説明

電波時計

【課題】 電波時計に外部入力端子を設けることにより、電波状態の良くない建物等の内部でも、電波時計を安定的に作動させる。
【解決手段】 電波時計1には、外部アンテナ13と接続される外部入力端子2を設け、外部アンテナ13で受信した標準電波を電波時計1に送信する。これにより、標準電波の受信状態が良くない建物等の内部でも、例えば電波状態の良い屋外、窓際等に設置された外部アンテナ13によって標準電波を受信することができ、電波時計1は使い易い自由な場所に設置できるから、電波時計1の利便性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば時刻情報が含まれた標準電波(時刻電波信号)を用いて時刻の表示等を行うのに好適な電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電波時計は、時刻情報が含まれた標準電波を用いることにより、高い精度の時刻情報を表示するもので、各種の機器に組込まれた内蔵型の時計や置時計、腕時計等として広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−84583号公報
【0004】
ここで、標準電波とは、例えば日本標準時等の標準時刻情報(タイムコード)が乗せられた長波帯の電波信号であり、行政機関等によって運営される所定の基地から全国に向けて発信されている。
【0005】
そして、従来技術の電波時計は、標準電波を受信する内部アンテナと、この内部アンテナで受信した標準電波から時刻情報を検出して表示する電波時計とによって構成されている。
【0006】
この場合、標準電波は、全国各地での使用を想定して比較的大きな出力で発信されているものの、例えば鉄筋構造物等の内部では、標準電波の受信状態が良くないために電波時計の作動状態が不安定となる場合がある。
【0007】
このため、従来技術では、例えば屋内の電波状態が悪い場合等に、電波の受信状態が良い場所に中継装置等を設置し、この中継装置によって受信した標準電波を赤外線に変換してから電波時計に送信する構成としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来技術では、例えば標準電波の受信状態が良くない場所等で電波時計を使用するために、中継装置を用いる構成としている。しかし、この場合には、信号処理回路等を搭載した複雑な構造の中継装置が必要となるため、時計本体と中継装置とを含めて全体の設備が大掛かりなものとなり、低コストで実現するのが難しいという問題がある。
【0009】
一方、従来技術の電波時計を単体で使用する場合には、最近の傾向として鉄筋等を用いた建物が多いにも拘らず、このような建物内で時計の設置場所が制限され易くなり、時計としての商品性が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、複雑な中継装置等を使用しなくても、建物内の自由な場所で時刻情報の検出、表示等を安定的に行うことができ、低コストで取扱いが容易であるような電波時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、時刻電波信号を用いて時刻情報を検出する電波時計において、外部のアンテナに接続され前記アンテナで受信した前記時刻電波信号が入力される外部入力端子を設けてなる構成を採用している。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、電波時計の外部入力端子を、例えば電波状態の良い屋外、窓際等の場所に設置された外部アンテナに接続することができる。これにより、例えば電波時計を屋内等で使い易い場所に設置でき、電波状態の悪い場所であっても、外部アンテナで受信した時刻電波信号を用いて電波時計を安定的に作動させることができる。このため、従来技術のように複雑な中継装置等を用いなくても、電波時計の設置場所を自由に選ぶことができ、低コストで簡単な方法によって電波時計の利便性や商品性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態による電波時計を、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0014】
図中、1は標準電波(時刻電波信号)を用いて時刻の表示等を行う電波時計を示している。ここで、標準電波は、例えば行政機関等によって所定の基地から発信される長波帯の電波信号であり、その信号波形には、現在の年月日、時分秒、曜日等に対応する高精度の時刻情報(タイムコード)が振幅変調によって乗せられている。この場合、標準電波の信号波形には、図2に示す如く、例えば二進数の「0」、「1」等に対応する固有の継続時間Wをもった複数種類の高振幅部が形成され、タイムコードの具体的な情報は、各高振幅部の継続時間Wの種類と並び順とに応じて設定されている。
【0015】
そして、電波時計1は、後述の外部入力端子2、増幅回路3、包絡線検波器9、I/F回路10、タイムコード検出回路11、作動部12等によって構成され、後述の外部アンテナ13とは別体の部品として形成されている。これにより、電波時計1は、外部アンテナ13で受信した標準電波から時刻情報を検出し、時刻の表示等を行うものである。
【0016】
2は電波時計1の入力側に設けられた外部入力端子で、該外部入力端子2は、後述する外部アンテナ13の出力端子16に信号線17等を用いて接続され、外部アンテナ13で受信した標準電波が入力されるものである。
【0017】
