説明

電池内部状態推定装置および電池内部状態推定方法

【課題】電池のシミュレーションモデル基づいてSOHを算出すること。
【解決手段】シミュレーションモデルに含まれる複数のパラメータを格納する格納手段(RAM10c)と、電池の端子電圧および放電電流を所定の周期で測定する測定手段(CPU10a)と、測定手段による測定結果に基づいて、パラメータに対して適応学習を実行する適応学習手段(CPU10a)と、電池の内部抵抗を実測する実測手段(I/F10d)と、実測手段によって得られた内部抵抗の実測値Rmeasと、適応学習手段によって得られたパラメータの値および/またはパラメータの補正値に基づいて電池の劣化状態を示すSOHを推定する推定手段(CPU10a)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池内部状態推定装置および電池内部状態推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インピーダンスに基づいて鉛蓄電池のSOH(State of Health)を推定する技術が開示されている。また、特許文献2には、鉛蓄電池のSOC(State of Charge)をニューラルネットワークによって推定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−78661号公報
【特許文献2】特表2007−518973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている技術では、インピーダンスのみからSOHを推定することから誤差が大きいという問題点がある。また、特許文献2に開示されている技術では、SOHを推定するための具体的な数式が開示されていないため、当該技術を用いてSOHを推定することができないという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、電池のシミュレーションモデルに基づいて、SOHを算出することが可能な電池内部状態推定装置および電池内部状態推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電池内部状態推定装置は、電池のシミュレーションモデルに基づいて当該電池の内部状態を推定する電池内部状態推定装置において、前記シミュレーションモデルに含まれる複数のパラメータを格納する格納手段と、前記電池の端子電圧および放電電流を所定の周期で測定する測定手段と、前記測定手段による測定結果に基づいて、前記パラメータに対して適応学習を実行する適応学習手段と、前記電池の内部抵抗を実測する実測手段と、前記実測手段によって得られた前記内部抵抗の実測値Rmeasと、前記適応学習手段によって得られた前記パラメータの値および/または前記パラメータの補正値に基づいて前記電池の劣化状態を示すSOH(State of Health)を推定する推定手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、電池のシミュレーションモデルに基づいて、SOHを算出することが可能になる。
【0007】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記推定手段は、前記パラメータの値として、前記シミュレーションモデルの内部抵抗の経年変化を示すパラメータηの値に基づいて劣化状態を推定することを特徴とする。
このような構成によれば、実測された内部抵抗の値だけを用いる場合に比較して、SOHを精度良く求めることができる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記推定手段は、前記パラメータの補正値として、前記シミュレーションモデルの内部抵抗を示すパラメータR0に対して前記内部抵抗の経年変化を示すパラメータηを乗算し、得られた値を負荷に流れる平均電流Iavrgおよび安定開回路電圧に基づいて補正した値に基づいて劣化状態を推定することを特徴とする。
このような構成によれば、パラメータηだけを用いる場合に比較して、SOHを更に精度良く求めることができる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記推定手段は、前記パラメータの補正値として、前記シミュレーションモデルの内部抵抗を示すパラメータR0に対して前記内部抵抗の経年変化を示すパラメータηを乗算し、得られた値を負荷に流れる平均電流Iavrgおよび安定開回路電圧に基づいて補正した値に対して、前記電池の充電状態を示すSOC(State of Charge)、前記負荷に電流が流れている際の前記電池の平均電圧Vavrg、および、前記負荷に電流が流れる前の状態における前記電池の電圧Vstartに基づいて更に補正した値に基づいて劣化状態を推定することを特徴とする。
このような構成によれば、平均電流Iavrgおよび安定開回路電圧によって補正する場合に比較して、SOHを更に精度良く求めることができる。
【0010】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記推定手段は、前記内部抵抗の実測値Rmeasと、前記パラメータの値および前記パラメータの補正値のそれぞれに対して所定の定数を乗算し、得られた結果を加算して得られる値に基づいて前記電池の劣化状態を推定することを特徴とする。
