説明

電池パックの組付け装置

【課題】ロアケースの上面中央部に電池パックを載置した状態を保持しつつ、該電池パックに該ロアケースを組付けるための、電池パックの組付け装置であって、電池パックの仕様に応じてクランプアームの受け具を交換する必要がなく、生産性の高い多品種生産にも対応可能な電池パックの組付け装置を提供することを課題とする。
【解決手段】組付け装置1(101)は、ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部において、ロアケース54の裏面を、電池パック50側に向かって押圧するクランプ機構部(固定手段)4(104)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車などの車両に搭載される、電池パックの組付け装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車などの車両において、走行用の電源として搭載される電池パックは、積層される複数の二次電池などを有して構成される。
そして、電池パックは、略矩形板状のロアケースの上面中央部において、二次電池の積層方向を該ロアケースの長手方向に向けて載置され、その後、該ロアケースに固定保持された状態で、車両に搭載される。
【0003】
ここで、電池パックにおいては、車種による搭載位置や要求性能の違い、あるいは安全基準に関する法規制などの理由から、積層される二次電池の数量が異なる様々な仕様のものが存在する。
また、ロアケースにおいては、このような電池パックの仕様に付随して、長手方向の寸法が異なる様々な仕様のものが存在するばかりでなく、車種による搭載位置の違いや、あるいはロアケース上に別途配設される機器類の、車種による配置の違いなどの理由から、様々な形状のものが存在する。
【0004】
一方、従来から、このような構成からなる電池パックとロアケースとの組付け作業は、ロアケースと、該ロアケースに載置された電池パックとをともに持ち上げ、垂直方向に回動させた後、締結部品によって該ロアケースに該電池パックを固定保持することによって行われていた(例えば、「特許文献1」を参照。)。
より具体的には、ロアケースに電池パックを載置した状態において、これらのロアケースおよび電池パックは、二本のクランプアームによって、該ロアケースの長手方向の両側よりともに抱え込まれて、一旦上方に持ち上げられる。
上方に持ち上げられたロアケースおよび電池パックは、ともに二次電池の積層方向の軸心を中心にして回動され、該ロアケースが水平面に対して電池パックからの液漏れが生じない最大の傾斜角度(例えば75°前後)にまで傾斜した状態によって保持される。
その後、ロアケースの底面側より締結部品を螺挿させ、該ロアケースに電池パックを固定保持するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−225435
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、電池パックとロアケースとの組付け作業においては、これらのロアケースおよび電池パックを、二本のクランプアームによって、該ロアケースの長手方向の両側よりともに抱え込み、前記ロアケース上における前記電池パックの搭載姿勢を堅固に保持することとしている。
しかし、前述したように、電池パックには、二次電池の数量が異なる様々な仕様のものが存在するとともに、該電池パックの仕様に付随して、ロアケースにも、長手方向の寸法が異なる様々な仕様のものが存在する。
そのため、これらの電池パックやロアケースの仕様に対応した形状のクランプアーム(より具体的には、クランプアームの先端部に設けられ、ロアケースに直接当接される受け具)が必要となり、電池パックとロアケースとの組付け作業を行う際は、電池パックの仕様に応じて、クランプアームの受け具を交換する必要があった。
従って、従来の電池パックとロアケースとの組付け作業においては、同一仕様の電池パックを纏めて連続生産するロット生産を行っているが、電池パックの仕様を切り換える段替え時には、電池パックやロアケースの仕様に応じたクランプアームの受け具が必要となり、段替えに時間を要したり、多数の受け具を準備する必要があったりして、生産性の低下や電池パックのコストアップの原因となっていた。また、多仕様の電池パックを同一のラインに混在させた状態で生産を行う多品種生産に対応することが困難であった。
【0007】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、ロアケースの上面中央部に電池パックを載置した状態を保持しつつ、該電池パックに該ロアケースを組付けるための、電池パックの組付け装置であって、電池パックの仕様に応じてクランプアームの受け具を交換する必要がなく、生産性の高い多品種生産にも対応可能な電池パックの組付け装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、略矩形板状に形成されるロアケースの上面中央部に電池パックを載置した状態を保持しつつ、該電池パックに該ロアケースを組付けるための、電池パックの組付け装置であって、該組付け装置は、前記ロアケースの長手方向中央部において、前記ロアケースの裏面を、前記電池パック側に向かって押圧する固定手段を備えるものである。
【0010】
請求項2においては、請求項1に記載の電池パックの組付け装置であって、前記固定手段は、前記ロアケース裏面の短手方向両側において、長手方向に離間して配設される複数の受け具を有し、該受け具を介して、前記ロアケースの裏面は、前記電池パック側に向かって押圧されるものである。
【0011】
請求項3においては、請求項1に記載の電池パックの組付け装置であって、前記固定手段は、前記ロアケース裏面の短手方向中央部において、長手方向に離間して配設される複数の受け具を有し、該受け具を介して、前記ロアケースの裏面は、前記電池パック側に向かって押圧されるものである。
【0012】
請求項4においては、略矩形板状に形成されるロアケースの上面に電池パックを載置した状態を保持しつつ、該電池パックに該ロアケースを組付けるための、電池パックの組付け装置であって、該組付け装置は、前記ロアケースの短手方向における、少なくともいずれか一方から前記ロアケースを抱え込むことで、前記ロアケースの裏面を、前記電池パック側に向かって押圧する固定手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明における電池パックの組付け装置によれば、ロアケースの上面中央部に電池パックを載置した状態を保持しつつ、該電池パックに該ロアケースを組付けるための、電池パックの組付け装置であって、電池パックの仕様に応じてクランプアームの受け具を交換する必要がなく、生産性の高い多品種生産にも対応可能な電池パックの組付け装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施例に係る、電池パックの組付け装置の全体的な構成を示した斜視図。
