説明

電池収納ケース

【課題】短絡防止部材の紛失を防止することができ、短絡防止部材によって放電端子の短絡を防止することができる電池収納ケースを提供する。
【解決手段】電池収納ケース100は、一面が開放面となっており、電池を収納するケース本体1と、ケース本体1に収納された電池からの電力を電子機器に供給するための放電端子3を有し、開放面を覆う蓋2とを有する。端子カバー4は、蓋2に取り付けられ、放電端子3を露出させる第1の状態と、放電端子3を覆う第2の状態とを選択的に切り替えられる。第1の状態のとき、端子カバー4は収納部21に収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾電池または蓄電池である電池を収納する電池収納ケースに係り、特に、放電端子の短絡を防止する構造を採用した電池収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
1または複数の電池を収納した電池収納ケースを電子機器に装着して、電池収納ケースに収納された電池から電子機器へと電力を供給することが行われている。電池収納ケースは、電池を収納するケース本体と、ケース本体に収納された電池を覆う蓋とを含む。蓋には放電端子が設けられており、電子機器には放電端子を介して電池からの電力が供給される。
【0003】
放電端子が短絡すると過大な電流が流れて発熱等の問題が発生するおそれがある。そこで、電池収納ケースを電子機器に装着しない場合には、放電端子が短絡しないよう電池収納ケースに付属のキャリングケースに収納することが行われている。また、特許文献1に記載されているように、放電端子を有する面に樹脂製の絶縁カバーを装着することも一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−48207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したキャリングケースは、電池収納ケースを取り出した後にキャリングケースを電池収納ケースとは別に保管しなければならないので、紛失のおそれがある。また、特許文献1に記載の絶縁カバーは電池収納ケースとは完全に別体であり、同様に電池収納ケースから取り外した後に絶縁カバーを電池収納ケースとは別に保管しなければならないので、紛失のおそれがある。そこで、短絡防止部材の紛失を防止することができ、放電端子の短絡を防止することができる電池収納ケースが望まれていた。
【0006】
本発明はこのような要望に対応するため、短絡防止部材の紛失を防止することができ、短絡防止部材によって放電端子の短絡を防止することができる電池収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、一面が開放面となっており、電池を収納するケース本体(1)と、前記ケース本体に収納された電池からの電力を電子機器に供給するための放電端子(3)を有し、前記開放面を覆う蓋(2)と、前記蓋に取り付けられ、前記放電端子を露出させる第1の状態と、前記放電端子を覆う第2の状態とを選択的に切り替える端子カバー(4)とを備えることを特徴とする電池収納ケースを提供する。
【0008】
ここで、前記蓋は前記端子カバーを収納する所定深さの凹部よりなる収納部(21)を有し、前記収納部は、前記第1の状態のとき前記端子カバーを収納することが好ましい。
【0009】
前記第1の状態のとき、前記端子カバーの上端面は前記収納部の上端よりも突出していることが好ましい。この構成の一例として、前記第1の状態のとき前記端子カバーにおける前記収納部の底面と対向する面とは反対側の面に第1の凸部(43)が形成されており、前記第1の凸部の上端面が前記収納部の上端よりも突出している。
【0010】
前記蓋に前記第1の凸部を収納するための第1の凹部(25)が形成されており、前記第2の状態のとき、前記第1の凸部は前記第1の凹部に収納されることが好ましい。前記第1の状態のとき前記端子カバーにおける前記収納部の底面と対向する面に第2の凸部(45)が形成されており、前記収納部の底面には前記第2の凸部を収納する第2の凹部(23)が形成されており、前記第1の状態のとき、前記第2の凸部は前記第2の凹部に収納されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電池収納ケースによれば、短絡防止部材の紛失を防止することができ、短絡防止部材によって放電端子の短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電池収納ケースの一実施形態であり、端子カバーを蓋より取り外した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の電池収納ケースの一実施形態であり、端子カバーを収納部に収納した状態を示す斜視図である。
【図3】図2における部分断面図である。
【図4】本発明の電池収納ケースの一実施形態であり、端子カバーによって放電端子を覆った状態を示す斜視図である。
【図5】図4における部分断面図である。
