音響変換部12Lの場合)が得られた。
【0048】
この図10では、図9に示した理論的な周波数特性と同様、およそ500[Hz]以下の低音域において、電気音響変換部2Lの特性曲線SG11が電気音響変換部12Lの特性曲線SG12よりも高い音圧レベルとなっている。すなわち、実際に電気音響変換部2Lがリスナに対して充分な低音を含む良好な再生音を聴取させ得ることが示されている。
【0049】
このようにイヤースピーカ装置1は、リスナの頭部100に装着された際、スピーカユニット7Lをリスナの外耳道入口102Lからやや離れた場所に位置させ、そのスピーカユニット7Lから再生音の中高音を放射すると共に、筐体部4Lから当該外耳道入口102Lの近傍まで延長されバスレフダクトとして作用する管状ダクト8Lの孔部8ALから再生音の低音を放射することにより、自然な音像定位を与えながら充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0050】
なお、上述したイヤースピーカ装置1の管状ダクト8L及び8R(図1)では、孔部8AL及び8ARがリスナの外耳道入口102Lの近傍で、当該外耳道入口102Lの方へ向いた状態で設けられているが、この場合、孔部8AL及び8ARから出力されるのは、必要な低音だけではなく若干の中高音成分も含まれている。
【0051】
この中高音成分がリスナの外耳道入口102Lから入って鼓膜103Lに到達すると、スピーカユニット7L及び7Rから出力される中高音以外に、管状ダクト8L及び8Rの孔部8AL及び8ARからも中高音がリスナに聞こえることになり、その分だけ音像定位が頭内に位置し易くなり、その結果、リスナに対して音場を狭く感じさせるという悪影響を与えてしまうことになる。
【0052】
そこで、図1との対応部分に同一符号を付した図11に示すイヤースピーカ装置150では、リスナの外耳道入口102Lに対して逆方向を向くような孔部8ALB及び8ARBが形成された管状ダクト8LB及び8RBを設けるようになされている。実際上、孔部8ALB及び8ARBは、管状ダクト8LB及び8RBの側面U字状に形成された先端部分の内側に設けられている。
【0053】
この場合のイヤースピーカ装置150では、管状ダクト8LB及び8RBの孔部8ALB及び8ARBが外耳道入口102Lに対して逆方向を向いていても、管状ダクト8LB及び8RBの孔部8ALB及び8ARBから放射される低音が指向性を持たないため、その低音がリスナの外耳道に対して確実に到達し得る一方、孔部8ALB及び8ARBから僅かに漏れて放射される中高音については、管状ダクト8LB及び8RBの孔部8ALB及び8ARBが外耳道入口に対して逆方向を向き、かつ中高音が指向性を有しているため、リスナの外耳道に殆ど到達することがない。
【0054】
従ってイヤースピーカ装置150では、再生音声の中高音をスピーカユニット7L及び7Rから出力してリスナの外耳道入口102Lへ到達させると共に、管状ダクト8LB及び8RBの孔部8ALB及び8ARBから再生音声の低音だけをリスナの外耳道入口102Lに到達させる一方、僅かに漏れる中高音についてはリスナの外耳道入口とは逆方向に向いた孔部8ALB及び8ARBから指向性を持った状態で出力されるので、その漏れた中高音がリスナの外耳道入口102Lに到達することがなく、主として中高音が作用するリスナの音像定位に対して悪影響を与えずに済むようになされている。
【0055】
これによりイヤースピーカ装置150では、スピーカユニット7L及び7Rから出力される中高音により自然な音像定位を与えながら、管状ダクト8L及び8Rの孔部8ALB及び8ARBを介して充分なレベルの低音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0056】
因みに、孔部8ALB及び8ARBの位置としては、この場所に限られるものではなく、リスナの外耳道入口102Lに対して逆方向を向きさえすれば管状ダクト8LB及び8RB上の何れの場所であってもよい。
【0057】
(1−2)他のイヤースピーカ装置の構成例
ところで、第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置1は、図1〜4に示したように、装着部としてのバンド部3により電気音響変換部2L及び2Rをリスナの頭部100に装着するようになされているが、このバンド部3に代えて他の種々の装着部を用いることにより電気音響変換部2L及び2Rをリスナの頭部100に装着するようにしても良い。
【0058】
なお、以下では、上述したイヤースピーカ装置1の場合と同様、主に左側の電気音響変換部2Lを例に説明するが、右側の電気音響変換部2Rについては、当該左側の電気音響変換部2Lと左右対称に構成されているものとする。
【0059】
例えば図12に示すイヤースピーカ装置20は、いわゆるイヤークリップ型として構成されており、イヤースピーカ装置1(図1〜図4)におけるバンド部3に代えて、リスナの耳介101Lに引っ掛けるためのイヤークリップ21Lが電気音響変換部2Lの筐体部4Lに取り付けられている。
【0060】
このイヤースピーカ装置20(図12)は、イヤークリップ21Lがリスナの耳介101Lに引っ掛けられることにより電気音響変換部2Lをリスナの頭部100に装着することができ、イヤースピーカ装置1と同様、自然な音像定位を与えながら充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0061】
また図13に示すイヤースピーカ装置30は、所謂アンダーチン型として構成されており、イヤースピーカ装置1(図1〜図4)におけるバンド部3に代えて、左右の電気音響変換部2L及び2Rを接続すると共にリスナの耳介101Lに引っ掛けるためのバンド部31が筐体部4Lに取り付けられている。このバンド部31の中央部31Aは、下に凸の略アーチ状に形成され、リスナの顎の下を通って左右に渡されることを前提としている。
【0062】
このイヤースピーカ装置30(図13)は、バンド部31の耳掛部31BLがリスナの耳介101Lに引っ掛けられることにより電気音響変換部2Lをリスナの頭部100に装着することができ、イヤースピーカ装置1と同様、自然な音像定位を与えながら充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0063】
さらに図14に示すイヤースピーカ装置40は、所謂ショルダーホールド型として構成されており、イヤースピーカ装置1(図1〜図4)におけるバンド部3に代えて、左右の電気音響変換部2L及び2Rを接続すると共にリスナの肩部から支持するショルダーアーム41が筐体部4Lに取り付けられている。このショルダーアーム41の中央部41Aは、後ろに凸の略アーチ状に形成され、リスナの首の後ろから肩の上部に引っ掛けて左右に渡されることを前提としている。
【0064】
このイヤースピーカ装置40(図14)は、リスナの両肩に渡って引っ掛けられることにより電気音響変換部2Lをリスナの頭部100に装着することができ、イヤースピーカ装置1と同様、自然な音像定位を与えながら充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0065】
さらに図15に示すイヤースピーカ装置50は、所謂ネックバンド型として構成されており、イヤースピーカ装置1(図1〜図4)におけるバンド部3に代えて、左右の電気音響変換部2L及び2Rを接続すると共にリスナの耳介101Lに掛けるためのバンド部51が筐体部4Lに取り付けられている。このバンド部51の中央部51Aは、後ろに凸の略アーチ状に形成され、リスナの後頭部の後ろ側で渡されることを前提としている。
【0066】
このイヤースピーカ装置50(図15)は、バンド部51の耳掛部51BLがリスナの耳介101Lに引っ掛けられることにより電気音響変換部2Lをリスナの頭部100に装着することができ、イヤースピーカ装置1と同様、自然な音像定位を与えながら充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0067】