【図2】第一実施例に係る組付け装置のクランプ機構部近傍を示した図であり、(a)は図1中の矢印X1の方向から見た底面図、(b)は図1中の矢印X2の方向から見た正面図。
【図3】第二実施例に係る、電池パックの組付け装置の全体的な構成を示した斜視図。
【図4】第二実施例に係る組付け装置のクランプ機構部近傍を示した図であり、(a)は図3中の矢印X3の方向から見た、(b)は図3中の矢印X4の方向から見た正面図。
【図5】従来の組付け装置のクランプ機構部近傍を示した底面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0016】
[電池パック50]
先ず、電池パック50の全体的な構成について、図1を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1における矢印Aの方向を前方と規定して記述する。また、図1においては、図面上の上下方向を電池パック50(および、組付け装置1)の上下方向と規定して記述する。
【0017】
電池パック50は、例えば自動車などの車両において、走行用の電源として該車両に搭載されるものであり、主に二次電池51やエンドプレート52や拘束バー53などの複数の部品を有して構成される。
【0018】
二次電池51は、電池パック50の蓄電素子として設けられる部品である。
二次電池51は、例えば既知のリチウムイオン電池やニッケル水素電池などからなり、略矩形状の平板形状(扁平形状)に構成される。
【0019】
そして、二次電池51・51・・・は、一組の電池パック50に対して所定の個数分設けられ、一方向(本実施例においては、水平方向、且つ前後方向)に向かって積層される。
また、各二次電池51の一側部には端子(図示せず)が突設されており、該端子を図示せぬ連結部材によって連結することで、積層された複数の二次電池51・51・・・(以下、「二次電池群60」と記す)は電気的に接続される。
【0020】
エンドプレート52は、後述する拘束バー53とともに、二次電池群60の積層姿勢(より具体的には、二次電池群60の長手側形状)を保持するための部品である。
エンドプレート52・52は、略矩形状の平板形状(扁平形状)に構成され、一組の電池パック50に対して二個設けられる。
【0021】
そして、エンドプレート52・52は、二次電池群60の前後方向(二次電池群60の積層方向。以下同じ。)の両端面側(二次電池群60の最前面側および最後面側)において、前記二次電池群60を挟持するように積層配置される。
【0022】
拘束バー53は、二個のエンドプレート52・52を堅固に連結するとともに、該エンドプレート52・52を介して、二次電池群60の積層姿勢を保持するための部品である。
拘束バー53は、二次電池群60の積層方向に延出する棒状部材からなり、一組の電池パック50に対して複数本設けられる。
また、拘束バー53は、その両端部を各エンドプレート52・52の上端部および下端部から突出する複数の突出部52a・52a・・・と連結することで、二次電池群60を前後方向に隙間なく拘束しており、これにより二次電池群60の長手側形状が保持されている。
【0023】
以上のような構成からなる電池パック50は、ロアケース54に載置された状態によって、後述する組付け装置1(101)の機内に投入される。
そして、電池パック50は、組付け装置1(101)によって、ロアケース54とともに一旦上方に持ち上げられ、二次電池51・51・・・の積層方向の軸心を中心にして回動された後、締結部品を用いて前記ロアケース54に固定保持される。
その後、電池パック50は、組付け装置1(101)より搬出され、ロアケース54を介して車両に搭載されるのである。
【0024】
ここで、ロアケース54は略矩形板状に形成され、本実施例においては、電池パック50の保持状態を安定させるために、その長手方向の寸法が、電池パック50の積層方向の寸法に比べて十分大きく、且つその短手方向の寸法が、電池パック50の幅方向(平面視にて、積層方向との直交方向)の寸法に比べて十分大きくなるように形成されている。
【0025】
そして、水平状に配設されたロアケース54の上面中央部において、電池パック50は、その積層方向がロアケース54の長手方向となるようにして載置される。
より具体的には、平面視において、電池パック50の積層方向に延出する軸心C1と、ロアケース54の長手方向に延出する軸心C2とが同軸上となるようにして、電池パック50は、ロアケース54の上面中央部に載置されるのである。
【0026】
[組付け装置1(第一実施例)]
次に、第一実施例における組付け装置1の全体的な構成について、図1、図2、および図5を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図2(a)および図5における矢印Aの方向を前方と規定して記述する。また、図2(b)においては、図面上の上下方向を組付け装置1の上下方向と規定して記述する。
【0027】
組付け装置1は、ロアケース54の上面中央部に電池パック50を載置した状態を保持しつつ、電池パック50にロアケース54を組付けるための装置である。
組付け装置1は、図1に示すように、主に搬送装置2や、該搬送装置2の上方に配設される昇降機構部3とクランプ機構部4などを有して構成される。また、平面視において、クランプ機構部4は、昇降機構部3の前後方向中央部に配設される。
【0028】
搬送装置2は、組付け装置1の機内において、ロアケース54に載置された電池パック50を搬送するための部位である。
搬送装置2は、例えば既知のチェーンコンベアなどによって構成され、搬送方向を水平方向、且つ前方(図1中の矢印Aの方向。以下同じ。)に向けつつ、組付け装置1の機内に配設される。
【0029】
一方、組付け装置1の機外において、ロアケース54は、電池パック50の載置面を上方に向けつつ、搬送パレット70に予め載置される。また、電池パック50は、前述した所定の載置姿勢に基づき、搬送パレット70上のロアケース54に予め載置される。
【0030】
