説明

電池内蔵機器と充電台

【課題】充電台の電源コイルから電池内蔵機器の誘導コイルに効率よく電力搬送する。
【解決手段】電池内蔵機器と充電台は、電源コイル11に交流電源12を接続してなる充電台10と、誘導コイル51を内蔵する電池内蔵機器50とからなり、電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送して電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電している。電源コイル11は、平面コイルである内側コイル11Aと、この内側コイル11Aの外側に位置して、同一平面に配置してなる平面コイルの外側コイル11Bとからなる。充電台10の交流電源12は、内側コイル11Aに交流電力を供給する内側コイル励起状態と、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方に交流電力を供給する内外コイル励起状態とを切り換える切換回路64を備え、内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えて、電池内蔵機器50の誘導コイル51に電力搬送している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パック電池や携帯電話などの電池内蔵機器と、この電池内蔵機器に電磁誘導作用で電力を搬送して、電池内蔵機器の内蔵電池を充電する充電台に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導の作用で電源コイルから誘導コイルに電力搬送して、パック電池やノート型パソコンなどの電池内蔵機器に内蔵している電池を充電する充電台は開発されている。(特許文献1参照)
【0003】
特許文献1は、充電台に、交流電源で励磁される電源コイルを内蔵し、パック電池やノート型パソコン等の電池内蔵機器には電源コイルに電磁結合される誘導コイルを内蔵する構造を記載する。充電台の電源コイルと、電池内蔵機器の誘導コイルは互いに対向するように配置しているフェライトコアにコイルを巻いたものである。電源コイルと誘導コイルのフェライトコアは、磁気結合してトランスを形成するようにして、電源コイルから誘導コイルに磁気誘導作用で電力搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−110409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の充電台は、載せる電池内蔵機器の種類によって、電源コイルから誘導コイルに電力搬送する電力を調整している。電力調整するために、フェライトコアに巻いているコイルのタップを切り換えている。この構造は、電力搬送する電力を調整して電池内蔵機器に電送できる。しかしながら、つねに効率よく電池内蔵機器の誘導コイルに電力搬送できない欠点があった。
【0006】
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、充電台の電源コイルから電池内蔵機器の誘導コイルに効率よく電力搬送できる電池内蔵機器と充電台を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、電源コイル11に交流電源12、72を接続してなる充電台10と、この充電台10にセットされて電源コイル11に電磁結合される誘導コイル51を内蔵する電池内蔵機器50とからなり、電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送される電力でもって、電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電している。電源コイル11は、平面コイルである内側コイル11Aと、この内側コイル11Aの外側に位置し、かつ内側コイル11Aと同一平面に配置してなる平面コイルの外側コイル11Bとからなる。充電台10の交流電源12、72は、内側コイル11Aに交流電力を供給して、外側コイル11Bに交流電力を供給しない内側コイル励起状態と、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方に交流電力を供給する内外コイル励起状態とを切り換える切換回路64、74を備えており、充電台10にセットされる電池内蔵機器50によって、内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えて、電池内蔵機器50の誘導コイル51に電力搬送している。
【0008】
以上の電池内蔵機器と充電台は、電源コイルから誘導コイルに効率よく電力搬送できる特徴がある。それは、充電台にセットされる電池内蔵機器の誘導コイルによって、充電台の電源コイルを、内側コイルのみに電力を供給する内側コイル励起状態と、内側コイルと外側コイルの両方に交流電力を供給する内外コイル励起状態とに切り換えて、電源コイルから誘導コイルに電力搬送するからである。内側コイル励起状態は、内外コイル励起状態に対して励磁される電源コイルの外径が小さいので、小さい誘導コイルに電磁結合されて効率よく電力搬送でき、内外コイル励起状態は、励磁される電源コイルの外径が大きくなるので、大きい誘導コイルに効率よく電力搬送できる。このため、大きい誘導コイルを内蔵する電池内蔵機器と、小さい励磁コイルを内蔵する電池内蔵機器の両方に効率よく電力搬送できる特徴がある。電力搬送の効率を良くすることは、省エネの効果のみでなく、電池内蔵機器の無駄な発熱を少なくして、内蔵電池や他の電子部品が加熱される熱による弊害も有効に防止できる効果がある。とくに、電池内蔵機器は、限られた容積に電池や種々の部品を収納しているので、内部の発熱を効率よく放熱することが難しく、いかに発熱を少なくできるかは極めて大切である。
【0009】
また、本発明の電池内蔵機器と充電台は、電源コイルを薄い平面コイルとし、さらに、電源コイルは外側コイルと内側コイルの両方を平面コイルとし、かつ外側コイルと内側コイルとを同一平面に配置するので、電源コイルを薄くして狭いスペースに収納して、充電台から複数の電池内蔵機器に効率よく電力搬送できる特徴も実現する。
【0010】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、内側コイル11Aと外側コイル11Bとをα巻きされた平面コイルとして、内側コイル11Aは平面コイルの内周に出し線11aを配置し、外側コイル11Bは平面コイルの外周に出し線11bを配置することができる。
以上の電池内蔵機器と充電台は、電源コイルの内側コイルと外側コイルとをα巻の平面コイルとするので、出し線による電源コイルの厚さの増加が少なく、電源コイルの全体を薄くして、外側コイルの内側に内側コイルを配置できる特徴がある。また、外側コイルと内側コイルとの境界に出し線を設けることなく、内側コイルと外側コイルとを密着して配置しながら、出し線の配線を簡単にできる。
【0011】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、充電台10の交流電源12、72が、電池内蔵機器50の誘導コイル51の外径によって内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えることができる。
以上の電池内蔵機器と充電台は、誘導コイルの外径で電源コイルを励起する領域の外径をコントロールするので、大きな外径の誘導コイルと、小さい外径の誘導コイルに効率よく電力搬送できる特徴がある。
【0012】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、電池内蔵機器50と充電台10が情報を伝送する情報伝送回路66、67を備えて、情報伝送回路66、67でもって電池内蔵機器50から充電台10に誘導コイル51の外径情報を伝送し、充電台10の交流電源12、72が、伝送される外径情報で内外コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えることができる。
以上の充電台は、電池内蔵機器から伝送される情報で、電源コイルを励起する領域を切り換えるので、電源コイルを励起する領域を、電池内蔵機器に内蔵される誘導コイルに最適な領域として効率よく電力搬送できる特徴がある。
【0013】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、充電台10が、電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送する電送効率を検出する効率検出回路86を備え、交流電源12、72が効率検出回路86で検出される電送効率を最大とするように内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とに切り換えるようことができる。