【図6】図4に示す状態の電池収納ケースを無線機に装着しようとする状態を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の電池収納ケースの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1において、一実施形態の電池収納ケース100は、電池を収納するケース本体1と蓋2とを備える。ケース本体1は一面が開放した箱状に形成されており、例えば4本の電池を収納する。ケース本体1の一方の端部には、一対の突起11が形成されている。ケース本体1の他方の端部には、電池収納ケース100を電子機器に装着するためのフック5が設けられている。
【0014】
蓋2はケース本体1の開放している一面(開放面)を覆っている。電池は蓋2を外して開放面よりケース本体1内へと収納される。蓋2には、電池収納ケース100に収納された電池からの電力をここでは図示していない電子機器に供給するための放電端子3が設けられている。放電端子3は、一対の矩形状の金属端子よりなる。
【0015】
本実施形態の電池収納ケース100においては、放電端子3の短絡を防止するため、蓋2には端子カバー4が設けられている。また、蓋2には、端子カバー4が放電端子3を覆わず、電池収納ケース100を電子機器に装着可能な状態である第1の状態と、端子カバー4が放電端子3を覆い、電池収納ケース100を電子機器に装着不可で放電端子3の短絡を防止する第2の状態とを切り替えることができるような構成が採用されている。図1においては、端子カバー4を蓋2から取り外した状態を示している。端子カバー4は蓋2とは別体であるが、後述するように、端子カバー4は蓋2に取り付けられて不用意に外れないように構成されている。
【0016】
端子カバー4の具体的な構造について説明する。端子カバー4は所定の厚さの概略板状となっており、絶縁体の弾性素材、例えばシリコンゴムにより形成されている。端子カバー4の蓋2側に位置している端部には、円柱部411の先に円錐状部412が形成された一対の突出部41が設けられている。円錐状部412は完全な円錐となっている必要はない。円柱部411よりも直径が大きい状態から直径が順次小さくなっていく形状であればよく、角錐状でもよい。突出部41が設けられている側が蓋2に装着される部分であるので、突出部41側を下端部、反対側の端部を上端部と称することとする。
【0017】
端子カバー4の下端部の近傍には薄肉部42が形成されている。上端部近傍の一方の面には、角括弧状の凸部43が形成されている。凸部43の上端部側の面には爪431が形成されている。端子カバー4の両側面には、凸部43が設けられている位置と同様な高さの位置に、爪44が形成されている。図1では見えていない端子カバー4の上端部近傍の他方の面には、凸部45(図4参照)が形成されている。以上のような構造を有する端子カバー4は一体成形により製造することができる。
【0018】
次に、蓋2の具体的な構造について説明する。蓋2の放電端子3に対する一方の側には、所定深さの凹部よりなる矩形状の収納部21が形成されている。収納部21の放電端子3側の端部はより深い第1の凹部211となっており、第1の凹部211を除く残りの部分は比較的浅い第2の凹部212となっている。第1の凹部211の底部には、突出部41の円錐状部412を収納するための一対の穴22が形成されている。穴22の直径は円錐状部412の底面の直径よりも若干小さいので、円錐状部412を穴22に押し込んで円錐状部412が第1の凹部211の底部を超すと、円錐状部412は容易には穴22から抜けることがない。これにより、端子カバー4は蓋2に対して取り付けられる。
【0019】
端子カバー4が蓋2に固定されることによって端子カバー4は蓋2と実質的に一体化し、端子カバー4は蓋2から不用意に外れることはない。従って、端子カバー4を紛失するおそれはほとんどない。勿論、必要に応じて端子カバー4を意図的に蓋2から取り外すことが可能である。
【0020】
第2の凹部212の底部には、凸部45を収納するための凹部23が形成されている。収納部21の両側面側の双方の内壁面には、端子カバー4の爪44を収納するための凹部24が形成されている。凹部24は爪44ががたつくことなく嵌合されるような大きさとなっている。凸部45を凹部23に収納した際に、凸部45が凹部23に嵌合されるよう凹部23と凸部45の大きさを設定してもよい。
【0021】
さらに、蓋2の放電端子3に対する他方の側には、凸部43を収納するための所定深さの角括弧状の凹部25が形成されている。図1では見えていないが、凹部25の内壁面には爪431を収納するための凹部251(図5参照)が形成されている。凹部251は爪431ががたつくことなく嵌合されるような大きさとなっている。
【0022】
以上のような構成を有する電池収納ケース100を電子機器に装着して使用する場合について説明する。図2に示すように、電池収納ケース100を電子機器に装着しようとする場合には、端子カバー4を収納部21に収納して第1の状態とする。前述のように、爪44が凹部24に嵌合するので、端子カバー4は収納部21内に固定される。
【0023】
図3は、図2において凸部45及び爪431が存在する部分で、フック5側の端部と突起11側の端部とを結ぶ方向に端子カバー4及びその周辺部分を切断した部分断面図である。図3では、断面よりも奥に位置する突出部41も図示している。図3に示すように、端子カバー4は収納部21における第2の凹部212の底面に沿うように薄肉部42で折り曲げられて収納部21内に収納されている。端子カバー4の上端部と収納部21の端部との間には隙間26がある。後述する第2の状態とする場合には、隙間26に指を入れて端子カバー4の端部を持ち上げることによって、端子カバー4を収納部21から取り外すことができる。
