説明

電波表示制御システム

【課題】 突発的な混信によって電波環境が変化してもスキャンによる発光直前の環境を保持させることによって発光時の状態を適切に表示させることを提供すること。
【解決手段】 周期的に電波環境の状態を知るためのスキャンを行い、そのスキャン結果を電波状態として表示させるストロボ表示制御において、カメラのレリーズを行った後、レリーズの直前の電波環境表示を所定の制御が行われるまで保持させることを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボでライティング撮影を行う時の、無線多灯制御の動作に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信での情報の送受信を行う通信端末において、電波状況は、位置や周囲の障害物、移動等による影響を受けて逐次変化する。このため、現在の端末の利用可能な度合いを利用者に表示するために、電波強度情報表示が使用され、複数本のアンテナバーの表示が一般的に利用されている。電波状況が良好な場合にはアンテナバーの表示本数を増やし、逆に電波状況が悪い場合にはアンテナバー表示本数を減らすことが実施されている。
【0003】
このようなシステムにおいては、アンテナバー切り替え実施時に、切り替わる前後の電波状況が大きく異なってしまうと、アンテナバー表示が大きく変動してしまいユーザにとって利便性が悪いという問題がある。そこで特許文献1では、アンテナバー切り替え実施時に、切り替わる前後の電波強度情報を平均化してその情報を表示することにより、アンテナバー表示が大きく変動しないような制御方法等も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−332969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、電波による無線制御を搭載したストロボにおいて、レリーズ制御に関わるタイミングでは、高速に処理を行う必要があるため、双方向通信を行うことができない。
【0006】
このようなシステムにおいて、レリーズ制御通信が他無線機器の混信によって通信できなかった場合、未発光となってしまうが、双方向通信でなくても電波環境のスキャニング処理を周期的に行いその結果を表示することにより、未発光となった原因をユーザーに通知することが可能である。しかしながら、それは混信が持続する場合であり、レリーズ制御付近のみの突発的な混信の場合、電波環境状態がすぐに良好となるため、スキャニング結果をそのまま表示させた場合、未発光であるが良い電波環境表示のためにユーザーに誤認識をさせる可能性がある。 また特許文献1のように切り替わる前後の電波強度情報を平均化したのでは、ほぼ良好な電波状態で平均化されるので、やはりユーザーに誤認識をさせる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、突発的な混信によって電波環境が変化してもスキャンによる発光直前の環境を保持させることによって発光時の状態を適切に表示することを可能にした電波表示制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、周期的に電波環境の状態を知るためのスキャンを行い、そのスキャン結果を電波状態として表示させるストロボ表示制御において、カメラのレリーズを行った後、レリーズの直前の電波環境表示を所定の制御が行われるまで保持させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、突発的な混信によって電波環境が変化してもスキャンによる発光直前の環境を保持させることによって発光時の状態を適切に表示させることを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1のストロボ表示制御装置の制御フローチャートである。
【図2】実施例2のストロボ表示制御装置の制御フローチャートである。
【図3】実施例3のストロボ表示制御装置の制御フローチャートである。
【図4】ストロボ表示制御装置のストロボ100のハードウェア構成を示すシステムブロック図である。
【図5】カメラ200とストロボ100a、100bで構成されるストロボ表示制御装置の一例のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1、図2、図3は、それぞれ、本発明に係る電波表示制御システムであるストロボ表示制御装置の制御フローチャート、図4はストロボ表示制御装置のシステムブロック図、図5はストロボ表示制御装置のシステム構成図である。
【0012】
[実施例1]
図4はストロボ表示制御装置の構成例を示すシステムブロック図である。
【0013】
100はストロボ表示制御装置におけるストロボを表す。101はストロボ100の表示部/操作部を表す。操作部101によってストロボ制御部105に対して動作指示を行い、ストロボ100を制御する。102は発光回路を表し、充電や発光制御など発光に関わる制御を行い、ストロボ制御部103からの発光命令を表す信号を受信することで発光する。また、ストロボ制御部103に対して充電完了を表す信号を送信する。103は上記構成のストロボを制御するストロボ制御部を表す。104は撮像装置とのインターフェースを表す。インターフェース104を介して撮像装置と通信する。
【0014】
105はストロボ100に搭載されている無線通信部を表す。無線通信部105の形態として、二つ挙げられる。一つはストロボ100に内蔵するタイプ、もう一つは無線通信部105をカード化して、ストロボ100にカードスロットを設けた着脱可能型タイプの2つが想定される。本実施例では内蔵タイプで説明する。105aはアンテナを表す。アンテナ105aは無線通信の送受信を行い、通信相手から受信したデータを無線制御部105bへ送信する。また、無線制御部105bからデータを受け取り、通信相手へ送信する。
【0015】
また、周期的に周辺の電波環境のアンテナ105aが受信(スキャン)することによって電波強度の測定を行っている。その測定結果を表示部101に出力する。105cは発振回路を表し、発振回路105cに接続された水晶発振子105dから生成されるクロック信号の波形を整形し、整形したクロック信号を無線通信装置105での各回路に出力し、同期をとる。
【0016】
図5は本実施例の形態である、ストロボ100aがストロボ100bと無線接続している場合のシステムの概略図を表す。ストロボ100aはマスターストロボ、ストロボ100bはスレーブストロボとなる。カメラ200とストロボ100aは物理的に接続しており、カメラ200はインターフェース104を介してストロボ100aと通信を行う。101a、101bはストロボの表示/操作部で発光に関する各種設定や表示を行う。特にマスターストロボ100aにおいては、周辺の電波環境をスキャンし、その測定結果をアンテナピクト表示として表示部101aに表示する。図2の例ではバーの本数が多いほど電波環境が良好であることを示す。201はカメラの表示/操作部であり、レリーズ制御や、カメラ撮影モードの切り替え設定や表示、また、スレーブストロボの情報を表示することも可能である。