以上の充電台は、電力搬送する効率が良くなるように、電源コイルを励起する領域を切り換えるので、異なる誘導コイルの電池内蔵機器に、つねに効率よく電力搬送できる特徴がある。
【0014】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、内側コイル11Aと外側コイル11Bとを回路基板18の表面に実装し、内側コイル11Aの出し線11aを回路基板18の導電パターン19に接続することができる。
以上の充電台は、電源コイルを回路基板に実装して、電源コイルと回路基板とのトータルの厚さを薄くできる特徴がある。とくに、電源コイルの外側に内側コイルの出し線を引き出しながら、電源コイルと回路基板とのトータルの厚さを薄くできる特徴がある。外側コイルの外側に引き出す内側コイルからの出し線を、回路基板の薄い導電部で構成することで、内側コイルと同じ導線を外側コイルに積層して引き出す必要がないからである。
【0015】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、交流電源12、72が、電源コイル11に供給する電力を変更する電力調整回路65を備え、この電力調整回路65が、内外コイル励起状態における供給電力を、内側コイル励起状態における供給電力よりも大きくすることができる。
以上の充電台は、内外コイル励起状態で内側コイルと外側コイルとに供給するトータル電力を、内側コイル励起状態において内側コイルに供給する電力よりも大きくするので、大きい誘導コイルの電池内蔵機器にはハイパワーで効率よく電力搬送し、小さい誘導コイルの電池内蔵機器には、ローパワーで効率よく電力搬送できる特徴がある。
【0016】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、電池内蔵機器50と充電台10が情報を伝送する情報伝送回路66、67を備えて、情報伝送回路66、67でもって電池内蔵機器50から充電台10に必要電力情報を伝送すると共に、充電台10の交流電源12、72が、電源コイル11に供給する電力を変更する電力調整回路65を備え、この電力調整回路65が、伝送される必要電力情報に基づいて電源コイル11に供給する電力を変更することができる。
以上の充電台は、セットされる電池内蔵機器から伝送される必要電力情報で、電源コイルに供給する電力を変更するので、電池内蔵機器の内蔵電池の充電に最適な電力を供給して、理想的に内蔵電池を充電できる特徴がある。
【0017】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、電源コイル11と誘導コイル51の両方を平面コイルとして、電池内蔵機器50が充電台10にセットされる状態で、誘導コイル51と電源コイル11とを互いに接近して対向する位置に配置して、電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送することができる。
以上の電池内蔵機器と充電台は、電源コイルと誘導コイルの両方を平面コイルとするので、充電台と電池内蔵機器を薄くしながら、充電台から電池内蔵機器に効率よく電力搬送できる特徴がある。
【0018】
本発明の電池内蔵機器と充電台は、電源コイル11と誘導コイル51とを空芯の平面コイルとすることができる。
さらに、以上の電池内蔵機器と充電台は、電源コイルと誘導コイルの両方を空芯の平面コイルとするので、電源コイルと誘導コイルをとくに薄くして、電源コイルから誘導コイルに効率よく電力搬送できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例にかかる電池内蔵機器と充電台の斜視図である。
【図2】図1に示す充電台の内部構造を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す充電台の内部構造を示す水平断面図である。
【図4】図3に示す充電台の垂直縦断面図である。
【図5】図3に示す充電台の垂直横断面図である。
【図6】充電台の位置検出制御器の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の一実施例にかかる電池内蔵機器と充電台のブロック図である。
【図8】電源コイルの一例を示す斜視図である。
【図9】図8に示す電源コイルの分解斜視図である。
【図10】電源コイルと交流電源の接続状態を示す回路図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる電池内蔵機器と充電台のブロック図である。
【図12】交流電源の他の一例を示す回路図である。
【図13】位置検出信号で励起された誘導コイルから出力されるエコー信号の一例を示す図である。
【図14】電源コイルと誘導コイルの相対的な位置ずれに対する発振周波数の変化を示す図である。
【図15】充電台の位置検出制御器の他の一例を示す回路図である。
【図16】図15に示す位置検出制御器の位置検出コイルに誘導されるエコー信号のレベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池内蔵機器と充電台を例示するものであって、本発明は電池内蔵機器と充電台を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図1ないし図7は、充電台10の概略構成図及び原理図を示している。充電台10は、図1、図2、及び図7に示すように、充電台10の上に電池内蔵機器50を載せて、電池内蔵機器50の内蔵電池52を磁気誘導作用で電力搬送して充電する。電池内蔵機器50は、電源コイル11に電磁結合される誘導コイル51を内蔵している。この誘導コイル51に誘導される電力で充電される内蔵電池52を内蔵している。ここで、電池内蔵機器50は、携帯電話やICプレーヤなどの電子機器とすることも、パック電池とすることもできる。
【0022】
図7は、電池内蔵機器50の回路図を示す。この電池内蔵機器50は、誘導コイル51に誘導される交流を整流する整流回路53と、この整流回路53の出力で電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電する充電回路54と、誘導コイル51の両端を短絡する短絡回路56と、充電異常を検出して短絡回路56をオンに制御する制御回路57とを備えている。
【0023】
整流回路53は、誘導コイル51に誘導される交流を整流して、充電回路54に出力する。図の電池内蔵機器50は、誘導コイル51と整流回路53の間に直列コンデンサー55を接続しており、この直列コンデンサー55を介して、誘導コイル51に誘導される交流を整流回路53に入力している。直列コンデンサー55は、誘導コイル51と直列共振回路を構成して、誘導コイル51に誘導される交流を効率よく整流回路53に入力する。したがって、直列コンデンサー55の静電容量は、誘導コイル51のインダクタンスで、誘導される交流の周波数に近くなるように設定される。さらに、図の電池内蔵機器50は、整流回路53の出力側に整流回路53から出力される脈流を平滑化する電解コンデンサー58を接続している。
【0024】
短絡回路56は、誘導コイル51の両端を短絡して、誘導コイル51から整流回路53への電力供給を遮断する。図7の短絡回路56は、誘導コイル51の両端を直列コンデンサー55を介して短絡している。この構造は、短絡回路56をオンとする短絡状態において、誘導コイル51の発熱を有効に防止できる特長がある。図の短絡回路56は、誘導コイル51の出力側を短絡する短絡スイッチ56Aとしている。図に示す短絡スイッチ56AはFETである。ただ、この短絡スイッチには、トランジスタ等の半導体スイッチング素子やリレーも使用できる。
【0025】
短絡回路56である短絡スイッチ56Aは、充電異常を検出する制御回路57でオンオフに制御される。制御回路57は、充電異常を検出して短絡スイッチ56Aをオンオフに制御する。制御回路57は、充電異常を検出しない状態では短絡スイッチ56AのFETをオフとし、充電異常を検出すると短絡スイッチ56AのFETをオンに切り換える。オン状態の短絡スイッチ56Aは、誘導コイル51の出力側を直列コンデンサー55を介して短絡して、誘導コイル51から整流回路53への電力供給を遮断する。
【0026】
充電異常な状態は、たとえば、電池内蔵機器50の内蔵電池52が過充電となり保護回路により切断された後も、充電台10からの電力搬送を停止できない状態、あるいは、電池内蔵機器50が電磁調理器などに載せられて、誘導コイル51に異常な電力が誘導される状態などである。内蔵電池52の充電を停止して、充電台10からの電力搬送を停止できない状態は、たとえば、電池内蔵機器50から充電を停止する信号を充電台10に伝送したにもかかわらず、充電台10が故障して電源コイル11への交流電力の供給を停止できない状態で発生する。