さらに図16に示すイヤースピーカ装置60は、図15に示したイヤースピーカ装置50における電気音響変換部2Lをリスナの耳介101よりも後方に位置させると共に、管状ダクト8Lに代えて略L字状でなる管状ダクト68Lがリスナの耳介101Lの後方に位置する筐体部4Lから外耳道入口102Lの近傍まで延長されている。また左右の電気音響変換部2L及び2Rは、リスナの首の後ろ側で渡されるバンド部61により接続されている。
【0068】
このイヤースピーカ装置60(図16)は、管状ダクト68Lがリスナの耳介101Lに引っ掛けられることにより電気音響変換部2Lをリスナの頭部100に装着することができ、イヤースピーカ装置1と同様、自然な音像定位を与えながら充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0069】
さらに図17に示すイヤースピーカ装置70は、電気音響変換部2Lに加えて、上述した電気音響変換部12L(図6)と同様の構成でなる後方電気音響変換部72Lを有しており、イヤースピーカ装置1(図1〜図4)におけるバンド部3に代わるバンド部71により、電気音響変換部2Lを耳介101Lの前方に位置させると共に、後方電気音響変換部72Lを当該耳介101Lの後方に位置させるようになされている。
【0070】
因みに、後方電気音響変換部72Lには、4チャンネルや5.1チャンネル等のマルチチャンネル音源におけるリアチャンネル用の音声信号が供給されるようになされている。
【0071】
このイヤースピーカ装置70(図17)は、リスナの頭部100に装着されることにより、電気音響変換部2L及び後方電気音響変換部72Lを当該リスナの頭部100に装着することができ、電気音響変換部2L及び後方電気音響変換部72Lの間に耳介101Lを挟み込んだ状態で、自然な音像定位を与えながら、サラウンド音でなり充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0072】
またこの場合、イヤースピーカ装置70(図17)では、バンド部71に加振器75を取り付け、例えば5.1チャンネル音源における重低音成分に応じた振動をリスナの頭部100に加えるようにしても良い。
【0073】
なおイヤースピーカ装置70(図17)は、電気音響変換部2Lから管状ダクト8Lをリスナの外耳道入口102L近傍まで延長する以外にも、イヤースピーカ装置60(図16)と同様、後方用電気音響変換部72Lから管状ダクトをリスナの外耳道入口102L近傍まで延長するようにしたり、或いは電気音響変換部2L及び後方用電気音響変換部72Lの両方から管状ダクトをリスナの外耳道入口102L近傍まで延長するようにしても良い。
【0074】
さらに図18に示すイヤースピーカ装置80は、イヤースピーカ装置1(図1〜図4)におけるバンド部3に代えて、左右の電気音響変換部2L及び2Rを接続すると共にリスナの頬よりも前側に位置させるためのバンド部81が筐体部4Lに取り付けられている。
【0075】
また筐体部4Lには、管状ダクト8Lに代えて筐体部4Lからリスナの外耳道入口102L近傍まで延長された管状ダクト88Lが設けられている。なお、管状ダクト88Lは、再生音における良好な低音を孔部88ALから放射するべく、その内径や音の経路長等が適切に計算されている。
【0076】
このイヤースピーカ装置80(図18)は、リスナの頭部100に装着されることにより、筐体部4Lを当該リスナの頬よりも前方に位置させることができる。この場合、スピーカユニット7Lから放射された中高音は、当該リスナの頬等において反射されることによりその特性が変化するため、イヤースピーカ装置1の場合と比較して、一般的な据置型のスピーカから放射された音に一層近づけられることになる。これによりイヤースピーカ装置80は、一段と自然な定位感を与え得る再生音をリスナに聴取させることができる。
【0077】
このように本発明では、イヤースピーカ装置1のバンド部3(図1〜図4)以外にも、イヤースピーカ装置20〜80(図12〜図18)のような種々の方式でなる装着部により、電気音響変換部2L及び2Rをリスナの頭部100に対して装着させるようにしても良い。
【0078】
(1−3)第1の実施の形態における動作及び効果
以上の構成において、イヤースピーカ装置1は、リスナの頭部100に装着されることにより、電気音響変換部2Lの筐体部4Lに設けられたスピーカユニット7Lを当該リスナの外耳道入口102Lよりもやや前方に位置させると共に、当該筐体部4Lから後方に延長されバスレフダクトとして作用する管状ダクト8Lの先端部分を外耳道入口102Lの近傍に位置させた状態で、所定のアンプから供給される音声信号に基づいた再生音を出力する。
【0079】
このときイヤースピーカ装置1の電気音響変換部2L(図5)では、スピーカユニット7Lから放射される中高音がリスナの鼓膜103Lに到達するまでの経路長EMよりも、管状ダクト8Lの孔部8ALから放射される低音が当該鼓膜103Lに到達するまでの経路長EL1を短くなるため、特性曲線SM(図7)に示したような中高音に対して、特性曲線SL1に示したように比較的音圧レベルが高い低音を当該鼓膜103Lに到達させることができる。
【0080】
従ってイヤースピーカ装置1の電気音響変換部2Lは、スピーカユニット7Lから放射された中高音を当該リスナの頬や耳介101L等で反射させて鼓膜103Lに到達させることができるので、一般的なスピーカを介して再生音を聴取する場合と似た特性の再生音を当該リスナに聴取させることができ、音像が頭外に位置しているような自然な定位感を与えることができる。
【0081】
さらにイヤースピーカ装置1の電気音響変換部2Lは、管状ダクト8Lがリスナの外耳道入口102L近傍まで延長されていることにより、特性曲線SG1(図9)及び特性曲線SG11(図10)に示したような、低音域まで比較的充分な音圧レベルでなる良好な再生音をリスナに聴取させることができる。
【0082】
この場合、イヤースピーカ装置1の電気音響変換部2Lは、管状ダクト8Lがリスナの外耳道入口102L近傍まで延長されているため、一般的なバスレフ型の電気音響変換部2L(図6)において、管状ダクト18L及び19Lから出力される特性曲線SL2(図7)のような低音と比較して、特性曲線SL1(図7)のような音圧レベルが大きい低音をリスナの鼓膜103Lに到達させることができ、その結果スピーカユニット7Lの口径が比較的小さく外耳道入口102Lからやや離れていることにより不足しがちな低音を、十分な音圧レベルでリスナに聴取させることができる。
【0083】
さらにイヤースピーカ装置1は、低音の再生音量を上げるのではなく、低音の放射口である管状ダクト8Lの孔部8ALを鼓膜103Lに近づけることによりリスナの鼓膜103L(図5)に充分な低音を到達させているため、例えば大口径のスピーカやサブウーファー等を用いて低音を再生するような場合と比較して、周囲に漏れる低音や振動をほぼ皆無にすることができる。
【0084】
従って、例えばリスナが深夜にイヤースピーカ装置1を介して再生音を聴取する場合等に、近隣や周囲への迷惑を殆ど気にすることなく、充分な低音が含まれる良好な再生音を堪能することができる。
【0085】
また管状ダクト8Lは、リスナの外耳道入口102Lを塞ぐことがないため、再生音と共に、当該リスナの周囲で発生した周囲音を遮断することなく鼓膜103Lに到達させて聴取させることができる。
【0086】
これによりイヤースピーカ装置1では、リスナが歩行するときやスポーツを行うときなど、リスナが周囲音を聴取する必要がある場合にも、良好な再生音に加えて確実に周囲音を聴取させることができる。
【0087】
