説明

電気駆動装置を備える特に手動の土壌締固め用装置、及びこの装置を操作する方法

【課題】土壌締固め用装置用駆動装置としての電気モータの利用を改善し、理想的には同時に、最適化された締固め処理を確実に行う可能性を提供する。
【解決手段】本発明は、電気モータを介して駆動される締固めデバイスと、電力のための再充電可能蓄電ユニットと、特に制振ガイドデバイスを備える土壌締固め用装置、特に振動タンパ及び振動板に関する。本発明は、更に、締固め制御用の、特に電動駆動締固め装置用の装置及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、土壌締固め用の電気駆動機械、特に手動機械の分野に関する。本発明は、特に、振動タンパ及び振動板での使用に適している。
【背景技術】
【0002】
土壌締固め機械が知られている。本出願人の特許出願(特許文献1)には、例えば、振動タンパが開示されており、この振動タンパは参考として本明細書で援用される。一般的な振動タンパの重要な要素は、駆動要素を有する上部構造と、タンピング基板を有する底部構造である。上部構造及び底部構造は、共に締固めユニットを形成する。駆動要素は、例えば接続ロッドによってタンピング基板に接続され、接続ロッドは、駆動要素の回転運動を直線運動又はタンピング運動に変換する。振動タンパは、通常、所謂手動の「ウォークビハインド」型の機械を伴う。このため、振動タンパは、弾性制振要素、特にガイドバーを介して上部構造上に取付けられるガイド装置を備える。操作に際して、ユーザは、締固め対象の地面上で、ガイドバーを介して振動タンパを手動で案内することが出来る。
【0003】
更に、広く普及している他の土壌締固め用手動装置は、所謂振動板である。このような振動板は、本出願人によって、例えば、特許文献2及び特許文献3に開示されており、同様に、参考として本明細書で援用される。振動板として構成された土壌締固め機械の主要要素は、基板と、基板上に配置され操作中に基板を振動させる加振機ユニットと、特に加振機ユニットに対してしばしば防振式に振動板上に配置されたガイドバー(少なくとも手動の振動板においては)である。基板と加振機ユニットは共に締固めユニットを形成する。土壌締固めのための機械は両方とも、板状の締固め装置と、駆動ユニットと、手動機械の場合には防振ガイド装置を共通して有しており、後者は、例えば、締固めユニットのフレーム要素を介して、各締固めユニットに対して防振式に取り付けられている。
【0004】
駆動装置は、ほとんどの場合、燃料の燃焼によって土壌締固め用の各機械を運転するために必要な機械的エネルギーを与える内燃機関を備えている。一般的に、建設現場に通常多く存在する機械による排ガスが、建設現場で作業する人々にとってかなりの負担となる。この排ガスによる負担は、特に、内燃機関の排ガスシステムにフィルタ及び/又は触媒等の排ガス処理用システムを一体化することによって軽減する可能性がある。別法として、電気モータ付き機械も知られている。例えば、本出願人は、BP10/36‐2Eという名称の電気モータ付き振動板を既に提示しており、この振動板では、送電網への接続が、携行する必要のある適当なケーブル接続部を介して行われる。しかし、例えば接続ケーブルの長さによって作業領域が制限されてしまうために、多くの場合、接続ケーブルの携行は作業を妨害するものと考えられている。
【0005】
これとは別に、土壌締固め用装置を使用する際、締固めを十分に且つ一定に行うために、大抵の場合、締固め度の情報をユーザに提供することが望ましい。これに関して、本出願人は、ECONOMIZERという商標で可逆性振動板用の締固め制御用システムを既に提示しており、このシステムでは、リバウンドの測定に基づき、締固め度についての結論を得る。このシステムは、その価値を証明しているが、リバウンドの継続的な測定が必要であり、そのために、別のセンサシステムが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第20105768号明細書
【特許文献2】独国公開特許第102008033525号明細書
【特許文献3】独国公開特許第102008045557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の先行技術に基づき、本発明の目的は、土壌締固め用装置用駆動装置としての電気モータの利用を改善し、理想的には同時に、最適化された締固め処理を確実に行う可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、後に夫々説明される幾つかの態様に関する。上記目的は、独立の請求項によって規定された各項目によって達成され、個々の独立の請求項に定義された実施形態、及びそれらの従属の請求項による好適な更なる変形例は、互いに組み合わせることも出来る。従って、これらの組み合わせた実施形態も本発明に包含される。
