説明

電池監視協調充電システム及び電動車両

【課題】電動車両と充電設備とが協調して電動車両に搭載される電池が過放電状態にならないようにする。
【解決手段】電池3と、充電設備2から供給される電力により電池3を充電する充電器4と、充電器4の動作を制御する充電ECU5と、充電設備2と通信を行う通信機19と、電池3の電圧を検出する電池監視セルバランス回路6と、イグニッション信号IGがローレベルであって充電ECU5が停止しているとき、電池監視セルバランス回路6により検出される電圧が閾値Vth以下になると、起動信号Scwをハイレベルにする電池ECU7とを備える電動車両1において、充電ECU5は、起動信号Scwがハイレベルになると、自己起動して電動車両1へ電力を供給してほしい旨を示す起動信号Secwを通信機19により充電設備2へ送信させるとともに、充電器4の動作制御を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両と充電設備とが協調して電動車両に搭載される電池を監視するとともに、その電池を充電する電池監視協調充電システム及び電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の充電可能な電池セルを直列に接続して高電圧の電池を実現する技術が実用化されてきている。この種の電池は、近年では、例えば、エンジンとモータを併用するハイブリッド車や電気自動車などの電動車両への実装において注目されている。
【0003】
また、この種の電池を充電する場合は、過充電により電池が劣化しないように、電池の状態を監視しながら電池を充電する必要がある(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【0004】
また、この種の電池は、長い期間の放置による自然放電で過放電の状態になってしまうと、劣化が進んでしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−217757号公報
【特許文献2】特開2007−209168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電動車両と充電設備とが協調して電動車両に搭載される電池が過放電状態にならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池監視協調充電システムは、電動車両と、充電設備とを備える。
前記電動車両は、電池と、前記充電設備から供給される電力により前記電池を充電する充電器と、前記充電器の動作を制御する充電制御手段と、前記充電設備と通信を行う通信手段と、前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、前記充電制御手段が停止しているとき、前記電圧検出手段により検出される電圧が閾値以下になると、起動信号を出力する起動制御手段とを備える。
【0008】
前記充電制御手段は、前記起動制御手段から起動信号が出力されると、自己起動して前記電動車両へ電力を供給してほしい旨を示す信号を前記通信手段により前記充電設備へ送信させるとともに、前記充電器の動作制御を開始する。
【0009】
これにより、電動車両の長時間の駐車により電池が長い期間放置されたとしても、電池が過放電状態になることを抑制することができるため、電池の劣化を抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電動車両と充電設備とが協調して電動車両に搭載される電池が過放電状態にならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の電池監視協調充電システムの一例を示す図である。
【図2】電池監視セルバランス回路の一例を示す図である。
【図3】電池ECUの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】イグニッション信号IG、セルバランス開始終了タイミング、各電池セルの電圧、閾値Vth、起動信号Scw、及び起動信号Secwの一例を示す図である。
【図5】電池監視セルバランス回路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態の電池監視協調充電システムの一例を示す図である。