またイヤースピーカ装置1は、従来の密閉型ヘッドホンのように、リスナの耳介101L等を電気音響変換部2Lによって覆ってしまうことがないため、密閉型ヘッドホンを装着したリスナが感じるような閉塞感や蒸れといった不快感を与えることがない。さらにイヤースピーカ装置1では、密閉空間を形成しないため、密閉型ヘッドホンを使用した場合に生じ得る、外耳道における共振周波数の変化を生じることもなく、リスナに違和感を与えることもない。
【0088】
そのうえイヤースピーカ装置1は、低音の放射口である管状ダクト8Lの孔部8ALを鼓膜103Lに近づけることによりリスナに十分な音量レベルの低音を聴取させ得るため、スピーカユニット7Lの口径を不必要に大きくする必要が無く、筐体部4Lの大きさを必要最小限に止めることができる。これによりイヤースピーカ装置1では、全体の大きさや重量を必要最小限に抑えることができるので、リスナがイヤースピーカ装置1を装着した際の大きさや重さによる煩わしさを極力抑えることができる。
【0089】
以上の構成によれば、イヤースピーカ装置1は、リスナの頭部100に装着された際、電気音響変換部2Lのスピーカユニット7Lを当該リスナの外耳道入口102Lよりもやや前方に位置させると共に、管状ダクト8Lの孔部8ALを外耳道入口102Lの近傍に位置させた状態で再生音を出力することにより、バスレフダクトとして作用する管状ダクト8Lの孔部8ALから放射する低音を十分な音圧レベルで鼓膜103に到達させることができるので、自然な音像定位を与えながら比較的低音域まで充分な音圧レベルでなる良好な再生音をリスナに聴取させることができる。
【0090】
(1−4)第1の実施の形態に対する他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、管状ダクト8Lが側面略U字状に形成され、孔部8ALを境に2本のバスレフダクトとして機能させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該管状ダクト8Lを1本や3本以上の管状ダクトによって構成するようにしても良い。
【0091】
例えば図19に示すように、イヤースピーカ装置90の電気音響変換部92Lにおいては、筐体部4Lからバスレフダクトとして機能する1本の管状ダクト98Lが後方へ延長されるようにしても良く、さらに当該管状ダクト98Lの先端部にリスナの外耳道入口102Lを傷つけないための保護部99Lが取り付けられていても良い。この場合、保護部99Lは、音を通しやすいスポンジ状の部材等で構成されることにより、周囲音を遮断せずリスナに聴取させることができる。
【0092】
また第1の実施の形態においては、金属等の固い材料で形成された管状ダクト8Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、可撓性を有する樹脂等の柔らかい材料で形成された管状ダクト8Lを用いるようにしても良い。
【0093】
さらに第1の実施の形態においては、管状ダクト8Lが筐体部4Lのバッフル板4ALを貫通するように設けられた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該管状ダクト8Lが当該筐体部4Lにおける他の側面を貫通するよう設けられていても良い。
【0094】
さらに第1の実施の形態においては、イヤースピーカ装置1がリスナの頭部100(図4)に装着された際、スピーカユニット7Lの放音面がほぼ後方向を向くようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばスピーカユニット7Lの放音面がやや内側を向くようにしても良く、要は当該スピーカユニット7Lの放音面がおおよそ外耳道入口102Lの方向に向き、放射する中高音が効率良く鼓膜103Lへ到達されれば良い。
【0095】
さらに第1の実施の形態においては、イヤースピーカ装置1が左右の電気音響変換部2L及び2Rを有し、2チャンネルの再生音を出力するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば左側の電気音響変換部2Lのみを有し1チャンネルの再生音を出力するようにしても良い。
【0096】
さらに第1の実施の形態においては、筐体部4Lに中高音用のスピーカユニット7Lを設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば中音用及び高音用といった2つのスピーカユニットを1つの筐体部4Lに設けて2ウェイスピーカとするなど、複数のスピーカユニットを筐体部4Lに設けるようにしても良い。
【0097】
さらに第1の実施の形態においては、球体を垂直方向に4等分したような形状でなる筐体部4Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば立方体状や円柱状等の種々の形状であっても良く、要はバスレフ型スピーカのエンクロージャとして機能し得るようなほぼ密閉された空間を内部に有していれば良い。
【0098】
さらに第1の実施の形態においては、管状ダクト8L(図5)の内端部8BLの端部にエッジが残された状態の筐体部4Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、管状ダクト8Lの内端部8BLの端部に対してR状の丸みが形成された筐体部4Lを用いるようにしても良い。この場合、筐体部4Lでは、スピーカユニット7Lの背面側から押し出される空気がエッジに当って風切り音を発生するようなことがなく、ノイズのない低音だけを管状ダクト8Lの孔部8ALから放射することができる。
【0099】
さらに第1の実施の形態においては、筐体部4L及び4Rに対して管状ダクト8L及び8Rが一体に取り付けられているようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、取り付け及び取り外し可能な構成としても良い。
【0100】
例えば、図5との対応部分に同一符号を付した図20に示すように、筐体部4L1では、当該筐体部4L1のバッフル板4ALに形成された凹形状のダクト保持部4L2に対し、管状ダクト8L1のダクト勘合部8L2を嵌め合わせることにより取り付け、またダクト保持部4L2とダクト勘合部8L2との勘合状態を解消することにより、管状ダクト8L1を取り外すことが可能となる。
【0101】
さらに第1の実施の形態においては、孔部8ALから内端部8BLまでのダクト長がそれぞれ同じ長さに設定された管状ダクト8Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、それぞれ異なる長さのダクト長に設定された管状ダクトを用いるようにしても良い。
【0102】
例えば、図4との対応部分に同一符号を付した図21に示すように、孔部8ALから内端部8BL1までの長さL1と、孔部8ALから内端部8BL2までの長さL2とが異なる管状ダクト8L3が設けられた筐体部4L3では、長さL1のダクト部分と、長さL2のダクト部分とでは共振特性の位相ずれが生じ、その結果、孔部8ALから僅かに出力される中高域の周波数成分を相殺し、管状ダクト8L3の孔部8ALから中高音が打ち消された低音だけを放射し得るようになされている。
【0103】
さらに第1の実施の形態においては、筐体部としての筐体部4L及び4Rと、スピーカユニットとしてのスピーカユニット7L及び7Rと、管状ダクトとしての管状ダクト8L及び8Rとによって電気音響変換器としての電気音響変換部2L及び2Rを構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる筐体部と、スピーカユニットと、管状ダクトとによって電気音響変換器を構成するようにしても良い。
【0104】
さらに第1の実施の形態においては、筐体部としての筐体部4L及び4Rと、スピーカユニットとしてのスピーカユニット7L及び7Rと、装着部としてのバンド部3と、管状ダクトとしての管状ダクト8L及び8Rとによってイヤースピーカ装置としてのイヤースピーカ装置1を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる筐体部と、スピーカユニットと、装着部と、管状ダクトとによってイヤースピーカ装置を構成するようにしても良い。
