説明

電池充電率演算装置、電池充電率演算方法、及びプログラム

【課題】充電率修正動作の開始条件を適切に設定することによって、電池のSOCを高精度に演算することができる電池充電率演算装置を提供する。
【解決手段】実測電流積分によるSOCI演算部14が充放電電流の積分値に基づいて電池の充電率Aを演算する。このとき、充放電電流の積分値に電流検出誤差分が蓄積されてしまうので、推定開放電圧によるSOCV演算部11が電池の推定開放電圧に基づいて充電率Bを演算して修正する必要がある。そこで、電流発生頻度演算部18が、充放電電流値ごとの発生頻度を演算し、発生頻度が最も高い充放電電流値に基づいて充電率Aを充電率Bによって修正するための充電率修正動作開始信号をSOC切替判定部16へ送信する。これにより、SOC切替部17は適切なタイミングで充電率修正を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充電状態を演算する電池充電率演算装置等に関し、特に、二次電池の充電状態を演算するときに用いるパラメータを自動調整する電池充電率演算装置、電池充電率演算方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、二次電池(以下、単に電池と言うこともある)の充電状態を求める方法の一つとして、SOC(State Of Charge:充電率、充電状態、残存容量)を演算して充電状態を求める方法がある。このとき、電池におけるSOC(充電率)は、その電池の運用中における充放電電流の積分値に基づいて算出される。しかし、充放電電流の積分値だけでSOCを算出すると、充放電電流の積分値に電流検出誤差分が蓄積されてしまうので、演算したSOCの値が実態と異なってしまうことがある。
【0003】
そのような現象を回避するために、例えば、電池の運用中において、充放電時に電流が反転する際に電池開放電圧を推定し、その電池開放電圧から充電率を求め、充放電電流の積分値から求めた充電率を修正することによって精度の高いSOCを算出する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、電池の使用開始当初は電流積算値から求めた残存容量を用いながら、電流の充放電が反転するタイミングで電池開放電圧に基づいて求めた残存容量とを比較し、その差が所定値より大きくなったら、電池開放電圧に基づいて求めた残存容量を用いることにより、使用経過時間を通じて高精度にSOCを算出する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−206028号公報
【特許文献2】特許第3767150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1及び特許文献2の技術では、電池インピーダンスが大きくなって残存容量に誤差が出やすいときでも、充放電電流の反転時には充電率の修正が行われてしまう。そのため、電池インピーダンスが大きいときには、SOCを高精度に演算することができない。また、充電と放電のどちらが進行するかが未定となるような設備(例えば、不規則な起伏道路を走行するハイブリッド自動車、風力・潮力発電機、又は太陽電池など)においては、長い時間に亘って充電又は放電の何れかが進行することがある。そのために、充放電電流が反転するタイミングで電池開放電圧に基づいて充電率の修正が行われるまでに、充放電電流の積分値に基づいて算出されたSOCの誤差分が蓄積されてしまうこともある。その結果、SOCを高精度に演算することができなくなってしまう。
【0006】
図10は、一般的なシステムの制御用電源として二次電池を用いた場合の充放電電流の一例を示す特性図であり、横軸に時間、縦軸に充放電電流のレベルを示している。すなわち、図10に示すように、システムの制御用電源の消費電力分として、起動・停止を除いた期間において電池から定常的に電力を供給するような構成・運用を行っている場合や、システムの休止時においてもスタンバイ電源を常時供給している場合などは、電池が放電している状態が長時間(例えば、図10の時刻t1〜t2の期間)に亘って継続する。その結果、充放電電流が反転するタイミングが長時間に亘って存在しないために、長時間に亘って電池開放電圧に基づく充電率の修正が行われないので、充放電電流の積分値に基づいて算出されたSOCに電流検出誤差分が蓄積されたままとなってしまう。
【0007】
そこで、このような不具合を回避するために、充電率修正動作の開始条件(つまり、充放電電流の積分値から求めた充電率を電池開放電圧から求めた充電率で修正する動作の開始タイミング)を別途手動にて設定する必要がある。ところが、図10の電流特性に示すような一般的なシステムの構成や運用においては、それぞれのシステムごとに定常状態(例えば、図10の時刻t1〜t2期間の状態)における放電電流の値が異なる。そのため、それぞれのシステムに合わせて、その都度、充電率修正動作の開始タイミングを手動にて設定しなければならない。その結果、電池充電率演算装置の使い勝手が極めて悪いものとなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、充放電電流の積分値から演算した充電率を電池開放電圧から求めた充電率によって修正するタイミングを適切に行うことによって電池のSOCを高精度に演算することができる電池充電率演算装置、電池充電率演算方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の電池充電率演算装置は、二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算するSOCI演算部と、二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算するSOCV演算部と、二次電池の充放電電流値ごとの発生頻度を演算し、発生頻度が最も高い充放電電流値に基づいて、充電率Aを充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する電流発生頻度演算部とを備える構成を採っている。