【0009】
本発明の第一の重要な態様は、電気モータを介して駆動される締固めデバイスと、電力のための再充電可能蓄電ユニット(以下では蓄電要素とも呼ぶ)と、特に制振のガイドデバイスとを備える、特に手動で案内される土壌締固め用装置(以下では締固め装置とも呼ぶ)に関する。締固めデバイスは、一般的に、締固め対象の地面に締固め力を打ち込むために使用されるコンポーネントである。従って、振動タンパの場合、締固めデバイスはタンパフットであり、振動板の場合、締固めデバイスは基板である。土壌締固め用装置は、再充電可能蓄電ユニットを備え、この再充電可能蓄電ユニットを介して電気モータは作動に必要な電力を引き出す。具体的には、蓄電要素は、再充電可能バッテリに関する。再充電可能バッテリの重要な特徴は、電力を保存及び供給可能な一方、電力を再充電可能な点にある。
【0010】
本発明によれば、蓄電要素は、電気モータ又は電気モータを支持するコンポーネント上に直接配置されるのではなく、ガイドデバイス上に意図的に配置される。ガイドデバイスは、一般的に、ユーザが締固め対象の地面上で手動操作中の締固め装置を案内するために使用する部分を指し、ユーザは、通常、進行方向に対して機械の後を歩く。従って、ガイドデバイスは、通常、機械の後方部分から伸長する。本発明に従って蓄電要素をガイドバー上に配置することは、幾つかの点で有益である。ガイドデバイスは、通常、機械フレーム等の、土壌締固め機械の他の部分に対して、振動から遮断されている、或いは制振される。このため、ゴムベアリング等の適当な制振要素が、ガイドデバイスと、ガイドデバイスを支持する機械の一部、特に締固めユニットの間に配置される。前記支持部としては、特にフレーム要素、特に駆動ユニットをタンピングデバイスに接続する接続ブラケットのフレーム要素が挙げられる。蓄電要素は、十分な電力量を保存することが出来るように比較的高重量でもよい。蓄電要素の重量は、3〜10kg、特に8kgが好ましい。蓄電要素をガイドデバイス上に配置することによって、同時に蓄電要素を振動遮断式に取付けることが出来る。これは、例えば、特に電気接点領域における摩耗が減少出来る点で有益である。一方、蓄電要素は、ガイドデバイスの質量、従って、その慣性質量を増加するため、全体的に特に有利な制振結果が得られる。更に、この特別な実施形態は、充電状態の減少又は増加に伴って蓄電要素の重量が変化するわけではないため、内燃機関及び燃料タンクを有する従来の一般的な装置とは対照的に、質量分布が一定のままであることを特徴とする。
【0011】
基本的に、蓄電要素は、土壌締固め用機械、特に振動タンパ及び振動板用の、既知の従来のガイドデバイス上に配置可能である。しかしながら、ガイドバーとして構成されたガイドデバイスを使用することが特に有益であることが分かっている。ガイドバーは、基本的に、接続バー等の少なくとも1つの接続要素を介して互いに接続された2本の支持管を特徴とする。支持管は、例えば、ゴムベアリング等の理想的な制振ベアリングを介して機械のフレーム又は類似の要素、理想的には支持的な要素上に配置される。接続バーは、ユーザによって把持され、機械を案内するために使用される。従って、2本の支持管は、大抵の場合鏡面対称及び/又は平行に、互いに離間して伸長する。蓄電ユニットは、ここでは、ガイドバーのこれら2本の支持管の間に配置されることが好ましい。これによって、2本の支持管によって2つの相互に対向するベアリング点が得られるという利益がもたらされる。従って、更に、この配置において蓄電ユニットが機械の両側から突出しないので、機械を比較的コンパクトに維持することが出来る。
【0012】
理想的には、蓄電要素が少なくとも2つのベアリングに出来る限り近く、例えば隣接して配置された状態で、ガイドデバイスは、少なくとも2つのベアリングを介して、土壌締固め用装置の締固めユニット、特に締固めユニットのフレーム上に取付けられる。更に、少なくとも2つのベアリングは、好ましくは部分的に、土壌締固め用装置の締固めユニットに対してガイドバーを制振する。これに関して、出来る限り近くとは、特に水平面内における空間的配置に関するものと理解する。少なくとも2つのベアリングは、大抵の場合、土壌締固め用装置の他の部分に対してガイドデバイスの仮想回動軸上に互いに対向して配置される。特に前進方向に対して、蓄電要素は、前記回動軸に隣接して、特に出来る限り近く配置される。蓄電要素を回動軸上に配置することも出来、これは本発明に包含される。
【0013】
垂直方向において、蓄電要素は、締固めユニットの上方に取付けられることが好ましい。これは、特に、振動タンパとして構成される土壌締固め用装置に関する。