【0105】
(2)第2の実施の形態
(2−1)イヤースピーカ装置の構成
図1との対応部分に同一符号を付した図22及び図23において、200は全体として第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置を示し、ポータブルCDプレーヤやDMPの再生処理等により生成されたオーディオ信号を再生音に変換し、これをリスナに聴取させるようになされている。
【0106】
このイヤースピーカ装置200においても、一般的な箱形のスピーカ装置とは異なり、通常のヘッドホン装置と同様にリスナの頭部に装着されることを前提としており、大きく分けてオーディオ信号を再生音に変換する電気音響変換部202L及び202Rと、当該電気音響変換部202L及び202Rをリスナの頭部に装着して固定させるためのバンド部3とにより構成されている。
【0107】
電気音響変換部202L及び202Rは、全体がほぼ球形状でなる筐体部204L及び204Rを中心に構成されており、その筐体部204L及び204Rには、それぞれ内部にスピーカユニット207L及び207Rが設けられている。
【0108】
筐体部204L(図23)は、スピーカユニット207Lを境に、前方向側に位置する半球状部204LAと、後方向側に位置するカバー部204LBとに分けられており、半球状部204LAのバッフル板204ALには、オーディオ信号を再生音に変換するスピーカユニット207Lが取り付けられている。
【0109】
このスピーカユニット207Lは、ポータブルCDプレーヤやDMP等から接続ケーブル6を介して供給されるオーディオ信号に応じて、振動板を振動させることにより主に中高音を放音するようになされている。
【0110】
カバー部204LB(図23)は、内部に空間を有する半球形状でなり、バッフル板204ALの前方空間を覆い隠すと共に、その表面のほぼ中央に対して、金属製でなり、所定太さを有する中空の部材が側面略U字状に曲げられた管状ダクト208Lが取り付けられている。
【0111】
この管状ダクト208L及び208R(図22)は、外端部がそれぞれ左右内側方向に曲げられており、さらに外端部のほぼ中央にそれぞれ孔部208AL及び208ARが形成されている。
【0112】
バンド部3は、中央部3Aを中心に一般的な人間の頭部の形状に合わせて上に凸の略アーチ型に形成されていると共に、当該中央部3Aに対して伸縮自在に摺動し得るアジャスト部3BL及び3BRにより当該バンド部3全体の長さを調整し得るようになされている。
【0113】
またバンド部3は、一般的な人間の頭部の形状よりも小さい径のアーチ型に形成されると共に弾性力を有しており、リスナに装着される際に筐体部204L及び204Rを左右に広げながら装着されると、装着後に当該弾性力の作用によって元の形状に戻ろうとするため、筐体部204L及び204Rを当該リスナの頭部に対して当接させた状態で保持させるようになされている。
【0114】
なお、イヤースピーカ装置200は、ほぼ左右対称に構成されているため、以下では主に左側の電気音響変換部202Lを例に説明する。
【0115】
実際上、イヤースピーカ装置200(図23)は、バンド部3における長さが調整された上でリスナの頭部100に装着されることにより、アジャスト部3BLの下端側に取り付けられた電気音響変換部202Lをリスナの頭部における耳介101Lよりもやや前方に位置させるようになされている。
【0116】
これによりイヤースピーカ装置200では、バンド部3を介してリスナに対し正常に装着された場合、筐体部204Lのスピーカユニット207Lが耳介101L及び外耳道入口102Lのやや前方に位置し、カバー部204LBの管状ダクト208Lの孔部208ALが外耳道入口102Lの近傍に位置するようになされている。
【0117】
従ってイヤースピーカ装置200は、スピーカユニット207Lから放射された主に中高音をカバー部204LB及び管状ダクト208Lを介して、直接リスナの外耳道内部へ到達させることができるため、一般的な据置型スピーカを介して聴取した場合よりも中高音の音漏れがない状態で自然な音像定位を与え得るようになされている。
【0118】
因みに管状ダクト208Lは、その先端部が側面略U字状に形成されているため、リスナの外耳道内部へ入り込まないようになされている。これによりイヤースピーカ装置200では、当該リスナが装着時等に誤って管状ダクト208Lの先端部により当該外耳道内部を傷つけてしまうことを未然に防止し得るようになされている。
【0119】
ここで、図23におけるQ3−Q4断面を図24に示すように、電気音響変換部202Lの筐体部204Lはスピーカユニット207Lの前面空間が管状ダクト208Lの孔部208ALを除き密閉されており、スピーカユニット207Lに対してカバー部204LB及び当該管状ダクト208Lにより共振回路を形成するようになされている。
【0120】
また管状ダクト208Lは、筐体部204Lの内部から筐体部204Lのカバー部204LBを介してリスナの外耳道入口102Lの近傍に到達している。実際上、電気音響変換部202Lは、スピーカユニット207Lの前面から放射される主に中高音を、カバー部204LB及び管状ダクト208Lを介して集め、当該管状ダクト208Lの孔部208ALからリスナの鼓膜103へダイレクトに到達させることにより、音漏れの少ない状態で充分な音声レベルの中高音をリスナに聴取させ得るようになされている。
【0121】
なお管状ダクト208Lは、側面略U字状に形成されたことにより、1本の管状ダクトとした場合に比べてその有効長を短く設定し得ると共に、デザイン性及び安全性を大きく向上させ得るようになされている。
【0122】
(2−2)他のイヤースピーカ装置の構成例
ところで、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200は、図22〜図24に示したように、装着部としてのバンド部3により電気音響変換部202L及び202Rをリスナの頭部100に装着するようになされているが、このバンド部3に代えて他の種々の装着部を用いることにより電気音響変換部202L及び202Rをリスナの頭部100に装着するようにしても良い。
【0123】
なお、以下では、上述したイヤースピーカ装置200の場合と同様、主に左側の電気音響変換部202Lを例に説明するが、右側の電気音響変換部202Rについても、当該左側の電気音響変換部202Lと左右対称に構成されているものとする。
【0124】
例えば図12との対応部分に同一符号を付した図25に示すように、リスナの耳介101Lに引っ掛けるためのイヤークリップ21Lが、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200(図22〜図24)のバンド部3に代えて、電気音響変換部202Lの筐体部204Lに取り付けられた所謂イヤークリップ型のイヤースピーカ装置220が考えられる。
【0125】
この場合のイヤースピーカ装置220(図25)においても、スピーカユニット207Lから放射された主に中高音を、カバー部204LB及び管状ダクト208Lを介して直接リスナの外耳道内部へ到達させることができるため、一般的な据置型スピーカを介して聴取した場合よりも中高音の音漏れがない状態で自然な音像定位を与え得るようになされている。
【0126】
また図13との対応部分に同一符号を付した図26に示すように、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200(図22〜図24)の左右の電気音響変換部202L及び202Rを接続すると共にリスナの耳介101Lに引っ掛けるためのバンド部31が、当該イヤースピーカ装置200のバンド部3に代えて電気音響変換部202Lの筐体部204Lに取り付けられた所謂アンダーチン型のイヤースピーカ装置230が考えられる。