【0010】
好適な実施形態としては、電流発生頻度演算部は、二次電池の初回の運用時に充放電電流をサンプリングしてその充放電電流の発生頻度分布テーブルを作成・格納し、次回以降の運用時において発生頻度分布テーブルを参照して、発生頻度が最も高い充放電電流を特定している。
【0011】
さらに好適な実施形態としては、電流発生頻度演算部は、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内にある発生頻度の最も高い充放電電流値に基づいて、充電率修正動作の開始条件パラメータを設定している。
【0012】
また、本発明の電池充電率演算装置は、二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算するSOCI演算部と、二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算するSOCV演算部と、二次電池の充放電電流値の電流微分値を演算し、その電流微分値がほぼゼロのときの低微分値充放電電流に基づいて、充電率Aを充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する電流微分値演算部とを備える構成を採っている。
【0013】
好適な実施形態としては、電流微分値演算部は、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内に存在する低微分値充放電電流に基づいて、充電率修正動作の開始条件パラメータを設定している。
【0014】
また、本発明は電池充電率演算方法を提供することもできる。すなわち、二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算する第1のステップと、二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算する第2のステップと、二次電池の充放電電流値ごとの発生頻度を演算し、発生頻度が最も高い充放電電流値に基づいて、充電率Aを充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する第3のステップとを含む電池充電率演算方法を提供することができる。
【0015】
好適な電池充電率演算方法としては、第3のステップにおいて、あらかじめ作成・格納されている充放電電流の発生頻度分布テーブルを参照して、発生頻度が最も高い充放電電流を特定している。
【0016】
さらに好適な電池充電率演算方法としては、第3のステップにおいて、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内にある発生頻度の最も高い充放電電流値に基づいて、充電率修正動作の開始条件パラメータを設定している。
【0017】
また、本発明は、二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算する第1のステップと、二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算する第2のステップと、二次電池の充放電電流値の電流微分値を演算し、その電流微分値がほぼゼロのときの低微分値充放電電流に基づいて、充電率Aを充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する第3のステップとを含む電池充電率演算方法を提供することもできる。
【0018】
好適な電池充電率演算方法としては、第3のステップにおいて、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内に存在する低微分値充放電電流に基づいて、充電率修正動作の開始条件パラメータを設定している。
【0019】
なお、本発明は、前記各発明の電池充電率演算方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電流容量が異なるシステムごとに充電率修正動作の開始条件を設定する必要がなくなるので、電池充電率演算装置を運用するときの操作性が一段と向上する。また、同一のシステムにおいて、季節によって周囲温度などが変化して運用状態(例えば、充放電電流値)が大きく変化するような場合においても、そのときの運用状態に合わせた充電率修正動作開始条件を自動設定することが可能となる。したがって、電池充電率演算装置を取り巻く環境条件が変動しても、常に、高精度にSOCを演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の電池充電率演算装置に適用されるSOC演算部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1における電池充電率演算装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す電流発生頻度演算部18が作成して格納する充放電電流の発生頻度分布テーブルを示す図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は、従来例に適用される特性図であって、それぞれの運転パターンを有するシステムの実測充放電電流を示す特性図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は、実施例1に適用される特性図であって、図4の(a)、(b)、(c)に示す充放電電流の実測値から求めた電流発生頻度のヒストグラムである。