図1に示す電池監視協調充電システムは、電動車両1と充電設備2とが協調して電動車両1に搭載される電池3を監視するとともに、その電池3を充電する。なお、電動車両1は、例えば、エンジンとモータを併用するハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、又はフォークリフトとする。また、充電設備2は、例えば、商業施設などに設置される充電スタンドや住宅などに設置される家庭用充電器などとする。
【0013】
電動車両1は、電池3と、充電器4と、充電ECU(Electronic Control Unit)5(充電制御手段)と、電池監視セルバランス回路6(電圧検出手段)と、電池ECU7(起動制御手段)と、DC/DCコンバータ回路8と、蓄電池9と、インバータ回路10と、インバータECU11と、モータ12と、モータECU13と、インパネ(インストルメントパネル)ECU14と、エネマネ(エネルギーマネージメント)ECU15とを備える。なお、電池監視セルバランス回路6と電池ECU7は、1つの電池監視ユニットとして構成されてもよい。
【0014】
電池3は、複数の充電可能な電池セル16−1〜16−n(例えば、リチウムイオン二次電池やニッケル水素充電池など)と、リレー17とを備える。
電池セル16−1〜16−nは、互いに直列接続されている。なお、電池セルの個数nは、例えば、数10〜数100とする。また、電池3は、リレー17がオンのとき、そのリレー17を介して直流の電力をDC/DCコンバータ回路8やインバータ回路10に供給するものとする。
【0015】
充電器4は、AC/DCコンバータ回路18と、通信機19(通信手段)とを備える。
AC/DCコンバータ回路18は、充電ケーブルを介して充電設備2から供給される交流の電力を直流の電力に変換し、その直流の電力により電池3を充電する。
【0016】
通信機19は、充電ケーブルを使用して充電設備2と電力線通信を行う。なお、通信機19は、充電設備2と無線通信を行ってもよい。この場合、電池3は電磁誘導方式などの非接触充電方式により充電が行われてもよい。また、通信機19は、充電器4の外部に設けられてもよい。
【0017】
充電ECU5は、例えば、マイクロコンピュータやメモリなどで構成され、充電器4の動作を制御する。
電池監視セルバランス回路6は、電池セル16−1〜16−nのそれぞれの電圧V1〜Vnを検出する。また、電池監視セルバランス回路6は、電圧V1〜Vnを互いに均等化させる(以下、セルバランスという)。
【0018】
電池ECU7は、例えば、マイクロコンピュータやメモリなどで構成され、リレー17のオン、オフの制御、電池監視セルバランス回路6の動作制御、又は、DC/DCコンバータ回路8の動作制御を行う。
【0019】
また、電池ECU7は、電動車両1の駐車時などで電池ECU7を除く各ECUや各回路が停止しているとき(例えば、充電ECU5、インバータECU11、モータECU13、インパネECU14、エネマネECU15などの各ECUや充電器4、DC/DCコンバータ回路8、インバータ回路10などの各回路に駆動用電力が供給されていないとき)、電圧V1〜Vnの何れかの電圧が閾値Vth(例えば、電池セルが過放電状態になる直前のときの電池セルの電圧)以下になると、CAN(Controller Area Network)通信により起動信号Scwを出力する。すると、充電ECU5が自己起動し、その自己起動した充電ECU5は、通信機19により電力供給してほしい旨の起動信号Secwを充電設備2へ送信させるとともに、充電器4の動作制御を開始する。そして、充電設備2の通信機23が起動信号Secwを受信すると、充電設備2の制御回路22が自己起動する。その自己起動した制御回路22は、その時点において電動車両1への電力供給が可能であれば、リレー21をオンして、電動車両1への電力供給を開始する。なお、充電設備2へ起動信号Secwが送信される際、すでに制御回路22が起動している場合、その制御信号22は、起動信号Secwを受信するとすぐに電動車両1への電力供給が可能であるか否かを判断し、電力供給が可能であると判断すると、リレー21をオンして、電動車両1への電力供給を開始する。
【0020】
DC/DCコンバータ回路8は、電池3から供給される直流の電力の電圧を降圧し、その降圧した電力により蓄電池9を充電する。
蓄電池9は、例えば、鉛蓄電池であり、電動車両1に搭載されるエアーコンディショナーシステムやカーナビゲーションシステムなどの各種電装機器に電力を供給する。
【0021】
インバータ回路10は、電池3から供給される直流の電力を3相交流の電力に変換し、その変換した3相交流の電力によりモータ12を駆動する。