このような構成によれば、定数の値を調整することにより、どのような種類の電池でもSOHを正確に推定することができる。
【0011】
また、本発明は、電池のシミュレーションモデルに基づいて当該電池の内部状態を推定する電池内部状態推定方法において、前記シミュレーションモデルに含まれる複数のパラメータをメモリに格納する格納ステップと、前記電池の端子電圧および放電電流を所定の周期で測定する測定ステップと、前記測定ステップにおける測定結果に基づいて、前記パラメータに対して適応学習を実行する適応学習ステップと、前記電池の内部抵抗を実測する実測ステップと、前記実測ステップにおいて得られた前記内部抵抗の実測値Rmeasと、前記適応学習ステップにおいて得られた前記パラメータの値および/または前記パラメータの補正値に基づいて前記電池の劣化状態を示すSOH(State of Health)を推定する推定ステップと、を有することを特徴とする。
このような方法によれば、電池のシミュレーションモデルに基づいて、SOHを算出することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電池のシミュレーションモデルに基づいて、SOHを算出することが可能な電池内部状態推定装置および電池内部状態推定方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電池内部状態推定装置の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す制御部の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態において実行される処理アルゴリズムを説明するための図である。
【図4】鉛蓄電池のシミュレーションモデルの一例である。
【図5】図4に示すシミュレーションモデルのインピーダンス特性を示す図である。
【図6】図4に示すCPEの等価回路を示す図である。
【図7】図1に示す第1実施形態において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】第1実施形態による推定SOHと実測SOHとの分布を示す図である。
【図9】第1実施形態によるSOH推定誤差と頻度との関係を示す図である。
【図10】(A)は第1実施形態による推定誤差と相対推定誤差の関係を示し、(B)は補正R二乗値を示す。
【図11】従来例による推定SOHと実測SOHとの分布を示す図である。
【図12】従来例によるSOH推定誤差と頻度との関係を示す図である。
【図13】(A)は従来例による推定誤差と相対推定誤差の関係を示し、(B)は補正R二乗値を示す。
【図14】第2実施形態による推定SOHと実測SOHとの分布を示す図である。
【図15】第2実施形態によるSOH推定誤差と頻度との関係を示す図である。
【図16】(A)は第2実施形態による推定誤差と相対推定誤差の関係を示し、(B)は補正R二乗値を示す。
【図17】第3実施形態による推定SOHと実測SOHとの分布を示す図である。
【図18】第3実施形態によるSOH推定誤差と頻度との関係を示す図である。
【図19】(A)は第3実施形態による推定誤差と相対推定誤差の関係を示し、(B)は補正R二乗値を示す。
【図20】第4実施形態による推定SOHと実測SOHとの分布を示す図である。
【図21】第4実施形態によるSOH推定誤差と頻度との関係を示す図である。
【図22】(A)は第4実施形態による推定誤差と相対推定誤差の関係を示し、(B)は補正R二乗値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(A)第1実施形態の構成の説明
図1は本発明の実施形態に係る電池内部状態推定装置の構成例を示す図である。この図1に示すように、本実施形態の電池内部状態推定装置1は、制御部10、電圧検出部11(請求項中の「実測手段」の一部および「観測手段」の一部に対応)、電流検出部12(請求項中の「実測手段」の一部および「観測手段」の一部に対応)、および、放電回路14を主要な構成要素としており、鉛蓄電池13(請求項中の「電池」に対応)の内部状態を推定する。この例では、鉛蓄電池13には、電流検出部12を介してオルタネータ15、セルモータ16、および、負荷17が接続されている。なお、本実施形態では、電池内部状態推定装置1が、例えば、自動車等の車両に搭載されている場合を例に挙げて説明する。これ以外の用途に用いてもよいことはいうまでもない。
【0016】
制御部10は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a(請求項中の「推定手段」および「適応学習手段」に対応)、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c(請求項中の「格納手段」に対応)、および、I/F(Interface)10d(請求項中の「実測手段」の一部および「観測手段」の一部に対応)を主要な構成要素としている。CPU10aは、ROM10bに格納されているプログラム10baに基づいて装置の各部を制御する。ROM10bは、半導体メモリによって構成され、プログラム10baその他の情報を格納している。RAM10cは、半導体メモリによって構成され、パラメータ10caその他の情報を書き換え可能に格納する。I/F10dは、電圧検出部11および電流検出部12からの検出信号をデジタル信号に変換して入力するとともに、制御信号を供給して放電回路14を制御する。