【0127】
この場合のイヤースピーカ装置230(図26)においても、スピーカユニット207Lから放射された主に中高音をカバー部204LB及び管状ダクト208Lを介して、直接リスナの外耳道内部へ到達させることができるため、一般的な据置型スピーカを介して聴取した場合よりも中高音の音漏れがない状態で自然な音像定位を与え得るようになされている。
【0128】
さらに図14との対応部分に同一符号を付した図27に示すように、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200(図22〜図24)の左右の電気音響変換部202L及び202Rを接続すると共にリスナの肩部から支持するショルダーアーム41が、当該イヤースピーカ装置200のバンド部3に代えて電気音響変換部202Lの筐体部204Lに取り付けられた所謂ショルダーホールド型のイヤースピーカ装置240が考えられる。
【0129】
この場合のイヤースピーカ装置240(図27)においても、スピーカユニット207Lから放射された主に中高音をカバー部204LB及び管状ダクト208Lを介して、直接リスナの外耳道内部へ到達させることができるため、一般的な据置型スピーカを介して聴取した場合よりも中高音の音漏れがない状態で自然な音像定位を与え得るようになされている。
【0130】
さらに図15との対応部分に同一符号を付した図28に示すように、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200(図22〜図24)の左右の電気音響変換部202L及び202Rを接続すると共にリスナの耳介101Lに引っ掛けるためのバンド部51が、当該イヤースピーカ装置200のバンド部3に換えて筐体部204Lに取り付けられた所謂ネックバンド型のイヤースピーカ装置250が考えられる。
【0131】
この場合のイヤースピーカ装置250(図28)においても、スピーカユニット207Lから放射された主に中高音をカバー部204LB及び管状ダクト208Lを介して、直接リスナの外耳道内部へ到達させることができるため、一般的な据置型スピーカを介して聴取した場合よりも中高音の音漏れがない状態で自然な音像定位を与え得るようになされている。
【0132】
さらに図16との対応部分に同一符号を付した図29に示すように、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200(図22〜図24)の電気音響変換部202Lをリスナの耳介101よりも後方に位置させると共に、管状ダクト208Lに代えて略L字状でなる管状ダクト261Lがリスナの耳介101Lの後方に位置する筐体部204Lから外耳道入口102Lの近傍まで延長された構成のイヤースピーカ装置260が考えられる。
【0133】
この場合のイヤースピーカ装置260(図29)においても、スピーカユニット207Lから放射された主に中高音をカバー部204LB及び管状ダクト261Lを介して、直接リスナの外耳道内部へ到達させることができるため、一般的な据置型スピーカを介して聴取した場合よりも中高音の音漏れがない状態で自然な音像定位を与え得るようになされている。
【0134】
さらに図17との対応部分に同一符号を付した図30に示すように、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200(図22〜図24)の電気音響変換部202Lに加えて、当該電気音響変換部202Lと同様の構成でなる後方電気音響変換部272Lを有しており、イヤースピーカ装置200(図21〜図23)におけるバンド部3に代わるバンド部71により、電気音響変換部202Lを耳介101Lの前方に位置させると共に、後方電気音響変換部272Lを当該耳介101Lの後方に位置させるようになされている。
【0135】
因みに、後方電気音響変換部272Lには、4チャンネルや5.1チャンネル等のマルチチャンネル音源におけるリアチャンネル用の音声信号が供給されるようになされている。
【0136】
このイヤースピーカ装置270(図30)は、リスナの頭部100に装着されることにより、電気音響変換部202L及び後方電気音響変換部272Lを当該リスナの頭部100に装着することができ、電気音響変換部202L及び後方電気音響変換部272Lにより耳介101Lを挟み込んだ状態で自然な音像定位を与えながら、サラウンド音でなり充分な低音を含む良好な再生音を当該リスナに聴取させ得るようになされている。
【0137】
またこの場合、イヤースピーカ装置270(図30)では、バンド部71に対して加振器75を取り付け、例えば5.1チャンネル音源における重低音成分に応じた振動をリスナの頭部100に加えるようにしても良い。
【0138】
なおイヤースピーカ装置270(図30)は、電気音響変換部202Lから管状ダクト208Lをリスナの外耳道入口102L近傍まで延長する以外にも、イヤースピーカ装置260(図30)と同様、後方用電気音響変換部272Lから管状ダクトをリスナの外耳道入口102L近傍まで延長するようにしたり、或いは電気音響変換部202L及び後方用電気音響変換部272Lの両方から管状ダクトをリスナの外耳道入口102L近傍まで延長するようにしても良い。
【0139】
さらに図18との対応部分に同一符号を付した図31に示すように、第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置200(図22〜図24)の電気音響変換部202Lをリスナの頬よりも前側に位置させるバンド部81が筐体部204Lに取り付けられたイヤースピーカ装置280が考えられる。
【0140】
また筐体部204Lには、管状ダクト208Lに代えて筐体部204Lからリスナの外耳道入口102L近傍まで延長された管状ダクト281Lが設けられている。なお、管状ダクト281Lは、再生音における良好な低音を孔部281ALから放射するべく、その内径や音の経路長等が適切に計算されている。
【0141】
このイヤースピーカ装置280(図31)は、リスナの頭部100に装着されることにより、筐体部204Lを当該リスナの頬よりも前方に位置させることができる。この場合、スピーカユニット207Lから放射された中高音は、当該リスナの頬等において反射されることによりその特性が変化するため、イヤースピーカ装置200の場合と比較して、一般的な据置型のスピーカから放射された音に一層近づけられることになる。これによりイヤースピーカ装置280は、一段と自然な定位感を与え得る再生音をリスナに聴取させることができる。
【0142】
このように本発明では、イヤースピーカ装置200のバンド部3(図22〜図24)以外にも、イヤースピーカ装置220〜280(図25〜図31)のような種々の方式でなる装着部により、電気音響変換部202L及び202Rをリスナの頭部100に対して装着させるようにしても良い。
【0143】
(2−3)第2の実施の形態における動作及び効果
以上の構成において、イヤースピーカ装置200は、リスナの頭部100に装着されることにより、電気音響変換部202Lの筐体部204Lに設けられたスピーカユニット207Lから主に放射される中高音をカバー部204LBから管状ダクト208Lを介して集め、外耳道入口102Lの近傍に位置した管状ダクト208Lの孔部208ALから当該中高音を出力させる。
【0144】
従ってイヤースピーカ装置200の電気音響変換部202Lは、スピーカユニット207Lから放射された中高音を、管状ダクト208Lの孔部208ALからのみ鼓膜103Lに直接到達させることができるので、一般的なスピーカを介してリスナに聴取させる場合と似た特性の再生音を音漏れなしに聴取させ得ると共に、音像が頭外に位置しているような自然な定位感を与えることもできる。
【0145】