インバータECU11は、例えば、マイクロコンピュータやCPUなどで構成され、CAN通信によりエネマネECU15から送られてくるモータ12の所望な回転数やトルクを示す信号に基づいて、インバータ回路10の動作を制御する。
【0022】
モータ12は、例えば、電動車両1の走行用モータ又は電動車両1に搭載されるガソリンエンジンの駆動をアシストするためのモータである。
モータECU13は、例えば、マイクロコンピュータやメモリなどで構成され、モータ12の回転数などを示す信号をCAN通信によりエネマネECU15などに送る。
【0023】
インパネECU14は、例えば、マイクロコンピュータやメモリなどで構成され、運転者により電動車両1のインストルメントパネルなどに設けられるイグニッションボタンが押されたか否かを示すイグニッション信号IGをCAN通信により充電ECU5やエネマネECU15に送る。なお、本実施形態では、電動車両1の停車時などにおいて運転者によりイグニッションボタンが押されると、イグニッション信号IGがローレベルからハイレベルになり各ECUや各回路が停止し、電動車両1の停車時などにおいて再度イグニッションボタンが押されると、イグニッション信号IGがハイレベルからローレベルになり電池ECU7を除く各ECUや各回路が停止するものとする。
【0024】
エネマネECU15は、例えば、マイクロコンピュータやメモリなどで構成され、モータ12の回転数や運転者からのアクセル量などに基づいて、モータ12の所望な回転数やトルクを計算したり、モータ12などにより電動車両1の走行のために発生するエネルギー、モータ12から発生する回生エネルギー、及び電池3が現在供給可能なエネルギーなどに基づいて、各ECUの制御を行う。
【0025】
充電設備2は、商用電源20と、リレー21と、制御回路22と、通信機19と電力線通信又は無線通信を行う通信機23とを備える。
例えば、制御回路22は、電動車両1と充電設備2とが互いに充電ケーブルでつながれ、その充電ケーブルに流れるパイロット信号が電動車両1の制御により充電準備完了を示すと、リレー21をオンして、商用電源20から供給される交流の電力を充電ケーブルを介して電動車両1に供給する。また、制御回路22は、パイロット信号が電動車両1の制御により充電終了を示すと、リレー21をオフして、電動車両1への電力供給を停止する。
【0026】
図2は、電池監視セルバランス回路6の一例を示す図である。なお、図2に示す電池3は、図1を参照しながら説明したように、互いに直列接続される電池セル16−1〜16−nを備えているものとする。また、電池3の負極端子は、電動車両1における仮想的なグランドに接続されているものとする。また、電池監視セルバランス回路6は、電池3に内蔵されていてもよい。
【0027】
図2に示す電池監視セルバランス回路6は、電圧センサ24−1〜24−nと、抵抗R1〜Rnと、スイッチSW−1〜SW−nとを備える。
電圧センサ24−1は、電池セル16−1の正極端子及び負極端子に接続され、電圧センサ24−2は、電池セル16−2の正極端子及び負極端子に接続され、電圧センサ24−3は、電池セル16−3の正極端子及び負極端子に接続され、・・・、電圧センサ24−nは、電池セル16−nの正極端子及び負極端子に接続されている。そして、電圧センサ24−1〜24−nは、それぞれ、対応する電池セル16−1〜16−nの電圧V1〜Vnを検出する。
【0028】
抵抗R1の一方端がスイッチSW−1の一方端に接続され、抵抗R1の他方端が電池セル16−1の負極端子に接続され、スイッチSW−1の他方端が電池セル16−1の正極端子に接続されている。他の抵抗R2〜Rn及びスイッチSW−2〜SW−nについても同様である。
【0029】
電池ECU7は、イグニッション信号IGがローレベルのとき、電池監視セルバランス回路6によりセルバランスを実行させる。
例えば、電池ECU7は、セルバランス時、電圧センサ24−1〜24−nにより検出される電圧V1〜Vnを互いに比較して、最も低い電圧(以下、電圧Vmin)を見つけ、電圧V1〜Vnが全て電圧Vminになるように、制御信号S1〜SnによりスイッチSW−1〜SW−nのオン、オフを制御する。すなわち、電池ECU7は、電池セル16−1の電圧V1が電圧Vminよりも高ければ、スイッチSW−1を繰り返しオン、オフさせることで電池セル16−1を放電させ、電池セル16−1の電圧V1を電圧Vminまで低下させる。このとき、電池セル16−1から放電されるエネルギーは、抵抗R1において消費される。そして、電池セル16−1〜16−nに対してそれぞれ上記動作を行うことで電池セル16−1〜16−nの電圧V1〜Vnをそれぞれに電圧Vminに均等化することができる。