【0017】
電圧検出部11は、鉛蓄電池13の端子電圧を検出して制御部10に通知する。電流検出部12は、鉛蓄電池13に流れる電流を検出して制御部10に通知する。放電回路14は、例えば、半導体スイッチを内蔵しており、制御部10の制御に応じて半導体スイッチをオンまたはオフすることにより、鉛蓄電池13を放電させる。オルタネータ15は、例えば、レシプロエンジン等の原動機(不図示)によって駆動され、直流電力を生成して鉛蓄電池13を充電する。セルモータ16は、例えば、直流モータによって構成され、鉛蓄電池13から供給される直流電力によって回転し、原動機を始動する。負荷17は、例えば、自動車のヘッドライト、ワイパー、方向指示ライト、ナビゲーション装置その他の装置によって構成されている。
【0018】
図3は、プログラム10baが実行されることにより実現される処理アルゴリズムの概略を説明するための図である。この図に示すように、本実施形態では、複数のパラメータを有する鉛蓄電池13のシミュレーションモデル30を設定する。そして、対象となる鉛蓄電池13を観測して観測値を得るとともに、シミュレーションモデル30に基づいて観測値に対応する計算値を得る。これらの観測値と計算値の偏差を計算し、拡張カルマンフィルタ31による適応学習によって最適なパラメータを推定する。そして、推定されたパラメータにより、シミュレーションモデル30を更新することにより、シミュレーションモデル30を最適化することができる。SOH計算モジュール32は、このようにして最適学習されたパラメータ(η,R0)と、観測値(Iavrg,Vavrg,Vstart,Rmeas)と、適応学習とは別途計算した値(SOC(State of Charge;充電状態),安定開回路電圧(安定OCV(Open Circuit Voltage))を、後述する所定の数式に代入することで、SOHを算出する。これにより、高い精度でSOHを算出することができる。「安定開回路電圧(安定OCV)」は、電気化学的に平衡状態における開回路電圧であり、以下では、これを単に「OCV」と記載する。なお、「安定開回路電圧」は、電気化学的に完全に平衡状態である必要はなく、平衡に近い状態を含めるようにしてもよい。
【0019】
なお、本明細書中において「適応学習」とは、パラメータを有する柔軟で一般的なモデルを用意し、学習によって統計的・適応的にパラメータを最適化する手法を言う。以下の実施形態では、適応学習の一例として拡張カルマンフィルタを用いているが、本発明はこのような場合にのみ限定されるものではなく、例えば、ニューラルネットワークモデルを用いた適応学習や、遺伝的アルゴリズムモデルを用いた適応学習等を用いることも可能である。すなわち、学習対象のモデルを作成し、観測により得られた結果によって、モデルを構成するパラメータを最適化する手法であれば、どのような手法でも使用することができる。
【0020】
図4は、鉛蓄電池13のシミュレーションモデル30(この例では電気的な等価回路)の一例を示す図である。この例では、シミュレーションモデル30は、抵抗R0、インダクタンスL、インピーダンスZ1,Z2、および、電圧源V0を主要な構成要素としている。
【0021】
ここで、抵抗R0は、鉛蓄電池13の電極の導電抵抗および電解液の液抵抗を主要な要素とする内部抵抗である。インダクタンスLは、鉛蓄電池13の電極等に流れる電流によって生じる電界に起因する誘導成分である。なお、このインダクタンスLは、鉛蓄電池13に接続されるケーブルのインダクタンス値に比較すると非常に小さい値であるので必要に応じて無視することができる。インピーダンスZ1は、鉛蓄電池13の陽極とこれに接する電解液とに対応する等価回路であり、基本的にはバトラー・ボルマー(Butler-Volmer)の式に基づく特性を有し、コンスタントフェーズエレメントCPE1と抵抗R1との並列接続回路として表すことができる。なお、インピーダンスZ1の詳細については後述する。インピーダンスZ2は、鉛蓄電池13の陰極とこれに接する電解液とに対応する等価回路であり、前述のバトラー・ボルマーの式に基づく特性を有し、コンスタントフェーズエレメントCPE2と抵抗R2との並列接続回路として表すことができる。なお、インピーダンスZ2の詳細についても後述する。電圧源V0は、内部インピーダンスが0の理想的な電圧源であり、陰極付近の電解液濃度Cおよび陽極付近の電解液濃度Cをパラメータとして電圧が表される電圧源である。
【0022】
図5は、図4に示す等価回路のインピーダンス特性を示す図である。この図5において縦軸はインピーダンスの虚数成分(Im(Z))を示し、横軸はインピーダンスの実数成分(Re(Z))を示している。また、図中の太線は等価回路のインピーダンス特性を示している。この例では、周波数が増加すると等価回路のインピーダンスは、太線上を右から左に向かって移動し、まず、Z1によって示される半円に漸近するように軌跡を描いて移動し、続いて、Z2によって示される半円に漸近するように軌跡を描いて移動する。そして、高い周波数では実数成分がR0の直線に漸近し、インダクタンスLに起因して、周波数の増加に伴ってインピーダンスが増加していく特性を有している。