【0014】
ガイドデバイスの前方3分の1の部分、特にガイドバーに蓄電要素を配置することが特に好適であることが判明している。特に水平面内において、ガイドデバイスの長手方向伸長に関して、ガイドデバイスを幾つかの部分に分けることが出来る。ほとんどの場合、ガイドデバイスは、土壌締固め装置の作業又は前進方向に、水平面に対して、長手方向に伸長する。オペレータが土壌締固め用装置を操作中に案内してその背後を歩くことが出来るハンドル領域は、後方3分の1の部分に配置される。ガイドデバイスの前方3分の1の部分は、その側方部が、ガイドデバイスが土壌締固め用装置に取付けられる部分と大抵の場合重なるが、特に、蓄電要素の配置に適している。このような配置によって、例えば操作中の振動が比較的弱くなる。
【0015】
最適な制振結果を得るため、蓄電要素は、土壌締固め用装置の作業方向に対してガイドデバイスのハンドル領域とは反対のガイドデバイスの部分に配置されることが好ましく、この配置によって、ハンドル領域への振動の伝達が最小限になる。これに関して、ハンドルバーと反対に配置するとは、土壌締固め装置の前進方向、即ち、例えば操作中に振動タンパが進行する方向に関してという意味である。
【0016】
良好な制振結果は、特に、作業方向に対して前方3分の1の部分、特にガイドデバイスの回動領域の前方に蓄電要素が存在する状態でガイドデバイスの全体平衡点が配置されると得られる。このように、全体平衡点という用語は、ガイドデバイス、特にガイドバーと、蓄電要素を備えるユニットの平衡点を指す。
【0017】
蓄電要素を幾つかの蓄電要素コンポーネントに分散することも出来、一定の利益がもたらされる。従って、蓄電要素は、特に土壌締固め装置の作業方向に対して、夫々ガイドデバイスの回動又は取付領域の前後に離間して配置された少なくとも2つの蓄電要素コンポーネントを備える。これによって、例えば、コンポーネントの数に応じて蓄電要素のサイズを変化させることが出来るようになる。更に、少なくとも2つの蓄電要素コンポーネントの適当な配置によって、ガイドデバイス上では、特に有利な蓄電要素の質量分布が得られ、この蓄電要素の質量分布によって、例えば、上記による蓄電要素とガイドデバイスとを備えるユニットの全体平衡点をシフトさせることが可能になる。
【0018】
電源用蓄電要素の蓄電容量が限られることは知られている。主に、機械に蓄電要素を固定的に配置することが明らかに可能であるが、結果、充電期間中には機械を操作することができないという欠点がある。この問題は、ガイドデバイスに蓄電ユニットを迅速に取付け及び取外しするために配置される蓄電要素用交換収容部を組み込むことによって解決される。従って、交換収容部は、例えば放電した蓄電要素を充電した蓄電要素と迅速に交換することが出来るようにするデバイスである。従って、機械は、再び、迅速に操作可能になる。同時に、空の蓄電要素を再充電することが出来るため、機械は実質的に中断することなく操作され得る。
【0019】
交換収容部は、様々に変形することも出来る。非常に単純な実施形態では、交換収容部は保持デバイスであり、蓄電要素は保持デバイスに導入された後、各接点に接続される。交換収容部及び各蓄電要素は、交換収容部の規定の位置に蓄電要素を維持するための保持機能に加え、蓄電要素と機械の電気システムの間で電流が伝導されるように接続する接触機能を同時に果たす速動閉止部が設けられるように相互に配置されることが好ましい。このために、大抵の場合、適当なラッチ及び/又はロックデバイスが設けられる。速動閉止部は、理想的には、適当な解放手段を押圧によって作動するだけで交換収容部内の蓄電要素を解放及び/又は係止するように配置される。更に好適な実施形態では、交換収容部は、更に、内部に蓄電要素を収容するよう設計された理想的に閉止可能なハウジングを備える。結果、蓄電要素及び各接点は外部から遮断可能であり、この領域の汚染を回避することが出来る。
【0020】
土壌締固め装置を円滑に操作するためには、蓄電要素上の線接点と装置の各線接点との接触が操作中に確実に行われることが重要である。これは、振動タンパ及び振動板においては、これらの機械が、特に操作中、強い振動にさらされる点で、特に問題となる。従って、蓄電要素と装置との電流伝導用接点は、特にこれらの接点における操作中の摩耗を最小限にするために、この領域に発生するせん断力が出来る限り小さくなるように配置されることが有益である。
【0021】
本発明の更なる態様は、電気モータによって駆動される締固めデバイス、特に振動タンパ又は振動板を有する、特に上記に従う土壌締固め用装置に関する。既に述べた実施形態以外では、蓄電要素は、建設機械上に直接取付けられないが、特に、ガイドデバイス上に取付けられる蓄電要素に対する補完部材として取付けられ、別々に携行される。オペレータは、特に、操作中は機械に近接しているのが適切である。蓄電要素は、このため、機械の送電網とケーブルを介して接続される。