搬送パレット70に予め載置された電池パック50およびロアケース54は、該電池パック50の積層方向が前後方向となるように、且つ平面視において、該電池パック50の軸心C1(あるいは、ロアケース54の軸心C2)と、搬送装置2の搬送中心C3とが同軸上となるようにして搬送装置2に載置されており、組付け装置1の機内に投入される。
【0031】
組付け装置1の機内に投入された電池パック50およびロアケース54は、搬送装置2によって、後述する昇降機構部3(あるいは、クランプ機構部4)の直下の所定位置(以下、「作業位置」と記載する)にまで搬送される。
【0032】
そして、前記「作業位置」に搬送された電池パック50およびロアケース54は、組付け作業を施され、その後、再び搬送装置2によって、組付け装置1の機外へと搬送されるのである。
【0033】
次に、昇降機構部3について説明する。
昇降機構部3は、後述するクランプ機構部4とともに、電池パック50およびロアケース54を上方に持ち上げ、該電池パック50およびロアケース54を、二次電池51・51・・・の積層方向の軸心を中心にして回動させるための部位である。
【0034】
昇降機構部3は、前後方向に対向して配設される第一受け具31・31(図2(a)(b)を参照)を備え、該第一受け具31・31は、サポート部材32・32によって各々支持されている。
【0035】
サポート部材32は、組付け装置1の基部である固定フレーム(図示せず)に対して、前後方向、および上下方向(側面視において、電池パック50の積層方向との直交方向。以下同じ。)に移動可能に配設される。
そして、サポート部材32・32が各々前後方向に移動することで、第一受け具31・31は、互いに近接離間するようになっている。また、サポート部材32・32が、互いに連動しながら上下方向に移動することで、第一受け具31・31は、一体となって上昇(上方へ移動)・下降(下方へ移動)するようになっている。
【0036】
また、サポート部材32には、例えば既知のサーボモータなどからなるアクチュエータ33が備えられている。
そして、第一受け具31は、前記アクチュエータ33によって、前後方向に延出する軸心を中心にして、左右方向に回動されるようになっている。
【0037】
このような構成からなる昇降機構部3によって、電池パック50は、上方に持ち上げられ、また二次電池51・51・・・の積層方向の軸心を中心にして回動される。
具体的には、搬送装置2によって、「作業位置」にまで搬送されてきた電池パック50は、第一受け具31・31によって、前後方向に挟持されつつ、堅固に固定保持される。
【0038】
その後、サポート部材32・32を介して、第一受け具31・31が一体となって上昇することで、電池パック50は、上方へと持ち上げられる。また、アクチュエータ33・33によって、第一受け具31・31が一方向(本実施例においては、左方向)に回動されることで、電池パック50は、二次電池51・51・・・の積層方向の軸心を中心にして回動されるのである。
【0039】
なお、後述するように、ロアケース54は、クランプ機構部4によって、電池パック50への組付け姿勢を保持されている。
従って、ロアケース54は、電池パック50とともに上昇・下降し、また二次電池51・51・・・の積層方向の軸心を中心にして回動される。
【0040】
次にクランプ機構部4について説明する。
クランプ機構部4は、電池パック50に対して、ロアケース54の組付け姿勢を保持するための部位である。
クランプ機構部4は第二受け具41(図2(a)(b)を参照)やクランプアーム42などを有して構成される。
【0041】
第二受け具41は、ロアケース54に直接当接される部材である。
第二受け具41は、図2(b)に示すように、略水平状の受け面41aを有した部材によって構成され、該受け面41aを上方に向けつつ、昇降機構部3の下方、且つ該昇降機構部3の前後方向中央部(図2(a)を参照)に配設される。
【0042】
具体的には、図2(a)に示すように、第二受け具41・41・・・は、一機の組付け装置1に対して複数個(本実施例においては四個)設けられ、「作業位置」に停止したロアケース54の下方において、該ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部(あるいは、該ロアケース54に載置された電池パック50の前後方向(積層方向)中央部)、且つ前記ロアケース54の左右方向(短手方向)両側に、それぞれ二個ずつ配設される。
【0043】
そして、前記ロアケース54の底面右側に配設される二個の第二受け具41・41(以下、「右側第二受け具群41R」と記載する。)は、前後方向に離間して配設されるとともに、該右側第二受け具群41Rの受け面41a・41aは、前記ロアケース54の底面右側の形状に即して略水平状に形成される。
また、前記ロアケース54の底面左側に配設される二個の第二受け具41・41(以下、「左側第二受け具群41L」と記載する。)は、前後方向に離間して配設されるとともに、該左側第二受け具群41Lの受け面41a・41aは、前記ロアケース54の底面左側の形状に即して略水平状に形成されるのである。
【0044】
なお、本実施例における各第二受け具41の配設位置は、以下に示す基準に基づき、予め具体的に規定されている。
即ち、「作業位置」に停止したロアケース54に対する各第二受け具41の配設位置について、その前後方向(該ロアケース54の長手方向)の位置は、前記ロアケース54に載置された電池パック50の、一方側(本実施例においては、前側)に配設されるエンドプレート52の軸心C4を基準にして決定される。
【0045】
より具体的には、右側第二受け具群41R(あるいは、左側第二受け具群41L)において、前側に配設される第二受け具41は、前記軸心C4に対して後方側に寸法a1だけ離間した位置に、前記第二受け具41の中心が位置するようにして配設される。
一方、右側第二受け具群41R(あるいは、左側第二受け具群41L)において、後側に配設される第二受け具41は、前記軸心C4に対して後方側に寸法a2(a1<a2)だけ離間した位置に、前記第二受け具41の中心が位置するようにして配設される。
【0046】
また、前記ロアケース54に対する各第二受け具41の配設位置について、その左右方向(ロアケース54の短手方向)の位置は、ロアケース54に載置された電池パック50の軸心C1(あるいは、搬送装置2の搬送中心C3)を基準にして決定される。
【0047】
より具体的には、右側第二受け具群41Rを構成する二個の第二受け具41・41は、前記軸心C1(あるいは、搬送中心C3)に対して右方側に寸法b1だけ離間した位置に、前記第二受け具41・41の中心が位置するようにして、各々配設される。