【図6】本発明の実施例2における電池充電率演算装置の要部構成を示すブロック図である。
【図7】実施例2において適用される、システムに流れる充放電電流とその電流微分値との関係を示す特性図である。
【図8】(a)、(b)、(c)は、実施例2に適用される特性図であって、それぞれの運転パターンを有するシステムの充放電電流に基づいて演算された電流微分値を示す特性図である。
【図9】(a)、(b)、(c)は、実施例3に適用される特性図であって、充放電電流の中央値の分布を示す特性図である。
【図10】一般的なシステムの制御用電源として二次電池を用いた場合の充放電電流の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る電池充電率演算装置は、充放電電流の積分値から演算した充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって修正する電池充電率演算装置であって、あらかじめ、充放電時における電流発生頻度の分布を求めてこれを記憶しておく。そして、電池の運用中において、充放電電流の積分値から演算した充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって修正するタイミング(閾値)を、最も発生頻度の高い充放電電流のときとする。又は、電池の運用中において、充放電電流の電流微分値がほぼゼロになったときを、充放電電流の積分値から演算した充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって修正するタイミング(閾値)とする。これによって、確実に所定のタイミングで充電率の修正を行うことができるので、高精度にSOCの演算を行うことが可能となる。以下、図面を参照しながら、本発明に係る電池充電率演算装置の好適な実施例の幾つかを詳細に説明する。
【0023】
《実施例1》
〔SOCの算出方法〕
先ず、本発明に係る電池充電率演算装置に適用されるSOCの算出方法の一実施例について説明する。ここでは、二次電池の充放電電流の電流値積算(Ah)と電池セルの電圧とから求めるSOCの算出方法について説明する。一般的に、二次電池のSOCは二次電池の充放電電流の積分値に基づいて算出されるが、充放電電流の積分値だけで算出すると、充放電電流の積分値に電流検出誤差分が蓄積されてSOCの値が実態と異なってしまう。従って、その現象を回避するために、二次電池の推定インピーダンスが小さいときに、充放電電流の積分値に基づいて算出されたSOCをSOCV(SOC電圧)によって修正する。これによって、電流検出誤差分のない状態で高精度にSOCを算出することができる。
【0024】
以下、図面を参照してSOCの算出方法の一例について具体的に説明する。図1は、本発明の電池充電率演算装置に適用されるSOC演算部の構成を示すブロック図である。
【0025】
先ず、図1に示すSOC演算部1の構成について説明する。SOC演算部1は、推定開放電圧演算部10、推定開放電圧によるSOCV演算部11、推定インピーダンステーブル12aと推定インピーダンス電圧演算部12bとからなる電池インピーダンスモデル部12、推定インピーダンス電圧静定判定部13、実測電流積分によるSOCI演算部14、SOC偏差判定部15、SOC切替判定部16、及びSOC切替部17を備えて構成されている。尚、SOC偏差判定部15とSOC切替判定部16とSOC切替部17とによってSOC決定部20が構成されている。
【0026】
推定開放電圧演算部10は、二次電池の実測電圧VAから推定インピーダンス電圧VZを減算して二次電池の推定開放電圧V0を演算し、この推定開放電圧V0を推定開放電圧によるSOCV演算部11へ出力する。
推定開放電圧によるSOCV演算部11は、二次電池の推定開放電圧V0と実測温度Tとを入力して、自己が保有しているテーブルからSOCV(SOC電圧)を決定し、このSOCVをSOC切替部17へ出力する。
【0027】
電池インピーダンスモデル部12は、推定インピーダンステーブル12aと推定インピーダンス電圧演算部12bとからなり、推定インピーダンステーブル12aがSOCと実測温度Tとを入力してテーブルから二次電池の推定インピーダンスZを抽出し、推定インピーダンス電圧演算部12bが、実測電流Iと推定インピーダンスZから演算によって推定インピーダンス電圧VZを求めて推定インピーダンス電圧静定判定部13へ出力する。
【0028】
推定インピーダンス電圧静定判定部13は、推定インピーダンス電圧VZの変動率の絶対値が、所定の時間以上に亘って閾値以内(又は閾値未満)のレベルを継続したときに、推定インピーダンス電圧静定信号をSOC切替判定部16へ出力する。
実測電流積分によるSOCI演算部14は、充放電による実測電流Iの積分値からSOCI(SOC電流)を演算してSOC切替部17へ出力する。尚、SOC切替部17がSOCVに切替わった時は初期値をSOCVとする。