【0023】
図6は、本実施形態において使用される、インピーダンスZ1,Z2の等価回路を示している。この例では、インピーダンスZ1としては、抵抗Ra1,Ra2,Ra3とコンデンサCa1,Ca2,Ca3がそれぞれ並列接続されたRC並列ユニットが複数直列接続されて形成されている。具体的には、抵抗Ra1とコンデンサCa1が並列接続されて1つのRC並列ユニットを構成し、同様に、抵抗Ra2とコンデンサCa2および抵抗Ra3とコンデンサCa3が並列接続されてRC並列ユニットをそれぞれ構成する。また、インピーダンスZ2としては、抵抗Rb1,Rb2,Rb3とコンデンサCb1,Cb2,Cb3が並列接続されたRC並列ユニットが複数直列接続されて形成されている。
【0024】
(B)第1実施形態の動作の説明
つぎに、本実施形態の動作を説明する。図7は、図1に示す実施形態において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0025】
ステップS10では、CPU10aは、鉛蓄電池13から放電電流が余り流れていない状態において、内部抵抗実測値Rmeasを測定する。具体的には、CPU10aは、例えば、車両に乗り込む際に、ドアのロックが解除されたことをトリガとして、放電回路14を駆動し、所定の周期(例えば、数十Hz周期)で鉛蓄電池13を放電させ、そのときの電圧値と電流値に基づいて鉛蓄電池13の内部抵抗Rmeasを実測する。なお、内部抵抗RmeasをSOCおよび鉛蓄電池温度Tに基づいて基準状態に補正するようにしてもよい。すなわち、内部抵抗Rmeasは、SOCおよび鉛蓄電池温度Tに依存性があるので、例えば、式「Rmeas’=α・Rmeas+β・SOC+γ・T+δ」に基づいて実測した内部抵抗Rmeasを補正するようにしてもよい。なお、α,β,γ,δは、実測等によって求められる定数である。もちろん、上に示した以外の式に基づいて補正するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0026】
ステップS11では、CPU10aは、セルモータ16が起動されたか否かを判定し、セルモータ16が起動された場合(ステップS11:YES)には、ステップS12に進み、それ以外の場合(ステップS11:NO)には、同様の処理を繰り返す。例えば、原動機を始動するために、イグニッションキーが操作された場合にはステップS12に進む。
【0027】
ステップS12では、CPU10aは、セルモータ16が回転中(最も大きな負荷電流が流れている最中)における鉛蓄電池13の観測値を取得する。具体的には、CPU10aは、電圧検出部11から出力される鉛蓄電池13の端子電圧を示す情報と、電流検出部12から出力される放電電流を示す情報と取得し、観測値としてRAM10cに逐次格納する。なお、ステップS12における観測の取得は、所定の周期(例えば、10ms周期)で実行され、このようにして取得された観測値は、SOHの計算が完了するまでRAM10cに保持される。
【0028】
ステップS13では、CPU10aは、シミュレーションモデル30を構成するパラメータに対して適応学習を実行する。本実施形態では、拡張カルマンフィルタによって適応学習が実行される。具体的には、図4に示す抵抗R0と、抵抗R0の経時変化を示すηとを少なくともパラメータとして有する状態ベクトルを設定する。そして、前回(=n−1)(nは任意の自然数)における状態ベクトルに基づいて、今回(=n)の状態ベクトルを予測する。さらに、今回の観測値に基づいて状態ベクトルを更新してより正確な状態を推定する。なお、状態ベクトルとしては、これ以外にも、例えば、図6に示すZ1,Z2の等価回路を構成する抵抗およびコンデンサの素子値や、電圧源V0およびC,Cをパラメータとして選択することができる。もちろん、これ以外のパラメータを用いるようにしてもよい。
【0029】
ステップS14では、CPU10aは、適応学習処理を終了するか否かを判定し、終了する場合(ステップS14:YES)にはステップS15に進み、それ以外の場合(ステップS14:NO)には、ステップS12に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。例えば、セルモータ16の回転が停止された場合(または、原動機が始動された場合)にはステップS15に進む。
【0030】
ステップS15では、CPU10aは、ステップS12の適応学習によって得られたパラメータR0およびパラメータηを取得する。
【0031】
ステップS16では、CPU10aは、OCVおよびSOCを算出する。具体的には、鉛蓄電池13の起動直前に測定された鉛蓄電池13の端子電圧V0、または、鉛蓄電池13の充放電状態から推定した鉛蓄電池13の安定開回路電圧をOCVとする。また、SOCについては、OCVと電流積算値を組み合わせて求める方法や、動作環境中における電流電圧特性(I/V)を用いて求める方法があり、いずれの方法を用いてもよい。なお、電圧検出部11は、内部抵抗が非常に高く、測定時に電流が殆ど流れないので、鉛蓄電池13の起動直前に測定した電圧は、抵抗R0およびインピーダンスZ1,Z2の影響を殆ど受けないため、電圧源の電圧V0を測定できる。