またイヤースピーカ装置200は、管状ダクト208Lの孔部208ALを外耳道入口102Lの近傍に位置させるだけであって、密閉型のヘッドホンのように外耳道入口102Lを塞いでしまうことがないため、管状ダクト208Lの孔部208ALから出力される再生音だけでなく、周囲音についても遮断されることなく鼓膜103に届かせることができ、かくして管状ダクト208Lを介して再生音を聴取させながら外部の周囲音についても聴取させることができる。
【0146】
これによりイヤースピーカ装置200では、リスナが歩行するときやスポーツを行うときなど、リスナが周囲音について聴取する必要がある場合にも、管状ダクト208Lの孔部208ALから出力される再生音に加えて周囲音についても確実に聴取させることができる。
【0147】
またイヤースピーカ装置200は、リスナの耳介101L等を電気音響変換部202Lによって覆ってしまうことがないため、一般的なヘッドホンを装着したリスナが感じるような閉塞感や蒸れといった不快感を与えることがない。さらにイヤースピーカ装置200では、密閉空間を形成しないため、密閉型ヘッドホンを使用した場合に生じ得る、外耳道における共振周波数の変化を生じることもなくリスナに違和感を与えることもない。
【0148】
そのうえイヤースピーカ装置200は、再生音の放射口である管状ダクト208Lの孔部208ALを鼓膜103Lに近づけることによりリスナに十分な音量レベルの中高音を聴取させ得るため、スピーカユニット207Lの口径を不必要に大きくする必要が無く、筐体部204Lの大きさを必要最小限に止めることができる。
【0149】
これによりイヤースピーカ装置200では、全体の大きさや重量を必要最小限に抑えることができるので、リスナがイヤースピーカ装置200を装着した際の大きさや重さによる煩わしさを極力抑えることができる。
【0150】
以上の構成によれば、イヤースピーカ装置200は、リスナの頭部100に装着された際、電気音響変換部202Lのスピーカユニット207Lを当該リスナの外耳道入口102Lよりもやや前方に位置させると共に、スピーカユニット207Lから主に放射される中高音をカバー部204LBから管状ダクト208Lを介して外部に漏れることなく集め、外耳道入口102Lの近傍に位置した管状ダクト208Lの孔部208ALから音声信号に基づいた再生音を出力することにより、管状ダクト208Lの孔部208ALから放射する中高音を十分な音圧レベルで鼓膜103に到達させることができるので、自然な音像定位を与えながら充分な音圧レベルでなる良好な再生音をリスナに聴取させることができる。
【0151】
(2−4)第2の実施の形態に対する他の実施の形態
なお上述した第2の実施の形態においては、管状ダクト208Lが側面略U字状に形成され、孔部8ARを境に2本の管状ダクトによって構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該管状ダクト208Lを1本や3本以上の管状ダクトによって構成するようにしても良い。
【0152】
例えば図32に示すように、イヤースピーカ装置290の電気音響変換部292Lにおいては、筐体部204Lにおけるカバー部204LBの表面から1本の管状ダクト298Lが後方へ延長されるようにしても良く、さらに当該管状ダクト298Lの後側先端部にリスナの外耳道入口102Lを傷つけないための保護部299Lが取り付けられていても良い。この場合、保護部299Lは、音を通しやすいスポンジ状の部材等で構成されることにより、周囲音を遮断させることなくリスナに聴取させることができる。
【0153】
また第2の実施の形態においては、金属等の固い材料で形成された管状ダクト208Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、可撓性を有する樹脂等の柔らかい材料で形成された管状ダクト208Lを用いるようにしても良い。この場合、当該管状ダクト208Lの材料の違いを考慮した上で内径や経路長が設計されることが望ましい。
【0154】
さらに第2の実施の形態においては、イヤースピーカ装置200がリスナの頭部100(図23)に装着された際、スピーカユニット207Lの放音面がほぼ後方向を向くようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばスピーカユニット207Lの放音面がやや内側を向くようにしても良く、要は当該スピーカユニット207Lの放音面がおおよそ外耳道入口102Lの方向に向き、放射する中高音が効率良く鼓膜103Lへ到達されれば良い。
【0155】
さらに第2の実施の形態においては、イヤースピーカ装置200が左右の電気音響変換部202L及び202Rを有し、2チャンネルの再生音を出力するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば左側の電気音響変換部202Lのみを有し1チャンネルの再生音を出力するようにしても良い。
【0156】
さらに第2の実施の形態においては、筐体部204Lに中高音用のスピーカユニット207Lを設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば中音用及び高音用といった2つのスピーカユニットを1つの筐体部204Lに設けて2ウェイスピーカとするなど、複数のスピーカユニットを筐体部204Lに設けるようにしても良い。
【0157】
さらに第2の実施の形態においては、半球形状のカバー部204LBを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば四角錐や三角錐等の形状であっても良く、要はスピーカユニット207Lから出力された中高音を集められ、かつ外部に漏れない構造であれば良い。
【0158】
さらに第2の実施の形態においては、スピーカユニット207Lの後方を閉塞した構造の半球状部204LAが設けられた筐体部204Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図33に示すように、スピーカユニット207Lの後方に貫通孔305〜308が形成されると共に、その貫通孔305〜308を内側から塞ぐようなスポンジ等でなる音響抵抗体309が取り付けられた半球状部304LAを有する筐体部304Lを用いるようにしても良い。
【0159】
この場合の筐体部304L(図33)では、スピーカユニット207Lの後方側が貫通孔305〜308によって開放されたことによって当該スピーカユニット207Lの振動板がオーディオ信号に対して追従し易くなると共に、貫通孔305〜308が形成されたことによる音質の低下を音響抵抗体309によって防ぐことができるので、高音質な中高音を管状ダクト208Lの孔部208ALから放射することができる。
【0160】
因みに、筐体部304L(図33)では、音響抵抗体309が必ずしもなければならない訳ではなく、必要に応じて音響抵抗体309を取り付け、またその長さ及び厚さを変更したものを取り付けることにより音質を調整することが可能である。
【0161】
さらに第2の実施の形態においては、スピーカユニット207Lの後方を閉塞した構造の半球状部204LAが設けられた筐体部204Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図34に示すように、スピーカユニット207Lの前方に貫通孔405〜408が形成されると共に、その貫通孔405〜408を内側から塞ぐようなスポンジ等でなる音響抵抗体409及び410が取り付けられたカバー部404LBを有する筐体部404Lを用いるようにしても良い。
【0162】
この場合の筐体部404L(図34)では、スピーカユニット207Lの前方側が貫通孔405〜408によって開放されたことによって当該スピーカユニット207Lの振動板がオーディオ信号に対して追従し易くなると共に、貫通孔405〜408が形成されたことによる音質の低下を音響抵抗体409及び410によって防ぐことができるので、高音質な中高音を管状ダクト208Lの孔部208ALから放射することができる。