【0027】
内蔵電池52の充電を停止する状態で、充電台10が故障して続けて電力搬送されると、電池側の保護回路が働いて切断され、誘導コイル51は無負荷な状態となって誘導電圧が異常に高くなる。また、電池内蔵機器50が電磁調理器などに載せられると、誘導コイル51に電力搬送されるパワーが極めて大きくなって、誘導コイル51の誘導電圧が規定値よりも高くなる。この状態は、たとえば、整流回路の整流素子に耐圧よりも高い電圧を印加して破壊させる原因となる。とくに、整流回路をFETの同期整流回路とする回路構成にあっては、FETが高電圧によって破壊される原因となる。
【0028】
充電台10は、図1ないし図7に示すように、交流電源12に接続されて誘導コイル51に起電力を誘導する電源コイル11と、この電源コイル11を内蔵すると共に、上面には電池内蔵機器50を載せる上面プレート21を有するケース20と、このケース20に内蔵されて、電源コイル11を上面プレート21の内面に沿って移動させる移動機構13と、上面プレート21に載せられる電池内蔵機器50の位置を検出して、移動機構13を制御して電源コイル11を電池内蔵機器50の誘導コイル51に接近させる位置検出制御器14とを備える。充電台10は、電源コイル11と、交流電源12と、移動機構13と、位置検出制御器14とをケース20に内蔵している。
【0029】
この充電台10は、以下の動作で電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電する。
(1)ケース20の上面プレート21に電池内蔵機器50が載せられると、この電池内蔵機器50の位置が位置検出制御器14で検出される。
(2)電池内蔵機器50の位置を検出した位置検出制御器14は、移動機構13を制御して、移動機構13でもって電源コイル11を上面プレート21に沿って移動させて電池内蔵機器50の誘導コイル51に接近させる。
(3)誘導コイル51に接近する電源コイル11は、誘導コイル51に電磁結合されて誘導コイル51に交流電力を搬送する。
(4)電池内蔵機器50は、誘導コイル51の交流電力を整流して直流に変換し、この直流で内蔵電池52を充電する。
【0030】
以上の動作で電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電する充電台10は、交流電源12に接続している電源コイル11をケース20に配置している。電源コイル11は、ケース20の上面プレート21の下に配設されて、上面プレート21に沿って移動する。電源コイル11から誘導コイル51への電力搬送の効率は、電源コイル11と誘導コイル51の間隔を狭くして向上できる。好ましくは、電源コイル11を誘導コイル51に接近する状態で、電源コイル11と誘導コイル51の間隔は7mm以下とする。したがって、電源コイル11は、上面プレート21の下にあって、できるかぎり上面プレート21に接近して配設される。電源コイル11は、上面プレート21の上に載せられる電池内蔵機器50の誘導コイル51に接近するように移動するので、上面プレート21の下面に沿って移動できるように配設される。
【0031】
電源コイル11を内蔵するケース20は、電池内蔵機器50を載せる平面状の上面プレート21を上面に設けている。図1と図2の充電台10は、上面プレート21全体を平面状として水平に配設している。上面プレート21は、大きさや外形が異なる種々の電池内蔵機器50を上に載せることができる大きさ、たとえば、一辺を5cmないし30cmとする四角形としている。ただ、上面プレートは、直径を5cmないし30cmとする円形とすることもできる。図1と図2の充電台10は、上面プレート21を大きくして、すなわち複数の電池内蔵機器50を同時に載せることができる大きさとして、複数の電池内蔵機器50を一緒に載せて内蔵される内蔵電池52を順番に充電できるようにしている。また、上面プレートは、その周囲に周壁などを設け、周壁の内側に電池内蔵機器をセットして、内蔵する電池を充電することもできる。
【0032】
電源コイル11は、上面プレート21と平行な面で渦巻き状に巻かれた平面コイルで、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。この電源コイル11は、上面プレート21に直交する交流磁束を上面プレート21の上方に放射する。電源コイル11は、交流電源12から交流電力が供給されて、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。
【0033】
電源コイル11を図8と図9に示している。この電源コイル11は、内側コイル11Aの外側に外側コイル11Bを配置している。内側コイル11Aと外側コイル11Bは両方が平面コイルで、外側コイル11Bの内側に内側コイル11Aを配置して、外側コイル11Bと内側コイル11Aとを同一平面に配置している。外側コイル11Bの内径は、内側コイル11Aとの間に隙間ができないように、内側コイル11Aの外径にほぼ等しくしている。内側コイル11Aと外側コイル11Bとの間に隙間のない電源コイル11は、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方に電力を供給する状態で、電池内蔵機器50の誘導コイル51に効率よく電力搬送できる。
【0034】
内側コイル11Aと外側コイル11Bはα巻された平面コイルである。α巻の外側コイル11Bは、外周に出し線11bを引き出し、α巻された内側コイル11Aは内周に出し線11aを引き出している。α巻の平面コイルは、渦巻き状コイルを偶数段に積層して直列に連結している。α巻の外側コイル11Bは、偶数段目に配置される渦巻き状コイルを外周から内側に渦巻き状に巻いたコイルとして、奇数段目に配置される渦巻き状コイルを内側から外側に渦巻き状に巻いて出し線11bを外周縁に設けている。α巻の内側コイル11Aは、偶数段目に配置される渦巻き状コイルを内周縁から外側に渦巻き状に巻き、奇数段目に配置される渦巻き状コイルを外周から内側に渦巻き状に巻いて出し線11aを内側に引き出している。
【0035】
内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方をα巻の平面コイルとして、外側コイル11Bの内側に内側コイル11Aを配置する電源コイル11は、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方のコイルを多段に巻く構造によって、外径を特定する形状としながら、太いコイルでインダクタンスを大きくし、さらに交流電源で励起するコイル領域を、大きな外径と小さい外径に変更できる。また、外側コイル11Bと内側コイル11Aとの境界に出し線を設けることなく、内側コイル11Aと外側コイル11Bとを密着して出し線11a、11bの配線を簡単にできる。ただ、本発明は、電源コイルを以上の構造に限定するものではなく、たとえば、渦巻き状コイルを一段に配置し、コイルの中間にタップを設けて、タップの内側を内側コイル、タップの外側を外側コイルとすることもできる。
【0036】
図8と図9の電源コイル11は、内側コイル11Aと外側コイル11Bを回路基板18の表面に接着して固定している。回路基板18は薄いフレキシブル基板で、表面には導電パターン19を設けている。内側コイル11Aの出し線11aは、内側コイル11Aの中心孔に設けている導電パターン19にハンダ付けして接続され、外側コイル11Bの出し線11bは、外側コイル11Bの外周に設けている導電パターン19にハンダ付けして連結している。回路基板18は、導電パターン19でもって、内側コイル11Aと外側コイル11Bを巻き方向が同じとなるように直列に接続している。さらに、回路基板18は、内側コイル11Aと外側コイル11Bの中間接続点11Xと、外側コイル11Bと内側コイル11Aの一端を外部に接続する3ラインの導電パターン19を設けている。
【0037】
電源コイル11が、3ラインの導電パターン19を介して交流電源12に接続される回路図を図10に示している。この図の交流電源12は、入力される商用電源61を直流電圧に変換するスイッチング電源62と、このスイッチング電源62から出力される直流を交流に変換して電源コイル11に供給するスイッチング素子63と、スイッチング素子63を制御する切換回路64とを備えている。さらに、図に示す交流電源12は、電源コイル11に供給する電力を変更する電力調整回路65を備えている。
【0038】