【0032】
ステップS17では、CPU10aは、Iavrg,Vavrg,Vstartを算出する。ここで、IavrgおよびVavrgはセルモータ16による原動機始動時において、鉛蓄電池13から負荷(主にセルモータ16)に流れる平均電流および鉛蓄電池13の平均電圧であり、Vstartはセルモータ16による原動機始動直前の鉛蓄電池13の電圧である。なお、Vstartについてはセルモータ16を回転させる直前の電圧を電圧検出部11によって測定すればよい。また、IavrgおよびVavrgについては、セルモータ16の回転中において取得されてRAM10cに格納されている電流値および電圧値の平均値をそれぞれ算出すればよい。
【0033】
ステップS18では、CPU10aは、Rcorrを算出するとともに、算出されたRcorrに基づいてRcorr’を算出する。ここで、Rcorrは、図4に示す抵抗R0、η、および、g()を用いて以下の式(2)によって定義される。なお、ηは前述のように抵抗R0の経時的変化を示すパラメータであり、鉛蓄電池13が新しい場合には1に近い値を有し、時間の経過によって劣化した場合には1よりも大きい値を有する。また、g()は、OCVとIavrgを変数とする所定の関数を示している。なお、当該g()は、例えば、以下の式(1)で表すことができる。
g(OCV,Iavrg)=1/(A1+A2・OCV)/(A3+A4・Iavrg) ・・・(1)
【0034】
ここで、A1〜A4は予め定められた定数(例えば、鉛蓄電池13の種類に応じて定まる定数であって実測により求まる定数)であり、例えば、ROM10bに予め格納されているものを読み出して使用することができる。また、Rcorrは、以下の式(2)で表される。
corr=η・R0・g(OCV,Iavrg) ・・・(2)
【0035】
つぎに、CPU10aは、Rcorrの補正値であるRcorr’を以下の式(3)に基づいて算出する。
corr’=Rcorr+f(SOC,OCV,Iavrg,Vavrg,Vstart) ・・・(3)
【0036】
ここで、f(SOC,OCV,Iavrg,Vavrg,Vstart)は、例えば、各パラメータSOC,OCV,Iavrg,Vavrg,Vstartと所定の定数との一次式で表される関数である。具体的には、例えば、以下の式(4)で表すことができる。なお、B1〜B5は予め定められた定数であり、例えば、ROM10bに予め格納されているものを読み出して使用することができる。具体例として、鉛蓄電池13の20時間率(0.05C)定格容量が60Ahである場合、B1〜B5としては、−2.599388×10−6,−8.027024×10−4,1.388216×10−5,−4.602935×10−4,−4.872664×10−4をそれぞれ用いることができる。
f(SOC,OCV,Iavrg,Vavrg,Vstart)=B1・SOC+B2・OCV+B3・Iavrg+B4・Vavrg+B5・Vstart ・・・(4)
【0037】
ステップS19では、CPU10aは、以下の式に基づいてSOHを算出し、処理を終了する。
SOH=C1・η+C2・Rcorr’+C3・Rmeas+C4 ・・・(5)
なお、C1,C2,C3,C4は事前に求めた定数(例えば、鉛蓄電池13の種類に応じて定まる定数であって実測により求まる定数)であり、例えば、ROM10bに予め格納されているものを読み出して使用することができる。具体例として、鉛蓄電池13の20時間率(0.05C)定格容量が60Ahである場合、C1〜C4としては、92.71332,−28252.8,−4879.45,−596.149をそれぞれ用いることができる。
【0038】
以上の処理によれば、セルモータ16の起動時において、シミュレーションモデル30に対して適応学習を行ってパラメータを最適化するとともに、当該パラメータと実測値に基づいてSOHを前述した式(5)に基づいて算出することができる。このようにして算出されたSOHは、非常に精度が高いことを、実験結果に基づいて以下に説明する。
【0039】
図8〜10は、前述した第1実施形態による実測結果を示している。一方、図11〜13は、従来技術によってSOHを推定した場合の実測結果を示している。ここで、従来技術としては、以下の式によってSOHを推定するものとする。
SOH=C1・Rmeas+C2 ・・・(6)
ここで、Rmeasは、鉛蓄電池の内部抵抗の実測値であり、C1およびC2は、事前に求めた定数である。具体例として、鉛蓄電池13の20時間率(0.05C)定格容量が60Ahである場合、C1,C2としては、−7026.74106,117.2042を用いることができる。
【0040】
図8は第1実施形態における推定SOH値と実測SOHとのバラツキを示す図であり、図11は従来例における同様のバラツキを示す図である。これらの図の比較から、従来例に比較すると第1実施形態の方が、各サンプルが実測値=推定値を示す直線(原点を起点とする45度の直線)上に集中して分布していることからバラツキが少ないことが分かる。
【0041】
図9は第1実施形態におけるSOH推定誤差の分布を示し、図12は従来例における同様の分布を示している。なお、これらの図において横軸はSOHの誤差の範囲を示し、縦軸は各誤差の範囲に属するサンプルの頻度を示している。これらの図の比較から、従来例では100〜110%の範囲に属するサンプル群が存在しており、全体としてバラツキが大きくなっているが、第1実施形態ではこのようなサンプル群が存在せず、バラツキが小さい。