【0163】
因みに、筐体部404L(図34)においても、音響抵抗体409及び410が必ずしもなければならない訳ではなく、必要に応じて音響抵抗体409及び410を取り付け、またその長さ及び厚さを変更したものを取り付けることにより音質を調整することが可能である。
【0164】
さらに第2の実施の形態においては、カバー部204LBの表面に管状ダクト208Lが設けられた筐体部204Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図35に示すように半球状部504LAの表面に管状ダクト508Lが一体に設けられた筐体部504Lを用いるようにしても良い。
【0165】
この場合、筐体部504L(図35)は所謂ケルトン型のスピーカ装置と同様の構造を有することになり、スピーカユニット207Lの前方の空間に中高音を閉じ込める一方、スピーカユニット207Lの後方から所定の周波数帯域の低音だけを、管状ダクト508Lの孔部508ALを介して放射させることができる。
【0166】
因みに、筐体部504L(図35)の構造としては、これに限るものではなく、スピーカユニット207Lの後方を半球状部によって閉塞し、カバー部204LBの表面の何れかに管状ダクトを設けることによりケルトン型とすることも考えられる。
【0167】
さらに第2の実施の形態においては、カバー部204LBの表面に管状ダクト208Lが一体化した状態で形成された筐体部204Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図36に示すようにカバー部604LBに形成された勘合部604LBSと、管状ダクト608Lの一方に形成された保持部608LSとを相互に勘合することにより、当該管状ダクト608Lがカバー部604LBに対して着脱自在に設けられた構成の筐体部604Lを用いるようにしても良い。
【0168】
これにより筐体部604L(図36)では、リスナにとって必要なときにのみ管状ダクト608Lが取り付けられた状態で使用され、リスナにとって不必要なときには管状ダクト608Lが取り外された状態で使用されるようになるため、リスナの使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0169】
さらに第2の実施の形態においては、カバー部204LBの内側であって、管状ダクト208Lの付け根部分にエッジが残った状態の筐体部204L(図24)を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図37に示すようにカバー部704LBの内側であって、管状ダクト708Lの付け根部分にR状のラウンド部711が形成された筐体部704Lを用いるようにしても良い。
【0170】
この筐体部704Lでは、スピーカユニット207Lの前面側から押し出される空気がエッジに当って風切り音を発生するようなことがなく、高音質な中高音だけを管状ダクト708Lの孔部708ALから放射することができる。
【0171】
さらに第2の実施の形態においては、カバー部204LBの表面に管状ダクト208Lが一体化した状態で形成された筐体部204Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、カバー部204LBと管状ダクト208Lとを区別することなく、スピーカユニット207Lの前面側を包み込むような形状で先端に行くに連れて細い管状に形成された管状ダクトがバッフル板204ALに取り付けられた構造の筐体部を用いるようにしても良い。
【0172】
さらに第2の実施の形態においては、孔部208ALを中心としたカバー部204LBの表面までのダクト長がそれぞれ同じ長さに設定された管状ダクト208Lを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、それぞれ異なる長さのダクト長に設定された管状ダクトを用いるようにしても良い。
【0173】
例えば、図21との対応部分に同一符号を付した図38に示すように、孔部808ALから内端部808BL1までの長さL3と、孔部808ALから内端部808BL2までの長さL4とが異なる管状ダクト808Lが設けられた筐体部804Lでは、長さL3のダクト部分と、長さL4のダクト部分とでは互いに共振特性の位相ずれが生じ、その結果、孔部808ALから僅かに出力される中高域の周波数成分を相殺し、管状ダクト208L2の孔部808ALから中高音が打ち消された低音だけを放射し得るようになされている。
【0174】
さらに第2の実施の形態においては、筐体部としての筐体部204L及び204Rと、スピーカユニットとしてのスピーカユニット207L及び207Rと、管状ダクトとしての管状ダクト208L及び208Rとによって電気音響変換器としての電気音響変換部202L及び202Rを構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる筐体部と、スピーカユニットと、管状ダクトとによって電気音響変換器を構成するようにしても良い。
【0175】
さらに第2の実施の形態においては、筐体部としての筐体部204L及び204Rと、スピーカユニットとしてのスピーカユニット207L及び207Rと、装着部としてのバンド部3と、管状ダクトとしての管状ダクト208L及び208Rとによってイヤースピーカ装置としてのイヤースピーカ装置1を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる筐体部と、スピーカユニットと、装着部と、管状ダクトとによってイヤースピーカ装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明は、バスレフ型のスピーカ以外にも、バックロードホーン型等の他、種々のダクトを有するスピーカ装置をリスナの頭部に装着させる種々のイヤースピーカ装置でも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の全体構成(1)を示す略線的斜視図である。
【図2】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の全体構成(2)を示す略線的後面図である。
【図3】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の全体構成(3)を示す略線的前面図である。
【図4】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の装着状態(1)を示す略線的側面図である。
【図5】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の装着状態(2)を示す略線的上断面図である。
【図6】一般的なバスレフ型のイヤースピーカ装置を示す略線的上断面図である。
【図7】従来のバスレフ型スピーカにおける周波数特性を示す略線図である。
【図8】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の周波数特性を示す略線図である。
【図9】理論的な周波数特性を示す略線図である。
【図10】実測による周波数特性を示す略線図である。
【図11】第1の実施の形態における管状ダクトの他の構成例を示す略線的斜視図である。
【図12】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(1)を示す略線的側面図である。
【図13】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(2)を示す略線的側面図である。
【図14】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(3)を示す略線的側面図である。