スイッチング電源62は、商用電源61から入力される交流を所定の直流電圧に変換して出力する。切換回路64は、スイッチング素子63を制御して、内側コイル11Aに交流電力を供給して、外側コイル11Bに交流電力を供給しない内側コイル励起状態と、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方に交流電力を供給する内外コイル励起状態とに切り換える。切換回路64は、充電台10にセットされる電池内蔵機器50によって、内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えて、電池内蔵機器50の誘導コイル51に電力搬送する。
【0039】
図10の交流電源12は、電源コイル11の中間接続点11Xに接続している第1のスイッチング素子63Aと、外側コイル11Bの一端に接続している第2のスイッチング素子63Bのいずれかを所定の周期でオンオフに切り換えて、他方をオフ状態に保持して、内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換える。第1のスイッチング素子63Aがオンオフに切り換えられて、第2のスイッチング素子63Bがオフ状態に保持される状態で、内側コイル励起状態となり、第2のスイッチング素子63Bがオンオフに切り換えられて、第1のスイッチング素子63Aがオフ状態に保持される状態で、内外コイル励起状態となる。スイッチング素子63は、たとえば、20kHz〜数MHzの周期でオンオフに切り換えられて、電源コイル11に高周波電力を供給する。
【0040】
切換回路64は、充電台10にセットされる電池内蔵機器50の誘導コイル51の大きさで、第1のスイッチング素子63Aと第2のスイッチング素子63Bのいずれをオンオフに切り換えるかを決定する。電池内蔵機器50の誘導コイル51の大きさは、電池内蔵機器50から充電台10に伝送される情報で検出され、あるいは内外コイル励起状態と内外コイル励起状態とで電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送される電送効率を検出して判定される。
【0041】
電池内蔵機器50から伝送される情報で誘導コイル51の大きさを判定するシステムは、図7と図10に示すように、電池内蔵機器50と充電台10に、誘導コイル51の外径情報を伝送する情報伝送回路66、67を設けている。このシステムは、電池内蔵機器50が充電台10にセットされたタイミングで、電池内蔵機器50の情報伝送回路66から充電台10の情報伝送回路67に誘導コイル51の外径情報を伝送する。充電台10の交流電源12は、伝送される外径情報で誘導コイル51の外径を判定して、内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換える。交流電源12は、充電台10に小さい誘導コイル51Aを特定する外径情報が伝送される状態では、内側コイル励起状態として、小さい領域に交流磁界を発生して小さい誘導コイル51Aに効率よく電力搬送し、大きい誘導コイル51Bを特定する外径情報が伝送される状態では、内外コイル励起状態として、広い領域に交流磁界を発生して大きい誘導コイル51Bに効率よく電力搬送する。
【0042】
電送効率で誘導コイル51の大きさを判定するシステムは、図11に示すように、電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送する電送効率を検出する効率検出回路86を充電台10に設け、交流電源12が、効率検出回路86で検出される電送効率を最大とするように内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とに切り換える。誘導コイル51と電源コイル11は、同じ大きさとして効率よく電力搬送できる。とくに、平面コイルの誘導コイル51と、平面コイルの電源コイル11とを対向するように配置して、電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送する構造は、電源コイル11と誘導コイル51を同じ外径として効率よく電力搬送できる。
【0043】
たとえば、内側コイル11Aの外径を3cm、外側コイル11Bの外径を4cmとして、3cm又は4cmの誘導コイル51を内蔵する電池内蔵機器50に効率よく電力搬送できる。たとえば、外径を3cmとする誘導コイル50Aを内蔵する電池内蔵機器50Aが充電台10にセットされる状態にあっては、外径を3cmとする内側コイル11Aを励起して、すなわち内側コイル励起状態として、誘導コイル51に効率よく電力搬送できる。また、外径を4cmとする誘導コイル51Bを内蔵する電池内蔵機器50Bが充電台10にセットされる状態にあっては、外径を4cmとする外側コイル11Bと内側コイル11Aの両方を励起して、すなわち内外コイル励起状態として、誘導コイル51Bに効率よく電力搬送できる。ただ、電源コイルと誘導コイルとを、必ずしも外径を全く同一として電力搬送する必要はなく、近似する外径として電力搬送することができる。したがって、大きい誘導コイル51Bの電池内蔵機器50Bと、小さい誘導コイル51Aの電池内蔵機器50Aに電力搬送するために、内側コイル11Aと外側コイル11Bとで外径を変更できる電源コイル11として、大きい誘導コイル51Bは大きな電源コイル11で、小さい誘導コイル51Aは小さい電源コイル11で効率よく電力搬送できる。充電台10は、充電台10にセットされる電池内蔵機器50に内蔵している誘導コイル51の大きさに近い外径となるように、電源コイル11を内側コイル励起状態と内外コイル励起状態に切り換えて効率よく電力搬送する。
【0044】
電力調整回路65は、スイッチング電源62の電源電圧を変更し、あるいは、スイッチング素子63のオンオフのデューティーを変更して電源コイル11に供給する電力を変更する。この電力調整回路65は、スイッチング電源62の電源電圧を高電圧として電源コイル11に供給する電力を大きくし、あるいは、スイッチング素子63のデューティーを大きくして、すなわち、オフ時間に対するオン時間の割合を大きくして電源コイル11に供給する電力を大きくする。また、電力調整回路65は、スイッチング電源62の電源電圧を低電圧として電源コイル11に供給する電力を小さくし、あるいは、スイッチング素子63のデューティーを小さくして、すなわち、オフ時間に対するオン時間の割合を小さくして電源コイル11に供給する電力を小さくする。電力調整回路65は、内外コイル励起状態における供給電力が内側コイル励起状態における供給電力よりも大きくするように電源コイル11に供給する電力を変更する。この交流電源12は、内側コイル励起状態においては、スイッチング電源62の出力電圧を低電圧とし、あるいはスイッチング素子63のオンオフのデューティーを小さくして、内側コイル11Aに供給する電力を小さくし、内外コイル励起状態においては、スイッチング電源62の出力電圧を高電圧とし、あるいはスイッチング素子63のオンオフのデューティーを大きくして、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方に供給する電力を大きくする。
【0045】
さらに、図12の交流電源72は、電源コイル11の両端と中間接続点11Xをペアースイッチング素子73を介してスイッチング電源62のプラス側とマイナス側の両方に接続している。ペアースイッチング素子73は、切換回路74で制御される。切換回路74は、ペアースイッチング素子73をオンオフに切り換える周期の交流信号である切換信号、たとえば周波数を20KHz〜数MHzとする切換信号を出力する発振回路75と、この発振回路75から出力される切換信号を反転して逆位相の切換信号を出力する反転回路76と、反転回路76から出力される逆位相の切換信号を、第2のペアースイッチング素子73Bと第3のペアースイッチング素子73Cのいずれかに切り換えて出力する切換スイッチ77とを備えている。さらに、図に示す交流電源72も、電源コイル11に供給する電力を変更する電力調整回路65を備えている。この電力調整回路65は、スイッチング電源62の電源電圧を変更して電源コイル11に供給する電力を変更する。ただ、この電力調整回路も、発振回路から出力される切換信号のオンオフのデューティーを変更して電源コイルに供給する電力を変更することができる。
【0046】
この交流電源72は、内側コイル励起状態においては、図12で示すように、反転回路76から出力される逆位相の切換信号を第2のペアースイッチング素子73Bのゲートに入力して、すなわち、切換スイッチ77を第2のペアースイッチング素子73B側に切り換えて、内側コイル11Aの一端に接続している第1のペアースイッチング素子73Aと、中間接続点11Xに接続している第2のペアースイッチング素子73Bを所定の周期でオンオフに切り換え、外側コイル11Bの一端に接続している第3のペアースイッチング素子73Cはオフ状態に保持する。互いにオンオフに切り換えられる第1のペアースイッチング素子73Aと第2のペアースイッチング素子73Bは、第1のペアースイッチング素子73Aが内側コイル11Aの一端をプラス側に接続するタイミングにあっては、第2のペアースイッチング素子73Bが中間接続点11Xをマイナス側に接続し、第1のペアースイッチング素子73Aが内側コイル11Aの一端をマイナス側に接続するタイミングにあっては、第2のペアースイッチング素子73Bが中間接続点11Xをプラス側に接続する。第1のペアースイッチング素子73Aと第2のペアースイッチング素子73Bは、スイッチング電源62のプラス側とマイナス側とに交互に所定の周期で切り換えて接続して、内側コイル11Aを励起状態とする。すなわち、内側コイル励起状態とする。さらに、交流電源72は、内側コイル励起状態において、電圧調整回路65がスイッチング電源62の出力電圧を低電圧に制御して、内側コイル11Aに供給する電力を小さくする。