【0030】
なお、電圧V1〜Vnを検出するための電圧検出手段としての電圧センサ24−1〜24−nと、電圧V1〜Vnを互いに均等化するためのセルバランス手段としての抵抗R1〜Rn及びスイッチSW−1〜SW−nとがそれぞれ独立に電動車両1に設けられていてもよい。
【0031】
図3は、電池ECU7の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、電池ECU7は、充電ECU5が停止すると(S1がYes)、所定時間t1(例えば、30分〜1時間程度)経過後(S2がYes)、セルバランスを開始させる(S3)。例えば、電池ECU7は、図4に示すように、イグニッション信号IGがハイレベルからローレベルになると、所定時間t1経過後に、セルバランスを開始させる。
【0032】
次に、電池ECU7は、セルバランスが終了すると、電圧センサ24−1〜24−nにより電圧V1〜Vnを取得し(S4)、それら電圧V1〜Vnの何れかの電圧が閾値Vth以下になったか否かを判断する(S5)。
【0033】
次に、電池ECU7は、電圧V1〜Vnの何れの電圧も閾値Vth以下になっていないと判断すると(S5がNo)、再度S4及びS5を実行し、電圧V1〜Vnの何れかの電圧が閾値Vth以下になったと判断すると(S5がYes)、起動信号Scwを出力する(S6)。例えば、電池ECU7は、図4に示すように、電圧V1が閾値Vth以下になると、起動信号Scwをローレベルからハイレベルにする。
【0034】
このとき、充電ECU5は、イグニッション信号IGがローレベルのとき、起動信号Scwがローレベルからハイレベルになると、自己起動して電動車両1へ電力を供給してほしい旨を示す起動信号Secwを通信機19により充電設備2へ送信させる。例えば、充電ECU5は、図4に示すように、イグニッション信号IGがローレベルのとき、起動信号Scwがローレベルからハイレベルになると、起動信号Secwをローレベルからハイレベルにさせる。また、充電ECU5は、充電器4の動作制御を開始する。すなわち、充電ECU5は、充電準備完了を示すパイロット信号を出力した後、充電ケーブルを介して充電設備2から電力が供給されると、充電器4の動作を制御して電池3を充電させる。
【0035】
充電設備2の制御回路22は、通信機23によりハイレベルの起動信号Secwを受信すると、自己起動する。そして、制御回路22は、パイロット信号が充電準備完了を示していることを判断すると、リレー21をオンして商用電源20からの電力を充電ケーブルを介して電動車両1へ供給する。
【0036】
次に、電池ECU7は、起動信号Scwを出力してから所定時間t2経過後(S7がYes)、電池3の充電を終了させる(S8)。例えば、電池ECU7は、図4に示すように、起動信号Scwを出力してから所定時間t2経過後、起動信号Scwをローレベルにする。そして、起動信号Scwがローレベルになると、充電ECU5は、図4に示すように、起動信号Secwをローレベルにするとともに、充電終了を示すパイロット信号を出力して電池3の充電を終了する。なお、電池セルの電圧や電池セルの周辺温度などにより求められる充電量(例えば、SOC(State Of Charge)など)に対応する、その電池セルが満充電になるまでにかかる時間を電池セルの種類毎に上記所定時間t2として予め電池ECU7などに記憶しておいてもよい。
【0037】
そして、電池ECU7は、充電ECU5が停止したままである(イグニッション信号IGがローレベルのままである)と判断すると(S9がYes)、「電池監視協調充電処理」としてS2〜S9を再び実行し、充電ECU5が駆動し始めた(イグニッション信号IGがハイレベルになった)と判断すると(S9がNo)、「電池監視協調充電処理」を終了する。
【0038】
このように、本実施形態の電池監視協調充電システムは、イグニッション信号IGがローレベルのとき、電池セル16−1〜16−nの電圧V1〜Vnの何れかの電圧が閾値Vth以下になると、充電ECU5を自己起動させるとともに、充電設備2の制御回路22を自己起動させて、電池3の充電を行う。これにより、電動車両1の長時間の駐車などで長い期間電池3が自然放電してしまっても、電池3が過放電状態になることを抑制することができるため、電池3の劣化を抑えることができる。
【0039】
なお、上記実施形態において、電池監視セルバランス回路6は、電池セル16−1〜16−nのそれぞれの電圧V1〜Vnのうちの最も低い電圧に合うように、電池セル16−1〜16−nをそれぞれ放電させる構成であるが、電圧V1〜Vnが電圧V1〜Vnの平均電圧になるように、電池セル16−1〜16−nをそれぞれ充放電させるように構成してもよい。