【0022】
リュックサック等、少なくとも1本の携行ベルトを有する携行手段に蓄電要素を収納することが特に実用的であることが分かっている。より良く重量を分布させるために、蓄電要素は、好ましくは、オペレータが胸部と背部に携行する幾つかの個別の要素を備えることが出来る。
【0023】
なお、「装置上に保持される蓄電要素」と「装置から独立して携行される蓄電要素」という2つの上記態様は、互いに組み合わせることも出来る。この場合、蓄電要素は、建設機械、例えば、振動タンパ又は振動板上に配置され、オペレータは、ケーブル接続部を介して建設機械に接続された別の蓄電要素を更に携行する。この実施形態では、2つの蓄電要素からのエネルギーによる電気モータの動作を調整する制御デバイスが設けられていれば特に有益である。
【0024】
電力のための蓄電要素は、言うまでもなく、限られた容量しか有しない。従って、特に上記による土壌締固め用装置上には、現在の充電状態をオペレータに通知する容量インジケータを配置することが好ましい。このため、特に操作中にオペレータが都合よく充電状態を監視できるよう、充電インジケータは、例えば、ガイドバー上、又はガイドバーに近接して位置決めすることが出来る。
【0025】
特に空間的に限られた状況では、主電源に繋がるケーブルを携行する必要がなければ特に有益である。しかしながら、例えば、比較的広い面積を締固める際、特に長い操作距離が望ましい場合もある。両用途に対して同様に土壌締固め用装置を最適化するため、電力ケーブルに対する別体の接続部を設けることが出来、この接続部を介して、蓄電要素の代わりに、装置の電気モータに電力を供給することが出来る。ユーザは、移動式の蓄電要素を介する電力供給、又は、送電網へのケーブル接続部を介する電力供給を個別に選択することが出来る。加えて、送電網への接続を自動的に認識して、この場合、好ましくは、蓄電要素を解放するために電力ケーブルを介した電源供給を確実に行う制御ユニットを設けることが出来る。或いは、スイッチ等の手動で起動されるデバイスを設けることも出来、このデバイスの位置によって、ケーブルを介した電源供給への接続又は蓄電要素を介した電源供給への接続を制御する。好ましくは、この実施形態では、同時に接続されたケーブルを介して蓄電要素を再充電することも出来る。
【0026】
締固め機械上に直接設置された状態であろうと、ユーザによって締固め装置にケーブル接続された状態であろうと、蓄電要素を携行することによって、別の電力消費装置の作動が実質的に容易になる。これは、サーチライト等の照明手段や、ハンドル加熱装置等に関する。
【0027】
本発明の更なる態様は、締固めデバイスと、駆動装置(電気モータからなる駆動装置)と、電源に接続されたケーブルを接続するために構成されたケーブル接続部とを有する土壌締固め用装置に関する。電源としては、蓄電要素、特にオペレータが携行する再充電可能バッテリや、送電網へのケーブル接続部が挙げられる。特に手動で案内する機械、特に振動タンパ及び振動板の場合、安全上の理由から、操作中の機械の逸脱は最大限防止する必要があり、振動タンパが転倒した場合にはその動作を中断する必要がある。本発明は、この目的で、ケーブルの引張荷重が一定の荷重を超過すると自動的にケーブルから外れるように構成されたケーブル接続部を、特に上述の実施形態の補完部材として提案する。特に、例えば振動板又は振動タンパのオペレータがケーブル接続部を介して各機械に接続された蓄電要素を携行する場合、この実施形態によって、オペレータが、理想的には各ガイドデバイスの高さで、常に機械の近くにいることが確実になる。ユーザが所定の最大距離を超えて機械から離れると、接続ケーブルはピンと張られて引張力が課される。この場合、ケーブル接続部は、この状況で外れるように構成され、これによってケーブル接続部が遮断される。結果、振動タンパ又は振動板の電気モータが電源から切断され、停止する。オペレータが蓄電要素を携行せず、代わりに建設現場の送電網にケーブルを接続する用途では、ケーブルをしっかりと吊るすスリング装置をオペレータに装着させることが出来る。このようにして、オペレータと締固めデバイスの間では特定のケーブル長のみを使用することが出来、例えば振動タンパが転倒するとケーブルに確実に引張荷重が発生する。例えば、このために、具体的には、ケーブルの一端を各レシーバに接続するための適当なプラグイン接続部を設けることが出来、レシーバは、ケーブルにかかる引張荷重が規定値を超えるとプラグイン接続部が外れるように構成されている。
【0028】