【0047】
さらに、以上の交流電源72は、内外コイル励起状態にあっては、切換スイッチ77を切り換えて、反転回路76から出力される逆位相の切換信号を第3のペアースイッチング素子73Cに入力する。この状態で、内側コイル11Aの一端に接続している第1のペアースイッチング素子73Aと、外側コイル11Bの一端に接続している第3のペアースイッチング素子73Cは所定の周期でオンオフに切り換えられて、中間接続点11Xに接続している第2のペアースイッチング素子73Bはオフ状態に保持される。互いにオンオフに切り換えられる第1のペアースイッチング素子73Aと第3のペアースイッチング素子73Cは、第1のペアースイッチング素子73Aが内側コイル11Aの一端をプラス側に接続するタイミングにあっては、第3のペアースイッチング素子73Cが外側コイル11Bの一端をマイナス側に接続し、第1のペアースイッチング素子73Aが内側コイル11Aの一端をマイナス側に接続するタイミングにあっては、第3のペアースイッチング素子73Cが外側コイル11Bの一端をプラス側に接続する。第1のペアースイッチング素子73Aと第3のペアースイッチング素子73Cは、内側コイル11Aと外側コイル11Bを直列に接続している電源コイル11を、スイッチング電源62のプラス側とマイナス側とに交互に所定の周期で切り換えて接続して、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方を励起状態とする。すなわち、内外コイル励起状態とする。さらに、交流電源72は、内外コイル励起状態において、電圧調整回路65がスイッチング電源62の出力電圧を高電圧に制御して、内側コイル11Aと外側コイル11Bの両方に供給する電力を大きくする。
【0048】
第1のペアースイッチング素子73Aは、発振回路75から出力される切換信号でオンオフに切り換えられ、第2のペアースイッチング素子73Bと第3のペアースイッチング素子73Cは、切換信号と逆位相の切換信号でオンオフに切り換えられるので、第1のペアースイッチング素子73Aがコイルの一端をプラス側に接続するとき、第2のペアースイッチング素子73Bと第3のペアースイッチング素子73Cは、コイルの他端側をマイナス側に接続し、また、第1のペアースイッチング素子73Aがコイルの一端をマイナス側に接続するとき、第2のペアースイッチング素子73Bと第3のペアースイッチング素子73Cはコイルの他端側をプラス側に接続して、電源コイル11に交互に逆方向に電流を流して交流で励起する。以上の交流電源72は、コイルの両端を常にスイッチング電源62のプラス側とマイナス側に接続して、電源コイル11に効率よく電力を供給する。
【0049】
以上の充電台10は、内外コイル励起状態における供給電力が内側コイル励起状態における供給電力よりも大きくなるように、交流電源12、72が電源コイル11に供給する電力を変更している。この充電台10は、大きい誘導コイル51Bを備える電池内蔵機器50Bがセットされる状態では、内外コイル励起状態として、内側コイル11Aと外側コイル11Bとに供給する電力を大きくして、ハイパワーで効率よく電力搬送できる。また、小さい誘導コイル51Aを備える電池内蔵機器50Aがセットされる状態では、内側コイル励起状態として、内側コイル11Aに供給する電力を小さくして、ローパワーで効率よく電力搬送できる。ただ、小さい誘導コイルを備える電池内蔵機器であっても、内蔵電池の容量(例えば、大容量の内蔵電池)や充電状態(例えば、急速充電時)によっては大きな電力を必要とすることもあり、反対に、大きい誘導コイルを備える電池内蔵機器であっても、内蔵電池の容量(例えば、小容量の内蔵電池)や充電状態(例えば、満充電に近い状態)によっては小さな電力が好ましいこともある。したがって、本発明の充電台は、必ずしも、内外コイル励起状態における供給電力を、内側コイル励起状態における供給電力よりも大きくする必要はなく、内外コイル励起状態における供給電力を小さくし、内側コイル励起状態における供給電力を大きくすることもできる。
【0050】
この充電台は、セットされる電池内蔵機器から充電台に必要電力情報を伝送し、交流電源が、この必要電力情報に基づいて電源コイルに供給する電力を変更することができる。例えば、図7と図10に示すように、情報を伝送する情報伝送回路66、67を備える電池内蔵機器50と充電台10は、電池内蔵機器50の情報伝送回路66から充電台10の情報伝送回路67に必要電力情報を伝送し、充電台10の交流電源12が、伝送される必要電力情報に基づいて、電源コイル11に供給する電力を電力調整回路65で調整することができる。電池内蔵機器50は、内蔵電池52の最大容量や残容量、電池温度等から最適な搬送電力を演算し、この情報を必要電力情報として充電器10に伝送する。この電池内蔵機器50は、充電台10にセットされたタイミングで、誘導コイル51の外径情報と必要電力情報を充電台10に伝送し、また、電池内蔵機器50の内蔵電池52が充電されるタイミングにおいても、必要電力情報を充電台10に伝送することができる。電池内蔵機器50から必要電力情報が伝送されると、充電台10は、最適な搬送電力となるように電源コイル11に供給する電力を電力調整回路65で調整する。すなわち、この充電台10は、セットされる電池内蔵機器50の誘導コイル51の外径情報で内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えると共に、電池内蔵機器50から伝送される必要電力情報によって、交流電源12が電源コイル11に供給する電力を調整する。これにより、小さい誘導コイル51Aを備える電池内蔵機器50Aがセットされて、内側コイル励起状態とする場合においても、内側コイル11Aに供給する電力を大きくして、ハイパワーで効率よく電力搬送でき、また、大きい誘導コイル51Bを備える電池内蔵機器50Bがセットされて、内外コイル励起状態とする場合においても、内側コイル11Aと外側コイル11Bとに供給する電力を小さくして、ローパワーで効率よく電力搬送することができる。
【0051】
図3の充電台10は、電源コイル11を誘導コイル51に接近するように移動させるので、電源コイル11を可撓性のリード線16を介して交流電源12に接続している。電源コイル11が上面プレート21に載せられる電池内蔵機器50の誘導コイル51に接近するように移動されるからである。
【0052】
電源コイル11は、移動機構13で誘導コイル51に接近するように移動される。図2ないし図5の移動機構13は、電源コイル11を、上面プレート21に沿って、X軸方向とY軸方向に移動させて誘導コイル51に接近させる。図の移動機構13は、位置検出制御器14で制御されるサーボモータ22でネジ棒23を回転して、ネジ棒23にねじ込んでいるナット材24を移動して、電源コイル11を誘導コイル51に接近させる。サーボモータ22は、電源コイル11をX軸方向に移動させるX軸サーボモータ22Aと、Y軸方向に移動させるY軸サーボモータ22Bとを備える。ネジ棒23は、電源コイル11をX軸方向に移動させる一対のX軸ネジ棒23Aと、電源コイル11をY軸方向に移動させるY軸ネジ棒23Bとを備える。一対のX軸ネジ棒23Aは、互いに平行に配設されて、ベルト25に駆動されてX軸サーボモータ22Aで一緒に回転される。ナット材24は、各々のX軸ネジ棒23Aにねじ込んでいる一対のX軸ナット材24Aと、Y軸ネジ棒23Bにねじ込んでいるY軸ナット材24Bからなる。Y軸ネジ棒23Bは、その両端を一対のX軸ナット材24Aに回転できるように連結している。電源コイル11はY軸ナット材24Bに連結している。
【0053】
さらに、図に示す移動機構13は、電源コイル11を水平な姿勢でY軸方向に移動させるために、Y軸ネジ棒23Bと平行にガイドロッド26を配設している。ガイドロッド26は、両端を一対のX軸ナット材24Aに連結しており、一対のX軸ナット材24Aと一緒に移動する。ガイドロッド26は、電源コイル11に連結されるガイド部27を貫通しており、電源コイル11をガイドロッド26に沿ってY軸方向に移動できるようにしている。すなわち、電源コイル11は、互いに平行に配設されるY軸ネジ棒23Bとガイドロッド26に沿って移動するY軸ナット材24Bとガイド部27を介して、水平な姿勢でY軸方向に移動する。