【0040】
図5は、電池監視セルバランス回路6の他の例を示す図である。なお、図2に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図5に示す電池監視セルバランス回路6は、電圧センサ24−1〜24−nと、トランスT1〜Tnと、スイッチSWa−1〜SWa−nと、スイッチSWb−1〜SWb−nとを備える。なお、スイッチSWa−1及びスイッチSWb−1は、同時にオン、オフするものとする。他のスイッチSWa−2〜SWa−n及びスイッチSWb−2〜SWb−nについても同様である。
【0041】
トランスT1の第1コイルが電池セル16−1に並列接続され、スイッチSWa−1がトランスT1の1次側コイルの一方端と電池セル16−1の正極端子との間に設けられ、スイッチSWb−1がトランスT1の第1コイルの他方端と電池セル16−1の負極端子との間に設けられている。他のトランスT2〜Tn、スイッチSWa−2〜SWa−n、及びスイッチSWb−2〜SWb−nについても同様である。また、トランスT1〜Tnのそれぞれの第2コイルは、互いに並列接続されている。なお、第1コイルは、1次側コイル又は2次側コイルの一方であり、第2コイルは、1次側コイル又は2次側コイルの他方である。
【0042】
電池ECU7は、セルバランス時、任意の電池セルを放電させつつ、他の任意の電池セルを充電させるように、スイッチSWa−1〜SWa−nやスイッチSWb−1〜SWb−nのオン、オフを制御する。
【0043】
例えば、電池ECU7は、電池セル16−1の電圧V1が電池セル16−2の電圧V2よりも高い場合、スイッチSWa−1及びスイッチSWb−1を繰り返しオン、オフさせるとともに、スイッチSWa−2及びスイッチSWb−2を常時オンさせる。これにより、電池セル16−1からトランスT1の第1コイルへ交流電流が流れてトランスT1、T2が電磁結合しトランスT2の第1コイルにかかる電圧が電池セル16−2の電圧V2よりも高くなる。すると、トランスT2から電池セル16−2へ電流が流れて電池セル16−2が充電される。このような充放電を電池セル16−1〜16−nにおいて繰り返し行い、電圧V1〜Vnを電圧V1〜Vnの平均電圧にすることにより、電圧V1〜Vnを互いに均等化させることができる。
【0044】
また、例えば、電池ECU7は、セルバランス時、スイッチSWa−1〜SWa−n及びスイッチSWb−1〜SWb−nを同時に繰り返しオン、オフさせる。これにより、トランスT1〜Tnのそれぞれの第1コイルに交流電流が流れて、トランスT1〜Tnが互いに電磁結合する。このとき、トランスT1〜Tnのそれぞれの第1コイルには電圧V1〜Vnの平均電圧がかかり、その平均電圧が電池セルの電圧よりも低いと、電池セルからトランスへ電流が流れ、その電池セルが放電する。また、平均電圧が電池セルの電圧よりも高いと、トランスから電池セルへ電流が流れ、その電池セルが充電する。これにより、電圧V1〜Vnを互いに均等化することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、充電設備2から供給される交流の電力を電動車両1の充電器4において直流の電力に変換し、その電力により電池3を充電する構成であるが、商用電源20から供給される交流の電力を充電設備2において直流の電力に変換し、その直流の電力を電動車両1の充電器4において充電用の電力に変換して、その電力により電池3を充電するように構成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、充電ECU5が停止してから所定時間t1が経過したとき、セルバランスが行われる構成であるが、充電ECU5が停止してから電圧V1〜Vnのうちの最も高い電圧と最も低い電圧との差が閾値以上になったとき、セルバランスが行われるように構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、充電ECU5の停止後、セルバランスを実行した後、「電池監視協調充電処理」を実行する構成であるが、充電ECU5の停止後、セルバランスを実行せずに、「電池監視協調充電処理」を実行してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、電池監視セルバランス回路6において、電池セル16−1〜16−nの電圧V1〜Vnを検出し、電池ECU7において、電圧V1〜Vnの何れかの電圧が閾値Vth以下になると、起動信号Scwを出力する構成であるが、電池監視セルバランス回路6において、電池3全体の電圧を検出し、電池ECU7において、その電池3全体の電圧が閾値Vtha(例えば、電池3が過放電状態になる直前のときの電池3全体の電圧)以下になると、起動信号Scwを出力するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 電動車両