本発明の更なる態様は、特に上述の実施形態に従う、土壌締固め用装置の操作利便性に関し、より具体的には、電動駆動装置及び締固めデバイスを備える、手動で案内される振動タンパ又は手動で案内される振動板に関する。締固め処理において一定の最小限の締固めを達成する必要がある一方、過度の締固め又は過度に長い処理距離は回避する必要がある点で締固め作業は、主にオペレータに大きな要求を課すことになる。これに関して、本発明は、電気モータの動作性能を決定するための手段を備え、このようにして決定した値を地面の締固めの決定に使用する締固め制御用デバイスを提案する。本発明による締固めデバイスは、電動駆動装置を有する振動タンパ及び振動板に特別に適している。本発明のこの態様は、地面に対する締固め用装置による締固め性能が、地面の硬さの尺度であるという知見に基づいている。地面の剛性が高い場合、少量の締固めエネルギーが地面に打ち込まれ、地面の剛性が低い場合、大量の締固めエネルギーが地面に打ち込まれる。締固めが進行するにつれ、電気モータの出力が低下するため、電気モータの現在の出力、特に電気出力の決定を介して間接的に締固めの判定が可能である。このため、土壌締固め用装置は、理想的には、決定した出力値を各締固め値に直接変換し、そのような情報を例えば適当なディスプレイデバイスによってユーザに表示する制御ユニットを備える。このようにして、所望の締固め度が達成され、締固め作業が所望の測定値を超えて引き延ばされないことが保証される。なお、この締固め制御用システムは、適当な位置に各測定デバイスを備えており、この測定デバイスを介して、現在の出力を決定するのに必要なデータが得られる。電力を決定するために、これらの測定デバイスは、例えば、電圧及び電流を検出可能なデバイスでもよい。
【0029】
また、本発明は、土壌締固め用装置、特に前述の実施形態のいずれかによる装置、より具体的には振動タンパ及び振動板のための締固め制御方法に存し、この方法は、a)電気モータの出力を判定するステップと、b)電気モータの出力から締固め度を求めるステップとを備える。この方法は、更なる好適な実施形態において、締固め度を視覚的に表示するステップを更に備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)振動タンパの側面図であり、(b)マルチセル再充電可能バッテリを有するオペレータを示す図である。
【図2a】振動板の側面図である。
【図2b】再充電可能バッテリ用充電システムを示す図である。
【図3】締固め制御方法のフローを示す流れ図である。
【図4a】蓄電ユニットを有する振動タンパのガイドバーを示す斜視図である。
【図4b】多数のコンポーネントからなる蓄電ユニットを有する振動タンパのガイドバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面に概略的に示す好適な実施形態を参照して、以下により詳細に本発明を説明する。同一のコンポーネントには同一の参照番号を付し、図面が概略的に示すのは以下の通りである。
【0032】
図1(a)は、振動タンパ1を示し、振動タンパ1は、電気モータ3を有する上部構造2と、ガイドバー4として構成された案内デバイスと、上部構造2に対して蛇腹6を介して接続された輸送ハンドル8を有するタンパフット5とを備える。蛇腹6内には接続ロッド等の荷重伝達装置が配置され、接続ロッドは電気モータ3の回転駆動力を直線運動に変換して、この直線運動をタンパフット5に伝達する。操作中、タンパフット5は、大体、垂直方向に、例えば、周波数約10Hzで突き固める。振動タンパ1は、弾性制振ベアリング7を介して上部構造2に取付けられたガイドバー4を介して手動で案内される。案内デバイスを除き、振動タンパ1の全コンポーネントは共同で締固めユニットを形成する。
【0033】
再充電可能バッテリ形態の蓄電要素9は、電気モータ3に電気エネルギーを供給するために設けられ、この蓄電要素は、ケーブル接続部10を介して電気モータ3に接続されている。蓄電要素9は、略円周ガイドバー4の2本の横方向管の間に配置され、従って、上部構造2にも制振式に取付けられる。
【0034】
図1(b)によれば、蓄電要素9の代わりに、又は蓄電要素9による電気供給の補助部として、電気モータ3に電気エネルギーを供給するための別の蓄電要素9'を使用することが出来る。蓄電要素9'は、蓄電要素9とは異なり、機械(図1(a)の振動タンパ)に直接取付けず、操作中は振動タンパ1とは別に(本例ではオペレータ11によって)携行され、このため、電気モータ3(又はその供給網)に対してケーブル接続部12(図1(a)図1(b)間の破線によって示す)を介して接続される。このために、操作中、オペレータ11によって背負われるショルダストラップ14付きのリュックサック型携行装置13が設けられる。携行装置13は、蓄電要素9'を夫々取り込む胸ポケット及び背部ポケットを備える。電気モータ3へ2つの蓄電要素9'を接続するのに1本のケーブル接続部で済むように、2つの蓄電要素9'は、携行装置13に一体化したケーブル接続部を介して相互接続している。更に、一つの蓄電要素9'のみでも、及び/又は、振動タンパ1に直接配置された蓄電要素9無しでも、操作することが出来る。このために、蓄電要素9'は両方とも、携行装置13から取り外し可能に構成される。