一方、左側第二受け具群41Lを構成する二個の第二受け具41・41は、前記軸心C1(あるいは、搬送中心C3)に対して左方側に寸法b2(本実施例においては、b1=b2)だけ離間した位置に、前記第二受け具41・41の中心が位置するようにして、各々配設される。
【0048】
さらに、前記ロアケース54に対する各第二受け具41の配設位置について、その上下方向の位置は、電池パック50と前記ロアケース54との取り付け面(図2(b)における水平面H)を基準にして決定される。
【0049】
より具体的には、右側第二受け具群41Rにおいて、前側(あるいは、後側)に配設される第二受け具41は、前記水平面Hに対して下方側に寸法c1(寸法c2)だけ離間した位置に、前記第二受け具41の受け面41aが位置するようにして配設される。
一方、左側第二受け具群41Lにおいて、前側(あるいは、後側)に配設される第二受け具41は、前記水平面Hに対して下方側に寸法c3(寸法c4)だけ離間した位置に、前記第二受け具41の受け面41aが位置するようにして配設されるのである。
【0050】
クランプアーム42は、第二受け具41を支持するための部材である。
クランプアーム42は、図2(b)に示すように、上下方向に延出する垂直部位42aと、該垂直部位42aの下端部より左右一方向に延出する水平部位42bとからなる正面視「L字」状の部材によって形成される。
【0051】
また、クランプアーム42・42・・・は、各第二受け具41・41・・・ごとに設けられ、「作業位置」に停止したロアケース54を、左右両側より上方に向かって抱きかかえるようにして配設される。
【0052】
即ち、クランプアーム42・42・・・は、図2(a)に示すように、ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部において、前記ロアケース54の左右両側に各々二本ずつ設けられる。
より具体的には、図2(b)に示すように、クランプアーム42は、ロアケース54の左右両側において、垂直部位42aの延出方向が上下方向となるように、また前記ロアケース54の下方において、水平部位42bの延出方向が前記ロアケース54の軸心C2側となるようにして配設される。
【0053】
そして、水平部位42bの延出端部の上部には、第二受け具41が、受け面41aを上方に向けつつ固設される。
また、垂直部位42aの延出端部は、図示せぬサポートフレームに固設され、該サポートフレームは、前述した昇降機構部3(より具体的には、サポート部材32)の上昇・下降に連動しつつ、上下方向に移動可能に設けられるとともに、前記昇降機構部3の第一受け具31の回動動作に連動しつつ、前後方向に延出する軸心を中心にして、左右方向に回動可能に設けられる。
換言すると、第二受け具41は、昇降機構部3の第一受け具31の上昇・下降に連動して上下方向へ移動可能に設けられるとともに、第一受け具31の回動動作に連動して該第一受け具31と同一方向に回動可能に設けられる。
なお、第二受け具41は、第一受け具31より独立して、単独的にも上下方向に移動可能となっている。
【0054】
このような構成からなるクランプ機構部4によって、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢は保持される。
具体的には、搬送装置2によって、「作業位置」にまで搬送されてきた電池パック50およびロアケース54に対して、昇降機構部3による電池パック50の固定保持が実行されると、クランプ機構部4は上昇し、第二受け具41・41・・・の受け面41a・41a・・・が、ロアケース54の裏面に当接される。
【0055】
その後、クランプ機構部4は、さらに上昇を継続する一方、電池パック50は昇降機構部3によって固定保持された状態を維持する。
すると、ロアケース54の裏面は、第二受け具41・41・・・によって、電池パック50側に向かって押圧されることとなる。
その結果、ロアケース54は、上部に位置する電池パック50と、下部に位置する第二受け具41・41・・・とによって、挟持された状態となり、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢が保持されるのである。
【0056】
このように、本実施例における組付け装置1においては、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢を、該ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部に位置する複数個(本実施例においては四個)の第二受け具41・41・・・・によって保持することとしている。
【0057】
ここで、図5に示すように、従来の組付け装置201に備えられる、クランプ機構部204の第二受け具241・241は、ロアケース54の前後方向(長手方向)両端部に各々配設されていた。
一方、電池パック50には、二次電池51の数量が異なる様々な仕様のものが存在するとともに、該電池パック50の仕様に対応して、ロアケース54にも、長手方向(電池パック50の積層方向)の寸法が異なる様々な仕様のものが存在する。
【0058】
よって、従来の組付け装置201においては、電池パック50やロアケース54の仕様に対応した形状の第二受け具241・241が必要となり、電池パック50とロアケース54との組付け作業を行う際は、電池パック50やロアケース54の仕様に応じて、その都度、第二受け具241・241を交換し、ロアケース54の組付け姿勢を保持する必要があった。
【0059】
従って、従来の電池パック50とロアケース54との組付け作業においては、電池パック50の仕様を切り換える段替え時には、ロアケース54の仕様に応じた第二受け具241・241が必要となり、段替えに時間を要したり、多数の241・241を準備する必要があったりして、生産性の低下や電池パック50のコストアップの原因となっていた。
また、多仕様の電池パック50とロアケース54を同一のラインに混在させた状態で生産を行う多品種生産に対応することが困難であった。
【0060】
そこで、本発明者らは、さらに以下に示す条件を考慮の上、あらゆる仕様の電池パック50やロアケース54に対応可能な第二受け具41・41・・・を導き出し、本発明をするに至ったのである。
【0061】
即ち、ロアケース54の前後方向(長手方向)両端部には、車両搭載用のサポート部材や、各種機器類が配設され、これらのサポート部材や、各種機器類を避けた位置に、第二受け具41・41・・・の配置箇所を設ける必要がある。