2 充電設備
3 電池
4 充電器
5 充電ECU
6 電池監視セルバランス回路
7 電池ECU
8 DC/DCコンバータ回路
9 蓄電池
10 インバータ回路
11 インバータECU
12 モータ
13 モータECU
14 インパネECU
15 エネマネECU
16−1〜16−n 電池セル
17 リレー
18 AC/DCコンバータ回路
19 通信機
20 商用電源
21 リレー
22 制御回路
23 通信機
24−1〜24−n 電圧センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両と、充電設備とを備える電池監視協調充電システムであって、
前記電動車両は、
電池と、
前記充電設備から供給される電力により前記電池を充電する充電器と、
前記充電器の動作を制御する充電制御手段と、
前記充電設備と通信を行う通信手段と、
前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記充電制御手段が停止しているとき、前記電圧検出手段により検出される電圧が閾値以下になると、起動信号を出力する起動制御手段と、
を備え、
前記充電制御手段は、前記起動制御手段から起動信号が出力されると、自己起動して前記電動車両へ電力を供給してほしい旨を示す信号を前記通信手段により前記充電設備へ送信させるとともに、前記充電器の動作制御を開始する
ことを特徴とする電池監視協調充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電池監視協調充電システムであって、
前記電池は、互いに直列接続される複数の電池セルからなり、
前記電圧検出手段は、前記複数の電池セルの各電圧を検出し、
前記起動制御手段は、前記充電制御手段が停止しているとき、前記電圧検出手段により検出される各電圧の何れかの電圧が閾値以下になると、起動信号を出力する
ことを特徴とする電池監視協調充電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電池監視協調充電システムであって、
前記電動車両は、前記複数の電池セルのそれぞれの電圧を互いに均等化するセルバランス手段を備える
ことを特徴とする電池監視協調充電システム。
【請求項4】
電池と、
充電設備から供給される電力により前記電池を充電する充電器と、
前記充電器の動作を制御する充電制御手段と、
前記充電設備と通信を行う通信手段と、
前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記充電制御手段が停止しているとき、前記電圧検出手段により検出される電圧が閾値以下になると、起動信号を出力する起動制御手段と、
を備え、
前記充電制御手段は、前記起動制御手段から起動信号が出力されると、自己起動して当該電動車両へ電力を供給してほしい旨を示す信号を前記通信手段により前記充電設備へ送信させるとともに、前記充電器の動作制御を開始する
ことを特徴とする電動車両。
【請求項5】
請求項4に記載の電動車両であって、
前記電池は、互いに直列接続される複数の電池セルからなり、
前記電圧検出手段は、前記複数の電池セルの各電圧を検出し、
前記起動制御手段は、前記充電制御手段が停止しているとき、前記電圧検出手段により検出される各電圧の何れかの電圧が閾値以下になると、起動信号を出力する
ことを特徴とする電動車両。
【請求項6】
請求項5に記載の電動車両であって、
前記複数の電池セルのそれぞれの電圧を互いに均等化するセルバランス手段を備える
ことを特徴とする電動車両。


【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−55800(P2013−55800A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192445(P2011−192445)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】