【0029】
SOC偏差判定部15は、|SOCV−SOCI|が閾値ΔSOC以上であるときに、偏差大信号をSOC切替判定部16へ出力する。尚、通常は、閾値ΔSOC=0である。
SOC切替判定部16は、推定インピーダンス電圧静定信号のAND/OR出力(トータル静定信号)と、SOC偏差大信号のAND出力とによって、SOC切替部17へSOC切替信号を出力する。
SOC切替部17は、SOC切替判定部16から入力されたSOC切替信号出力に基づいて、SOCVとSOCIとを適宜に切り替えてSOCを出力する。
【0030】
次に、図1に示すSOC演算部1の動作について説明する。先ず、推定インピーダンステーブル12aと推定インピーダンス電圧演算部12bからなる電池インピーダンスモデル部12によって推定インピーダンス電圧VZを求める。この推定インピーダンス電圧VZの値は推定値であるために誤差を有するが、特に、この推定インピーダンス電圧VZの値が大きいときは充電率(SOC)の修正量も大きく、充電率(SOC)に誤差が生じやすい。
【0031】
そこで、推定インピーダンス電圧VZが静定(例えば、推定インピーダンス電圧VZの絶対値|VZ|が閾値以下(あるいは未満)を所定の時間継続)したら、推定インピーダンス電圧静定判定部13からSOC切替判定部16へ推定インピーダンス電圧静定信号を出力し、SOC切替判定部16から出力されたSOC切替信号によってSOC切替部17のスイッチを切り替え、推定開放電圧によるSOCV演算部11からのSOCVを採用してSOC切替部17からSOCを出力する。
【0032】
このとき、推定開放電圧によるSOCV演算部11は、実測温度Tと推定開放電圧V0のテーブル(事前に取得済のテーブル)からSOCVを求めてSOC切替部17へ出力する。従って、SOC決定部20は、推定インピーダンス電圧静定信号を受け取ったら、充電率(SOC)を推定開放電圧V0から求めたSOCVに変えてもよく、更に、充放電電流の積分値から求めたSOCIとの差分|SOCV−SOCI|が閾値ΔSOC以上(超でもよい)でSOCVに変えてもよい。尚、SOC切替部17がSOCVに切替えたら、充放電電流の積分値の初期値はその値に変更する。
【0033】
すなわち、充放電電流の反転直後は電池のインピーダンス電圧が十分に小さくなっていないために演算したSOCの値に誤差が出やすいが、上記のようにしてSOCを算出することにより、推定インピーダンスZが小さいときに充放電電流の積分値のSOCをSOCVで修正することにより、SOCを誤差の少ない値にすることができる。つまり、充放電電流の積分値によるSOCの修正タイミングが多く発生するために、充放電電流の積分値に誤差が蓄積されにくくなる。
【0034】
尚、上記の実施例では、推定開放電圧演算部10が、実測電圧VAから推定インピーダンス電圧VZを減算して推定開放電圧V0を求めているが、推定インピーダンス電圧VZが小さく充放電電流の誤差が小さいと予想されるときは、実測電圧VAを補正せずに、実測電圧VAそのものを推定開放電圧V0と見なして、推定開放電圧V0をSOCV演算部11に入力してSOCVを算出し、充電率算出(SOC算出)を行ってもよい。すなわち、SOC算出の別の実施例として、推定インピーダンス電圧VZを二次電池の開放電圧として用いなくてもよい。これによって、図1に示すSOC演算部1の構成において推定開放電圧演算部10を省略することができるので、SOC演算部1の構成がさらにシンプルになる。
上記で説明した図1のSOC演算部1の構成はこれに限らず、図1ではその一例を示したものである。
【0035】
〔電池充電率演算装置〕
次に、本発明の実施例1における電池充電率演算装置について説明する。図2は、本発明の実施例1における電池充電率演算装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す電池充電率演算装置21aは、図1に示すSOC演算部1の構成要素を基本として構成されている。したがって、図1と同じ構成要素は同一の符合が付してある。
【0036】
まず、図2に示す電池充電率演算装置21aの構成について説明する。電池充電率演算装置21aは、少なくとも、推定開放電圧によるSOCV演算部11と、実測電流積分によるSOCI演算部14と、SOC切替判定部16及びSOC切替部17を含むSOC決定部20と、充放電電流の発生頻度を演算する電流発生頻度演算部18と備えて構成されている。これらの構成要素のうち、電流発生頻度演算部18以外の構成要素は図1で説明済みであるので重複する説明は省略する。
【0037】
電流発生頻度演算部18は、電池の初回の運用時において充放電電流の実測値を所定の時間間隔(例えば、10秒ごとのインターバル)でサンプリングし、充放電電流値ごとの発生頻度分布を演算して充放電電流の発生頻度分布テーブルを作成して格納している。そして、次回以降の電池の運用中において充放電電流を実測し、充放電電流の発生頻度分布テーブルを参照して、最も発生頻度の高い実測充放電電流を定常的な充放電電流であると判定する。これによって、電流発生頻度演算部18は、最も発生頻度の高い充放電電流のタイミングで生成された充電率修正動作開始信号をSOC切替判定部16へ送信する。
【0038】
したがって、SOC切替判定部16は、充電率修正動作開始信号を受信したタイミングでSOC切替信号をSOC切替部17へ送信する。これによって、SOC切替部17は、SOC切替信号の受信タイミング(つまり、充電率修正動作開始信号の受信タイミング)において、充放電電流の積分値から演算した充電率を電池開放電圧から求めた充電率によって修正し、高精度なSOCを出力する。