これに対して、本実施例における組付け装置1においては、第二受け具41・41・・・の配設箇所を、ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部に設けているため、該第二受け具41・41・・・が、前記サポート部材や、各種機器類と干渉することもない。
【0062】
また、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢を保持する際、第二受け具41・41・・・による保持力によって、該ロアケース54に撓みが生じることのないように、該ロアケース54の剛性を考慮して、前記第二受け具41・41・・・の配置箇所を設ける必要がある。
この点、ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部は、常に電池パック50との載置面となり、該電池パック50の重量を保持する必要があることから、一般的に高い剛性を有して形成されている。
従って、第二受け具41・41・・・の配設箇所を、ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部に設けている、本実施例の組付け装置1においては、第二受け具41・41・・・による保持力によって、ロアケース54に撓みが生じることは少ない。
【0063】
さらに、電池パック50とともに、ロアケース54が二次電池51・51・・・の積層方向の軸心を中心にして回動されることを考慮して、より確実にロアケース54の組付け姿勢を保持するために、限りなくロアケース54の重心付近に前記第二受け具41・41・・・の配置箇所を設ける必要がある。
これに対して、本実施例における組付け装置1においては、第二受け具41・41・・・の配設箇所を、ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部に設けているため、前記第二受け具41・41・・・の配置箇所は、前記ロアケース54の前後方向(長手方向)の重心付近となるのである。
【0064】
以上のことから、本発明者らは、複数の第二受け具41・41・・・・の配設箇所を、ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部に設けることを導き出し、本発明をするに至った。
【0065】
その結果、本実施例における組付け装置1においては、電池パック50やロアケース54の仕様に関わらず、共通の第二受け具41・41・・・・によって、前記組付け姿勢を保持することができる。
【0066】
従って、本実施例における組付け装置1によれば、電池パック50とロアケース54との組付け作業において、電池パック50の仕様を切り換える段替え時に、第二受け具41・41を交換する必要はなく、生産性の低下や電池パック50のコストアップを生じることともない。
また、多仕様の電池パック50とロアケース54を同一のラインに混在させた状態で生産を行う多品種生産にも容易に対応することができる。
【0067】
さらに、本実施例における組付け装置1においては、ロアケース54の裏面の左右方向(短手方向)両側に、複数の第二受け具41・41・・・が、前後方向(長手方向)に離間して配設され、これらの第二受け具41・41・・・を介して、ロアケース54の裏面が、電池パック50側に押圧されるようになっている。
従って、電池パック50とロアケース54との間に、上下方向のガタツキが生じることもなく、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢を確実に保持することができるのである。
【0068】
[組付け装置1の動作手順]
次に、第一実施例における組付け装置1の動作手順について、図1を用いて説明する。
なお、後述する第二実施例の組付け装置101の動作手順は、第一実施例における組付け装置1の動作手順と同じくする。よって、第二実施例の組付け装置101の動作手順は、第一実施例における組付け装置1の動作手順をもって説明を省略する。
【0069】
先ず、昇降機構部3の第一受け具31・31は、互いに最も離間した状態(以下、「開状態」と記載する)となっており、且つ予め定められた最も上方の位置(以下「昇降部上限位置」と記載する)に停止した状態となっている。
また、クランプ機構部4の第二受け具41・41・・・(図2を参照)は、予め定められた最も下方の位置(以下「クランプ部下限位置」と記載する)に停止した状態となっている。
このような状態にある組付け装置1に対して、搬送パレット70に載置された電池パック50およびロアケース54が、搬送装置2の上流部に載置され、前記組付け装置1に投入される。
【0070】
搬送装置2の上流部に載置された電池パック50およびロアケース54は、該搬送装置2によって下流側(本実施例においては前方)に向かって搬送される。
その後、電池パック50およびロアケース54が「作業位置」に到達すると、搬送装置2は停止する。
【0071】
ここで、ロアケース54は、搬送パレット70の上面に突設される複数の支持部材を介して、該搬送パレット70に載置されており、該搬送パレット70の上面と、ロアケース54の底面との間には、幾分かの隙間が生じている。
そして、搬送装置2の停止直後において、昇降機構部3の第一受け具31・31は、電池パック50の上方に位置し、また、クランプ機構部4の第二受け具41・41・・・は、搬送パレット70の上面と、該搬送パレット70に載置されるロアケース54の下面との隙間の略中央部に位置する状態となっている。
【0072】
搬送装置2が停止すると、昇降機構部3の第一受け具31・31は、下降を開始する。
その後、予め定められた最も下方の位置(以下、「昇降部下限位置」と記載する)に到達すると、第一受け具31・31は停止する。
【0073】
「昇降部下限位置」にて停止した第一受け具31・31は、各々前後方向への移動を開始し、互いに近接する方向に移動される。
その結果、前述したように、電池パック50は、第一受け具31・31によって前後方向(積層方向)に挟持され(以下、「閉状態」と記載する)、ロアケース54に対する載置姿勢を保持しつつ、前記第一受け具31・31によって堅固に固定保持される。
【0074】
第一受け具31・31が「閉状態」になると、クランプ機構部4の第二受け具41・41・・・は、上昇を開始する。
その後、第二受け具41・41・・・の受け面41a・41a・・・が、ロアケース54の底面に当接され、さらに、僅かに上昇した位置に到達すると、第二受け具41・41・・・は一旦停止する。
その結果、前述したように、ロアケース54は、電池パック50と第二受け具41・41・・・とによって、上下方向に挟持された状態となり、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢が保持される。