【0024】
図2の状態において、凸部43の上端面43tは収納部21の上端21tよりも若干突出していることが好ましい。ここでの上端面43t及び上端21tにおける上とは、端子カバー4の厚さ方向、即ち、第2の凹部212の底面と対向する面に直交する方向で第2の凹部212の底面から離れる方向を指している。凸部43の上端面43tが収納部21の上端21tより突出していると、第1の状態となっている電池収納ケース100を電子機器に装着しようとして押し当てることにより凸部43が弾性変形する。これにより電池収納ケース100と電子機器との間には両者を広げる方向に反力が働くので、電池収納ケース100を電子機器に装着した状態での電池収納ケース100のがたつきが抑えられる。
【0025】
次に、図4及び図5を用いて第2の状態について説明する。図2の状態で隙間26に指を入れて端子カバー4の端部を持ち上げ、端子カバー4を放電端子3側に倒すと、図4の状態となる。前述のように、凸部43は凹部25に収納され、爪431が凹部251に嵌合することにより、端子カバー4は蓋2に固定される。図5は、図4において凸部45及び爪431が存在する部分で、フック5側の端部と突起11側の端部とを結ぶ方向に端子カバー4及びその周辺部分を切断した部分断面図である。図5では、断面よりも奥に位置する突出部41も図示している。図5に示すように、端子カバー4は放電端子3を覆うように薄肉部42で折り曲げられて第2の状態で固定されている。端子カバー4が放電端子3を覆っているので、放電端子3の短絡が防止される。
【0026】
図3に示す第1の状態では、突出部41の円錐状部412は第1の凹部211の底部とは離れた下方に位置している。一方、図5に示す第2の状態では、端子カバー4が第1の状態のときの位置よりも上方に位置するので、円錐状部412は第1の凹部211の底部の近傍に位置している。図5に示す例では、円錐状部412は第1の凹部211の底部と接触している。突出部41の円柱部411は、図3と図5との円錐状部412の上下方向の位置変位に対応した長さとなっている。
【0027】
図4の第2の状態から図2の第1の状態にするには、端子カバー4の上端部を指で持ち上げればよい。2本の指を一対の爪44に引っ掛けて端子カバー4を持ち上げてもよい。
【0028】
図6は、第2の状態となっている電池収納ケース100を誤って電子機器の一例としての無線機10に装着しようとした状態を示している。突起11は電池収納ケース100を無線機10に装着する際の位置合わせとなる。第2の状態の電池収納ケース100を無線機10に装着しようとすると、凸部45が無線機10の電池収納ケース100と対向する面に当たる。すると、凸部45による反力で異物を挟み込んだような感覚となる。従って、ユーザは電池収納ケース100が第2の状態となっていることを容易に認識することができる。
【0029】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 ケース本体
2 蓋
3 放電端子
4 端子カバー
5 フック
10 無線機(電子機器)
11 突起
21 収納部
22 穴
23 凹部(第2の凹部)
24 凹部
25 凹部(第1の凹部)
41 突出部
42 薄肉部
43 凸部(第1の凸部)
44,431 爪
45 凸部(第2の凸部)
100 電池収納ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が開放面となっており、電池を収納するケース本体と、
前記ケース本体に収納された電池からの電力を電子機器に供給するための放電端子を有するとともに、前記開放面を覆う蓋と、
前記蓋に取り付けられ、前記放電端子を露出させる第1の状態と、前記放電端子を覆う第2の状態とを選択的に切り替える端子カバーと、
を備えることを特徴とする電池収納ケース。
【請求項2】
前記蓋は、前記端子カバーを収納する所定深さの凹部よりなる収納部を有し、
前記収納部は、前記第1の状態のとき前記端子カバーを収納する
ことを特徴とする請求項1記載の電池収納ケース。
【請求項3】
前記第1の状態のとき、前記端子カバーの上端面は前記収納部の上端よりも突出していることを特徴とする請求項2記載の電池収納ケース。
【請求項4】
前記第1の状態のとき前記端子カバーにおける前記収納部の底面と対向する面とは反対側の面に第1の凸部が形成されており、
前記第1の凸部の上端面が前記収納部の上端よりも突出していることを特徴とする請求項3記載の電池収納ケース。
【請求項5】
前記蓋に前記第1の凸部を収納するための第1の凹部が形成されており、
前記第2の状態のとき、前記第1の凸部は前記第1の凹部に収納されることを特徴とする請求項4記載の電池収納ケース。
【請求項6】
前記第1の状態のとき前記端子カバーにおける前記収納部の底面と対向する面に第2の凸部が形成されており、
前記収納部の底面には前記第2の凸部を収納する第2の凹部が形成されており、
前記第1の状態のとき、前記第2の凸部は前記第2の凹部に収納されることを特徴とする請求項4または5に記載の電池収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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