【0039】
図3は、図2に示す電流発生頻度演算部18が作成して格納する充放電電流の発生頻度分布テーブルを示す図であり、横軸に充放電電流、縦軸に電流発生頻度を示している。なお、横軸のレンジは、0より左側が放電電流、右側が充電電流である。すなわち、図3に示すように、電流が−1〜−2Aのとき(つまり、放電電流が1〜2Aのとき)が最も電流発生頻度が高くなっている。言い換えると、電池をシステムの制御用電源として用いたとき、制御機器用として定常的に放電させる電流は1〜2Aであることを示している。
【0040】
次に、図2及び図3を参照して本実施形態に係る電池充電率演算装置21aの動作について説明する。定常的には、実測電流積分によるSOCI演算部14が、充放電による実測電流Iの積分値からSOCI(SOC電流)を演算してSOC切替部17へ出力している。したがって、SOC切替部17(SOC決定部20)は、充放電電流の積分値から演算した充電率(SOCI)に基づいてSOCを決定して出力している。
【0041】
ここで、電流発生頻度演算部18は、図3に示すような充放電電流の発生頻度分布テーブルを備えているので、最も発生頻度の高い充放電電流(−1〜−2A)を定常的な充放電電流であると判断する。そして、実測電流Iが最も発生頻度の高い充放電電流(−1〜−2A)のとき、充電率修正動作の開始条件(つまり、充放電電流の積分値から求めた充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bで修正する動作の開始条件)のパラメータとして設定する。
【0042】
そして、電流発生頻度演算部18は、実測電流Iが最も発生頻度の高い充放電電流(−1〜−2A)のときに、充電率修正動作の開始条件に対応する充電率修正動作開始信号をSOC切替判定部16へ送信する。これによって、SOC切替判定部16は、充電率修正動作開始信号を受信したタイミングでSOC切替信号をSOC切替部17へ送信する。
【0043】
したがって、SOC切替部17は、SOC切替信号の受信タイミング(つまり、充電率修正動作開始信号の受信タイミング)において、充放電電流の積分値から演算した充電率A(SOCI)を電池開放電圧から求めた充電率B(SOCV)によって修正する。
【0044】
これによって、電池をシステムの制御用電源として用いたとき、制御機器用の定常的な消費電力分として定常的に放電される放電電流(−1〜−2A)が存在する場合においても、充放電電流の積分値から求めた充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって確実に修正することができる。
【0045】
言い換えると、充放電電流が反転するタイミングがなく、一定の放電電流が長時間に亘って持続されるような場合であっても、充放電電流の積分値から求めた充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって確実に修正することができる。その結果、電池充電率演算装置21aは、常に、高精度にSOCを演算することができる。
【0046】
さらに具体的に説明すると、最も発生頻度の高い充放電電流値(例えば、−1〜−2A)となった状態が一定時間継続した場合、又は絶対値で最も頻度の高い電流値(|−1〜−2A|)よりも少ない電流値(例えば、0A)の通電状態が一定時間継続した場合には、充放電電流の積分値から求めた充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって修正する動作を開始する。
【0047】
ここで、最も発生頻度の高い充放電電流の実測値が0Aに近いとき(例えば、−3〜+3A)において、その実測電流に基づいて充電率修正動作開始信号を生成する。しかし、最も発生頻度の高い充放電電流の実測値が0Aから大きく離れているとき(例えば、最も発生頻度の高い充放電電流が−7A以下、又は+7A以上のとき)は、その実測電流においては充電率修正動作開始信号を生成しない。
【0048】
以上説明したように、実施例1に係る電池充電率演算装置によれば、電流容量が異なるシステムごとに充電率修正動作開始条件を設定する必要がなくなるので、電池充電率演算装置を運用するときの操作性が一段と向上する。また、同一のシステムにおいて、季節によって周囲温度などが変化して運用状態(例えば、充放電電流値)が大きく変化するような場合においても、そのときの運用状態に合わせた充電率修正動作の開始条件を自動設定することが可能となる。したがって、電池充電率演算装置を取り巻く環境条件が変動しても、常に、高精度にSOCを演算することができる。
【0049】
〔実施例1における実測データ〕
次に、充放電電流の実測データに基づいてヒストグラムを作成し、最も発生頻度の高い充放電電流値を決定する具体的な実施例について説明する。図4の(a)、(b)、(c)は、従来例に適用される特性図であって、それぞれの運転パターンを有するシステムの実測充放電電流を示す特性図である、なお、いずれの特性図も、横軸に時間、縦軸に充放電電流値を表わしている。
【0050】
図4の(a)、(b)に示すように、時刻が8時から22時までの長時間に亘って放電電流の変化を繰り返しているが、充電側に反転するゼロクロス点が存在しないので、このままでは充放電電流の積分値から求めた充電率を開放電圧から求めた充電率で修正するSOC演算の修正タイミング(閾値)は存在しない。そこで、従来は、手動でSOC演算の修正閾値を設定している。図4(c)においても、例えば、時刻が0時から10時までの長時間に亘って放電電流が持続しているが、この期間には充電側に反転するゼロクロス点が存在しないので、(a)、(b)と同様に、手動でSOC演算の修正閾値を設定している。