【0075】
第二受け具41・41・・・が一旦停止した後、昇降機構部3の第一受け具31・31は、上昇を開始する。また、第一受け具31・31の上昇に連動して、クランプ機構部4の第二受け具41・41・・・も、再び上昇を開始する。
即ち、電池パック50およびロアケース54は、これらの昇降機構部3およびクランプ機構部4によって、搬送パレット70上における載置姿勢を保持しつつ、該搬送パレット70より上方へと持ち上げられる。
【0076】
その後、「昇降部上限位置」に到達すると、第一受け具31・31は停止する。また、該第一受け具31・31の停止に連動して、第二受け具41・41・・・も停止する。
【0077】
「昇降部上限位置」にて停止した第一受け具31・31は、アクチュエータ33・33による回動動作を開始する。また、第一受け具31・31の回動動作に連動して、第二受け具41・41・・・・も回動動作を開始する。
その結果、電池パック50およびロアケース54は、これらの昇降機構部3およびクランプ機構部4によって、前記載置姿勢を保持しつつ、前後方向に延出する軸心(二次電池51・51・・・の積層方向の軸心)を中心にして回動される。
【0078】
その後、ロアケース54の底面が、水平面に対して所定の傾斜角度にまで傾斜した状態になると、第一受け具31・31の回動動作は停止する。また、該第一受け具31・31の停止に連動して、第二受け具41・41・・・も停止する。
【0079】
なお、この際の水平面に対するロアケース54の所定の傾斜角度は、該ロアケース54に載置された電池パック50の、二次電池51からの液漏れが発生しない限界(最大)の傾斜角度(例えば75°前後)となるように設定される。
【0080】
第一受け具31・31および第二受け具41・41・・・の回動動作が停止すると、電池パック50とロアケース54との組付け作業が行われる。
具体的には、ロアケース54の底面側より、ボルトなどの締結部品が螺挿され、該ロアケース54に電池パック50が固定保持される。
【0081】
なお、このように、電池パック50とロアケース54とを予め締結部品を介して、堅固に固定保持するのは、例えば、該電池パック50を搭載した車両において、該車両の走行時に発生する微振動を吸収して、該電池パック50への悪影響を防止したり、あるいは、該車両の衝突時に、該電池パック50の搭載位置が突発的に大きくずれて、該電池パック50が破損することを防止したりするためである。
【0082】
電池パック50とロアケース54との組付け作業が終了すると、第一受け具31・31は、再びアクチュエータ33・33による回動動作を開始する。また、第一受け具31・31の回動動作に連動して、第二受け具41・41・・・・も回動動作を開始する。
そして、ロアケース54の底面が水平状となり、且つ電池パック50が該ロアケース54の上部に位置する状態(即ち、電池パック50およびロアケース54が、前記傾斜姿勢となるように回動される直前の状態)になると、第一受け具31・31の回動動作は停止する。また、該第一受け具31・31の停止に連動して、第二受け具41・41・・・も停止する。
【0083】
第一受け具31・31および第二受け具41・41・・・の回動動作が停止すると、該第一受け具31・31は、下降を開始する。また、第一受け具31・31の下降に連動して、第二受け具41・41・・・も、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢を保持しつつ下降を開始する。
【0084】
その後、「昇降部下限位置」に到達すると、第一受け具31・31は停止する。一方、第二受け具41・41・・・はさらに下降し、「クランプ部下限位置」に到達すると、該第二受け具41・41・・・は停止する。
その結果、電池パック50およびロアケース54は、再び搬送パレット70に載置され、且つ第二受け具41・41・・・によるロアケース54の保持状態は開放された状態となる。
【0085】
第二受け具41・41・・・の下降が停止すると、第一受け具31・31は、各々前後方向への移動を開始し、互いに離間方向に移動され、「開状態」となる。
その後、第一受け具31・31は、上昇を開始し、「昇降部上限位置」に到達すると停止する。
【0086】
第一受け具31・31の上昇が停止すると、搬送装置2は、搬送パレット70に載置された電池パック50およびロアケース54の搬送を、再び開始する。
そして、これら電池パック50およびロアケース54は、搬送装置2によって下流側(本実施例においては前方)へと搬送され、組付け装置1の機外へと搬出され、該組付け装置1の動作手順は完了するのである。
【0087】
[組付け装置101(第二実施例)]
次に、第二実施例における組付け装置101の全体的な構成について、図3および図4を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図3および図4(a)における矢印Aの方向を前方と規定して記述する。また、図4(b)においては、図面上の上下方向を組付け装置101の上下方向と規定して記述する。
【0088】
本実施例(第二実施例)における組付け装置101は、前述した第一実施例における組付け装置1に対して、主な構成を同じくし、また、動作手順についても、組付け装置101の動作手順と同じくする一方、組付け装置1のクランプ機構部4に代えて、クランプ機構部104を備えている点で、組付け装置1と異なっている。
なお、以下において、第一実施例における組付け装置1と同じくする構成についての説明は省略し、主にクランプ機構部104の構成について説明する。
【0089】
クランプ機構部104は、電池パック50に対して、ロアケース54の組付け姿勢を保持するための部位である。
クランプ機構部104は第二受け具141(図4を参照)やクランプアーム142などを有して構成される。
【0090】
第二受け具141は、ロアケース54に直接当接される部材である。
第二受け具141は、図4(b)に示すように、略水平状の受け面141aを有した部材によって構成され、該受け面141aを上方に向けつつ、昇降機構部103の下方、且つ該昇降機構部103の前後方向中央部(図4(a)を参照)に配設される。
【0091】
具体的には、図4(a)に示すように、第二受け具141・141は、一基の組付け装置101に対して複数個(本実施例においては二個)設けられ、「作業位置」に停止したロアケース54の下方において、該ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部(あるいは、該ロアケース54に載置された電池パック50の前後方向(積層方向)中央部)、且つ前記ロアケース54の左右方向(短手方向)中央部に、各々配設される。