【図15】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(4)を示す略線的側面図である。
【図16】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(5)を示す略線的側面図である。
【図17】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(6)を示す略線的側面図である。
【図18】第1の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(7)を示す略線的側面図である。
【図19】他の実施の形態による管状ダクトの構成例(1)を示す略線的斜視図である。
【図20】他の実施の形態による管状ダクトの構成例(2)を示す略線的斜視図である。
【図21】他の実施の形態による管状ダクトの構成例(3)を示す略線的斜視図である。
【図22】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の全体構成を示す略線的斜視図である。
【図23】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の装着状態(1)を示す略線的側面図である。
【図24】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の装着状態(2)を示す略線的上断面図である。
【図25】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(1)を示す略線的側面図である。
【図26】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(2)を示す略線的側面図である。
【図27】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(3)を示す略線的側面図である。
【図28】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(4)を示す略線的側面図である。
【図29】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(5)を示す略線的側面図である。
【図30】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(6)を示す略線的側面図である。
【図31】第2の実施の形態におけるイヤースピーカ装置の構成及び装着の例(7)を示す略線的側面図である。
【図32】他の実施の形態による管状ダクトの構成例(4)を示す略線的斜視図である。
【図33】他の実施の形態による筐体部の構成例(1)を示す略線的断面図である。
【図34】他の実施の形態による筐体部の構成例(2)を示す略線的断面図である。
【図35】他の実施の形態による筐体部の構成例(3)を示す略線的断面図である。
【図36】他の実施の形態による管状ダクトの構成(5)を示す略線的斜視図である。
【図37】他の実施の形態による管状ダクトの構成(6)を示す略線的斜視図である。
【図38】他の実施の形態による管状ダクトの構成(7)を示す略線的斜視図である。
【符号の説明】
【0178】
1、20、30、40、50、60、70、80、90、150、200、220、230、240、250、260、270、280、290……イヤースピーカ装置、2L、2R、72L、92L、202L、202R……電気音響変換部、3、31、51、61、71、81……バンド部、4L、4L1、4L3、4R、204L、204R、304L、404L、504L、604L、704L、804L……筐体部、7L、7R、207L、207R……スピーカユニット、8L、8LB、8R、8RB、208L、208R、261L、281L、298L、308L、608L、708L、808L……管状ダクト、8AL、8ALB、8AR、8ARB、208AL、208AR……孔部、100……頭部、101L……耳介、102L……外耳道入口、103L……鼓膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リスナの頭部の所定位置に装着された筐体部と、
上記筐体部の一面に取り付けられ、上記筐体部が上記リスナの頭部に装着された際、上記リスナの外耳道入口との間に所定距離が設けられたスピーカユニットと、
上記筐体部の内部空間に生じさせた音を上記リスナの外耳道入口近傍まで到達させるよう延長されたダクトの放音用の孔部が上記外耳道入口に対して逆方向に向けられてなる管状ダクトと
を具えることを特徴とする電気音響変換器。
【請求項2】
上記管状ダクトは、
バスレフ型スピーカのダクトとして作用する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項3】
上記管状ダクトは、
上記筐体部の内部空間から上記リスナの外耳道入口近傍まで延長されると共に上記筐体部の内部空間へ再度戻る略U字状に形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項4】
上記管状ダクトは、
上記外耳道入口近傍に位置する端部が上記リスナの外耳道内部へ入り込むことを防止するための保護部が設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項5】
上記筐体部は、
上記リスナの頭部に装着された際、上記スピーカユニットの放音面をおおよそ上記リスナの外耳道入口の方向へ向けさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項6】
リスナの頭部の所定位置に装着された筐体部と、上記筐体部の一面に取り付けられ、上記筐体部が上記リスナの頭部に装着された際、上記リスナの外耳道入口との間に所定距離が設けられたスピーカユニットと、上記筐体部の内部空間に生じた音を上記リスナの外耳道入口近傍まで到達させるよう延長されたダクトの放音用の孔部が上記外耳道入口に対して逆方向に向けられてなる管状ダクトとを有する電気音響変換器と、
上記スピーカユニットと上記リスナの外耳道入口との間に上記所定距離が設けられるよう上記電気音響変換器を上記リスナの頭部に装着させる装着部と
を具えることを特徴とするイヤースピーカ装置。
【請求項7】
上記管状ダクトは、
バスレフ型スピーカのダクトとして作用する
ことを特徴とする請求項6に記載のイヤースピーカ装置。
【請求項8】
上記管状ダクトは、
上記筐体部の内部空間から上記リスナの外耳道入口近傍まで延長されると共に上記筐体部の内部空間へ再度戻る略U字状に形成された
ことを特徴とする請求項6に記載のイヤースピーカ装置。
【請求項9】
上記管状ダクトは、
上記外耳道入口近傍に位置する端部が上記リスナの外耳道内部へ入り込むことを防止するための保護部が設けられた
ことを特徴とする請求項6に記載のイヤースピーカ装置。
【請求項10】
上記筐体部は、
上記リスナの頭部に装着された際、上記スピーカユニットの放音面をおおよそ上記リスナの外耳道入口の方向へ向けさせる
ことを特徴とする請求項6に記載のイヤースピーカ装置。
【請求項11】
上記装着部は、
上記電気音響変換器を上記リスナの頭部に装着させる際、上記スピーカユニットを上記リスナの外耳道入口よりも前方に位置させると共に、上記リスナの外耳道入口よりも後方に位置させるための所定の後方用スピーカユニットが取り付けられた後方用筐体部を具える
ことを特徴とする請求項6に記載のイヤースピーカ装置。
【請求項12】
上記装着部は、
上記筐体部に加え、上記リスナの頭部に振動を加えるための当該装着部に装着された所定の加振器を具える
ことを特徴とする請求項6に記載のイヤースピーカ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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