【0035】
更に、実際には、図1(a)及び図1(b)に示すケーブル接続部12は、振動タンパ1へ接続するためにはオペレータ11がガイドバー4の後方領域(図1(a)の左側)に近接位置する必要があり、さもなければケーブル接続部12が短くなり過ぎるような寸法となっている。ケーブル接続部12は、更に、詳細には図示されていないが、電気モータ3への接続部を有し、この接続部は、僅かな引張荷重でも外れるように構成される。例えば振動タンパ1が操作中、前方(図1(a)の右側)に傾くと、ケーブル接続部12は振動タンパ1から外れ、携行装置13の蓄電要素9'に対する電力供給が自動的に中断する。
【0036】
振動タンパ1は、更に、本実施形態においては蓄電要素9の充電状態に関する情報、及び締固め度に関する情報をオペレータ11に提供するディスプレイユニット26を備える。後者の機能に関して、詳細には指定しない制御ユニットが振動タンパ1に組み込まれ、制御ユニットは、操作中の電気モータ3の性能を継続的に監視し、得られた性能データから地面の締固め度及び締固めの進展を決定する。
【0037】
図2aに示す、本発明の別の実施形態は振動板15に関する。振動板15は、基板16を備え、基板16上には、電動駆動加振機ユニット17が配置され(参照番号17は図2aでは加振機ユニットと電動モータとを備える)、加振機ユニットは、操作中に基板16を振動させ、特に少なくとも部分的には垂直方向に振動させる。更に、ガイドバー4が設けられ、ガイドバーは、振動板15上の制振ベアリング7を介して制振式に振動板15上に取付けられる。
【0038】
蓄電要素9は、電気モータ17に電力を供給するために振動板15上に配置される。或いは、蓄電要素9は、図2aの実施の形態から逸脱して、ガイドバー4上に取付けることが出来る。しかし、本実施形態では、蓄電要素は、詳細に指定しないがフレーム上に配置され、そのフレームは基板16に対して防振式に取付けられている。蓄電要素9は、交換可能な再充電可能バッテリとして構成され、詳細に指定しないが係止手段を解除することによって振動板15から取り外すことが出来る。
【0039】
供給網から出来る限り独立して蓄電要素9を充電することが出来るように、図2bに従って充電ステーション19を設け、充電ステーションは、ケーブル22を介して接続されたソーラーパネル18に加えてハウジング20を備える。ハウジング20内には数個の収容室21が設けられ、これらの収容室は、電力を充電するための蓄電要素9を収容するために夫々配置されている。充電ステーション19は、任意で、供給網に直接接続することも出来る。充電ステーション19は、更に、モバイルユニットとして独立して構成したり、例えば輸送車両に組み込んだりすることも出来る。
【0040】
最後に、図3は、振動タンパ1に関連して既に上述した締固め制御方法を説明している。図3に示すステップは、基本的に、制御ユニットによって実行される。図3に示す締固め制御の主たる概念は、地面に打ち込まれる締固め力が、締固めるにつれて変化する、特に、地面の硬さが増すにつれて減少するという知見に基づいている。本締固め制御方法は、特に、電動駆動締固め装置、特に、電気モータを有する振動タンパ又は振動板に関連してこの挙動パターンを利用している。第1のステップ23では、締固め装置の電気モータの力、特に電力を決定する。次に(24)、得られた測定値を制御ユニットによって処理し、制御ユニットは現在の締固め度を求める。得られた締固め度は、次に、更なるステップ25において(例えばディスプレイ26に)表示させることが出来る。これは例えば数値で表示することが出来るが、例えば、所望の締固め度に到達すると緑に切り替わる交通信号灯等の形態で表示することが好ましい。
【0041】