【0054】
この移動機構13は、X軸サーボモータ22AがX軸ネジ棒23Aを回転させると、一対のX軸ナット材24AがX軸ネジ棒23Aに沿って移動して、Y軸ネジ棒23Bとガイドロッド26をX軸方向に移動させる。Y軸サーボモータ22BがY軸ネジ棒23Bを回転させると、Y軸ナット材24BがY軸ネジ棒23Bに沿って移動して、電源コイル11をY軸方向に移動させる。このとき、電源コイル11に連結されたガイド部27は、ガイドロッド26に沿って移動して、電源コイル11を水平な姿勢でY軸方向に移動させる。したがって、X軸サーボモータ22AとY軸サーボモータ22Bの回転を位置検出制御器14で制御して、電源コイル11をX軸方向とY軸方向に移動できる。ただし、本発明の充電台は、移動機構を以上のメカニズムには特定しない。移動機構には、電源コイル11をX軸方向とY軸方向に移動できる全ての機構を利用できるからである。
【0055】
位置検出制御器14は、上面プレート21に載せられた電池内蔵機器50の位置を検出する。図2ないし図5の位置検出制御器14は、電池内蔵機器50に内蔵される誘導コイル51の位置を検出して、電源コイル11を誘導コイル51に接近させる。さらに、位置検出制御器14は、誘導コイル51の位置を粗検出する第1の位置検出制御器14Aと、誘導コイル51の位置を精密検出する第2の位置検出制御器14Bとを備える。この位置検出制御器14は、第1の位置検出制御器14Aで誘導コイル51の位置を粗検出すると共に、移動機構13を制御して電源コイル11の位置を誘導コイル51に接近させた後、さらに、第2の位置検出制御器14Bで誘導コイル51の位置を精密検出しながら移動機構13を制御して、電源コイル11の位置を正確に誘導コイル51に接近させる。この充電台10は、速やかに、しかも、より正確に電源コイル11を誘導コイル51に接近できる。
【0056】
第1の位置検出制御器14Aは、図6に示すように、上面プレート21の内面に固定している複数の位置検出コイル30と、この位置検出コイル30に位置検出信号を供給する検出信号発生回路31と、この検出信号発生回路31から位置検出コイル30に供給されるパルスに励起されて誘導コイル51から位置検出コイル30に出力されるエコー信号を受信する受信回路32と、この受信回路32が受信するエコー信号から電源コイル11の位置を判別する識別回路33とを備える。
【0057】
位置検出コイル30は複数列のコイルからなり、複数の位置検出コイル30を上面プレート21の内面に所定の間隔で固定している。位置検出コイル30は、誘導コイル51のX軸方向の位置を検出する複数のX軸検出コイル30Aと、Y軸方向の位置を検出する複数のY軸検出コイル30Bとを備える。各々のX軸検出コイル30Aは、Y軸方向に細長いループ状であって、複数のX軸検出コイル30Aは、所定の間隔で上面プレート21の内面に固定されている。隣接するX軸検出コイル30Aの間隔(d)は、誘導コイル51の外径(D)よりも小さく、好ましくはX軸検出コイル30Aの間隔(d)を誘導コイル51の外径(D)の1倍ないし1/4倍としている。X軸検出コイル30Aは、間隔(d)を狭くして、誘導コイル51のX軸方向の位置を正確に検出できる。各々のY軸検出コイル30Bは、X軸方向に細長いループ状であって、複数のY軸検出コイル30Bは、所定の間隔で上面プレート21の内面に固定されている。隣接するY軸検出コイル30Bの間隔(d)も、X軸検出コイル30Aと同じように、誘導コイル51の外径(D)よりも小さく、好ましくはY軸検出コイル30Bの間隔(d)を誘導コイル51の外径(D)の1倍ないし1/4倍としている。Y軸検出コイル30Bも、その間隔(d)を狭くして、誘導コイル51のY軸方向の位置を正確に検出できる。
【0058】
検出信号発生回路31は、所定のタイミングで位置検出信号であるパルス信号を位置検出コイル30に出力する。位置検出信号が入力される位置検出コイル30は、位置検出信号で接近する誘導コイル51を励起する。励起された誘導コイル51は、流れる電流のエネルギーでエコー信号を位置検出コイル30に出力する。したがって、誘導コイル51の近くにある位置検出コイル30は、図13に示すように、位置検出信号が入力された後、所定の時間遅れて、誘導コイル51からのエコー信号が誘導される。位置検出コイル30に誘導されるエコー信号は、受信回路32で識別回路33に出力される。したがって、識別回路33は、受信回路32から入力されるエコー信号でもって、位置検出コイル30に誘導コイル51が接近しているかどうかを判定する。複数の位置検出コイル30にエコー信号が誘導されるとき、識別回路33は、エコー信号レベルの大きい位置検出コイル30にもっとも接近していると判定する。
【0059】
図6に示す位置検出制御器14は、各々の位置検出コイル30を切換回路34を介して受信回路32に接続する。この位置検出制御器14は、入力を順番に切り換えて複数の位置検出コイル30に接続するので、ひとつの受信回路32で複数の位置検出コイル30のエコー信号を検出できる。ただし、各々の位置検出コイルに受信回路を接続してエコー信号を検出することもできる。
【0060】
図6の位置検出制御器14は、識別回路33で制御される切換回路34で複数の位置検出コイル30を順番に切り換えて受信回路32に接続する。検出信号発生回路31は切換回路34の出力側に接続されて、位置検出コイル30に位置検出信号を出力する。検出信号発生回路31から位置検出コイル30に出力される位置検出信号のレベルは、誘導コイル51からのエコー信号に比較して極めて大きい。受信回路32は、入力側にダイオードからなるリミッター回路35を接続している。リミッター回路35は、検出信号発生回路31から受信回路32に入力される位置検出信号の信号レベルを制限して受信回路32に入力する。信号レベルの小さいエコー信号は、制限されることなく受信回路32に入力される。受信回路32は、位置検出信号とエコー信号の両方を増幅して出力する。受信回路32から出力されるエコー信号は、位置検出信号から所定のタイミング、たとえば数μsec〜数百μsec遅れた信号となる。エコー信号が位置検出信号から遅れる遅延時間は、一定の時間であるから、位置検出信号から所定の遅延時間後の信号をエコー信号とし、このエコー信号のレベルから位置検出コイル30に誘導コイル51が接近しているかどうかを判定する。
【0061】
受信回路32は、位置検出コイル30から入力されるエコー信号を増幅して出力するアンプである。受信回路32は、位置検出信号とエコー信号を出力する。識別回路33は、受信回路32から入力される位置検出信号とエコー信号から位置検出コイル30に誘導コイル51が接近してセットされるかどうかを判定する。識別回路33は、受信回路32から入力される信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ36を備えている。このA/Dコンバータ36から出力されるデジタル信号を演算してエコー信号を検出する。識別回路33は、位置検出信号から特定の遅延時間の後に入力される信号をエコー信号として検出し、さらにエコー信号のレベルから誘導コイル51が位置検出コイル30に接近しているかどうかを判定する。
【0062】
識別回路33は、複数のX軸検出コイル30Aを順番に受信回路32に接続するように切換回路34を制御して、誘導コイル51のX軸方向の位置を検出する。識別回路33は、各々のX軸検出コイル30Aを受信回路32に接続する毎に、識別回路33に接続しているX軸検出コイル30Aに位置検出信号を出力し、位置検出信号から特定の遅延時間の後に、エコー信号が検出されるかどうかで、このX軸検出コイル30Aに誘導コイル51が接近しているかどうかを判定する。識別回路33は、全てのX軸検出コイル30Aを受信回路32に接続して、各々のX軸検出コイル30Aに誘導コイル51が接近しているかどうかを判定する。誘導コイル51がいずれかのX軸検出コイル30Aに接近していると、このX軸検出コイル30Aを受信回路32に接続する状態でエコー信号が検出される。したがって、識別回路33は、エコー信号を検出できるX軸検出コイル30Aから誘導コイル51のX軸方向の位置を検出できる。誘導コイル51が複数のX軸検出コイル30Aに跨って接近する状態では、複数のX軸検出コイル30Aからエコー信号が検出される。この状態において、識別回路33はもっとも強いエコー信号、すなわちレベルの大きいエコー信号が検出されるX軸検出コイル30Aにもっとも接近していると判定する。識別回路33は、Y軸検出コイル30Bも同じように制御して、誘導コイル51のY軸方向の位置を検出する。
【0063】