【0051】
図5の(a)、(b)、(c)は、実施例1に適用される特性図であって、図4の(a)、(b)、(c)に示す充放電電流の実測値から求めた電流発生頻度のヒストグラムである。なお、いずれの特性図も横軸に電流値、縦軸に電流の発生頻度を表わしている。なお、横軸のレンジは、0より左側が放電電流、右側が充電電流である。すなわち、図4(a)の実測電流の一定期間の時系列データから図5(a)のようなヒストグラムが求められる。このヒストグラムでは、放電電流が−1〜−2Aのときに発生頻度が最も高いので、充放電電流が±0Aに近く、かつ発生頻度が最も高い放電電流(−1〜−2A)をSOCの修正閾値とすることができる。
【0052】
また、図4(b)の実測電流の一定期間の時系列データから図5(b)のようなヒストグラムが求められる。このヒストグラムでは、充電電流が12〜13Aのときに発生頻度が最も高いが、この電流は±0Aから大きく離れているので採用しない。したがって、2番目に発生頻度の高い放電電流(−3〜−4A)が±0Aに比較的近いので、発生頻度が2番目に高い放電電流(−3〜−4A)をSOCの修正閾値とすることができる。
【0053】
また、図4(c)の実測電流の一定期間の時系列データから図5(c)のようなヒストグラムが求められる。このヒストグラムでは、放電電流が−1〜−2Aのときの発生頻度が最も高いので、充放電電流が±0Aに近く、かつ発生頻度が最も高い放電電流(−1〜−2A)をSOCの修正閾値とすることができる。
【0054】
《実施例2》
次に、本発明に係る電池充電率演算装置の実施例2について説明する。図6は、本発明の実施例2における電池充電率演算装置の要部構成を示すブロック図である。図6に示す電池充電率演算装置21bが、図2に示す電池充電率演算装置21aと異なるところは、図2の電流発生頻度演算部18に替えて、充放電電流の電流微分値を演算する電流電流微分値演算部22を備えているところである。
【0055】
電流微分値演算部22は、充放電電流の電流微分値を演算して、この電流微分値が0又は0に近い値のときに定常的な充放電電流が流れていると判断し、このときの充放電電流を充電率修正動作の開始条件(つまり、充放電電流の積分値から求めた充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bで修正する動作の開始条件)のパラメータとして設定する。そして、充放電電流の電流微分値が0又は0に近い値のときタイミングで生成された充電率修正動作開始信号をSOC切替判定部16へ送信する。
【0056】
したがって、SOC切替判定部16は、充電率修正動作開始信号を受信したタイミングでSOC切替信号をSOC切替部17へ送信する。これによって、SOC切替部17は、SOC切替信号の受信タイミング(つまり、充電率修正動作開始信号の受信タイミング)において、充放電電流の積分値から演算した充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって修正し、高精度なSOCを出力する。
【0057】
図7は、実施例2において適用される、システムに流れる充放電電流(a)とその電流微分値(b)との関係を示す特性図であり、横軸に時間、縦軸に充放電電流のレベルを示している。なお、縦軸のレンジは、0より上側が充電電流、下側が放電電流である。すなわち、図7に示すように、電池をシステムの制御用電源として用いたとき、制御機器用の充放電電流(a)として定常的に放電電流が流れている期間(時刻t1〜t2の期間)においては、その電流微分値(b)は0の値を示している。
【0058】
図7を参照しながら、図6に示す電池充電率演算装置21bの動作についてさらに詳しく説明する。電池充電率演算装置21bは、充放電電流の電流微分値を演算・記憶する機能を備えていて、充放電電流の電流微分値が0又は0に近い値となっている期間(例えば、図7の時刻t1〜t2の期間)は、定常的な充放電電流が流れている期間であると判断する。そして、この期間の充放電電流値を充電率修正動作の開始条件パラメータとすることにより、電池をシステムの制御用電源として用いたとき、制御機器用の定常的な消費電力分として定常的に放電される放電電流(例えば、−1〜−2A)が流れている場合においても、充放電電流の積分値から求めた充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって確実に修正することができる。
【0059】
言い換えると、充放電電流が反転するタイミングがなく、一定の放電電流が長時間に亘って持続されるような場合であっても、充放電電流の積分値から求めた充電率Aを電池開放電圧から求めた充電率Bによって確実に修正することができる。その結果、電池充電率演算装置21bは、常に、高精度にSOCを演算することができる。
【0060】
さらに、具体的に説明すると、充放電電流の電流微分値が0又は0に近い値となった状態が一定の期間継続した場合において、その充放電電流の電流微分値が0又は0に近い値となった期間の電流値を、充電率修正動作開始条件のパラメータとして用いる。
【0061】
