説明

電池パック

【課題】保護基板の種類を認識して、適切な検査項目を実施することが可能となる電池パックを提供すること。
【解決手段】電池と、電池に接続された保護回路の一部を構成するとともに、保護回路の検査を行うための2個の検査端子を表面に有する保護基板と、保護基板の表面を覆うように設けられた被覆部材とを備え、被覆部材には、検査端子を露出させるための検査窓が設けられ、検査窓から検査ピンが挿入されたとき、2個の検査端子は、保護基板を識別することができる高低差を有し、検査端子の高低差で保護基板の種類の認識を行うことにより、保護基板の種類を認識することができるので、保護基板に適切な検査項目を実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護基板を有する電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電池と、電池の過充電や過放電等の誘因が検知されたときに、熱暴走や内部短絡の発生を阻止するための保護基板とを備えた電池パックが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ケースに、二次電池と、プリント基板とを内蔵したパック電池が開示されている。
【0004】
特許文献1のパック電池においては、二次電池及びプリント基板をケースに内蔵した後に、テスト孔の外観形状を識別可能に構成することによって、検査すべき特性を判断可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−266384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池パックを生産する際には、ケース内に設けられた保護回路の有する電気的特性が所定の仕様を満足するか否かを検査することとしている。保護回路自体の機能が同一であっても、保護回路を構成する基板の種類が相違するとその電気的特性(抵抗値等)が異なることとなるため、基板の種類に応じて異なる検査項目を実施することが必要となる。
【0007】
特に、近年では、共通のケースを使用しながら基板の種類を変えた多種の電池パックを生産することがあり、このような場合、外観は同じであるが、内蔵された保護基板の種類に応じて、異なる検査項目を実施する必要がある。
【0008】
そこで、特許文献1のパック電池では、ケースに内蔵された基板の種類に応じてテスト孔の形状を外観から判断して、検査すべき特性を切り替えていた。従って、検査を開始するに当たり、必ず目視或いは画像認識にてテスト孔を確認する必要があり、量産にて多数の検査品が流れている場合には、目視確認を行うことは困難であったり、画像認識の高価な設備が必要であったりした。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、保護基板の種類に適した検査項目を容易に判断することが可能となる電池パック及びその検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電池パックは、電池と、電池に接続された保護回路の一部を構成するとともに、保護回路の検査を行うための2個の検査端子を表面に有する保護基板と、保護基板の表面を覆うように設けられた被覆部材とを備え、被覆部材には、検査端子を露出させるための検査窓が設けられ、検査窓から検査ピンが挿入されたとき、2個の検査端子は、保護基板を識別することができる高低差を有し、検査端子の高低差で保護基板の種類の認識を行う。
【0011】
本構成によって、保護基板の種類を認識することができるので、保護基板に適切な検査項目を実施することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記課題に鑑みてなされたものであり、保護基板の種類に適した検査項目を容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る電池パックの全体構成を示す外観図で、(b)は本発明の実施形態に係る電池パックの全体構成を示す分解図ある。
【図2】(a)は本発明の実施形態に係る保護基板の外観図(上面)で、(b)は本発明の実施形態に係る保護基板の外観図(上面)である。
【図3】(a)は本発明の実施形態に係る他の保護基板の外観図(上面)で、(b)は本発明の実施形態に係る保護基板の外観図(上面)ある。
【図4】本発明の実施形態に係る保護端子の高低差の測定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る電池パックの全体構成を示す斜視図で、図1(a)は外観図で、図1(b)は図1(a)の一部を分解した分解図である。
【0016】
図1を参照して説明する。電池パック1は、電池2と、電池2の端面に設けられた保護基板3と、この保護基板3の表面を覆うように設けられたカバー(被覆部材)4と、電池2の側面に巻き付けられたラベル5とを備えている。
【0017】
電池2は、薄板状に形成されたリチウムイオン電池である。この電池2は、厚み方向と直交する方向に向く端面に形成された正極及び負極(それぞれ図示せず)を有している。
【0018】
保護基板3は、電池2の正極及び負極に接続された保護回路の一部を構成するプリント基板である。保護基板3は、電池2の正極及び負極(図示せず)を出力するための出力端子6、7、8と、保護回路の検査を行うための検査端子9、10とを、それぞれ表面に有している。そして、保護回路は、電池2の過充電や過放電等の誘引が検知されたときに、熱暴走や内部短絡の発生を阻止するように構成されている。
【0019】
カバー4は、保護基板3の出力端子6、7、8を各々露出させた状態で、保護基板3の表面を覆うように配置されている。カバー(被覆部材)4の材質としては、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂材料を使用している。