【0042】
図10(A)は、第1実施形態による全サンプルに対する推定誤差と相対推定誤差のそれぞれの項目を示す表であり、図13(A)は従来技術による同様の測定結果を示す表である。ここで、「推定誤差」は、測定値と推定値のAhの差分値を示している。また、「相対推定誤差」は、測定値と推定値のAhの差分値を測定値に対する百分率で示したものである。図10(A)と図13(A)の比較から明らかなように、従来技術では全81のサンプルの推定誤差における「最大誤差」、「最小誤差」、「平均誤差」、および、「標準偏差」がそれぞれ「19.1」、「−14.8」、「0.2」、および、「7.8」であったものが第1実施形態では「12.1」、「−12.9」、「−0.3」、および、「5.0」に改善されている。また、相対推定誤差における「最大誤差」、「最小誤差」、「平均誤差」、および、「標準偏差」がそれぞれ「103.7」、「−39.4」、「5.9」、および、「30.6」であったものが「41.6」、「−34.2」、「1.5」、および、「14.3」に改善されている。
【0043】
図10(B)および図13(B)は、自由度修正済決定係数と呼ばれる「補正R二乗値」を示しており、一般的には0.8程度であれば十分な推定精度が得られていると考えられる指標値である。第1実施形態の場合では図10(B)に示すように補正R二乗値は、0.8063となっており推定精度が高いことが示されている。一方、従来技術の場合では図13(B)に示すように補正R二乗値は、0.59972となっており推定精度が本実施形態に比較して低いことが示されている。以上の比較から、第1実施形態の推定精度が高いことが理解できる。
【0044】
(C)第2実施形態の説明
第2実施形態では、第1実施形態と比較すると、SOHを算出するための式が異なっている。その他の構成は、第1実施形態の場合と同様である。より詳細には、第1実施形態では、式(5)によってSOHを算出するようにしたが、第2実施形態では、以下の式(7)に基づいてSOHを算出する。
SOH=C1・η+C2・Rmeas+C3 ・・・(7)
ここで、C1,C2,C3は予め定められた定数(例えば、鉛蓄電池13の種類に応じて定まる定数であって実測により求まる定数)であり、ηは抵抗R0の経時変化を示すパラメータであり、Rmeasは内部抵抗の実測値である。なお、ηとRmeasは前述したものと同じパラメータであり、C1,C2,C3は前述の定数とは別途計算されたものである。具体例として、鉛蓄電池13の20時間率(0.05C)定格容量が60Ahである場合、C1,C2,C3としては、−8.44014,−6576.13129,124.95939を用いることができる。
【0045】
図14〜16は、第2実施形態による実測結果を示している。図14および図15は、それぞれ図11および図12に対応しており、推定SOHおよび実測SOHの対応関係と、SOH推定誤差の分布を示している。また、図16(A)は推定誤差と相対推定誤差を示し、図16(B)は補正R二乗値を示している。図14,15と図11,12の比較から、第2実施形態では従来例と比較すると、特性が改善されていることが分かる。また、図16と図13の比較から、推定誤差、相対推定誤差、および、補正R二乗値のそれぞれについて従来技術よりも第2実施形態の方が改善されている。以上から、第2実施形態の推定精度が高いことが理解できる。
【0046】
(D)第3実施形態の説明
第3実施形態では、第1実施形態と比較すると、SOHを算出するための式が異なっている。その他の構成は、第1実施形態の場合と同様である。より詳細には、第1実施形態では、式(5)によってSOHを算出するようにしたが、第3実施形態では、以下の式(8)に基づいてSOHを算出する。
SOH=C1・Rcorr+C2・Rmeas+C3 ・・・(8)
ここで、C1,C2,C3は予め定められた定数(例えば、鉛蓄電池13の種類に応じて定まる定数であって実測により求まる定数)であり、Rcorrは式(2)によって表され、Rmeasは内部抵抗の実測値である。なお、RcorrとRmeasは前述したものと同じパラメータであり、C1,C2,C3は前述の定数とは別途計算されたものである。具体例として、鉛蓄電池13の20時間率(0.05C)定格容量が60Ahである場合、C1,C2,C3としては、−11150.18291,−3748.03312,142.47629を用いることができる。
【0047】
図17〜19は、第3実施形態による実測結果を示している。図17および図18は、それぞれ図11および図12に対応しており、推定SOHおよび実測SOHの対応関係と、SOH推定誤差の分布を示している。また、図19(A)は推定誤差と相対推定誤差を示し、図19(B)は補正R二乗値を示している。図17,18と図11,12の比較から、第3実施形態では従来例と比較すると、特性が改善されていることが分かる。また、図19と図13との比較から、推定誤差、相対推定誤差、および、補正R二乗値のそれぞれについて従来技術よりも第3実施形態の方が改善されている。また、補正R二乗値は0.77955であり、第2実施形態よりも改善されている。以上から、第3実施形態の推定精度が高いことが理解できる。