【0092】
そして、前記二個の第二受け具141・141は、前後方向に離間して配設されるとともに、これら第二受け具141・141の受け面141a・141aは、前記ロアケース54の底面の形状に即して略水平状に形成される。
【0093】
クランプアーム142は、第二受け具141を支持するための部材である。
クランプアーム142は、図4(b)に示すように、上下方向に延出する垂直部位142aと、該垂直部位142aの下端部より左右一方向(本実施例においては、左方向)に延出する第一水平部位142bと、該第一水平部位142bの延出端部において、前後方向に向かって延出する第二水平部位142cとからなる部材によって形成される。
【0094】
また、クランプアーム142は、「作業位置」に停止したロアケース54を、左右一方側(本実施例においては、右方側)より上方に向かって抱きかかえるようにして配設される。
即ち、クランプアーム142は、図4(a)に示すように、前記ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部において、前記ロアケース54の右側に設けられる。
より具体的には、図4(b)に示すように、クランプアーム142は、前記ロアケース54の右方において、垂直部位142aの延出方向が上下方向となるように、また前記ロアケース54の下方において、第一水平部位142bおよび第二水平部位142cの延出方向が、それぞれ左方および前後方向となるようにして配設される。
なお、この際、平面視において、第二水平部位142cは、ロアケース54に載置された電池パック50の軸心C1(あるいは、搬送装置2の搬送中心C3)と同軸上に配設される。
【0095】
そして、第二水平部位142cの前後両端部の上部には、第二受け具141・141が、受け面141a・141aを上方に向けつつ固設される。
また、垂直部位142aの延出端部は、図示せぬサポートフレームに固設され、該サポートフレームは、昇降機構部103(より具体的には、サポート部材132・132)の上昇・下降に連動しつつ、上下方向に移動可能に設けられるとともに、前記昇降機構部3の第一受け具131・131の回動動作に連動しつつ、前後方向に延出する軸心を中心にして、左右方向に回動可能に設けられる。
換言すると、第二受け具141・141は、昇降機構部103の第一受け具131・131の上昇・下降に連動しつつ、上下方向に移動可能に設けられるとともに、第一受け具131・131の回動動作に連動しつつ、該第一受け具131・131と同一方向に回動可能に設けられる。
なお、第二受け具141・141は、第一受け具131・131より独立して、単独的にも上下方向に移動可能となっている。
【0096】
このような構成からなるクランプ機構部104によって、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢は保持される。
即ち、前述した第一実施例における組付け装置1と同様に、搬送装置102によって、「作業位置」にまで搬送されてきた電池パック50およびロアケース54に対して、昇降機構部103による電池パック50の固定保持が実行されると、クランプ機構部104は上昇し、各第二受け具141・141の受け面141a・141a・・・が、ロアケース54の裏面に当接される。
【0097】
その後、クランプ機構部104は、さらに上昇を継続する一方、電池パック50は、依然として、昇降機構部103によって固定保持された状態を維持する。
すると、ロアケース54の裏面は、第二受け具141・141・・・によって、電池パック50側に向かって押圧されることとなる。
その結果、ロアケース54は、上部に位置する電池パック50と、下部に位置するクランプ機構部104の第二受け具141・141とによって、挟持された状態となり、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢は保持されるのである。
【0098】
以上のように、本実施例における電池パック50の組付け装置1(101)は、略矩形板状に形成されるロアケース54の上面中央部に電池パック50を載置した状態を保持しつつ、該電池パック50に該ロアケース54を組付けるための、電池パック50の組付け装置1(101)であって、該組付け装置1(101)は、前記ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部において、前記ロアケース54の裏面を、前記電池パック50側に向かって押圧するクランプ機構部(固定手段)4(104)を備えることとしている。
【0099】
このような構成を有することで、本実施例(第一実施例および第二実施例)における電池パック50の組付け装置1(101)によれば、ロアケース54の上面中央部に電池パック50を載置した状態を保持しつつ、該電池パック50に該ロアケース54を組付けるための、電池パック50の組付け装置1(101)であって、電池パック50の仕様に応じてクランプアーム42(142)の第二受け具41(141)を交換する必要がなく、生産性の高い多品種生産にも対応可能な電池パック50の組付け装置1(101)を実現することができる。
【0100】
即ち、ロアケース54は、電池パック50の仕様に対応して、長手方向(前後方向)の寸法が異なる様々な仕様のものが存在するところ、前記ロアケース54の長手方向中央部の形状は、全ての仕様について共通の形状となっている。
また、本実施例(第一実施例および第二実施例)における電池パック50の組付け装置1(101)においては、クランプ機構部4(104)によって、前記ロアケース54の前後方向(長手方向)中央部を、前記電池パック50側に向かって押圧し、前記電池パック50に対する前記ロアケース54の組付け姿勢を保持することとしている。
【0101】
従って、本実施例(第一実施例および第二実施例)における組付け装置1(101)によれば、電池パック50とロアケース54との組付け作業において、電池パック50の仕様を切り換える段替え時に、第二受け具41・41・・・(141・141)を交換する必要はなく、生産性の低下や電池パック50のコストアップを生じることともない。
また、多仕様の電池パック50とロアケース54を同一のラインに混在させた状態で生産を行う多品種生産にも容易に対応することができるのである。
【0102】