図4a及び図4bは、振動タンパ1を有する、例えば図1に示す振動タンパ用ガイドバー4の斜視図である。図4aによれば、ガイドバー4は、フロント部分Fと、フロント部分Fに続いて作業(進行)方向と反対方向に伸長する2つの側方部分SBと、後方ハンドル部分とを備える。更に、作業方向に対してフロント部分Fとハンドル部分Gの間にバーBが配置されている。ガイドバー4の概観について、ガイドバーは基本的に水平方向矩形に構成されている。バー領域Bの下方には、ガイドバー4の両側にベアリング領域7'が配置され、ベアリング領域は、バーに固定されたゴムベアリングのコンポーネントを構成し、例えばゴム突起等の適当な制振要素を介して、締固めユニットに、例えば、図1(a)に示す接続ブラケットVBに接続され、接続ブラケットVBは、振動タンパ又は締固め装置の他の部分にガイドバーを接続する。このようにしてなされた防振式取付けによって、締固め装置に対して水平面内に垂直に伸長する回動軸又は回転軸D周りに制限範囲(図4aの矢印b)内でガイドバー4を回動させることが可能になる。回動軸はゴムベアリング7及びベアリング領域7'を通過し、ゴムベアリング及びベアリング領域は、夫々、詳細に指定しないが2つのねじ継ぎ手を介して制振要素に接続している。制振要素は、夫々、図4a及び図4bにおいて詳細に指定しないが2つの別のねじ継ぎ手を介して、図1(a)に示す接続ブラケットVBに接続する。
【0042】
基本的に、ガイドバー4は、作業方向に対して3つの部分4a、4b、及び4cを備える。前方3分の1の部分4aはフロント部分Fを、中央3分の1の部分4bはバー部分Bを、後方3分の1の部分4cはハンドル部分GBを構成している。ハンドル部分GBは、操作中に機械を案内するようにオペレータによって使用される部分である。従って、オペレータは、通常、操作中は振動タンパのガイド部分の後方を歩くことになる。更に、例えば制御要素BEは、ハンドル部分に配置されている。蓄電要素9は、ガイドバー4上、ガイドバー4の両側で作業方向に伸長する側方支持管SB間に取り付けられており、蓄電要素は基本的に前方3分の1の部分4a内に配置されている。このようにして、ガイドバー4と蓄電要素9を備えるユニットの平衡点を特に回動軸D近くに位置決めすることが出来、操作中に最適な制振結果が得られる。このようにして、蓄電要素9は、電気エネルギーを蓄えるために使用されるだけでなく、ガイドバー4上に適切に配置されることによりその質量を利用して最適な制振結果を得ることも出来る。これに関して、蓄電要素9は、大抵の場合、回動軸Dに出来る限り、又は図4aに示すように重なる程近く配置するのが有利である。
【0043】
最後に、図4bは図4aの変形例を示すが、以下では基本的な違いのみを説明する。図4bの変形例の基本的な特徴は、蓄電要素9を2つの蓄電要素コンポーネント9aおよび9bに分割していることであり、2つの蓄電要素コンポーネントは共同で電気エネルギーを蓄える蓄電要素を構成する。詳細には、蓄電要素コンポーネント9a及び9bは、蓄電要素コンポーネント9aが作業方向に対して回動軸Dより前方に配置され、蓄電要素コンポーネント9bが作業方向に対して回動軸Dより後方に配置され、これによって更に得られる制振結果が最適化する。蓄電要素コンポーネント9a及び9bはともに交換要素として構成され、詳細に指定しないが急速交換システムによって時間的に効率よく交換可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(3,17)を介して駆動される締固めデバイス(5,16)と、電力のための再充電可能蓄電ユニット(9,9')と、特に制振のガイドデバイス(4)と、を備える土壌締固め用装置(1,15)であって、
前記再充電可能蓄電ユニット(9)が前記ガイドデバイス(4)上に取付けられる土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項2】
前記ガイドデバイス(4)がガイドバー(4)であって、前記再充電可能蓄電ユニット(9)が前記ガイドバー(4)の2本の支持管の間に配置される請求項1に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項3】
前記ガイドデバイス(4)が、少なくとも2つのベアリング(7)を介して、前記土壌締固め用装置(1,15)の締固めユニット上、特に前記締固めユニットのフレーム上に取付けられ、
前記再充電可能蓄電ユニット(9)が前記少なくとも2つのベアリング(7)に隣接して配置される請求項1または2に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項4】
前記再充電可能蓄電ユニット(9)が締固めユニットの垂直方向上方に配置される請求項1〜3のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項5】
前記再充電可能蓄電ユニット(9)が前記ガイドデバイス(4)の前方3分の1の部分(4a)に配置される請求項1〜4のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項6】