識別回路33は、検出するX軸方向とY軸方向から移動機構13を制御して、電源コイル11を誘導コイル51に接近する位置に移動させる。識別回路33は、移動機構13のX軸サーボモータ22Aを制御して、電源コイル11を誘導コイル51のX軸方向の位置に移動させる。また、移動機構13のY軸サーボモータ22Bを制御して、電源コイル11を誘導コイル51のY軸方向の位置に移動させる。
【0064】
以上のようにして、第1の位置検出制御器14Aが電源コイル11を誘導コイル51に接近する位置に移動させる。以上の充電台は、第1の位置検出制御器14Aで電源コイル11を誘導コイル51に接近した後、電源コイル11から誘導コイル51に電力搬送して内蔵電池52を充電することができる。ただ、充電台は、さらに電源コイル11の位置を正確に制御して誘導コイル51に接近させた後、電力搬送して内蔵電池52を充電することができる。電源コイル11は、第2の位置検出制御器14Bでより正確に誘導コイル51に接近される。
【0065】
第2の位置検出制御器14Bは、交流電源12を自励式の発振回路として、自励式の発振回路の発振周波数から電源コイル11の位置を正確に検出して移動機構13を制御する。第2の位置検出制御器14Bは、移動機構13のX軸サーボモータ22AとY軸サーボモータ22Bを制御して、電源コイル11をX軸方向とY軸方向に移動させて、交流電源12の発振周波数を検出する。自励式の発振回路の発振周波数が変化する特性を図14に示している。この図は、電源コイル11と誘導コイル51の相対的な位置ずれに対する発振周波数の変化を示している。この図に示すように、自励式の発振回路の発振周波数は、電源コイル11が誘導コイル51に最も接近する位置でもっとも高くなり、相対位置がずれるにしたがって発振周波数が低くなる。したがって、第2の位置検出制御器14Bは、移動機構13のX軸サーボモータ22Aを制御して電源コイル11をX軸方向に移動し、発振周波数が最も高くなる位置で停止する。また、Y軸サーボモータ22Bも同じように制御して電源コイル11をY軸方向に移動して、発振周波数が最も高くなる位置で停止する。第2の位置検出制御器14Bは、以上のようにして、電源コイル11を誘導コイル51に最も接近する位置に移動できる。
【0066】
以上の充電台は、第1の位置検出制御器14Aで誘導コイル51の位置を粗検出した後、さらに第2の位置検出制御器14Bで微調整して電源コイル11を誘導コイル51に接近させるが、図15に示す以下の位置検出制御器44は、微調整することなく電源コイル11を誘導コイル51に接近できる。
【0067】
この位置検出制御器44は、図15に示すように、上面プレートの内面に固定している複数の位置検出コイル30と、この位置検出コイル30に位置検出信号を供給する検出信号発生回路31と、この検出信号発生回路31から位置検出コイル30に供給されるパルスに励起されて誘導コイル51から位置検出コイル30に出力されるエコー信号を受信する受信回路32と、この受信回路32が受信するエコー信号から電源コイル11の位置を判別する識別回路43とを備える。さらに、この位置検出制御器44は、識別回路43に、誘導コイル51の位置に対する各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベル、すなわち図13に示すように、各々の位置検出コイル30を位置検出信号で励起して所定の時間経過後に誘導されるエコー信号のレベルを記憶する記憶回路47を備えている。この位置検出制御器44は、各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベルを検出し、検出したエコー信号のレベルを記憶回路47に記憶しているエコー信号のレベルに比較して、誘導コイル51の位置を検出している。
【0068】
この位置検出制御器44は、以下のようにして、各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベルから、誘導コイル51の位置を求めている。図15に示す位置検出コイル30は、誘導コイル51のX軸方向の位置を検出する複数のX軸検出コイル30Aと、Y軸方向の位置を検出する複数のY軸検出コイル30Bとを備え、複数の位置検出コイル30を上面プレート21の内面に所定の間隔で固定している。各々のX軸検出コイル30Aは、Y軸方向に細長いループ状であって、各々のY軸検出コイル30Bは、X軸方向に細長いループ状としている。図16は、誘導コイル51をX軸方向に移動させる状態における、X軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを示しており、横軸が誘導コイル51のX軸方向の位置を示し、縦軸が各々のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを示している。この位置検出制御器44は、各々のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを検出することによって、誘導コイル51のX軸方向の位置を求めることができる。この図に示すように、誘導コイル51をX軸方向に移動すると、各々のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルは変化する。たとえば、誘導コイル51の中心が第1のX軸位置検出コイル30Aの中心にあるとき、図16の点Aで示すように、第1のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルが最も強くなる。また、誘導コイル51が第1のX軸位置検出コイル30Aと第3のX軸位置検出コイル30Aの中間にあるとき、図16の点Bで示すように、第1のX軸位置検出コイル30Aと第3のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルは同じとなる。すなわち、各々のX軸位置検出コイル30Aは、誘導コイル51が最も近くにあるときに誘導されるエコー信号のレベルが最も強くなり、誘導コイル51が離れるにしたがってエコー信号のレベルは小さくなる。したがって、どのX軸位置検出コイル30Aのエコー信号のレベルが最も強いかで、誘導コイル51がどのX軸位置検出コイル30Aに最も接近しているかを判定できる。また、ふたつのX軸位置検出コイル30Aにエコー信号が誘導されるとき、強いエコー信号を検出するX軸位置検出コイル30Aからどの方向にあるX軸位置検出コイル30Aにエコー信号が誘導されるかで、最もエコー信号の強いX軸位置検出コイル30Aからどの方向にずれて誘導コイル51があるかを判定でき、また、エコー信号のレベル比でふたつのX軸位置検出コイル30Aとの相対位置を判定できる。たとえば、ふたつのX軸位置検出コイル30Aのエコー信号のレベル比が1であると、誘導コイル51はふたつのX軸位置検出コイル30Aの中央に位置すると判定できる。
【0069】
識別回路43は、誘導コイル51のX軸方向の位置に対する、各々のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを記憶回路47に記憶している。誘導コイル51が置かれると、いずれかのX軸位置検出コイル30Aにエコー信号が誘導される。したがって、識別回路43は、X軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号で誘導コイル51が載せられたこと、すなわち電池内蔵機器50が充電台10に載せられたことを検出する。さらに、いずれかのX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを、記憶回路47に記憶しているレベルに比較して、誘導コイル51のX軸方向の位置を判別することができる。識別回路は、隣接するX軸位置検出コイルに誘導されるエコー信号のレベル比から誘導コイル51のX軸方向の位置を特定する関数を記憶回路に記憶して、この関数から誘導コイル51の位置を判別することもできる。この関数は、ふたつのX軸位置検出コイルの間に誘導コイル51を移動させて、各々のX軸位置検出コイルに誘導されるエコー信号のレベル比を検出して求められる。識別回路43は、ふたつのX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベル比を検出し、検出されるレベル比から、この関数に基づいてふたつのX軸位置検出コイル30Aの間における誘導コイル51のX軸方向の位置を演算して検出することができる。
【0070】
以上は、識別回路43が、X軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号から、誘導コイル51のX軸方向の位置を検出する方法を示すが、誘導コイル51のY軸方向の位置もX軸方向と同じようにして、Y軸位置検出コイル30Bに誘導されるエコー信号から検出できる。
【0071】
識別回路43が、誘導コイル51のX軸方向とY軸方向の位置を検出すると、この識別回路43からの位置信号でもって、位置検出制御器44は電源コイル11を誘導コイル51の位置に移動させる。