ただし、システムの機器により充放電電流に上限があるため、その機器の最大充放電電流が一定期間継続して流れた場合においても、その充放電電流の電流微分値は0又は0に近い値となる。そのため、充電率修正動作開始条件のパラメータの入力範囲は、一定レベルの充放電電流の上限値以下とする必要がある。具体的には、例えば、充放電電流が−4〜4Aの範囲においてその電流微分値が0又は0に近い値となったときは、充電率修正動作の開始条件パラメータとするが、充放電電流が−4A以下、又は4A以上のときは、その電流微分値が0又は0に近い値となったときでも、充電率修正動作の開始条件パラメータとはしない。
【0062】
〔実施例2における実測データ〕
次に、システムに流れる充放電電流に基づいて電流微分値を演算し、その電流微分値が0又は0に近いときに充電率修正動作開始条件のパラメータを設定する具体的な実施例について説明する。図8の(a)、(b)、(c)は、実施例2に適用される特性図であって、それぞれの運転パターンを有するシステムの充放電電流に基づいて演算された電流微分値を示す特性図であり、いずれも、横軸に時間、左側の縦軸に電流値、右側の縦軸に電流微分値を表わしている。なお、各特性において、上側の特性が充放電電流であり、下側の特性がその電流微分値である。
【0063】
図8(a)、(b)に示すように、充放電電流は0Aをクロスして充電側に反転する期間は存在しないが、電流微分値が0Aとなる期間は各所に存在するので、この電流微分値が0Aとなる期間において充電率修正動作の開始条件パラメータを設定することができる。また、図8(c)に示すように、実際の充放電電流は6〜12Aであって0Aから大きく離れているが、電流微分値が0Aに近い値の期間が各所に存在するので、これらの期間において充電率修正動作の開始条件パラメータとして設定することができる。
【0064】
すなわち、充放電電流の一定期間の時系列データから電流微分値を求め、その電流微分値が0±αであって、かつ、充放電電流値が0Aに近いレベル(例えば、−3〜+3Aの範囲)にあるときに、充電率修正動作の開始条件パラメータを設定することができる。
【0065】
《実施例3》
実施例3は、実施例1で述べた発生頻度の最も高い充放電電流を充電率修正動作開始条件のパラメータとして設定する形態の変形例であって、一定期間の充放電電流の時系列データからその期間の充放電電流における中央値の分布を求め、分布の比率が最も高い中央値を充電率修正動の作開始条件パラメータとして設定するものである。
【0066】
図9の(a)、(b)、(c)は、実施例3に適用される特性図であって、充放電電流の中央値の分布を示す特性図である。なお、いずれの特性図も横軸に電流値、縦軸に充放電電流の中央値の分布割合を表わしている。なお、横軸のレンジは、0より左側が放電電流、右側が充電電流である。すなわち、図4の(a)、(b)、(c)の各実測電流の一定期間の時系列データから、図9の(a)、(b)、(c)のような充放電電流の中央値の分布特性が求められる。
【0067】
図9の(a)、(b)、(c)の特性図から分かるように、充放電電流の中央値の分布割合は、図5の(a)、(b)、(c)の特性図で示した電流発生頻度の分布特性と殆んど一致している。したがって、図9の(a)、(b)、(c)の特性図において、充放電電流の中央値の分布割合が最も大きい充放電電流を、充電率修正動作の開始条件パラメータとして設定すればよい。
【0068】
例えば、図9(a)の特性図において、放電電流の中央値が−1〜−2Aのときが最も分布割合が高いので、充放電電流が±0Aに近く、かつ分布割合が最も高い放電電流(−1〜−2A)をSOCの修正閾値とすることができる。
【0069】
また、図9(b)の特性図において、充電電流の中央値が11〜12Aのときが最も分布割合が高いが、この電流は±0Aから大きく離れているので採用しない。したがって、2番目に分布割合が高い放電電流(−3〜−4A)が±0Aに比較的近いので、分布割合が2番目に高い放電電流(−3〜−4A)をSOCの修正閾値とすることができる。
【0070】
また、図9(c)の特性図において、放電電流の中央値が−1〜−2Aのときが最も分布割合が高いので、充放電電流が±0Aに近く、かつ分布割合が最も高い放電電流(−1〜−2A)をSOCの修正閾値とすることができる。
【0071】
《プログラム》
なお、前述した電池充電率演算方法は、コンピュータがプログラムを読み込むことによって実現される。したがって、前述した電池充電率演算方法の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、前述した各処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどをいう。また、このプログラムを通信回線によって外部のコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0072】
また、上記プログラムは、前述した電池充電率演算方法の機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した電池充電率演算方法の機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の電池充電率演算装置は、運用中の二次電池において高精度にSOCを演算することができるので、充電モードと放電モードが不規則に繰り返される設備、例えば、ハイブリッド自動車や自然エネルギ発電機などに用いられる二次電池の電池充電率演算装置として有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 SOC演算部