【0020】
カバー4は、具体的に、出力端子6、7、8を露出させるための出力窓11、12、13と、検査端子9、10を露出させるための検査窓(開口部)14と、この検査窓14を塞ぐための目隠しラベル15とを備えている。
【0021】
出力窓11、12、13は、それぞれ出力端子6、7、8に対応して略長方形の開口形状でカバー4を表裏に貫通する。
【0022】
また、目隠しラベル15は、検査端子9、10の各々に対する外部からのアクセスを遮断するために、後述する検査の終了後にカバー4に貼着される。
【0023】
なお、本実施形態におけるカバー4は、電気的特性の異なる複数種類の保護基板について共通に使用することが可能に構成されている。例えば、カバー4は、図2に示す保護基板3と、図3に示す保護基板16とに共通に使用される。
【0024】
次に、保護基板の具体的構成を説明する。1つ目の保護基板として、図2は、図1(b)の保護基板を拡大した外観図で、図2(a)は上面図で、図2(b)は側面図である。
【0025】
保護基板3の出力端子6、7、8及び検査端子9、10は、それぞれ同一の配線材料(例えば、金)により形成されている。出力端子6、7、8は、それぞれ同じ大きさの略長方形に形成され、電池2の幅方向に並べて配置されている。検査端子9、10は、同じ直径の円形に形成されている。そして、検査端子10は、高さが検査端子9より高くなっている。
【0026】
検査端子9及び10は、カバー4の検査窓14からをまとめて露出させるようになっている。具体的に、検査窓14は、図2の二点鎖線で示すように、検査端子9、10の幅寸法(図2の上下寸法)と略同等の幅寸法で検査端子9、10の各々が並ぶ方向(図2の左右方向)に延びるトラック形状の長孔である。検査窓14の長手方向の両端部は、検査端子9、10に沿う円弧とされている。なお、検査窓14を通して見た検査端子9と、検査端子10の高さが異なっている。
【0027】
2つ目の保護基板である保護基板16は、3つの出力端子6、7、8と、検査端子24、25とを有している。この検査端子24、25は、保護基板3の検査端子9、10と同一の円形であるが、検査端子25が保護基板3の検査端子10と高さより高くなっている。
【0028】
従って、図4のように、カバー4の検査窓14を通して2本の検査ピンを2個の検査端子に当てたとき、検査ピンの高低差を低く検知するときが保護基板3であり、高低差を高く検知するときが保護基板16であると特定することが可能となる。
【0029】
以下、保護基板3を有する電池パック1と、保護基板16を有する電池パック1とを製造する際の手順について説明する。
【0030】
まず、図1(b)に示すように、電池2と保護基板3とを図外のリード板等を介して接続し、この保護基板3の表面を覆うようにカバー4を取り付け、ラベル5を巻きつけることにより、図1(a)の状態とする。
【0031】
同様に、保護基板16についても電池2と接続し、保護基板16の表面を覆うようにカバー4を取り付け、ラベル5を巻きつけることにより、図1(a)の状態とする。
【0032】
これら電池パック1の仕掛かり品は、ほぼ同じ外観とされているため、一見しただけでは保護基板3と保護基板16との識別をすることができない。しかし、本実施形態では、上述のようにカバー4の検査窓14を通して検査ピンを当てたときに、検査端子10と検査端子25との高さが異なるため、この違いによって保護基板3と保護基板16とを識別することができる。
【0033】
この識別の後、保護基板3、16ごとに予め設定された検査項目を識別された保護基板に応じて選択し、その検査項目を実施する。
【0034】
かかる構成によれば、保護基板毎に2個の検査端子の高低差を異ならせることにより、検査と検査ピンを検査端子に接触させたとき、保護基板を識別することができ、保護基板の種類に応じた検査項目を実施することができる。
【0035】
なお、本実施の形態において、2個の検査端子の高低差で保護基板の基板を識別するとしたが、保護基板の基板を基準高さとして、2個の検査端子の各々の高さの組合せで保護基板の種類を識別するとしても良い。この場合、2個の検査端子の高さデータを使用するのでより多くの種類を識別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかる電池パックは、電池パックが有する保護基板の種類を識別することが可能になるので、保護基板を有する電池パック等として有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 電池パック
2 電池
3 保護基板
4 カバー
5 ラベル
6、7、8 出力端子
9、10 検査端子
11、12、13 出力窓
14 検査窓
15 目隠しラベル
16 保護基板
24、25 検査端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池に接続された保護回路の一部を構成するとともに、前記保護回路の検査を行うための2個の検査端子を表面に有する保護基板と、
前記保護基板の表面を覆うように設けられた被覆部材とを備え、
前記被覆部材には、前記検査端子を露出させるための検査窓が設けられ、
前記検査窓から検査ピンが挿入されたとき、前記2個の検査端子は、前記保護基板を識別することができる高低差を有することを特徴とする電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−133952(P2012−133952A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283994(P2010−283994)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】