また、第一実施例における電池パック50の組付け装置1においては、前記クランプ機構部(固定手段)4は、前記ロアケース54裏面の左右方向(短手方向)両側において、前後方向(長手方向)に離間して配設される複数(本実施例においては4個)の第二受け具41・41・・・を有し、該第二受け具41・41・・・を介して、前記ロアケース54の裏面は、前記電池パック50側に向かって押圧されることとしている。
【0103】
よって、ロアケース54は、クランプ機構部(固定手段)4に設けられるこれら複数の第二受け具41・41・・・によって、上下方向のガタツキが生じることもなく、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢を確実に保持することができるのである。
【0104】
また、第二実施例における電池パック50の組付け装置101においては、前記クランプ機構部(固定手段)104は、前記ロアケース54裏面の左右方向(短手方向)中央部において、前後方向(長手方向)に離間して配設される複数(本実施例においては2個)の第二受け具141・141を有し、該第二受け具141・141を介して、前記ロアケース54の裏面は、前記電池パック50側に向かって押圧されることとしている。
【0105】
よって、前述した第一実施例における電池パック50の組付け装置1と同様に、ロアケース54は、クランプ機構部(固定手段)104に設けられる複数の第二受け具141・141によって、上下方向のガタツキが生じることもなく、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢を確実に保持することができるのである。
【0106】
また、本実施例における電池パック50の組付け装置1(101)は、略矩形板状に形成されるロアケース54の上面に電池パック50を載置した状態を保持しつつ、該電池パック50に該ロアケース54を組付けるための、電池パック50の組付け装置1(101)であって、該組付け装置1(101)は、前記ロアケース54の左右方向(短手方向)における、少なくともいずれか一方から前記ロアケース54を抱え込むことで、前記ロアケース54の裏面を、前記電池パック50側に向かって押圧するクランプ機構部(固定手段)1(104)を備えることとしている。
【0107】
具体的には、第一実施例における組付け装置1においては、正面視「L字」状の部材からなる複数のクランプアーム42・42・・・が、ロアケース54の左右方向(短手方向)両側に設けられており、これらのクランプアーム42・42・・・によって、前記ロアケース54を上方に向かって抱きかかえる(抱え込む)ことで、各クランプアーム42の端部(より具体的には、クランプアーム42の端部に配設される第二受け具41)を介して、前記ロアケース54裏面の左右方向(短手方向)両側が電池パック50側に押圧され、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢が保持されるのである。
また、第二実施例における組付け装置101においては、正面視「L字」状の部材からなるクランプアーム142が、ロアケース54の左右方向(短手方向)のいずれか一方側(本実施例においては、右側)に設けられており、前記クランプアーム142によって、前記ロアケース54を上方に向かって抱きかかえる(抱え込む)ことで、前記クランプアーム142の端部(より具体的には、クランプアーム142の端部に配設される第二受け具141)を介して、前記ロアケース54裏面の左右方向(短手方向)中央が電池パック50側に押圧され、電池パック50に対するロアケース54の組付け姿勢が保持されるのである。
このように、本実施例(第一実施例および第二実施例)における電池パック50の組付け装置1(101)によれば、ロアケース54の上面に電池パック50を載置した状態を保持しつつ、該電池パック50に該ロアケース54を組付けるための、電池パック50の組付け装置1(101)であって、電池パック50の仕様に応じてクランプアーム42(142)の第二受け具41(141)を交換する必要がなく、生産性の高い多品種生産にも対応可能な電池パック50の組付け装置1(101)を実現することができるのである。
【符号の説明】
【0108】
50 電池パック
1 組付け装置
101 組付け装置
54 ロアケース
4 クランプ機構部(固定手段)
104 クランプ機構部(固定手段)
41 受け具
141 受け具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形板状に形成されるロアケースの上面中央部に電池パックを載置した状態を保持しつつ、該電池パックに該ロアケースを組付けるための、電池パックの組付け装置であって、
該組付け装置は、
前記ロアケースの長手方向中央部において、
前記ロアケースの裏面を、前記電池パック側に向かって押圧する固定手段を備える、
ことを特徴とする電池パックの組付け装置。
【請求項2】
前記固定手段は、
前記ロアケース裏面の短手方向両側において、
長手方向に離間して配設される複数の受け具を有し、
該受け具を介して、前記ロアケースの裏面は、前記電池パック側に向かって押圧される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの組付け装置。
【請求項3】
前記固定手段は、
前記ロアケース裏面の短手方向中央部において、
長手方向に離間して配設される複数の受け具を有し、
該受け具を介して、前記ロアケースの裏面は、前記電池パック側に向かって押圧される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの組付け装置。
【請求項4】
略矩形板状に形成されるロアケースの上面に電池パックを載置した状態を保持しつつ、該電池パックに該ロアケースを組付けるための、電池パックの組付け装置であって、
該組付け装置は、
前記ロアケースの短手方向における、少なくともいずれか一方から前記ロアケースを抱え込むことで、前記ロアケースの裏面を、前記電池パック側に向かって押圧する固定手段を備える、
ことを特徴とする電池パックの組付け装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−248484(P2012−248484A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121085(P2011−121085)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(399107063)プライムアースEVエナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】