10 推定開放電圧演算部
11 推定開放電圧によるSOCV演算部
12 電池インピーダンスモデル部
12a 推定インピーダンステーブル
12b 推定インピーダンス電圧演算部
13 推定インピーダンス電圧静定判定部
14 実測電流積分によるSOCI演算部
15 SOC偏差判定部
16 SOC切替判定部
17 SOC切替部
18 電流発生頻度演算部
20 SOC決定部
21a、21b 電池充電率演算装置
22 電流微分値演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算するSOCI演算部と、
前記二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算するSOCV演算部と、
前記二次電池の充放電電流値ごとの発生頻度を演算し、発生頻度が最も高い充放電電流値に基づいて、前記充電率Aを前記充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する電流発生頻度演算部と
を備えることを特徴とする電池充電率演算装置。
【請求項2】
前記電流発生頻度演算部は、前記二次電池の初回の運用時に充放電電流をサンプリングしてその充放電電流の発生頻度分布テーブルを作成・格納し、次回以降の運用時において前記発生頻度分布テーブルを参照して、発生頻度が最も高い充放電電流を特定することを特徴とする請求項1に記載の電池充電率演算装置。
【請求項3】
前記電流発生頻度演算部は、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内にある発生頻度の最も高い充放電電流値に基づいて、前記充電率修正動作の開始条件パラメータを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池充電率演算装置。
【請求項4】
二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算するSOCI演算部と、
前記二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算するSOCV演算部と、
前記二次電池の充放電電流値の電流微分値を演算し、その電流微分値がほぼゼロのときの低微分値充放電電流に基づいて、前記充電率Aを前記充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する電流微分値演算部と
を備えることを特徴とする電池充電率演算装置。
【請求項5】
前記電流微分値演算部は、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内に存在する前記低微分値充放電電流に基づいて、前記充電率修正動作の開始条件パラメータを設定することを特徴とする請求項4に記載の電池充電率演算装置。
【請求項6】
二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算する第1のステップと、
前記二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算する第2のステップと、
前記二次電池の充放電電流値ごとの発生頻度を演算し、発生頻度が最も高い充放電電流値に基づいて、前記充電率Aを前記充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する第3のステップと
を含むことを特徴とする電池充電率演算方法。
【請求項7】
前記第3のステップにおいて、あらかじめ作成・格納されている充放電電流の発生頻度分布テーブルを参照して、発生頻度が最も高い充放電電流を特定することを特徴とする請求項6に記載の電池充電率演算方法。
【請求項8】
前記第3のステップにおいて、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内にある発生頻度の最も高い充放電電流値に基づいて、前記充電率修正動作の開始条件パラメータを設定することを特徴とする請求項6又は7に記載の電池充電率演算方法。
【請求項9】
二次電池の充放電電流の積分値に基づいてその二次電池の充電率Aを演算する第1のステップと、
前記二次電池の推定開放電圧に基づいてその二次電池の充電率Bを演算する第2のステップと、
前記二次電池の充放電電流値の電流微分値を演算し、その電流微分値がほぼゼロのときの低微分値充放電電流に基づいて、前記充電率Aを前記充電率Bによって修正するための充電率修正動作の開始条件パラメータを設定する第3のステップと
を含むことを特徴とする電池充電率演算方法。
【請求項10】
前記第3のステップにおいて、ゼロ電流値を挟んで所定の範囲内に存在する前記低微分値充放電電流に基づいて、前記充電率修正動作の開始条件パラメータを設定することを特徴とする請求項9に記載の電池充電率演算方法。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれか1項に記載の電池充電率演算方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−271288(P2010−271288A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125666(P2009−125666)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】