【0048】
(E)第4実施形態の説明
第4実施形態では、第1実施形態と比較すると、SOHを算出するための式が異なっている。その他の構成は、第1実施形態の場合と同様である。より詳細には、第1実施形態では、式(5)によってSOHを算出するようにしたが、第4実施形態では、以下の式(9)に基づいてSOHを算出する。
SOH=C1・η+C2・Rcorr+C3・Rmeas+C4 ・・・(9)
ここで、C1,C2,C3,C4は予め定められた定数(例えば、鉛蓄電池13の種類に応じて定まる定数であって実測により求まる定数)であり、ηは抵抗R0の経時変化を示すパラメータであり、Rcorrは式(2)によって求められ、Rmeasは内部抵抗の実測値である。なお、η、Rcorr、および、Rmeasは前述したものと同じパラメータであり、C1,C2,C3,C4は前述の定数とは別途計算されたものである。具体例として、鉛蓄電池13の20時間率(0.05C)定格容量が60Ahである場合、C1,C2,C3,C4としては、6.89056,−12602.7054,−3688.7988,139.4371を用いることができる。
【0049】
図20〜22は、第4実施形態による実測結果を示している。図20および図21は、それぞれ図11および図12に対応しており、推定SOHおよび実測SOHの対応関係と、SOH推定誤差の分布を示している。また、図22(A)は推定誤差と相対推定誤差を示し、図22(B)は補正R二乗値を示している。図20,21と図11,12の比較から、第4実施形態では従来例と比較すると、特性が改善されていることが分かる。また、図22と図13との比較から、推定誤差、相対推定誤差、および、補正R二乗値のそれぞれについて従来技術よりも第4実施形態の方が改善されている。また、補正R二乗値は0.78603であり、第3実施形態よりも改善されている。以上から、第4実施形態の推定精度が高いことが理解できる。
【0050】
以上の第2〜第4実施形態に説明したように、SOHを算出する式については、内部抵抗Rmeasの実測値と、ηおよびRcorrの双方またはいずれか一方を用いて計算することができ、このようにして得られたSOHは内部抵抗Rmeasのみに基づいて計算される従来のSOHよりも精度が高くなる。
【0051】
(F)変形実施形態
なお、上記の各実施形態は、一例であって、これ以外にも各種の変形実施態様が存在する。例えば、以上の実施形態では、拡張カルマンフィルタを用いて適応学習を行うようにしたが、これ以外の方法を用いるようにしてもよい。具体的には、ニューラルネットワークモデルを用いて適応学習を行うようにしたり、遺伝的アルゴリズムモデルを用いて適応学習を行うようにしたりしてもよい。
【0052】
また、以上の実施形態では、インピーダンスZ1,Z2の2つの存在を想定したが、例えば、いずれか一方のみが存在すると想定するようにしてもよい。また、インピーダンスZ1,Z2はそれぞれ3つのRC並列ユニットによって構成される構成としているが、インピーダンスZ1,Z2のそれぞれでRC並列ユニットの個数が異なってもよい。また、3つではなく、1つまたは2つであったり、4つ以上であったりしてもよい。
【0053】
また、以上の実施形態では、セルモータ16に流れる電流に基づいて適応学習を実行するようにしたが、これ以外の負荷に流れる電流に基づいて適応学習を実行するようにしてもよい。例えば、車両を駆動するためのモータ(例えば、ハイブリッド車のモータ)が存在する場合には、当該モータに流れる電流に基づいて適応学習を行うようにしてもよい。また、例えば、一般家庭で使用される太陽光発電の蓄電池の場合には、家庭内に使用される様々な負荷(例えば、起動時に大きな電流が流れる空調装置等)に流れる電流を用いることができる。
【0054】
また、以上の各実施形態では、定数C1〜C4、定数A1〜A4、および、定数B1〜B5ついては、例えば、鉛蓄電池13の種類や使用環境に応じて決まる定数であり、実測によって求めることができる。具体的には、SOHが既知である複数の鉛蓄電池のサンプルについて最小2乗法を用いることにより求めることができる。
【0055】
また、以上の各実施形態では、定数C1〜C4、定数A1〜A4、および、定数B1〜B5ついて具体的な値を示したが、これらの値は一例であってこのような場合のみに限定されるものではない。また、定数C1〜C4、定数A1〜A4、および、定数B1〜B5ついては、固定値であることを前提として説明したが、例えば、書き換え可能な不揮発性メモリに記憶することにより、後発的に必要に応じて書き換えることが可能としてもよい。
【0056】
また、以上の各実施形態では、適応学習のパラメータの使用数が異なっているが、使用するパラメータが多いほどSOHの推定精度は高くなる一方で計算が複雑になる。このため、必要とされる計算精度および利用可能なリソースの処理能力(制御部10の処理能力)に応じて、第1〜第4の実施形態から所望の形態を選択して使用するようにすればよい。
【0057】
また、以上の実施形態では、鉛蓄電池を例として説明を行ったが、これ以外の電池(例えば、ニッケルカドミウム電池等)についても本発明を適用することが可能である。なお、その場合には、電池の種類に応じてシミュレーションモデル30を変更するようにすればよい。
【0058】