3は外部入力端子2に接続された増幅回路で、該増幅回路3は、外部入力端子2に入力される標準電波を増幅し、この増幅信号を包絡線検波器9に出力する。ここで、増幅回路3は、外部入力端子2から入力される標準電波を2段階で増幅する例えば2個のAGC(Auto Gain Control)アンプ4,5と、これらのAGCアンプ4,5の間に互いに並列に接続された例えば2個の帯域通過フィルタ6,7と、AGCアンプ4,5のゲインを制御する自動利得制御回路(AGC回路)8とによって構成されている。
【0018】
この場合、標準電波としては、例えば40kHzと60kHzの周波数をもつ2種類の電波信号がそれぞれ発信されている。このため、帯域通過フィルタ6,7は、これら2種類の標準電波に対応して設けられ、標準電波以外のノイズを除去する。また、AGC回路8は、例えば後段のAGCアンプ5の出力側で信号の増幅状態をモニタしつつ、AGCアンプ4,5のゲインを調整することにより、増幅時に信号波形の歪み等が生じるのを抑えている。
【0019】
9は増幅回路3の出力側に接続された包絡線検波器で、該包絡線検波器9は、図2中に仮想線で示す如く、増幅回路3から標準電波の増幅信号が入力されるときに、増幅信号の信号波形の包絡線信号Aを出力し、この包絡線信号AはI/F回路10に入力される。
【0020】
そして、I/F回路10は、包絡線信号Aの電圧値が所定の電圧レベルLよりも大きいか否かに応じて、信号値が「0」または「1」の信号を後述のタイムコード検出回路11に出力する。
【0021】
11はI/F回路10の出力側に設けられたタイムコード検出回路で、このタイムコード検出回路11は、例えばI/F回路10から入力されるパルス信号の立上り、立下り等を判別することにより、当該パルス信号の個々のパルス波形(即ち、標準電波の各高振幅部)の継続時間Wと無信号部分とによりタイムコードを検出する。そして、タイムコードの検出結果を所定のデータ形式の時刻データに変換し、この時刻データを後述の作動部12に出力する。
【0022】
12はタイムコード検出回路11から時刻データが入力される作動部で、該作動部12は、時刻データを時計として表示したり、この時刻データに基づいて時計のアラーム機能等を制御するものである。
【0023】
一方、13は標準電波を受信する外部アンテナを示し、該外部アンテナ13は、例えばフェライトアンテナ、アモルファスアンテナ等によって構成され、例えば標準電波の受信状態が良い屋外、窓際等の場所に設置される。
【0024】
そして、外部アンテナ13は、アンテナの本体部分となるコイル14と、該コイル14と並列に配置され、例えば選択スイッチ(図示せず)等によって容量が可変に設定されるコンデンサ15と、後述の出力端子16とによって構成されている。この場合、外部アンテナ13は、前記選択スイッチの設定に応じて、40kHzまたは60kHzからなる2種類の標準電波のうち何れか一方の標準電波に同調し、この電波を選択的に受信する構成となっている。
【0025】
16は外部アンテナ13の出力側に設けられた出力端子で、該出力端子16は、信号線17を用いて電波時計1の外部入力端子2に接続され、外部アンテナ13で受信した標準電波を外部入力端子2に向けて出力する。これにより、本実施の形態では、電波時計1を、時計として使い易い任意の場所(建物内の奥所側等)に配置することができる。
【0026】
かくして、本実施の形態によれば、電波時計1に外部入力端子2を設ける構成としたので、この外部入力端子2を、例えば電波状態の良い屋外、窓際等の場所に設置された外部アンテナ13に接続することができる。
【0027】
これにより、例えば電波時計1を屋内等で使い易い場所に設置でき、電波状態の悪い場所であっても、外部アンテナ13で受信した標準電波を用いて電波時計1を安定的に作動させることができる。このため、従来技術のように複雑な中継装置等を用いなくても、電波時計1の設置場所を自由に選ぶことができ、低コストで簡単な方法によって利便性や商品性を向上させることができる。
【0028】
なお、前記実施の形態では、外部アンテナ13で受信した標準電波を電波時計1に入力する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図3に示す変形例のように構成してもよい。この場合、電波時計1′には、外部入力端子2の他に内部アンテナ21が設けられている。これにより、電波時計1′は、外部アンテナ13と接続しない状態でも、内部アンテナ21によって標準電波を受信しつつ、電波時計として作動することができる。この場合、図示しないが、外部アンテナ13を接続したときに内部アンテナ21が回路から切離され、外部アンテナ13だけで受信する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態による電波時計を示す回路構成図である。
【図2】標準電波とその波形整形後の信号波形とを示す特性線図である。
【図3】本発明の変形例による電波時計を示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0030】
1,1′ 電波時計
2 外部入力端子
3 増幅回路
9 包絡線検波器
10 I/F回路
11 タイムコード検出回路
12 作動部
13 外部アンテナ
21 内部アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻電波信号を用いて時刻情報を検出する電波時計において、外部のアンテナに接続され前記アンテナで受信した前記時刻電波信号が入力される外部入力端子を設ける構成としたことを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−300885(P2006−300885A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126759(P2005−126759)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】