【0017】
尚、本実施例ではスレーブストロボを1台としているが、2台以上の複数台でも構わない。
【0018】
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施例の動作について説明する。
【0019】
ステップS301において、マスターストロボ100aの周辺の電波環境を無線通信部105にてスキャンを開始する。ステップS302では、上記スキャンで得られた結果を表示部101へ表示を行う。ステップS303でカメラの操作部201のSW2をONすることによってステップS304へ移行する。SW2がOFFの場合はステップS301へ戻る。つまりSW2がOFFの場合は、周期的に周辺の環境をスキャンしてその結果を表示している。ステップS304ではステップS301で得られた最後のスキャンデータを
マスターストロボ100aの不図示のRAMへ保持しておく。ステップS305において、マスターストロボ100aがスレーブストロボ100bに発光量等、発光制御に必要なデータを送信する。スレーブストロボ100bはそのデータをもとに発光制御を行う。マスターストロボ100aが送信するタイミングで混信が生じるとスレーブストロボ100bへ
データを送信することができなくなり、未発光となる場合がある。
【0020】
ステップS306では、発光制御後にステップS304で保持していたデータを表示部101へ所定時間表示を行う。所定時間とは、例えばカメラ表示部に撮影画像がプレビューとして表示されている間等、ユーザーがアンテナピクト表示を適切に認識できる時間である。
【0021】
以上の制御方法により、レリーズ直前の突発的な混信によってスレーブストロボが未発光となってしまっても、発光直前の電波環境を所定時間表示させることで使用者に電波環境が悪かったことを認識させることができる。
【0022】
[実施例2]
以下、図2を参照して、本発明の第2の実施例の動作について説明する。
【0023】
ステップS401において、マスターストロボ100aの周辺の電波環境を無線通信部105にてスキャンを開始する。ステップS402では、上記スキャンで得られた結果を表示部101へ表示を行う。ステップS403でカメラの操作部201のSW2をONすることによってステップS404へ移行する。SW2がOFFの場合はステップS401へ戻る。つまりSW2がOFFの場合は、周期的に周辺の環境をスキャンしてその結果を表示している。ステップS404ではステップS401で得られた最後のスキャンデータを
マスターストロボ100aの不図示のRAMへ保持しておく。ステップS405において、マスターストロボ100aがスレーブストロボ100bに発光量等、発光制御に必要なデータを送信する。スレーブストロボ100bはそのデータをもとに発光制御を行う。マスターストロボ100aが送信するタイミングで混信が生じるとスレーブストロボ100bへ
データを送信することができなくなり、未発光となる場合がある。
【0024】
ステップS406では、レリーズ直前のステップS404で保持していた電波環境データが悪い場合はステップS407へ移行し、電波環境データが良い場合はステップS401へ戻る。ステップS407では、発光制御後にステップS404で保持していたデータを表示部101へ表示を行い、以下、連写が終了するまで悪い電波環境データの表示を保持する。
【0025】
以上の制御方法により、連写中に突発的な混信によってスレーブストロボが未発光となってしまっても、発光直前の電波環境を所定時間表示させることで使用者に電波環境が悪かったことを認識させることができる。
【0026】
[実施例3]
以下、図3を参照して、本発明の第3の実施例の動作について説明する。
【0027】
ステップS501において、マスターストロボ100aの周辺の電波環境を無線通信部105にてスキャンを開始する。ステップS502では、上記スキャンで得られた結果を表示部101へ表示を行う。ステップS503でカメラの操作部201のSW2をONすることによってステップS504へ移行する。SW2がOFFの場合はステップS501へ戻る。つまりSW2がOFFの場合は、周期的に周辺の環境をスキャンしてその結果を表示している。ステップS504において、マスターストロボ100aがスレーブストロボ100bに発光量等、発光制御に必要なデータを不図示の後幕走行開始直前に送信する。スレーブストロボ100bはそのデータをもとに後幕発光制御を行う。マスターストロボ100aが送信するタイミングで混信が生じるとスレーブストロボ100bへデータを送信することができなくなり、未発光となる場合がある。
【0028】
ステップS505では、マスターストロボ100aの周辺の電波環境を無線通信部105にてスキャンを開始する。ステップS506では、上記スキャンで得られた結果を表示部101へ表示を行う。
【0029】
以上の制御方法により、発光制御直前の突発的な混信によってスレーブストロボが未発光となってしまっても、発光直後の電波環境を所定時間表示させることで使用者に電波環境が悪かったことを認識させることができる。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
100a マスターストロボ
100b スレーブストロボストロボ
101a/101b ストロボ表示部/操作部
103 ストロボ制御部
104 インターフェース
105 無線通信部
105b 無線制御部
200 カメラ
201 カメラ表示部/操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に電波環境の状態を知るためのスキャン(105,100a)を行い、そのスキャン結果を電波状態として表示(101a)させるストロボ表示制御において、
カメラのレリーズを行った後、レリーズの直前の電波環境表示(101,101a)を
所定の制御が行われるまで保持(103)させることを特徴とした電波表示制御システム。
【請求項2】
カメラの連写中に電波環境が悪くなった場合は、その時点でのスキャン結果を電波状態とし表示(101, 101a)し、所定の制御が行われるまで保持(103)させることを特徴とした請求項1に記載の電波表示制御システム。
【請求項3】
カメラの後幕設定時は、レリーズ直後のスキャン結果を表示(101, 101a)し、所定の制御が行われるまで保持(103)させることを特徴とした請求項1に記載の電波表示制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−189733(P2012−189733A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52305(P2011−52305)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】