また、以上の実施形態では、制御部10は、CPU、ROM、RAM等から構成されるようにしたが、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等によって構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 電池内部状態推測装置
10 制御部
10a CPU(推定手段、適応学習手段)
10b ROM
10c RAM(格納手段)
10d I/F(実測手段の一部、観測手段の一部)
11 電圧検出部(実測手段の一部、観測手段の一部)
12 電流検出部(実測手段の一部、観測手段の一部)
13 鉛蓄電池(電池)
14 放電回路
15 オルタネータ
16 セルモータ(電動機)
17 負荷
30 シミュレーションモデル
31 拡張カルマンフィルタ
R0 内部抵抗
Z1,Z2 インピーダンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のシミュレーションモデルに基づいて当該電池の内部状態を推定する電池内部状態推定装置において、
前記シミュレーションモデルに含まれる複数のパラメータを格納する格納手段と、
前記電池の端子電圧および放電電流を所定の周期で測定する測定手段と、
前記測定手段による測定結果に基づいて、前記パラメータに対して適応学習を実行する適応学習手段と、
前記電池の内部抵抗を実測する実測手段と、
前記実測手段によって得られた前記内部抵抗の実測値Rmeasと、前記適応学習手段によって得られた前記パラメータの値および/または前記パラメータの補正値に基づいて前記電池の劣化状態を示すSOH(State of Health)を推定する推定手段と、
を有することを特徴とする電池内部状態推定装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記パラメータの値として、前記シミュレーションモデルの内部抵抗の経年変化を示すパラメータηの値に基づいて劣化状態を推定することを特徴とする請求項1に記載の電池内部状態推定装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記パラメータの補正値として、前記シミュレーションモデルの内部抵抗を示すパラメータR0に対して前記内部抵抗の経年変化を示すパラメータηを乗算し、得られた値を負荷に流れる平均電流Iavrgおよび安定開回路電圧に基づいて補正した値に基づいて劣化状態を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の電池内部状態推定装置。
【請求項4】
前記推定手段は、前記パラメータの補正値として、前記シミュレーションモデルの内部抵抗を示すパラメータR0に対して前記内部抵抗の経年変化を示すパラメータηを乗算し、得られた値を負荷に流れる平均電流Iavrgおよび安定開回路電圧に基づいて補正した値に対して、前記電池の充電状態を示すSOC(State of Charge)、前記負荷に電流が流れている際の前記電池の平均電圧Vavrg、および、前記負荷に電流が流れる前の状態における前記電池の電圧Vstartに基づいて更に補正した値に基づいて劣化状態を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の電池内部状態推定装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記内部抵抗の実測値Rmeasと、前記パラメータおよび前記パラメータの値の補正値のそれぞれに対して所定の定数を乗算し、得られた結果を加算して得られる値に基づいて前記電池の劣化状態を推定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池内部状態推定装置。
【請求項6】
電池のシミュレーションモデルに基づいて当該電池の内部状態を推定する電池内部状態推定方法において、
前記シミュレーションモデルに含まれる複数のパラメータをメモリに格納する格納ステップと、
前記電池の端子電圧および放電電流を所定の周期で測定する測定ステップと、
前記測定ステップにおける測定結果に基づいて、前記パラメータに対して適応学習を実行する適応学習ステップと、
前記電池の内部抵抗を実測する実測ステップと、
前記実測ステップにおいて得られた前記内部抵抗の実測値Rmeasと、前記適応学習ステップにおいて得られた前記パラメータの値および/または前記パラメータの補正値に基づいて前記電池の劣化状態を示すSOH(State of Health)を推定する推定ステップと、
を有することを特徴とする電池内部状態推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−214843(P2011−214843A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80303(P2010−80303)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【特許番号】特許第4689756号(P4689756)
【特許公報発行日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】