前記再充電可能蓄電ユニット(9)が、前記ガイドデバイス(4)のハンドル部分の反対側に位置する前記ガイドデバイス(4)の部分に配置される請求項1〜5のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項7】
前記再充電可能蓄電ユニット(9)を有する前記ガイドデバイス(4)の全体平衡点が、作業方向に対して、前記ガイドデバイス(4)の前方3分の1の部分、特にガイドバー(4)の回動部分の前方に配置される請求項1〜6のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項8】
前記再充電可能蓄電ユニット(9)が、特に作業方向に対して、前記ガイドデバイス(4)の回動部分の前方又は後方に離間して配置される少なくとも2つの蓄電要素コンポーネント(4a,4b)からなる請求項1〜7のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項9】
前記ガイドデバイス(4)への前記再充電可能蓄電ユニット(9)の迅速な取付け及び取外しのための交換収容部が設けられる請求項1〜8のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項10】
電気モータ(3,17)によって駆動可能な、特に請求項1〜9のいずれか一項に記載の締固めデバイスを有する土壌締固め用装置(1,15)であって、
ケーブル(12)を介して前記電気モータ(3,17)に接続される電力のための前記再充電可能蓄電ユニット(9')が、前記電気モータ(3,17)に電力を供給するために設けられ、
前記再充電可能蓄電ユニットが、操作中に前記土壌締固め用装置(1,15)とは別々に特にオペレータ(11)によって携行される土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項11】
前記再充電可能蓄電ユニット(9,9')が前記オペレータ(11)によって運ばれるように配置され、前記再充電可能蓄電ユニットが、特にこの目的で1つ以上のショルダストラップ(14)等の携行手段(13,14)からなる請求項10に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項12】
前記再充電可能蓄電ユニット(9)を電力ケーブルへ更に接続するためのデバイスが設けられる請求項1〜11のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の、締固めデバイスと、電気モータ(3,17)を備える駆動装置と、電源に接続されたケーブルと接続するために構成されたケーブル接続部と、を有する土壌締固め用装置(1,15)であって、
前記ケーブル接続部が、前記ケーブルが一定の引張荷重を超えると前記ケーブルから自動的に外れるように構成される土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項14】
電気モータを備える駆動装置と、締固めデバイスと、を有する土壌締固め用装置(1,15)であって、
締固め制御用デバイスが設けられ、前記締固め制御用デバイスが、電気モータ(3,17)の動作電力を決定するための手段を備え、地面の締固めを決定するために決定された値を使用する土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項15】
現在の締固め度に関する情報をオペレータ(11)に通知するディスプレイデバイス(26)が設けられる請求項14に記載の土壌締固め用装置(1,15)。
【請求項16】
土壌締固め用装置、特に請求項1〜15のいずれか一項に記載の土壌締固め用装置(1,15)用の締固め制御方法であって、
a)電気モータの性能を決定する(23)ステップと、
b)前記電気モータの性能から締固め度を求める(24)ステップと
を有する方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【公開番号】特開2013−15009(P2013−15009A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−145668(P2012−145668)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(592188715)ボーマーク・ゲー・エム・ベー・ハー (14)
【氏名又は名称原語表記】BOMAG GMBH
【住所又は居所原語表記】INDUSTRIEGEBIET HELLERWALD,D−56154 BOPPARD,BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
【Fターム(参考)】