【0072】
なお、上記のような波形のエコー信号が検出されたとき、充電台の識別回路43は、電池内蔵機器50の誘導コイル51が搭載されたと認識、識別することができる。エコー信号の波形とは異なる波形が検出、識別されるときは、電池内蔵機器50の誘導コイル51以外(例えば、金属異物)のものが搭載されたとして、電力供給を停止することができる。また、エコー信号の波形が検出、識別されないときは、電池内蔵機器50の誘導コイル51が搭載されていないとして、電力供給をしない。
【0073】
充電台10は、位置検出制御器14、44で移動機構13を制御して電源コイル11を誘導コイル51に接近させた状態で、交流電源12で電源コイル11に交流電力を供給する。電源コイル11の交流電力は誘導コイル51に電力搬送されて、内蔵電池52の充電に使用される。電池内蔵機器50は、内蔵電池52が満充電されたことを検出すると、充電を停止して、満充電信号を充電台10に伝送する。電池内蔵機器50は、誘導コイル51に満充電信号を出力し、この満充電信号を誘導コイル51から電源コイル11に伝送して、充電台10に満充電の情報を伝送することができる。この電池内蔵機器50は、交流電源12と異なる周波数の交流信号を誘導コイル51に出力し、充電台10はこの交流信号を電源コイル11で受信して満充電を検出することができる。また、電池内蔵機器50が特定周波数の搬送波を満充電信号で変調する信号を誘導コイル51に出力し、充電台10が特定周波数の搬送波を受信し、この信号を復調して満充電信号を検出することもできる。さらに、電池内蔵機器は、満充電信号を充電台に無線伝送して、満充電の情報を伝送することもできる。この電池内蔵機器は、満充電信号を送信する送信器を内蔵しており、充電台は満充電信号を受信する受信器を内蔵する。図7に示す位置検出制御器14は、内蔵電池52の満充電を検出する満充電検出回路17を内蔵している。この満充電検出回路17は、電池内蔵機器50から出力される満充電信号を検出して、内蔵電池52の満充電を検出する。
【符号の説明】
【0074】
10…充電台
11…電源コイル 11A…内側コイル
11a…出し線
11B…外側コイル
11b…出し線
11X…中間接続点
12…交流電源
13…移動機構
14…位置検出制御器 14A…第1の位置検出制御器
14B…第2の位置検出制御器
16…リード線
17…満充電検出回路
18…回路基板
19…導電パターン
20…ケース
21…上面プレート
22…サーボモータ 22A…X軸サーボモータ
22B…Y軸サーボモータ
23…ネジ棒 23A…X軸ネジ棒
23B…Y軸ネジ棒
24…ナット材 24A…X軸ナット材
24B…Y軸ナット材
25…ベルト
26…ガイドロッド
27…ガイド部
30…位置検出コイル 30A…X軸検出コイル
30B…Y軸検出コイル
31…検出信号発生回路
32…受信回路
33…識別回路
34…切換回路
35…リミッター回路
36…A/Dコンバータ
43…識別回路
44…位置検出制御器
47…記憶回路
50…電池内蔵機器 50A…電池内蔵機器
50B…電池内蔵機器
51…誘導コイル 51A…誘導コイル
51B…誘導コイル
52…内蔵電池
53…整流回路
54…充電回路
55…直列コンデンサー
56…短絡回路 56A…短絡スイッチ
57…制御回路
58…電解コンデンサー
61…商用電源
62…スイッチング電源
63…スイッチング素子 63A…第1のスイッチング素子
63B…第2のスイッチング素子
64…切換回路
65…電力調整回路
66…情報伝送回路
67…情報伝送回路
72…交流電源
73…ペアースイッチング素子 73A…第1のペアースイッチング素子
73B…第2のペアースイッチング素子
73C…第3のペアースイッチング素子
74…切換回路
75…発振回路
76…反転回路
77…切換スイッチ
86…効率検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コイルに交流電源を接続してなる充電台と、この充電台にセットされて電源コイルに電磁結合される誘導コイルを内蔵する電池内蔵機器とからなり、
電源コイルから誘導コイルに電力搬送される電力でもって、電池内蔵機器の内蔵電池を充電するようにしてなる電池内蔵機器と充電台であって、
前記電源コイルが、平面コイルである内側コイルと、この内側コイルの外側に位置し、かつ内側コイルと同一平面に配置してなる平面コイルの外側コイルとからなり、
前記充電台の交流電源は、内側コイルに交流電力を供給して、外側コイルに交流電力を供給しない内側コイル励起状態と、内側コイルと外側コイルの両方に交流電力を供給する内外コイル励起状態とを切り換える切換回路を備えており、
充電台にセットされる電池内蔵機器によって、交流電源が内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えて、電池内蔵機器の誘導コイルに電力搬送するようにしてなる電池内蔵機器と充電台。
【請求項2】
前記内側コイルと外側コイルとがα巻きされた平面コイルで、内側コイルは平面コイルの内周に出し線を配置して、外側コイルは平面コイルの外周に出し線を配置している請求項1に記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項3】
前記充電台の交流電源が、電池内蔵機器の誘導コイルの外径によって内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えるようにしてなる請求項1又は2に記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項4】
前記充電台と電池内蔵機器が情報を伝送する情報伝送回路を備え、情報伝送回路でもって電池内蔵機器から充電台に誘導コイルの外径情報が伝送され、充電台の交流電源が、伝送される外径情報で内外コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えるようにしてなる請求項1ないし3のいずれかに記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項5】
前記充電台が、電源コイルから誘導コイルに電力搬送する電送効率を検出する効率検出回路を備え、前記交流電源が効率検出回路で検出される電送効率を最大とするように内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とに切り換えるようにしてなる請求項1ないし3のいずれかに記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項6】
前記内側コイルと外側コイルとが回路基板の表面に実装され、内側コイルの出し線が回路基板の導電パターンに接続してなる請求項1ないし5のいずれかに記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項7】
前記交流電源が、電源コイルに供給する電力を変更する電力調整回路を備え、この電力調整回路が、内外コイル励起状態における供給電力を、内側コイル励起状態における供給電力よりも大きくする請求項1ないし6のいずれかに記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項8】
前記充電台と電池内蔵機器が情報を伝送する情報伝送回路を備え、情報伝送回路でもって電池内蔵機器から充電台に必要電力情報が伝送されると共に、充電台の交流電源が、電源コイルに供給する電力を変更する電力調整回路を備えており、この電力調整回路が、伝送される必要電力情報で電源コイルに供給する電力を変更するようにしてなる請求項1ないし6のいずれかに記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項9】
前記電源コイルと誘導コイルの両方が平面コイルで、電池内蔵機器が充電台にセットされる状態で、誘導コイルと電源コイルとが互いに接近して対向する位置に配置されて、電源コイルから誘導コイルに電力搬送されるようにしてなる請求項1ないし8のいずれかに記載される電池内蔵機器と充電台。
【請求項10】
前記電源コイルと誘導コイルとが空芯の平面コイルである請求項1ないし9のいずれかに記載される電池内蔵機器と充電台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−259534(P2011−259534A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129487(P2010−129487)
【出願日】平成22年6月5日(2010.6.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】